以下、本発明を適用した画像形成システムとして、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)を有する画像形成システムの実施形態について説明する。
まず、実施形態に係る画像形成システムの画像形成装置たるプリンタの基本的な構成について説明する。図1は、実施形態に係る画像形成システムのプリンタを示す概略構成図である。同図のプリンタは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、C、M、Kと記す)のトナー像を生成するための4つのプロセスユニット1Y,C,M,Kを備えている。これらは、画像を形成する画像形成物質として、互いに異なる色のY,C,M,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。Yトナー像を生成するためのプロセスユニット1Yを例にすると、これは図2に示すように、感光体ユニット2Yと現像ユニット7Yとを有している。これら感光体ユニット2Y及び現像ユニット7Yは、図3に示すようにプロセスユニット1Yとして一体的にプリンタ本体に対して着脱される。但し、プリンタ本体から取り外した状態では、図4に示すように現像ユニット7Yを図示しない感光体ユニットに対して着脱することができる。
先に示した図2において、感光体ユニット2Yは、潜像担持体たるドラム状の感光体3Y、ドラムクリーニング装置4Y、図示しない除電装置、帯電装置5Yなどを有している。
帯電装置5Yは、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動せしめられる感光体3Yの表面を一様帯電せしめる。同図においては、図示しない電源によって帯電バイアスが印加されながら、図中反時計回りに回転駆動される帯電ローラ6Yを感光体3Yに近接させることで、感光体3Yを一様帯電せしめる方式の帯電装置5Yを示した。帯電ローラ6Yの代わりに、帯電ブラシを当接させるものを用いてもよい。また、スコロトロンチャージャーのように、チャージャー方式によって感光体3Yを一様帯電せしめるものを用いてもよい。帯電装置5Yによって一様帯電せしめられた感光体3Yの表面は、後述する光書込ユニットから発せられるレーザ光によって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。
現像手段たる現像ユニット7Yは、第1搬送スクリュウ8Yが配設された第1剤収容部9Yを有している。また、透磁率センサからなるトナー濃度センサ(以下、トナー濃度センサという)10Y、第2搬送スクリュウ11Y、現像ロール12Y、ドクターブレード13Yなどが配設された第2剤収容部14Yも有している。これら2つの剤収容部内には、磁性キャリアとマイナス帯電性のYトナーとからなる図示しないY現像剤が内包されている。第1搬送スクリュウ8Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられることで、第1剤収容部9Y内のY現像剤を図紙面に直交する方向における手前側から奥側へと搬送する。そして、第1剤収容部9Yと第2剤収容部14Yとの間の仕切壁に設けられた図示しない連通口を経て、第2剤収容部14Y内に進入する。
第2剤収容部14Y内の第2搬送スクリュウ11Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられることで、Y現像剤を図中奥側から手前側へと搬送する。搬送途中のY現像剤は、第1剤収容部14Yの底部に固定されたトナー濃度センサ10Yによってそのトナー濃度が検知される。このようにしてY現像剤を搬送する第2搬送スクリュウ11Yの図中上方には、現像ロール11Yが第2搬送スクリュウ11Yと平行な姿勢で配設されている。この現像ロール11Yは、図中反時計回り方向に回転駆動せしめられる非磁性パイプからなる現像スリーブ15Y内にマグネットローラ16Yを内包している。第2搬送スクリュウ11Yによって搬送されるY現像剤の一部は、マグネットローラ16Yの発する磁力によって現像スリーブ15Y表面に汲み上げられる。そして、現像部材たる現像スリーブ15Yと所定の間隙を保持するように配設されたドクターブレード13Yによってその層厚が規制された後、感光体3Yと対向する現像領域まで搬送され、感光体3Y上のY用の静電潜像にYトナーを付着させる。この付着により、感光体3Y上にYトナー像が形成される。現像によってYトナーを消費したY現像剤は、現像ロール12Yの現像スリーブ15Yの回転に伴って第2搬送スクリュウ11Y上に戻される。そして、図中手前端まで搬送されると、図示しない連通口を経て第1剤収容部9Y内に戻る。
トナー濃度センサ10YによるY現像剤の透磁率の検知結果は、電圧信号として図示しない制御部に送られる。Y現像剤の透磁率は、Y現像剤のYトナー濃度と相関を示すため、トナー濃度センサ10YはYトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。上記制御部はRAMを備えており、この中にトナー濃度センサ10Yからの出力電圧の目標値であるY用Vtrefや、他の現像ユニットに搭載されたC,M,K用のトナー濃度センサからの出力電圧の目標値であるC用Vtref、M用Vtref、K用Vtrefのデータを格納している。Y用の現像ユニット7Yについては、トナー濃度センサ10Yからの出力電圧の値とY用Vtrefを比較し、後述するY用のトナー供給装置を比較結果に応じた時間だけ駆動させる。この駆動により、現像に伴ってYトナーを消費してYトナー濃度を低下させたY現像剤に対して第1剤収容部9Yで適量のYトナーが供給される。このため、第2剤収容部14Y内のY現像剤のYトナー濃度が所定の範囲内に維持される。他色用のプロセスユニット(1C,M,K)内における現像剤についても、同様のトナー供給制御が実施される。
感光体3Y上に形成されたYトナー像は、後述する中間転写ベルトに中間転写される。感光体ユニット2Yのドラムクリーニング装置4Yは、中間転写工程を経た後の感光体3Y表面に残留したトナーを除去する。これによってクリーニング処理が施された感光体3Y表面は、図示しない除電装置によって除電される。この除電により、感光体3Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。先に示した図1において、他色用のプロセスユニット1C,M,Kにおいても、同様にして感光体3C,M,K上にC,M,Kトナー像が形成されて、中間転写ベルト上に中間転写される。
プロセスユニット1Y,C,M,Kの図中下方には、光書込ユニット20が配設されている。潜像形成手段たる光書込ユニット20は、画像情報に基づいて発したレーザ光Lを、各プロセスユニット1Y,C,M,Kの感光体3Y,C,M,Kに照射する。これにより、感光体3Y,C,M,K上にY,C,M,K用の静電潜像が形成される。なお、光書込ユニット20は、光源から発したレーザ光Lを、モータによって回転駆動されるポリゴンミラー21によって偏向せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体3Y,C,M,Kに照射するものである。かかる構成のものに代えて、LDEアレイによる光走査を行うものを採用することもできる。
光書込ユニット20の下方には、第1給紙カセット31、第2給紙カセット32が鉛直方向に重なるように配設されている。これら給紙カセット内には、それぞれ、記録部材たる記録紙Pが複数枚重ねられた記録紙束の状態で収容されており、一番上の記録紙Pには、第1給紙ローラ31a、第2給紙ローラ32aがそれぞれ当接している。第1給紙ローラ31aが図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動せしめられると、第1給紙カセット31内の一番上の記録紙Pが、カセットの図中右側方において鉛直方向に延在するように配設された給紙路33に向けて排出される。また、第2給紙ローラ32aが図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動せしめられると、第2給紙カセット32内の一番上の記録紙Pが、給紙路33に向けて排出される。給紙路33内には、複数の搬送ローラ対34が配設されており、給紙路33に送り込まれた記録紙Pは、これら搬送ローラ対34のローラ間に挟み込まれながら、給紙路33内を図中下側から上側に向けて搬送される。
給紙路33の末端には、レジストローラ対35が配設されている。レジストローラ対35は、記録紙Pを搬送ローラ対34から送られてくる記録紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに、両ローラの回転を一旦停止させる。そして、記録紙Pを適切なタイミングで後述の2次転写ニップに向けて送り出す。
各プロセスユニット1Y,C,M,Kの図中上方には、無端移動体たる中間転写ベルト41を張架しながら図中反時計回りに無端移動せしめる転写ユニット40が配設されている。転写手段たる転写ユニット40は、中間転写ベルト41の他、ベルトクリーニングユニット42、第1ブラケット43、第2ブラケット44などを備えている。また、4つの1次転写ローラ45Y,C,M,K、2次転写バックアップローラ46、駆動ローラ47、補助ローラ48、テンションローラ49なども備えている。中間転写ベルト41は、これら8つのローラに張架されながら、駆動ローラ47の回転駆動によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。4つの1次転写ローラ45Y,C,M,Kは、このように無端移動せしめられる中間転写ベルト41を感光体3Y,C,M,Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト41の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス)の転写バイアスを印加する。中間転写ベルト41は、その無端移動に伴ってY,C,M,K用の1次転写ニップを順次通過していく過程で、そのおもて面に感光体3Y,C,M,K上のY,C,M,Kトナー像が重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト41上に4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
2次転写バックアップローラ46は、中間転写ベルト41のループ外側に配設された2次転写ローラ50との間に中間転写ベルト41を挟み込んで2次転写ニップを形成している。先に説明したレジストローラ対35は、ローラ間に挟み込んだ記録紙Pを、中間転写ベルト41上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで、2次転写ニップに向けて送り出す。中間転写ベルト41上の4色トナー像は、2次転写バイアスが印加される2次転写ローラ50と2次転写バックアップローラ46との間に形成される2次転写電界や、ニップ圧の影響により、2次転写ニップ内で記録紙Pに一括2次転写される。そして、記録紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト41には、記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、ベルトクリーニングユニット42によってクリーニングされる。なお、ベルトクリーニングユニット42は、クリーニングブレード42aを中間転写ベルト41のおもて面に当接させており、これによってベルト上の転写残トナーを掻き取って除去するものである。
2次転写ニップの図中上方には、定着ユニット60が配設されている。この定着ユニット60は、図5に示すように、ハロゲンランプ等の発熱源61aを内包する加圧加熱ローラ61と、定着ベルトユニット62とを備えている。定着ベルトユニット62は、定着部材たる定着ベルト64、ハロゲンランプ等の発熱源63aを内包する加熱ローラ63、テンションローラ65、駆動ローラ66、温度センサ67等を有している。そして、無端状の定着ベルト64を加熱ローラ63、テンションローラ65及び駆動ローラ66によって張架しながら、図中反時計回り方向に無端移動せしめる。この無端移動の過程で、定着ベルト64は加熱ローラ63によって裏面側から加熱される。このようにして加熱される定着ベルト64の加熱ローラ63掛け回し箇所には、図中時計回り方向に回転駆動される加圧加熱ローラ61がおもて面側から当接している。これにより、加圧加熱ローラ61と定着ベルト64とが当接する定着ニップが形成されている。
定着ベルト64のループ外側には、温度センサ67が定着ベルト64のおもて面と所定の間隙を介して対向するように配設されており、定着ニップに進入する直前の定着ベルト64の表面温度を検知する。この検知結果は、図示しない定着電源回路に送られる。定着電源回路は、温度センサ67による検知結果に基づいて、加熱ローラ63に内包される発熱源63aや、加圧加熱ローラ61に内包される発熱源61aに対する電源の供給をオンオフ制御する。これにより、定着ベルト64の表面温度が約140[°]に維持される。
先に示した図1において、2次転写ニップを通過した記録紙Pは、中間転写ベルト41から分離した後、定着ユニット60内に送られる。そして、定着ユニット60内の定着ニップに挟まれながら図中下側から上側に向けて搬送される過程で、定着ベルト64によって加熱されたり、押圧されたりして、フルカラートナー像が定着せしめられる。
このようにして定着処理が施された記録紙Pは、排紙ローラ対67のローラ間を経た後、機外へと排出される。プリンタ本体の筺体の上面には、スタック部68が形成されており、排紙ローラ対67によって機外に排出された記録紙Pは、このスタック部68に順次スタックされる。
転写ユニット40の上方には、Y,C,M,Kトナーを収容する4つのトナーカートリッジ100Y,C,M,Kが配設されている。トナーカートリッジ100Y,C,M,K内のY,C,M,Kトナーは、プロセスユニット1Y,C,M,Kの現像ユニット7Y,C,M,Kに適宜供給される。これらトナーカートリッジ100Y,C,M,Kは、プロセスユニット1Y,C,M,Kとは独立してプリンタ本体に脱着可能である。
図6はY用のトナーカートリッジ100Yを示す斜視図である。同図において、トナーカートリッジ100Yは、図示しないYトナーを収容するボトル状のボトル部101Yと、円筒状のホルダー部102Yとを備えている。ホルダー部102Yは、ボトル部101Yの先端に形成された図示しない開口を覆うようにボトル部101Yの先端部に係合しつつ、ボトル部101Yを回転自在に保持している。ボトル部101Yには、外側から内側に向けて突出するスクリュー状の突起が103Yその円周面に沿うようにエンボス加工されている。ボトル部101Yが図示しない駆動系によって回転せしめられると、ボトル部101Y内のYトナーがこのスクリュー状の突起に沿ってボトル底側からボトル先端側に向けて移動する。そして、トナー収容器たるボトル部101Yの先端に設けられた図示しない開口を通って、円筒状のホルダー部102Y内に流入する。
ホルダー部102Yのボトル軸線方向における端面には、ノズル受入口109Yが形成されている。このノズル受入口109Yは、プリンタ本体側に固定された後述する吸引ノズルを受け入れるためのものである。ノズル受入口109Yの図中両脇には、それぞれノズル受入口よりも若干小径の位置決めピン受入口110Yがそれぞれ形成されている。これら位置決めピン受入口110Yは、それぞれ、ボトル部101Yの回転軸線からずれた位置に形成されており、その奧には、図示しないピン挿入通路が、ボトル部101Yの回転軸線方向と並行な方向に延在するように形成されている。なお、ボトル部101Yとしては、駆動伝達ギヤによって回転せしめられる際の衝撃では変形しない程度に剛性の高い樹脂材料からなるものを用いている。
図7は、後述するトナー補給装置の一部となっているY用のカートリッジ連結部71Yを示す斜視図である。このY用のカートリッジ連結部71Yは、Yトナーを流通させるための流通管72Yの上端に、管部材たる吸引ノズル73Yが水平方向に延在するように固定されている。吸引ノズル73Yの先端部には、Yトナーを受け入れるためのトナー受入口74Yが形成されている。また、吸引ノズル73Yの両脇には、それぞれ、棒状の位置決めピン75Yが、水平方向(ボトル部の回転軸線と並行な方向)に延在するように固定されている。位置決め部材としてのカートリッジ連結部71Yの凸部たる位置決めピン75Yは、先端部が吸引ノズル73Yの先端よりも出っ張るようになっている。
Y用のトナーカートリッジ100Yが後述するトナー補給装置のカートリッジ載置台にセットされる際には、まず、プリンタの筺体の側板に設けられた図示しない開閉扉が開かれる。すると、筺体内のトナー補給装置のカートリッジ載置台が露出する。このカートリッジ載置台には、Y,C,M,K用の4つのトナーカートリッジを並行載置するための半筒状の4つの窪みが並行に設けられている。作業者は、トナーカートリッジ100Yを、そのホルダー部102Yを先頭に向ける姿勢で把持する。そして、カートリッジ載置台に設けられた半筒上の4つの窪みのうち、Y用の窪みの端にホルダー部102Yを載せた後、カートリッジ全体を差し込むように、ボトル部回転軸線方向に沿ってスライド移動させる。このスライド移動により、トナーカートリッジ100Yを、所定の位置まで押し込んで、カートリッジ載置台上にセットする。
トナー補給装置におけるY用のカートリッジ連結部71Yの2つの位置決めピン73Yは、それぞれ先端部を吸引ノズル73Yの先端よりも出っ張らせるように固定されている。そして、その先端部は、後端側よりも先細になっている。トナーカートリッジがセット時にカートリッジ載置台上に差し込まれる途中で、これら2つの位置決めピン73Yの先細の先端部が、図6に示したトナーカートリッジ100Yの2つの位置決めピン受入口110Y内にそれぞれ進入する。そして、トナーカートリッジ100Yが更に差し込まれると、位置決めピン73Yの先端部よりも太くなっている後端側も、ピン受入口110Y内に進入していく。先端部よりも太くなっている後端側がピン受入口110Y内に進入することで、トナーカートリッジ100Yのカートリッジ載置台上における回転軸線方向と直交する方向の位置決めがなされる。
かかる位置決めがなされた後、トナーカートリッジ100Yが更に差し込まれると、カートリッジ連結部109Yにおける吸引ノズル73Yが、ホルダー部102Yのノズル受入口109Y内に進入していく。そして、吸引ノズル73Y内がノズル受入口109Yの内側に延在している挿入通路(115Y)にある程度まで押し込まれた時点で、トナーカートリッジ100Yのセットが完了する。
このようにしてセットされたトナーカートリッジ100Yは、ボトル部101Yの先端部に形成されたギヤ部111Yを、トナー補給装置に固定された図示しない駆動伝達ギヤに噛み合わせる。駆動伝達ギヤが回転駆動されると、ボトル部101Yがホルダー部102Yに保持されながら回転する。この回転により、ボトル部101Y内のYトナーが、ボトル後端側から先端側に向けて搬送されて、ホルダー部102内に流入する。
吸引ノズル73Yに連結した流通管72Yの図示しない領域には、吸引ポンプが接続されており、これの作動によって流通管72Y内の空気やトナーが吸引される。すると、その吸引力が、流通管72Y内、吸引ノズル73Y内を介して、ホルダー部102Yに伝わる。そして、ホルダー部102内のYトナーが、吸引ノズル73Y内へと吸引され、Y用のプロセスユニット1Yの現像ユニット7Y内に補給される。
なお、Yトナーを収容するY用のトナーカートリッジ100Yについて詳しく説明したが、他色用のトナーカートリッジ(100C,M,K)も同様の構成になっている。
図8は、Y,C,M,K用の4つの吸引ポンプのうち、Y用の吸引ポンプ78Yを示す斜視図である。この吸引ポンプ78Yは、一軸偏芯スクリューポンプ(通称モーノポンプ)と呼ばれる方式のものである。そのポンプ部80Yは、金属や剛性の高い樹脂などで偏芯2条スクリュー形状に加工されたロータ81Y、ゴム等の材料に2条スクリュー状の空洞が形成されたステータ82Y、これらを内包する樹脂製のホルダ等から構成される。吸引ポンプ78Yは、このポンプ部80Yの他に、吐出部83Y、ロータ81Yを回転させるモータ84Y等も有している。2条スクリュー形状のロータ81Yがステータ82Y内で回転すると、ポンプ部80Yの吸引側(図中右側)に負圧が発生する。この負圧により、Y用のトナーカートリッジ100Y内のYトナーが、流通管72Y等を介して吸引される。そして、吸引ポンプ78Yのポンプ部80Yに至り、ステータ82Y内を通って吐出部83Yから吐出される。他色用の吸引ポンプも同様の構成である。
図9は、トナー補給装置とその周囲構成とを示す斜視図である。トナー補給装置70は、カートリッジ載置台77、4つのカートリッジ連結部71Y,C,M,K、4つの吸引ポンプ78Y,C,M,Kなどを有している。カートリッジ載置台77は、4つのトナーカートリッジ100Y,C,M,Kを平行載置するための4つの半円筒状の窪みを有している。カートリッジ載置台77の下方には、図示しない転写ユニットが配設され、その更に下方には、4つの現像ユニットが配設されている。なお、同図においては、便宜上、4つの現像ユニットのうち、K用の現像ユニット7Kだけを示している。
図示しないプリンタ筐体の側面には、カートリッジ交換作業用の開閉扉が設けられており、この開閉扉を開くと、筐体内のトナー補給装置70が図中の奥側で露出する。作業者は、開閉扉から、トナーカートリッジ100Y,C,M,Kをボトル長手方向に押し込むようにして、カートリッジ載置台77上をスライド移動させることで、トナー補給装置70にセットする。
カートリッジ載置台77の一端部には、4つのカートリッジ連結部71Y,C,M,Kを支持するための連結部支持板79が立設せしめられている。カートリッジ載置台77上に載置されたトナーカートリッジ100Y,C,M,Kの図示しないノズル挿入通路には、カートリッジ連結部71Y,C,M,Kの吸引ノズルがそれぞれ差し込まれている。カートリッジ連結部71Y,C,M,Kの流通管72Y,C,M,Kの端には、吸引ポンプ78Y,C,M,Kが連結されている。各吸引ポンプ78Y,C,M,Kの直下には、各現像ユニットのトナー補給口Eが位置している。吸引ポンプ78Y,C,M,Kの吐出部からそれぞれ吐出されたY,C,M,Kトナーは、それぞれ対応する現像ユニットのトナー補給口を通して、その現像ユニットの内部に補給される。なお、同図においては、K用の現像ユニット5Kだけを示しているが、Y,M,C用の吸引ポンプ78Y,M,Cの直下にも、それぞれY,M,C用の現像ユニットが位置している。
図10は、プリンタの筺体内に固定された駆動伝達系である本体側駆動伝達部を示す斜視図である。また、図11は、この本体側駆動伝達部を上方から示す平面図である。プリンタの筺体内には、支持板が立設せしめられており、これには4つのプロセス駆動モータ120Y,C,M,Kが固定されている。プロセス駆動モータ120Y,C,M,Kの回転軸には、原動ギヤ121Y,C,M,Kが固定されている。プロセス駆動モータ120Y,C,M,Kの回転軸の下方には、上記支持板に突設せしめられた図示しない固定軸に係合しながら摺動回転可能な現像ギヤ122Y,C,M,Kが配設されている。この現像ギヤ122Y,C,M,Kは、互いに同じ回転軸線上で回転する第1ギヤ部123Y,C,M,Kと第2ギヤ部124Y,C,M,Kとを有している。第2ギヤ部124Y,C,M,Kの方が、第1ギヤ部123Y,C,M,Kよりもプロセス駆動モータ120Y,C,M,Kの回転軸の先端側に位置している。現像ギヤ122Y,M,C,Kは、その第1ギヤ部123Y,M,C,Kをプロセス駆動モータ120Y,C,M,Kの原動ギヤ121Y,C,M,Kに噛み合わせながら、プロセス駆動モータ120Y,C,M,Kの回転によって固定軸上で摺動回転する。
現像ギヤ122Y,C,M,Kの左側方には、図示しない固定軸に係合しながら摺動回転する第1中継ギヤ125Y,C,M,Kが配設されている。これらは、現像ギヤ122Y,C,M,Kの第2ギヤ部124Y,C,M,Kに噛み合うことで、現像ギヤ122Y,C,M,Kから回転駆動力を受けて、固定軸上で摺動回転する。第1中継ギヤ125Y,C,M,Kには、駆動伝達方向上流側で第2ギヤ部124Y,C,M,Kが噛み合っている他に、駆動伝達方向下流側でクラッチ入力ギヤ126Y,C,M,Kが噛み合っている。これらクラッチ入力ギヤ126Y,C,M,Kは、現像クラッチ127Y,C,M,Kに支持されている。現像クラッチ127Y,C,M,Kは、図示しない制御部によって電源供給がオンオフ制御されるのに伴って、クラッチ入力ギヤ126Y,C,M,Kの回転駆動力をクラッチ軸に繋いだり、クラッチ入力ギヤ126Y,C,M,Kを空転させたりする。現像クラッチ127Y,C,M,Kのクラッチ軸の先端側には、クラッチ出力ギヤ128Y,C,M,Kが固定されている。現像クラッチ127Y,C,M,Kに電源が供給されると、クラッチ入力ギヤ126Y,C,M,Kの回転駆動力がクラッチ軸に繋がれて、クラッチ出力ギヤ128Y,C,M,Kが回転する。これに対し、現像クラッチ127Y,C,M,Kへの電源供給が切られると、たとえプロセス駆動モータ120Y,C,M,Kが回転していても、クラッチ入力ギヤ126Y,C,M,Kがクラッチ軸上で空転するため、クラッチ出力ギヤ128Y,C,M,Kの回転が停止する。
クラッチ出力ギヤ128Y,C,M,Kの図中左側方には、図示しない固定軸に係合しながら摺動回転可能な第2中継ギヤ129Y,C,M,Kが配設されており、クラッチ出力ギヤ128Y,C,M,Kに噛み合いながら回転する。
プリンタ本体側では、次のような駆動伝達系が4つのプロセスユニットにそれぞれ対応するように構成されている。即ち、プロセス駆動モータ120→原動ギヤ121→現像ギヤ122の第1ギヤ部123→第2ギヤ部124→第1中継ギヤ125→クラッチ入力ギヤ126→クラッチ出力ギヤ128→第2中継ギヤ129、という駆動伝達系である。
図12は、Y用のプロセスユニット1Yの一端部を示す部分斜視図である。現像ユニット7Yのケーシング内の現像スリーブ15Yは、その軸部材をケーシング側面に貫通させて外部に突出させている。このように突出した軸部材箇所には、スリーブ上流ギヤ131Yが固定されている。また、ケーシング側面には固定軸132Yが突設せしめられており、これに対して第3中継ギヤ130Yが摺動回転可能に係合しながら、スリーブ上流ギヤ131Yに噛み合っている。
Y用のプロセスユニット1Yがプリンタ本体にセットされた状態では、第3中継ギヤ130Yに対し、スリーブ上流ギヤ131Yの他、先に図10や図11に示した第2中継ギヤ129Yが噛み合う。そして、第2中継ギヤ129Yの回転駆動力が、第3中継ギヤ130Y、スリーブ上流ギヤ131Yに順次伝達されて、現像スリーブ13Yが回転駆動される。
なお、Y用のプロセスユニット1Yについてだけ、図を示して説明したが、他色用のプロセスユニットにおいても、同様にして現像部材たる現像スリーブに回転駆動力が伝達される。
また、図12では、Y用のプロセスユニット1Yの一端部だけを示したが、現像スリープ15Yの他端側の軸部材は、ケーシングの他端側の側面に貫通して外部に突出しており、その突出箇所には図示しないスリーブ下流ギヤが固定されている。また、先に図2に示した第1搬送スクリュウ7Y、第2搬送スクリュウ10Yも、その軸部材をケーシング他端側の側面に貫通させており、その突出箇所には図示しない第1スクリュウギヤ、第2スクリュウギヤが固定されている。現像スリーブ15Yがスリーブ上流ギヤ131Yによる駆動伝達によって回転すると、それに伴い、他端側においてスリーブ下流ギヤが回転する。そして、スリーブ下流ギヤに噛み合っている第2スクリュウギヤで駆動力を受ける第2搬送スクリュウ11Yが回転するとともに、第2スクリュウギヤに噛み合っている第1スクリュウギヤで駆動力を受ける第1搬送スクリュウ8Yが回転する。他色用のプロセスユニットも同様の構成である。
このように、原動ギヤ121、現像ギヤ122、第1中継ギヤ125、クラッチ入力ギヤ126、クラッチ出力ギヤ128、第2中継ギヤ129、第3中継ギヤ130、スリーブ上流ギヤ131、スリーブ下流ギヤ、第2スクリュウギヤ、及び第1スクリュウギヤからなる現像ギヤ群が、各プロセスユニットにそれぞれ対応して4組構成されている。
図13は、Y用の感光体ギヤ133Yと、その周囲構成とを示す斜視図である。同図において、原動ギヤ121Yには、現像ギヤ122Yの第1ギヤ部123Yの他、潜像ギヤたる感光体ギヤ133Yが噛み合っている。この感光体ギヤ133Yは、図示しないY用の感光体における回転軸に固定されており、Y用のプロセスユニットの一部を構成している。感光体ギヤ133Yの直径は、感光体の直径よりも大きくなっている。プロセス駆動モータ120Yが回転すると、その回転駆動力が原動ギヤから感光体ギヤ121Yに一段減速で伝達されて感光体が回転駆動する。他色用のプロセスユニットも同様の構成である。このように、本画像形成システムのプリンタにおいては、原動ギヤ121及び感光体ギヤ133からなる潜像ギヤ群が各プロセスユニットにそれぞれ対応して4組構成されている。
なお、先に示した図1において、転写ユニット40の第1ブラケット43は、図示しないソレノイドの駆動のオンオフに伴って、補助ローラ48の回転軸線を中心にして所定の回転角度で揺動するようになっている。本画像形成システムのプリンタは、モノクロ画像を形成する場合には、前述のソレノイドの駆動によって第1ブラケット43を図中反時計回りに少しだけ回転させる。この回転により、補助ローラ48の回転軸線を中心にしてY,C,M用の1次転写ローラ45Y,C,Mを図中反時計回りに公転させることで、中間転写ベルト41をY,C,M用の感光体3Y,C,Mから離間させる。そして、4つのプロセスユニット1Y,C,M,Kのうち、K用のプロセスユニット1Kだけを駆動して、モノクロ画像を形成する。これにより、モノクロ画像形成時にY,C,M用のプロセスユニットを無駄に駆動させることによるそれらプロセスユニットの消耗を回避することができる。
また、各色においてそれぞれ、現像ギヤを感光体ギヤとは異なる現像モータによって駆動させるようにしてもよい。この場合、現像ユニット駆動距離D(i=5〜8)については、それぞれ現像クラッチではなく、現像モータの駆動時間に基づいて算出させるようにすればよい。
図14は、本画像形成システムのプリンタにおける電気回路の一部を示すブロック図である。同図において、演算手段たるCPU(Central Processing Unit)200a、情報記憶手段たるRAM(Random Access Memory)200b、情報記憶手段たるROM(Read Only Memory)200c等から構成される制御部200は、プリンタ全体の制御を司っている。RAM200bあるいはROM200c内には、プリンタ内における各装置を制御するための制御プログラムを格納しており、これに基づいて各装置を制御したり、各センサからの出力信号に基づいて各種の特性を把握したりする。かかる構成の制御部200には、I/Oインターフェース201を介して、上述のY,C,M,K用のプロセス駆動モータ120Y,C,M,Kや現像クラッチ127Y,C,M,Kが接続されている。また、Y,C,M,K用のプロセスユニットセンサ202Y,C,M,K、転写ユニットセンサ203、2次転写ユニットセンサ204、プリントカウンタ205、操作表示部206、モデム207、転写ベルトモータ208、2次転写モータ209、定着モータ210、定着ユニットセンサ211なども接続されている。
Y,C,M,K用のプロセスユニットセンサ202Y,C,M,Kは、プリンタ内にセットされたY,C,M,Kプロセスユニット(1Y,C,M,K)を検知して検知信号を制御部200に出力する。
転写ユニットセンサ203は、プリンタ内にセットされた転写ユニット(40)を検知して検知信号を制御部200に出力する。
2次転写ユニットセンサ204は、プリンタ内にセットされた2次転写ローラ(50)などから構成される2次転写ユニットを検知して検知信号を制御部200に出力する。
定着ユニットセンサ211は、プリンタ内にセットされた定着ユニット(60)を検知して検知信号を制御部200に出力する。
プリントカウンタ205は、工場出荷直後からのプリンタによる累積プリント枚数をカウントするものであり、記録紙1枚に対するプリント動作が行われる毎に、プリント枚数を1つずつカウントアップするとともに、カウントアップ信号を制御部200に出力する。また、制御部200からの要請に応じて、制御部200に対して累積プリント枚数の信号を出力する。
操作表示部206は、図示しない複数のキースイッチやタッチパネルを有しており、操作者によるキースイッチやタッチパネルに対する入力操作を入力信号に変換して制御部200に出力する。また、制御部200からの制御信号に基づいた画像をタッチパネルに表示する。
モデム207は、制御部200から送られてくる信号を、図示しない電話回線を介して遠隔地の装置に送信するものである。
転写ベルトモータ208は、転写ユニット(40)の駆動ローラ(47)の回転駆動源であり、この回転駆動に伴って中間転写ベルト(41)を無端移動させる。
2次転写モータ209は、中間転写ベルト(41)のおもて面に当接して2次転写ニップを形成する2次転写ローラ(50)の回転駆動源である。また、定着モータ210は定着ユニット(60)内における各ローラや定着ベルトの駆動源である。
制御部200は、Y,C,M,K用のプロセスユニットセンサ202Y,C,M,Kからの出力信号の立ち下がり(OFF)と立ち上がり(ON)との組み合わせにより、プリンタ本体に対するプロセスユニット(1Y,C,M,K)の着脱を検知する。また、転写ユニットセンサ203からの出力信号の立ち下がりと立ち上がりとの組み合わせにより、プリンタ本体に対する転写ユニット(40)の着脱を検知する。また、2次転写ユニットセンサ204からの出力信号の立ち下がりと立ち上がりとの組み合わせにより、プリンタ本体に対する2次転写ローラ(50)の着脱を検知する。また、定着ユニットセンサ211からの出力信号の立ち下がりと立ち上がりとの組み合わせにより、プリンタ本体に対する定着ユニット(60)の着脱を検知する。
以上の基本的な構成を備えるプリンタにおいては、プロセスユニット1Y,C,M,K、転写ユニット40、ベルトクリーニングユニット42、2次転写ローラ50を有する2次転写ユニット及び定着ユニット60などの組み合わせにより、記録部材たる記録紙Pに画像を形成する画像形成手段が構成されている。
次に、本画像形成システムの特徴的な構成について説明する。
図15は、本画像形成システムのプリンタにおける電気回路の一例を示す接続ブロック図である。本画像形成システムは、ユーザーのもとに設置された少なくとも1台のプリンタと、図示しない部品寿命管理装置とを備えている。同図では、互いに異なる地理的環境におかれた16台のプリンタA〜P(501〜516)を具備する画像形成システムの例を示している。実際には、数百台〜数千台のプリンタを具備することが多い。同図における16台のプリンタA〜P(501〜516)は、それぞれのユーザーのもとから、電話回線を介して、保守サービスセンターの遠隔監視装置600に接続されている。なお、部品寿命管理装置は、プリンタ内に設けられている。
保守サービスセンターには、プリンタの故障診断、点検、修理に熟練した高度の技術者が配属されており、各ユーザーからの要請に従って、技術者をユーザーのもとに派遣する。また、各プリンタA〜P(501〜516)は、それぞれエマージェンシーコールと呼ばれる機能を具備しており、緊急を要する故障が発生した場合には、その故障内容の情報が含まれるエマージェンシーコール信号を、電話回線を介して保守サービスセンターの遠隔監視装置600に送信することができる。保守サービスセンターは、エマージェンシーコール信号を遠隔監視装置600で受信した場合には、技術者をユーザーのもとに速やかに派遣する。
保守サービスセンターの遠隔監視装置600は、電話回線を介して、部品センターの受注端末装置610に接続されている。部品センターには、プリンタの各種部品がストックされているとともに、それらの部品の交換作業を行うことができる交換作業者が配属されている。そして、部品センターの受注端末装置610は、遠隔監視装置600から電話回線を介して送られてくる交換作業要請信号に基づいて、部品とともに交換作業者をユーザーのもとに派遣する。
なお、図15では、各プリンタと遠隔監視装置600と受注端末装置610とを通信回線としての電話回線を介して通信可能にした画像形成システムの例を示したが、他の通信回線を用いてもよい。例えば、インターネット回線や無線回線を採用してもよい。
本画像形成システムの部品寿命管理装置は、部品として、各プリンタ内における感光体ユニット(2Y,C,M,K)、現像ユニット(7Y,C,M,K)、Y,M,C,K現像剤、転写ユニット(40)及び定着ユニット(60)の寿命情報をそれぞれ管理する。
プリンタの制御部200のRAM200b内には、次の表1に掲げる各種変数が記憶されている。
同表において、「t(i)」は、交換後から現時点までにおけるユニット(現像剤も含まれる)の累積使用時間(交換からの経過時間)であるユニット使用時間[日]の変数を表している。また、「D(i)」は、交換後から現時点までにおけるユニット内の表面移動体(ローラやベルト)の表面移動距離であるユニット駆動距離[mm]の変数を表しており、これは部品別稼働実績としての特性を有している。また、「P(i)」は、ユニットが交換されてから現時点に至るまでに生じたプリントアウト枚数であるユニットプリント枚数[枚]を表しており、これは部品別記録枚数としての特性を有している。また、「Ld(i)」は、ユニット駆動距離D(i)と比較してユニットの寿命を判断するための寿命到来指標値であるユニット寿命距離[mm]を表しており、ユニット駆動距離D(i)がこのユニット寿命距離[mm]に達するとそのユニットが寿命を迎えたと判断される。また、「Lp(i)」は、ユニットプリント枚数P(i)と比較してユニットの寿命を判断するための寿命到来指標値であるユニット寿命枚数[枚]を表しており、ユニットプリント枚数P(i)がこのユニット寿命枚数[枚]に達するとそのユニットが寿命を迎えたと判断される。また、「T1(i)」は、ユニット駆動距離D(i)とユニット寿命距離Ld(i)との差である距離残り寿命時間[日]を表わしている。また、「T2(i)」は、ユニットプリント枚数P(i)とユニット寿命枚数Lp(i)との差である枚数残り寿命時間[枚]を表している。また、「T3(i)」は、距離残り寿命時間Ld(i)と枚数残り寿命時間Lp(i)とのうち、何れか短い方であるユニット寿命残り時間を表している。また、「X(i)」は、ユニットを交換するか否かを判断する際の指標値となる交換指標値[日]を表している。
これらの9項目の変数は、それぞれ各種のユニット毎に個別に設定される。寿命の情報が管理されるユニットの数は、4つの感光体ユニット(2Y,C,M,K)、4つの現像ユニット(7Y,C,M,K)、Y,M,C,K現像剤、転写ユニット(40)、ベルトクリーニングユニット(42)、2次転写ユニット及び定着ユニット(60)の合計16である。よって、144種類(9項目×16)の変数が設定される。各変数における「(i)」という内部変数は、ユニットの種類を表しており、その値とユニットの種類とは次の表2に示す関係になっている。
上述した9項目の変数のうち、ユニット使用時間t(i)、ユニット駆動距離D(i)、ユニットプリント枚数P(i)、距離残り寿命時間T1(i)、枚数残り寿命時間T2(i)及びユニット寿命残り時間X(i)は、それぞれ、ユニットの個々の製品毎に固有の値である。ユニットが交換された場合には、それまでの古いユニットの固有値から、新たなユニットの固有値に変更されなければならない。そこで、制御部200は、上述した16個のユニットについてそれぞれプリンタ本体に対する着脱を各センサからの出力値に基づいて監視し、何れかのユニットの着脱を検知した場合には、そのユニットについての交換問い合わせ処理を実行する。具体的には、例えば、C用のプロセスユニット(1C)の着脱を検知した場合には、操作表示部(206)での画面表示により、C用の感光体ユニット(2C)、現像ユニット(7C)についてそれぞれ、交換したか否かを交換作業者に問い合わせる。そして、問い合わせに対する交換作業者からの回答(キー入力操作)が感光体ユニット(2C)についてYesであった場合には、C感光体ユニット使用時間t(2)、C感光体ユニット駆動距離D(2)及びC感光体ユニットプリント枚数P(2)をそれぞれゼロに更新する。また、C感光体ユニット距離残り寿命時間T1(2)、C感光体ユニット枚数残り寿命時間T2(2)及びC感光体ユニット寿命残り時間X(2)をそれぞれ所定の初期値にリセットする。
なお、ユニットの着脱検知と、交換問い合わせ処理とに基づいてユニットの交換を把握させるのではなく、次のようにしてもよい。即ち、各ユニットにそれぞれユニットID番号を記憶させたICチップを搭載し、各ユニットのユニットID番号を制御部200に監視させ、それが変わったことに基づいてユニットの交換を把握させるのである。
また、ユニットの交換を制御部200に把握させるのではなく、ユニットを交換した交換作業員が操作表示部(206)への入力操作によって各変数をリセットするようにしてもよい。但し、この場合、交換作業員がリセット操作をし忘れてしまうことによるユニット寿命情報の不適切化を招くおそれがある。
制御部200は、各ユニット(現像剤も含まれる)についてそれぞれ、RAM(200b)内に記憶されているユニット使用時間t(i)に「1」を加算して、ユニット使用時間t(i)を更新する処理を、毎日所定のタイミングで実行する。
また、Y,C,M,K感光体ユニット駆動距離D(i=1〜4)については、次のようにして更新する。即ち、まず、Y,C,M,K用のプロセス駆動モータ(120Y,C,M,K)についてそれぞれ、駆動開始から終了までの時間を計時する。そして、計時が終了した時点で、それぞれの計時結果に所定の係数を乗じて感光体ユニット駆動時間[sec]を感光体表面移動距離[mm]に変換し、変換結果をそれまでのY,C,M,K感光体ユニット駆動距離D(i=1〜4)に加算する。
なお、本画像形成システムのプリンタは、画質よりもプリント速度を優先するように各感光体、各ローラ、各ベルトなどを比較的高速で駆動する高速プリントモードと、プリント速度よりも画質を優先するように各感光体等を比較的低速で駆動する低速プリントモードとで、プリント速度モードを切り替える。前述した感光体ユニット駆動時間を感光体表面移動距離に変換する際には、それぞれのモードに見合った係数を用いる。このような係数の使い分けを、他のユニット(現像ユニット等)についても同様に行う。
また、上述したように、本画像形成システムのプリンタは、基本的には、各感光体ユニット(2Y,C,M,K)の駆動を同時にオンオフするが、モノクロ画像をプリントアウトする際には、上述したようにK用の感光体ユニットしか駆動しない。このため、K用の感光体ユニット(2K)と、他色用のプロセスユニット(2Y、C、M)とでは、ユニット駆動距離D(i)が大きく異なってくる。また、Y,C,M用の感光体ユニット(2Y,C,M)は、常に同時にオンオフされるため、基本的にはユニット駆動距離D(i)が同じになるが、異なってくる場合もあり得る。例えば、それら2つの感光体ユニット(2Y,C,M)のうち、C用の感光体ユニットだけが突発的な原因で故障した場合にはそれだけが交換されるため、交換後にはY,M用の感光体ユニットとはユニット駆動距離D(i)が異なってくる。このため、それぞれユニット駆動距離D(i)を個別に算出している。このことは、現像ユニット(7Y,C,M,K)や現像剤についても同様である。
Y,C,M,K現像ユニット駆動距離D(i=5〜8)については、制御部200が次のようにして更新する。即ち、まず、Y,C,M,K用の現像クラッチ(127Y,C,M,K)についてそれぞれ、駆動開始から終了までの時間を計時する。そして、計時が終了した時点で、それぞれの計時結果に所定の係数を乗じて現像ユニット駆動時間[sec]を現像スリーブ表面移動距離[mm]に変換し、変換結果をそれまでのY,C,M,K現像ユニット駆動距離D(i=5〜8)に加算する。
また、Y,M,C,K現像剤駆動距離D(i=9〜12)については、それぞれ、現像剤自体の移動距離ではなく、現像ユニットの搬送スクリュウの表面移動距離(現像スリーブの表面移動距離と同じ)を代替特性として採用し、それに基づいて次のようにして更新する。即ち、まず、Y,C,M,K用の現像クラッチ(127Y,C,M,K)についてそれぞれ、駆動開始から終了までの時間を計時する。そして、計時が終了した時点で、それぞれの計時結果に所定の係数を乗じて現像剤駆動時間[sec]を搬送スクリュウ表面移動距離[mm]に変換し、変換結果をそれまでのY,C,M,K現像剤駆動距離D(i=9〜12)に加算する。
なお、搬送スクリュウと現像スリーブとは常に同時にオンオフされ、両者の表面移動は互いに同期しているが、次に説明する理由により、現像ユニットと現像剤とではユニット駆動距離D(i)が異なってくる。即ち、現像剤はその寿命時間が現像ユニットと異なるため、本画像形成システムのプリンタでは、現像剤の交換サイクルが現像ユニットよりも短くなるような設定(後述の閾値が現像剤と現像ユニットとで異なっている)になっているからである。
転写ユニット駆動距離D(13)については、制御部200が次のようにして更新する。即ち、まず、転写ベルトモータ(208)について、駆動開始から終了までの時間を計時する。そして、計時が終了した時点で、その計時結果に所定の係数を乗じて転写ユニット駆動時間[sec]を転写ベルト表面移動距離[mm]に変換し、変換結果をそれまでの転写ユニット駆動距離D(13)に加算する。
また、ベルトクリーニングユニット駆動距離D(14)については、クリーニングブレード(42a)自体の移動距離ではなく、それに当接せしめられている中間転写ベルト(41)の表面移動距離を代替特性として採用し、それに基づいて次のようにして更新する。即ち、まず、転写ベルトモータ(208)について、駆動開始から終了までの時間を計時する。そして、計時が終了した時点で、その計時結果に所定の係数を乗じてブレード駆動時間[sec]をブレード表面移動距離[mm]に変換し、変換結果をそれまでのベルトクリーニングユニット駆動距離D(14)に加算する。
また、2次転写ユニット駆動距離D(15)については、制御部200が次のようにして更新する。即ち、まず、2次転写モータ(209)について、駆動開始から終了までの時間を計時する。そして、計時が終了した時点で、その計時結果に所定の係数を乗じて2次転写ユニット駆動時間[sec]を2次転写ローラ移動距離[mm]に変換し、変換結果をそれまでの転写ユニット駆動距離D(15)に加算する。
また、定着ユニット駆動距離D(16)については、制御部200が次のようにして更新する。即ち、まず、定着モータ(210)について、駆動開始から終了までの時間を計時する。そして、計時が終了した時点で、その計時結果に所定の係数を乗じて定着ユニット駆動時間[sec]を定着ベルト移動距離[mm]に変換し、変換結果をそれまでの定着ユニット駆動距離D(16)に加算する。
このようにして各ユニットのユニット駆動距離D(i)を更新する制御部200は、各ユニットにおける稼働実績時間たるユニット駆動時間を計測する稼働実績計測手段として機能しており、ユニット駆動時間を稼働実績たるユニット駆動距離D(i)に変換している。
各ユニットにおけるユニットプリント枚数P(i=1〜16)については、それぞれ、プリントカウンタ(205)からのカウントアップ信号を1回受信する毎に、それまでのユニットプリント枚数P(i=1〜16)に「1」を加算することで更新する。即ち、本画像形成システムにおけるプリンタでは、カウンタ(205)と制御部(200)との組み合わせが、プリント記録枚数計数手段として機能している。そして、複数種類の部品である各ユニットそれぞれについて、それを搭載した状態のプリンタによって画像が形成された記録紙Pの枚数である部品別記録枚数としてのユニットプリント枚数P(i)を計数する。
各ユニットにおけるユニット寿命距離Ld(i=1〜16)、交換指標値X(i=1〜16)は、それぞれ、変数としてよりも定数としての性格の方が大きいが、何らかの理由により、作業者のキー入力によって更新したり、補正したりする可能性もあるので、本画像形成システムでは変数として取り扱っている。
図16は、プリンタの制御部200によって実施されるユニット交換要求判定処理の制御フローの要部を示すフローチャートである。このユニット交換要求判定処理は、プリントジョブの開始に伴ってスタートする。そして、プリントカウンタ(205)からプリントカウントアップ信号が出力されると(ステップ1でY:以下、ステップをSと記す)、各ユニットについてのユニットプリント枚数P(i)が上述したプロセスで更新される(S2)。次いで、プリントジョブについて終了したか否かが判断され(S3)、終了していない場合には(S3でY)、制御フローがS1に戻される。これにより、複数の記録紙に連続的にプリントを行う連続プリント動作において、1プリントジョブ毎にユニットプリント枚数P(i)が更新される。
プリントジョブが終了すると(S3でY)、ユニット種類を表すユニット変数iがゼロにリセットされた後(S4)、そのユニット変数iに「1」が加算される(S5)。そして、ユニット駆動距離D(i)が上述したプロセスによって更新される(S6)。例えば、ユニット変数iが1である場合には、Y感光体ユニット駆動距離D(1)が更新されるのである。その後、S7のステップでプリント枚数補正処理が行われた後、S8以降の制御フローが実施されるが、このプリント枚数補正処理については後に詳述する。
S7のステップでプリント枚数補正処理が行われると、次に、
「T1(i)={Ld(i)−D(i)}/{D(i)/t(i)}」
という関係式に基づいて距離残り寿命時間T1(i)が算出される(S8)。そして、
「T2(i)={Lp(i)−P(i)}/{P(i)/t(i)}」という関係式に基づいて枚数残り寿命時間T2(i)が算出された後(S9)、ユニット寿命残り時間T3(i)が距離残り寿命時間T1及び枚数残り寿命時間T3の何れか小さい方の値に更新される(S10)。
距離残り寿命時間T1(i)は、S8に示した関係式からわかるように、予め想定されている寿命到来指標値としてのユニット寿命距離Ld(i)と現時点までにおけるユニット駆動距離D(i)との差分を、1日あたりにおける平均ユニット駆動距離で除算したものである。つまり、現時点までのユニットの累積駆動距離に基づいて、あと何日経過すればユニット駆動距離D(i)がユニット寿命距離Ld(i)に達するのかを予測する数値である。これに対し、枚数残り寿命時間T2(i)は、S9に示した関係式からわかるように、予め想定されている寿命到来指標値としてのユニット寿命枚数Lp(i)と現時点までにおけるユニットプリント枚数P(i)との差分を、1日あたりにおける平均プリント枚数で除算したものである。つまり、現時点までのユニットの累積プリント枚数に基づいて、あと何日経過すればユニットプリント枚数P(i)がユニット寿命枚数Lp(i)に達するのかを予測するための数値である。
距離残り寿命時間T1(i)、枚数残り寿命時間T2(i)の何れか一方だけを算出してそれをユニット寿命残り時間としてもよいが、本画像形成システムでは、S10に示したように、それらのうちの何れか短い方をユニット寿命残り時間T3(i)としている。これにより、ユニットの寿命の到来を2重に監視して、判定精度をより高めることができる。
ユニット残り寿命時間T3(i)が更新されると、次に、それについて所定の交換指標値X(i)に達したか否かが判断される(S11)。この交換指標値X(i)が例えば45[日]に設定されていれば、そのユニットは寿命が到来すると予測される日よりも45日前になると、「もうすぐ寿命が到来する」と判断されることになる。このような判断がなされなかった場合(S11でN)、換言すると、「まだ寿命が到来するまでには余裕がある」と判断された場合には、ユニット変数iについて「16」であるか否か、即ち、全種類のユニットについて寿命到来の予測を行ったか否かが判断される(S13)。そして、「16」でない場合には(S13でN)、制御フローが上述のS5に戻される。これにより、まだ寿命の到来が予測されていない次のユニットについての予測がなされる。
一方、上記S11のステップで、「もうすぐ寿命が到来する」と判断された場合には(S11でY)、そのユニットについての交換要求フラグF1(i)がセットされた後(S12)、上述のS13のステップが実行される。
その後、S13のステップでユニット変数iが「16」であると判断されると、即ち、全種類のユニットについて寿命到来の予測がなされると、次に、交換要求フラグF1(1)〜F1(16)について、セット中のものがあるか否かが判断される(S14)。そして、セット中のものが無いと判断されると(S14でN)、一連の制御フローが終了する。これに対し、セット中のものが有ると判断されると(S14でY)、そのユニットについて既報フラグF2(i)がセット中であるか否かが判断される(S15)。
この既報フラグF2(i)は、そのユニット変数iに対応するユニットについて、交換が必要である旨を示す交換要求信号を遠隔監視装置(600)に送信した時点でセットされ、そのユニットの交換がなされた時点で解除されるものである。既報フラグ(i)がセット中であるユニットが存在する場合(S15でY)には、そのユニットについての交換要求信号が過去に発信済みである。このため、そのユニットについての交換要求信号が発せられないままに一連の制御フローが終了する。これに対し、全てのユニットについての既報フラグF2(i)がそれぞれセット中でない場合(S15でN)には、交換要求が発生したユニットについての交換要求信号と、他の全てのユニットについてのユニット残り寿命時間(u)T3(i)の信号とが、送信手段たるモデム(207)から電話回線を介して遠隔監視装置に送られる(S16)。そして、そのユニットについての既報フラグF2(i)がセットされた後(S17)、一連の制御フローが終了する。なお、ユニット残り寿命時間を「T3(i)」ではなく、「(u)T3(i)」と表記したのは、S16のステップでは、ユニット残り寿命時間の情報だけでなく、各ユーザーに付与された個別のユーザーID(またはプリンタ個別ID)の信号も同時に送られるからである。記号「u」は、そのユーザーID(またはプリンタ個別ID)を表している。このようにユーザーIDの情報も同時に発信されることにより、信号を受け取った遠隔監視装置がどのユーザーのどのユニットに交換要求が発生したのかを特定することができるようになる。
このようなユニット交換要求判定処理を実施する制御部(200)は、各ユニットについてそれぞれ、部品別記録枚数たるユニットプリント枚数P(i)と、寿命到来指標値たるユニット寿命枚数Lp(i)とに基づいてユニット寿命残り時間T3(i)を算出する寿命残り時間算出手段として機能している。また、寿命残り時間算出手段による算出結果と、所定の交換指標値たる距離残り寿命時間T1(i)及び枚数残り寿命時間T2(i)とに基づいてそれぞれのユニットについて交換の必要の有無を判定する交換要求判定手段としても機能している。更には、ユニット毎に固有の部品別稼働量であるユニット使用時間t(i)やユニット駆動距離D(i)を計測する計測手段としても機能している。
図17は、図16にS7として示したプリント枚数補正処理における処理内容を示すフローチャートである。このプリント枚数補正処理では、まず、ユニット変数iに対応するユニットが稼働量劣化依存型部品であるか否かが判断される(S7a)。本画像形成システムのプリンタにおいて、プリントジョブ中に記録紙Pに密着せしめられない感光体(3Y,C,M,K)を有する感光体ユニット(2Y,M,C,K)は、稼働量劣化依存型部品である。また、記録紙Pに密着せしめられない現像スリーブ、搬送スクリュウなどを有する現像ユニット(7Y,C,M,K)も、稼働量劣化依存型部品である。これに対し、プリントジョブ中に記録紙Pに密着せしめられる中間転写ベルト(41)を有する転写ユニット(40)は、枚数劣化依存型部品である。また、無端移動体としての中間転写ベルト(41)に付着した紙粉を掻き取るクリーニングブレード(42a)を有するベルトクリーニングユニット(42)も、枚数劣化依存型部品である。また、記録紙Pに密着せしめられる2次転写ローラ(50)を有する2次転写ユニットも、枚数劣化依存型部品である。また、記録紙Pに強く密着せしめられる定着ベルト(64)を有する定着ユニット(60)も、枚数劣化依存型部品である。
ユニット変数iに対応するユニットが稼働量劣化依存型部品である場合(S7aでY)には、「距離比α(i)=標準距離Sd(i)×ユニットプリント枚数P(i)/ユニット駆動距離D(i)」という関係式によって距離比α(i)が算出される(S7b)。そして、距離比α(i)について、所定の比率閾値C(i)を超えているか否かが判断され(S7c)、超えている場合には(S7cでY)、ユニットプリント枚数P(i)が次のように補正される(S7d)。即ち「P(i)=P(i)+枚数係数a×{距離比α(i)−比率閾値C(i)}」という関係式によって補正される。この関係式における枚数係数aは、予めの試験による結果に基づいて定められた定数である。距離比α(i)と比率閾値C(i)との差分にこの枚数係数aが乗じられることで、その差分に見合った割合のプリント枚数がユニットプリント枚数P(i)に加算されるのである。これにより、単独プリント動作の実施頻度が比較的高いユーザーにおいて、ユニットプリント枚数P(i)が比較的少ないにもかかわらず、部品別稼働量たるユニット駆動距離D(i)が相当に大きくなった場合に、ユニットプリント枚数P(i)をユニット駆動距離D(i)に見合った値に補正する。そして、稼働量劣化依存型部品としての感光体ユニットや現像ユニットについて、ユニット駆動距離D(i)とユニットプリント枚数P(i)との両方を反映させて、ユニット寿命残り時間T3(i)を算出する。よって、ユニット駆動距離D(i)だけをユニット寿命残り時間T3(i)に反映させてしまったり、ユニット駆動距離D(i)に比べて値が不適切に小さくなっているユニットプリント枚数P(i)だけユニット寿命残り時間T3(i)に反映させてしまったりする場合よりも、感光体ユニット等の寿命の到来を正確に予測することができる。
一方、上記S7aのステップでユニット変数iが枚数劣化依存型部品に対応すると判断された場合には(S7aでN)、ユニットプリント枚数P(i)の補正が行われないままに制御フローが図16のS8に進められる。また、たとえユニット変数iが稼働量劣化依存型部品に対応すると判断された場合であっても、上記S7cのステップで距離比α(i)が比率閾値C(i)を超えていないと判断された場合には(S7cでN)、ユニットプリント枚数P(i)の補正が行われないままに制御フローが図16のS8に進められる。
図18は、プリンタの制御部(200)によって実施される残り時間送信ルーチン処理の制御フローの要部を示すフローチャートである。この残り時間送信ルーチン処理は、毎日、所定のタイミングで実行される。残り時間送信ルーチン処理がスタートすると、まず、ユニット変数iがゼロにリセットされた後(S1)、ユニット変数iに「1」が加算される(S2)。そして、既報フラグF2(i)についてセット中であるか否かが判断される(S3)。既報フラグF2(i)がセット中である場合には、そのユニット変数iに対応するユニットに既に交換要求が発生しており、そのユニットについての交換要求信号が既に遠隔監視装置に送られている。このような場合には(S3でY)、ユニット変数iに対応しない全てのユニットについてのユニット寿命残り時間(u)T3(i)の信号が遠隔監視装置に送信される(S5)。何れかのユニットで交換要求が発生すると、そのユニットの交換作業がなされるまで、他の全てのユニットのユニット寿命残り時間(u)T3(i)が前述のS5のステップによって毎日定期的に遠隔監視装置に送信される仕組みである。
上記S3のステップで既報フラグF2(i)がセット中でないと判断された場合(S3でN)には、次に、ユニット変数iについて「16」であるか否かが判断され、「16」でない場合には制御フローが上述のS2に戻される。そして、次のユニット(i+1)についての既報フラグF2(i+1)のセット状態が判断される。
保守サービスセンターに設置されている遠隔監視装置(600)は、通信手段たるモデムと、演算手段たるCPUと、画面表示手段たるディスプレイと、情報記憶手段たるRAM、ROM及びハードディスクとを有している。そして、各プリンタから電話回線を介して送られてくる信号を通信手段たるモデムによって受信すると、それに基づいて様々なデータ処理を行うようになっている。
図19は、遠隔監視装置(600)によって実施される発注要求判定処理の制御フローの要部を示すフローチャートである。この発注要求判定処理において、電話回線を介して繋がっている何れかのプリンタからの交換要求信号が受信されると(S1でY)、そのプリンタ(ユーザー)におけるそのユニットについてのユニット発注フラグ(u)F3(i)がセットされる(S2)。このユニット発注フラグ(u)F3(i)のセットにより、その後の処理において、そのプリンタ(u)のユニット変数iに対応するユニットの交換作業を発注する必要があると判断されるようになる。
また、電話回線を介して繋がっている何れかのプリンタからの交換要求信号を含まないユニット寿命残り時間(u)T3(i)の信号が受信されると(S3でY)、既にハードディスクに記憶されているユニット寿命残り時間(u)T3(i)が新たなものに交換される(S4)。これにより、何れかのユニットに交換要求が発生したプリンタから毎日定期的に送られてくる他のユニットについてのユニット寿命残り時間(u)T3(i)が、遠隔監視装置において毎日定期的に更新される。
その後、S5やS6のステップが実行されるが、理解を容易にするために、これらのステップについては後に説明する。S7〜S13は、先のS2でユニット発注フラグ(u)F3(i)がセットされなかったユニット、換言すると、まだ交換要求が発生していないユニットについて、各種の判断処理がなされるステップ群である。
S7〜S13のステップ群では、まず、ユニット変数iがゼロにリセットされた後(S7)、ユニット変数iに「1」が加算される(S8)。そして、そのユニット変数iに対応するユニット発注フラグ(u)F3(i)についてセット中であるか否かが判断される(S9)。後述する理由により、ここでセット中であると判断される場合には(S9でY)、そのときのユニット変数iは、先のS2でユニット発注フラグ(u)3(i)がセットされたユニットに対応している。このような場合には、制御フローがS8に戻されて、次のユニットについての判断処理を行うべくユニット変数iに「1」が加算される。
一方、ユニット発注フラグ(u)F3(i)がセット中でない場合(S9でN)には、発注判定閾値Z(i)が交換指標値X(i)に発注判断用加算値Y(i)を加算した値に設定される(S10)。この発注判定閾値Z(i)は、交換作業の発注の必要性を判断するための閾値であり、ユニットの種類毎に設定される。その単位は[日]である。また、交換指標値X(i)は、図16に示したユニット交換要求判定処理で用いられるものと同じである。先に説明したように、交換指標値X(i)は、ユニット寿命残り時間T3(i)について、所定の時間内になったか否かを判定するためのものである。例えば、寿命到来予測日よりも45[日]前の段階での交換要求の発信が望まれるユニットであれば、この交換指標値X(i)が45[日]に設定される。これに対し、発注判断用加算値Y(i)は、交換要求の発信が望まれる時点から更に少しだけ遡った時点までの時間[日]である。交換要求は、寿命到来予測日よりも交換指標値X(i)だけ遡った時点で発信されるが、仮に交換指標値X(i)をもう少し長くしても交換要求発信の要件を満たすか否か(ユニット寿命残り時間がその範囲内になるか否か)を判定する目的で、「Z(i)=X(i)+Y(i)」とする。そして、次のS11のステップにおいて、ユニット寿命残り時間(u)T3(i)について発注判定閾値Z(i)以下であるか否かが判断される。
ユニット寿命残り時間(u)T3(i)が発注判定閾値Z(i)以下でない場合(S11でN)には、交換指標値X(i)を本来よりも少し長くしたとしても交換要求が発生しないことになる。このような場合には、そのユニット変数iに対応するユニットについての判断処理が終了して、次のユニットについての判断処理がなされる(S13→S8〜S11)。これに対し、ユニット寿命残り時間(u)T3(i)が発注判定閾値Z(i)以下である場合(S11でY)には、交換指標値X(i)を本来よりも少し長くすれば交換要求が発生することになる。このような場合には、ユーザー変数uに対応する発注保留フラグ(u)F4がセットされた後(S12)、一連の制御フローが始めに戻される。この発注保留フラグ(u)F4(i)は、ユニット発注フラグ(u)F3(i)がセットされているユニットの交換作業の発注を保留にするためのフラグである。
つまり、S7〜S13のステップ群においては、既に交換要求が発生しているユニットとは別のユニットについて、仮に交換指標値X(i)を本来よりも少し長くした場合に交換要求の要件を満たすようになるか否かが判断される。そして、何れかのユニットで満たすようになる場合には、発注保留フラグ(u)F4(i)がセットされることで、既に交換要求が発生しているユニットについての交換作業の発注が保留される。このとき、既に交換要求が発生しているユニットについてのユニット発注フラグ(u)F3(i)はセットされたままである(S2)。
一方、既に交換要求が発生しているユニットとは別のユニットの全てが、仮に交換指標値X(i)を本来よりも少し長くしたとしても交換要求の要件を満たさない場合には(S13でY)、そのユニットの交換作業が直ちに発注される。具体的には、既に交換要求が発生しているユニットの交換作業発注信号が遠隔監視装置のモデムから電話回線を介して、部品センターの受注端末装置610に送られる(S14)。これにより、交換要求が発生したユニットの交換を行うべく、部品センターからユーザーのもとに交換作業員が派遣される。なお、交換作業発注信号が発信されると、セット中の全てのユニット発注フラグ(u)F3(i)が解除される。
先に説明したように、ユーザーのプリンタから送られてくる交換要求信号がS1のステップで受信されると、そのユーザーの交換要求を発しているユニットについてのユニット発注フラグ(u)F3(i)がセットされる(S2)。その後、発注保留フラグ(u)F4についてセット中であるか否かが判断される(S5)。ここで、発注保留フラグ(u)F4がセット中である場合には、直前のS2のステップでユニット発注フラグ(u)F3(i)がセットされたユニットとは別のユニットにおいて過去に交換要求が発生しており、そのユニットのユニット発注フラグ(u)F3(i)も既にセットされている状態にある。但し、そのユニットについての交換作業は、発注保留フラグ(u)F4のセットによって保留されているため、まだ発注されていない状態にある。つまり、S5のステップで発注保留フラグ(u)F4がセット中であると判断される場合には、次のような状態にある。即ち、あるユニットについて過去に交換要求が発生したものの、そのユニットとは別のユニットの交換要求もやがて発生することが予想されたために、前者のユニットにおける交換作業の発注が保留された後、後者のユニットの交換要求が発生した状態である。そこで、このような場合(S5でY)には、発注保留フラグ(u)F4が解除された後(S6)、それらのユニットについての交換作業発注信号が部品センターの受注端末装置に送られる。
このような発注要求判定処理を行う遠隔監視装置(600)は、交換要求判定手段たるプリンタの制御部(200)によって何れかのユニットについて交換の必要ありと判定された場合に、そのユニットについての交換作業発注タイミングを、他のユニットにおけるユニット寿命残り時間(u)T3(i)に基づいて決定する発注タイミング決定手段として機能している。
図16、図17、図18及び図19に示した各制御フローをまとめると、次のようになる。即ち、ユーザーの管理下にあるプリンタにおいて、稼働量劣化依存型部品である感光体ユニットや現像ユニットについては、ユニットプリント枚数P(i)がユニット駆動距離D(i)に見合った値に変更された後に、ユニットプリント枚数P(i)とユニット駆動距離D(i)とに基づいてユニット寿命残り時間(u)T3(i)が算出される。また、枚数劣化依存型部品である転写ユニット等については、ユニット駆動距離D(i)と補正されていないユニットプリント枚数P(i)とに基づいてユニット寿命残り時間(u)T3(i)が算出される。そして、何れかのユニットに交換要求が発生すると、そのユニットについての交換要求信号と、他のユニットについてのユニット残り寿命時間(u)T3(i)とが保守サービスセンターの遠隔監視装置(600)に送られる。そのプリンタはその後、交換要求が発生したユニットの交換が済むまで、他の全てのユニットについてのユニット残り寿命時間(u)T3(i)を毎日定期的に遠隔監視装置(600)に送り続ける。一方、遠隔監視装置は、何れかのプリンタから毎日定期的に送られてくるユニット残り寿命時間(u)T3(i)を受信すると、それを順次更新していく。また、何れかのプリンタから送られてくる交換要求信号を受信すると、そのプリンタについての発注保留フラグ(u)F4についてセット中であるか否かを判断する。そして、セット中でない場合、即ち、そのプリンタについて交換作業を保留にしておいた別のユニットが存在しない場合には、現時点で交換要求が発生していないユニットについてそれぞれ、もうすぐ交換要求が発生しそうであるか否かを判定する。そして、もうすぐ交換要求が発生しそうであるユニットがある場合には、既に交換要求が発生しているユニットの交換作業の発注を保留にする。これに対し、もうすぐ交換要求が発生しそうであるユニットが無い場合には、既に交換要求が発生しているユニットの交換作業を直ちに発注する。また、交換要求信号を受信した後、発注保留フラグ(u)F4についてセット中であると判断した場合には、直前に受信した交換要求信号に対応するユニットの交換作業と、過去に交換作業の発注を保留にしておいた別のユニットの交換作業とを同時に発注する。これにより、比較的短期間で交換要求が発生する2つのユニットの交換作業が同時に発注されるため、従来よりも効率的なメンテナンスを行うことができる。
以上の構成の本画像形成システムにおいては、寿命残り時間算出手段たるプリンタの制御部(200)が複数種類の部品の少なくとも一部である稼働量劣化依存型部品について、部品別稼働距離たるユニット駆動距離D(i)に基づいて部品別記録枚数たるユニットプリント枚数P(i)の計数結果を補正する。そして、補正後の値と、寿命到来指標値たるユニット寿命枚数Lp(i)とに基づいて、ユニット寿命残り時間T3(i)を算出する。
なお、部品別稼働量として、累積表面移動量たるユニット駆動距離D(i)を計測させるように制御部200を構成した例について説明したが、各ユニットにおける駆動時間であるユニット駆動時間を計測させるようにし、その計測結果に基づいてユニット寿命残り時間T3(i)を算出させるようにしてもよい。
また、本実施形態では、距離比α(i)が所定の比率閾値C(i)を超えた場合(以上である場合でもよい)に、ユニットプリント枚数P(i)の計数結果をより大きい値に補正する処理を実行させるように制御部200を構成した例について説明した。かかる構成では、稼働量劣化依存型部品についてもうすぐ寿命が到来するという予測を行う前に、その稼働量劣化依存型部品の寿命が到来してしまうといった事態の発生を抑えることができる。このような構成とは逆に、距離比α(i)が所定の比率閾値C(i)未満になった場合(以下である場合でもよい)に、ユニットプリント枚数P(i)の計数結果をより小さい値に補正する処理を実行させるように制御部200を構成してもよい。この場合には、寿命到来までにまだ十分に余裕のある稼働量劣化依存型部品について、もうすぐ寿命が到来すると予測してしまうといった事態の発生を抑えることができる。また、それらの構成の両方を採用してもよい。具体的には、距離比α(i)が所定の第1比率閾値C1(i)を超えた場合に、ユニットプリント枚数P(i)の計数結果をより大きい値に補正する一方で、距離比α(i)が所定の第2比率閾値C2(i)未満であった場合に、ユニットプリント枚数P(i)の計数結果をより小さい値に補正する処理を実施させるのである(但しC1(i)>C2(i))。
次に、実施形態に係る画像形成システムの各変形例について説明する。なお、以下に特筆しない限り、各変形例の画像形成システムの構成は実施形態と同様である。
[第1変形例]
図19は、第1変形例に係る画像形成システムのプリンタにおける4つの感光体ギヤ133Y,C,M,Kと、その周囲構成とを示す拡大構成図である。このプリンタにおけるY,C,Mの感光体は、感光体ユニットの駆動源と現像ユニットの駆動源とを兼ねるプロセス駆動モータではなく、感光体ユニット専用の感光体駆動モータによって駆動される。しかも、3つのY,C,Mの感光体ユニットをそれぞれ専用の感光体駆動モータで駆動するのではなく、1つの感光体駆動モータ135YCMによって駆動する。感光体駆動モータ135YCMのモータ軸に固定された原動ギヤ121YCMは、C用の感光体ギヤ133Cと、M用の感光体ギヤ133Mとの両方に噛み合っている。これにより、Y用の感光体とM用の感光体とが回転駆動される。
C用の感光体ギヤ133Cには、アイドラギヤ134を介してY用の感光体ギヤ133Yに噛み合っている。これにより、Y用の感光体が、原動ギヤ121YCMと、C用の感光体ギヤ133Cと、アイドラギヤ134と、Y用の感光体ギヤ133Yとを介して回転駆動される。
一方、K用の感光体ユニットと現像ユニットとは、実施形態に係る画像形成システムと同様に、プロセス駆動モータ120Kによって駆動される。プロセス駆動モータ120Kのモータ軸に固定された原動ギヤ121Kには、K用の感光体ギヤ133Kが噛み合っており、これによってK用の感光体が回転駆動される。また、便宜を図るために同図には示していないが、K用の原動ギヤ121Kには、図示しない現像ギヤも噛み合っており、この現像ギヤの回転駆動力は図示しない現像クラッチを介して現像ユニットに伝えられる。
なお、Y,M,C用の図示しない現像ユニットは、それらを共通に駆動するための図示しない1つの現像モータによって駆動される。
かかる構成のプリンタにおいて、Y,C,M感光体ユニット駆動距離D(i=1〜3)は、それぞれ1つの感光体駆動モータ135YCMの駆動時間に基づいて算出される。このように、互いに同じ感光体駆動モータ135YCMの駆動時間に基づいて算出されるが、Y,C,M用の3つの感光体ユニットのうち、故障などによって1つあるいは2つが突発的に交換される可能性があるため、それぞれの色で感光体ユニット駆動距離D(i=1〜3)が個別に算出される。感光体ユニットプリント枚数P(i=1〜3)についても、同様の理由により、Y,C,Mで個別の算出がなされる。
また、Y,C,M現像ユニット駆動距離D(i=5〜7)やY,C,M現像剤駆動距離D(i=9〜11)は、それぞれ1つの現像モータの駆動時間に基づいて算出される。但し、Y,C,M用の3つの現像ユニットのうち、故障などによって1つあるいは2つが突発的に交換される可能性があるため、それぞれの色で現像ユニット駆動距離や現像剤駆動距離が個別に算出される。現像ユニットプリント枚数P(i=5〜7)についても、同様の理由により、Y,C,Mで個別の算出がなされる。
なお、K感光体ユニット駆動距離D(4)、K現像ユニット駆動距離(8)、K現像剤駆動距離(12)は、それぞれ実施形態と同様のプロセスによって算出される。
[第2変形例]
第2変形例に係る画像形成システムのプリンタは、部品寿命管理装置の全ての構成を備えている。具体的には、プリンタの制御部(200)は、先に図19に示した発注要求判定処理と同様の処理を行うように構成されている。何れかのユニットで交換要求が発生した場合には、そのユニットについての発注要求の判定も自らが行うのである。発注タイミング決定手段としても機能しているのである。このため、交換要求が発生しても、発注要求信号やその他のユニットのユニット残り寿命時間(u)T3(i)を遠隔監視装置に送信する処理は行わない。そして、交換作業の発注の要件が満たされた場合には、ユニットの交換作業発注信号を自らが部品サービスセンターの受注端末装置に送信する。但し、エマージェンシーコールが発生した場合には、その信号を遠隔監視装置に送信する。
次に、参考形態に係る画像形成システムについて説明する。なお、以下に特筆しない限り、参考形態に係る画像形成システムの構成は実施形態と同様である。
本画像形成システムにおいて、プリンタの制御部(200)によって実施される残り時間送信ルーチン処理の制御フローは、先に図17に示したものと同じである。また、遠隔監視装置(600)によって実施される発注要求判定処理の制御フローは、先に図19に示したものと同様である。
図21は、本画像形成システムのプリンタの制御部(200)によって実施されるユニット交換要求判定処理の制御フローの要部を示すフローチャートである。先に図16に示した実施形態に係る画像形成システムのものと比較すると、ユニット駆動距離D(i)更新後のプリント枚数補正処理を行わない代わりに、枚数残り寿命時間T2(i)算出後にそれを補正するT2(i)補正処理を行う(S9)点だけが異なっている。つまり、本画像形成システムにおいては、ユニットプリント枚数P(i)を補正しないままに枚数残り寿命時間T2を算出した後、その算出結果を補正するのである。
図22は、本画像形成システムのプリンタの制御部(200)によって実施されるユニット交換要求判定処理における枚数残り寿命時間T2(i)補正処理の処理内容を示すフローチャートである。この枚数残り寿命時間T2(i)補正処理においては、まず、ユニット変数iに対応するユニットが稼働量劣化依存型部品であるか否かが判断される(S9a)。そして、ユニット変数iに対応するユニットが稼働量劣化依存型部品である場合(S9aでY)には、「距離比α(i)=標準距離Sd(i)×ユニットプリント枚数P(i)/ユニット駆動距離D(i)」という関係式によって距離比α(i)が算出される(S9b)。次いで、距離比α(i)について、所定の比率閾値C(i)を超えているか否かが判断され(S9c)、超えている場合には(S9cでY)、枚数残り寿命時間T2(i)が次のように補正される(S9d)。即ち「T2(i)=T2(i)+寿命係数b×{距離比α(i)−比率閾値C(i)}」という関係式によって補正される。この関係式における寿命係数bは、予めの試験による結果に基づいて定められた定数である。距離比α(i)と比率閾値C(i)との差分にこの寿命係数bが乗じられることで、その差分に見合った割合の寿命時間が枚数残り寿命時間T2(i)から減算されるのである。これにより、単独プリント動作の実施頻度が比較的高いユーザーにおいて、ユニットプリント枚数P(i)が比較的少ないにもかかわらず、部品別稼働量たるユニット駆動距離D(i)が相当に大きくなった場合に、枚数残り寿命時間T2(i)をユニット駆動距離D(i)に見合った値に補正する。これにより感光体ユニットや現像ユニットについて、ユニット駆動距離D(i)とユニットプリント枚数P(i)との両方をユニット寿命残り時間T3(i)に反映させる。よって、ユニット駆動距離D(i)だけをユニット寿命残り時間T3(i)に反映させてしまったり、ユニット駆動距離D(i)に比べて値が不適切に小さくなっているユニットプリント枚数P(i)だけユニット寿命残り時間T3(i)に反映させてしまったりする場合よりも、感光体ユニット等の寿命の到来を正確に予測することができる。
一方、上記S9aのステップでユニット変数iが枚数劣化依存型部品に対応すると判断された場合には(S9aでN)、枚数残り寿命時間T2(i)の補正が行われないままに制御フローが図21のS10に進められる。また、たとえユニット変数iが稼働量劣化依存型部品に対応すると判断された場合であっても、上記S9cのステップで距離比α(i)が比率閾値C(i)を超えていないと判断された場合にも(S9cでN)、ユニットプリント枚数P(i)の補正が行われないままに制御フローが図21のS10に進められる。
本参考形態では、距離比α(i)が所定の比率閾値C(i)を超えた場合(以上である場合でもよい)に、枚数残り寿命時間T2(i)の算出結果をより大きい値に補正する処理を実行させるように制御部200を構成した例について説明した。かかる構成では、稼働量劣化依存型部品についてもうすぐ寿命が到来するという予測を行う前に、その稼働量劣化依存型部品の寿命が到来してしまうといった事態の発生を抑えることができる。このような構成とは逆に、距離比α(i)が所定の比率閾値C(i)未満になった場合(以下である場合でもよい)に、枚数残り寿命時間T2(i)の算出結果をより小さい値に補正する処理を実行させるように制御部200を構成してもよい。この場合には、寿命到来までにまだ十分に余裕のある稼働量劣化依存型部品について、もうすぐ寿命が到来すると予測してしまうといった事態の発生を抑えることができる。また、それらの構成の両方を採用してもよい。具体的には、距離比α(i)が所定の第1比率閾値C1(i)を超えた場合に、枚数残り寿命時間T2(i)の算出結果をより大きい値に補正する一方で、距離比α(i)が所定の第2比率閾値C2(i)未満であった場合に、枚数残り寿命時間T2(i)の算出結果をより小さい値に補正する処理を実施させるのである(但しC1(i)>C2(i))。
なお、先に説明した第2変形例と同様に、交換作業発注タイミングとしての機能を、遠隔監視装置ではなく、プリンタの制御部(200)に発揮させるようにしてもよい。
これまで、各色用のプロセスユニットによってカラー画像を形成するプリンタを具備する画像形成システムについて説明したが、単色画像だけを形成する画像形成装置を具備する画像形成システムにも、本発明の適用が可能である。
以上、実施形態に係る画像形成システムでは、記録枚数計数手段たる制御部200によるユニットプリント枚数P(i)の計数結果を部品別稼働量たるユニット駆動距離D(i)に基づいて補正し、補正後の値と寿命到来指標値たるユニット寿命枚数Lp(i)とに基づいてユニット寿命残り時間T3(i)を算出するように、寿命残り時間算出手段たる制御部200を構成している。かかる構成では、上述したように、ユニットプリント枚数P(i)をユニット駆動距離D(i)に見合った値に補正することで、もうすぐ寿命が到来するという予測を行う前に稼働量劣化依存型部品の寿命が到来してしまうといった事態や、寿命到来までにまだ十分に余裕のある稼働量劣化依存型部品について、もうすぐ寿命が到来すると予測してしまうといった事態の発生を抑えることができる。
また、実施形態に係る画像形成システムでは、一部の部品としての感光体ユニット(2Y,C,M,K)や現像ユニット(7Y,C,M,K)について、ユニットプリント枚数P(i)に所定の係数である標準距離Sd(i)を乗じて算出した部品別標準稼働値(Sd(i)×P(i))に対するユニット駆動距離D(i)の割合(距離比α(i))が所定の比率閾値C(i)以上であるか、あるいは比率閾値C(i)を超えるかした場合に、ユニットプリント枚数P(i)を記録枚数計数手段による計数結果よりも大きい値に補正するように、枚数補正手段たる制御部200を構成している。かかる構成では、ユニットプリント枚数P(i)に対するユニット駆動距離D(i)の割合が所定の比率以上になった場合にだけ、ユニットプリント枚数P(i)をユニット駆動距離D(i)に見合った値に補正することができる。
また、実施形態に係る画像形成システムにおいては、補正後のユニットプリント枚数P(i)値とユニット寿命枚数Lp(i)とに基づいて第1寿命残り時間たる枚数残り寿命時間T2(i)を算出する一方で、ユニット駆動距離D(i)とユニット寿命距離Ld(i)とに基づいて第2寿命残り時間たる距離残り寿命時間T1(i)を算出し、それらのうち、何れか短い方をユニット寿命残り時間T3(i)とするように、制御部200を構成している。かかる構成では、ユニット駆動距離D(i)に応じた適切な値の枚数寿命残り時間T2(i)と、ユニット駆動距離D(i)に応じた距離寿命残り時間T1(i)とのうち、何れか短い方をユニット寿命残り時間T3(i)とすることで、何れか一方をユニット寿命残り時間とする場合に比べて、寿命到来後に交換要求を発してしまうといった事態を抑えることができる。
なお、ユニットプリント枚数P(i)を所定の上限値の範囲内で補正するように、制御部200を構成することが望ましい。具体的には、先に示した図17において、S7dのステップの後に、補正後のP(i)について所定の上限値を超えているか否かを判断する判断ステップと、所定の上限値を超えている場合には補正後のP(i)を更に上限値と同じ値に補正するステップとを設けるのである。このようにすることで、ユニット寿命残り時間T3(i)を過剰に長くしてしまうといった事態を回避することができる。
また、実施形態に係る画像形成システムにおいては、ユニットプリント枚数P(i)の計数結果とユニット寿命枚数Lp(i)とに基づく枚数残り寿命時間T2(i)の算出結果をユニット駆動距離D(i)に基づいて補正するように、寿命残り時間算出手段たる制御部200を構成している。かかる構成でも、実施形態に係る画像形成システムと同様に、もうすぐ寿命が到来するという予測を行う前に稼働量劣化依存型部品の寿命が到来してしまうといった事態や、寿命到来までにまだ十分に余裕のある稼働量劣化依存型部品について、もうすぐ寿命が到来すると予測してしまうといった事態の発生を抑えることができる。
また、実施形態や参考形態に係る画像形成システムのプリンタにおいては、複数種類の部品である各ユニットについてそれぞれユニット寿命残り時間T3(i)に基づいて交換の必要の有無を判定させる交換要求判定手段として、制御部200を機能させている。かかる構成では、ユニット寿命残り時間T3(i)が所定の交換指標値X(i)以下になったタイミングで、そのユニットについての交換要求を発して、そのユニットの交換作業にいち早くとりかからせることができる。
また、実施形態や参考形態に係る画像形成システムのプリンタにおいては、各ユニットのうち、劣化の進行がユニットプリント枚数P(i)よりもユニット駆動距離D(i)に依存する部品である感光体ユニットや現像ユニットについてだけ、ユニットプリント枚数P(i)を補正するように枚数補正手段たる制御部200を構成するか、あるいは、寿命残り時間としての枚数寿命残り時間T2(i)を補正するように残り時間補正手段たる制御部200を構成するかしている。かかる構成では、枚数劣化依存型部品たる転写ユニットや定着ユニット等のユニットプリント枚数P(i)や枚数寿命残り時間T2(i)をユニット駆動距離D(i)に見合った値に補正してしまうことによる寿命到来予測日の不適切化を回避することができる。
なお、実施形態や参考形態に係る画像形成システムのプリンタにおいて、部品別記録枚数たるユニットプリント枚数P(i)のデータや、部品別稼働量たるユニット駆動距離D(i)のデータを制御部200に記憶させておく代わりに、各ユニットに設けたICチップ等の情報記憶手段に記憶させておき、それらを記録枚数計数手段や計測手段として機能する制御部200に読み込ませたり更新させたりしてもよい。このようにすることで、複数のプリンタ間で使用途中のユニットが相互に交換されたとしても、それぞれのプリンタにおいて、適切なユニットプリント枚数P(i)やユニット駆動距離D(i)に基づいてユニット寿命残り時間T3を算出させることができる。
また、実施形態や参考形態に係る画像形成システムでは、無端移動する表面に潜像を担持する潜像担持体たる感光体、無端移動する表面に担持した現像剤によって感光体上の潜像を現像して可視像たるトナー像を得る現像部材としての現像スリーブ、表面を無端移動させる中間転写ベルト41に感光体上のトナー像を転写する転写手段たる転写ユニット40、及び、無端移動する表面を記録部材たる記録紙Pに密着せしめてトナー像を記録紙Pに定着せしめる定着部材たる定着ベルト64を有するものを用い、且つ、これら感光体、現像スリーブ、中間転写ベルト41及び定着ベルト64のうち、少なくとも2つについてユニット寿命残り時間T3(i)を算出するように寿命残り時間算出手段たる制御部200を構成している。かかる構成では、それら少なくとも2つについて、比較的短期間で交換要求が発生する場合に、それらを同時に交換してメンテナンス作業の効率化を図ることができる。
また、実施形態や参考形態に係る画像形成システムにおいては、感光体、現像スリーブ、中間転写ベルト41、定着ベルト64について、その累積表面移動距離であるユニット駆動距離D(i)を部品別稼働量として計測させるように計測手段たる制御部200を構成している。そして、ユニット駆動距離D(i)、ユニット寿命距離Ld(i)に基づいてそれら部品の寿命残り時間を算出させるように寿命残り時間算出手段たる制御部200を構成している。かかる構成では、各部品についてそれぞれ、その駆動距離に基づいた寿命を把握することができる。
また、実施形態や参考形態に係る画像形成システムにおいては、無端移動体たる中間転写ベルト41の表面に接触しながらその表面をクリーニングするクリーニング部材たるクリーニングブレード42aを設け、且つ、クリーニングブレード42a(ベルトクリーニングユニット)のユニット寿命残り時間T3(14)を中間転写ベルト41の累積表面移動距離たるユニット駆動距離D(14)及び寿命到来指標値たる距離寿命残り時間T1(14)に基づいて算出するように、寿命残り時間算出手段たる制御部200を構成している。かかる構成では、クリーニングブレード42aと、その他の部品とが比較的短期間で交換要求を発する場合に、両者に対する交換作業を同時に行ってメンテナンス作業の効率化を図ることができる。また、表面を無端移動させないクリーニングブレード42aの駆動距離として、中間転写ベルト41の駆動距離を代替特性として用いることで、駆動時間の増加に伴うグレードの消耗を適切に把握することができる。
また、実施形態や参考形態に係る画像形成システムでは、中間転写ベルト41の累積表面移動距離である転写ユニット駆動距離D(13)を部品別稼働量として計測させるように計測手段たる制御部200を構成するとともに、転写ユニット駆動距離D(13)、及び寿命到来指標値たる転写ユニット寿命距離Ld(13)に基づいてクリーニングブレード42aの寿命残り時間であるクリーニングユニット寿命残り時間D(14)を算出させるように寿命残り時間算出手段たる制御部200を構成している。かかる構成では、表面を無端移動させない部品であるクリーニングブレード42aの消耗を、それに当接する中間転写ベルト41の表面移動距離である転写ユニット駆動距離D(13)に基づいて把握して、クリーニングブレード42aの寿命残り時間を正確に予測することができる。
また、実施形態や参考形態に係る画像形成装置では、感光体、現像スリーブ、中間転写ベルト41、定着ベルト64についてそれぞれ、それを搭載した状態のプリンタによって画像が形成された記録紙Pの累積枚数である部品プリント枚数としてのユニットプリント枚数P(i)を計数する計数手段として制御部200を機能させ、寿命到来指標値たるユニット寿命枚数Lp(i)、及び部品別稼働量たるユニットプリント枚数P(i)に基づいて感光体、現像スリーブ、中間転写ベルト41、定着ベルト64の寿命残り時間である枚数残り寿命時間T2(i)を算出させるように寿命残り時間算出手段たる制御部200を構成している。かかる構成では、感光体、現像スリーブ、中間転写ベルト41、定着ベルト64におけるプリント動作毎の消耗を、ユニットプリント枚数P(i)に基づいて把握することで、それらの寿命到来を精度良く予測することができる。
また、実施形態や参考形態に係る画像形成システムにおいては、感光体、現像スリーブ、中間転写ベルト41、定着ベルト64の累積使用時間であるユニット使用時間t(i)を計時する累積使用計時手段として制御部200を機能させ、ユニット駆動距D(i)やユニットプリント枚数P(i)に加えて、ユニット使用時間t(i)にも基づいて感光体、現像スリーブ、中間転写ベルト41、定着ベルト64の寿命残り時間である距離残り寿命時間T1(i)や枚数残り寿命時間T2(i)を算出させるように寿命残り時間算出手段たる制御部200を構成している。かかる構成では、ユニット使用時間t(i)に基づいてユニット駆動距離D(i)やユニットプリント枚数P(i)の1日あたりの平均増加量を把握し、それに基づいて距離残り寿命時間T1(i)や枚数残り寿命時間T2(i)を正確に予測することができる。