JP2008133549A - 弾性繊維用油剤 - Google Patents

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義幸 若原
Yukinori Tose
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Abstract

【課題】 膠着防止性および制電性に優れ、かつ場合の油剤の経日安定性が良好であり、紡糸工程および後加工工程における糸切れ等のトラブル発生が抑制でき、繊維の品質に優れる油剤を提供すること。
【解決手段】 アミノ変性シリコーン(A)、およびpKaが−10〜7であるフッ素系界面活性剤(B)を必須成分とすることを特徴とする弾性繊維用油剤である。
【選択図】なし

Description

本発明は、弾性繊維用油剤に関する。更に詳しくは、膠着防止性に優れ、かつ制電性が良好な弾性繊維を得るための油剤に関する。
従来から、弾性繊維の紡糸工程において繊維に付着させる油剤については、
(1)膠着防止剤として、固体の金属石鹸を懸濁させることにより離型効果を発現させる方法、常温液状物質のポリエーテル変性シリコーンを使用する方法等が提案されている(例えば特許文献1〜5)。
(2)静電気防止剤としては、アルキルホスフェート金属塩等のホスフェート系アニオン界面活性剤を添加する方法が提案されている(例えば特許文献6〜8)。
特公昭41−286号公報 特公昭40−5557号公報 特開昭60−81374号公報 特公昭45−40719号公報 特開昭48−19893号公報 特公昭41−21956号公報 特開平9−49167号公報 特開平7−173770号公報
しかし、(1)の従来技術については、糸同士の膠着を防止する効果はあるが、これらの油剤だけでは静電気防止効果がないという問題がある。さらに、特に固体の金属石鹸を懸濁させた場合には油剤の経日安定性が悪いという問題がある。
一方、(2)の従来技術については、静電気を防止する効果はあるが、ベースオイルとの相溶性が悪く油剤の経日安定性が悪いという問題もある。
従って、本発明の目的は、膠着防止性および制電性を同時に満足でき、かつ固体の金属石鹸を懸濁させた場合の油剤の経日安定性が良好な弾性繊維用油剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、アミノ変性シリコーンおよび特定の範囲のpKaを有するフッ素系界面活性剤を必須成分とした弾性繊維用油剤を用いることにより、油剤の経日安定性を改善し、更には弾性繊維に良好な膠着防止性および制電性を付与できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、アミノ変性シリコーン(A)およびpKaが−10〜7であるフッ素系界面活性剤(B)を必須成分とすることを特徴とする弾性繊維用油剤;さらに、特定の化学構造を有するフッ素系界面活性剤(B)を必須成分とする弾性繊維用油剤;該弾性繊維用油剤を用いる弾性繊維の処理方法;並びにこの処理方法で処理された弾性繊維である。
本発明の弾性繊維用油剤は、従来の弾性繊維用油剤に比べて、膠着防止性および制電性に優れ、かつ固体の金属石鹸を懸濁させた場合の油剤の経日安定性が良好であり、紡糸工程および後加工工程における糸切れ等のトラブル発生が抑制でき、繊維の品質に優れる。
本発明における必須成分の1つとしてのアミノ変性シリコーン(A)としては、下記一般式(6)で示されるアミノ変性シリコーンが挙げられる。
Figure 2008133549
(式中、R1、R2、R3、R4は、そのうちの少なくとも一つが−R5−NH−(R6NH)p−H基を含有する有機基(R5とR6は炭素数1〜4のアルキレン基、pは0または1の整数を表す。)であって、残りは炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基または炭素数1〜5のアルコキシ基;a、bは1〜10,000の整数を表す。)
式中のR1、R2、R3、R4は、そのうちの少なくとも一つは−R5−NH−(R6NH)p−H基を含有する有機基でなければならない。
ここで、−R5−NH−(R6NH)p−H基を含有する有機基において、R5、R6は炭素数1〜4のアルキレン基であって、pは0または1の整数を表す。
5、R6としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。好ましのは、エチレン基、プロピレン基であり、さらに好ましいのはプロピレン基である。
従って、−R5−NH−(R6NH)p−H基を含有する有機基の具体例としては、
−CH2−NH2、−CH2CH2−NH2、−CH2CH2CH2−NH2、−CH2CH2CH2CH2−NH2、−CH2CH(CH3)CH2−NH2、−CH2−NH−CH2−NH2、−CH2CH2−NH−CH2CH2−NH2、−CH2CH2CH2−NH−CH2CH2CH2−NH2、−CH2CH2CH2CH2−NH−CH2CH2CH2CH2−NH2、−CH2CH(CH3)CH2−NH−CH2CH(CH3)CH2−NH2、−CH2−NH−CH2CH2−NH2、−CH2−NH−CH2CH2CH2−NH2、−CH2−NH−CH2CH2CH2CH2−NH2、−CH2−NH−CH2CH(CH3)CH2−NH2、−CH2CH2−NH−CH2−NH2、−CH2CH2−NH−CH2CH2CH2−NH2、−CH2CH2−NH−CH2CH2CH2CH2−NH2、−CH2CH2−NH−CH2CH(CH3)CH2−NH2、−CH2CH2CH2−NH−CH2−NH2、−CH2CH2CH2−NH−CH2CH2−NH2、−CH2CH2CH2−NH−CH2CH2CH2CH2−NH2、−CH2CH2CH2−NH−CH2CH(CH3)CH2−NH2、−CH2CH2CH2CH2−NH−CH2−NH2、−CH2CH2CH2CH2−NH−CH2CH2−NH2、−CH2CH2CH2CH2−NH−CH2CH2CH2−NH2、−CH2CH2CH2CH2−NH−CH2CH(CH3)CH2−NH2、−CH2CH(CH3)CH2−NH−CH2−NH2、−CH2CH(CH3)CH2−NH−CH2CH2−NH2、−CH2CH(CH3)CH2−NH−CH2CH2CH2−NH2、−CH2CH(CH3)CH2−NH−CH2CH2CH2CH2−NH2等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、−CH2CH2−NH2、−CH2CH2CH2−NH2、−CH2CH2−NH−CH2CH2−NH2、−CH2CH2CH2−NH−CH2CH2CH2CH2−NH2であり、さらに好ましいのは−CH2CH2CH2−NH2、−CH2CH2CH2−NH−CH2CH2CH2CH2−NH2である。
残りのR1、R2、R3、R4としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、n−およびi−のプロポキシ基およびブトキシ基等が挙げられる。好ましいのは、メチル基、フェニル基であり、さらに好ましいのはメチル基である。
本発明における必須成分のもう1つとしてのフッ素系界面活性剤(B)としては、一般式(1)で示される化合物(B1)、一般式(2)で示される化合物(B2)、一般式(3)で示される化合物(B3)、一般式(4)で示される化合物(B4)、および一般式(5)で示される化合物(B5)が挙げられる。
Figure 2008133549
Figure 2008133549
Figure 2008133549
Figure 2008133549
Figure 2008133549
式中、Rfは炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基;Yはスルホニルアミノアルキレン(炭素数2〜6)基、N−アルキル(炭素数1〜6)−スルホニルアミノアルキレン(炭素数2〜6)基、カルボニルアミノアルキレン(炭素数2〜6)基、またはN−アルキル(炭素数1〜6)−カルボニルアミノアルキレン(炭素数2〜6)基;nは0または1の整数を表す。
Rfで表される炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基としては、例えば、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピレン酸、パーフルオロブチレン基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基等が挙げられる。
好ましいのは、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基であり、さらに好ましいのは、パーフルオロオクチル基である。
式中の有機基Yは、スルホニルアミノアルキレン(そのアルキレン基の炭素数が2〜6)基(Y1)、N−アルキル(炭素数1〜6)−スルホニルアミノアルキレン(炭素数2〜6)基(Y2)、カルボニルアミノアルキレン(炭素数2〜6)基(Y3)、またはN−アルキル(炭素数1〜6)−カルボニルアミノアルキレン(炭素数2〜6)基(Y4)を表す。
Y1で表されるスルホニルアミノアルキレン(炭素数2〜6)基としては、スルホニルアミノエチレン基、スルホニルアミノプロピレン基、スルホニルアミノブチレン基、スルホニルアミノヘキシル基等が挙げられる。
Y2で表されるN−アルキル(炭素数1〜6)−スルホニルアミノアルキレン(炭素数2〜6)基としては、N−メチル−スルホニルアミノエチレン基、N−エチル−スルホニルアミノエチレン基、N−プロピル−スルホニルアミノエチレン基、N−ブチル−スルホニルアミノプロピレン基、N−ヘキシル−スルホニルアミノプロピレン基等が挙げられる。
Y3で表されるカルボニルアミノアルキレン(炭素数2〜6)基としては、カルボニルアミノエチレン基、カルボニルアミノプロピレン基、カルボニルアミノブチレン基、カルボニルアミノヘキシル基等が挙げられる。
Y4で表されるN−アルキル(炭素数1〜6)−カルボニルアミノアルキレン(炭素数2〜6)基としては、N−メチル−カルボニルアミノエチレン基、N−エチル−カルボニルアミノエチレン基、N−プロピル−カルボニルアミノエチレン基、N−ブチル−カルボニルアミノプロピレン基、N−ヘキシル−カルボニルアミノプロピレン基等が挙げられる。
これらのY1〜Y4のうち、好ましいのは、スルホニルアミノプロピレン基、カルボニルアミノプロピレン基、N−プロピル−スルホニルアミノエチレン基、N−プロピル−カルボニルアミノエチレン基であり、さらに好ましいのは、N−プロピル−スルホニルアミノエチレン基、N−プロピル−カルボニルアミノエチレン基である。
一般式(1)で示されるフッ素系界面活性剤(B1)の具体的な例としては、パーフルオロ酢酸、パーフルオロプロピオン酸、パーフルオロヘキサン酸、パーフルオロオクタン酸等が挙げられる。
一般式(2)で示されるフッ素系界面活性剤(B2)の具体的な例としては、パーフルオロブタンスルホン酸、パーフルオロヘキサンスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸等が挙げられる。
一般式(3)で示されるフッ素系界面活性剤(B3)の具体的な例としては、パーフルオロブタノール硫酸エステル、パーフルオロヘキサノール硫酸エステル、パーフルオロオクタノール硫酸エステル等が挙げられる。
一般式(4)で示されるフッ素系界面活性剤(B4)の具体的な例としては、2−(N−プロピルパーフルオロオクチルスルホニルアミノ)エタノールリン酸エステル、2−(N−プロピルパーフルオロオクチルカルボニルアミノ)エタノールリン酸エステル等が挙げられる。
一般式(5)で示されるフッ素系界面活性剤(B5)の具体的な例としては、ビス[2−(N−プロピルパーフルオロオクチルスルホニルアミノ)エタノール]リン酸エステル、ビス[2−(N−プロピルパーフルオロオクチルカルボニルアミノ)エタノール]リン酸エステル等が挙げられる。
これらの(B1)〜(B5)のうち、好ましいのは、パーフルオロオクタン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸、2−(N−プロピルパーフルオロオクチルスルホニルアミノ)エタノールリン酸エステル、ビス[2−(N−プロピルパーフルオロオクチルスルホニルアミノ)エタノール]リン酸エステルであり、さらに好ましいのは、パーフルオロオクタン酸、2−(N−プロピルパーフルオロオクチルスルホニルアミノ)エタノールリン酸エステル、ビス[2−(N−プロピルパーフルオロオクチルスルホニルアミノ)エタノール]リン酸エステルである。これらは、2種以上の混合物であっても良い。
アミノ変性シリコーン(A)は、油剤全体100部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。この範囲にあると、膠着防止性が良好であり、かつ固体の金属石鹸を懸濁させた場合の油剤の経日安定性が向上する傾向がある。
一方、フッ素系界面活性剤(B)は、油剤全体100部に対して、通常0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜2.5重量部である。この範囲にあると、制電性が良好であり、かつ固体の金属石鹸を懸濁させた場合の油剤の経日安定性が向上する傾向がある。
しかし、アミノ変性シリコーン(A)、フッ素系界面活性剤(B)それぞれ単独の含有量だけでなく、(A)の含有量と(B)の含有量との比率も、膠着防止性、制電性および固体の金属石鹸を懸濁させた場合の油剤の経日安定性のすべてを完全に満足させる観点から、より重要となる。
すなわち、下記の計算式(1)で求められる油剤中のアミノ変性シリコーン(A)のアミノ基に由来する全アミン価(T−AmV)と、下記計算式(2)で求められるフッ素系界面活性剤(B)の酸性基に由来する酸価(AV)との比T−AmV/AVが、通常0.5〜1.5であり、好ましいのは0.6〜1.4、さらに好ましいのは0.7〜1.3である。
ここで、全アミン価は、例えばイソプロピルアルコール、キシレン/イソプロピルアルコール(容量比1/1)混合などの溶剤に溶解した試料の油剤を、0.1N塩酸の例えばエチレングリコール/イソプロピルアルコール(容量比1/1)溶液で電位差自動滴定装置を使用して電位差滴定して、終点の滴定量(ml)を測定し、油剤1g中に含まれるアミノ変性シリコーン(A)のアミノ基を中和するのに要する塩酸と当量の水酸化カリウムのmg数を下記計算式(1)で算出したものである。
全アミン価(KOHmg/g)=(A1×f1×5.61)/W1 (1)
(式中、A1は滴定量(ml)、f1は0.1N塩酸溶液の力価、W1は試料の油剤の重量(g)を表す。)
酸価は、例えばイソプロピルアルコール、キシレン/イソプロピルアルコール(容量比1/1)混合などの溶剤に溶解した試料の油剤を、0.1N水酸化カリウムの例えばエチレングリコール/イソプロピルアルコール(容量比1/1)溶液で電位差自動滴定装置を使用して電位差滴定して、終点の滴定量(ml)を測定し、油剤1g中に含まれるフッ素系界面活性剤(B)の酸性基を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を下記計算式(2)で算出したものである。
酸価(KOHmg/g)=(A2×f2×5.61)/W2 (2)
(式中、A2は滴定量(ml)、f2は0.1N水酸化カリウム溶液の力価、W2は試料の油剤の重量(g)を表す。)
T−AmV/AVの比率で、下限を切ると、本油剤のpHが低下し過ぎ、紡糸工程および後加工工程での金属ガイド等の金属が錆びてしまい、操業停止となる可能性がある。
一方、上限を超えると、高温下で本油剤の外観が着色したり、油剤を付与した弾性繊維が黄変する等の問題が発生する。
本発明の膠着防止性と制電性が良好な弾性繊維を得るための弾性繊維用油剤には、通常、膠着防止成分(C)、ベースオイル(D)などを含有させることができる。
本発明の弾性繊維用油剤に含有させることができる膠着防止成分(C)としては、高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
高級脂肪酸の金属塩中の高級脂肪酸部分としては、炭素数6〜30の飽和または不飽和の高級脂肪酸が使用できる。高級脂肪酸の具体例としては、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、およびベヘン酸等が挙げられ、好ましいのはステアリン酸である。これらの脂肪酸は単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
高級脂肪酸の金属塩中の金属塩部分としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、およびIIIB族金属塩等が挙げられ、好ましいのはアルカリ土類金属塩である。
高級脂肪酸金属塩全体の具体例としては、ステアリン酸のアルカリ土類金属塩が挙げられ、好ましいのはジステアリン酸マグネシウム塩である。なお、市販のジステアリン酸マグネシウム塩などは、一部未反応の水酸化ステアリン酸アグネシウム塩が不純物として混じっているが、差し支えない。
高級脂肪酸金属塩は単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
膠着防止成分(C)は、油剤全体100部に対して、好ましくは0.05〜20重量部であり、より好ましくは0.1〜4.0重量部である。
これらの範囲であると、膠着防止性および油剤の経日安定性が良好である。
本発明の弾性繊維用油剤に含有させることができるベースオイル(D)としては、シリコーンオイル(D1)および炭化水素系潤滑油(D2)からなる群より選ばれる。
シリコーンオイル(D1)としては、ポリジメチルシロキサン、その一部が炭素数2〜20のアルキル基および/またはフェニル基で置換されたポリジメチルシロキサン等が使用できる。
炭化水素系潤滑油(D2)としては、鉱物油およびその精製油、水添油、分解油等が使用できる。
これらのうち好ましいものは、25℃における粘度が1〜1000mm2/sのベースオイルである。さらに好ましくは2〜500mm2/s、特に好ましくは3〜200mm2/sのベースオイルである。
(D)としては、シリコーンオイル(D1)、炭化水素系潤滑油(D2)それぞれ単独でも混合物であってもよい。好ましくは(D2)単独、および(D1)と(D2)の混合物であり、より好ましくは(D1)と(D2)の混合物である。
混合物の場合、(D1)+(D2)の合計100部に対して、(D1)の含有量は5〜80重量部が好ましく、より好ましくは15〜70重量部である。
ベースオイル(D)は、油剤全体100部に対して、好ましくは80.0〜99.8重量部であり、より好ましくは85.0〜99.4質量%である。これらの範囲であると、平滑性が良好であり、特に細デシテックス繊維の高速紡糸工程での糸切れを抑制できる。
本発明の弾性繊維用油剤の25℃における粘度は、通常1〜500mm2/sである。好ましくは2〜100mm2/sであり、より好ましくは3〜50mm2/sである。
これらの範囲であると、平滑性が良く、かつ紡糸工程時の油剤の飛散が少なく、作業環境が悪化する恐れがない。
本発明の弾性繊維用油剤の製造方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
常温で固体である膠着防止剤(C)を、炭化水素系潤滑油(D2)、アミノ変性シリコーン(A)およびフッ素系界面活性剤(B)と一緒に撹拌装置のある槽に入れ、110〜120℃に加熱し、25℃における濁度が20mg/L以下になるまで撹拌する。その後、撹拌しながらシリコーンオイル(D1)を入れ、20〜40℃に冷却することで本発明の弾性繊維用油剤を得ることができる。
本発明の弾性繊維用油剤は、弾性繊維の紡糸工程(例えば200〜1,200m/分)において、紡出後、糸が巻き取られるまでの任意の位置で、ノズル給油で糸に付与させることができる。給油する油状組成物の温度は通常10〜80℃、好ましくは15〜60℃である。なお本発明の油状組成物はノズル給油用の油状組成物であるが、ローラ給油で使用することもできる。
本発明の弾性繊維用油剤は、通常弾性繊維に対して、非揮発分として、好ましくは0.1〜12(さらに好ましくは0.5〜10、特に好ましくは1〜8)重量%付与させる。
本発明の弾性繊維用油剤を適用できる弾性繊維としては、ポリウレタン弾性糸、ポリエステル弾性糸、ポリアミド弾性糸およびポリカーボネート弾性糸等が挙げられるが、とくにポリウレタン弾性糸に好適に使用できる。
本発明の弾性繊維用油剤を適用できる弾性繊維の維度は、特に限定されないが、通常10〜2500dtx、好ましくは11〜1870dtxである。
本発明の弾性繊維用油剤で処理されてなる弾性繊維は、後加工工程(例えばエアースパンヤーン工程、カバーリング工程、エアーカバーリング工程、編み工程、整経工程、精錬工程、染色工程および仕上げ工程等)を経て最終製品に仕上げられる。
なお、弾性繊維は他の合成繊維、例えばナイロン繊維やポリエステル繊維と混紡して使用される。従って、本発明の油状組成物は、付与された後、他の合成繊維の紡糸油剤と一緒に洗浄され、除去されることが多い。精練工程では、水系精練または溶剤精練が行われる。
最終製品としては、衣料用[例えばパンティーストッキング、靴下、インナーファンデーション(ブラジャー、ガードル、ボディースーツ等)、アウターウェア(ジャケット、スラックス等)、スポーツウェア(水着、レオタード、スキーズボン等)]および産業資材用(例えば紙おむつ、ベルト等)等に広く適用できる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、表1中の数値は重量部(有効成分)を表す。
なお、表1の配合における各成分は以下の通りである。
・ポリジメチルシロキサン:KF96−10CS(信越化学工業株式会社製:粘度10mm2/s(25℃))
・流動パラフィン:流パン60S(三光化学株式会社製:粘度15mm2/s(25℃))
・アミノ変性シリコーン(A−1):一般式(3)中の、R1、R2、R4がCH3、R3が−(CH23−NH−(CH23−NH2;粘度(25℃)250mm2/sのアミノ変性シリコーン。
・アミノ変性シリコーン(A−2):前記一般式(3)中、R1、R2、R4がCH3、R3が−(CH23−NH2;粘度(25℃)110mm2/sのアミノ変性シリコーン。
・フッ素系界面活性剤(B1−1):パーフルオロオクタン酸
・フッ素系界面活性剤(B2−1):パーフルオロオクタンスルホン酸
・フッ素系界面活性剤(B5−1):ビス[2−(N−プロピルパーフルオロオクチルスルホニルアミノ)エタノール]リン酸エステル
実施例1
ステアリン酸マグネシウム0.5重量部、アミノ変性シリコーン(A−l)2.0重量部、フッ素系界面活性剤(B1−1)0.1重量部および流動パラフィン47.4重量部を110〜120℃で1時間混合した。その後、ポリジメチルシロキサン50.0重量部を加え、30℃に冷却、実施例1の弾性繊維用油剤を調製した。
実施例2〜4および比較例1〜3
表1記載の配合処方で、実施例1と同様にして各成分を配合し、残りの実施例と比較例の弾性繊維用油剤を調製した。
ポリウレタン繊維の乾式紡糸法において、表1の弾性繊維用油剤をローラー給油で弾性繊維用油剤付着量がフィラメント重量に対し4重量%になるよう付与させ、600m/分でチーズに巻き取り、40Dのポリウレタン繊維を得た。
さらに、弾性繊維用油剤の経日安定性試験、膠着性試験、制電性試験を行なった。性能評価結果を併せて表1に示す。
Figure 2008133549
実施例および比較例で得られた弾性繊維用油剤の経日安定性試験、弾性繊維用油剤を付着した糸の膠着性試験法、制電性試験法は以下の通りである。
<弾性繊維用油剤の経日安定性試験>
調製した弾性繊維用油剤100gを、蓋付き145mlガラス製ボトルに入れ、それぞれ5℃、25℃、50℃の恒温槽中に30日間静置した後、その外観を肉眼で観察し、調製直後の弾性繊維用油剤の外観と比較し、次の基準で判定した。
通常の使用用途では、「沈降物無し」が特に好ましく、「層分離はあるが、沈降物無し」が好ましいとされている。
−判定基準−
◎:変化無し。
○:層分離はあるが、沈降物無し。
×:沈降物あり。
<膠着性試験>
紡糸工程で巻き取ったチーズを50℃で2週間エージングを行った繊維を用い、可変倍率(引き出し速度と巻き取り速度との比率の変更が可能)の引き出し巻き取り装置にかけ、50m/分の速度で糸を送り出した時、糸が膠着により巻き込まれずに巻き取ることのできる最低の速度倍率を求め、次の基準で判定した。
通常の使用用途では、50倍以上、80倍未満が特に好ましく、80倍以上、100倍未満が好ましいとされている。
−判定基準−
◎:速度倍数が50倍以上、80倍未満
○:速度倍数が80倍以上、100倍未満
×:速度倍数が100倍以上
<制電性>
膠着性試験と同条件でエージングまで行った繊維を用い、Kaar Mayer社製整経機(DSE−H)を使用し、整経速度600m/分で整経し、発生する静電気を測定した。通常の使用用途では0.5kv以下が特に好ましく、0.5kv以上、3.0kv未満が好ましいとされている。
−判定基準−
◎:0.5kv未満
○:0.5kv以上、3.0kv未満
×:3.0kv以上
表1から明らかなように、本発明の弾性繊維用油剤(実施例1〜4)は、油剤の経日安定性、膠着防止性および制電性のすべてにおいて優れていることが判る。
それに対し、公知の膠着防止剤しか含有しない比較例1〜3は性能項目をすべて満たすものはない。
本発明の弾性繊維用油剤は、油剤の経日安定性、膠着防止性および制電性が優れており、弾性繊維の生産から後加工工程において断糸等のトラブル発生を減らすことができ、特に細デシテックス繊維の高速紡糸工程に好適である。

Claims (5)

  1. アミノ変性シリコーン(A)、およびpKaが−10〜7であるフッ素系界面活性剤(B)を必須成分とすることを特徴とする弾性繊維用油剤。
  2. 該フッ素系界面活性剤(B)が、下記一般式(1)〜(5)でそれぞれ表される化合物(B1)〜(B5)からなる群より選ばれる1種以上である請求項1記載の弾性繊維用油剤。
    Figure 2008133549
    Figure 2008133549
    Figure 2008133549
    Figure 2008133549
    Figure 2008133549
    (式中、Rfは炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基;Yはスルホニルアミノアルキレン(炭素数2〜6)基、N−アルキル(炭素数1〜6)−スルホニルアミノアルキレン(炭素数2〜6)基、カルボニルアミノアルキレン(炭素数2〜6)基、またはN−アルキル(炭素数1〜6)−カルボニルアミノアルキレン(炭素数2〜6)基;nは0または1の整数を表す。)
  3. 油剤の全アミン価(T−AmV)と酸価(AV)との比T−AmV/AVが0.5〜1.5である請求項1または2記載の弾性繊維用油剤。
  4. 請求項1〜3いずれか記載の弾性繊維用油剤を、弾性繊維に対して0.1〜12.0重量%付与する弾性繊維の処理方法。
  5. 請求項4記載の処理方法により処理されてなる弾性繊維。
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