JP4400903B2 - ポリウレタン系弾性繊維用処理剤及び該処理剤を用いたポリウレタン系弾性繊維の処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリウレタン系弾性繊維用処理剤(以下、単に処理剤という)及び該処理剤を用いるポリウレタン系弾性繊維の処理方法(以下、単に処理方法という)に関する。ポリウレタン系弾性繊維の製糸工程においては、その性質上、優れた捲形状のパッケージを得ることが要求され、またポリウレタン系弾性繊維を用いる加工工程においては、これもまたその性質上、用いるポリウレタン系弾性繊維に優れた制電性及びスカム発生防止性を付与して、操業の安定化を図ることが要求される。本発明はかかる要求に応える処理剤及び処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、処理剤として、1)ポリジメチルシロキサン及び/又は鉱物油に高級脂肪酸金属塩を配合した処理剤(特公昭37−4586、特公昭40−5557、特公平6−15745)、2)ポリジメチルシロキサン及び/又は鉱物油にアミノ変性シリコーンを配合した処理剤(特公昭63−8233)、3)ポリジメチルシロキサン及び/又は鉱物油に高級脂肪酸金属塩とアミノ変性シリコーンとを配合した処理剤(特開平10−259577、特開平10−310979)等が提案されている。ところが、これら従来の処理剤には、ポリウレタン系弾性繊維の製糸工程において、得られるパッケージの捲形状が不良であったり、或はこれを用いる加工工程において、例えばポリウレタン系弾性繊維と綿糸とを用いる加工工程において、制電性やスカム発生防止性が不充分であるという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、ポリウレタン系弾性繊維の製糸工程において優れた捲形状のパッケージを得ることができ、同時にその加工工程において用いるポリウレタン系弾性繊維に優れた制電性やスカム発生防止性を付与することができる処理剤及び処理方法を提供する処にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
しかして本発明者らは、上記の課題を解決するべく研究した結果、特定の2成分系又は3成分系から成り、且つそれぞれを所定割合で含有して成る処理剤が正しく好適であり、またかかる処理剤を、希釈することなくニート給油法により、紡糸後でパッケージに捲き取るまでの間のポリウレタン系弾性繊維に対し所定割合となるよう付着させる処理方法が正しく好適であることを見出した。
【0005】
すなわち本発明は、下記のA成分と下記のB成分とから成り、且つ該A成分/該B成分=100/0.01〜100/12(重量比)の割合で含有して成ることを特徴とする処理剤に係る。
【0006】
また本発明は、下記のA成分と、下記のB成分と、更に下記のC成分とから成り、且つ該A成分/該B成分=100/0.01〜100/12(重量比)の割合で含有し、また該A成分/該C成分=100/0.1〜100/10(重量比)の割合で含有して成ることを特徴とする処理剤に係る。
【0007】
更に本発明は、上記のような本発明の処理剤を、希釈することなくニート給油法により、紡糸後でパッケージに捲き取るまでの間のポリウレタン系弾性繊維に対し0.1〜10重量%の割合となるよう付着させることを特徴とする処理方法に係る。
【0008】
A成分:25℃における粘度が2×10-6〜100×10-6m2/sである、シリコーンオイル又はシリコーンオイルと炭化水素油との混合物。
B成分:下記の式1で示されるカルボキシアミド・ポリエーテル変性シリコーン。
C成分:炭素数12〜22の高級脂肪酸のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩。
【0009】
【式1】
【0010】
式1において、
R1:炭素数2〜5のアルキル基又はフェニル基
R2:下記の式2で示されるアミノアルキル変性基
R3:下記の式3で示されるポリエーテル変性基
B1,B2:メチル基又は下記の式3で示されるポリエーテル変性基(但し、sが0の場合は少なくとも一方が下記の式3で示されるポリエーテル変性基)
X1:下記の式4で示されるカルボキシアミド変性基
p,q,r:pは25〜400の整数、qは0〜200の整数、rは0〜5の整数であって、且つ25≦p+q+r≦600を満足する整数
s:0〜10の整数
t:1〜10の整数
【0011】
【式2】
【式3】
【式4】
【0012】
式2,式3,式4において、
R4,R5:炭素数2〜4のアルキレン基
R6:炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数2〜4のアルキレンカルボニル基
R7:水素、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアシル基、フェニル基又は炭素数1〜18のアルキル基で置換された置換アルキルフェニル基
R8,R9:炭素数2〜5のアルキレン基
R10:炭素数2〜20の2〜4価の多価カルボン酸から1個のカルボン酸基を除いた残基
Y:2〜100個のアルキレンオキシ単位で構成されたポリアルキレンオキシ基であって、アルキレンオキシ単位がエチレンオキシ単位及び/又はプロピレンオキシ単位であるポリアルキレンオキシ基
u,v:0又は1
【0013】
本発明の処理剤に供するA成分は潤滑油成分である。かかるA成分には、1)シリコーンオイル、2)シリコーンオイルと炭化水素油との混合物が包含される。シリコーンオイル、炭化水素油としては共に25℃における粘度が2×10-6〜100×10-6m2/sのものを用いるが、25℃における粘度が10×10-6〜30×10-6m2/sのものを用いるのが好ましい。かかる粘度は、JIS−K2283(石油製品動粘度試験方法)に記載された方法で測定される値である。
【0014】
上記のようなシリコーンオイルとしては、1)繰り返し単位がジメチルシロキサン単位から成るポリジメチルシロキサン、2)繰り返し単位がジメチルシロキサン単位と炭素数2〜4のアルキル基を有するジアルキルシロキサン単位とから成るポリジアルキルシロキサン、3)繰り返し単位がジメチルシロキサン単位とメチルフェニルシロキサン単位とから成るポリジオルガノシロキサン等が挙げられるが、なかでもポリジメチルシロキサンが好ましい。また上記のような炭化水素油としては、1)石油留分から得られる流動パラフィン、2)α−オレフィンを重合して得られるα−オレフィン重合体等が挙げられるが、なかでも精製流動パラフィンが好ましい。
【0015】
A成分としては以上説明したようなシリコーンオイルと炭化水素油との混合物を用いるのが好ましく、なかでもシリコーンオイル/炭化水素油=99/1〜10/90(重量比)の割合から成る混合物を用いるのが好ましい。
【0016】
本発明の処理剤に供するB成分は式1で示されるカルボキシアミド・ポリエーテル変性シリコーンである。かかるB成分には、1)式3で示されるポリエーテル変性基を有するシロキサン単位と式4で示されるカルボキシアミド変性基を有するシロキサン単位とを主鎖を構成するシロキサン単位として有するカルボキシアミド・ポリエーテル変性シリコーン、2)式3で示されるポリエーテル変性基を有するシロキサン単位を末端基として有し、且つ式4で示されるカルボキシアミド変性基を有するシロキサン単位を主鎖を構成するシロキサン単位として有するカルボキシアミド・ポリエーテル変性シリコーン、3)式3で示されるポリエーテル変性基を有するシロキサン単位を主鎖を構成するシロキサン単位及び末端基として有し、且つ式4で示されるカルボキシアミド変性基を有するシロキサン単位を主鎖を構成するシロキサン単位として有するカルボキシアミド・ポリエーテル変性シリコーンが包含される。いずれのカルボキシアミド・ポリエーテル変性シリコーンも対応するアミノアルキル変性基及びポリエーテル変性基を有するアミノアルキル・ポリエーテル変性シリコーンと2〜4価の多価カルボン酸とのアミド化反応により合成することができる。
【0017】
式1で示されるカルボキシアミド変性シリコーンにおいて、主鎖を構成するシロキサン単位には、必須の繰り返し単位であるpで括られるジメチルシロキサン単位及びtで括られるシロキサン単位の他に、任意の繰り返し単位であるqで括られるシロキサン単位,rで括られるシロキサン単位及びsで括られるシロキサン単位があり、また末端基には、トリメチルシロキサン単位、トリメチルシリル単位、式3で示されるポリエーテル変性基を有するシロキサン単位、式3で示されるポリエーテル変性基を有するシリル単位がある。
【0018】
qで括られるシロキサン単位には、メチルエチルシロキサン単位、メチルプロピルシロキサン単位、メチルブチルシロキサン単位、メチルペンチルシロキサン単位、メチルフェニルシロキサン単位等がある。rで括られるシロキサン単位は、式2で示されるアミノアルキル変性基1個とメチル基1個とを有するシロキサン単位である。式2で示されるアミノアルキル変性基には、1)式2中のuが0である場合のアルキル基の炭素数が2〜4のアミノアルキル基、2)式2中のuが1である場合のアルキル基の炭素数が2〜4のアミノアルキルイミノアルキル基がある。上記1)のアミノアルキル基としては、アミノエチル基、アミノプロピル基、アミノブチル基等が挙げられるが、なかでもアミノプロピル基が有利に適用できる。また上記2)のアミノアルキルイミノアルキル基としては、N−(2−アミノエチル)−2−イミノエチル基、N−(2−アミノエチル)−3−イミノプロピル基、N−(2−アミノエチル)−4−イミノブチル基等が挙げられるが、なかでもN−(2−アミノエチル)−3−イミノプロピル基が有利に適用できる。
【0019】
sで括られるシロキサン単位は、ポリエーテル変性基1個とメチル基1個とを有するシロキサン単位である。かかるポリエーテル変性基には、1)式3中のR6が炭素数1〜4のアルキレン基であり、したがってポリオキシアルキレン基をかかるアルキレン基を介してケイ素原子に連結したポリエーテル変性基、2)式3中のR6が炭素数2〜4のアルキレンカルボニル基であり、したがってポリオキシアルキレン基をかかるカルボニルアルキレン基を介してケイ素原子に連結したポリエーテル変性基が包含される。この場合、炭素数1〜4のアルキレン基には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等があるが、なかでもプロピレン基が有利に適用できる。また炭素数2〜4のアルキレンカルボニル基には、メチレンカルボニル基、エチレンカルボニル基、プロピレンカルボニル基等があるが、なかでもエチレンカルボニル基が有利に適用できる。
【0020】
式3で示されるポリエーテル変性基において、末端基R7には、1)水素、2)メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、2−ヘキシルデシル基、オクタデシル基、2−オクタデシル基等の炭素数1〜18のアルキル基、3)ビニル基、イソプロペニル基、1−オクテニル基、1−ドデセニル基、シス−11−オクタデセニル基等の炭素数2〜18のアルケニル基、4)アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、ヘキサデセノイル基、エイコセノイル基、オクタデセノイル基等の炭素数2〜18のアシル基、5)フェニル基、6)メチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基等の炭素数1〜18のアルキル基で置換された置換アルキルフェニル基等があるが、なかでも水素、ブチル基、オクチル基が有利に適用できる。
【0021】
式3で示されるポリエーテル変性基において、Yで示されるポリアルキレンオキシ基には、1)エチレンオキシ単位のみで構成されたポリエチレンオキシ基、2)プロピレンオキシ単位のみで構成されたポリプロピレンオキシ基、3)エチレンオキシ単位とプロピレンオキシ単位とで構成されたポリアルキレンオキシ基があるが、1)のポリエチレンオキシ基が好ましい。3)の場合、エチレンオキシ単位とプロピレンオキシ単位の結合様式はランダム状とブロック状とがある。いずれの場合においてもポリアルキレンオキシ基を構成するアルキレンオキシ単位の合計数は2〜100とするが、4〜80とするのが好ましい。
【0022】
tで括られるシロキサン単位は、式4で示されるカルボキシアミド変性基1個とメチル基1個とを有するシロキサン単位である。式4で示されるカルボキシアミド変性基には、1)式4中のvが0である場合のアルキル基の炭素数が2〜5のカルボキシアミドアルキル基、2)式3中のvが1である場合のアルキル基の炭素数が2〜5のカルボキシアミドアルキルイミノアルキル基がある。上記1)のカルボキシアミド変性基としては、N−(2,4−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−2−イミノエチル基、N−(2,5−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−2−イミノエチル基、N−(3,4−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−2−イミノエチル基、N−(2,4−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−3−イミノプロピル基、N−(2,5−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−3−イミノプロピル基、N−(3,4−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−3−イミノプロピル基、N−(2,4−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−4−イミノブチル基、N−(2,5−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−4−イミノブチル基、N−(3,4−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−4−イミノブチル基、N−(2,4,5−トリカルボキシベンゼン−カルボニル)−2−イミノエチル基、N−(2,4,5−トリカルボキシベンゼン−カルボニル)−3−イミノプロピル基、N−(2,4,5−トリカルボキシベンゼン−カルボニル)−4−イミノブチル基等が挙げられるが、なかでもN−(2,4−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−3−イミノプロピル基、N−(2,5−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−3−イミノプロピル基が有利に適用できる。また上記2)のカルボキシアミド変性基としては、N−{N’−(2,4−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−2−イミノエチル}−2−イミノエチル基、N−{N’−(2,5−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−2−イミノエチル}−2−イミノエチル基、N−{N’−(3,4−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−2−イミノエチル}−2−イミノエチル基、N−{N’−(2,4−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−2−イミノエチル}−3−イミノプロピル基、N−{N’−(2,5−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−2−イミノエチル}−3−イミノプロピル基、N−{N’−(3,4−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−2−イミノエチル}−3−イミノプロピル基、N−{N’−(2,4−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−2−イミノエチル}−4−イミノブチル基、N−{N’−(2,5−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−2−イミノエチル}−4−イミノブチル基、N−{N’−(3,4−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−2−イミノエチル}−4−イミノブチル基、N−{N’−(2,4,5−トリカルボキシベンゼン−カルボニル)−2−イミノエチル}−2−イミノエチル基、N−{N’−(2,4,5−トリカルボキシベンゼン−カルボニル)−2−イミノエチル}−3−イミノプロピル基、N−{N’−(2,4,5−トリカルボキシベンゼン−カルボニル)−2−イミノエチル}−4−イミノブチル基等が挙げられるが、なかでもN−{N’−(2,4−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−2−イミノエチル}−3−イミノプロピル基、N−{N’−(2,5−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−2−イミノエチル}−3−イミノプロピル基が有利に適用できる。
【0023】
B成分として用いる式1で示されるカルボキシアミド・ポリエーテル変性シリコーンにおいて、ポリエーテル変性基を有する末端基には、ポリエーテル変性基を有するシロキサン単位とポリエーテル変性基を有するシリル単位とがある。かかるポリエーテル変性基それ自体は前記と同じものである。本発明において、B成分として用いるカルボキシアミド・ポリエーテル変性シリコーンとしては、ポリエーテル変性基を末端基であるシロキサン単位に有するものが好ましい。
【0024】
本発明の処理剤にB成分として用いる式1で示されるカルボキシアミド変性シリコーンにおいて、主鎖を構成することとなるシロキサン単位の繰り返し数は、pを25〜400、qを0〜200、rを0〜5、sを0〜10、tを1〜10とし、且つp+q+rを25〜600とするが、p+q+rを100〜300とするのが好ましい。
【0025】
本発明の処理剤に供するC成分は特定の高級脂肪酸の金属塩である。C成分として用いる高級脂肪酸の金属塩には、1)炭素数12〜22の脂肪酸のアルカリ金属塩、2)炭素数12〜22の脂肪酸のアルカリ土類金属塩、3)炭素数12〜22の脂肪酸のアルカリ金属塩と炭素数12〜22の脂肪酸のアルカリ土類金属塩との混合物が包含される。また炭素数12〜22の脂肪酸のアルカリ土類金属塩には、同一の脂肪酸2分子とアルカリ土類金属1分子とから形成されるもの、異なる脂肪酸2分子とアルカリ土類金属1分子とから形成されるものが包含される。
【0026】
炭素数12〜22の脂肪酸のアルカリ金属塩としては、ラウリン酸カリウム塩、ラウリン酸ナトリウム塩、ラウリン酸リチウム塩、ミリスチン酸カリウム塩、ミリスチン酸ナトリウム塩、ミリスチン酸リチウム塩、パルミチン酸カリウム塩、パルミチン酸ナトリウム塩、パルミチン酸リチウム塩、ステアリン酸カリウム塩、ステアリン酸ナトリウム塩、ステアリン酸リチウム塩、アラキン酸カリウム塩、アラキン酸ナトリウム塩、アラキン酸リチウム塩、ベヘン酸カリウム塩、ベヘン酸ナトリウム塩、ベヘン酸リチウム塩等が挙げられる。また炭素数12〜22の脂肪酸のアルカリ土類金属塩としては、ジラウリン酸マグネシウム塩、ジラウリン酸カルシウム塩、ジラウリン酸亜鉛塩、ジミリスチン酸マグネシウム塩、ジミリスチン酸カルシウム塩、ジミリスチン酸亜鉛塩、ジパルミチン酸マグネシウム塩、ジパルミチン酸カルシウム塩、ジパルミチン酸亜鉛塩、ジステアリン酸マグネシウム塩、ジステアリン酸カルシウム塩、ジステアリン酸亜鉛塩、ジアラキン酸マグネシウム塩、ジアラキン酸カルシウム塩、ジアラキン酸亜鉛塩、ジベヘン酸マグネシウム塩、ジベヘン酸カルシウム塩、ジベヘン酸亜鉛塩、ミリスチン酸パルミチン酸マグネシウム塩、ミリスチン酸パルミチン酸カルシウム塩、ミリスチン酸パルミチン酸亜鉛塩、ミリスチン酸ステアリン酸マグネシウム塩、ミリスチン酸ステアリン酸カルシウム塩、ミリスチン酸ステアリン酸亜鉛塩、パルミチン酸ステアリン酸マグネシウム塩、パルミチン酸ステアリン酸カルシウム塩、パルミチン酸ステアリン酸亜鉛塩等が挙げられる。これらのなかでも、ジミリスチン酸マグネシウム塩、ジパルミチン酸マグネシウム塩、ジステアリン酸マグネシウム塩、ミリスチン酸パルミチン酸マグネシウム塩、パルミチン酸ステアリン酸マグネシウム塩、パルミチン酸ステアリン酸マグネシウム塩及びこれらの混合物が好ましい。
【0027】
本発明の処理剤は、以上説明したA成分とB成分との2成分系から成るもの、或は以上説明したA成分とB成分と更にC成分との3成分系から成るものである。本発明の処理剤において、それがA成分とB成分との2成分系から成るものの場合、A成分/B成分=100/0.01〜100/12(重量比)の割合で含有して成るものとするが、A成分/B成分=100/0.5〜100/5(重量比)の割合で含有して成るものとするのが好ましい。またそれがA成分とB成分と更にC成分との3成分系から成るものの場合、A成分とB成分との含有割合については上記と同様とし、更にA成分/C成分=100/0.1〜100/10(重量比)の割合で含有して成るものとするが、A成分/C成分=100/0.8〜100/4.5(重量比)の割合で含有して成るものとするのが好ましい。
【0028】
本発明の処理剤を調製する方法は特に制限されず、これには公知の方法が適用できる。例えば、3成分系の処理剤を調製する場合、A成分とB成分とC成分とを所定割合で混合し、湿式粉砕して、C成分がコロイド状に分散した分散液を調製する方法が挙げられる。この場合、湿式粉砕に用いる粉砕機としては、縦型ビーズミル、横型ビーズミル、サンドグラインダー、コロイドミル等の公知の湿式粉砕機が挙げられる。
【0029】
本発明の処理剤は、乾式紡糸、溶融紡糸、湿式紡糸等、いずれの方式で製造されるポリウレタン系弾性繊維に対しても適用できるが、なかでも溶融紡糸で製造されるポリウレタン系弾性繊維に適用するのが好ましい。
【0030】
本発明の処理方法は、以上説明した本発明の処理剤を、溶剤等で希釈することなくそのまま給油するいわゆるニート給油法により、ポリウレタン系弾性繊維に付着させる方法である。その付着工程は、紡糸後でパッケージに巻き取るまでの間の工程である。付着方法としては、ローラー給油法、ガイド給油法、スプレー給油法等の公知の方法が適用できる。本発明の処理剤の付着量は、ポリウレタン系弾性繊維に対し0.1〜10重量%の割合となるようにするが、3〜7重量%の割合となるようにするのが好ましい。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の処理剤の実施形態としては、次の1)〜4)が挙げられる。
1)下記のA成分と下記のB成分と更に下記のC成分とから成り、且つ該A成分/該B成分=100/1.02(重量比)の割合で含有し、また該A成分/該C成分=100/1.02(重量比)の割合で含有して成る処理剤。
A成分:25℃における粘度が10×10-6m2/sであるシリコーンオイル(S−1)と25℃における粘度が19×10-6m2/sである精製パラフィン油(P−1)との混合物であって、且つシリコーンオイル(S−1)/精製パラフィン油(P−1)=91.8/8.2(重量比)の割合で含有して成る混合物。
B成分:式1中のpが30、q及びr並びにsが0、tが2、B1及びB2が−C3H6−O−Y1−OC−C7H15で示されるポリエーテル変性基であって且つY1がプロピレンオキシ単位3個とエチレンオキシ単位3個とがランダム結合したポリアルキレンオキシ基である場合のポリエーテル変性基、X1がN−(2,4−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−3−イミノプロピル基である場合の式1で示されるカルボキシアミド・ポリエーテル変性シリコーン。
C成分:ジステアリン酸マグネシウム塩。
【0032】
2)下記のA成分と下記のB成分と更に下記のC成分とから成り、且つ該A成分/該B成分=100/3.13(重量比)の割合で含有し、また該A成分/該C成分=100/1.04(重量比)の割合で含有して成る処理剤。
A成分:25℃における粘度が20×10-6m2/sであるシリコーンオイル(S−2)と25℃における粘度が14×10-6m2/sである精製パラフィン油(P−2)との混合物であって、且つシリコーンオイル(S−2)/精製パラフィン油(P−2)=83.3/16.7(重量比)の割合で含有して成る混合物。
B成分:式1中のpが130、q及びr並びにsが0、tが5、B1及びB2が−C3H6−O−Y2−Hで示されるポリエーテル変性基であって且つY2がプロピレンオキシ単位10個とエチレンオキシ単位5個とがブロック結合したポリアルキレンオキシ基である場合のポリエーテル変性基、X1がN−(2,5−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−3−イミノプロピル基である場合の式1で示されるカルボキシアミド・ポリエーテル変性シリコーン。
C成分:パルミチン酸ステアリン酸亜鉛塩。
【0033】
3)下記のA成分と下記のB成分と更に下記のC成分とから成り、且つ該A成分/該B成分=100/1.04(重量比)の割合で含有し、また該A成分/該C成分=100/3.13(重量比)の割合で含有して成る処理剤。
A成分:前記したシリコーンオイル(S−1)と前記した精製パラフィン油(P−2)との混合物であって、且つシリコーンオイル(S−1)/精製パラフィン油(P−2)=62.5/37.5(重量比)の割合で含有して成る混合物。
B成分:式1中のpが200、q及びr並びにsが0、tが8、B1及びB2が−C3H6−COO−Y3−C4H9で示されるポリエーテル変性基であって且つY3がエチレンオキシ単位10個から成るポリエチレンオキシ基である場合のポリエーテル変性基、X1がN−{N’−(2,4−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−2−イミノエチル}−3−イミノプロピル基である場合の式1で示されるカルボキシアミド・ポリエーテル変性シリコーン。
C成分:ジステアリン酸マグネシウム塩。
【0034】
4)下記のA成分と下記のB成分と更に下記のC成分とから成り、且つ該A成分/該B成分=100/3.19(重量比)の割合で含有し、また該A成分/該C成分=100/3.19(重量比)の割合で含有して成る処理剤。
A成分:前記したシリコーンオイル(S−2)と前記した精製パラフィン油(P−1)との混合物であって、且つシリコーンオイル(S−2)/精製パラフィン油(P−1)=58.5/41.5(重量比)の割合で含有して成る混合物。
B成分:式1中のpが30、q及びr並びにsが0、tが2、B1及びB2が−C3H6−O−Y1−OC−C7H15で示されるポリエーテル変性基であって且つY1がプロピレンオキシ単位3個とエチレンオキシ単位3個とがランダム結合したポリアルキレンオキシ基である場合のポリエーテル変性基、X1がN−{N’−(2,5−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−2−イミノエチル}−3−イミノプロピル基である場合の式1で示されるカルボキシアミド・ポリエーテル変性シリコーン。
C成分:ジステアリン酸マグネシウム塩/ジパルミチン酸マグネシウム塩/パルミチン酸ステアリン酸マグネシウム塩=40/40/20(重量比)の混合物。
【0035】
本発明の処理方法の実施形態としては、次の5)が挙げられる。
5)前記1)〜4)の処理剤を、希釈することなくニート給油法により、紡糸後でパッケージに捲き取るまでの間のポリウレタン系弾性繊維に対し3〜7重量%の割合となるよう付着させる処理方法。
【0036】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため実施例等を挙げるが、本発明が該実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例等において、別に記載しない限り部は重量部を示し、%は重量%を示す。
【0037】
【実施例】
・試験区分1(B成分としてのカルボキシアミド・ポリエーテル変性シリコーンの合成)
・カルボキシアミド・ポリエーテル変性シリコーン(B−1)の合成
メチルハイドロジェンポリジメチルシロキサン(メチルハイドロジェンシロキサン単位2個、ジメチルシロキサン単位30個、トリメチルシロキサン単位1個、トリメチルシリル単位1個から構成されたもの)2505g(1モル)、オクタノイルポリアルキレングリコールモノアリルエーテル(ポリアルキレングリコールがエチレンオキシ単位3個とプロピレンオキシ単位3個とがランダム結合したもの)981g(2モル)、触媒として塩化白金6水和物0.1g及びトルエン2000mlを反応容器に仕込み、反応系の温度を110℃に保ち、10時間付加反応を行なった。反応系からキシレンを減圧留去した後、触媒を濾別し、中間体としてポリエーテル変性シリコーンを得た。別に、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン490g(3モル)及び水144g(8モル)を反応容器に仕込み、反応系の温度を40℃に保ち、2時間重合反応を行なった後、80℃で2時間減圧脱水処理し、中間体としてアミノ基含有ポリシロキサンを得た。かくして得たポリエーテル変性シリコーン1743g(0.5モル)及びアミノ基含有ポリシロキサン135g(1モル)を反応容器に仕込み、均一に混合した後、水酸化カリウム0.1gを加えて、反応系の温度を98℃に保ち、24時間反応を行なった。反応物を酢酸で中和した後、更に無水トリメリット酸193g(1モル)を加え、反応系の温度を150〜175℃として、6時間アミド化反応を行ない、生成物を得た。この生成物を分析したところ、式1中のpが30、q及びr並びにsが0、tが2、B1及びB2が−C3H6−O−Y1−OC−C7H15で示されるポリエーテル変性基であって且つY1がプロピレンオキシ単位3個とエチレンオキシ単位3個とがランダム結合したポリアルキレンオキシ基である場合のポリエーテル変性基、X1がN−(2,4−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−3−イミノプロピル基である場合のカルボキシアミド・ポリエーテル変性シリコーン(B−1)であった。
【0038】
・カルボキシアミド変性シリコーン(B−2)〜(B−6)及び(b−1)〜(b−5)の合成
カルボキシアミド・ポリエーテル変性シリコーン(B−1)と同様にして、カルボキシアミド・ポリエーテル変性シリコーン(B−2)〜(B−6)及び(b−1)〜(b−5)を合成した。合成した各カルボキシアミド・ポリエーテル変性シリコーンの内容を表1に示した。
【0039】
【表1】
【0040】
表1において、
AM−1:3−アミノプロピル基
AM−2:N−(2−アミノエチル)−3−イミノプロピル基
PE−1:−C3H6−O−Y1−OC−C7H15で示されるポリエーテル変性基であって且つY1がプロピレンオキシ単位3個とエチレンオキシ単位3個とがランダム結合したポリアルキレンオキシ基である場合のポリエーテル変性基
PE−2:−C3H6−O−Y2−Hで示されるポリエーテル変性基であって且つY2がプロピレンオキシ単位10個とエチレンオキシ単位5個とがブロック結合したポリアルキレンオキシ基である場合のポリエーテル変性基
PE−3:−C3H6−COO−Y3−C4H9で示されるポリエーテル変性基であって且つY3がエチレンオキシ単位10個から成るポリエチレンオキシ基である場合のポリエーテル変性基
CD−1:N−(2,4−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−3−イミノプロピル基
CD−2:N−(2,5−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−3−イミノプロピル基
CD−3:N−{N’−(2,4−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−2−イミノエチル}−3−イミノプロピル基
CD−4:N−{N’−(2,5−ジカルボキシベンゼン−カルボニル)−2−イミノエチル}−3−イミノプロピル基
CD−5:N−(2−カルボニルエチル−カルボニル)−3−イミノプロピル基
CD−6:N−{N’−(2,4,5−トリカルボキシベンゼン−カルボニル)−2−イミノエチル}−3−イミノプロピル基
【0041】
・試験区分2(処理剤の調製)
・処理剤(T−1)の調製
A成分として25℃における粘度が10×10-6m2/sであるシリコーンオイル(S−1)90部と25℃における粘度が19×10-6m2/sである精製パラフィン油(P−1)8部、及びB成分として試験区分1で合成したカルボキシアミド・ポリエーテル変性シリコーン(B−1)1部を混合し、更にC成分としてジステアリン酸マグネシウム塩(C−1)1部を加え、20〜25℃の温度で均一になるまで混合した後、横型ビーズミルを用いて湿式粉砕し、ジステアリン酸マグネシウム塩(C−1)がコロイド状に分散された分散液として処理剤(T−1)を調製した。
【0042】
・処理剤(T−2)〜(T−5)の調製
処理剤(T−1)と同様にして、処理剤(T−2)〜(T−5)を調製した。これらの処理剤の内容を表2に示した。
【0043】
・処理剤(T−6)の調製
A成分として前記したシリコーンオイル(S−1)98部、及びB成分として試験区分1で合成したカルボキシアミド・ポリエーテル変性シリコーン(B−3)2部を20〜25℃の温度で混合して処理剤(T−6)を調製した。
【0044】
・処理剤(T−7)〜(T−9)及び(t−1)〜(t−6)の調製
処理剤(T−6)の調製と同様にして、処理剤(T−7)〜(T−9)及び(t−1)〜(t−5)を調製した。これらの処理剤の内容を表2に示した。
【0045】
【表2】
【0046】
表2において、
S/P:シリコーンオイルと炭化水素油との割合(重量比)
(S+P)/B:A成分100部に対するB成分としてのカルボキシアミド変性シリコーンの部数
(S+P)/C:A成分100部当に対するC成分の部数
S−1:25℃における粘度が10×10-6m2/sであるポリジメチルシロキサン
S−2:25℃における粘度が20×10-6m2/sであるポリジメチルシロキサン
P−1:25℃における粘度が19×10-6m2/sである精製パラフィン油
P−2:25℃における粘度が14×10-6m2/sである精製パラフィン油
P−3:25℃における粘度が40×10-6m2/sであるα−オレフィン重合物
B−1〜B−6,b−1〜b−5:表1に記載の式1で示されるカルボキシアミド・ポリエーテル変性シリコーン
C−1:ジステアリン酸マグネシウム塩
C−2:パルミチン酸ステアリン酸亜鉛塩
C−3:ジステアリン酸マグネシウム塩/ジパルミチン酸マグネシウム塩/パルミチン酸ステアリン酸マグネシウム塩=40/40/20(重量比)の混合物
C−4:ステアリン酸カリウム塩
【0047】
・試験区分3(ポリウレタン系弾性繊維への処理剤の付着及びその評価)
・ポリウレタン系弾性繊維の製造及び処理剤の付着
分子量1000のポリテトラメチレングリコールとジフェニルメタンジイソシアネートとから得たポリウレタン重合体を用いて溶融紡糸したポリウレタン系弾性繊維に、試験区分2で調製した各処理剤をローラーオイリング法で表3に記載の付着量となるようニート給油し、引き続き600m/分の速度で紙管に巻き取り、捲き幅38mm、捲き量400gの44デシテックス/1フィラメントの処理済みポリウレタン系弾性繊維から成るパッケージを得た。
【0048】
・捲形状の評価
上記で得た処理済みポリウレタン系弾性繊維のパッケージについて、バルジとサドルを測定すると共に、端面における綾落ちを肉眼観察し、捲形状を評価した。
【0049】
バルジ(単位:mm):パッケージの捲き幅の最大幅(Wmax)と最小幅(Wmin)を計測し、その差を下記の式を用いて計算して、下記の基準で評価した。結果を表3にまとめて示した。
バルジ=(Wmax)−(Wmin)
○:5mm未満
△:5〜7mm
×:7mm超
【0050】
サドル(単位:mm):ポリウレタン系弾性繊維の捲き幅が正面に見えるようにパッケージを置き、パッケージの最大円周部分の直径(Lmax)と最小円周部分の直径(Lmin)を計測し、その差を下記の式を用いて計算して、下記の基準で評価した。結果を表3にまとめて示した。
サドル=(Lmax)−(Lmin)
○:1mm未満
△:1〜2mm
×:2mm超
【0051】
綾落ち:パッケージの端面において巻き取られた処理済みポリウレタン系弾性繊維が円周面から滑落している程度を肉眼で観察し、下記の基準で評価した。結果を表3にまとめて示した。
○:綾落ちが認められない。
×:綾落ちが認められる。
【0052】
・制電性の評価
上記で得た処理済みポリウレタン系弾性繊維のパッケージを、ミニチュア整経機へ、10本仕立て、25℃×50%RHの雰囲気下に糸速200m/分で走行させ、ミニチュア整経機のクリールスタンドとフロントローラーとの間を走行する糸条の帯電圧を帯電圧測定機(春日社製の集電管KS−525)で測定し、その測定値を下記の基準で評価した。結果を表3にまとめて示した。
◎:帯電圧が1kV未満、全く問題なく操業できる。
○:帯電圧が1kV以上2kV未満、問題なく操業できる。
△:帯電圧が2kV以上2.5kV未満、操業性にやや問題がある。
×:帯電圧が2.5kV以上、操業できない。
【0053】
・スカムの評価
上記で得た処理済みポリウレタン系弾性繊維のパッケージ5本と綿糸(40S)5本を交互に、ミニチュア整経機へ、10本仕立て、25℃×50%RHの雰囲気下に糸速200m/分で11万m巻き取った。この際、ミニチュア整経機のクシガイドに対するスカムの付着及び蓄積状態を肉眼観察し、下記の基準で評価した。結果を表3にまとめて示した。
◎:スカムの付着が認められない。
○:スカムがやや付着しているが、糸の走行に問題はない。
×:スカムの付着及び蓄積が多く、糸の安定走行に大きな問題がある。
【0054】
【表3】
【0055】
【発明の効果】
既に明らかなように、以上説明した本発明には、ポリウレタン系弾性繊維の製糸工程において優れた捲形状のパッケージを得ることができ、同時にその加工工程において用いるポリウレタン系弾性繊維に優れた制電性やスカム発生防止性を付与することができるという効果がある。
Claims (8)
- 下記のA成分と下記のB成分とから成り、且つ該A成分/該B成分=100/0.01〜100/12(重量比)の割合で含有して成ることを特徴とするポリウレタン系弾性繊維用処理剤。
A成分:25℃における粘度が2×10-6〜100×10-6m2/sである、シリコーンオイル又はシリコーンオイルと炭化水素油との混合物。
B成分:下記の式1で示されるカルボキシアミド・ポリエーテル変性シリコーン。
【式1】
{式1において、
R1:炭素数2〜5のアルキル基又はフェニル基
R2:下記の式2で示されるアミノアルキル変性基
R3:下記の式3で示されるポリエーテル変性基
B1,B2:メチル基又は下記の式3で示されるポリエーテル変性基(但し、sが0の場合は少なくとも一方が下記の式3で示されるポリエーテル変性基)
X1:下記の式4で示されるカルボキシアミド変性基
p,q,r:pは25〜400の整数、qは0〜200の整数、rは0〜5の整数であって、且つ25≦p+q+r≦600を満足する整数
s:0〜10の整数
t:1〜10の整数}
【式2】
【式3】
【式4】
(式2,式3,式4において、
R4,R5:炭素数2〜4のアルキレン基
R6:炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数2〜4のアルキレンカルボニル基
R7:水素、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアシル基、フェニル基又は炭素数1〜18のアルキル基で置換された置換アルキルフェニル基
R8,R9:炭素数2〜5のアルキレン基
R10:炭素数2〜20の2〜4価の多価カルボン酸から1個のカルボン酸基を除いた残基
Y:2〜100個のアルキレンオキシ単位で構成されたポリアルキレンオキシ基であって、アルキレンオキシ単位がエチレンオキシ単位及び/又はプロピレンオキシ単位であるポリアルキレンオキシ基
u,v:0又は1) - 請求項1記載のA成分と、請求項1記載のB成分と、更に下記のC成分とから成り、且つ該A成分/該B成分=100/0.01〜100/12(重量比)の割合で含有し、また該A成分/該C成分=100/0.1〜100/10(重量比)の割合で含有して成ることを特徴とするポリウレタン系弾性繊維用処理剤。
C成分:炭素数12〜22の高級脂肪酸のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩。 - A成分が、シリコーンオイル/炭化水素油=99/1〜10/90(重量比)の割合から成る混合物である請求項1又は2記載のポリウレタン系弾性繊維用処理剤。
- B成分が、式1中のsが0である場合のカルボキシアミド・ポリエーテル変性シリコーンである請求項1、2又は3記載のポリウレタン系弾性繊維用処理剤。
- B成分が、式1中のB1,B2が式3で示されるポリエーテル変性基である場合のカルボキシアミド変性シリコーンである請求項1、2、3又は4記載のポリウレタン系弾性繊維用処理剤。
- B成分が、式1中のX1として式4中のR10が炭素数2〜20の3価又は4価の多価カルボン酸から1個のカルボン酸基を除いた残基である場合のカルボキシアミド変性基を有するカルボキシアミド・ポリエーテル変性シリコーンである請求項1、2、3、4又は5記載のポリウレタン系弾性繊維用処理剤。
- 溶融紡糸により製造されるポリウレタン系弾性繊維用のものである請求項1、2、3、4、5又は6記載のポリウレタン系弾性繊維用処理剤。
- 請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のポリウレタン系弾性繊維用処理剤を、希釈することなくニート給油法により、紡糸後でパッケージに捲き取るまでの間のポリウレタン系弾性繊維に対し0.1〜10重量%の割合となるよう付着させることを特徴とするポリウレタン系弾性繊維の処理方法。
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