JP2004270091A - 弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】油剤中で良好な分散性を有し、油剤中で長期間安定な分散状態を維持可能な弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムと、その製造方法およびそれを含有する弾性繊維用油剤を提供し、本発明の弾性繊維用油剤を使用することで紡糸時の糸切れが少なく、引張強度の高い弾性繊維を得ることができる。
【解決手段】平均粒径が0.01〜3μm、粒度分布の標準偏差が0.4以下、かつ95%粒径が平均粒径の3倍以下である弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムと、その製造方法およびそれを0.005〜15重量%含有する弾性繊維用油剤。
【選択図】 なし
【解決手段】平均粒径が0.01〜3μm、粒度分布の標準偏差が0.4以下、かつ95%粒径が平均粒径の3倍以下である弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムと、その製造方法およびそれを0.005〜15重量%含有する弾性繊維用油剤。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、弾性繊維の加工時に用いる弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムに関し、詳しくは、油剤中で良好な分散性を有する弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムと、その製造方法およびそれを含有する弾性繊維用油剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
弾性繊維は近年、衣料用繊維に幅広く用いられている代表的な繊維である。弾性繊維は、通常の衣料用繊維と比較して非常に伸びやすく、かつ糸同士の粘着性が大きい。そのため、400〜1000m/分という速度で弾性繊維を加工する際、糸が互いに粘着して解舒性が悪くなり、紡糸工程や編成工程などの工程で糸切れを多発する欠点を有している。そのため、糸の摩擦抵抗を低下させ、解舒性を向上させることが生産性を向上させる上で重要である。
そこで、弾性繊維を加工する際には、弾性繊維の内部や表面に油剤が使用されている。弾性繊維用油剤には、脂肪酸エステル、アルコールのエチレンオキシド付加物、脂肪酸のエチレンオキシド付加物、変性シリコーン化合物、脂肪酸金属塩等が使用されるが、これらのうち糸の摩擦抵抗を低下させ、かつ解舒性を向上させる能力が高い脂肪酸マグネシウム塩、特にステアリン酸マグネシウム塩が好まれて使用されている。
【0003】
ステアリン酸マグネシウムを弾性繊維用油剤に用いた例としては、例えば、3種類のシリコーン化合物(直鎖状ポリオルガノシロキサン、分岐状ポリエーテル変性シリコーンおよびアミノ変性シリコーン)とステアリン酸マグネシウムを含有するポリウレタン系弾性糸用油剤(例えば、特許文献1)、2種類のシリコーン化合物(ポリジメチルシロキサン、アミノ変性シリコーン)と平均粒径が0.5μm以下、かつ最大粒径が1.5μm以下のステアリン酸マグネシウムとを特定量含有する弾性糸用油剤(例えば、特許文献2)、特定量の脂肪酸マグネシウム塩と粘度の異なるシリコーン化合物を添加したポリウレタン弾性繊維(例えば、特許文献3)が知られている。
【0004】
しかし、これまで用いられてきたステアリン酸マグネシウムは、大粒径の粒子を多量に含有し、速やかに微分散するための粒子径と分布を有していなかった。また、親水性が不足するため、油剤組成物に用いられる極性溶媒などに対する親和性が不充分であった。さらに、粒子間に適度な空隙を有していなかったため、油剤中で速やかに微分散させることが困難であった。そのため、凝集したステアリン酸マグネシウムが糸の摩擦抵抗の低下を誘発したり、また弾性繊維の強度の低下を誘発するなどの問題点があった。
【0005】
【特許文献1】特開平9−217283号公報(特許請求の範囲、第2頁)
【特許文献2】特開2000−144578号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開2001−115377号公報(特許請求の範囲)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の問題点を解決し、油剤に対して良好な分散性を有する弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムと、その製造方法およびそれを含有する弾性繊維用油剤を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、
(1)平均粒径が0.01〜3μm、粒度分布の標準偏差が0.4以下であり、かつ95%粒径が平均粒径に対して3倍以下である弾性繊維用ステアリン酸マグネシウム。
(2)嵩比重が0.07〜0.11である前記(1)記載の弾性繊維用ステアリン酸マグネシウム。
(3)水分の飽和吸着量がステアリン酸マグネシウムに対して5.5〜10重量%である前記(1)記載の弾性繊維用ステアリン酸マグネシウム。
(4)ステアリン酸カリウムと、無機マグネシウム化合物とを反応させて弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムを製造するにあたり、ステアリン酸カリウム0.1〜15重量%水溶液と、ステアリン酸カリウムに対して0.95〜1.05当量比の無機マグネシウム化合物の水溶液とを、70℃以下の温度で混合することを特徴とする前記(1)記載の弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムの製造方法。
(5)ステアリン酸カリウムと、無機マグネシウム化合物とを反応させて弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムを製造するにあたり、ステアリン酸カリウム0.1〜15重量%水溶液と、ステアリン酸カリウムに対して0.95〜1.05当量比の無機マグネシウム化合物の水溶液とを混合して得られた金属石鹸スラリーを、70℃以下の温度で乾燥処理することを特徴とする前記(1)記載の弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムの製造方法。
(6)前記(1)〜(3)記載の弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムを0.005〜15重量%含有する弾性繊維用油剤である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムは、その平均粒径が0.01μm〜3μm、好ましくは0.01μm〜2μmであり、粒度分布の標準偏差が0.4以下、好ましくは0.3以下であり、かつ95%粒径が平均粒径に対して3倍以下である。
95%粒径とは、ステアリン酸マグネシウムの全量中の95重量%がその粒径以下であることを示し、平均粒径に対する95%粒径の比率が小さいほど、粒度分布の粒度幅がより狭く、平均粒径より大きい粒子が少ないことを示す。
平均粒径、粒度分布の標準偏差、および95%粒径は、レーザー回折法、遠心沈降光透過法、X線透過法、電気的検知帯法、遮光法、超音波減衰分光法、画像処理法など、動的散乱法など一般的に知られる粒度分布の測定方法により各々求めることができるが、その中でも微細な粒子に対しては、レーザー回折法、画像処理法および動的散乱法が好適に使用される。
【0009】
本発明の弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムは、油剤に投入した際に偏在や凝集を生じることなく、速やかに均一に微分散させることができる。その結果、弾性繊維に対して充分な摩擦抵抗の軽減と、強度を与えることができる。
ステアリン酸マグネシウムの平均粒径が3μmを越える場合、粒度分布の標準偏差が0.4を超える場合、あるいは95%粒径が平均粒径に対して3倍を超える場合、いずれも油剤中で粒子が凝集しやすく、繊維内部にて偏在が生じやすくなるため、糸の伸延時の強度が低下し、糸切れを生じやすい。
【0010】
本発明の弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムは、さらに嵩比重が0.07〜0.11であることが好ましい。
嵩比重は、パウダーテスターなどの既知の評価装置などを用いることで求められるほか、300メッシュ程度のふるい機を通して、秤量したメスシリンダー上部から自然にステアリン酸マグネシウムを一定重量蓄積させたときの容量から算出することもできる。
嵩比重が0.07〜0.11であるステアリン酸マグネシウムは、粒子間に空隙が多いことから、油剤中で速やかに均一に微分散することができる。そのため、得られる弾性繊維に対して充分な摩擦抵抗の軽減と、強度を与えることができる。
【0011】
また、本発明の弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムは、水分の飽和吸着量がステアリン酸マグネシウムに対して5.5〜10重量%であることが好ましい。
ここでいう水分の飽和吸着量とは、温度25℃、湿度50%の条件下でステアリン酸マグネシウムを静置し、ステアリン酸マグネシウムの重量増加が平衡に達したときの水分吸着量のことを指す。飽和水分吸着量の測定は既知の方法を用いることができるが、カールフィッシャー式水分測定法などのような、より再現性が高く定量的に水分を測定できる手法を用いることが好ましい。
水分の飽和吸着量がステアリン酸マグネシウムに対して5.5〜10重量%であるステアリン酸マグネシウムを用いた場合、油剤に用いるジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ポリジメチルシロキサン、アミノ変性シリコーン、エステル変性シリコーンなどの極性油剤に対して親和性がより高くなり、その結果、油剤中での粒子の分散性がより良好となる。そのため、糸の強度が増加し、かつ充分な潤滑性を弾性繊維に付与できることから、紡糸時において糸切れが生じにくく、糸の膠着抑制効果を向上することができる。
【0012】
本発明の弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムは、ステアリン酸カリウム0.1〜15重量%水溶液と、ステアリン酸カリウムに対して0.95〜1.05当量比の無機マグネシウム化合物の水溶液とを、70℃以下の温度で混合して金属石鹸スラリーを調製し、次いでこのスラリーを乾燥処理する方法で得ることができる。
本発明の製造方法で用いるステアリン酸カリウム水溶液の濃度は0.1〜15重量%であり、好ましくは0.5〜7重量%である。0.1重量%未満の場合は、所望のステアリン酸マグネシウムを得る際に歩留まりが低く、生産効率が悪くなる。また、15重量%を超える場合は、無機マグネシウム化合物の水溶液と混合した際、粘度が高く充分な攪拌効率が得られないため、所望の平均粒子径と粒度分布を有するステアリン酸マグネシウムが得られない場合がある。
【0013】
本発明の製造方法で用いる無機マグネシウム化合物は、水溶性の無機マグネシウム塩であり、水に対する溶解性の点から、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、あるいはこれらの混合物を使用することが好ましい。
また、無機マグネシウム化合物は、ステアリン酸カリウムに対して0.95〜1.05当量比を水溶液にして添加する。好ましい当量比は0.97〜1.03である。無機マグネシウム化合物の添加量がステアリン酸カリウムに対して0.95当量未満の場合、すなわちステアリン酸カリウムが無機マグネシウム塩よりも過剰に存在する場合、混合により得られるスラリーが乳化し、粒子の濾過効率が著しく低下し、ステアリン酸マグネシウムの粒子を単離できない。無機マグネシウム化合物の添加量がステアリン酸カリウムに対して1.05当量を超える場合は、得られる粒子が凝集し、平均粒径が3μmを超える場合が多く、好ましくない。
【0014】
本発明の製造方法で用いる無機マグネシウム化合物の水溶液の濃度は、特に限定しないが、高濃度であれば、得られるスラリーの濃度が増加するため、より高効率で所望のステアリン酸マグネシウムを得ることができる。また、より微細な平均粒径を有するステアリン酸マグネシウムを得るためには、より低濃度であることが好ましく、具体的には0.1〜10重量%であり、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0015】
本発明のステアリン酸マグネシウムは、ステアリン酸カリウム水溶液と、無機マグネシウム化合物の水溶液を混合して得られたスラリーを熟成、濾過、水洗した後、乾燥工程を経て得られる。
本発明の製造方法において、混合温度は70℃以下である。
混合温度が70℃を超える場合は、ステアリン酸マグネシウムの粒子が速やかに成長し、平均粒径、粒度分布の標準偏差、あるいは平均粒径に対する95%粒径が本発明のステアリン酸マグネシウムの範囲を超え、油剤組成物中で良好な分散性を確保できない。
【0016】
また、本発明の製造方法において、乾燥工程の温度は70℃以下である。
乾燥温度が70℃を超える場合、ステアリン酸マグネシウムの粒子が凝集を起し、平均粒径、粒度分布の標準偏差、あるいは平均粒径に対する95%粒径が本発明のステアリン酸マグネシウムの範囲を超え、油剤中で良好な分散性を確保できない。
さらに、熟成、濾過、水洗工程の各工程の温度についても、70℃以下であることが好ましい。
【0017】
ステアリン酸カリウム塩水溶液と、無機マグネシウム化合物の水溶液とを混合する際には、できる限り早く、2種の水溶液の当量比を保ちながら均一に混合することが好ましい。一方の溶液に、別の溶液を滴下する方法を用いた場合、得られる粒子が凝集して成長しやすく、平均粒径、粒度分布の標準偏差、あるいは平均粒径に対する95%粒径が本発明のステアリン酸マグネシウムの範囲を超える場合がある。
【0018】
より粒度分布の整ったステアリン酸マグネシウムを得る場合は、2種の水溶液の当量比を保ちながら、それぞれを別の方向から、同時に狭空間内に投入して混合後、その反応液を速やかに狭空間外に排出することが好ましい。このような操作をすることで、反応直後のステアリン酸マグネシウムに未反応の原料が作用して粒子が成長しないため、より粒度分布の整ったステアリン酸マグネシウムを得ることができる。
【0019】
また、平均粒径が0.5μm以下の、より微細なステアリン酸マグネシウムを得るためには、前述した条件に加えて、ステアリン酸カリウム水溶液と無機マグネシウム化合物の水溶液の濃度を低く、例えば、それぞれを2〜3重量%、0.5〜1重量%に調製し、65℃の低温で前述の2種の水溶液を衝突、混合し、反応後のステアリン酸マグネシウムのスラリーをより速やかに冷却・濾過・水洗し、得られるステアリン酸マグネシウムケーキを攪拌することなく30℃以下で乾燥することが特に好ましい。
【0020】
さらに、平均粒径が0.1μm以下の、さらに微細なステアリン酸マグネシウムを得るためには、前述した条件に加えて、ステアリン酸カリウム水溶液と無機マグネシウム化合物の水溶液とを混合する際、既知のマイクロリアクターなどを用いて、より微細な空間内で行い、反応後のスラリーを微細な空間を有する冷却装置に通すことで瞬間的に冷却し、以後の乾燥温度を常温以下とすることが特に好ましい。また、常温以下で乾燥を行う際には、フリーズドライ乾燥装置などを用いた凍結乾燥法や、エバポレーターや減圧乾燥装置などを用いた減圧、真空乾燥法にて処理することで、より効率よく乾燥を行うことができる。
【0021】
上述した方法により得られる本発明のステアリン酸マグネシウムは、従来の粉砕法を用いたステアリン酸マグネシウムとは性状が異なり、例えば、本発明の平均粒径が1.5μmのステアリン酸マグネシウム粒子の場合、アスペクト比1.5以上の主に短冊状粒子として得られる。このような粒子は表面積が高く、嵩比重が高く、結晶密度が高い。また、粒子表面がより親水性となる。そのため、油剤に使用する極性油剤に対して親和性がより高く、油剤中での粒子の分散性がより良好となり、得られる弾性繊維に対して充分な摩擦抵抗の軽減と、強度を与えることができる。
【0022】
本発明のステアリン酸マグネシウムを油剤中に分散させる場合、その分散装置および攪拌装置は公知のものを使用することができる。たとえばホモジナイザー、ヘンシェルミキサー、ボールミル、ディスパー、タービン型攪拌羽根、ヘリカルリボン型攪拌羽根などを使用することができる。
【0023】
本発明の弾性繊維用油剤は、本発明のステアリン酸マグネシウムを0.005〜15重量%含有する。
ステアリン酸マグネシウムの含有量が0.005重量%未満の場合は、弾性繊維に対して充分な潤滑性が付与できず、紡糸機等に対して磨耗が生じやすくなり、整経、編み立ての工程でスカムが発生し、糸切れや製品の品位低下等が生じる。また、ステアリン酸マグネシウムの含有量が15重量%を超える場合は、弾性繊維の強度が十分に維持できず、糸切れを誘発する。
【0024】
本発明の弾性繊維用油剤においては、本発明の効果を損なわない範囲で、通常、油剤に使用されている成分を含有させること可能である。例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒンダードアミン系化合物等の紫外線吸収剤;ヒンダードフェノール系化合物等の酸化防止剤;硫酸バリウム、酸化マグネシウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、酸化セシウム、銀イオン、各種顔料などの無機微粒子;脂肪酸カルシウム、ポリテトラフルオロエチレン、オルガノポリシロキサン等の粘着防止剤;その他に防黴剤、黄変防止剤、難燃剤、抗菌剤、着色剤等を適宜含有することができる。
また、本発明のステアリン酸マグネシウムを表面処理油剤に用いる場合は、前述した各種添加剤に加えて精製パラフィン油などの鉱物油、カルボキシアミド変性シリコーンなどを用いてもよい。
【0025】
本発明のステアリン酸マグネシウムを油剤に用いる場合には、使用前にステアリン酸マグネシウムを70℃以下で乾燥し、ステアリン酸マグネシウム中の水分量を2.0重量%以下、好ましくは1.5重量%以下に減らすことが好ましい。この操作によって、平均粒子径などの変化を少なく水分含有量を減らすことができる。ポリウレタンのプレポリマーなどを製造する際に、この水分含量の低いステアリン酸マグネシウムを使用した場合、ウレタン生成を阻害することがなくなるため、より良好な強度を有する弾性繊維を得ることができる。
【0026】
本発明の弾性繊維用油剤を用いて調製する弾性繊維としては、弾性繊維用ポリウレタン重合体組成物を挙げることができる。代表的なものとしては、有機ジイソシアネートと実質的に線状の高分子ジオールで調製したイソシアネート末端のプレポリマーに、多官能性活性水素原子を有する鎖伸長剤、および単官能性活性水素原子を有する末端封鎖剤を反応させて得られるウレタン基を有する弾性高分子重合体などを用いることができる。
【0027】
有機ジイソシアネートとしては、例えば脂肪族、脂環族、芳香族のジイソシアネートの中で、反応条件下で溶解または液状を示すものすべてを適用することができる。例えば、メチレン−ビス(4−フェニルイソシアネート)、メチレン−ビス(3−メチル−4−フェニルイソシアネート)、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−およびp−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−p−キシリレンジイソシアネート、m−およびp−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジメチル−1,3−キシリレンジイソシアネート、1−アルキルフェニレン−2,4および2,6−ジイソシアネート、3−(α−イソシアネートエチル)フェニルイソシアネート、2,6−ジエチルフェニレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニル−ジメチルメタン−4,4−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレン−ビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−および1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3,3,5−トリメチル−5−メチレンシクロヘキシルジイソシアネート等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。好ましくは、メチレン−ビス(4−フェニルイソシアネート)である。
【0028】
高分子ジオールとしては、両末端にヒドロキシル基を持つ実質的に線状の高分子体であり、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリペンタメチレングリコール、炭素数1〜8の直鎖状またはランダム状にエーテル結合している共重合ポリアルキレンエーテルジオール等のポリエーテルジオール;アジピン酸、セバチン酸、マレイン酸、イタコン酸、アゼライン酸、マロン酸等の二塩基酸の1種以上とエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、1,10−デカンジオール、1,3−ジメチロールシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン等のグリコールの一種以上から得られたポリエステルジオール;またはポリエステルアミドジオール;ポリエーテルエステルジオール;ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール等のポリラクトンジオール;ポリカーボネートジオール等を挙げることができる。
【0029】
多官能性活性水素原子を有する鎖伸長剤としては、例えば、ヒドラジン、ポリヒドラジド、エチレンジアミン,プロピレンジアミン,ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン,m−キシリレンジアミン,p−キシリレンジアミン等のポリアミン、ヒドロキシルアミン、1,4ブタンジオール、1,6ヘキサンジオール、エチレングリコール、1,8オクタンジオール等のポリオール、水等を挙げることができる。
【0030】
単官能性活性水素原子を有する末端停止剤としては、例えば、ジエチルアミンのようなジアルキルアミン等が用いられる。
【0031】
上記ポリウレタン重合体組成物には、所望により、公知のポリウレタン重合体組成物に使用される特定の化学構造を有する有機または無機の配合剤、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒンダードアミン系化合物等の紫外線吸収剤;ヒンダードフェノール系化合物等の酸化防止剤;硫酸バリウム、酸化マグネシウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト等のような無機微粒子;ポリテトラフルオロエチレン、オルガノポリシロキサン等の粘着防止剤;その他に防黴剤、黄変防止剤、難燃剤、抗菌剤、着色剤等を適宜含有することができる。
【0032】
【実施例】
本発明を実施例でさらに詳しく説明する。
【0033】
〈弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムの製造〉
(1)製造例1(ステアリン酸マグネシウムNo.1の調製)
定量ポンプにて、ステアリン酸カリウム水溶液と無機マグネシウム化合物の水溶液を別々に供給混合可能なパイプラインホモミキサー、および直径6cmのタービン羽根を有する攪拌装置付きの2リットルの受け容器を用意した。
72℃のステアリン酸カリウム9.0重量%水溶液、73℃の硫酸マグネシウム2.0重量%水溶液を、ステアリン酸カリウム水溶液に対する硫酸マグネシウム水溶液の混合時の当量比が1.02となるよう、定量ポンプを用いて別方向から混合装置に導入しながら350rpmで混合しながら反応液を吐出し、総量500gの金属石鹸スラリーを得た。この際の2種水溶液の反応温度は70℃であった。
次に、得られた金属石鹸スラリーを65℃条件下で10分間熟成後、濾過し、得られた金属石鹸ケーキを2回水洗した。水洗後の金属石鹸ケーキを、常圧65℃の条件下で乾燥し、ステアリン酸マグネシウムNo.1を得た。電子顕微鏡の測定結果より、ステアリン酸マグネシウムNo.1は短冊状であった。
【0034】
(2)製造例2(ステアリン酸マグネシウムNo.2の調製)
製造例1と同様の装置で、60℃のステアリン酸カリウム1.5重量%水溶液、60℃の硫酸マグネシウム0.8重量%水溶液を用い、第1表に示すステアリン酸カリウム水溶液に対する硫酸マグネシウム水溶液の混合時の当量比、反応温度、熟成温度と時間、乾燥温度と乾燥条件で、ステアリン酸マグネシウムNo.2を得た。電子顕微鏡の測定結果より、ステアリン酸マグネシウムNo.2は短冊状であった。
【0035】
(3)製造例3(ステアリン酸マグネシウムNo.3の調製)
50℃のステアリン酸カリウム0.2重量%水溶液、45℃の硫酸亜鉛0.08重量%水溶液を用い、2種水溶液どうしが衝突し反応するまで各水溶液の導入部分が50μm以下であり、2種水溶液どうしの混合部分が100μm以下である微小混合装置を用い、混合瞬間の温度を45℃とした。また、2種水溶液の混合機の直後に熱交換機を接続し、混合反応後6秒後に排出される反応スラリーを瞬間的に15℃以下に冷却した後、浸透膜処理により水溶性塩をスラリーから除去した。さらに、そのスラリーを−40℃に冷却して固化させ、フリーズドライ法により40℃から0℃まで12時間かけて昇温しながら反応スラリーから水分を除去し、ステアリン酸マグネシウムNo.3を得た。電子顕微鏡の測定結果より、ステアリン酸マグネシウムNo.3は針状に近い短冊状であった。
【0036】
(4)ステアリン酸マグネシウムNo.4〜No.6
ステアリン酸マグネシウムNo.4〜No.5はいずれも市販品(No.4:日本油脂(株)製マグネシウムステアレート(複分解法)、No.5:日本油脂(株)製マグネシウムステアレ−トGF200(直接法の粉砕品)を用いた。また、ステアリン酸マグネシウムNo.6は、ステアリン酸マグネシウムNo.4を微粉砕分級して得た。電子顕微鏡の測定結果より、ステアリン酸マグネシウムNo.4〜No.6は、いずれも破断面の多い塊状であった。
【0037】
【表1】
【0038】
〈弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムの分析〉
調製したステアリン酸マグネシウムNo.1〜No.6の平均粒径、粒度分布の標準偏差、95%粒径、95%粒径の平均粒子径に対する倍率、嵩比重、および温度25℃、湿度50%における水分の飽和吸着量を以下の方法で測定した。評価結果を第2表に示す。
【0039】
(1)平均粒径、粒度分布の標準偏差、95%粒径、および95%粒径の平均粒子径に対する倍率
100mlビーカーに、0.01gのステアリン酸マグネシウムと、0.1gの分散剤としてポリオキシエチレン(10モル)ノニルフェニルエーテル(日本油脂(株)製ノニオンNS−210)、および、精製水40mlを加え、ホモジナイザー((株)日本精機製作所製US−50)を用いて室温条件下で3分間攪拌を行った(回転数4000rpm)。得られた分散液をレーザー回折粒度測定装置((株)島津製作所製SALD2000)を用いてステアリン酸マグネシウムの粒度分布を測定し、その結果から、平均粒径、粒度分布の標準偏差、95%粒径、95%粒径の平均粒子径に対する倍率を導出した。
【0040】
(2)嵩比重
ホソカワミクロン(株)製紛粒体特性総合測定装置(パウダーテスター)を用いて、ステアリン酸マグネシウムの嵩比重(緩め嵩比重)を求めた。
【0041】
(3)水分の飽和吸着量
5gのステアリン酸マグネシウムを直径5cmの乾燥秤量瓶に精秤して、そのサンプル表面を均一に整え、温度25℃、湿度50%の条件に静置して、重量増加の経時変化を観察した。サンプル重量が増加しなくなった時点の、サンプルの水分量をカールフィッシャー水分測定装置により測定し、ステアリン酸マグネシウム中の水分の飽和吸着量を求めた。
【0042】
【表2】
【0043】
〈ステアリン酸マグネシウムの性能評価〉
調製したステアリン酸マグネシウムNo.1〜No.6を、第3表に示す割合でポリジメチルシロキサン、アミノ変性シリコーン、エステル変性シリコーンに添加し、実施例1〜5および比較例1〜3の弾性繊維用油剤組成物を調製した。油剤調製時のステアリン酸マグネシウムの初期分散性と分散安定性、および油剤を使用して紡糸時の糸切れ、製径、および編成時の糸切れについて、以下の方法で評価を行った。評価結果を第3表に示す。
【0044】
(1)ステアリン酸マグネシウムの初期分散性
200mlのガラス瓶に、第3表に示す割合でポリジメチルシロキサン、アミノ変性シリコーン、エステル変性シリコーン、およびステアリン酸マグネシウムを、合計100gとなるように添加した。直径5cmのホモジナイザー((株)日本精機製作所製US−50)を用いて10,000rpmで分散し、粒度分布測定装置を用いて粒度分布を追跡しながら、粒度分布の変化が生じなくなり分散が安定するまでの時間を求め、以下のように判定した。
分散が終了するまでの時間が、
30分以内の場合:◎
30分を超え、1時間以内の場合:○
1時間を超え、2時間以内の場合:△
2時間を超える、あるいは均一に分散しない場合:×
◎または○の場合を、初期分散性が良好であると評価した。
【0045】
(2)ステアリン酸マグネシウムの分散安定性
200mlのガラス瓶に、第3表に示す割合でポリジメチルシロキサン、アミノ変性シリコーン、エステル変性シリコーン、およびステアリン酸マグネシウムを、合計100gとなるように添加した。直径5cmのホモジナイザー((株)日本精機製作所製US−50)を用いて10,000rpmで1時間分散し、油剤を調製した。これを密栓付200mlガラス製メスシリンダーに入れ、25℃にて3ヶ月間放置し、油剤中のステアリン酸マグネシウムの凝集状態を油剤上部層の透明度により判定し、以下の基準で評価した。
透明な層がなく、かつ凝集が認められない:○
上部に10ml未満の層が認められる:△
上部に10ml以上の層が認められる:×
○の場合を、分散安定性が良好であると評価した。
【0046】
(3)紡糸時の糸切れ
紡糸時のロールでの糸切れ頻度について、以下の基準で評価した。
3億mあたり1回未満:◎
1億mあたり1回未満:○
1億mあたり1回以上:×
◎または○の場合を、紡糸時の糸切れが少ない油剤と評価した。
【0047】
(4)製径、編成紡糸時の糸切れ
40デニールのポリウレタン弾性糸をバックにナイロン50d/17fをフロントに配して、バックランナー75cm、フロントランナー170cm、28ゲージにて2ウェイトリコットを作成する際の、製径時の形態崩れによる糸切れ回数と、編成時の針やガイド部における糸切れ回数を観察し、以下の基準で判定した。
2億mあたり1回未満:◎
0.5億mあたり1回未満:○
100mあたり1回以上:×
◎または○の場合を、製径時あるいは編成時に糸切れが少ない油剤と評価した。
【0048】
【表3】
【0049】
なお、上述した評価に用いる弾性繊維は以下の方法で得た。
数平均分子量1,200のポリテトラメチレングリコール1,000g、およびメチレンービス(4−フェニルイソシアネート)312gを、窒素ガス気流中95℃で90分間攪拌し反応させて、イソシアネート基残基のプレポリマーを得た。次いで、これを室温まで冷却した後、乾燥ジメチルホルムアミド2,360gを加え、溶解してプレポリマー溶液とした。
エチレンジアミン23.4gおよびジエチルアミン3.7gを乾燥ジメチルホルムアミド1,570gに溶解し、これに前記プレポリマー溶液を室温で添加して、粘度1,800ポイズ(30℃)のポリウレタンウレア溶液を得た。こうして得られた粘調重合体溶液に、4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)2%)、2−(2′−ヒドロキシー3′−t−ブチルー5′−メチルフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール0.7%(対ポリマー固形分重量)を添加したものを紡糸原液とした。
この紡糸原液を用いて、常法に従って乾式紡糸を行い、巻取り速度990m/分で、40d/4fの弾性糸を得た。この際、実施例1〜5および比較例1〜3の油剤組成物を、全固形分に対して6重量%付着させた。
【0050】
実施例1〜5の結果から、本発明の弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムは、油剤中での分散性が良好であった。
また、本発明の弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムを含有する油剤は、長期間安定な分散状態を維持し、これらの油剤を用いて得られた弾性繊維は、紡糸時の糸切れ、および、製径、編成時紡糸時における糸切れの発生率が非常に低く、糸が非常に均一であり、かつ良好な糸強度を有していた。
一方、比較例1〜3の結果から、平均粒径、粒度分布の標準偏差、および95%粒径の平均粒径に対する倍率のいずれかが本発明外のステアリン酸マグネシウムを用いた場合、実施例1〜5と比べて油剤中での分散性が不良であった。
また、長期間安定な分散状態を維持できる油剤を得ることができず、これらの油剤を用いて得られた弾性繊維は、紡糸時、製径時、および編成時における糸切れの発生率が高く、糸が不均一であり、かつ糸強度が不良であった。
【0051】
【発明の効果】
本発明の製造方法で得られる、平均粒径が小さく、粒度分布の標準偏差が小さく、平均粒径に対する95%粒径の倍率が小さく、かつ、低い嵩密度と高い水分吸着量を有するステアリン酸マグネシウムは、油剤中での分散性が良好であり、長期間安定な分散状態を維持できる弾性繊維用油剤を得ることができる。
また、本発明のステアリン酸マグネシウムを含有する油剤を用いて弾性繊維を調製した場合、紡糸時の糸切れが少なく、引張強度の高い弾性繊維を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、弾性繊維の加工時に用いる弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムに関し、詳しくは、油剤中で良好な分散性を有する弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムと、その製造方法およびそれを含有する弾性繊維用油剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
弾性繊維は近年、衣料用繊維に幅広く用いられている代表的な繊維である。弾性繊維は、通常の衣料用繊維と比較して非常に伸びやすく、かつ糸同士の粘着性が大きい。そのため、400〜1000m/分という速度で弾性繊維を加工する際、糸が互いに粘着して解舒性が悪くなり、紡糸工程や編成工程などの工程で糸切れを多発する欠点を有している。そのため、糸の摩擦抵抗を低下させ、解舒性を向上させることが生産性を向上させる上で重要である。
そこで、弾性繊維を加工する際には、弾性繊維の内部や表面に油剤が使用されている。弾性繊維用油剤には、脂肪酸エステル、アルコールのエチレンオキシド付加物、脂肪酸のエチレンオキシド付加物、変性シリコーン化合物、脂肪酸金属塩等が使用されるが、これらのうち糸の摩擦抵抗を低下させ、かつ解舒性を向上させる能力が高い脂肪酸マグネシウム塩、特にステアリン酸マグネシウム塩が好まれて使用されている。
【0003】
ステアリン酸マグネシウムを弾性繊維用油剤に用いた例としては、例えば、3種類のシリコーン化合物(直鎖状ポリオルガノシロキサン、分岐状ポリエーテル変性シリコーンおよびアミノ変性シリコーン)とステアリン酸マグネシウムを含有するポリウレタン系弾性糸用油剤(例えば、特許文献1)、2種類のシリコーン化合物(ポリジメチルシロキサン、アミノ変性シリコーン)と平均粒径が0.5μm以下、かつ最大粒径が1.5μm以下のステアリン酸マグネシウムとを特定量含有する弾性糸用油剤(例えば、特許文献2)、特定量の脂肪酸マグネシウム塩と粘度の異なるシリコーン化合物を添加したポリウレタン弾性繊維(例えば、特許文献3)が知られている。
【0004】
しかし、これまで用いられてきたステアリン酸マグネシウムは、大粒径の粒子を多量に含有し、速やかに微分散するための粒子径と分布を有していなかった。また、親水性が不足するため、油剤組成物に用いられる極性溶媒などに対する親和性が不充分であった。さらに、粒子間に適度な空隙を有していなかったため、油剤中で速やかに微分散させることが困難であった。そのため、凝集したステアリン酸マグネシウムが糸の摩擦抵抗の低下を誘発したり、また弾性繊維の強度の低下を誘発するなどの問題点があった。
【0005】
【特許文献1】特開平9−217283号公報(特許請求の範囲、第2頁)
【特許文献2】特開2000−144578号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開2001−115377号公報(特許請求の範囲)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の問題点を解決し、油剤に対して良好な分散性を有する弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムと、その製造方法およびそれを含有する弾性繊維用油剤を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、
(1)平均粒径が0.01〜3μm、粒度分布の標準偏差が0.4以下であり、かつ95%粒径が平均粒径に対して3倍以下である弾性繊維用ステアリン酸マグネシウム。
(2)嵩比重が0.07〜0.11である前記(1)記載の弾性繊維用ステアリン酸マグネシウム。
(3)水分の飽和吸着量がステアリン酸マグネシウムに対して5.5〜10重量%である前記(1)記載の弾性繊維用ステアリン酸マグネシウム。
(4)ステアリン酸カリウムと、無機マグネシウム化合物とを反応させて弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムを製造するにあたり、ステアリン酸カリウム0.1〜15重量%水溶液と、ステアリン酸カリウムに対して0.95〜1.05当量比の無機マグネシウム化合物の水溶液とを、70℃以下の温度で混合することを特徴とする前記(1)記載の弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムの製造方法。
(5)ステアリン酸カリウムと、無機マグネシウム化合物とを反応させて弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムを製造するにあたり、ステアリン酸カリウム0.1〜15重量%水溶液と、ステアリン酸カリウムに対して0.95〜1.05当量比の無機マグネシウム化合物の水溶液とを混合して得られた金属石鹸スラリーを、70℃以下の温度で乾燥処理することを特徴とする前記(1)記載の弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムの製造方法。
(6)前記(1)〜(3)記載の弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムを0.005〜15重量%含有する弾性繊維用油剤である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムは、その平均粒径が0.01μm〜3μm、好ましくは0.01μm〜2μmであり、粒度分布の標準偏差が0.4以下、好ましくは0.3以下であり、かつ95%粒径が平均粒径に対して3倍以下である。
95%粒径とは、ステアリン酸マグネシウムの全量中の95重量%がその粒径以下であることを示し、平均粒径に対する95%粒径の比率が小さいほど、粒度分布の粒度幅がより狭く、平均粒径より大きい粒子が少ないことを示す。
平均粒径、粒度分布の標準偏差、および95%粒径は、レーザー回折法、遠心沈降光透過法、X線透過法、電気的検知帯法、遮光法、超音波減衰分光法、画像処理法など、動的散乱法など一般的に知られる粒度分布の測定方法により各々求めることができるが、その中でも微細な粒子に対しては、レーザー回折法、画像処理法および動的散乱法が好適に使用される。
【0009】
本発明の弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムは、油剤に投入した際に偏在や凝集を生じることなく、速やかに均一に微分散させることができる。その結果、弾性繊維に対して充分な摩擦抵抗の軽減と、強度を与えることができる。
ステアリン酸マグネシウムの平均粒径が3μmを越える場合、粒度分布の標準偏差が0.4を超える場合、あるいは95%粒径が平均粒径に対して3倍を超える場合、いずれも油剤中で粒子が凝集しやすく、繊維内部にて偏在が生じやすくなるため、糸の伸延時の強度が低下し、糸切れを生じやすい。
【0010】
本発明の弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムは、さらに嵩比重が0.07〜0.11であることが好ましい。
嵩比重は、パウダーテスターなどの既知の評価装置などを用いることで求められるほか、300メッシュ程度のふるい機を通して、秤量したメスシリンダー上部から自然にステアリン酸マグネシウムを一定重量蓄積させたときの容量から算出することもできる。
嵩比重が0.07〜0.11であるステアリン酸マグネシウムは、粒子間に空隙が多いことから、油剤中で速やかに均一に微分散することができる。そのため、得られる弾性繊維に対して充分な摩擦抵抗の軽減と、強度を与えることができる。
【0011】
また、本発明の弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムは、水分の飽和吸着量がステアリン酸マグネシウムに対して5.5〜10重量%であることが好ましい。
ここでいう水分の飽和吸着量とは、温度25℃、湿度50%の条件下でステアリン酸マグネシウムを静置し、ステアリン酸マグネシウムの重量増加が平衡に達したときの水分吸着量のことを指す。飽和水分吸着量の測定は既知の方法を用いることができるが、カールフィッシャー式水分測定法などのような、より再現性が高く定量的に水分を測定できる手法を用いることが好ましい。
水分の飽和吸着量がステアリン酸マグネシウムに対して5.5〜10重量%であるステアリン酸マグネシウムを用いた場合、油剤に用いるジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ポリジメチルシロキサン、アミノ変性シリコーン、エステル変性シリコーンなどの極性油剤に対して親和性がより高くなり、その結果、油剤中での粒子の分散性がより良好となる。そのため、糸の強度が増加し、かつ充分な潤滑性を弾性繊維に付与できることから、紡糸時において糸切れが生じにくく、糸の膠着抑制効果を向上することができる。
【0012】
本発明の弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムは、ステアリン酸カリウム0.1〜15重量%水溶液と、ステアリン酸カリウムに対して0.95〜1.05当量比の無機マグネシウム化合物の水溶液とを、70℃以下の温度で混合して金属石鹸スラリーを調製し、次いでこのスラリーを乾燥処理する方法で得ることができる。
本発明の製造方法で用いるステアリン酸カリウム水溶液の濃度は0.1〜15重量%であり、好ましくは0.5〜7重量%である。0.1重量%未満の場合は、所望のステアリン酸マグネシウムを得る際に歩留まりが低く、生産効率が悪くなる。また、15重量%を超える場合は、無機マグネシウム化合物の水溶液と混合した際、粘度が高く充分な攪拌効率が得られないため、所望の平均粒子径と粒度分布を有するステアリン酸マグネシウムが得られない場合がある。
【0013】
本発明の製造方法で用いる無機マグネシウム化合物は、水溶性の無機マグネシウム塩であり、水に対する溶解性の点から、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、あるいはこれらの混合物を使用することが好ましい。
また、無機マグネシウム化合物は、ステアリン酸カリウムに対して0.95〜1.05当量比を水溶液にして添加する。好ましい当量比は0.97〜1.03である。無機マグネシウム化合物の添加量がステアリン酸カリウムに対して0.95当量未満の場合、すなわちステアリン酸カリウムが無機マグネシウム塩よりも過剰に存在する場合、混合により得られるスラリーが乳化し、粒子の濾過効率が著しく低下し、ステアリン酸マグネシウムの粒子を単離できない。無機マグネシウム化合物の添加量がステアリン酸カリウムに対して1.05当量を超える場合は、得られる粒子が凝集し、平均粒径が3μmを超える場合が多く、好ましくない。
【0014】
本発明の製造方法で用いる無機マグネシウム化合物の水溶液の濃度は、特に限定しないが、高濃度であれば、得られるスラリーの濃度が増加するため、より高効率で所望のステアリン酸マグネシウムを得ることができる。また、より微細な平均粒径を有するステアリン酸マグネシウムを得るためには、より低濃度であることが好ましく、具体的には0.1〜10重量%であり、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0015】
本発明のステアリン酸マグネシウムは、ステアリン酸カリウム水溶液と、無機マグネシウム化合物の水溶液を混合して得られたスラリーを熟成、濾過、水洗した後、乾燥工程を経て得られる。
本発明の製造方法において、混合温度は70℃以下である。
混合温度が70℃を超える場合は、ステアリン酸マグネシウムの粒子が速やかに成長し、平均粒径、粒度分布の標準偏差、あるいは平均粒径に対する95%粒径が本発明のステアリン酸マグネシウムの範囲を超え、油剤組成物中で良好な分散性を確保できない。
【0016】
また、本発明の製造方法において、乾燥工程の温度は70℃以下である。
乾燥温度が70℃を超える場合、ステアリン酸マグネシウムの粒子が凝集を起し、平均粒径、粒度分布の標準偏差、あるいは平均粒径に対する95%粒径が本発明のステアリン酸マグネシウムの範囲を超え、油剤中で良好な分散性を確保できない。
さらに、熟成、濾過、水洗工程の各工程の温度についても、70℃以下であることが好ましい。
【0017】
ステアリン酸カリウム塩水溶液と、無機マグネシウム化合物の水溶液とを混合する際には、できる限り早く、2種の水溶液の当量比を保ちながら均一に混合することが好ましい。一方の溶液に、別の溶液を滴下する方法を用いた場合、得られる粒子が凝集して成長しやすく、平均粒径、粒度分布の標準偏差、あるいは平均粒径に対する95%粒径が本発明のステアリン酸マグネシウムの範囲を超える場合がある。
【0018】
より粒度分布の整ったステアリン酸マグネシウムを得る場合は、2種の水溶液の当量比を保ちながら、それぞれを別の方向から、同時に狭空間内に投入して混合後、その反応液を速やかに狭空間外に排出することが好ましい。このような操作をすることで、反応直後のステアリン酸マグネシウムに未反応の原料が作用して粒子が成長しないため、より粒度分布の整ったステアリン酸マグネシウムを得ることができる。
【0019】
また、平均粒径が0.5μm以下の、より微細なステアリン酸マグネシウムを得るためには、前述した条件に加えて、ステアリン酸カリウム水溶液と無機マグネシウム化合物の水溶液の濃度を低く、例えば、それぞれを2〜3重量%、0.5〜1重量%に調製し、65℃の低温で前述の2種の水溶液を衝突、混合し、反応後のステアリン酸マグネシウムのスラリーをより速やかに冷却・濾過・水洗し、得られるステアリン酸マグネシウムケーキを攪拌することなく30℃以下で乾燥することが特に好ましい。
【0020】
さらに、平均粒径が0.1μm以下の、さらに微細なステアリン酸マグネシウムを得るためには、前述した条件に加えて、ステアリン酸カリウム水溶液と無機マグネシウム化合物の水溶液とを混合する際、既知のマイクロリアクターなどを用いて、より微細な空間内で行い、反応後のスラリーを微細な空間を有する冷却装置に通すことで瞬間的に冷却し、以後の乾燥温度を常温以下とすることが特に好ましい。また、常温以下で乾燥を行う際には、フリーズドライ乾燥装置などを用いた凍結乾燥法や、エバポレーターや減圧乾燥装置などを用いた減圧、真空乾燥法にて処理することで、より効率よく乾燥を行うことができる。
【0021】
上述した方法により得られる本発明のステアリン酸マグネシウムは、従来の粉砕法を用いたステアリン酸マグネシウムとは性状が異なり、例えば、本発明の平均粒径が1.5μmのステアリン酸マグネシウム粒子の場合、アスペクト比1.5以上の主に短冊状粒子として得られる。このような粒子は表面積が高く、嵩比重が高く、結晶密度が高い。また、粒子表面がより親水性となる。そのため、油剤に使用する極性油剤に対して親和性がより高く、油剤中での粒子の分散性がより良好となり、得られる弾性繊維に対して充分な摩擦抵抗の軽減と、強度を与えることができる。
【0022】
本発明のステアリン酸マグネシウムを油剤中に分散させる場合、その分散装置および攪拌装置は公知のものを使用することができる。たとえばホモジナイザー、ヘンシェルミキサー、ボールミル、ディスパー、タービン型攪拌羽根、ヘリカルリボン型攪拌羽根などを使用することができる。
【0023】
本発明の弾性繊維用油剤は、本発明のステアリン酸マグネシウムを0.005〜15重量%含有する。
ステアリン酸マグネシウムの含有量が0.005重量%未満の場合は、弾性繊維に対して充分な潤滑性が付与できず、紡糸機等に対して磨耗が生じやすくなり、整経、編み立ての工程でスカムが発生し、糸切れや製品の品位低下等が生じる。また、ステアリン酸マグネシウムの含有量が15重量%を超える場合は、弾性繊維の強度が十分に維持できず、糸切れを誘発する。
【0024】
本発明の弾性繊維用油剤においては、本発明の効果を損なわない範囲で、通常、油剤に使用されている成分を含有させること可能である。例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒンダードアミン系化合物等の紫外線吸収剤;ヒンダードフェノール系化合物等の酸化防止剤;硫酸バリウム、酸化マグネシウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、酸化セシウム、銀イオン、各種顔料などの無機微粒子;脂肪酸カルシウム、ポリテトラフルオロエチレン、オルガノポリシロキサン等の粘着防止剤;その他に防黴剤、黄変防止剤、難燃剤、抗菌剤、着色剤等を適宜含有することができる。
また、本発明のステアリン酸マグネシウムを表面処理油剤に用いる場合は、前述した各種添加剤に加えて精製パラフィン油などの鉱物油、カルボキシアミド変性シリコーンなどを用いてもよい。
【0025】
本発明のステアリン酸マグネシウムを油剤に用いる場合には、使用前にステアリン酸マグネシウムを70℃以下で乾燥し、ステアリン酸マグネシウム中の水分量を2.0重量%以下、好ましくは1.5重量%以下に減らすことが好ましい。この操作によって、平均粒子径などの変化を少なく水分含有量を減らすことができる。ポリウレタンのプレポリマーなどを製造する際に、この水分含量の低いステアリン酸マグネシウムを使用した場合、ウレタン生成を阻害することがなくなるため、より良好な強度を有する弾性繊維を得ることができる。
【0026】
本発明の弾性繊維用油剤を用いて調製する弾性繊維としては、弾性繊維用ポリウレタン重合体組成物を挙げることができる。代表的なものとしては、有機ジイソシアネートと実質的に線状の高分子ジオールで調製したイソシアネート末端のプレポリマーに、多官能性活性水素原子を有する鎖伸長剤、および単官能性活性水素原子を有する末端封鎖剤を反応させて得られるウレタン基を有する弾性高分子重合体などを用いることができる。
【0027】
有機ジイソシアネートとしては、例えば脂肪族、脂環族、芳香族のジイソシアネートの中で、反応条件下で溶解または液状を示すものすべてを適用することができる。例えば、メチレン−ビス(4−フェニルイソシアネート)、メチレン−ビス(3−メチル−4−フェニルイソシアネート)、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−およびp−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−p−キシリレンジイソシアネート、m−およびp−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジメチル−1,3−キシリレンジイソシアネート、1−アルキルフェニレン−2,4および2,6−ジイソシアネート、3−(α−イソシアネートエチル)フェニルイソシアネート、2,6−ジエチルフェニレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニル−ジメチルメタン−4,4−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレン−ビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−および1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3,3,5−トリメチル−5−メチレンシクロヘキシルジイソシアネート等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。好ましくは、メチレン−ビス(4−フェニルイソシアネート)である。
【0028】
高分子ジオールとしては、両末端にヒドロキシル基を持つ実質的に線状の高分子体であり、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリペンタメチレングリコール、炭素数1〜8の直鎖状またはランダム状にエーテル結合している共重合ポリアルキレンエーテルジオール等のポリエーテルジオール;アジピン酸、セバチン酸、マレイン酸、イタコン酸、アゼライン酸、マロン酸等の二塩基酸の1種以上とエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、1,10−デカンジオール、1,3−ジメチロールシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン等のグリコールの一種以上から得られたポリエステルジオール;またはポリエステルアミドジオール;ポリエーテルエステルジオール;ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール等のポリラクトンジオール;ポリカーボネートジオール等を挙げることができる。
【0029】
多官能性活性水素原子を有する鎖伸長剤としては、例えば、ヒドラジン、ポリヒドラジド、エチレンジアミン,プロピレンジアミン,ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン,m−キシリレンジアミン,p−キシリレンジアミン等のポリアミン、ヒドロキシルアミン、1,4ブタンジオール、1,6ヘキサンジオール、エチレングリコール、1,8オクタンジオール等のポリオール、水等を挙げることができる。
【0030】
単官能性活性水素原子を有する末端停止剤としては、例えば、ジエチルアミンのようなジアルキルアミン等が用いられる。
【0031】
上記ポリウレタン重合体組成物には、所望により、公知のポリウレタン重合体組成物に使用される特定の化学構造を有する有機または無機の配合剤、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒンダードアミン系化合物等の紫外線吸収剤;ヒンダードフェノール系化合物等の酸化防止剤;硫酸バリウム、酸化マグネシウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト等のような無機微粒子;ポリテトラフルオロエチレン、オルガノポリシロキサン等の粘着防止剤;その他に防黴剤、黄変防止剤、難燃剤、抗菌剤、着色剤等を適宜含有することができる。
【0032】
【実施例】
本発明を実施例でさらに詳しく説明する。
【0033】
〈弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムの製造〉
(1)製造例1(ステアリン酸マグネシウムNo.1の調製)
定量ポンプにて、ステアリン酸カリウム水溶液と無機マグネシウム化合物の水溶液を別々に供給混合可能なパイプラインホモミキサー、および直径6cmのタービン羽根を有する攪拌装置付きの2リットルの受け容器を用意した。
72℃のステアリン酸カリウム9.0重量%水溶液、73℃の硫酸マグネシウム2.0重量%水溶液を、ステアリン酸カリウム水溶液に対する硫酸マグネシウム水溶液の混合時の当量比が1.02となるよう、定量ポンプを用いて別方向から混合装置に導入しながら350rpmで混合しながら反応液を吐出し、総量500gの金属石鹸スラリーを得た。この際の2種水溶液の反応温度は70℃であった。
次に、得られた金属石鹸スラリーを65℃条件下で10分間熟成後、濾過し、得られた金属石鹸ケーキを2回水洗した。水洗後の金属石鹸ケーキを、常圧65℃の条件下で乾燥し、ステアリン酸マグネシウムNo.1を得た。電子顕微鏡の測定結果より、ステアリン酸マグネシウムNo.1は短冊状であった。
【0034】
(2)製造例2(ステアリン酸マグネシウムNo.2の調製)
製造例1と同様の装置で、60℃のステアリン酸カリウム1.5重量%水溶液、60℃の硫酸マグネシウム0.8重量%水溶液を用い、第1表に示すステアリン酸カリウム水溶液に対する硫酸マグネシウム水溶液の混合時の当量比、反応温度、熟成温度と時間、乾燥温度と乾燥条件で、ステアリン酸マグネシウムNo.2を得た。電子顕微鏡の測定結果より、ステアリン酸マグネシウムNo.2は短冊状であった。
【0035】
(3)製造例3(ステアリン酸マグネシウムNo.3の調製)
50℃のステアリン酸カリウム0.2重量%水溶液、45℃の硫酸亜鉛0.08重量%水溶液を用い、2種水溶液どうしが衝突し反応するまで各水溶液の導入部分が50μm以下であり、2種水溶液どうしの混合部分が100μm以下である微小混合装置を用い、混合瞬間の温度を45℃とした。また、2種水溶液の混合機の直後に熱交換機を接続し、混合反応後6秒後に排出される反応スラリーを瞬間的に15℃以下に冷却した後、浸透膜処理により水溶性塩をスラリーから除去した。さらに、そのスラリーを−40℃に冷却して固化させ、フリーズドライ法により40℃から0℃まで12時間かけて昇温しながら反応スラリーから水分を除去し、ステアリン酸マグネシウムNo.3を得た。電子顕微鏡の測定結果より、ステアリン酸マグネシウムNo.3は針状に近い短冊状であった。
【0036】
(4)ステアリン酸マグネシウムNo.4〜No.6
ステアリン酸マグネシウムNo.4〜No.5はいずれも市販品(No.4:日本油脂(株)製マグネシウムステアレート(複分解法)、No.5:日本油脂(株)製マグネシウムステアレ−トGF200(直接法の粉砕品)を用いた。また、ステアリン酸マグネシウムNo.6は、ステアリン酸マグネシウムNo.4を微粉砕分級して得た。電子顕微鏡の測定結果より、ステアリン酸マグネシウムNo.4〜No.6は、いずれも破断面の多い塊状であった。
【0037】
【表1】
【0038】
〈弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムの分析〉
調製したステアリン酸マグネシウムNo.1〜No.6の平均粒径、粒度分布の標準偏差、95%粒径、95%粒径の平均粒子径に対する倍率、嵩比重、および温度25℃、湿度50%における水分の飽和吸着量を以下の方法で測定した。評価結果を第2表に示す。
【0039】
(1)平均粒径、粒度分布の標準偏差、95%粒径、および95%粒径の平均粒子径に対する倍率
100mlビーカーに、0.01gのステアリン酸マグネシウムと、0.1gの分散剤としてポリオキシエチレン(10モル)ノニルフェニルエーテル(日本油脂(株)製ノニオンNS−210)、および、精製水40mlを加え、ホモジナイザー((株)日本精機製作所製US−50)を用いて室温条件下で3分間攪拌を行った(回転数4000rpm)。得られた分散液をレーザー回折粒度測定装置((株)島津製作所製SALD2000)を用いてステアリン酸マグネシウムの粒度分布を測定し、その結果から、平均粒径、粒度分布の標準偏差、95%粒径、95%粒径の平均粒子径に対する倍率を導出した。
【0040】
(2)嵩比重
ホソカワミクロン(株)製紛粒体特性総合測定装置(パウダーテスター)を用いて、ステアリン酸マグネシウムの嵩比重(緩め嵩比重)を求めた。
【0041】
(3)水分の飽和吸着量
5gのステアリン酸マグネシウムを直径5cmの乾燥秤量瓶に精秤して、そのサンプル表面を均一に整え、温度25℃、湿度50%の条件に静置して、重量増加の経時変化を観察した。サンプル重量が増加しなくなった時点の、サンプルの水分量をカールフィッシャー水分測定装置により測定し、ステアリン酸マグネシウム中の水分の飽和吸着量を求めた。
【0042】
【表2】
【0043】
〈ステアリン酸マグネシウムの性能評価〉
調製したステアリン酸マグネシウムNo.1〜No.6を、第3表に示す割合でポリジメチルシロキサン、アミノ変性シリコーン、エステル変性シリコーンに添加し、実施例1〜5および比較例1〜3の弾性繊維用油剤組成物を調製した。油剤調製時のステアリン酸マグネシウムの初期分散性と分散安定性、および油剤を使用して紡糸時の糸切れ、製径、および編成時の糸切れについて、以下の方法で評価を行った。評価結果を第3表に示す。
【0044】
(1)ステアリン酸マグネシウムの初期分散性
200mlのガラス瓶に、第3表に示す割合でポリジメチルシロキサン、アミノ変性シリコーン、エステル変性シリコーン、およびステアリン酸マグネシウムを、合計100gとなるように添加した。直径5cmのホモジナイザー((株)日本精機製作所製US−50)を用いて10,000rpmで分散し、粒度分布測定装置を用いて粒度分布を追跡しながら、粒度分布の変化が生じなくなり分散が安定するまでの時間を求め、以下のように判定した。
分散が終了するまでの時間が、
30分以内の場合:◎
30分を超え、1時間以内の場合:○
1時間を超え、2時間以内の場合:△
2時間を超える、あるいは均一に分散しない場合:×
◎または○の場合を、初期分散性が良好であると評価した。
【0045】
(2)ステアリン酸マグネシウムの分散安定性
200mlのガラス瓶に、第3表に示す割合でポリジメチルシロキサン、アミノ変性シリコーン、エステル変性シリコーン、およびステアリン酸マグネシウムを、合計100gとなるように添加した。直径5cmのホモジナイザー((株)日本精機製作所製US−50)を用いて10,000rpmで1時間分散し、油剤を調製した。これを密栓付200mlガラス製メスシリンダーに入れ、25℃にて3ヶ月間放置し、油剤中のステアリン酸マグネシウムの凝集状態を油剤上部層の透明度により判定し、以下の基準で評価した。
透明な層がなく、かつ凝集が認められない:○
上部に10ml未満の層が認められる:△
上部に10ml以上の層が認められる:×
○の場合を、分散安定性が良好であると評価した。
【0046】
(3)紡糸時の糸切れ
紡糸時のロールでの糸切れ頻度について、以下の基準で評価した。
3億mあたり1回未満:◎
1億mあたり1回未満:○
1億mあたり1回以上:×
◎または○の場合を、紡糸時の糸切れが少ない油剤と評価した。
【0047】
(4)製径、編成紡糸時の糸切れ
40デニールのポリウレタン弾性糸をバックにナイロン50d/17fをフロントに配して、バックランナー75cm、フロントランナー170cm、28ゲージにて2ウェイトリコットを作成する際の、製径時の形態崩れによる糸切れ回数と、編成時の針やガイド部における糸切れ回数を観察し、以下の基準で判定した。
2億mあたり1回未満:◎
0.5億mあたり1回未満:○
100mあたり1回以上:×
◎または○の場合を、製径時あるいは編成時に糸切れが少ない油剤と評価した。
【0048】
【表3】
【0049】
なお、上述した評価に用いる弾性繊維は以下の方法で得た。
数平均分子量1,200のポリテトラメチレングリコール1,000g、およびメチレンービス(4−フェニルイソシアネート)312gを、窒素ガス気流中95℃で90分間攪拌し反応させて、イソシアネート基残基のプレポリマーを得た。次いで、これを室温まで冷却した後、乾燥ジメチルホルムアミド2,360gを加え、溶解してプレポリマー溶液とした。
エチレンジアミン23.4gおよびジエチルアミン3.7gを乾燥ジメチルホルムアミド1,570gに溶解し、これに前記プレポリマー溶液を室温で添加して、粘度1,800ポイズ(30℃)のポリウレタンウレア溶液を得た。こうして得られた粘調重合体溶液に、4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)2%)、2−(2′−ヒドロキシー3′−t−ブチルー5′−メチルフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール0.7%(対ポリマー固形分重量)を添加したものを紡糸原液とした。
この紡糸原液を用いて、常法に従って乾式紡糸を行い、巻取り速度990m/分で、40d/4fの弾性糸を得た。この際、実施例1〜5および比較例1〜3の油剤組成物を、全固形分に対して6重量%付着させた。
【0050】
実施例1〜5の結果から、本発明の弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムは、油剤中での分散性が良好であった。
また、本発明の弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムを含有する油剤は、長期間安定な分散状態を維持し、これらの油剤を用いて得られた弾性繊維は、紡糸時の糸切れ、および、製径、編成時紡糸時における糸切れの発生率が非常に低く、糸が非常に均一であり、かつ良好な糸強度を有していた。
一方、比較例1〜3の結果から、平均粒径、粒度分布の標準偏差、および95%粒径の平均粒径に対する倍率のいずれかが本発明外のステアリン酸マグネシウムを用いた場合、実施例1〜5と比べて油剤中での分散性が不良であった。
また、長期間安定な分散状態を維持できる油剤を得ることができず、これらの油剤を用いて得られた弾性繊維は、紡糸時、製径時、および編成時における糸切れの発生率が高く、糸が不均一であり、かつ糸強度が不良であった。
【0051】
【発明の効果】
本発明の製造方法で得られる、平均粒径が小さく、粒度分布の標準偏差が小さく、平均粒径に対する95%粒径の倍率が小さく、かつ、低い嵩密度と高い水分吸着量を有するステアリン酸マグネシウムは、油剤中での分散性が良好であり、長期間安定な分散状態を維持できる弾性繊維用油剤を得ることができる。
また、本発明のステアリン酸マグネシウムを含有する油剤を用いて弾性繊維を調製した場合、紡糸時の糸切れが少なく、引張強度の高い弾性繊維を得ることができる。
Claims (6)
- 平均粒径が0.01〜3μm、粒度分布の標準偏差が0.4以下、かつ95%粒径が平均粒径の3倍以下である弾性繊維用ステアリン酸マグネシウム。
- 嵩比重が0.07〜0.11である請求項1記載の弾性繊維用ステアリン酸マグネシウム。
- 水分の飽和吸着量がステアリン酸マグネシウムに対して5.5〜10重量%である請求項1記載の弾性繊維用ステアリン酸マグネシウム。
- ステアリン酸カリウムと、無機マグネシウム化合物とを反応させて弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムを製造するにあたり、ステアリン酸カリウム0.1〜15重量%水溶液と、ステアリン酸カリウムに対して0.95〜1.05当量比の無機マグネシウム化合物の水溶液とを、70℃以下の温度で混合することを特徴とする請求項1記載の弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムの製造方法。
- ステアリン酸カリウムと、無機マグネシウム化合物とを反応させて弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムを製造するにあたり、ステアリン酸カリウム0.1〜15重量%水溶液と、ステアリン酸カリウムに対して0.95〜1.05当量比の無機マグネシウム化合物の水溶液とを混合して得られた金属石鹸スラリーを、70℃以下の温度で乾燥処理することを特徴とする請求項1記載の弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムの製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の弾性繊維用ステアリン酸マグネシウムを0.005〜15重量%含有する弾性繊維用油剤。
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2003
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