JP3838773B2 - ポリウレタン弾性繊維及びその弾性布帛 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
有機ジイソシアネート、ポリマージオールおよび多官能性活性水素原子を有する鎖延長剤から得られるポリウレタン重合体からなるポリウレタン弾性繊維及びその弾性布帛に関する。更に詳しくは、巻き取りパッケージからの解じょ性に優れ、糸の走行時において、糸切れも無く、また糸導へのスカム堆積もなく、更に、プールに使用される殺菌用活性塩素に対して塩素耐久性能が向上し、塩素耐久性と糸の取り扱い性が同時に向上したポリウレタン弾性繊維及びそれとポリアミド系繊維又はポリエステル系繊維とからなる弾性布帛に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にスパンデックスと呼ばれるポリウレタン弾性繊維は、適度のゴム弾性を有し、優れた性質を有する。そのため、ポリエステル、ポリアミド等の各種繊維と交編、交織され、染色加工された交編織生地は、各種ストレッチ素材衣料やスポーツ衣料として最近ますます広範に使用されている。本発明は、加工工程における操作性と耐塩素性能とが同時に優れるポリウレタン弾性繊維及びその弾性布帛に関するものである。プール中で殺菌用活性塩素の濃度0.5〜3ppmの塩素水に繰り返し暴露されると、ポリウレタン弾性繊維は塩素により劣化して物理的性能が低下する。その結果、その弾性布帛の水着は、着用時に人体着圧が低下して、水泳中に水圧や水流により、肌から水着がずれたり、更に劣化が進むと、水着生地中のポリウレタン弾性繊維が断糸し、生地のパワー低下や生地が薄くなり透けて見える問題があった。
【0003】
ポリウレタン弾性繊維の塩素耐久性の改善に関しては、従来より各種塩素劣化防止剤の添加が提案されている。例えば、酸化亜鉛(特公昭60−43444号公報)、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム(特公昭61−35283号公報)、ハイドロタルサイト類化合物(特開昭59−133248号公報)、酸化マグネシウムと酸化亜鉛の固溶体(特開平6−81215号公報)などの金属化合物をポリウレタン弾性繊維に添加し、塩素耐久性を改善する方法が提案されている。本出願人も、ポリウレタン弾性繊維に優れた耐塩素性能を有する金属化合物(特願平09−029170号)を提案した。しかしながら、40デニール以下の細いポリウレタン弾性繊維が他の天然繊維や化学繊維、合成繊維とを交編・交織し、布帛に染色加工される場合、巻き取りパッケージからの解じょ性が不良で、解じょ応力が高い場合、糸切れが多発して整経や編み経てが困難になる。
【0004】
このようなポリウレタン弾性繊維の加工性を向上するためにポリウレタン弾性繊維用の各種油剤の検討が行われてきた。例えば、特開平7−173770号公報及び特開平9−49167号公報に、ポリウレタン弾性繊維用としてアルキルホスフェート金属(Na、K、Li等)塩とアルキルホスフェートアミン塩とを含む紡糸油剤が提案されている。しかしながら、これらのアルキルホスフェート金属塩では、長時間使用するとスカムが糸道に堆積して、糸切れやテンションのばらつきの原因になり、取り扱い性の低下や布帛編み面の表面品位が低下する問題があった。
【0005】
更には、アルキルホスフェート金属塩を紡糸用油剤中に長時間安定に均一分散混合するのも困難であった。その結果、ポリウレタン弾性繊維に糸長方向に付着斑を生じさせることもあった。また、特公昭48−38622号公報には、アルキルホスフェート金属塩をポリマー中に分散混合して紡糸する方法も提案させれているが、紡糸原液中での溶解性や分散性不良による紡口やフィルターに詰まりの為に、紡糸時の生産安定上の問題があった。更には、整経工程、編み経て工程でアルキルホスフェート金属塩がスカムになる問題もあった。よって、ポリウレタン弾性繊維の取り扱い性や生地品位を向上させ、さらには耐塩素性能を同時に満足出来る段階には至っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、ポリウレタン弾性繊維の前記生産上の課題を解決し、交編織物編成工程においての取り扱い性を向上し、同時に、耐塩素性の向上したポリウレタン弾性繊維及び商品としての生地品位と耐塩素性の向上した弾性布帛を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の金属化合物を特定量含むポリウレタン弾性繊維に特定の混合処理剤を特定量付着してなるポリウレタン弾性繊維が前記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち本発明は、ポリウレタン重合体からなる下記(a)を満足する弾性繊維において、該弾性繊維に下記(b)を満足する混合処理剤が、弾性繊維重量100重量部に対して0.5〜10重量部付着してなるポリウレタン弾性繊維である。
【0008】
(a)ポリウレタン重合体100重量部に対して、金属化合物として0.1〜10重量部のMg、Zn,Alから選択された金属の酸化物、複合酸化物、水酸化物、ハイドロタルサイト化合物の群から選ばれる1種又は2種以上の金属化合物を含有する弾性繊維。
(b)25℃で5〜30cstのポリアルキルシロキサンと5〜30cstの鉱物油との比が100/0〜50/50である処理剤100重量部に対して、下記式(1)で表されるリン酸エステル化合物類が0.01〜10重量部存在する混合処理剤。
【0009】
【化2】
(但し、Rは炭素原子数1〜30の直鎖又は分岐したアルキル基、アルコオキシポリオキシアルキレン基、炭素原子数5〜6のシクロアルキル基、炭素原子数1〜10アルキル基が置換した炭素原子数5〜6のシクロアルキル基、nは1〜2の整数を示す。)
【0010】
好ましくは、ポリウレタン弾性繊維に含有される金属化合物が、ZnO、MgO、ZnOとMgOの複合酸化物、2価の金属M(但し、MはZn及びMgから選択される少なくとも1種を表わす。)とAlを含みAlに対する2価の金属Mのモル比が1〜5である複合酸化物、ハイドロタルサイト化合物の群から選ばれる1種又は2種以上からなるポリウレタン弾性繊維である。更に、前記の本発明のポリウレタン弾性繊維とポリアミド系繊維又はポリエステル系繊維とからなる弾性布帛である。
【0011】
本発明のポリウレタン重合体の原料の1つである高分子量ジオールとしては、両末端に水酸基を持つ分子量500〜5000の実質的に線状の高分子体であり、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシペンタメチレングリコール等のホモポリエーテルジオール又は炭素原子数2から6の2種以上のオキシアルキレンから構成される両末端が水酸基からなる共重合ポリエーテルジオール;アジピン酸、セバチン酸、マレイン酸、イタコン酸、アゼライン酸、マロン酸等の二塩基酸の一種または二種以上とエチレングリコール、1,2ープロピレングリコール,1,3ープロピレングリコール,2,2ージメチルー1,3ープロパンジオール,1,4ーブタンジオール、1,3ーブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、1,10ーデカンジオール、1,3ージメチロールシクロヘキサン、1,4ージメチロールシクロヘキサン等のグリコールの一種または二種以上とから得られたポリエステルジオール;又はポリエステルアミドジオール;ポリエステルエーテルジオール;ポリーεーカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール等のポリラクトンジオール;ポリカーボネートジオール等が挙げられる。好ましくはポリオキシテトラメチレングリコール、共重合ポリ(テトラメチレン・ネオペンチレン)エーテルジオール、共重合ポリ(テトラメチレン・2−メチルブチレン)エーテルジオールである。
【0012】
有機ジイソシアネートとしては、例えば脂肪族、脂環族、芳香族のジイソシアネートの中で、反応条件下で溶解又は液状を示す物全てを適用できる。
例えば、メチレンービス(4ーフェニルイソシアネート)、メチレンービス(3ーメチルー4ーフェニルイソシアネート)、2,4ートリレンジイソシアネート、2、6ートリレンジイソシアネート、mー及びpーキシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’ーテトラメチルーキシリレンジイソシアネート、mー及びpーフェニレンジイソシアネート、4,4’ージメチルー1,3ーキシリレンジイソシアネート、1ーアルキルフェニレンー2,4及び2,6ージイソシアネート、3ー(αーイソシアネートエチル)フェニルイソシアネート、2,6ージエチルフェニレンー1,4ージイソシアネート、ジフェニルージメチルメタンー4,4ージイソシアネート、ジフェニルエーテルー4,4’ージイソシアネート、ナフチレンー1,5ージイソシアネート、1,6ーヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンービス(4ーシクロヘキシルイソシアネート)、1,3ー及び1,4ーシクロヘキシレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート等が挙げられる。好ましくは、メチレンービス(4ーフェニルイソシアネート)である。
【0013】
多官能性活性水素原子を有する鎖伸長剤としては、例えば、ヒドラジン、ポリヒドラジン、炭素原子数2〜10の直鎖または分岐した脂肪族、脂環族、芳香族の活性水素を有するアミノ基を持つ化合物で例えばエチレンジアミン、1,2プロピレンジアミン、特開平5ー155841号公報に記載されているウレア基を有するジアミン類等のジアミン、ヒドロキシルアミン、水等であり、また低分子量のグリコール、例えばエチレングリコール、1,2ープロピレングリコール、1,3ープロピレングリコール、2,2ージメチルー1,3ープロパンジオール、1,4ーブタンジオール、1,3ーブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、1,10ーデカンジオール、1,3ージメチロールシクロヘキサン、1,4ージメチロールシクロヘキサン等を用いることが出来る。好ましくは、エチレンジアミン、1,2プロピレンジアミンである。
【0014】
単官能性活性水素原子を有する末端停止剤としては、例えばジエチルアミンのようなジアルキルアミン等が用いられる。これらの鎖伸長剤、末端停止剤は、単独又は、2種以上混合して用いても良い。
ポリアルキレンエーテルジオール、ジイソシアネート化合物およびジアミン化合物を用いたポリウレタン重合体を製造する方法に関しては、公知のポリウレタン化反応の技術を用いることができる。たとえば、ポリアルキレンエーテルジオールと有機ジイソシアネートとを、1:1.2〜2.0、好ましくは1:1.3〜1.8(モル比)の割合で反応させ、両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを合成し、ウレタン部分を得る。次いで、このウレタンプレポリマーをジアミン化合物、グリコール化合物で鎖伸長反応を行い、ポリウレタン重合体を得ることができる。
【0015】
ポリウレタン化反応の操作に関しては、ウレタンプレポリマー合成時やこのウレタンプレポリマーと活性水素含有化合物との反応時に、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド等の溶剤を用いてもよい。
また、本発明で用いられる各種化合物の化学量論的割合は、ポリアルキレンエーテルジオールの水酸基とジアミン化合物等の活性水素の総和が、イソシアネート化合物のイソシアネート基に対して1.00〜1.07等量であることが望ましい。
【0016】
本発明における金属化合物は、Mg、Zn,Alから選択された金属の酸化物、複合酸化物、水酸化物、ハイドロタルサイト化合物を1種又は2種以上の金属化合物である。このような金属化合物としては、例えば、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト化合物(一例を挙げれば、例えばMg4.5 Al2 (OH)13CO3 ・3.5H2 O)および2価金属M(但し、Mは亜鉛およびマグネシウムから選択される少なくとも1種を表わす。)とアルミニウムを含みアルミニウムに対する2価金属のモル比が1〜5である複合酸化物がある。特に好ましい金属化合物は、MgO、ZnO、MgOとZnOの複合酸化物、ハイドロタルサイト化合物、及び例として下記式で表される以下の複合酸化物などである。
【0017】
【化3】
2ZnO・ZnAl2 O4
3ZnO・ZnAl2 O4
4ZnO・ZnAl2 O4
5ZnO・ZnAl2 O4
これらの複合酸化物は、例えば、ハイドロタルサイト化合物を焼成して得ることができる(特公昭51−37640号公報および特公昭51−20997号公報)が、これに限定されない。
【0018】
本発明に使用される金属化合物類は、塩素劣化防止効果を高めるために、ポリウレタン重合時に原料モノマーと同時に添加すしても良いし、又はポリウレタン弾性繊維の紡糸工程前のいずれかの段階において添加することができる。一般には、ポリウレタン重合終了後に添加するのが好ましい。添加量はポリウレタン重合体100重量部に対して0.1〜10.0重量部、好ましくは0.5〜7.0重量部の範囲である。これらの金属化合物の10.0重量部以上の過剰な添加は生産時の紡糸安定性やポリウレタン弾性繊維の弾性回復性に悪影響を及ぼすため好ましくなく、また0.1重量部以下では耐塩素性能の充分な効果が期待できない。
【0019】
本発明におけるこれらの金属化合物は、平均粒径1μm以下の微細な粉末であることが紡糸安定性から好ましい。場合によっては、これら無機金属化合物粒子の表面を脂肪酸、脂肪酸エステル、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤またはこれらの混合物で表面処理をしてもよい。このようにして得られた金属酸化物を含有するポリウレタン重合体は通常の方法で乾式紡糸、溶融紡糸、湿式紡糸を行い、紙管パッケージに巻き取る前に、ポリウレタン弾性繊維にロールオイリング、ガイドオイリング、スプレーオイリング等の公知の方法によって所定量の本発明の混合処理剤を付与できる。
【0020】
弾性繊維に混合処理剤を付着させる方法として、ポリアルキルシロキサンと鉱物油とリン酸エステル化合物とを段階的に分けて付着させても良い。すなわち、先にリン酸エステル化合物を付着させた後にポリアルキルシロキサンと鉱物油を付着させても良いし、あらかじめポリアルキルシロキサンと鉱物油を付着させ後にリン酸エステル化合物を付着させても良いし、ポリウレタン弾性繊維に同時に混合処理剤として付着させてもよい。
【0021】
本発明で使用される混合処理剤は主成分が、25℃で5〜30cstのポリアルキルシロキサンと5〜30cstの鉱物油との比が100/0〜50/50である。ポリアルキルシロキサンの代表例はジメチルシロキサンである。より好ましいポリアルキルシロキサン及び鉱物油の粘度は各々25℃で8〜15cstである。
本発明に用いられるリン酸エステル化合物類は、式(1)で表される化合物である。
【0022】
リン酸エステルの好ましい例としては、モノ又はジメチルアシッドホスフェイト、モノ又はジエチルアシッドホスフェイト、モノ又はジプロピルアシッドホスフェイト、モノ又はジイソプロピルアシッドホスフェイト、モノ又はジブチルアシッドホスフェイト、モノ又はジラウリルアシッドホスフェイト、モノ又はジステアリルアシッドホスフェイト、モノ又はジ(2−エチルヘキシル)アシッドホスフェイト、モノ又はジイソデシルアシッドホスフェイト、モノ又はジブトキシエチルアシッドホスフェイト、モノ又はジオレイルアシッドホスフェイト、モノ又はジテトラデシルアシッドホスフェイト、モノ又はジ(2−ヒドロキシルエチル)メタクリレートアシッドホスフェイト、ポリオキシアルキレングリコールアルキレンエーテルアシッドホスフェイト類が挙げられる。これらのリン酸エステル類はモノ体でもジ体でも、それらの単独でも、また異なる数種を混合して使用しても良い。
【0023】
リン酸エステル化合物は、式(1)中のRの炭素原子数1〜30の内、好ましくは炭素原子数3〜25のものが好ましい。更に好ましくは炭素数10〜20のものである。
本発明の混合処理剤におけるリン酸エステル化合物類のポリアルキルシロキサン及び鉱物油の単独又は混合処理剤への割合は、処理剤100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の範囲である。リン酸エステルとポリアルキルシロキサン及び鉱物油を混合させて用いる場合、その混合方法はリン酸エステルが液体状であればホモミキサー等を用いて高速撹拌することによって均一に分散又は溶解させることが出来る。
【0024】
リン酸エステルが室温で固体であれば、ポリアルキルシロキサン及び鉱物油の単独又は混合処理剤に添加混合するリン酸エステルの融点以上に過熱した状態で、リン酸エステルも融点以上に加熱して添加しホモミキサー等を用いて高速撹拌することによって均一分散又は溶解させることが出来る。
ポリウレタン弾性繊維100重量部に対して、本発明のリン酸エステル化合物、ポリアルキルシロキサン及び鉱物油からなる混合処理剤を0.5〜10重量部付着することで効果が発揮できる。好ましくは1〜8重量部、更に好ましくは2〜6重量部の範囲である。
【0025】
本発明の作用効果は明確ではないが、推定すると、該弾性繊維に含まれる繊維表面付近の本発明の金属化合物と混合処理剤に含まれるリン酸エステル化合物の一部分とが反応し、繊維表面に効果的にリン酸エステルの本発明の金属塩例えば、リン酸エステルのZn塩、Mg塩等を形成し、効果的にリン酸エステル金属塩を糸表面付近のみに存在させることが可能となり、本発明の効果を生じさせたと考えられる。よってリン酸エステル金属塩が引き起こす繊維生産上のフィルター詰まり等の問題点も本発明によって解消でき、更に繊維の潤滑性と耐塩素性能を同時に向上させたと推測される。
【0026】
ポリウレタン重合体組成物には、上記無機金属化合物以外に、ポリウレタン弾性繊維に用いられる公知の有機または無機化合物の添加剤、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、黄変防止剤、熱変色防止剤、粘着防止剤、顔料、帯電防止剤、防黴剤、着色剤、充填剤等を併用して添加してもよい。この様にして得られたポリウレタン重合体組成物を、公知の乾式、溶融、湿式の紡糸法等により紡糸する。
【0027】
紡糸したポリウレタン弾性繊維に本発明の混合処理剤成分に追加して、ポリエステル変性シリコン、ポリエーテル変性シリコン、ポリオルガノシロキサン、アミノ変性シリコン、アミノエーテル変性シリコン、鉱物油、タルク、シリカ、コロイダルアルミナ等の鉱物性徴粒子、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩粉末、高級脂肪族カルボン酸、高級脂肪族アルコール、パラフィン、ポリエチレン等の常温で固体のワックスなどを本発明の効果を損なわない限度において、付与しても良い。本発明に用いられるポリウレタン弾性繊維は、単体で編織されることはなく、他の天然繊維、化学繊維、合成繊維と交編織されて布帛となり、染色仕上げ加工後、縫製されて製品となる。
【0028】
本発明におけるポリウレタン弾性繊維は、交編織物となる他の繊維を選択しない。しかしながら、水着製品の着用時の摩耗や伸縮疲労に対する耐久性、着用時に人体が感じる風合いの快適さ、あるいは製品の形態安定性から、現状では合成繊維が広く使用されている。合成繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ジオール成分としてポリテトラメチレングリコールとエチレングリコールを主成分として含む共重合ポリテレフタレート、及びそれらのカチオン可染ポリエステル繊維、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリアクリル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール等の合成繊維が挙げられ、銅アンモニアレーヨン、ビスコースレーヨン、精製セルロース繊維等の再生セルロース繊維、再生タンパク繊維、半合成繊維、綿、絹、羊毛等の天然繊維素材なども挙げられる。好ましくは、ポリアミド系繊維又はポリエステル系繊維である。
【0029】
本発明のポリウレタン弾性繊維はこれらの繊維素材と共に、カバーリング、コアスパーンヤーン、エアーカバリング、合撚、交撚、インターレースした複合繊維の状態及び又はその各々繊維そのままで、丸編み生地、横編み生地、経編み等の交編又は、交織され、染色加工された交編・交織生地に加工され、各種用途に使用される。ポリウレタン弾性繊維と他の天然繊維、化学繊維、合成繊維からなる編地を作製するには種々の交編方法が用いられる。交編編地は、経編みでも緯編みでもよく、例えば、トリコット、ラッセル、丸編み等が挙げられる。また編組織は、ハーフ編み、逆ハーフ編み、ダブルアトラス編み、ダブルデンビー編み等いづれの編組織でもよい。また風合いの面から、編地表面が他の天然繊維、化学繊維、合成繊維で構成されていることが好ましい。
【0030】
ポリウレタン弾性繊維と他の天然繊維、化学繊維、合成繊維からなる織物は、通常の方法で製織される。ポリウレタン弾性繊維を経あるいは緯にのみ用いたワンウエーストレッチ、経緯両方に用いたツーウェーストレッチのいづれの織物でもよい。本発明のポリウレタン弾性繊維を使用した布帛は、ガードル、ブラジャー、インティメイト商品、肌着等の各種ストレッチファンデーション、靴下口ゴム、タイツ、パンティストッキング、ウエストバンド、ボデイスーツ、スパッツ、水着、ストレッチスポーツウエア、ストレッチ織物、ストレッチアウター、包帯、サポーター、医療用ウエア、ストレッチ裏地、紙おむつ等の用途が挙げられる。本発明の布帛は、特にプールにて使用される水着用途に好適である。
特に、ポリアミド繊維やポリエステル繊維は、一般に塩素染色堅牢性向上のために染色後に天然又は合成タンニンを用いた固着処理を施されることが普及している。
【0031】
例えば、ポリアミド繊維とポリウレタン弾性繊維の交編織物においては、染色後に染料を固着させるために、天然物ポリフェノール化合物として天然タンニン及び合成ポリフェノール化合物としての合成タンニンにて固着処理を行う。ポリエステル繊維とポリウレタン弾性繊維の交編織物においては、ポリウレタン弾性繊維の染色前後または染色と同時に天然タンニン又は合成タンニンにて染料固着処理を行うことがある。いずれの固着処理においても、処理浴のpHを3〜7に調整して、通常の昇温過程を経た後80℃〜130℃で処理する。処理時間は、長い方が良いが、20〜60分間が好ましい。必要に応じて、処理浴に、スカム防止剤や浴中柔軟剤を混在させてもよい。弾性布帛が、染料固着される場合、本発明におけるポリウレタン弾性繊維及びそれとポリアミド系繊維又はポリエステル系繊維との弾性布帛の有用性は特に高い。
【0032】
【発明の実施の形態】
次に本発明を実施例などにより更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例などによって何ら限定されるものではない。
なお、実施例に記載の測定法は以下の通りである。
(1)弾性繊維の解じょ性の評価方法
40デニール/5フィラメントの弾性繊維400gを紙管に巻き取った後、25℃、65%RHの雰囲気で30日放置後、紙管を梨地ローラー上に置き、ローラーを回転させながら、ローラー表面速度40m/分で、弾性繊維を送り出す。送り出された弾性繊維を50cm離れた所に設置された同じ径の梨地ローラ上に巻き取る。巻き取るローラー上の表面速度を80m/分から徐々に低下させて、送り出すローラー上の紙管に弾性繊維が紙管にからみついて逆巻きし、弾性繊維が切断されて送り出されなくなった時点の速度Sm/分を測定する。Sm/分の値が小さいほど紙管から弾性糸が糸離れが良いことを示し、これを解じょ性が良好と判断する。
【0033】
一般にポリウレタン弾性糸はポリマー自体がゴムに似た性質を有するためポリマ相互に粘着し易く、解じょ性が良好でない。しかし、あまりに糸離れが良すぎると、紙管に巻かれたポリウレタン弾性繊維を運搬する時に、紙管に巻かれた弾性繊維の外層が糸落ちし易く、取り扱い上の問題となる。本測定において、好ましいチーズ外層の弾性繊維のS(以下SOと表す。)は、SO=45〜55m/分、チーズ内層の弾性繊維のS(以下SIと表す。)は、SI=50〜65m/分である。SI、SOの値がこの範囲をはずれ、値が小さいと運搬時や整経工程で、糸落ちし易く、逆に値が大きいとチーズへの逆巻きや糸切れが頻発する場合があり、問題となる。
【0034】
(2)整経糸切れ回数の評価法
40デニール/5フィラメントの弾性繊維400gを紙管に巻き取り、588本をリバー社製の弾性糸用整経機に取り付け、弾性繊維送り出し速度150m/分、ビーム巻き取り速度300m/分にて整経し、1ビームあたり弾性繊維重量で14.7kgを16ビーム整経し、全て完了するまでに発生した弾性繊維の糸切れ回数で整経糸切れ回数を評価した。ただし、糸切れが発生した場合も切れた糸は結んでつなぎ、588本の状態で再びスタートさせた。また、ほぼ同時に複数本糸切れした場合も糸切れ回数は1回としてカウントした。
【0035】
(3)スカム評価法
40デニール/5フィラメントの弾性繊維400gを紙管に巻き取って後、25℃、65%RHの雰囲気で30日放置後、紙管を梨地ローラー上に置き、ローラーを回転させながら、ローラー表面速度40m/分で、弾性繊維を送り出す。送り出された弾性繊維を50cm離れた所に設置された同じ径の梨地ローラ上に巻き取る。送り出す弾性糸から25cmの中間地点にかみそり刃を糸角115度になるように設定して立てておき、巻き取るローラー上の表面速度を70m/分設定した。かみそり刃上に弾性繊維を1時間走行させた後、かみそり刃(エヌティー(株)製:NT−L型刃品番L−300)上に付着した白色スカムの量を目視によって1級から5級の判断をした。
【0036】
5級:かみそり刃に全く付着無し。
4級:かみそり刃にほんのわずか付着あり。
3級:かみそり刃に若干付着あり。
2級:かみそり刃にやや付着量多し。
1級:かみそり刃に多量の付着物あり。
【0037】
(4)破断強伸度の測定法
引っ張り試験機(オリエンテック(株)製:UTMー3ー100型)により、20℃、65%RH雰囲気下で測定する。糸試料長5cm幅で1分間1000%の歪み速度で測定する。
【0038】
(5)原糸評価(塩素耐久性評価)
ポリウレタン弾性繊維を金枠に50%伸長させて、pH7の沸騰水中で60分処理した後、室温で2時間冷却した。その後、縦1m、横1m、深さ30cmの塩素水水槽に浸漬する。この塩素水水槽の有効塩素平均濃度は7.0ppm、pH7、水温30℃に調整されている。30時間浸漬後、18時間風乾後の強力保持率を次式で示す。保持率が大きいほど塩素耐久性が高い。
強力保持率(%)=(塩素水浸漬後の弾性繊維の強力/塩素水浸漬前の弾性繊維の強力)×100
【0039】
(6)生地評価(塩素耐久性評価)
ポリウレタン弾性繊維と、ポリヘキサメチレンアジパミドを溶融紡糸して得られたポリアミド繊維50デニール/17フィラメントとを、トリコット機を用いて編成し、経編2wayトリコットを作製した。編み組織はハーフ、編立ては、フロントにポリアミド繊維、バックにポリウレタン弾性繊維を配し、28ゲージ、フロントランナー160cm/480コース、バックランナー80cm/480コース、15kg/1反の条件で行った。この工程で20反編んだときのポリウレタン弾性繊維の糸切れ回数を評価した。
【0040】
更に、得られた2wayトリコット生機を精練、リラックス、乾燥、ヒートセットして、染色を行った。染色は、染料としてIrgalan Black BGL 2.7%owf、硫安3%owf、酢酸0.2%owfの浴中(pH5.5)にて、95℃で30分間処理した。
この染色した2wayトリコットにタンニン酸を含む天然タンニンにて固着処理を行った。固着処理は、ハイフィックスSLA(タンニン酸30%含有、大日本製薬(株)製:商品名)6%owfの浴中(pH3.7)にて、90℃で30分間処理した。
【0041】
ポリウレタン弾性繊維とナイロン6からなる編地を、緯方向に50%伸長させて縦1m横1m深さ0.5mの水槽に12時間浸漬と12時間風乾を繰り返す。この12時間浸漬中の有効塩素平均濃度は2.0ppm、pH7、水温35℃に常時調整されており、12時間風乾は水道水で濯いでから行う。12時間浸漬から取り出すときに編地の欠点発生の有無を確認し、欠点の発生するまでの日数をその編地の塩素耐久日数とする。塩素耐久日数が長いほど塩素耐久性が高い。
【0042】
(7)有効塩素濃度
塩素水試料25m1を100m1の三角フラスコに秤量し、乾燥済みのヨウ化カリウム2gを加えて振り混ぜる。1/100Nのチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し、溶液が橙色から薄黄色に変化した時点で澱粉溶液を加える。ヨウ素澱粉反応による青色が消えるまで1/100Nチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。別に、イオン交換水25m1を採取し、同上の操作により滴定し、プランク滴定量を求める。有効塩素濃度Hは、次の数式(1)で与えられる。
【0043】
【数1】
ここで、Hは有効塩素濃度(ppm)、Vsは塩素水を滴定した時の1/100Nのチオ硫酸ナトリウム溶液の滴定量(ml)、Vbはイオン交換水を滴定したときの1/100Nのチオ硫酸ナトリウムの滴定量(ml)、fは1/100Nのチオ硫酸ナトリウムの力価、Wsは塩素水の重量(g)である。
【0044】
【実施例1】
数平均分子量1800のポリテトラメチレンエーテルグリコール400gと4,4’一ジフェニルメタンジイソシアネート91.7gとを乾燥窒素雰囲気下、80℃で3時間、攪拌下で反応させて、末端がイソシアネートでキャップされたポリウレタンプレポリマーを得た。これを室温に冷却した後、ジメチルアセトアミド720gを加え溶解してポリウレタンプレポリマー溶液を調整した。一方、エチレンジアミン8.11gおよびジエチルアミン1.37gをジメチルアセトアミド390gに溶解し、これを前記プレポリマー溶液に室温下添加して、粘度4500ポイズ(30℃)のポリウレタン溶液を得た。
【0045】
このポリウレタン溶液に、ポリウレタン固形分に対して、4,4’−プチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)を1重量%、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−プチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾールを0.5重量%及び表1に記載する平均粒径1μ以下の各種金属化合物を4.0重量%添加し、紡糸用原液を得た。
【0046】
このようにして得られた紡糸用原液を、1個の紡糸口金にある5っの細孔から熱風中に押しだし溶剤を蒸発させた。乾燥された糸条はリング仮撚り機を通過する過程で仮撚りされ、ゴッデトローラを経てオイリングロラー上で混合処理剤を付与された。オイリングローラーへ付与された混合処理剤は、25℃で10cstのジメチルシロキサン98重量部、25℃で10cstの鉱物油1.5重量部、モノ及びジ(1:1)のステアリルアシッドホスフェイト(堺化学工業(株)製、商品名Phoslex(フォスレックス)Aー18)0.5重量部からなる混合処理剤を供給した。混合処理剤の付着量は糸条100重量部に対して5重量部になるようにオイリングロールの回転数を調整した。混合処理剤を付与した糸条は毎分700m/分の速度で紙管に巻き取った。
【0047】
このようにして、40デニール/5フィラメントの本発明のポリウレタン弾性繊維(A)〜(D)を得た。又、本発明のポリウレタン弾性繊維(E)は、表1に記載した金属化合物を添加した紡糸原液を用いて、オイリングローラーへ付与された混合処理剤を以下の組成を使用した以外は前記と同じ方法で、40デニール/5フィラメントを得た。25℃で10cstのジメチルシロキサン99.5重量部、モノ及びジ(1:1)のステアリルアシッドホスフェイト(堺化学工業(株)製、商品名Phoslex(フォスレックス)Aー18)0.5重量部、からなる混合処理剤を供給した。混合処理剤の付着量は糸条100重量部に対して5重量部になるようにオイリングロールの回転数を調整した。
このポリウレタン弾性繊維の処理剤組成、解じょ性、等の評価結果を、表1に記す。弾性繊維の各種性能を評価した結果を併せて表1に示す。
【0048】
【比較例1】
実施例1の方法に従って重合したポリウレタン溶液に、金属酸化物の代わりに、平均粒径1μ以下の酸化チタン4重量%を添加して紡糸原液を作成した。この紡糸用原液を実施例1と同様にして処理剤を付着させた40デニール/5フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。弾性繊維の各種性能を評価した結果を表1に示す。
【0049】
【比較例2】
実施例1の方法に従って重合したポリウレタン溶液に、金属化合物を除いて紡糸原液を作成した。すなわちポリウレタン固形分に対して、4,4’−プチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)を1重量%、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−プチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾールを0.5重量%添加し、紡糸用原液を得た。この紡糸用原液を実施例1と同様にして処理剤を付着させた40デニール/5フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。弾性繊維の各種性能を評価した結果を表1に示す。
【0050】
【比較例3】
実施例1に用いた混合処理剤の代わりに、混合処理剤にリン酸エステル化合物を含まない混合処理剤を実施例1と同じ方法で付着させた40デニール/5フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。すなわち混合処理剤の組成は、25℃で10cstのジメチルシロキサン98重量部、25℃で10cstの鉱物油1.5重量部、ステアリン酸マグネシューム0.5重量部である。弾性繊維の各種性能を評価した結果を表1に示す。
【0051】
【比較例4】
実施例1に用いた混合処理剤の代わりに、25℃で10cstのポリジメチルシロキサンと鉱物油の比が40/60である混合処理剤を実施例1と同じ方法で付着させた40デニール/5フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。すなわち混合処理剤の組成は、25℃で10cstのジメチルシロキサン39.5重量部と25℃で10cstの鉱物油60重量部、モノ及びジステアリルアシッドホスフェイト(堺化学工業株式会社製、商品名Phoslex(フォスレックス)Aー18)0.5重量部である。弾性繊維の各種性能を評価した結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
ここで、表1中、金属酸化物4%はポリウレタン固形分100重量部に対する金属酸化物4重量部を表す。混合処理剤5%はポリウレタン弾性繊維100重量部に対する付着量5重量部を表す。
【0053】
【実施例2】
実施例1のモノ及びジステアリルアシッドホスフェイトの代わりに表2に記載した各種アルキルアッシドホスフェイトを用いた混合処理剤を用いて実施例1と同様な方法でポリウレタン弾性繊維(F)〜(I)を得た。これら弾性繊維の各種性能を評価した結果を表2に示す。
【比較例5】
実施例2のトリデシルアシッドホスフェイトの混合処理剤中の量を0.5%から12%に増量した混合処理剤を用いて実施例2と同様な方法でポリウレタン弾性繊維を得た。この弾性繊維の各種性能を評価した結果を表2に示す。
【比較例6】
実施例2のアルキルアッシドホスフェイトの代わりにアルキルアッシドホスフェイトの金属(Ca)塩(堺化学工業株式会社製、商品名LBT−1820)1重量%の混合処理剤を用いて実施例2と同様な方法でポリウレタン弾性繊維を得た。この弾性繊維の各種性能を評価した結果を表2に示す。
【0054】
【表2】
ここで、表2中、金属酸化物4%はポリウレタン固形分に対する金属酸化物4重量部を表す。各種リン酸エステル類の%はポリアルキレンシロキサンと鉱物油100重量部に対する重量部を表す。
【0055】
【実施例3】
実施例1、2のポリウレタン弾性繊維(A)、(B)、(I)と比較例1、比較例3のポリウレタン弾性繊維を用いて前記明細書記載の方法で、染色した2wayトリコット編み地にタンニン酸を含む天然タンニンにて固着処理を行った生地を得た。
編み工程中の糸切れ回数と染色後、天然タンニン固着した生地の耐塩素性能の日数を評価した。その結果を表3に示す。
【0056】
【表3】
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリウレタン弾性繊維の紙管パッケージからの解じょ性に優れ、糸の走行時においても糸切れも、また糸導へのスカム堆積もなく、プールの殺菌用塩素に対しても塩素耐久性能が向上する。すなわち、塩素耐久性と糸の取り扱い性が同時に向上する。
本発明のポリウレタン弾性繊維により製造される弾性布用は、一例を挙げれば、水泳プール中のような塩素水環境で多用される競泳用水着や塩素漂白剤が用いられる弾性布帛等に好適である。
Claims (3)
- ポリウレタン重合体からなる下記(a)を満足する弾性繊維において、該弾性繊維に下記(b)を満足する混合処理剤が、弾性繊維重量100重量部に対して0.5〜10重量部付着してなることを特徴とするポリウレタン弾性繊維。
(a)ポリウレタン重合体100重量部に対して、金属化合物として、0.1〜10重量部のMg、Zn,Alから選択された金属の酸化物、複合酸化物、水酸化物、ハイドロタルサイト化合物の群から選ばれる1種又は2種以上の金属化合物を含有する弾性繊維。
(b)25℃で5〜30cstのポリアルキルシロキサンと5〜30cstの鉱物油との比が100/0〜50/50である処理剤100重量部に対して、下記式(1)で表されるリン酸エステル化合物類が0.01〜10重量部存在する混合処理剤。
- ポリウレタン弾性繊維に含有される金属化合物が、ZnO、MgO、ZnOとMgOの複合酸化物、2価の金属M(但し、MはZn及びMgから選択される少なくとも1種を表わす。)とAlを含みAlに対する2価の金属Mのモル比が1〜5である複合酸化物、ハイドロタルサイト化合物の群から選ばれる1種又は2種以上からなる請求項1記載のポリウレタン弾性繊維。
- 請求項1〜2記載のポリウレタン弾性繊維とポリアミド系繊維又はポリエステル系繊維とからなる弾性布帛。
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