JP2008133548A - 弾性繊維用油剤 - Google Patents

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JP2008133548A JP2006318315A JP2006318315A JP2008133548A JP 2008133548 A JP2008133548 A JP 2008133548A JP 2006318315 A JP2006318315 A JP 2006318315A JP 2006318315 A JP2006318315 A JP 2006318315A JP 2008133548 A JP2008133548 A JP 2008133548A
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Yukinori Tose
行範 東瀬
Yoshiyuki Wakahara
義幸 若原
Taro Hamada
太郎 濱田
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Abstract

【課題】特に弾性繊維生産時の紡糸工程から後加工工程において安定的な操業が可能であり、経日安定性および繊維同士の膠着防止性が良好な弾性繊維用油剤を提供する。
【解決手段】シリコーンオイル(A1)および炭化水素系潤滑油(A2)からなる群より選ばれる少なくとも1種のベースオイル(A)と、下記一般式(1)で示される有機リン酸エステル化合物(B)および高級脂肪酸金属塩(C)からなり、25℃における濁度が20mg/L以下である弾性繊維用油剤。
Figure 2008133548

【選択図】なし

Description

本発明は、弾性繊維用油剤に関し、さらに詳しくはポリウレタン弾性繊維製造時において、繊維間の膠着性が少なく、チーズの解舒安定性に優れたポリウレタン弾性繊維を得るために紡糸工程で使用される弾性繊維用油剤に関する。
従来より、ポリウレタン弾性繊維の製造方法としては、溶融紡糸、乾式紡糸、湿式紡糸などがあるが、いずれの方法でも繊維同士の膠着性が大きいため、後加工工程での解舒性の悪さが問題となっている。
そこで、弾性繊維生産時の紡糸工程において繊維に付着させる弾性繊維用油剤として、油剤に膠着防止剤を添加した油剤が提案されている。この膠着防止剤としては、固体の金属石鹸を懸濁させた弾性繊維用油剤(特許文献1と2)、ポリエーテル変性シリコーンを配合した弾性繊維用油剤(特許文献3〜5)などが提案されている。
特公昭41−286号公報 特公昭40−5557号公報 特開昭57−128276号公報 特開平2−127569号公報 特開平6−41873号公報
ところで近年、弾性繊維を使用した生地を生産する上で、従来よりも解舒速度を上げることにより生産性を向上させるニーズが高まっている。特に、エアカバリング用途や整経用途には高速解舒性が求められている。高速での解舒安定性が悪いと後加工工程時に糸切れなどを引き起こし、生産性を著しく落とすことになる。このため、ポリウレタン弾性繊維用油剤においてこれらの課題を解決することが可能な弾性繊維用油剤の開発が急務となっている。
しかしながら、特許文献1と2で提案されている油剤では、膠着防止性が改善され、低速での解舒性は良いものの、このような固体成分は、油剤中で凝集・沈降するなど分散安定性が悪いため、糸への付着ムラ等が起こり、特に高速での解舒が必要な後加工工程において、安定な解舒性が発揮できず、張力変動等が原因で糸切れ等が起こる問題がある。
また、特許文献3〜5で提案された弾性繊維用油剤では、得られる油剤の外観が均一透明であり、油剤安定性が良く糸への付着ムラ等の発生は少ないが、十分な膠着防止効果が得られない。また十分な膠着防止効果を得るためには膠着防止剤の添加量を増加させなければならないために、油剤の粘度が著しく増加し、そのため糸への均一付着性が不十分になり、解舒安定性が悪化し、糸切れ等が起こる問題がある。
本発明の目的は、弾性繊維を製造する際に、繊維同士の膠着防止性と高速での解舒安定性に優れた弾性繊維用油剤を提供することにある。また、繊維用油剤の経日安定性をを高め、使用時における凝集・沈降する問題、糸への付着ムラの問題が無く、安定な生産を可能にする弾性繊維用油剤を提供することである。
本発明者らは上記の弾性繊維用油剤を得るべく鋭意検討した結果、ベースオイルに特定の有機リン酸エステル化合物と高級脂肪酸金属塩を含有し、かつ25℃における油剤の濁度を特定の範囲に調整することで、上記のすべての問題点が解決することを見いだし、本発明に到達した。
すなわち本発明は、シリコーンオイル(A1)および/又は炭化水素系潤滑油(A2)からなるベースオイル(A)、下記一般式(1)で示される有機リン酸エステル化合物(B)、および高級脂肪酸金属塩(C)を必須成分とし、25℃における濁度(JIS K0101−1998、9.4.積分球濁度)が20mg/L以下であることを特徴とする弾性繊維用油剤;該弾性繊維用油剤を弾性繊維に対して0.1〜10.0重量%付与する弾性繊維の処理方法;並びに上記の処理方法により処理されてなる弾性繊維である。
Figure 2008133548
(式中、R1 は炭素数1〜30の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、または一部置換されていてもよい炭素数6〜36のアリル基;Aは炭素数2〜4のアルキレン基;mは0または1〜10の整数;qとrはそれぞれ独立に1または2であって、かつq+r=3を満足する整数を表す。)
本発明の弾性繊維用油剤は、経日安定性、糸同士の膠着防止性、解舒安定性に優れていることから、弾性繊維を紡糸から後加工工程、特に高速解舒性が必要とされる後加工工程において長期的に安定な操業性を保ちながら製造することができる。
本発明における弾性繊維用油剤は、シリコーンオイル(A1)および/又は炭化水素系潤滑油(A2)からなるベースオイル(A)、有機リン酸エステル化合物(B)、および高級脂肪酸金属塩(C)を必須成分として含有することが、膠着防止性および解舒安定性の観点から必要である。
本発明のシリコーンオイル(A1)としては、ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサンの一部が炭素数2〜20のアルキル基および/またはフェニル基で置換されたもの等が使用できる。
炭化水素系潤滑油(A2)としては、鉱物油およびその精製油、水添油、分解油等が使用できる。
これらのベースオイル(A)のうち好ましいものは、25℃における粘度が1〜1000mm2/sのベースオイルである。さらに好ましくは2〜500mm2/s、特に好ましくは3〜200mm2/sのベースオイルである。
ベースオイル(A)としては、シリコーンオイル(A1)、炭化水素系潤滑油(A2)それぞれ単独でも混合物であってもよい。好ましくは(A1)と(A2)の混合物である。
混合物の場合、(A1)+(A2)の合計重量に基づいて(A1)の含有量が15〜90重量%が好ましく、さらに好ましくは20〜80重量%、特に好ましくは25〜70重量%である。
本発明の弾性繊維用油剤において、ベースオイル(A)の含有量は膠着防止性、平滑性の観点から、油剤の全重量に基づいて(A)の含有量は、通常80〜99.8重量%、好ましくは88〜99.5重量%、特に好ましくは90〜99.0重量%である。これらの範囲であると、平滑性が良好であり、11〜22デシテックス(dtx)等の細糸を紡糸する際でも糸切れなどの問題が生じる恐れがない。
本発明の有機リン酸エステル化合物(B)は、一般式(1)で表される化合物である。
Figure 2008133548
式中のR1 は、炭素数1〜30の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、又は一部置換されていてもよい炭素数6〜36のアリル基を表す。
また、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、AOとしてアルキレンオキサイドの付加を意味する。そして、mはこのアルキレンオキサイドの付加モル数を意味し、0又は1〜10の整数である。qとrはリン原子に結合する基の数を意味し、それぞれ独立に1又は2であるが、但し、q+r=3を満足する整数の組み合わせである。
一般式(1)で表される有機リン酸エステル化合物(B)は、式中のqとrの組み合わせにより、下記一般式(2)で示される有機リン酸モノエステル化合物(B1)(以下、モノエステル体と略記する。)と一般式(3)で示される有機リン酸ジエステル化合物(B2(以下、ジエステル体と略記する。)に場合分けできる。
Figure 2008133548
Figure 2008133548
ここで式中のR 2とR3 は、それぞれ独立に炭素数1〜30の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、又は一部置換されていてもよい炭素数6〜36のアリル基を表す。Aとmは式(1)の場合と同様である。
1 、R 2、R3 がアルキル基の場合は、炭素数1〜30の直鎖又は分岐のアルキル基であり、好ましくは、炭素数2〜28の直鎖又は分岐のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数3〜24の直鎖又は分岐のアルキル基である。また、アルケニル基の場合は、炭素数2〜24のアルケニル基であり、好ましくは炭素数6〜22のアルケニル基である。さらに、アリル基の場合は、炭素数6〜36のアリル基であり、その一部がアルキル基、ハロゲン基、水酸基などで置換されていてもよい。
Aは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、AOとしてアルキレンオキサイドの付加を意味する。AOのアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(以下EOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下POと略記する)およびブチレンオキサイドが挙げられる。これらのうち好ましいものはEOおよびPOである。
また、mはこのアルキレンオキサイドの付加モル数を意味し、0又は1〜10の整数であり、好ましくは0又は1〜8の整数である。mがこの範囲にあると、解舒安定性および油剤安定性の観点において優れる。
本発明の有機リン酸エステル化合物(B)は、無機リン酸(例えば、五酸化リンなど)に対して、炭素数1〜30の直鎖又は分岐のアルキルアルコール(b1)、炭素数2〜24のアルケニルアルコール(b2)、炭素数6〜36のフェノール誘導体(b3)、及びこれらのアルコール類のアルキレンオキサイド付加物(b4)を反応させて得られる。
この反応により得られる有機リン酸化合物は、合成条件(反応温度、モル比等)を調整することにより、有機リン酸モノエステル化合物と有機リン酸ジエステル化合物のモル比を任意に調整することができるが、一般的に、有機リン酸モノエステル化合物と有機リン酸ジエステル化合物の混合物が得られる。
なお、これらを構成するアルコールは天然物由来のものでも合成されたものでもどちらでもよい。これらのうち、好ましいのは(b1)、(b2)およびこれらのアルキレンオキサイド付加物であり、さらに好ましいのは、(b1)およびこのアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいのは、(b1)である。
上記のアルキルアルコール(b1)とは、炭素数1〜30のアルキルアルコールであり、直鎖状又は分岐状のいずれでもよい。好ましくは炭素数2〜28、さらに好ましくは炭素数3〜24、特に好ましくは炭素数6〜22のものであり、例えば、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、ノナデシルアルコールおよびエイコシルアルコールなどが挙げられる。
上記のアルケニルアルコール(b2)とは、炭素数2〜24のアルケニルアルコールであり、好ましくは炭素数6〜22のものである。例えば、ヘキセニルアルコール、ヘプテニルアルコール、オクテニルアルコール、デセニルアルコール、ウンデセニルアルコール、ドデセニルアルコール、テトラデセニルアルコール、ペンタデセニルアルコール、ヘキサデセニルアルコール、ヘプタデセニルアルコール、オクタデセニルアルコールおよびノナデセニルアルコールならびに2−エチルデセニルアルコールなどが挙げられる。
上記のフェノール誘導体(b3)とは、炭素数6〜36のフェノール誘導体であり、アリル基の一部がアルキル基、ハロゲン基、水酸基などで置換されていてもよい。例えば、フェノール、1−ナフトール、2−ナフトールなどが挙げられる。
さらに、上記のアルコール類のアルキレンオキサイド付加物(b4)とは、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを、1〜10モルアルコールに付加したものである。ここでアルキレンオキサイドとしては、EO、PO、ブチレンオキサイド、およびこれらのランダム状またはブロック状の併用が挙げられる。これらのうち好ましいものはEOおよび/またはPOである。
アルキレンオキサイドの付加モル数は、好ましくは1〜8の整数である。これらのものの例として、デシルアルコールのEO3モル付加物、トリデシルアルコールのEO5モル付加物、ヘキサデシルアルコールのEO3モル付加物、イソトリデシルアルコールのEO5モル・PO3モル付加物などが挙げられる。
有機リン酸エステル化合物(B)としては、有機リン酸モノエステル化合物(B1)、有機リン酸ジエステル化合物(B2)がそれぞれ単独でも混合物であってもよい。好ましくは(B1)と(B2)の混合物である。この場合、(B1)/(B2)のモル比は10/90〜90/10であり、30/70〜70/30が好ましく、35/75〜65/45が解舒安定性の観点からさらに好ましい。
<モノエステル体/ジエステル体のモル比の測定方法>
有機リン酸モノエステルの試料0.5gを100mlビーカーに精秤し、変性アルコール・キシレン(容量比で2/1)混合溶液50mlを加え、溶解する。この溶解液を攪拌しながら、電位差滴定測定装置を使用して、0.1N水酸化カリウム・メチルアルコール滴定液で滴定し、下記計算式(1)でモノエステル体とジエステル体のモル比を計算する。
モノエステル体/ジエステル体の比= Y/(X−Y) (1)
但し、Xは第一変曲点までに要した0.1N水酸化カリウム・メチルアルコール滴定液の滴定ml数を表し、Yは第一変曲点から第二変曲点までに要した0.1N水酸化カリウム・メチルアルコール滴定液の滴定ml数を表す。
(B)の含有量は、弾性繊維用油剤全体に対し、好ましくは0.01〜10重量%であり、さらに好ましくは0.1〜5重量%である。
これら範囲であると、解舒安定性が良好であり、11〜22dtx等の細糸を後加工する際でも糸切れなどの問題が生じる恐れがない。
本発明の弾性繊維用油剤の必須成分の高級脂肪酸金属塩(C)は、高級脂肪酸の金属塩であり、その高級脂肪酸としては、好ましくは炭素数6〜30、さらに好ましくは炭素数8〜24、より好ましくは炭素数12〜24、特に好ましくは16〜22の飽和または不飽和の高級脂肪酸が使用できる。
高級脂肪酸の具体例としては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、およびリシノレイン酸等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、およびベヘン酸等であり、特に好ましいのはステアリン酸である。これらの脂肪酸は単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
金属塩としては、好ましくは、アルカリ金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(バリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩など)、IIB族金属塩(例えば、亜鉛など)、遷移金属(ニッケル、鉄、銅、マンガン、コバルト、銀、金、白金、パラジウム、チタン、ジルコニウム、カドミウムなど)の塩、IIIB族金属塩(例えば、アルミニウム塩など)、IVB族金属(錫、鉛など)の塩、およびランタノイド金属(ランタン、セリウムなど)の塩等が挙げられ、さらに好ましいのはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、およびIIIB族金属塩、特に好ましいのはアルカリ土類金属塩である。
高級脂肪酸金属塩(C)の具体例としては、例えば、ラウリン酸リチウム塩、ラウリン酸ナトリウム塩、ラウリン酸カリウム塩;ミリスチン酸リチウム塩、ミリスチン酸ナトリウム塩、ミリスチン酸カリウム塩;パルミチン酸リチウム塩、パルミチン酸ナトリウム塩、パルミチン酸カリウム塩、ステアリン酸リチウム塩、ステアリン酸ナトリウム塩、ステアリン酸カリウム塩;イソステアリン酸リチウム塩、イソステアリン酸ナトリウム塩、イソステアリン酸カリウム塩;ベヘン酸リチウム塩、ベヘン酸ナトリウム塩、ベヘン酸カリウム塩;ジラウリン酸マグネシウム塩、ジラウリン酸カルシウム塩、ジラウリン酸バリウム塩;ジミリスチン酸マグネシウム塩、ジミリスチン酸カルシウム塩、ジミリスチン酸酸バリウム塩;ジパルミチン酸マグネシウム塩、ジパルミチン酸カルシウム塩、ジパルミチン酸バリウム塩;ジステアリン酸マグネシウム塩、ジステアリン酸カルシウム塩、ジステアリン酸バリウム塩;ジイソステアリン酸マグネシウム塩、ジイソステアリン酸カルシウム塩、ジイソステアリン酸バリウム塩;ジベヘン酸マグネシウム塩、ジベヘン酸カルシウム塩、ジベヘン酸バリウム塩;パルミチン酸ステアリン酸マグネシウム塩、パルミチン酸ステアリン酸カルシウム塩、パルミチン酸ステアリン酸バリウム塩等が挙げられる。このうち特に好ましいものはステアリン酸のアルカリ土類金属塩であり、最も好ましいのはジステアリン酸マグネシウム塩である。なお、市販のジステアリン酸マグネシウム塩などは、一部未反応の水酸化ステアリン酸マグネシウム塩が不純物として混ざっているが、差し支えない。
高級脂肪酸金属塩(C)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
高級脂肪酸金属塩(C)の含有量(重量%)は、弾性繊維用油剤全体に対し、好ましくは0.05〜10重量%であり、さらに好ましくは0.1〜4重量%である。
これら範囲であると、膠着防止性が良好であり、11〜22dtx等の細糸を後加工する際でも糸切れなどの問題が生じる恐れがない。
本発明の弾性繊維用油剤において、必須成分のベースオイル(A)、有機リン酸エステル化合物(B)、高級脂肪酸金属塩(C)以外に、他の成分を含有させてもよい。
たとえば、膠着防止性、解舒安定性を更に向上させる目的で、シリコーンレジン(D)を添加することができる。
このようなシリコーンレジン(D)としては、分子内に3官能性シロキサン単位、あるいは4官能性シロキサン単位を含有するポリオルガノシロキサン等が挙げられ、例えば、分岐度の高い三次元構造の固体ポリマー[例えば、一般式(4)で表される1官能性シロキサン単位(M単位)と一般式(5)で表される4官能性シロキサン単位(Q単位)を主構成成分とするMQレジン,一般式(6)で表される2官能性シロキサン単位(D単位)と一般式(7)で表される3官能性シロキサン単位(T単位)を主構成成分として含むDTレジン、T単位のみからなるポリオルガノシルセスキオンサン等]が挙げられ、シリコーンレジン(D)を添加することで、膠着防止性、解舒安定性が更に向上することが出来る。
Figure 2008133548
Figure 2008133548
Figure 2008133548
Figure 2008133548
ここで式中の、R4 5 、R6 は炭素数1〜10のアルキル基または一部置換されていても良い炭素数6〜36のアリル基を表す。
4、R5 、R6 がアルキル基の場合は、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、イソデシル基等)が挙げられる。また、アリル基の場合は、炭素数6〜36のアリル基(フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナンチオ基等)であり、その一部がアルキル基、ハロゲン基、水酸基などで置換されていて
もよい。フェノール、1−ナフトール、2−ナフトールなどが挙げられる。
4 、R5 、R6 のうち好ましくは、平滑性の観点から、炭素数1〜5の直鎖アルキル基およびフェニル基である。
シリコーンレジン(D)のうち、膠着防止性の観点から好ましいものは、M単位とQ単位を主構成成分としたMQレジンであり、その主構成成分であるM単位/Q単位の比が0.5〜1.3であり、更に好ましくは0.6〜1.0である。
M単位/Q単位の比が0.5未満の場合、分子内の架橋度が大きくなりすぎ、ベースオイルとの相溶性が悪くなり、糸への付着ムラが生じたりする問題が起こることがある。また、M単位/Q単位の比が1.3を超えると、分子内の架橋度が低くなり、十分な膠着防止性が発揮できなくなる。
シリコーンレジン(D)の含有量は、弾性繊維用油剤全体に対し、好ましくは0.1〜10重量%であり、更に好ましくは0.2〜5重量%である。
これら範囲であると、膠着防止性が良好であり、経日での弾性繊維用油剤全体の粘度上昇が小さく、11〜22dtx等の細糸を紡糸する際でも糸切れなどの問題が生じる恐れがない。
本発明の弾性繊維用油剤の25℃における濁度は、繊維への均一付着性、弾性繊維用油剤の経日安定性の観点から、通常20mg/L以下である。好ましくは15mg/L以下、特に好ましくは10mg/L以下である。濁度が20mg/Lを超えると、油剤安定性が悪くなり、繊維への均一付着性が困難となることがある。
本発明において濁度は、積分球式光電光度法(JIS K0101−1998、9.4.積分球濁度)で測定した値である。
本発明の弾性繊維用油剤の25℃における粘度は、通常1〜500mm2/sである。好ましくは2〜100mm2/sであり、さらに好ましくは3〜50mm2/sである。
これらの範囲であると、平滑性が良く、11〜22dtx等の細糸を紡糸する際でも糸切れなどの問題が生じる恐れがない。
本発明の弾性繊維用油剤は、必要によりさらに他の成分(E)を含有していてもよい。
(E)としては、例えば、高級脂肪酸金属塩(C)やシリコーンレジン(D)以外の膠着防止成分(E1)、制電成分(E2)、柔軟成分(E3)、およびこれら以外の添加剤(E4)が挙げられる。
高級脂肪酸金属塩(C)やシリコーンレジン(D)以外の膠着防止成分(E1)としては、例えば、タルク、シリカ、コロイダルアルミナ等の鉱物性固体微粒子、あるいはパラフィン、ポリエチレン等の常温固体ワックス、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。
制電成分(E2)としては、有機リン酸エステル化合物(B)、高級脂肪酸金属塩(C)として使用される以外の界面活性剤が使用され、アニオン界面活性剤(E21)、カチオン界面活性剤(E22)、両性界面活性剤(E23)が挙げられる。
アニオン界面活性剤(E21)としては、スルホン酸(塩)(E211)とカルボン酸塩(E212)などが挙げられる。
スルホン酸(塩)(E211)としては、例えば、炭素数1〜24のアルコールのスルホコハク酸(モノ、ジ)エステル(塩)、炭素数8〜14のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸(塩)等が挙げられる。
また、カルボン酸塩(E212)としては、例えば、オクチルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩、デシルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩、ラウリルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩、ドバノール23カルボキシメチル化ナトリウム塩およびトリデカノールカルボキシメチル化ナトリウム塩、オクチルアルコールEO3モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩、ラウリルアルコールEO4モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩、イソトリデシルアルコールEO3モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩、ドバノール23EO3モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩、トリデカノールEO5モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩、およびラウリルアルコールカルボキシメチル化物、ラウリルアルコールEO2.5モル付加物カルボキシメチル化物等のエーテルカルボン酸塩類などが挙げられる。
カチオン界面活性剤(E22)としては、第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤(E221)やアミン塩型カチオン界面活性剤(E222)が挙げられる。
このような第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤(E221)としては、アルキル(炭素数1〜30)トリメチルアンモニウム塩[例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムイソステアリン酸塩、ラウリルトリメチルアンモニウムカルボキシ変性シリコーン塩等)、ジアルキル(炭素数1〜30)ジメチルアンモニウム塩[例えば、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロマイド、ジデシルジメチルアンモニウムイソステアレート、ジ(ジデシルジメチルアンモニウム)アジペート、ジデシルジメチルアンモニウムカルボキシ変性シリコーン塩、ジデシルジメチルアンモニウムラウリルアルコールEO1〜5モル付加物のカルボキシメチル化物の塩等]などが挙げられる。
また、アミン塩型カチオン界面活性剤(E222)としては、アルキル(炭素数1〜30)トリメチルアンモニウム塩(例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムイソステアリン酸塩、ラウリルトリメチルアンモニウムカルボキシ変性シリコーン塩等);ジアルキル(炭素数1〜30)ジメチルアンモニウム塩[例えば、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロマイド、ジデシルジメチルアンモニウムイソステアレート、ジ(ジデシルジメチルアンモニウム)アジペート、ジデシルジメチルアンモニウムカルボキシ変性シリコーン塩、ジデシルジメチルアンモニウムラウリルアルコールEO1〜5モル付加物のカルボキシメチル化物の塩等]が挙げられる。
両性界面活性剤(E23)としては、ベタイン型両性界面活性剤(E231)やアミノ酸型両性界面活性剤(E232)が挙げられる。
このようなベタイン型両性界面活性剤(E231)としては、例えば、アルキル(炭素数1〜30)ジメチルベタイン、アルキル(炭素数1〜30)アミドアルキル(炭素数1〜4)ジメチルベタイン、アルキル(炭素数1〜30)ジヒドロキシアルキル(炭素数1〜30)ベタイン、スルホベタイン型両性界面活性剤等]などが挙げられる。
また、アミノ酸型両性界面活性剤(E232)としては、例えば、アラニン型[アルキル(炭素数1〜30)アミノプロピオン酸型、アルキル(炭素数1〜30)イミノジプロピオン酸型等]両性界面活性剤、グリシン型[アルキル(炭素数1〜30)アミノ酢酸型等]両性界面活性剤等)、スルホン酸塩型両性界面活性剤[アルキル(炭素数1〜30)タウリン型両性界面活性剤等]が挙げられる。
これらの制電成分(E2)のうち、好ましいものはエーテルカルボン酸塩(E212)および第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤(E221)である。
柔軟成分(E3)としては、例えば、エポキシ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、およびカルボキシル変性シリコーンが挙げられる。
上記以外の添加剤(E4)としては、通常、弾性繊維用油剤に使用される成分が使用でき、例えば、精練性向上剤としてラウリルアルコールのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール等のノニオン性界面活性剤や、酸化防止剤としてヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等、紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール等が挙げられる。
本発明の弾性繊維用油剤の製造方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
常温で固体である(B)を(A2)および(C)と一緒に撹拌装置のある槽に入れ、50〜120℃に加熱し、25℃における濁度が20mg/L以下になるまで撹拌する。その後、撹拌しながら(A1)を入れ、20〜40℃に冷却することで本発明の弾性繊維用油剤を得ることができる。
上記方法で得られた弾性繊維用油剤をそのまま本発明の弾性繊維用油剤とすることもできるが、必要によりその他の成分(E)を(A1)投入時に併せて添加し、本発明の弾性繊維用油剤としてもよい。
本発明の弾性繊維用油剤の粘度は、均一付着、ローラ巻き付き防止のために、25℃で1〜500mm2/sが好ましい。
粘度は以下の方法で測定する。
[粘度の測定方法]
試料弾性繊維用油剤を20gウベローデ粘度計に入れ、恒温水槽で25±0.5℃に試料油剤を温調する。30分後、ウベローデ法により粘度を測定する。
弾性繊維用油剤の付与形態は、通常非含水の状態で使用することができるが、必要に応じて水乳化物として使用してもよい。
非含水の状態とは、そのまま(ストレート給油)、または希釈剤(有機溶媒、低粘度鉱物油等)で希釈して使用することができる。希釈比率は特に限定されないが、油剤の重量[非揮発分の合計重量]は、希釈後の希釈油剤の全重量に基づいて、通常1〜80重量%、好ましくは5〜70重量%である。
有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール等の1価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール等の2価アルコール;ヘキサン、ペンタン等の脂肪族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の高極性溶媒;クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素等が挙げられ、これらは2種以上用いてもよい。
低粘度鉱物油としては、例えば、25℃における粘度が1mm2 /s未満の流動パラフィンや精製スピンドル油が挙げられる。
水乳化物の場合は、公知の方法で乳化することができるが、例えば、本油剤を必要に応じ乳化剤と混合し、水中に乳化することによって得ることができる。
乳化剤としては、例えば前述したアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が使用できる。
前記各成分に該当する以外の乳化剤を使用する場合の乳化剤の量(重量%)は、乳化剤配合後の油剤(非揮発分)の全質量に基づいて、好ましくは1〜50である。
乳化機としては、攪拌機を備えた乳化槽やボールミル、ガウリンホモジナイザー、ホモディスパーおよびビーズミル等を用いることができる。
エマルションの濃度は特に限定されないが、弾性繊維用油剤の重量(重量%)は、乳化後のエマルションの全質量に基づいて、好ましくは0.01〜30、さらに好ましくは0.2〜20である。
本発明の弾性繊維用油剤は弾性繊維の紡糸工程(例えば200〜1,200m/分)において、紡出後、糸が巻き取られるまでの任意の位置で、ノズル給油またはローラー給油で糸に付与させることができる。給油する弾性繊維用油剤の温度は通常10〜80℃、好ましくは15〜60℃である。
本発明の弾性繊維用油剤は、通常弾性繊維に対して、非揮発分として、好ましくは0.1〜10.0重量%、さらに好ましくは0.5〜8.0重量%、特に好ましくは1〜7重量%付与させる。
本発明の弾性繊維用油剤を適用できる弾性繊維としては、ポリウレタン弾性糸、ポリエステル弾性糸、ポリアミド弾性糸およびポリカーボネート弾性糸等が挙げられるが、とくにポリウレタン弾性糸に好適に使用できる。
本発明の弾性繊維用油剤を適用できる弾性繊維の維度は、特に限定されないが、通常10〜2500dtx、好ましくは11〜1870dtxである。
本発明の弾性繊維用油剤で処理されてなる弾性繊維は、後加工工程(例えばコアスパンヤーン工程、カバーリング工程、エアーカバーリング工程、丸編み工程、経編み工程、整経工程、精練工程、染色工程および仕上げ工程等)を経て最終製品に仕上げられる。
なお、弾性繊維は他の合成繊維、例えばナイロン繊維やポリエステル繊維と混紡して使用される。従って、本発明の弾性繊維用油剤は、付与された後、他の合成繊維の紡糸油剤と一緒に洗浄され、除去されることが多い。精練工程では、水系精練または溶剤精練が行われる。
最終製品としては、衣料用[例えばパンティーストッキング、靴下、インナーファンデーション(ブラジャー、ガードル、ボディースーツ等)、アウターウェア(ジャケット、スラックス等)、スポーツウェア(水着、レオタード、スキーズボン等)]および産業資材用(例えば紙おむつ、ベルト等)等に広く適用できる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、文中および表中の部は重量部を表す。
油剤の配合
表1記載の配合処方に従い、各成分を下記の方法で配合して、本発明および比較例の弾性繊維用油剤を調製した。
なお、表1の配合に記載した各成分は以下の通りである。
・ポリジメチルシロキサン:KF96−10CS(信越化学工業株式会社製:粘度10mm2/s(25℃))
・流動パラフィン:流パン60S(三光化学株式会社製:粘度15mm2/s(25℃))
・有機リン酸エステル化合物−1:イソステアリルホスフェート(モル比でモノエステル体/ジエステル体=1/1)
・有機リン酸エステル化合物−2:イソトリデシルホスフェート(モル比でモノエステル体/ジエステル体=1/2)
・有機リン酸エステル化合物ナトリウム塩:イソステアリルホスフェートナトリウム塩(モル比でモノエステル体/ジエステル体=1/1)
・シリコーンレジン:MQレジン(M単位/Q単位比=0.8、重量平均分子量2500)
・制電成分として添加する界面活性剤(E22):ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸(EO2.5モル付加物)のジデシルジメチルアンモニウム塩
Figure 2008133548
実施例1
ステアリン酸マグネシウム0.5重量部、イソステアリルホスフェート(モル比でモノエステル体/ジエステル体=1/1)1重量部および流動パラフィン48.5重量部を70〜90℃で1時間混合した。その後、ポリジメチルシロキサン50重量部を加え、30℃に冷却、実施例1の弾性繊維用油剤を調整した。
実施例2
ステアリン酸マグネシウム0.5重量部、イソステアリルホスフェート(モル比でモノエステル体/ジエステル体=1/1)1重量部および流動パラフィン46.5重量部を70〜90℃で1時間混合した。その後、ポリジメチルシロキサン50重量部シリコーンレジン2重量部を加え、30℃に冷却、実施例2の弾性繊維用油剤を調整した。
実施例3
ステアリン酸マグネシウム1重量部、イソステアリルホスフェート(モル比でモノエステル体/ジエステル体=1/1)0.5重量部、イソトリデシルホスフェート(モル比でモノエステル体/ジエステル体=1/2)0.5重量部および流動パラフィン461重量部を70〜90℃で1時間混合した。その後、ポリジメチルシロキサン50重量部、シリコーンレジン2重量部を加え、30℃に冷却、実施例3の弾性繊維用油剤を調整した。
実施例4
ステアリン酸マグネシウム1重量部、イソステアリルホスフェート(モル比でモノエステル体/ジエステル体=1/1)1重量部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸(EO2.5モル付加物)のジデシルジメチルアンモニウム塩1重量部、および流動パラフィン45.5重量部を70〜90℃で1時間混合した。その後、ポリジメチルシロキサン50重量部、シリコーンレジン2重量部%を加え、30℃に冷却、実施例4の弾性繊維用油剤を調整した。
比較例1
ステアリン酸マグネシウム0.5重量部および流動パラフィン49.5重量部を70〜90℃で1時間混合した。その後、ポリジメチルシロキサン50重量部を加え、30℃に冷却、比較例1の弾性繊維用油剤を調整した。
比較例2
ステアリン酸マグネシウム0.5重量部%、イソステアリルホスフェートナトリウム塩(モル比でモノエステル体/ジエステル体=1/1)1重量部および流動パラフィン48.5重量部を70〜90℃で1時間混合した。その後、ポリジメチルシロキサン50重量部を加え、30℃に冷却、比較例2の弾性繊維用油剤を調整した。
比較例3
ステアリン酸マグネシウム1重量部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸(EO2.5モル付加物)のジデシルジメチルアンモニウム塩1重量部%、および流動パラフィン46重量部を70〜90℃で1時間混合した。その後、ポリジメチルシロキサン50重量部%、シリコーンレジン2重量部を加え、30℃に冷却、比較例3の弾性繊維用油剤を調整した。
ポリウレタン繊維の乾式紡糸法において、表1の実施例と比較例の弾性繊維用油剤をローラー給油で弾性繊維用油剤付着量がフィラメント重量に対し4重量%になるよう付与させ、600m/分でチーズに巻き取り、44dtxのポリウレタン繊維を得た。
さらに、弾性繊維用油剤の経日安定性試験、膠着性試験、解舒安定性試験を行なった。その性能評価結果を併せて表1に示す。
また、前記の方法でウベローデ粘度計にて測定した25℃における弾性繊維用油剤の粘度、および日本電色工業株式会社製のWater Analyzer−2000にて測定した25℃における弾性繊維用油剤の濁度を表1に示す。
実施例および比較例で得られた弾性繊維用油剤の粘度の測定方法、濁度の測定方法、経日安定性試験、弾性繊維用油剤を付着した糸の膠着性試験法、解舒安定性試験法は以下の通りである。
<粘度の測定方法>
試料弾性繊維用油剤を20gウベローデ粘度計に入れ、恒温水槽で25℃に試料弾性繊維用油剤を温調する。30分後、ウベローデ法により粘度を測定する。
<濁度の測定方法>
25℃に温調した試料弾性繊維用油剤を長さ10mmのセルに入れて、日本電色工業株式会社製のWater Analyzer−2000を使って、積分球式光電光度法で測定した。
<弾性繊維用油剤の経日安定性試験>
調整した弾性繊維用油剤100gを、145mlガラス製ボトルに入れ、5℃、25℃、50℃の恒温槽中に30日間静置した後、弾性繊維用油剤の外観を肉眼で観察し、調整直後の弾性繊維用油剤の外観と比較し、次の基準で判定した。
−判定基準−
○:変化無し。
△:層分離や沈降物の発生はないが、弾性繊維用油剤調整直後よりカスミ度合いが強い。
×:層分離や沈降物が発生。
<膠着性試験>
紡糸工程で巻き取ったチーズを50℃で2週間エージングを行った繊維を用い、可変倍率(引き出し速度と巻き取り速度との比率の変更が可能)の引き出し巻き取り装置にかけ、50m/分の速度で糸を送り出した時、糸が膠着により巻き込まれずに巻き取ることのできる最低の速度倍率を求め、次の基準で判定した。
−判定基準−
◎:速度倍数が 50倍以上、80倍未満
○:速度倍数が 80倍以上100倍未満
×:速度倍数が 100倍以上
<解舒安定性試験>
紡糸工程で巻き取ったチーズを用い、エアーカバリング装置にかけ(解舒速度:150m/min、巻き取り速度:450m/min)1時間当たりの糸切れ回数を測定し、次の基準で判定した。
−判定基準−
○:1回以下
△:2〜5回
×:6回以上
表1から明らかなように、本発明で規定した範囲の濁度を有する弾性繊維用油剤(実施例1〜4)は、弾性繊維用油剤の経日安定性、膠着防止性、解舒安定性に優れていることが判る。それに対し、比較例1〜3の中には性能項目をすべて満たすものはない。
本発明の弾性繊維用油剤は、弾性繊維用油剤の経日安定性、および繊維同士の膠着防止性、解舒安定性が優れており、弾性繊維の生産から後加工工程において断糸等のトラブル発生を減らすことができ、特に細デシテックス繊維の高速紡糸工程に好適である。

Claims (9)

  1. シリコーンオイル(A1)および/又は炭化水素系潤滑油(A2)からなるベースオイル(A)、下記一般式(1)で示される有機リン酸エステル化合物(B)、および高級脂肪酸金属塩(C)を必須成分とし、25℃における濁度(JIS K0101−1998、9.4.積分球濁度)が20mg/L以下であることを特徴とする弾性繊維用油剤。
    Figure 2008133548
    (式中、R1 は炭素数1〜30の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、または一部置換されていてもよい炭素数6〜36のアリル基;Aは炭素数2〜4のアルキレン基;mは0または1〜10の整数;qとrはそれぞれ独立に1または2であって、かつq+r=3を満足する整数を表す。)
  2. 弾性繊維用油剤全体に対し、該ベースオイル(A)の含有量が80〜99.94重量%、該有機リン酸エステル化合物(B)の含有量が0.01〜10重量%、かつ該高級脂肪酸金属塩(C)の含有量が0.05〜10重量%である請求項1記載の弾性繊維用油剤。
  3. 該有機リン酸エステル化合物(B)が、下記一般式(2)で示される有機リン酸モノエステル化合物(B1)および/または下記一般式(3)で示される有機リン酸ジエステル化合物(B2)である請求項1または2記載の弾性繊維用油剤(C)。
    Figure 2008133548
    Figure 2008133548
    (式中、R23はそれぞれ独立に、炭素数1〜30の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、又は一部置換されていてもよい炭素数6〜36のアリル基;Aは炭素数2〜4のアルキレン基;mは0又は1〜10の整数を表す。)
  4. 該有機リン酸モノエステル化合物(B1)と該有機リン酸ジエステル化合物(B2)との重量モル比(B1)/(B2)が10/90〜90/10である請求項1〜3のいずれか記載の弾性繊維用油剤(C)。
  5. 該高級脂肪酸金属塩(C)がステアリン酸のアルカリ土類金属塩である請求項1〜4のいずれか記載の弾性繊維用油剤。
  6. さらに、シリコーンレジン(D)を0.1〜10重量%含有する請求項1〜5のいずれか記載の弾性繊維用油剤。
  7. 該シリコーンレジン(D)が、一般式(4)で表されるシロキサン単位(M単位)と一般式(5)で表されるシロキサン単位(Q単位)を主構成成分とし、該シリコーンレジンのM単位とQ単位の比が0.5〜1.3である請求項1〜6のいずれか記載の弾性繊維用油剤。
    Figure 2008133548
    (式中、R4 〜R6は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基、または一部置換されていてもよい炭素数6〜36のアリル基を表す。)
    Figure 2008133548
  8. 請求項7のいずれかに記載の弾性繊維用油剤を紡糸工程で、弾性繊維に対して0.1〜10.0重量%付与する弾性繊維の処理方法。
  9. 請求項8記載の処理方法により処理されてなる弾性繊維。
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