JP6910679B1 - 巻き取り速度が1000m/min以上のエラストマー繊維高速紡糸工程用処理剤、及びエラストマー繊維の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
上記巻き取り速度が1000m/min以上のエラストマー繊維高速紡糸工程用処理剤は、前記エラストマー繊維が、ポリウレタン系エラストマー繊維であることが好ましい。
本発明に係る巻き取り速度が1000m/min以上のエラストマー繊維高速紡糸工程用処理剤(以下、単に処理剤ともいう。)を具体化した第1実施形態について説明する。
上記ジメチルシリコーンの具体例としては、例えば25℃における動粘度が10mm2/sであるジメチルシリコーン、25℃における動粘度が100mm2/sであるジメチルシリコーン、25℃における動粘度が1000mm2/sであるジメチルシリコーン、25℃における動粘度が6mm2/sであるジメチルシリコーン、25℃における動粘度が5mm2/sであるジメチルシリコーン等が挙げられる。
上記シリコーンレジンとしては、特に制限はないが、下記の化1で示されるM単位、下記の化2で示されるシロキサン単位、下記の化3で示されるQ単位、及び下記の化4で示されるシロキサン単位から選ばれる2つ以上の構成単位から構成されていることが好ましい。
R7:水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基、炭素数4〜22の1〜4価の脂肪族カルボン酸から一つの水酸基を除いた残基、又は炭素数6〜22の1〜4価の芳香族カルボン酸から一つの水酸基を除いた残基。
上記化2のR7−NH(−R6−NH)f−R5−としては、下記の(1)〜(10)を挙げることができる。
(2)fが0であってR7が炭素数1〜5のアルキル基である置換イミノアルキル基。
(3)fが0であってR7がフェニル基であるN−フェニルイミノアルキル基。
(5)fが0であってR7が炭素数6〜22の1〜4価の芳香族カルボン酸から一つの水酸基を除いた残基であるN−置換芳香族アミドアルキル基。
(7)fが1であってR7が炭素数1〜5のアルキル基である置換イミノアルキルイミノアルキル基。
(9)fが1であってR7が炭素数4〜22の1〜4価の脂肪族カルボン酸から一つの水酸基を除いた残基であるN−置換脂肪族アミドアルキルイミノアルキル基。
上記(1)のアミノアルキル基としては、例えばアミノエチル基、3−アミノプロピル基、4−アミノブチル基等が挙げられる。
上記(3)のN−フェニルイミノアルキル基としては、例えばN−フェニル−3−イミノプロピル基、N−フェニル−2−イミノエチル基等が挙げられる。
上記処理剤に含まれる鉱物油としては、特に制限はないが、例えば芳香族系炭化水素、パラフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素等が挙げられる。より具体的には、例えばスピンドル油、流動パラフィン等が挙げられる。
上記鉱物油の具体例としては、例えば40℃における動粘度が10mm2/sである鉱物油、40℃における動粘度が5mm2/sである鉱物油、40℃における動粘度が7mm2/sである鉱物油等が挙げられる。
上記鉱物油は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
アミノ基を有する変性シリコーンの具体例としては、例えば25℃における動粘度が60mm2/sであり、当量が4100g/molであるモノアミン型のアミノ変性シリコーン、25℃における動粘度が90mm2/sであり、当量が8800g/molであるモノアミン型のアミノ変性シリコーン、25℃における動粘度が450mm2/sであり、当量が5700g/molであるジアミン型のアミノ変性シリコーン等が挙げられる。
(第2実施形態)
本発明に係るエラストマー繊維を具体化した第2実施形態について説明する。本実施形態のエラストマー繊維は、第1実施形態の処理剤が付着しているエラストマー繊維である。エラストマー繊維に対する第1実施形態の処理剤(溶媒を含まない)の付着量は、特に制限はないが、本発明の効果をより向上させる観点から0.1〜10質量%の割合で付着していることが好ましい。
(1)ジメチルシリコーン、シリコーンレジン、鉱物油、及びアミノ基を有する変性シリコーンの含有割合の合計を100質量%とすると、前記ジメチルシリコーンを70〜97質量%、前記シリコーンレジンを0.1〜10質量%、前記鉱物油を0〜10質量%、及び前記変性シリコーンを2〜5質量%の割合で含有し、30℃における動粘度が8〜70mm2/sである。
本実施形態の処理剤には、本発明の効果を阻害しない範囲内において、処理剤の品質保持のための安定化剤や制電剤、帯電防止剤、つなぎ剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の通常処理剤に用いられる成分(以下、その他成分ともいう。)をさらに配合してもよい。
試験区分1(巻き取り速度が1000m/min以上のエラストマー繊維高速紡糸工程用処理剤の調製)
(実施例1、3〜5、8、参考例1〜10、及び比較例1〜10)
以下の方法により、表1に示すシリコーンレジン(B1)を合成した。
表1に示される各成分を使用し、ジメチルシリコーン(A1)、ジメチルシリコーン(A2)、シリコーンレジン(B1)、鉱物油(C1)、及びアミノ変性シリコーン(D1)がそれぞれ、83質部、10質量部、0.1質量部、4.9質量部、及び2質量部となるようにビーカーに加えた。これらをよく撹拌して均一に混合し、実施例1の巻き取り速度が1000m/min以上のエラストマー繊維高速紡糸工程用処理剤を調製した。
A1:25℃における動粘度が10mm2/sであるジメチルシリコーン
A2:25℃における動粘度が100mm2/sであるジメチルシリコーン
A3:25℃における動粘度が1000mm2/sであるジメチルシリコーン
A4:25℃における動粘度が6mm2/sであるジメチルシリコーン
A5:25℃における動粘度が5mm2/sであるジメチルシリコーン等が挙げられる。
B1:質量平均分子量が12000であり、MQ比が0.8であるメチルシリコーンレジン
B2:質量平均分子量が16000であり、MQ比が0.8であるアミノ変性シリコーンレジン
B3:質量平均分子量が9000であり、MQ比が0.85であるメチルシリコーンレジン
B4:質量平均分子量が16000であり、MQ比が0.91であるアミノ変性シリコーンレジン
MQ比の算出方法について説明する。
MQ比=M単位のモル数/Q単位のモル数
M単位:化1で示される化合物
Q単位:化3で示される化合物
シリコーンレジンの質量平均分子量(以下、「Mw」という。)の測定方法について説明する。
また、測定用カラムとして、TSKguardcolumn SuperH−L、TSKgel SuperH4000、TSKgel Super3000、TSKgel Super2000を装着した東ソー社製HLC−8320GPCを使用した。
(鉱物油(C))
C1:40℃における動粘度が10mm2/sである鉱物油
C2:40℃における動粘度が5mm2/sである鉱物油
C3:40℃における動粘度が7mm2/sである鉱物油
(アミノ変性シリコーン(D))
D1:25℃における動粘度が60mm2/sであり、当量が4100g/molであるモノアミン型のアミノ変性シリコーン
D2:25℃における動粘度が90mm2/sであり、当量が8800g/molであるモノアミン型のアミノ変性シリコーン
D3:25℃における動粘度が450mm2/sであり、当量が5700g/molであるジアミン型のアミノ変性シリコーン
(その他成分(E))
E1:25℃における動粘度が1000mm2/sであり、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのモル比(EO:PO)が1:1であるエーテル変性シリコーン
巻き取り速度が1000m/min以上のエラストマー繊維高速紡糸工程用処理剤の動粘度は、キャノンフェンスケ粘度計を用いて、30℃の条件下で公知の方法によって測定した。同様に、鉱物油の動粘度は、キャノンフェンスケ粘度計を用いて、40℃の条件下で公知の方法によって測定した。ジメチルシリコーン、アミノ変性シリコーン、及びその他成分の動粘度は、キャノンフェンスケ粘度計を用いて、25℃の条件下で公知の方法によって測定した。
試験区分1で調製した処理剤を用いて、エラストマー繊維を製造した。
分子量1000のポリテトラメチレングリコールとジフェニルメタンジイソシアネートとから得られたポリウレタン系エラストマーを溶融紡糸し、ポリウレタン系エラストマー繊維を得た。
実施例1、3〜5、8、参考例1〜10、及び比較例1〜10の処理剤について、処理剤を付着させたエラストマー繊維の油剤飛散性、形状保持性、油剤均一付着性、及び解舒性を評価した。各試験の手順について以下に示す。また、試験結果を表1の「油剤飛散性」欄、「形状保持性」欄、「油剤均一付着性」、及び「解舒性」欄にそれぞれ示す。
試験区分2で、巻き取り速度500m/min、1000m/min、3000m/minの3種類の条件でポリウレタン系エラストマー繊維を製造した際に、巻取機付近の処理剤の飛散量を目視で観察して、以下の基準で評価した。
◎:飛散が観察されなかった場合
○:僅かに飛散が観察された場合
×:かなりの飛散が観察された場合
(形状保持性)
150デニールのポリウレタン系エラストマー繊維を紡糸し、ガイド給油法にて処理剤を4.0質量%付着させた。巻き取り速度が500m/min、1000m/min、3000m/minの3種類の条件で巻き取った。
・形状保持性の評価基準
◎:バルジが3mm未満である場合
○:バルジが3mm以上、且つ6mm未満である場合
×:バルジが6mm以上である場合
(油剤均一付着性)
摩擦測定メーター(エイコー測器社製、SAMPLEFRICTION UNIT MODEL TB−1)を用いた。2つのフリーローラー間に直径1cmで表面粗度2Sのクロムメッキ梨地ピンを配置した。
◎:標準偏差が1.5未満である場合
○:標準偏差が1.5以上2.0未満である場合
×:標準偏差が2.0以上でる場合
なお、標準偏差が1.5未満である場合は、油剤が均一に付着しており、繊維がクロムメッキ梨地ピンと擦過した際に張力変動が少ない。
標準偏差が2.0以上である場合は、油剤が均一に付着しておらず、繊維がクロムメッキ梨地ピンと擦過した際に張力変動が大きく操業に問題が生じる。
第1駆動ローラーとこれに常時接する第1遊離ローラーとで送り出し部を形成した。また、第2駆動ローラーとこれに常時接する第2遊離ローラーとで巻き取り部を形成した。送り出し部と巻き取り部の間隔を、水平方向に沿って約20cmとした。
・解舒性の評価基準
◎(良好):解舒性が120%未満
○(可):解舒性が120%以上、140%未満
×(不良):解舒性が140%以上
なお、解舒性の評価基準において、解舒性が120%未満であると、糸切れの発生は無く、安定した状態で解舒することが可能になる。解舒性が120%以上、140%未満であると、糸の引き出しに若干の抵抗があるものの、糸切れの発生は無く、操業に問題はない。解舒性が140%以上であると、糸の引き出し時の抵抗がより大きくなり、糸切れも発生して操業に問題が生じる。
Claims (5)
- ジメチルシリコーン、シリコーンレジン、鉱物油、及びアミノ基を有する変性シリコーンの含有割合の合計を100質量%とすると、前記ジメチルシリコーンを70〜97質量%、前記シリコーンレジンを0.1〜10質量%、前記鉱物油を0〜10質量%、及び前記変性シリコーンを2〜5質量%の割合で含有し、30℃における動粘度が8〜70mm2/sであることを特徴とする巻き取り速度が1000m/min以上のエラストマー繊維高速紡糸工程用処理剤。
- 30℃における動粘度が、8〜40mm2/sである請求項1に記載の巻き取り速度が1000m/min以上のエラストマー繊維高速紡糸工程用処理剤。
- 前記エラストマー繊維が、ポリウレタン系エラストマー繊維である請求項1又は2に記載の巻き取り速度が1000m/min以上のエラストマー繊維高速紡糸工程用処理剤。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の巻き取り速度が1000m/min以上のエラストマー繊維高速紡糸工程用処理剤を巻き取り速度が1000m/min以上の紡糸工程でエラストマー繊維に付着させることを特徴とするエラストマー繊維の製造方法。
- 前記紡糸工程での巻き取り速度が、1000〜10000m/minである請求項4に記載のエラストマー繊維の製造方法。
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