JP4725807B2 - 内視鏡的粘膜切除術用高周波ナイフ及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、内視鏡的粘膜切除術用高周波ナイフ及びその製造方法に関する。
内視鏡的粘膜切除術用高周波ナイフは一般に、内視鏡の処置具案内管に挿脱される電気絶縁性のシースの先端に、導電性金属からなる棒状の先端電極が設けられていて、先端電極に高周波電流を流すことにより、先端電極に接触している生体組織が焼灼されるようになっている(例えば、特許文献1)。
しかし、そのような構成では、生体組織の焼灼幅が広すぎて切れ味よく生体組織を切り裂けない場合があり、組織の損傷も大きくなる。そこで、先端電極の表面の一部に幅狭の細長い金属露出部を形成して、生体組織を狭い幅で切れ味よく切り裂くことができるようにしたものがある(例えば、特許文献2)。
特開平8−299355号公報 特開2007−44281号公報
特許文献2に記載された発明では、先端電極の表面の一部に幅狭の細長い金属露出部を形成するために、導電金属製の先端電極を金属露出部の部分以外が切り削がれた断面形状に形成して、切り削ぎ部分をセラミック等のような電気絶縁材で覆っている。
しかし、そのような先端電極の切り削ぎ部分をセラミック等のような電気絶縁材で覆った構成では、0.2〜0.4mm程度の極細幅の金属露出部を残して切り削ぐ加工が極めて困難であり、また、先端電極を部分的に覆うセラミック材が先端電極との熱膨張率の相違等により剥離して使用中に脱落してしまう場合がある。
本発明はそのような問題を解決するためになされたものであり、極細幅の金属露出部を容易かつ正確に形成して生体組織を狭い幅で切れ味よく小さな組織損傷で切り裂くことができ、しかも電気絶縁材の脱落等が発生するおそれのない安全な内視鏡的粘膜切除術用高周波ナイフ及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、電気絶縁性のシースの先端に導電性金属からなる棒状の先端電極が設けられて、先端電極に高周波電流を流すことにより、先端電極の金属露出部に接触している生体組織が焼灼されるようにされた内視鏡的粘膜切除術用高周波ナイフにおいて、先端電極は、棒状の先端部分に先端電極より径の大きな先端塊が形成されると共に表面全面に電気絶縁性コーティングが施され、その電気絶縁性コーティングの一部削除されることにより先端電極の側面から先端塊の背面に連続して金属露出部が形成されていることを特徴とする
なお、先端電極がシースの基端側からの操作によりシースの先端内に引き込み自在であってもよく、金属露出部が棒状の先端電極の長手方向に真っ直ぐに細長く形成されていてもよい。また、金属露出部が棒状の先端電極の外周面にらせん状に形成されていてもよく、金属露出部が互いの間に間隔をあけて複数並んで形成されていてもよい。
本発明によれば、先端電極の表面全面に電気絶縁性コーティングが施され、その電気絶縁性コーティングの一部を削除して金属露出部が形成されていることにより、極細幅の金属露出部を容易かつ正確に形成して生体組織を狭い幅で切れ味よく切り裂くことができ、しかも極薄に形成可能な電気絶縁性コーティングは先端電極との熱膨張率の相違により先端電極から剥離、脱落するおそれが少ない。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を具体的に説明する。
図4は、本発明の第1の実施の形態の内視鏡的粘膜切除術用高周波ナイフの全体構成を示している。1は、例えば可撓性のあるフッ素樹脂チューブ等からなる電気絶縁性のシースであり、その長さは例えば1〜2m程度である。シース1の先端部分には、生体の粘膜に差し込んで組織を高周波電流で焼灼して切り裂くための先端電極2が配置されている。シース1内には、可撓性を有する導電ワイヤー3が軸方向に進退自在に挿通されていて、その導電ワイヤー3の先端が先端電極2に機械的及び電気的に連結接続されている。
シース1の基端に連結された操作部10には、導電ワイヤー3の基端が連結された操作片12が操作部本体11にスライド自在に取り付けられていて、操作片12を矢印方向にスライド操作することにより導電ワイヤー3が軸方向に進退して先端電極2をシース1の先端内に引き込むことができる。ただし、先端電極2がシース1の先端から突出した状態に固定された構成のものであっても差し支えない。操作片12には、図示されていない高周波電源に接続される接続端子13が設けられていて、導電ワイヤー3を経由して先端電極2に高周波電流を通電することができる。
図1は、シース1の先端に配置された先端電極2を示している。先端電極2は、例えばステンレス棒材等のような断面形状が円形で直径が0.4〜3mm程度の剛性のある導電性の金属棒により形成されて、シース1の軸方向と同方向に真っ直ぐに配置され、その最先端部には、先端電極2より径の大きな略球状又は半球状の先端塊4が一体的に形成されている。ただし、先端電極2の断面形状が非円形であっても差し支えない。
図2に示されるように、先端塊4の大きさを、先端電極2がシース1内に引き込まれた時でもシース1内に引き込まれない大きさ(例えば、先端電極2の径の1.2〜5倍程度の径)に形成すれば、使い勝手がよい。なお、先端塊4は先端電極2と同一素材で先端電極2と一体に形成してもよく、先端電極2とは別部材で形成された先端塊4を先端電極2に固着してもよい。
図1に戻って、先端塊4の表面も含めて先端電極2の表面には、例えばフッ素樹脂等のような電気絶縁性の合成樹脂材からなる電気絶縁性コーティング5が施されていて、その電気絶縁性コーティング5の一部を削除して金属露出部6が形成されている。この実施の形態では、金属露出部6が棒状の先端電極2の長手方向に真っ直ぐに細長く一本だけ形成されており、先端電極2に高周波電流を流すことにより、金属露出部6に接触している生体組織が焼灼されて切り裂かれる。
図3は、図1におけるA−A線で切断された断面を図示しており、金属露出部6の幅Wは例えば0.2〜0.4mm程度であり、先端電極2の直径Dは前記のように例えば0.4〜3mm程度である。金属露出部6は、先端電極2と先端塊4の外表面全面に蒸着等のコーティング処理により電気絶縁性コーティング5が被覆された後、金属露出部6になる部分だけ先端電極2の表面から電気絶縁性コーティング5がカッター等で削り取られて形成されている。
したがって、金属露出部6の幅Wが極細であっても容易かつ正確に形成して、生体組織を狭い幅で切れ味よく切り裂くことができ組織の損傷が少なくなる効果もある。そして、そのような極細の金属露出部6をある程度太い(例えば直径Dが1〜3mm程度の)先端電極2に形成して機械的な穿孔の可能性を容易に減少させることもできる。また、電気絶縁性コーティング5は例えば0.2〜0.6mm程度の厚さに極めて薄く形成することができるので、先端電極2との熱膨張率の相違等で剥離し難い。
図5と図6は、本発明の第1の実施の形態の第1と第2の変形例を示しており、図5に示される第1の変形例では、先端塊4の先寄りの部分が球を削ぎ落とした形状に形成され、図6に示される第2の変形例では、先端塊4の先寄りの部分が略円錐状に尖った形状に形成されて、粘膜下に差し込み易いようになっている。このように、先端塊4は用途等に応じて適宜の形状に形成すればよい。なお、先端塊4の表面には全面に電気絶縁性コーティング5が施されている。
図7は本発明の第2の実施の形態を示しており、第1の実施の形態と同様の金属露出部6が棒状の先端電極2の側面から先端塊4の背面に連続して形成されている。このように構成することにより、切開対象の粘膜の裏面部分まで確実に焼灼して切開効果を高めることができるケースがある。
図8は本発明の第3の実施の形態を示しており、第1の実施の形態と同様の金属露出部6が互いの間に間隔をあけて複数並んで形成されている。なお、この実施の形態では、B−B線で切断した断面を図示する図9にも示されるように、金属露出部6が3本形成されているが、それ以外(例えば2本又は4本)であっても差し支えない。このように構成することにより、先端電極2を、回転方向に向きを変えることなく粘膜面に単に押し当てて切開することができる。
図10は本発明の第4の実施の形態を示しており、金属露出部6が棒状の先端電極2の外周面にらせん状に形成されている。このように構成することによっても同様の効果を得ることができる。なお、らせん状の金属露出部6は、用途に応じて一本又は複数本であってもよい。また、金属露出部6の幅が先端電極2の周長の半分程度あってもよい。
本発明の第1の実施の形態の内視鏡的粘膜切除術用高周波ナイフの先端電極部分の斜視図。 本発明の第1の実施の形態の内視鏡的粘膜切除術用高周波ナイフの先端電極部分がシース内に引き込まれた状態の斜視図。 本発明の第1の実施の形態の内視鏡的粘膜切除術用高周波ナイフの図1におけるA−A線で切断した断面の断面図。 本発明の第1の実施の形態の内視鏡的粘膜切除術用高周波ナイフの全体構成を示す側面図。 本発明の第1の実施の形態の第1の変形例の斜視図。 本発明の第1の実施の形態の第2の変形例の斜視図。 本発明の第2の実施の形態の内視鏡的粘膜切除術用高周波ナイフの先端電極部分の斜視図。 本発明の第3の実施の形態の内視鏡的粘膜切除術用高周波ナイフの先端電極部分の斜視図。 本発明の第3の実施の形態の内視鏡的粘膜切除術用高周波ナイフの図8におけるB−B線で切断した断面の断面図。 本発明の第4の実施の形態の内視鏡的粘膜切除術用高周波ナイフの先端電極部分の斜視図。
符号の説明
1…シース
2…先端電極
4…先端塊
5…電気絶縁性コーティング
6…金属露出部

Claims (5)

  1. 電気絶縁性のシースの先端に導電性金属からなる棒状の先端電極が設けられて、前記先端電極に高周波電流を流すことにより、前記先端電極の金属露出部に接触している生体組織が焼灼されるようにされた内視鏡的粘膜切除術用高周波ナイフにおいて、
    前記先端電極は、棒状の先端部分に前記先端電極より径の大きな先端塊が形成されると共に表面全面に電気絶縁性コーティングが施され、その電気絶縁性コーティングの一部削除されることにより前記先端電極の側面から前記先端塊の背面に連続して前記金属露出部が形成されていることを特徴とする内視鏡的粘膜切除術用高周波ナイフ。
  2. 請求項1に記載された内視鏡的粘膜切除術用高周波ナイフにおいて、前記先端電極が前記シースの基端側からの操作により前記シースの先端内に引き込み自在である内視鏡的粘膜切除術用高周波ナイフ。
  3. 請求項1又は2に記載された内視鏡的粘膜切除術用高周波ナイフにおいて、前記金属露出部が棒状の前記先端電極の長手方向に真っ直ぐに細長く形成されている内視鏡的粘膜切除術用高周波ナイフ。
  4. 請求項1から3の何れかに記載された内視鏡的粘膜切除術用高周波ナイフにおいて、前記金属露出部が棒状の前記先端電極の外周面にらせん状に形成されている内視鏡的粘膜切除術用高周波ナイフ。
  5. 請求項1からの何れかに記載された内視鏡的粘膜切除術用高周波ナイフにおいて、前記金属露出部が互いの間に間隔をあけて複数並んで形成されている内視鏡的粘膜切除術用高周波ナイフ。
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