JP2008297233A - 微粒子金属石鹸とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ステアリン酸の金属石鹸を主成分とする微粒子金属石鹸を一般的な装置を用いて、一般的な複分解法によって、容易に且つ効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】ステアリン酸のアルカリ石鹸と、融点が70℃以上であって、ヒドロキシル基を有していてもよい第2の直鎖の飽和脂肪酸のアルカリ石鹸とを水中において金属塩と反応させ、得られたステアリン酸の金属石鹸と上記第2の脂肪酸の金属石鹸の混合物を水から分離し、これを上記ステアリン酸の金属石鹸の結晶転移温度以上の温度で乾燥させた後、粉砕することによって、平均粒子径が1.0μm以下であり、粒径が4μmよりも大きい粒子が5重量%以下である微粒子金属石鹸を得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、ステアリン酸金属石鹸を主成分とする微粒子金属石鹸の製造方法に関し、詳しくは、特別な操作や反応装置を必要とせず、一般的な装置を用いて、一般的な複分解法によって、平均粒子径が1.0μm以下であり、粒径が4μmよりも大きい粒子が5重量%以下である、ステアリン酸金属石鹸を主成分とする微粒子金属石鹸を容易に且つ効率よく製造する方法に関する。更に、本発明は、そのような方法によって得られる微粒子金属石鹸に関する。
金属石鹸の工業的な製造方法としては、脂肪酸を苛性ソーダや苛性カリにてケン化してアルカリ石鹸とした後、これを金属塩と反応させて、金属石鹸を得る複分解法と、脂肪酸を金属の酸化物や水酸化物と反応させて、金属石鹸を得る直接法が最も一般的である。これらの方法のうち、複分解法は、直接法に比べて、一次粒子径の小さい製品が得られるが、他方、乾燥温度によっては、一次粒子が強い二次凝集を起こして、平均粒子径が数μmから十数μmにわたる製品しか得られない。直接法によれば、得られる製品は、一次粒子径の分布幅が大きく、また、一次粒子径も大きい。
金属石鹸は、トナー、化粧品、顔料、繊維等の付着防止、滑性付与、分散付与等を目的とする添加剤として種々の産業分野において用いられているが、近年、トナー、化粧品、顔料等の微粒子化に伴い、それらの用途における添加剤として、金属石鹸についても、微粒子化の要望が強まってきている。
金属石鹸を微粒子化するには、従来から既に知られている代表的な方法として、複分解法や直接法によって得られた金属石鹸の乾燥物を高圧空気による乾式粉砕や、シリコーンオイル等に分散させ、ビーズミルにて湿式粉砕する方法が知られている。しかし、乾式粉砕によれば、一般に、平均粒子径1μm以下にまで微粒子化することは困難であり、他方、湿式粉砕によれば、微粒子化はある程度は可能であるが、平均粒子径1μm以下にまで微粒子化するには長時間を要するという問題がある。
そこで、脂肪酸アルカリ石鹸の水溶液と金属塩とを別々に混合機の回転子に直接供給して両者を瞬時に混合した後、反応生成物を直ちに混合機から排出するという特殊な方法にて反応を行う方法も知られているが(特許文献1参照)、得られる金属石鹸は依然として平均粒子径が2μm以上であって、微粒子化の要請に十分に応えるものではない。
また、炭素数4〜30の脂肪酸アルカリ金属塩又はアンモニウム塩の0.001〜20重量%水溶液と無機金属塩0.001〜20重量%水溶液又は分散液とを、生成する金属石鹸の結晶転移開始温度以下で混合して、金属石鹸のスラリーを得、次いで、これを金属石鹸の結晶転移開始温度以下で乾燥処理して、金属石鹸の微粒子を得る方法も知られている(特許文献2参照)。この方法によれば、微細な金属石鹸の一次粒子の乾燥温度をその金属石鹸の結晶転移開始温度以下とすることによって、乾燥による二次凝集を少なくするものと考えられ、概ね、平均粒子径2μm以下の金属石鹸を得ることができるが、乾燥に長時間を必要とし、生産効率に劣るうえに、得られる金属石鹸の粒子が未だ、凝集しているので、分散性もそれ程、改善されていない。
特開平1−299247号公報 特開平11−323396号公報
本発明は、金属石鹸の微粒子化における上述した問題を解決するためになされたものであって、特別な操作や反応装置を必要とせず、一般的な装置を用いて、一般的な複分解法によって、ステアリン酸金属石鹸を主成分とする微粒子金属石鹸を容易に且つ効率よく製造する方法を提供することを目的とする。更に、本発明は、そのような方法によって得られる微粒子金属石鹸を提供することを目的とする。
本発明によれば、ステアリン酸のアルカリ石鹸と、融点が70℃以上であって、ヒドロキシル基を有していてもよい第2の直鎖の飽和脂肪酸のアルカリ石鹸とを水中において金属塩と反応させ、得られたステアリン酸の金属石鹸と上記第2の脂肪酸の金属石鹸の混合物を水から分離し、これを上記ステアリン酸の金属石鹸の結晶転移温度以上の温度で乾燥させた後、粉砕することを特徴とする、平均粒子径が1.0μm以下であり、粒径が4μmよりも大きい粒子が5重量%以下である微粒子金属石鹸の製造方法が提供される。
本発明によれば、上記第2の脂肪酸として、ベヘニン酸と12−ヒドロキシステアリン酸から選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられる。また、上記第2の脂肪酸は、好ましくは、ステアリン酸と第2の脂肪酸の合計量に対して、2〜20重量%の範囲で用いられる。
本発明の方法によれば、特別な操作や反応装置を必要とせず、一般的な複分解法によって、平均粒子径1.0μm以下、最大粒子径4μm以下のステアリン酸金属石鹸を主成分とする微粒子金属石鹸を容易に且つ効率的に得ることができる。
本発明による微粒子金属石鹸の製造方法は、ステアリン酸のアルカリ石鹸と、融点が70℃以上であって、ヒドロキシル基を有していてもよい第2の直鎖の飽和脂肪酸のアルカリ石鹸とを水中において金属塩と反応させ、得られたステアリン酸の金属石鹸と上記第2の脂肪酸の金属石鹸の混合物を分離し、これを上記ステアリン酸の金属石鹸の結晶転移温度以上の温度で乾燥させた後、粉砕することによって、平均粒子径が1.0μm以下であり、粒径が4μmよりも大きい粒子が5重量%以下である微粒子金属石鹸を得るものである。
ステアリン酸は、化学的には、それ自体は、炭素数18の直鎖飽和脂肪酸を指す名称であるが、牛脂、豚脂等の動物性油脂やパーム油等の植物性油脂を原料とし、含まれる不飽和脂肪酸を水素添加したものも、工業的には、一般に、工業用ステアリン酸と呼ばれている。このような動植物油の不飽和脂肪酸を水素添加した工業用ステアリン酸の主成分は、炭素数18の直鎖飽和脂肪酸であるステアリン酸以外に、炭素数16の直鎖飽和脂肪酸であるパルミチン酸と少量の炭素数14の直鎖飽和脂肪酸であるミリスチン酸が含まれている。本発明においては、ステアリン酸というとき、炭素数18の直鎖飽和脂肪酸のみならず、上述したように、パルミチン酸とミリスチン酸を含む工業用ステアリン酸をも含むものとする。ステアリン酸のアルカリ石鹸としては、例えば、ナトリウム石鹸、カリウム石鹸、アンモニウム石鹸等が用いられる。
本発明において、第2の脂肪酸は、融点が70℃以上であって、ヒドロキシル基を有していてもよい直鎖の飽和脂肪酸であって、例えば、アラキン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等の炭素数20〜30の直鎖飽和脂肪酸や12−ヒドロキシステアリン酸が好ましく用いられ、なかでも、ベヘニン酸又は12−ヒドロキシステアリン酸が好ましく用いられる。これらの第2の脂肪酸は、単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
本発明においては、第2の脂肪酸も、ステアリン酸の場合と同様に、一般に工業用として入手できるものでもよく、このような工業用の第2の脂肪酸は、例えば、工業用のベヘニン酸の場合であれば、ベヘニン酸以外に他の脂肪酸を含有していてもよい。但し、このように、工業用の第2の脂肪酸を用いる場合であっても、その融点は70℃以上であることが必要である。
本発明によれば、第2の脂肪酸のアルカリ石鹸も、ステアリン酸のアルカリ石鹸と同様に、例えば、ナトリウム石鹸、カリウム石鹸、アンモニウム石鹸等が用いられる。第2の脂肪酸のアルカリ石鹸におけるアルカリ成分(アルカリ金属成分又はアンモニウム成分)は、ステアリン酸のアルカリ石鹸におけるアルカリ成分と必ずしも同じである必要はないが、しかし、好ましくは、同じである。
本発明において、第2の脂肪酸は、ステアリン酸と第2の脂肪酸の合計量に対して、2〜20重量%の範囲で用いられ、好ましくは、5〜15重量%の範囲で用いられる。第2の脂肪酸の割合が2重量%よりも少ないときは、第2の脂肪酸を用いない場を含めて、得られた金属石鹸を乾燥させた後、粉砕しても、平均粒子径1.0μm以下の微粒子金属石鹸を得ることができず、また、粒径4μm以下の粒子の割合が5重量%以下である微粒子金属石鹸を得ることができない。第2の脂肪酸の割合が20重量%よりも多いときは、得られる金属石鹸がステアリン酸金属石鹸としての望ましい特性を害されるおそれがある。
本発明において、微粒子金属石鹸を構成する金属種としては、特に制限はなく、リチウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、鉛、コバルト、ニッケル等であり、2種以上の金属種が混合されていてもよい。従って、本発明において、ステアリン酸のアルカリ石鹸と第2の脂肪酸のアルカリ石鹸と反応させる金属塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、硫酸亜鉛、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等を挙げることができる。
本発明の方法による微粒子金属石鹸の製造は、従来から知られている一般的な複分解法に従って行われる。従って、反応操作や反応条件、反応装置等において、何ら特別なものは必要ではなく、例えば、ステアリン酸のアルカリ石鹸と第2の脂肪酸のアルカリ石鹸とを含むアルカリ石鹸の水溶液と上述したような金属塩の水溶液をそれぞれ調製し、これらを混合し、反応させればよい。上記アルカリ石鹸の水溶液は、通常、温水にステアリン酸と第2の脂肪酸を懸濁させ、これに、例えば、苛性ソーダ水溶液を加え、攪拌して、ステアリン酸のアルカリ石鹸と第2の脂肪酸のアルカリ金属石鹸を含む水溶液を調製し、これをアルカリ石鹸の水溶液として、後続する金属塩との反応に用いる。
ここに、本発明において、上記アルカリ石鹸の濃度は、通常、0.1〜15重量%の範囲であり、好ましくは、1〜10重量%の範囲である。他方、金属塩水溶液の濃度は、通常、0.1〜20重量%の範囲であり、好ましくは、0.1〜10重量%の範囲である。アルカリ石鹸と金属塩の水溶液を混合し、反応させる際の反応温度は、通常、20〜95℃の範囲であり、好ましくは、35〜80℃の範囲であり、最も好ましくは、50〜70℃の範囲である。
本発明において、上記アルカリ石鹸と金属塩の水溶液を混合する際に、一方を他方に徐々に加えて混合するバッチ式の片液添加法であっても、両方を同時に混合するバッチ式又は連続式の同時添加法であってもよい。
このようにして、アルカリ石鹸と金属塩の水溶液を混合し、反応させることによって、ステアリン酸の金属石鹸を主成分とし、これと第2の脂肪酸の金属石鹸との混合物が生成する。そこで、本発明によれば、このステアリン酸の金属石鹸と第2の脂肪酸の金属石鹸との混合物を濾過等の適宜の手段にて水から分離して、集め、これを上記ステアリン酸の金属石鹸の結晶転移温度以上の温度で乾燥させて、乾燥物を得る。この乾燥物を指で軽くほぐすことによって、嵩比重が0.5〜1.0g/mLの金属石鹸の凝集物が得られる。ここに、本発明によれば、このような金属石鹸の凝集物を粉砕することによって、平均粒子径が1.0μm以下であり、粒径が4μmよりも大きい粒子の割合が5重量%以下であり、好ましくは、嵩比重が0.1g/mL以下である微粒子金属石鹸を容易に得ることができる。
本発明において、得られた金属石鹸を濾過し、水洗し、乾燥する方法は、特に限定されるものではなく、従来から知られている方法によればよい。また、乾燥させた金属石鹸を粉砕する方法も、特に限定されるものではなく、例えば、ピンミル、アトマイザー、ジェットミル等によることができる。
本発明によれば、複分解法による金属石鹸の製造において、ステアリン酸のアルカリ石鹸と融点が70℃以上の第2の脂肪酸のアルカリ石鹸を含む水溶液を調製し、これを金属塩の水溶液と混合して、反応させることによって、その理由は、必ずしも、明らかではないが、第2の脂肪酸を併用した場合、その金属石鹸がステアリン酸金属石鹸と混在することによって、ステアリン酸金属石鹸の結晶成長を抑え、且つ、乾燥時の凝集を防ぐ効果が生じると考えられる。
本発明において、上記ステアリン酸の金属石鹸の結晶転移温度とは、ステアリン酸の金属石鹸の結晶構造が変化し始める温度をいい、金属石鹸の金属種によって相違する。即ち、ステアリン酸の金属石鹸の結晶転移温度は、亜鉛塩が100℃、カルシウム塩は94℃、マグネシウム塩は73℃である。本発明において、特に好ましい乾燥温度は、ステアリン酸の金属石鹸の結晶転移温度よりも5℃高い温度から、融点よりも5℃低い温度までの範囲である。例えば、得られるステアリン酸金属石鹸がステアリン酸亜鉛を主成分とするときは、乾燥温度は、105〜118℃の範囲であることが好ましい。
本発明によれば、ステアリン酸のアルカリ石鹸とこれに対して所定の割合の第2の脂肪酸のアルカリ石鹸と金属塩とを水中で反応させ、得られたステアリン酸の金属石鹸を主成分とする金属石鹸の混合物を本発明に従ってステアリン酸の金属石鹸の結晶転移温度以上の温度で加熱し、水分量が所定値となるまで、乾燥させることによって、平均粒子径が2μm以上であり、粒径4μm以上の粒子の割合が10%以上である上記金属石鹸の混合物の凝集物が得られる。次いで、このような金属石鹸の混合物を通常の手段で粉砕することによって、容易に平均粒子径が1.0μm以下であり、粒径が4μmよりも大きい粒子が5重量%以下である微粒子金属石鹸を得ることができる。好ましい態様によれば、本発明に従って、このようにして得られる微粒子金属石鹸は、その嵩比重が0.1g/mL以下であり、特に、嵩比重が0.05〜0.1g/mLの範囲にある微粒子金属石鹸を得ることができる。
アルカリ石鹸と金属塩との反応によって得られた金属石鹸を、その金属石鹸の主成分であるステアリン酸の金属石鹸の結晶転移温度よりも低い温度で乾燥させるときは、場合によっては、平均粒子径1μm程度の金属石鹸を得ることができるが、所定の水分量とするための乾燥に長時間を必要とし、生産効率に劣る。
以下に実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。以下において、脂肪酸の融点はBUCHI製 Melting Point B−545を用いて測定した。
以下において用いた第2の脂肪酸はすべて工業用のものである。また、以下の実施例1〜7と比較例1〜4、8及び9において得られる金属石鹸は、ステアリン酸金属石鹸を主成分とする第2の脂肪酸の金属石鹸との混合物であるが、簡単のために、単に、ステアリン酸金属石鹸という。
実施例1
80℃の温水100Lに工業用牛脂ステアリン酸(ステアリン酸65%、パルミチン酸34%、ミリスチン酸1%、融点60.2℃)3.6kgとベヘニン酸(融点78.3℃)0.4kgを懸濁させ、これに400g/L濃度の苛性ソーダ水溶液1460mLを加え、30分間攪拌した後、70℃に冷却して、アルカリ石鹸水溶液を調製した。別に、70℃の温水50Lに硫酸亜鉛7水塩の結晶2.2kgを溶解させて、硫酸亜鉛水溶液を調製した。
上記硫酸亜鉛水溶液を上記アルカリ石鹸水溶液に温度70℃にて30分かけて加え、温度70℃を維持しながら、1時間攪拌して熟成した。このようにして得られた金属石鹸のスラリーを濾過し、得られたケーキを濾液の導電率が300μS/cm以下になるまで水洗し、続いて、このケーキを110℃の熱風乾燥器内で12時間乾燥した。
得られた金属石鹸の粉砕前の粒度分布と嵩比重は、次のようにして測定した。即ち、得られた金属石鹸の乾燥ケーキを指で軽くほぐし、目開き5.6mmの篩を通し、その0.1gにエタノール60mLを加え、超音波分散機(日本精機(株)製)を用いて2分間分散処理して、金属石鹸の分散液を調製した。この後、測定溶媒としてエタノールを用い、粒度分布測定装置(日機装(株)マイクロトラックMT−3000)に上記金属石鹸の分散液を加えて、金属石鹸の粒度分布を測定した。また、同様に、得られた金属石鹸の乾燥ケーキを指で軽くほぐし、目開き5.6mmの篩を通したものについて、嵩比重をJIS K−6720によって測定した。結果を表1に示す。
次いで、乾燥ケーキをアトマイザーで粗砕した後、ジェットミルにて粉砕して、水分0.5%のステアリン酸亜鉛の粉体を得た。この粉砕後の金属石鹸の粉体についても、上記と同様の測定装置と方法で粒度分布と嵩比重を測定した。
比較例1
110℃での乾燥に代えて、70℃で乾燥した以外は、実施例1と同様にして、ステアリン酸亜鉛の粉体を得た。但し、水分を0.5%とするのに2日間を要した。
実施例2
工業用牛脂ステアリン酸3.8kgと12−ヒドロキシステアリン酸(融点76.3℃)0.2kgを用いた以外は、実施例1と同様にして、水分0.5%のステアリン酸亜鉛の粉体を得た。
実施例3
工業用牛脂ステアリン酸3.4kgとベヘニン酸0.4kgと12−ヒドロキシステアリン酸0.2kgを用いた以外は、実施例1と同様にして、水分0.3%のステアリン酸亜鉛の粉体を得た。
実施例4
80℃の温水100Lに工業用牛脂ステアリン酸3.4kgとベヘニン酸0.4kgと12−ヒドロキシステアリン酸0.2kgを懸濁させ、これに560g/L濃度の苛性カリ水溶液1460mLを加え、30分間攪拌した後、50℃に冷却して、アルカリ石鹸水溶液を調製した。別に、50℃の温水50Lに硫酸亜鉛7水塩の結晶2.2kgを溶解させて、硫酸亜鉛水溶液を調製した。
上記硫酸亜鉛水溶液を上記アルカリ石鹸水溶液に温度50℃にて30分かけて加え、温度50℃を維持しながら、1時間攪拌して熟成した。このようにして得られた金属石鹸のスラリーを濾過し、得られたケーキを濾液の導電率が300μS/cm以下になるまで水洗し、続いて、このケーキを110℃の熱風乾燥器内で12時間乾燥した。次いで、これをアトマイザーで粗砕した後、ジェットミルにて粉砕して、水分0.5%のステアリン酸亜鉛の粉体を得た。
比較例2
110℃での乾燥に代えて、70℃で乾燥した以外は、実施例4と同様にして、ステアリン酸亜鉛の粉体を得た。但し、水分を0.5%とするのに2日間を要した。
実施例5
70℃の温水50Lに300g/L濃度の塩化カルシウム水溶液2760mLを加えて、塩化カルシウム水溶液を調製した。硫酸亜鉛水溶液に代えて、この塩化カルシウム水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、水分2.3%のステアリン酸カルシウムの粉体を得た。
比較例3
110℃での乾燥に代えて、70℃で乾燥した以外は、実施例5と同様にして、ステアリン酸カルシウムの粉体を得た。但し、水分を2.5%とするのに2日間を要した。
実施例6
工業用牛脂ステアリン酸3.5kgとベヘニン酸0.4kgと12−ヒドロキシステアリン酸0.1kgを用いた以外は、実施例5と同様にして、反応を行い、水分2.7%のステアリン酸カルシウムの粉体を得た。
実施例7
70℃の温水50Lに硫酸マグネシウム7水塩の結晶1.9kgを溶解させて、硫酸マグネシウム水溶液を調製した。硫酸亜鉛水溶液に代えて、この硫酸マグネシウム水溶液を用いると共に、得られたケーキを90℃の熱風乾燥機内で一晩乾燥した以外は、実施例1と同様にして、水分2.0%のステアリン酸マグネシウムの粉体を得た。
比較例4
90℃での乾燥に代えて、70℃で乾燥した以外は、実施例7と同様にして、ステアリン酸マグネシウムの粉体を得た。但し、水分を2.0%とするのに3日間を要した。
比較例5〜7
工業用牛脂ステアリン酸4kgのみを用いた以外は、実施例1、5又は7と同様にして、それぞれ金属石鹸の粉体を得た。
比較例8
工業用牛脂ステアリン酸3.6kgとラウリン酸(融点42.0℃)0.4kgを用いた以外は、実施例1と同様にして、水分0.5%のステアリン酸亜鉛の粉体を得た。
比較例9
工業用ステアリン酸3.96kgと12−ヒドロキシステアリン酸0.04kgを用いた以外は、実施例1と同様にして、水分0.5%のステアリン酸亜鉛の粉体を得た。
以上のようにして、実施例1〜7と比較例1〜9において得られた金属石鹸0.1gにエタノール60mLを加え、超音波分散機(日本精機(株)製)を用いて2分間分散処理して、それぞれ金属石鹸の分散液を調製した。この後、測定溶媒としてエタノールを用い、粒度分布測定装置(日機装(株)マイクロトラックMT−3000)に上記金属石鹸の分散液を加えて、それぞれの金属石鹸の粒度分布を測定した。また、嵩比重はJIS K−6720によって測定した。結果を表1に示す。
Figure 2008297233
表1に示す結果から明らかなように、本発明の実施例によれば、粉砕前の粒子径は2μm以上であるが、これを粉砕することによって、平均粒子径が0.5〜1.0μmの範囲にあり、粒径が4μm以上の粒子の割合が5重量%以下である微粒子金属石鹸を得ることができる。これに対して、第2の脂肪酸を用いないか、又は第2の脂肪酸の割合が2重量%よりも少ないときは、反応によって得られた金属石鹸を粉砕しても、目的とする平均粒子径が1.0μm以下であり、粒径が4μm以上の粒子の割合が5重量%以下である微粒子金属石鹸を得ることができない。第2の脂肪酸として、例えば、融点が70℃よりも低いラウリン酸を併用しても、同様に、目的とする微粒子金属石鹸を得ることができない。

Claims (5)

  1. ステアリン酸のアルカリ石鹸と、融点が70℃以上であって、ヒドロキシル基を有していてもよい第2の直鎖の飽和脂肪酸のアルカリ石鹸とを水中において金属塩と反応させ、得られたステアリン酸の金属石鹸と上記第2の脂肪酸の金属石鹸の混合物を水から分離し、これを上記ステアリン酸の金属石鹸の結晶転移温度以上の温度で乾燥させた後、粉砕することを特徴とする、平均粒子径が1.0μm以下であり、粒径が4μmよりも大きい粒子が5重量%以下である微粒子金属石鹸の製造方法。
  2. ステアリン酸と第2の脂肪酸の合計量に対して、第2の脂肪酸の割合が2〜20重量%の範囲である請求項1に記載の微粒子金属石鹸の製造方法。
  3. ステアリン酸のアルカリ石鹸と第2の脂肪酸のアルカリ石鹸とを水中において金属塩と20〜95℃の範囲の温度にて反応させる請求項1又は2に記載の微粒子金属石鹸の製造方法。
  4. 第2の脂肪酸がベヘニン酸と12−ヒドロキシステアリン酸から選ばれる少なくとも1種である請求項1から3のいずれかに記載の微粒子金属石鹸の製造方法。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の方法によって得られる嵩比重が0.1g/mL以下である微粒子金属石鹸。
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