JP4350621B2 - 繊維製品処理剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維製品処理剤組成物に関する。
従来、繊維工業分野において、アミノ変性シリコーン化合物を繊維のコンディショニング剤として用いることは知られている。又、非イオン性界面活性剤を併用することも知られており、2種類のHLBを有する非イオン性界面活性剤を併用する技術も開示されている。
例えば、特許文献1〜3には、アミノ変性シリコーンを用いたマイクロエマルションの製造方法に関する技術が開示されている。特許文献4には、アミノ変性シリコーンと非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を併用する繊維処理剤の技術が開示されている。特許文献5には、アミノ変性シリコーン、2種類のHLBを有する非イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤を併用するマイクロエマルションの技術が開示されている。特許文献6には、アミノ変性シリコーン、及びHLBが15未満とHLBが15以上の非イオン性界面活性剤を併用する技術が開示されている。特許文献7〜8には、シリコーンマイクロエマルションの製造方法に関する技術が記載されている。特許文献9には、アミノ変性シリコーンを用いたマイクロエマルションの製造方法に関する技術が開示されている。
特開平6−170212号公報 特開平8−73748号公報 特開2002−80603号公報 特開2003−3378号公報 特開平3−170557号公報 特開2001−49582号公報 特開2002−348474号公報 特開平1−293131号公報 特開平9−53016号公報
アミノ変性シリコーン化合物に非イオン性界面活性剤を併用した繊維処理剤において、HLBの高い非イオン性界面活性剤を用いた場合、滑らかな風合いは付与できるが、貯蔵安定性は不十分であった。一方、HLBの低い非イオン性界面活性剤を用いた場合、貯蔵安定性は改善されるが、滑らかな風合いが低下するという問題があった。上記の特許文献にはこのような問題を解決する技術は何ら示唆されていない。
即ち、特許文献1は、中性で微細なエマルションの製法に関する技術であり、特許文献2は、貯蔵安定性や透明性に優れた繊維処理剤に有用なマイクロエマルションの製法に関する技術であり、特許文献3は、線状ポリシロキサンを含むマイクロエマルションの製法に関する技術である。特許文献9は、希釈安定性などを有するマイクロエマルション型の繊維処理剤に関する技術である。
特許文献4及び5には、高剪断力に対する安定性について記載されているが、貯蔵安定性については記載されていない。特許文献6には、防縮加工剤として有用な羊毛処理剤に関する技術が記載されており、滑らかな風合いと貯蔵安定性を付与する技術については何ら示唆されていない。また、イオン性物質に対する安定性について記載されているが、貯蔵における安定性については記載されていない。また特許文献7〜8の技術は、透明で安定なマイクロエマルションに関するものであるが、これらの実施例にはアミノ変性シリコーンに関する技術は何ら記載されていない。
本発明の課題は、衣料等の繊維製品に滑らかな風合いを付与し、かつ、貯蔵安定性も良好である繊維製品処理剤組成物を提供することにある。
本発明は、下記(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有し、(a)成分のアミノ変性シリコーン化合物の中和度が0.4以上1.0以下である繊維製品処理剤組成物を提供する。
(a):25℃での動粘度が100〜20000mm2/s、アミノ当量400〜8000のアミノ変性シリコーン化合物
(b):HLB5〜12のポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤
(c):一般式(1)で表される非イオン性界面活性剤
1−O−[(EO)m/(PO)n]−H (1)
〔式中、R1は炭素数8〜16のアルキル基又はアルケニル基、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を示す。m及びnはそれぞれEO及びPOの平均付加モル数を示し、mは2〜14、nは1〜4である。(EO)m/(PO)nはEOとPOのランダム付加体でもブロック付加体でも何れでもよく、EOとPOの付加順序は問わない。〕
本発明の繊維製品処理剤組成物は、衣料等の繊維製品に滑らかな風合いを付与することができ、かつ、貯蔵安定性が良好である。
[(a)成分]
(a)成分のアミノ変性シリコーン化合物は、25℃での動粘度が100〜20000mm2/s、アミノ当量が400〜8000である。25℃での動粘度はオストワルト型粘度計で求めることができ、性能の点から100mm2/s以上が好ましく、性能及び安定性の点から20000mm2/s以下が好ましく、より好ましくは200〜10000mm2/s、特に好ましくは500〜5000mm2/sである。また、アミノ当量は、性能の点から好ましくは400〜8000、より好ましくは600〜5000、特に好ましくは800〜3000である。尚、アミノ当量は、窒素原子1つ当りの分子量で、アミノ当量=分子量/窒素原子数で求められる。ここで分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーでポリスチレンを標準として求めた値であり、窒素原子数は元素分析法により求めることができる。
(a)成分の具体例として、一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0004350621
〔式中、R2aは炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシ基、炭素数1〜3のアルコキシ基又は水素原子から選ばれる基を示し、R2bは炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシ基又は水素原子から選ばれる基を示し、Bは少なくとも一つのアミノ基を有する側鎖を示し、R2cは炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を示す。c及びdはそれぞれ平均重合度を示し、該化合物の25℃の動粘度及びアミノ当量が上記範囲になるように選ばれる。尚、R2a、R2b、R2cはそれぞれ同一でも異なっていても良く、また複数個のR2bは同一でも異なっていても良い。〕
一般式(2)の化合物において、R2aはメチル基又はヒドロキシ基が好ましく、R2bはメチル基又はヒドロキシ基が好ましく、R2cはメチル基又は水素原子が好ましい。cは10〜10,000の数が好ましく、20〜3,000の数が更に好ましい。dは1〜1,000の数が好ましく、1〜100の数が更に好ましい。一般式(2)の化合物の重量平均分子量は、好ましくは2,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜100,000、特に好ましくは8,000〜50,000である。ここで、重量平均分子量はポリスチレンを標準としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めることができる。
一般式(2)において、アミノ基を有する側鎖Bとしては、下記のものを挙げることができる。
−C36−NH2
−C36−NH−C24−NH2
−C36−NH−[C24−NH]e−C24−NH2
−C36−NH(CH3)
−C36−NH−C24−NH(CH3)
−C36−NH−[C24−NH]f−C24−NH(CH3)
−C36−N(CH3)2
−C36−N(CH3)−C24−N(CH3)2
−C36−N(CH3)−[C24−N(CH3)]g−C24−N(CH3)2
−C36−NH−cyclo−C511
ここで、e、f、gはそれぞれ1〜30の数である。
(a)成分は、例えば、一般式(3)で表されるオルガノアルコキシシランを過剰の水で加水分解して得られた加水分解物と、ジメチルシクロポリシロキサンとを水酸化ナトリウムのような塩基性触媒を用いて、80〜110℃に加熱して平衡反応させ、反応混合物が所望の粘度に達した時点で酸を用いて塩基性触媒を中和することにより製造することができる。(特開昭53−98499号参照)
2N(CH2)2NH(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2 (3)
本発明で用いることができる(a)成分としては、GE東芝シリコーン(株)製のTSF4703(粘度1000mm2/s(25℃)、アミノ当量1600)、TSF4708(粘度1000mm2/s(25℃)、アミノ当量2800)、日本ユニカー(株)製のSS−3551(粘度1000mm2/s(25℃)、アミノ当量1600)FZ−3705(粘度250mm2/s(25℃)、アミノ当量4000)、FZ−319(粘度2000mm2/s(25℃)、アミノ当量4000)、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製のSF8451C(粘度600mm2/s(25℃)、アミノ当量1700)、SF8452C(粘度700mm2/s(25℃)、アミノ当量6400)、SF8457C(粘度1200mm2/s(25℃)、アミノ当量1800)、SF8417(粘度1200mm2/s(25℃)、アミノ当量1800)、BY16−849(粘度1300mm2/s(25℃)、アミノ当量600)、BY16−850(粘度1100mm2/s(25℃)、アミノ当量1100)、BY16−892(粘度1100mm2/s(25℃)、アミノ当量2000)、BY16−897(粘度900mm2/s(25℃)、アミノ当量2900)、BY16−898(粘度1300mm2/s(25℃)、アミノ当量2900)、信越化学工業(株)製のKF857、KF858、KF859、KF862、KF8001、KF880、KF−864(粘度1700mm2/s(25℃)、アミノ当量3800)、旭化成ワッカーシリコーン(株)製のWR300(粘度600mm2/s(25℃)、アミノ当量3300)、WR1600(粘度1000mm2/s(25℃)、アミノ当量1700)、WT1650(粘度1000mm2/s(25℃)、アミノ当量1700)等を挙げることができる。
また、(a)成分としては、着色及び風合いの観点から、アミノ基を有する側鎖Bが−C36−NH2で表される化合物〔以下、(a1)成分という〕が好適である。(a1)成分としては、信越化学工業(株)製のKF−864(粘度1700mm2/s(25℃)、アミノ当量3800)、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製のBY16−897(粘度900mm2/s(25℃)、アミノ当量2900)、BY16−898(粘度1300mm2/s(25℃)、アミノ当量2900)を挙げることができる。
[(b)成分]
(b)成分の非イオン性界面活性剤は、HLB5〜12のポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤であり、好ましくはHLB6〜11のポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤である。(b)成分としては、アルキル基の炭素数が10〜18でオキシエチレン基の数平均付加モル数が2〜9のポリオキシエチレンアルキルエーテルが好適であり、中でも、アルキル基の炭素数が10〜14でオキシエチレン基の数平均付加モル数が2〜6のポリオキシエチレンアルキルエーテルが更に好適である。尚、本発明において、HLBはグリフィン法で算出されるHLBである。
[(c)成分]
(c)成分の非イオン性界面活性剤は、上記一般式(1)で表される化合物である。一般式(1)において、R1は平均炭素数10〜14のアルキル基が好ましい。mは4〜12が好ましい。nは1〜2が好ましい。(EO)m/(PO)nは、EOとPOのランダム付加体でも、あるいはEOを付加した後、POを付加したブロック付加体またはその逆のブロック付加体でもよい。
(c)成分は、通常市販されているものを使用してもよく、また周知の方法で合成された、もしくは天然油脂から誘導されたR1のアルキル基又はアルケニル基を有するアルコールにエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドを公知の方法で付加することによって製造することができる。
特に(c)成分としては、一般式(4)で表される非イオン性界面活性剤が、より優れた安定性を得る観点から好ましい。
1O(EO)p(PO)q(EO)rH (4)
〔式中、R1、EO及びPOは前記の意味を示す。p、q及びrはそれぞれ平均付加モル数を示し、p>0、q=1〜4、r>0、p+q+r=6〜14、p+r=5〜12であり、好ましくは、p+q+r=7〜14、p+r=6〜12、q=1〜2である。また、EO,PO,EOはこの順にブロック付加している。〕
一般式(4)で表される非イオン性界面活性剤は、周知の方法で合成された、もしくは天然油脂から誘導されたR1のアルキル基又はアルケニル基を有するアルコールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの順序で付加した後、再度エチレンオキサイドを付加することで合成される。
[繊維製品処理剤組成物]
本発明の組成物は、(b)成分と(c)成分を併用することにより、(a)成分の乳化安定性を向上させるだけでなく、希釈時に(a)成分の性能を高めることが可能となる。
本発明の繊維製品処理剤組成物は、(a)成分を好ましくは0.5〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%、特に好ましくは2〜15質量%含有し、(b)成分を好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%、特に好ましくは1〜10質量%含有し、(c)成分を好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%、特に好ましくは1〜10質量%含有するすることで、保存による安定性と滑らかな風合いを付与することができる。また、これら成分を、(a)/[(b)+(c)]の質量比が、好ましくは8/1〜1/3、より好ましくは4/1〜1/2、特に好ましくは3/1〜1/2となる割合、(b)成分/(c)成分の質量比が、好ましくは10/1〜1/10、より好ましくは8/1〜1/8となる割合で含有することで、保存による安定性と滑らかな風合いを付与することが可能である。
本発明では、好ましい外観を得る目的、及び貯蔵安定性を改善する目的から、(a)成分の中和度が0.4以上1.0以下であることが好適である。
ここで(a)成分の中和度とは、アミノ変性シリコーンのアミノ基が中和に用いると化学量論的に反応したときの中和されたアミノ基のモル比率を示す値であり、具体的には以下の式で表される値である。
中和度=(化学量論的に中和されているアミノ基のモル数)/(アミノ変性シリコーンの全アミノ基のモル数)
(a)成分が(a1)成分の場合、中和度は0.7以上1.0以下であることがより好適である。また、中和に用いる水溶性の酸〔以下、(d)成分という〕としては、塩酸、酢酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、安息香酸、乳酸、酪酸、リン酸、硫酸等が挙げられる。これらの酸は1種又は2種以上を使用できる。この内、塩酸、酢酸、クエン酸、乳酸が好ましく、塩酸、クエン酸が特に好ましい。
本発明の組成物は、半透明から透明(光学的に透明まで光が透過する)のものが好ましい。本質的には分散した粒子の平均粒径が、好ましくは0.2μm以下、更に好ましくは0.15μm以下、特に好ましくは0.1μm以下である。
本発明の組成物は、衣料等の繊維製品に張り性を付与する目的から、オキシアルキレン基の数平均付加モル数が20〜200、好ましくは50〜200、より好ましくは70〜180、特に好ましくは90〜160のポリオキシアルキレン基(アルキレン基としては、炭素数2〜4のアルキレン基が好ましく、エチレン基又はプロピレン基が更に好ましく、エチレン基が特に好ましい)を1〜5個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1又は2個、特に好ましくは1個と、炭素数10〜32、好ましくは14〜32、より好ましくは16〜24、特に好ましくは16〜18の炭化水素基を1〜3個、好ましくは1又は2個、特に好ましくは1個有し、融点が30〜80℃、好ましくは40〜75℃、特に好ましくは50〜70℃の非イオン性界面活性剤〔以下、(e)成分という〕を含有することが好適である。(e)成分の具体例として、一般式(5)で表される化合物を挙げることができる。
5a−A−[(R5b−O)a−R5c]b (5)
〔式中、R5aは炭素数10〜32のアルキル基又はアルケニル基、R5bは炭素数2又は3のアルキレン基、R5cは水素原子、炭素数10〜32のアルキル基又はアルケニル基、あるいは炭素数11〜33のアルカノイル基又はアルケノイル基、Aは−O−、−COO−、−CON<又は−N<で、Aが−O−又は−COO−の場合にはbは1であり、Aが−CON<又は−N<の場合にはbは2である。aは数平均で50〜200の値である。ここで、複数個のR5b及びR5cは同一でも異なっていても良い。〕
(e)成分において、R5aは炭素数16〜18のアルキル基が最も好ましく、R5bはエチレン基が最も好ましく、R5cは水素原子が最も好ましい。また、Aは−O−又は−COO−、特に−O−が好ましい。また、(e)成分のHLBは好ましくは16以上、より好ましくは17〜19.8、特に好ましくは18〜19.6である。
(e)成分としては、特に一般式(5−2)で表される化合物が最も好ましい。
5a−O−(C24O)a−H (5−2)
〔式中、R5a及びaは上述と同一の意味である。〕
尚、本発明において、融点は下記方法で測定した値である。
<融点の測定法>
サンプル0.5gを容量10mLのガラス製スクリュー管(No.3、21mm×45mm)に入れ(1つのサンプルについて5本)、大気圧下で密栓する。1種のサンプルについて、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃の恒温槽に各1本づつ(計5本)栓口を上方にして立てて保存し、24時間後に状態を観察する。サンプルが完全に透明な液体になっているものは保存温度が融点以上であると判定し、各サンプルについて融点の範囲を決定する。次に、温度調整可能な水浴を用意し、予め5℃の恒温室に24時間保存した各サンプルを密栓したまま容器の底から半分以上を浸す。予想される温度範囲の下限より5℃下から30分に1℃の速度で水浴の温度を上昇させる。サンプルが完全に透明になった時の温度を融点とする。
本発明の組成物は、上記(e)成分を好ましくは1〜60質量%、より好ましくは2〜40質量%、特に好ましくは5〜30質量%含有し、(b)成分、(c)成分及び(e)成分の含有比率が、[(b)成分+(c)成分]/(e)成分(質量比)=10/1〜1/10、好ましくは4/1〜1/8、より好ましくは1/1〜1/5となる割合で含有することで、保存による安定性と滑らかな風合いを付与することが可能である。
本発明の組成物は、(a)成分の繊維製品への吸着を促進し、滑らかな肌触り感をアップする目的から、一般的な柔軟化剤として知られている、窒素原子に結合する3個の基のうち、1又は2個が炭素数10〜20の炭化水素基、残りが炭素数1〜3のヒドロキシ基で置換されていても良い炭化水素基である3級アミン、その酸塩もしくはその4級化物から選ばれる少なくとも1種〔以下、(f)成分という〕を含有することが好適である。(f)成分の好適な具体例として、一般式(6)で表される3級アミン、その酸塩もしくはその4級化物が挙げられる。
Figure 0004350621
〔式中、R6aは炭素数10〜20の炭化水素基、R6bは炭素数10〜20の炭化水素基又は炭素数1〜3のヒドロキシ基で置換されていても良い炭化水素基、R6cは炭素数1〜3のヒドロキシ基で置換されていても良い炭化水素基を示す。〕
一般式(6)において、R6aとしては炭素数10〜20のアルキル基及び/又はアルケニル基、特に炭素数12〜18のアルキル基が好ましく、R6bとしては炭素数10〜20のアルキル基及び/又はアルケニル基、特に炭素数12〜18のアルキル基、あるいは炭素数1〜3のアルキル基、特にメチル基が好ましい。R6cとしては炭素数1〜3のアルキル基、特にメチル基が好ましい。上記3級アミンの酸塩としては、塩酸、硝酸、燐酸、硫酸等の無機酸、あるいは酢酸、乳酸、グリコール酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸等の有機酸の塩が挙げられる。また、上記3級アミンの4級化物としては、メチルクロライド等の炭素数が1〜4のアルキルハライド又は炭素数が2〜6のジアルキルサルフェートを用いて4級化したものが挙げられる。
(f)成分は、本発明において少量用いる場合には、(a)成分の繊維製品への吸着を促進し、滑らかな肌触り感がアップするが、多量に用いると貯蔵安定性が低下する。従って、本発明の組成物は、上記(f)成分を好ましくは0.2〜6質量%、より好ましくは0.5〜5質量%、特に好ましくは1〜4質量%含有し、(a)成分と(f)成分の質量比、(a)成分/(f)成分が、好ましくは10/1〜1/2、更に好ましくは4/1〜1/1となる割合で含有することで、保存による安定性と滑らかな風合いを付与することが可能である。
本発明では更に性能を向上する目的から、(b)成分、(c)成分、(e)成分、及び(f)成分以外の界面活性剤を併用することができるが、多量に配合すると繊維製品に付着し、ごわつく等の風合いを損なうためにその使用は注意を要する。用いることができる界面活性剤としては陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤を挙げることができる。
陰イオン性界面活性剤としては、炭素数10〜15のアルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数10〜16のアルキル硫酸エステル塩、炭素数10〜16のアルキル基と数平均付加モル数1〜6のオキシエチレン基を有するポリオキシエチレンラウリル硫酸エステル塩、炭素数10〜15のα−オレフィンスルホン酸塩、炭素数10〜16のα−スルホ脂肪酸メチルエステル塩等を挙げることができる。両性界面活性剤としては、アルキル基の炭素数10〜18のアルキルジメチルアミンオキサイド、アルカノイル基の炭素数が10〜18のアルカノイルアミドプロピルジメチルアミンオキサイド、アルキル基の炭素数が10〜18のN−アルキル−N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン、N−アルキル−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、アルカノイル基の炭素数が10〜18のN−アルカノイルアミノプロピル−N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン、N−アルカノイルアミノプロピル−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン等を挙げることができる。
本発明では好ましい外観を得る目的、及び貯蔵安定性を改善する目的から、水溶性有機溶剤〔以下、(g)成分という〕を含有することが好ましい。(g)成分は本発明の組成物の効果に特に影響がないため任意に含有することが可能であるが、引火点や臭いの問題があるため、含有量は、好ましくは0.5〜40質量%、より好ましくは1〜30質量%、特に好ましくは2〜20質量%である。(g)成分は、水酸基及び/又はエーテル基を有する水溶性有機溶剤が好ましい。(g)成分として以下のようなものが挙げられ、これらのうちの1種以上を用いることが好ましい。
(i)エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール等のアルカノール類、(ii)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、(iii)ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、平均分子量約200のポリエチレングリコール、平均分子量約400のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、平均分子量約1000のポリプロピレングリコール等のポリグリコール類、(iv)ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−メチルグリセリルエーテル、2−メチルグリセリルエーテル、1,3−ジメチルグリセリルエーテル、1−エチルグリセリルエーテル、1,3−ジエチルグリセリルエーテル、トリエチルグリセリルエーテル、1−ペンチルグリセリルエーテル、2−ペンチルグリセリルエーテル、1−オクチルグリセリルエーテル、2−エチルヘキシルグリセリルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のアルキルエーテル類、(v)2−フェノキシエタノール、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、平均分子量約480のポリエチレングリコールモノフェニルエーテル、2−ベンジルオキシエタノール、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル等の芳香族エーテル類、(vi)2−アミノエタノール、N−メチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、イソプロパノールアミン混合物(モノ,ジ,トリの混合物)等のアルカノールアミン類。
(g)成分は、上記の(i)アルカノール類、(ii)多価アルコール類、(iii)ポリグリコール類、(iv)アルキルエーテル類、(v)芳香族エーテル類、(vi)アルカノールアミン類から選ばれる2種以上を併用することが好ましく、より好ましくは(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)から選ばれる2種以上、特に好ましくは(i)、(ii)、(iii)、(iv)から選ばれる2種以上を併用することで効果的に組成物の外観、及び貯蔵安定性を改善することができる。
(g)成分としては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、1−ペンチルグリセリルエーテル、2−ペンチルグリセリルエーテル、2−エチルヘキシルグリセリルエーテル、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルが好適であり、特にエタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−エチルヘキシルグリセリルエーテル、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましい。
本発明の組成物は上記成分を水に溶解させた水溶液の形態であり、水の含有量は、好ましくは20〜90質量%、より好ましくは30〜80質量%、特に好ましくは40〜70質量%である。溶解又は分散安定性の点から、溶液のpHは好ましくは2〜9、更に好ましくは3〜8、特に好ましくは4〜7であり、このようなpHに調整するには、通常の硫酸、塩酸、リン酸、酢酸、クエン酸、乳酸、コハク酸等の酸と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ剤を用いることができる。
本発明の組成物は一般の液体組成物に添加する成分を含有することができ、たとえば防腐剤、香料、顔料、染料、ハイドロトロープ剤、増粘剤、ゲル化防止剤、酸化防止剤等を含有することができる。
本発明の繊維製品処理剤組成物の処理方法として、本発明の組成物を水に希釈した希釈液に対象繊維製品を浸漬させる方法、洗濯工程のすすぎの段階で本発明の組成物をすすぎ水に添加する方法等を挙げることができる。ここで、浸漬とは、本発明の組成物又は本発明の組成物を希釈した水溶液に対象繊維が完全に浸される状態をいう。
これら処理方法の中では、洗濯工程のすすぎの段階で本発明の組成物をすすぎ水に添加する方法が好適であり、本発明の組成物の添加量は、衣料1kg当り7〜40mL、更に10〜30mL、特に15〜25mLが本発明の効果を発揮する上で好ましい。すすぎ水の温度は、好ましくは5〜40℃、更に好ましくは10〜30℃であり、処理時間は、好ましくは1〜30分、より好ましくは3〜20分、特に好ましくは5〜15分である。浸漬後は脱水し、自然乾燥あるいは回転式加熱乾燥機により乾燥させる。乾燥後の繊維製品は、アイロンをかける必要がない程度にしわの形成が少ないが、より仕上がりを重視する場合にはアイロンをかけても差し支えない。
実施例に用いた配合成分を以下にまとめて示す。
・(a)成分
(a)−1:KF−864(信越化学工業(株)製アミノ変性シリコーン、粘度1700mm2/s(25℃)、アミノ当量3800)
(a)−2:SF8457C(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製アミノ変性シリコーン、粘度1200mm2/s(25℃)、アミノ当量1800)
・(b)成分
(b)−1:C12〜14の2級アルコールにエチレンオキサイドを平均3モル付加させた非イオン性界面活性剤(HLB8.0)
(b)−2:C12〜14の2級アルコールにエチレンオキサイドを平均5モル付加させた非イオン性界面活性剤(HLB10.5)
(b)−3:C12の直鎖の1級アルコールにエチレンオキサイドを平均6モル付加させた非イオン性界面活性剤(HLB11.8)
・(c)成分
(c)−1:炭素数12〜14の直鎖第1級アルコールにエチレンオキサイドを平均5モル、プロピレンオキサイドを平均2モル、エチレンオキサイドを平均3モルの順に付加させた非イオン性界面活性剤
(c)−2:炭素数12の直鎖第1級アルコールにエチレンオキサイドを平均7モル、プロピレンオキサイドを平均2モルランダムに付加させた非イオン性界面活性剤
(c)−3:炭素数12〜14の直鎖第1級アルコールにエチレンオキサイドを平均3.0モル、プロピレンオキサイドを平均1.5モル、エチレンオキサイドを平均3.0モルの順に付加させた非イオン性界面活性剤
・(d)成分
(d)−1:塩酸(HCl有効分35%)
(d)−2:乳酸
(d)−3:クエン酸
・(e)成分
(e)−1:ステアリルアルコールにエチレンオキサイドをアルコール1モル当たり平均140モル付加させた非イオン性界面活性剤(HLB19.2、融点60.9℃)
・(f)成分
(f)−1:炭素数12〜14のジアルキルジメチルアンモニウムクロライド
・(g)成分
(g)−1:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
(g)−2:エタノール
(g)−3:プロピレングリコール
(g)−4:ジプロピレングリコール
・その他成分
抗菌剤:プロキセルIB(アビシア(株)製、20%水溶液)
色素:紫色201号
実施例1
表1に示す各成分を用いて、表1に示す組成の繊維製品処理剤組成物を各150g調製した。その際、混合容器としてポリプロピレン製のプラスチックカップ(容量200mL)、混合方法としてはマグネチックスターラーを用いた。先ず(b)成分と(c)成分と(g)成分を容器に秤量し混合した後、融点以上に加熱した(e)成分、及び組成物全体の10質量%に相当する水を加え更に混合した。次に(a)成分を約2g/分の速度で混合しながら所定量投入し、投入終了後約30分混合した。これに配合水の残部を加え混合し、(f)成分を加えた。混合を続けながら(d)成分で所定のpHに調整し各組成物を得た。得られた組成物について、下記方法で分散粒子の粒径を測定し、貯蔵安定性及び風合いを評価した。結果を表1に示す。
<粒径測定方法>
各処理剤組成物の10倍希釈溶液を調整し、電子泳動光散乱光度計(ELS−800、大塚電子(株)社製)にてエマルション中の分散粒子の粒径を測定した。
<貯蔵安定性評価法>
各処理剤組成物を50mLのガラス瓶(規格瓶No.6)に充填し、50℃の恒温槽、及び室温(25℃)にて20日間保存した後の液安定性を目視にて判定し、下記基準で評価した。
・判定基準(外観)
○:透明
△:やや白濁
×:白濁又は分離
<風合い評価法>
・評価用繊維製品の前処理
評価衣料として新品のカットソー((株)チクマ製9to5、ベージュ、綿/ポリエステル=50/50%)、及び新品のワイシャツ(形態安定加工シャツ(SSP)、フレックスジャパン社製BLUE RIVER、白、綿100%)を各1枚用意し、これに重量調整布として肌着(綿100%)0.9kg、ワイシャツ(白、綿/ポリエステル=60/40%)0.6kgを加え、合計1.8kgの衣料を市販の弱アルカリ性洗剤(花王(株)アタック)を用いて二槽式洗濯機(東芝銀河VH−360S1)で10回繰り返し洗濯した(洗剤濃度0.0667質量%、水道水(20℃)36L使用、洗濯10分−脱水3分−すすぎ8分(流水すすぎ、水量15L/min.))。最後の処理回(10回目)のすすぎが始まってから5分経過した時点で流水を止め、排水した後3分間脱水した。次に、水道水(20℃)を36L注水し、表1の各処理剤組成物を23.33g投入して3分間撹拌処理した。撹拌を止めた後、3分間脱水し、評価用衣料としてカットソーと形態安定加工シャツを取り出し、それぞれ日陰でハンガーに掛けて、12時間吊り干し乾燥させた。これを下記の方法で風合いについて評価した。カットソーと形態安定加工シャツ両方について対照品に対する評価を行ったが、傾向は同じであった。表1には形態安定加工シャツに対する結果を示す。
・風合い評価
各処理剤組成物で処理して、12時間吊り干し乾燥させた後、25℃−65RHの恒温恒湿室で24時間静置して調湿処理した繊維製品について、上記方法で前処理後、処理剤を用いずに水道水だけで処理し同様に25℃−65RHの恒温恒湿室で調湿処理した繊維製品を対照品として、風合い(滑らかさ)について、それぞれ5人のパネラーにより下記の基準で得点をつけ、平均点を求めた。平均点が1.0を超え2.0以下を◎、0を超え1.0以下を○、0を△、−1.0以上0未満を×、−2.0以上−1.0未満を××として判定した。
対照品より滑らか:+2点
対照品よりやや滑らか:+1点
対照品と同等:0点
対照品の方がやや滑らか:−1点
対照品の方が滑らか:−2点
Figure 0004350621

Claims (3)

  1. 下記(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有し、組成物中の(b)成分と(c)成分の質量比が、(b)成分/(c)成分=10/1〜1/10である繊維製品処理剤組成物。
    (a):25℃での動粘度が100〜20000mm2/s、アミノ当量400〜8000、中和度(アミノ変性シリコーンのアミノ基が中和に用いる酸と化学量論的に反応したときの中和されたアミノ基のモル比率)が0.4以上1.0以下のアミノ変性シリコーン化合物
    (b):HLB5〜12のポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤
    (c):一般式(1)で表される非イオン性界面活性剤
    1−O−[(EO)m/(PO)n]−H (1)
    〔式中、R1は炭素数8〜16のアルキル基又はアルケニル基、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を示す。m及びnはそれぞれEO及びPOの平均付加モル数を示し、mは2〜14、nは1〜4である。(EO)m/(PO)nはEOとPOのランダム付加体でもブロック付加体でも何れでもよく、EOとPOの付加順序は問わない。〕
  2. 組成物中の(a)成分と[(b)成分+(c)成分]の質量比が、(a)成分/[(b)成分+(c)成分]=8/1〜1/3である請求項1記載の繊維製品処理剤組成物。
  3. 透明である、請求項1又は2記載の繊維製品処理剤組成物。
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