以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の実施形態について説明する前に、本発明を理解する上で参考になる参考形態に係るプリンタについて説明する。
まず、参考形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。図1は、参考形態に係るプリンタを示す概略構成図である。同図のプリンタは、トナー像形成手段たるプロセスユニットとして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、C、M、Kと記す)用の4つのプロセスユニット1Y,C,M,Kを備えている。これらは、画像を形成する画像形成物質として、互いに異なる色のY,C,M,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。Yトナー像を生成するためのプロセスユニット1Yを例にすると、これは図2に示すように、感光体ユニット2Yと現像ユニット7Yとを有している。これら感光体ユニット2Y及び現像ユニット7Yは、図3に示すようにプロセスユニット1Yとして一体的にプリンタ本体に対して着脱される。但し、プリンタ本体から取り外した状態では、図4に示すように現像ユニット7Yを図示しない感光体ユニットに対して着脱することができる。
先に示した図2において、感光体ユニット2Yは、潜像担持体たるドラム状の感光体3Y、転写残トナー除去手段たるドラムクリーニング装置4Y、図示しない除電装置、帯電装置5Yなどを有している。
帯電装置5Yは、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動せしめられる感光体3Yの表面を一様帯電せしめる。同図においては、図示しない帯電バイアス電源回路によって帯電バイアスが印加されながら図中反時計回りに回転駆動される帯電ローラ6Yを感光体3Yに近接させることで、感光体3Yを一様帯電せしめる方式の帯電装置5Yを示した。帯電バイアスは、AC電圧にDC電圧が重畳されたものである。帯電ローラ6Yの代わりに、帯電ブラシを当接させるものを用いてもよい。また、スコロトロンチャージャーのように、チャージャー方式によって感光体3Yを一様帯電せしめるものを用いてもよい。帯電装置5Yによって一様帯電せしめられた感光体3Yの表面は、後述する光書込ユニットから発せられるレーザ光によって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。
現像手段たる現像ユニット7Yは、第1搬送スクリュウ8Yが配設された第1剤収容部9Yを有している。また、透磁率センサからなるトナー濃度センサ(以下、トナー濃度センサという)10Y、第2搬送スクリュウ11Y、現像ロール12Y、ドクターブレード13Yなどが配設された第2剤収容部14Yも有している。これら2つの剤収容部内には、磁性キャリアとマイナス帯電性のYトナーとからなる図示しないY現像剤が内包されている。第1搬送スクリュウ8Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられることで、第1剤収容部9Y内のY現像剤を図紙面に直交する方向における手前側から奥側へと搬送する。そして、第1剤収容部9Yと第2剤収容部14Yとの間の仕切壁に設けられた図示しない連通口を経て、第2剤収容部14Y内に進入する。
第2剤収容部14Y内の第2搬送スクリュウ11Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられることで、Y現像剤を図中奥側から手前側へと搬送する。搬送途中のY現像剤は、第1剤収容部14Yの底部に固定されたトナー濃度センサ10Yによってそのトナー濃度が検知される。このようにしてY現像剤を搬送する第2搬送スクリュウ11Yの図中上方には、現像ロール11Yが第2搬送スクリュウ11Yと平行な姿勢で配設されている。現像剤担持体たる現像ロール11Yは、図中反時計回り方向に回転駆動せしめられる非磁性パイプ(例えばアルミ製パイプ)からなる現像スリーブ内に図示しないマグネットローラを内包している。現像スリーブは、サンドブラスト処理によって表面が粗面化処理されている。第2搬送スクリュウ11Yによって搬送されるY現像剤の一部は、前述のマグネットローラの発する磁力によって現像スリーブ表面に汲み上げられる。そして、現像スリーブと所定の間隙を保持するように配設されたドクターブレード13Yによってその層厚が規制された後、感光体3Yと対向する現像領域まで搬送され、感光体3Y上のY用の静電潜像にYトナーを付着させる。この付着により、感光体3Y上にYトナー像が形成される。現像によってYトナーを消費したY現像剤は、現像ロール12Yの現像スリーブの回転に伴って第2搬送スクリュウ11Y上に戻される。そして、図中手前端まで搬送されると、図示しない連通口を経て第1剤収容部9Y内に戻る。
トナー濃度センサ10YによるY現像剤の透磁率の検知結果は、電圧信号として図示しない制御部に送られる。Y現像剤の透磁率は、Y現像剤のYトナー濃度と相関を示すため、トナー濃度センサ10YはYトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。上記制御部はRAM等の情報記憶手段を備えており、この中にトナー濃度センサ10Yからの出力電圧の目標値であるY用Vtrefや、他の現像ユニットに搭載されたC,M,K用のトナー濃度センサからの出力電圧の目標値であるC用Vtref、M用Vtref、K用Vtrefのデータを格納している。Y用の現像ユニット7Yについては、トナー濃度センサ10Yからの出力電圧の値とY用Vtrefを比較し、図示しないY用のトナー供給装置を比較結果に応じた時間だけ駆動させる。この駆動により、現像に伴うYトナーの消費によってYトナー濃度を低下させたY現像剤に対し、第1剤収容部9Yで適量のYトナーが供給される。このため、第2剤収容部14Y内のY現像剤のYトナー濃度が所定の範囲内に維持される。他色用のプロセスユニット(1C,M,K)内における現像剤についても、同様のトナー供給制御が実施される。
感光体3Y上に形成されたYトナー像は、後述する中間転写ベルト41に中間転写される。感光体ユニット2Yのドラムクリーニング装置4Yは、中間転写工程を経た後の感光体3Y表面にクリーニングブレード17Yを当接させており、これによって潜像担持体たる感光体3Yの表面から転写残トナーを掻き取って除去する。即ち、本プリンタにおいては、ドラムクリーニング装置4Yが、潜像担持体たる感光体3Yの表面に付着している転写残トナーを除去する転写残トナー除去手段として機能している。
ドラムクリーニング装置4Yは、クリーニングブレード17Yによって掻き取った転写残トナーを自重によって回収スクリュウ部材15Y上に落下させる。そして、転写残トナーを回収スクリュウ部材15Yの回転駆動によって図紙面に直交する方向の手前側から奥側へと搬送して、装置外に排出する。
プロセスユニット1Yの図紙面に直交する方向における奥側の端部では、リサイクル手段たるトナーリサイクル機構16Yがドラムクリーニング装置4Yと現像ユニット7Yとの間に架け渡されるように配設されている。そして、ドラムクリーニング装置4Yから排出された転写残トナーを受け取って、現像ユニット7Yの第2剤収容部14Y内に搬送する。これにより、感光体3Yから除去された転写残トナーが現像ユニット7Yの第2剤収容部14Y内に戻されてリサイクル使用される。
ドラムクリーニング装置4Yによってクリーニング処理が施された感光体3Y表面は、図示しない除電装置によって除電される。この除電により、感光体3Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。先に示した図1において、他色用のプロセスユニット1C,M,Kにおいても、同様にして感光体3C,M,K上にC,M,Kトナー像が形成されて、中間転写ベルト上に中間転写される。そして、感光体3C,M,K上の転写残トナーがそれぞれ専用のドラムクリーニング装置によって除去される。
プロセスユニット1Y,C,M,Kの図中下方には、光書込ユニット20が配設されている。潜像書込手段たる光書込ユニット20は、画像情報に基づいて発したレーザ光Lを、各プロセスユニット1Y,C,M,Kの感光体3Y,C,M,Kに照射する。これにより、感光体3Y,C,M,K上にY,C,M,K用の静電潜像が形成される。なお、光書込ユニット20は、光源たるレーザーダイオードから発したレーザ光Lを、モータによって回転駆動されるポリゴンミラー21によって偏向せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体3Y,C,M,Kに照射するものである。かかる構成のものに代えて、LDEアレイによる光走査を行うものを採用することもできる。
光書込ユニット20の下方には、第1給紙カセット31、第2給紙カセット32が鉛直方向に重なるように配設されている。これら給紙カセット内には、それぞれ、記録部材たる記録紙Pが複数枚重ねられた記録紙束の状態で収容されており、一番上の記録紙Pには、第1給紙ローラ31a、第2給紙ローラ32aがそれぞれ当接している。第1給紙ローラ31aが図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動せしめられると、第1給紙カセット31内の一番上の記録紙Pが、カセットの図中右側方において鉛直方向に延在するように配設された給紙路33に向けて排出される。また、第2給紙ローラ32aが図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動せしめられると、第2給紙カセット32内の一番上の記録紙Pが、給紙路33に向けて排出される。給紙路33内には、複数の搬送ローラ対34が配設されており、給紙路33に送り込まれた記録紙Pは、これら搬送ローラ対34のローラ間に挟み込まれながら、給紙路33内を図中下側から上側に向けて搬送される。
給紙路33の末端には、レジストローラ対35が配設されている。レジストローラ対35は、記録紙Pを搬送ローラ対34から送られてくる記録紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに、両ローラの回転を一旦停止させる。そして、記録紙Pを適切なタイミングで後述の2次転写ニップに向けて送り出す。
各プロセスユニット1Y,C,M,Kの図中上方には、表面無端移動体たる中間転写ベルト41を張架しながら図中反時計回りに無端移動せしめる転写ユニット40が配設されている。転写手段たる転写ユニット40は、中間転写ベルト41の他、ベルトクリーニングユニット42、第1ブラケット43、第2ブラケット44などを備えている。また、4つの1次転写ローラ45Y,C,M,K、2次転写バックアップローラ46、駆動ローラ47、補助ローラ48、テンションローラ49なども備えている。中間転写ベルト41は、これら8つのローラに張架されながら、駆動ローラ47の回転駆動によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。4つの1次転写ローラ45Y,C,M,Kは、このように無端移動せしめられる中間転写ベルト41を感光体3Y,C,M,Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト41の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス)の転写バイアスを印加する。中間転写ベルト41は、その無端移動に伴ってY,C,M,K用の1次転写ニップを順次通過していく過程で、そのおもて面に感光体3Y,C,M,K上のY,C,M,Kトナー像が重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト41上に4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
2次転写バックアップローラ46は、中間転写ベルト41のループ外側に配設された2次転写ローラ50との間に中間転写ベルト41を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト41のおもて面と当接部材たる2次転写ローラ50との当接による2次転写ニップが形成されている。
先に説明したレジストローラ対35は、ローラ間に挟み込んだ記録紙Pを、中間転写ベルト41上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで、2次転写ニップに向けて送り出す。中間転写ベルト41上の4色トナー像は、2次転写ローラ50と2次転写バックアップローラ46との間に形成される2次転写電界や、ニップ圧の影響により、2次転写ニップ内で記録紙Pに一括2次転写される。そして、記録紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト41には、記録紙Pに転写されなかった2次転写残トナーが付着している。これは、ベルトクリーニングユニット42によってクリーニングされる。なお、ベルトクリーニングユニット42は、クリーニングブレード42aを中間転写ベルト41のおもて面に当接させており、これによってベルト上の転写残トナーを掻き取って除去するものである。
転写ユニット40の第1ブラケット43は、図示しないソレノイドの駆動のオンオフに伴って、補助ローラ48の回転軸線を中心にして所定の回転角度で揺動するようになっている。本プリンタは、モノクロ画像を形成する場合には、前述のソレノイドの駆動によって第1ブラケット43を図中反時計回りに少しだけ回転させる。この回転により、補助ローラ48の回転軸線を中心にしてY,C,M用の1次転写ローラ45Y,C,Mを図中反時計回りに公転させることで、中間転写ベルト41をY,C,M用の感光体3Y,C,Mから離間させる。そして、4つのプロセスユニット1Y,C,M,Kのうち、K用のプロセスユニット1Kだけを駆動して、モノクロ画像を形成する。これにより、モノクロ画像形成時にY,C,M用のプロセスユニットを無駄に駆動させることによるそれらプロセスユニットの消耗を回避することができる。
一方、本プリンタは、カラー画像を形成する場合には、第1ブラケット43を図中時計回りに少しだけ回転させる。この回転により、補助ローラ48の回転軸線を中心にしてY,C,M用の1次転写ローラ45Y,C,Mを図中時計回りに公転させることで、中間転写ベルト41をY,C,M用の感光体3Y,C,Mにも当接させる。これにより、Y,C,M,K用の4つの1次転写ニップを形成しながら、4つのプロセスユニット1Y,C,M,Kを駆動して、カラー画像を形成する。
2次転写ニップの図中上方には、定着ユニット60が配設されている。この定着ユニット60は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する加圧加熱ローラ61と、定着ベルトユニット62とを備えている。定着ベルトユニット62は、定着部材たる定着ベルト64、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する加熱ローラ63、テンションローラ65、駆動ローラ66、図示しない温度センサ等を有している。そして、無端状の定着ベルト64を加熱ローラ63、テンションローラ65及び駆動ローラ66によって張架しながら、図中反時計回り方向に無端移動せしめる。この無端移動の過程で、定着ベルト64は加熱ローラ63によって裏面側から加熱される。このようにして加熱される定着ベルト64の加熱ローラ63掛け回し箇所には、図中時計回り方向に回転駆動される加圧加熱ローラ61がおもて面側から当接している。これにより、加圧加熱ローラ61と定着ベルト64とが当接する定着ニップが形成されている。
定着ベルト64のループ外側には、図示しない温度センサが定着ベルト64のおもて面と所定の間隙を介して対向するように配設されており、定着ニップに進入する直前の定着ベルト64の表面温度を検知する。この検知結果は、図示しない定着電源回路に送られる。定着電源回路は、温度センサによる検知結果に基づいて、加熱ローラ63に内包される発熱源や、加圧加熱ローラ61に内包される発熱源に対する電源の供給をオンオフ制御する。これにより、定着ベルト64の表面温度が約140[°]に維持される。
2次転写ニップを通過した記録紙Pは、中間転写ベルト41から分離した後、定着ユニット60内に送られる。そして、定着ユニット60内の定着ニップに挟まれながら図中下側から上側に向けて搬送される過程で、定着ベルト64によって加熱されたり、押圧されたりして、フルカラートナー像が定着せしめられる。
このようにして定着処理が施された記録紙Pは、排紙ローラ対67のローラ間を経た後、機外へと排出される。プリンタ本体の筺体の上面には、スタック部68が形成されており、排紙ローラ対67によって機外に排出された記録紙Pは、このスタック部68に順次スタックされる。
転写ユニット40の上方には、Y,C,M,Kトナーを収容する4つのトナーカートリッジ100Y,C,M,Kが配設されている。トナーカートリッジ100Y,C,M,K内のY,C,M,Kトナーは、プロセスユニット1Y,C,M,Kの現像ユニット7Y,C,M,Kに適宜供給される。これらトナーカートリッジ100Y,C,M,Kは、プロセスユニット1Y,C,M,Kとは独立してプリンタ本体に脱着可能である。
図5は、プリンタの筺体内に固定された駆動伝達系である本体側駆動伝達部を示す斜視図である。また、図6は、この本体側駆動伝達部を上方から示す平面図である。プリンタの筺体内には、支持板が立設せしめられており、これには4つのプロセス駆動モータ120Y,C,M,Kが固定されている。駆動源たるプロセス駆動モータ120Y,C,M,Kの回転軸には、原動ギヤ121Y,C,M,Kが固定されている。
プロセス駆動モータ120Y,C,M,Kの回転軸の下方には、上記支持板に突設せしめられた図示しない固定軸に係合しながら摺動回転可能な現像ギヤ122Y,C,M,Kが配設されている。この現像ギヤ122Y,C,M,Kは、互いに同じ回転軸線上で回転する第1ギヤ部123Y,C,M,Kと第2ギヤ部124Y,C,M,Kとを有している。第2ギヤ部124Y,C,M,Kの方が、第1ギヤ部123Y,C,M,Kよりもプロセス駆動モータ120Y,C,M,Kの回転軸の先端側に位置している。現像ギヤ122Y,M,C,Kは、その第1ギヤ部123Y,M,C,Kをプロセス駆動モータ120Y,C,M,Kの原動ギヤ121Y,C,M,Kに噛み合わせながら、プロセス駆動モータ120Y,C,M,Kの回転によって固定軸上で摺動回転する。
駆動源たるプロセス駆動モータ120Y,C,M,Kは、DCブラシレスモータの一種であるDCサーボモータからなる。原動ギヤ121Y,C,M,Kと感光体ギヤ133Y,C,M,Kとの減速比は、例えば1:20になっている。
現像ギヤ122Y,C,M,Kの左側方には、図示しない固定軸に係合しながら摺動回転する第1中継ギヤ125Y,C,M,Kが配設されている。これらは、現像ギヤ122Y,C,M,Kの第2ギヤ部124Y,C,M,Kに噛み合うことで、現像ギヤ122Y,C,M,Kから回転駆動力を受けて、固定軸上で摺動回転する。第1中継ギヤ125Y,C,M,Kには、駆動伝達方向上流側で第2ギヤ部124Y,C,M,Kが噛み合っている他に、駆動伝達方向下流側でクラッチ入力ギヤ126Y,C,M,Kが噛み合っている。これらクラッチ入力ギヤ126Y,C,M,Kは、現像クラッチ127Y,C,M,Kに支持されている。現像クラッチ127Y,C,M,Kは、図示しない制御部によって電源供給がオンオフ制御されるのに伴って、クラッチ入力ギヤ126Y,C,M,Kの回転駆動力をクラッチ軸に繋いだり、クラッチ入力ギヤ126Y,C,M,Kを空転させたりする。現像クラッチ127Y,C,M,Kのクラッチ軸の先端側には、クラッチ出力ギヤ128Y,C,M,Kが固定されている。現像クラッチ127Y,C,M,Kに電源が供給されると、クラッチ入力ギヤ126Y,C,M,Kの回転駆動力がクラッチ軸に繋がれて、クラッチ出力ギヤ128Y,C,M,Kが回転する。これに対し、現像クラッチ127Y,C,M,Kへの電源供給が切られると、たとえプロセス駆動モータ120Y,C,M,Kが回転していても、クラッチ入力ギヤ126Y,C,M,Kがクラッチ軸上で空転するため、クラッチ出力ギヤ128Y,C,M,Kの回転が行われない。
クラッチ出力ギヤ128Y,C,M,Kの図中左側方には、図示しない固定軸に係合しながら摺動回転可能な第2中継ギヤ129Y,C,M,Kが配設されており、クラッチ出力ギヤ128Y,C,M,Kに噛み合いながら回転する。
プリンタ本体側では、次のような駆動伝達系が4つのプロセスユニットにそれぞれ対応するように構成されている。即ち、プロセス駆動モータ120→原動ギヤ121→現像ギヤ122の第1ギヤ部123→第2ギヤ部124→第1中継ギヤ125→クラッチ入力ギヤ126→クラッチ出力ギヤ128→第2中継ギヤ129、という駆動伝達系である。
図7は、Y用のプロセスユニット1Yの一端部を示す部分斜視図である。現像ユニット7Yのケーシング内の現像スリーブ15Yは、その軸部材をケーシング側面に貫通させて外部に突出させている。このように突出した軸部材箇所には、スリーブ上流ギヤ131Yが固定されている。また、ケーシング側面には固定軸132Yが突設せしめられており、これに対して第3中継ギヤ130Yが摺動回転可能に係合しながら、スリーブ上流ギヤ131Yに噛み合っている。
Y用のプロセスユニット1Yがプリンタ本体にセットされた状態では、第3中継ギヤ130Yに対し、スリーブ上流ギヤ131Yの他、先に図5や図6に示した第2中継ギヤ129Yが噛み合う。そして、第2中継ギヤ129Yの回転駆動力が、第3中継ギヤ130Y、スリーブ上流ギヤ131Yに順次伝達されて、現像スリーブ13Yが回転駆動される。
なお、Y用のプロセスユニット1Yについてだけ、図を示して説明したが、他色用のプロセスユニットにおいても、同様にして現像スリーブに回転駆動力が伝達される。
また、図7では、Y用のプロセスユニット1Yの一端部だけを示したが、現像スリープ15Yの他端側の軸部材は、ケーシングの他端側の側面に貫通して外部に突出しており、その突出箇所には図示しないスリーブ下流ギヤが固定されている。また、先に図2に示した第1搬送スクリュウ7Y、第2搬送スクリュウ10Yも、その軸部材をケーシング他端側の側面に貫通させており、その突出箇所には図示しない第1スクリュウギヤ、第2スクリュウギヤが固定されている。現像スリーブ15Yがスリーブ上流ギヤ131Yによる駆動伝達によって回転すると、それに伴い、他端側においてスリーブ下流ギヤが回転する。そして、スリーブ下流ギヤに噛み合っている第2スクリュウギヤで駆動力を受ける第2搬送スクリュウ11Yが回転するとともに、第2スクリュウギヤに噛み合っている第1スクリュウギヤで駆動力を受ける第1搬送スクリュウ8Yが回転する。他色用のプロセスユニットも同様の構成である。
このように、原動ギヤ121、現像ギヤ122、第1中継ギヤ125、クラッチ入力ギヤ126、クラッチ出力ギヤ128、第2中継ギヤ129、第3中継ギヤ130、スリーブ上流ギヤ131、スリーブ下流ギヤ、第2スクリュウギヤ、及び第1スクリュウギヤからなる現像ギヤ群が、各プロセスユニットにそれぞれ対応して4組構成されている。
図8は、Y用の感光体ギヤ133Yと、その周囲構成とを示す斜視図である。同図において、原動ギヤ121Yには、現像ギヤ122Yの第1ギヤ部123Yの他、潜像ギヤたる感光体ギヤ133Yが噛み合っている。駆動伝達回転部材としての感光体ギヤ133Yは、本体側駆動伝達部に回動自在に強いされている。感光体ギヤ133Yの直径は、感光体の直径よりも大きくなっている。プロセス駆動モータ120Yが回転すると、その回転駆動力が原動ギヤから感光体ギヤ121Yに一段減速で伝達されて感光体が回転駆動する。他色用のプロセスユニットも同様の構成である。このように、本画像形成システムのプリンタにおいては、原動ギヤ121及び感光体ギヤ133からなる潜像ギヤ群が各プロセスユニットにそれぞれ対応して4組構成されている。
プロセスユニットの感光体の回転軸と、プリンタ本体側に支持される感光体ギヤ133とは、感光体の回転軸の端部に固定されたカップリングによって連結される。各色においてそれぞれ、現像ギヤを感光体ギヤとは異なる現像モータによって駆動させるようにしてもよい。
次に、本プリンタの特徴的な構成について説明する。
図9は、本プリンタの電気回路の要部を示すブロック図である。同図において、制御部200は、演算手段たるCPU200a、情報記憶手段たるRAM200b及びROM200cなどから構成されている。そして、プロセスユニット1Y,C,M,K、転写ユニット40、現像バイアス電源回路203、1次転写バイアス電源回路204、2次転写バイアス電源回路205、転写ユニット60、トナー供給装置206Y,C,M,Kなどの駆動を制御する。
現像バイアス電源回路203は、制御部200から送られてくる制御信号に基づいて、Y,C,M,K用の現像スリーブにそれぞれ制御信号に応じた値の現像バイアスを個別に出力する。
1次転写バイアス電源回路204は、制御部200から送られてくる制御信号に基づいて、4つの1次転写ローラ(45Y,C,M,K)にそれぞれ制御信号に応じた値の1次転写バイアスを個別に出力する。
2次転写バイアス電源回路205は、制御部200から送られてくる制御信号に応じた値の2次転写バイアスを上述の2次転写ローラ(50)に出力する。
トナー供給装置206Y,C,M,Kは、制御部200から送られてくる制御信号に基づいて、Y,C,M,K用の現像ユニットにY,C,M,Kトナーを供給する。
本プリンタは、画像データ入力ポート202を備えており、これによって外部のパーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報を受信する。受信された画像情報は、書込制御回路201を介して制御部200に入力される。書込制御回路201は、画像情報に基づいて光書込ユニット20の駆動を制御する。
図10は、制御部200によって実施されるトナー強制消費判定処理の制御フローを示すフローチャートである。制御部200は、書込制御回路201から送られてくる画像情報に基づいて、プリント1枚あたりにおけるY,C,M,K出力画像面積を算出する(ステップ1:以下、ステップをSと記す)。そして、算出したY出力画像面積について所定の閾値を下回っているか否かを判定し(S2)、下回っている場合には(S2でY)、Y出力画像面積に応じたYトナー強制消費量を算出及び記憶した後(S3)、Yトナー強制消費フラグをセットする(S4)。C,M,Kについても、同様にして、出力画像面積の算出、閾値を下回っているか否かの判定、トナー強制消費量の算出、及びトナー強制消費フラグのセットなどを行う。このようなトナー強制消費判定処理により、Y,C,M,Kのそれぞれについて、プリント1枚あたりにおける出力画像面積が所定の閾値を下回っている場合には、出力画像面積に応じたトナー強制消費量の算出及び記憶や、トナー強制消費フラグのセットが行われる。
図11は、本プリンタのフルカラープリントモードにおいて、上述のMトナー強制フラグがセットされた場合における各機器の駆動タイミングの一例を示すタイミングチャートである。同図において、「LD書込」は、光書込ユニット(20)による書込処理を意味している。また、同図においては、1枚のプリント処理が単独で行われた例を示している。Y,C,M,Kの感光体(3Y,C,M,K)に対する光書込処理が開始されてしばらくすると、1次転写ローラ(45Y,C,M,K)にそれぞれ1次転写バイアスが所定時間印加される。これにより、それぞれの感光体に形成されたY,C,M,Kトナー像が中間転写ベルト(41)上に1次転写される。その後、Mの光書込処理だけが所定時間行われる。これにより、M用の感光体(3M)にMトナー強制消費用の静電潜像が形成されて、Mトナー強制消費用画像として現像される。このようにしてMトナー強制消費用画像が形成されると、M用の1次転写ローラ(45M)に対して1次転写バイアスが印加されて、Mトナー強制消費用画像が中間転写ベルト(41)に1次転写される。このMトナー強制消費用画像は、先に図1に示した画像除去手段たるベルトクリーニングユニット42によってベルトから除去される。
なお、Y,C,M,Kトナー強制消費用画像は、それぞれ、図10に示したトナー強制消費判定処理で算出されたY,C,M,Kトナー強制消費量に応じた面積で形成される。出力画像面積と上記閾値との差が大きくなるほど、Y,C,M,Kトナー強制消費用画像がより大きな面積で形成されて、より多量のY,C,M,Kトナーが強制消費される。また、Y,C,M,Kトナー強制消費用画像の形成処理と、これの除去処理とが行われた後には、図10に示したトナー強制消費消費判定処理にてセットされたY,C,M,Kトナー強制消費フラグが解除される。
Mトナー強制消費フラグだけがセットされた例について説明したが、他色のトナー強制消費フラグがセットされれば、同様にして、その色のトナー強制消費用画像が形成されて中間転写ベルト41に1次転写された後、ベルトクリーニングユニット42によって除去される。
かかる構成の本プリンタにおいては、Y,C,M,Kのそれぞれについて、ドラムクリーニング装置によって感光体から除去した転写残トナーをトナーリサイクル機構によって現像ユニットに搬送してリサイクルすることで、低コスト化を図ることができる。また、感光体上に形成したトナー強制消費用画像を中間転写ベルト41に転写した後、画像除去手段たるベルトクリーニングユニット42によって除去する。このようにしてトナー強制消費用画像を除去することで、トナー強制消費用画像中のトナー、即ち、過剰に撹拌してしまったおそれのあるトナー、をドラムクリーニング装置とトナーリサイクル機構とを介して現像ユニットに戻してしまうことがなくなる。そして、これにより、現像ユニット内で劣化トナーを発生させるによる画質低下の発生を抑えることができる。
なお、1枚プリントジョブの終了直前にトナー強制消費用画像を形成する例について説明したが、トナー強制消費用画像の形成タイミングはジョブ終了直前に限られるものではない。例えば、複数枚の記録紙に画像を連続的に出力する連続プリントモードでは、感光体における紙間領域にトナー強制消費用画像を形成してもよい。また例えば、プリントジョブの終了後にトナー強制消費処理を実施してもよい。また例えば、画像情報に基づくトナー像を感光体の画像領域に形成するとともに、感光体の軸線方向の端部付近にある非画像領域(最大サイズの記録紙よりも幅広の領域)にトナー強制消費用画像を形成してもよい。この場合、2次転写ローラ(50)として、中間転写ベルト(41)の幅方向の両端部にある非画像領域には接触しない長さのものを用いれば、トナー強制消費用画像を2次転写ローラ(50)表面に転移させずに、ベルトクリーニングユニット(42)によって除去することが可能である。
また、プリント1枚あたりにおける出力画像面積が所定の閾値を下回った場合にトナー強制消費処理を実施する例について説明したが、所定枚数のプリントにおける累積出力画像面積が所定の閾値を下回った場合など、所定期間内における累積出力画像面積に基づいてトナー強制消費処理を実施するようにしてもよい。
また、フルカラー画像を形成するプリンタの例について説明したが、モノクロ画像だけを形成する画像形成装置についても、本発明の適用が可能である。
また、各色についてそれぞれ専用の感光体を設けたいわゆるタンデム方式によってフルカラー画像を形成するプリンタの例について説明したが、1つの感光体だけを用いてフルカラー画像を形成する画像形成装置にも、本発明の適用が可能である。例えば、感光体の周囲にY,C,M,K用の現像装置を配設し、感光体上に順次形成したY,C,M,Kトナー像を中間転写体に順次重ね合わせてフルカラー画像を得る画像形成装置にも、本発明の適用が可能である。
また、感光体3Y,C,M,K上のY,C,M,Kトナー像を中間転写ベルト41上に重ね合わせて転写した後、記録紙Pに一括2次転写する方式のプリンタについて説明したが、紙搬送ベルトなどといった表面無端移動体の表面に保持した記録紙に、感光体3Y,C,M,K上のY,C,M,Kトナー像を直接重ね合わせて1次転写する方式の画像形成装置にも本発明の適用が可能である。かかる構成の画像形成装置の場合には、Y,C,M,Kトナー強制消費用画像については、記録紙に代えて、紙搬送ベルト等の表面無端移動体の表面に転写すればよい。
ところで、上述のように、本プリンタでは、カラープリントモードでは、K用の感光体3Kのみならず、Y,C,M用の感光体3Y,C,Mも中間転写ベルト41に当接させてY,C,M用の1次転写ニップを形成する。カラープリントモードにおいて、Y,C,Mの3色のうち、何れか1色又は2色については全く出力しない場合もあるが、このような場合でも、感光体についてはY,C,Mの3色全てを中間転写ベルト41に当接させる。そして、感光体3Y,C,Mと中間転写ベルト41との摺擦による画像の擦れを回避するために、それら3色の感光体の全てを回転駆動させる。但し、現像ユニットについては、出力が全くなされない場合には駆動する必要はない。そこで、カラープリントモードにおいて、Y,C,Mの3色のうち、出力が全くなされない色がある場合には、その色について、上述した現像クラッチを切って、現像ユニットの駆動を停止させることが望ましい。このようにすることで、出力が全くなされない色の現像ユニットを空運転してしまうことによるトナーの劣化を回避することができる。
なお、低コスト化を図る目的で、上述のような現像クラッチを設けずに、感光体と現像ユニットとを常に同時に駆動する方式のタンデム画像形成装置も実用化されている。かかる構成では、カラープリントモードにおいて、Y,C,Mの3色のうち、出力ゼロの色がある場合でも、その色の現像ユニットを駆動せざるを得ず、トナーの劣化を助長してしまう。本発明は、このようなトナーの劣化を抑えるのに特に有効である。
次に、参考形態に係るプリンタに、より多くの構成を付加した各参考例のプリンタについて説明する。なお、以下に特筆しない限り、参考例に係るプリンタの構成は参考形態に係るプリンタと同様である。
[第1参考例]
先に示した図1において、感光体3Y,C,M,Kから中間転写ベルト41に1次転写された図示しないY,C,M,Kトナー強制消費用画像は、ベルトクリーニングユニット42によるクリーニング位置にさしかかる前に、2次転写ローラ50との対向位置を通過する。この際、当接部材たる2次転写ローラ50が中間転写ベルト50に当接して2次転写ニップを形成していると、Y,C,M,Kトナー強制消費用画像が2次転写ローラ50に転移してしまうおそれがある。
そこで、第1参考例に係るプリンタにおいては、当接部材たる2次転写ローラ50を中間転写ベルト41に接離させる図示しない接離手段を備えている。そして、制御部(200)は、Y,C,M,Kトナー強制消費用画像を、画像情報に基づくY,C,M,Kトナー像とは別のタイミングで感光体3Y,C,M,K上に形成する制御を実施する。そして、少なくとも中間転写ベルト41上のY,C,M,Kトナー強制消費用画像が転写ニップたる2次転写ニップを通過するタイミングでは、図12に示すように、接離手段によって2次転写ローラ50をベルト表面から離間させる制御を実施するようになっている。
かかる構成では、Y,C,M,Kトナー強制消費用画像を2次転写ローラ50に転移させてしまうことによる記録紙Pの裏汚れを回避することができる。
[第2参考例]
第1参考例に係るプリンタでは、このようにして記録紙Pの裏汚れを回避することができるが、上述の接離手段を設けることで、装置を大型化してしまう。そこで、第2参考例に係るプリンタでは、接離手段を設ける代わりに、2次転写バイアスの極性を変化させる構成を設けている。
図13は、第2参考例に係るプリンタのフルカラープリントモードにおいて、上述のMトナー強制フラグがセットされた場合における各機器の駆動タイミングの一例を示すタイミングチャートである。同図においても、先に示した図11と同様に、1枚のプリント処理が単独で行われた例を示している。Y,C,M,Kの感光体(3Y,C,M,K)に対する光書込処理が開始されてしばらくすると、1次転写ローラ(45Y,C,M,K)にそれぞれ1次転写バイアスが所定時間印加される。これにより、それぞれの感光体に形成されたY,C,M,Kトナー像が中間転写ベルト(41)上に1次転写される。その後、ベルト上の4色トナー像が2次転写ニップに進入するのに先立って、トナーとは逆極性の2次転写画像バイアスが2次転写ローラ(50)に所定時間印加される。これにより、2次転写ニップやその近傍において、トナーをベルト表面側から2次転写ローラ(50)側に向けて静電移動させる電界が形成されて、中間転写ベルト(41)上の4色トナー像が2次転写ニップ内で記録紙に2次転写される。
このような2次転写が終了してしばらくすると、Mの光書込処理だけが所定時間行われる。これにより、M用の感光体(3M)にMトナー強制消費用の静電潜像が形成されて、Mトナー強制消費用画像として現像される。そして、M用の1次転写ローラ(45M)に対して1次転写バイアスが印加されて、Mトナー強制消費用画像が中間転写ベルト(41)に1次転写される。その後、このMトナー強制消費用画像が2次転写ローラ(50)との対向位置に進入するのに先立って、トナーと同極性の2次転写逆バイアスが2次転写ローラ(50)に印加される。これにより、2次転写ニップやその近傍において、トナーを2次転写ローラ(50)側からベルト表面側に向けて静電移動させる逆電界が形成されて、中間転写ベルト(41)上の4色トナー像の2次転写ローラ(50)への逆転移が回避される。
なお、トナーとは逆極性の2次転写バイアスを2次転写ローラ(50)に印加することで順方向の2次転写電界を形成する一方で、トナーと同極性の2次転写バイアスを2次転写ローラ(50)に印加することで2次転写ニップに逆電界を形成する例について説明したが、順方向の2次転写電界や逆電界の形成方法については、これに限られるものではない。例えば、2次転写ローラ(50)へのバイアス印加を停止するとともに、2次転写バックアップローラ(46)にトナーとは逆極性のバイアスを印加することで、逆電界を形成してもよい。また例えば、トナーとは逆極性のバイアスを2次転写バックアップローラ(46)に印加することで2次転写ニップに順方向の2次転写電界を形成してもよい。
次に、本発明を適用した実施形態のプリンタについて説明する。
図14は、実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。同図において、潜像担持体たるドラム状の感光体3は、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される。この感光体3の周りには、帯電手段としての帯電装置5、現像手段としての現像ユニット(現像装置)7、転写搬送ユニット70、転写残トナー除去手段たるドラムクリーニング装置4などが配設されている。
帯電装置5は、図示しない帯電バイアス電源回路によって帯電バイアスが印加されながら回転駆動される帯電ローラ6を感光体3に近接又は接触させている。この帯電ローラ6と感光体3との間に放電を生じせしめることで、感光体3の表面を、トナーの正規帯電極性と同極性である負極性(マイナス極性)に一様に帯電せしめる。ここで言うトナーの正規帯電極性とは、後述する現像装置7内に収容され且つ適度な撹拌がなされたトナーの平均的な帯電量の極性のことである。この平均的な帯電量については、後述するトナー帯電分布測定器によって測定することが可能である。また、帯電バイアスは、AC電圧にDC電圧が重畳されたものである。なお、帯電ローラ6の代わりに、帯電ブラシを当接させるものを用いてもよい。また、スコロトロンチャージャーのように、チャージャー方式によって感光体3を一様帯電せしめるものを用いてもよい。
本プリンタは、図示しないパーソナルコンピュータやスキャナ等から送られている画像情報を受信する図示しない画像情報受信手段を有している。また、この画像情報受信手段によって受信された画像情報に基づいて、レーザーダイオード又はLEDダイオードを駆動して潜像書込用のレーザ光を生成し、これによって感光体3を光走査する図示しない光書込ユニットも有している。この光書込ユニットの構成は、例えば先に図1に示した参考形態に係るプリンタの光書込ユニット20と同様である。
帯電装置5によって負極性に一様帯電せしめられた感光体3の表面は、画像情報受信手段によって受信された画像情報に基づいてレーザ光を生成する光書込ユニットによって露光走査されて静電潜像を担持する。この静電潜像は、図示しないブラックトナーと磁性キャリアとを含有する現像剤を収容している現像ユニット(現像装置)7によって現像されてブラックのトナー像となる。現像ユニット7の構成は、先に図2に示した参考形態に係るプリンタのY用の現像ユニット7Yと同様である。
転写手段たる転写搬送ユニット70は、記録部材保持体たる無端状の紙搬送ベルト71を、従動ローラ72と駆動ローラ73とによって張架しながら、駆動ローラ73の回転駆動によって図中反時計回り方向に無端移動せしめている。紙搬送ベルト71のループ内には、転写バイアス電源回路76によって転写バイアスを印加される転写ローラ74が配設されており、感光体3との間に紙搬送ベルト71を挟み込んでいる。これにより、紙搬送ベルト71のおもて面と、感光体3の周面とが当接する転写ニップが形成されている。
転写搬送ユニット70の図中右側方には、レジストローラ対35が配設されている。このレジストローラ対35は、図示しない給紙カセットから送られてくる記録部材としての記録紙Pをローラ間に挟み込んだ後、転写ニップで感光体3上のトナー像に重ね合わせ得るタイミングで、紙搬送ベルト71の上部張架面に向けて送り出す。送り出された記録紙Pは、紙搬送ベルト71の上部張架面に静電吸着された後、ベルトの移動に伴って転写ニップに進入する。転写搬送ユニット70の構成要素である転写バイアス電源76は、この進入に先立って、転写ローラ74にトナーの正規帯電極性とは逆極性、即ち正極性(プラス極性)の転写バイアスを転写ローラ74に印加する。これにより、転写ローラ74から紙搬送ベルト71の裏面に正極性の転写電流が流れる。そして、感光体3上のトナー像が、転写ニップ内に進入した記録紙Pに転写される。つまり、転写手段たる転写搬送ユニット70は、上述の画像情報に基づいて感光体3上に形成されたトナー像を感光体3から紙搬送ベルト71上の記録紙Pに転写する場合には、次のような電荷を紙搬送ベルト71に付与する。即ち、トナーの正規帯電極性とは逆極性の電荷である。これにより、感光体3の表面上において正規帯電極性(負極性)に帯電しているトナー粒子に対し、感光体3の表面側から紙搬送ベルト71の表面側に向かう静電気力を付与する電界を、感光体3と紙搬送ベルト71との間に形成する。
紙搬送ベルト71の表面移動に伴って転写ニップを通過した記録紙Pは、駆動ローラ73に対するベルト掛け回し箇所で紙搬送ベルト71から曲率分離あるいは図示しない分離爪によって分離された後、定着ユニット(定着装置)60に受け渡される。
定着ユニット60は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ60aと、これに圧接する加圧ローラ60bとによって定着ニップを形成している。紙搬送ベルト71から定着ユニット60に受け渡された記録紙Pは、この定着ニップに挟まれる。そして、ニップ圧や加熱の作用によって表面にトナー像が定着せしめられる。このようにしてトナー像が定着せしめられた記録紙Pは、図示しない排紙ローラ対を経由した後、機外へと排出される。
転写ニップを通過した後の感光体3表面に残留している転写残トナーは、転写残トナー除去手段としてのドラムクリーニング装置4によって感光体3表面から掻き取り除去される。除去後のトナーは、ドラムクリーニング装置4内の回収スクリュウ4aによってドラムクリーニング装置4における図紙面に直交する方向の端部まで搬送された後、トナーリサイクル機構16に受け渡される。
トナーリサイクル手段としてのトナーリサイクル機構16は、ドラムクリーニング装置4から受け取ったトナーを、図中矢印Aで示すように現像ユニット7内に搬送する。これにより、感光体3表面から除去された転写残トナーが現像ユニット7内に戻されてリサイクル使用される。なお、トナーリサイクル機構16としては、先に図2に示した参考形態に係るプリンタのトナーリサイクル機構16と同様の構成のものを使用することができる。また、搬送管内にオーガ等の回転部材を具備し、この回転部材の回転に伴ってトナーを搬送するものでもよい。先に図2に示した参考形態に係るプリンタにおいても、図示の構成のものに代えて、搬送管内に回転部材を具備するものを用いてもよい。
現像ユニット7内の現像剤に対しては、参考形態に係るプリンタと同様にして、図示しないトナーカートリッジ内のトナーが適宜補給される(図中矢印B)。
実施形態に係るプリンタの図示しない制御部も、参考形態に係るプリンタと同様に、トナー強制消費判定処理を行う。図15は、本プリンタの制御部によって実施されるトナー強制消費判定処理の制御フローを示すフローチャートである。制御部は、図示しない光書込ユニットの書込制御回路から送られてくる画像情報に基づいて、プリント1枚あたりにおける出力画像面積を算出する(S1)。そして、算出した出力画像面積について所定の閾値を下回っているか否かを判定する(S2)。ここで、出力画像面積が所定の閾値を下回るということは、画像面積が小さく且つトナー消費量が比較的少ないことに起因して、現像ユニット7でトナーが過剰に撹拌されて劣化し易い状態におかれたことを示している。そこで、出力画像面積が所定の閾値を下回っている場合には(S2でY)、出力画像面積に応じたトナー強制消費量を算出及び記憶した後(S3)、トナー強制消費フラグをセットする(S4)。このようなトナー強制消費判定処理により、プリント1枚あたりにおける出力画像面積が所定の閾値を下回っている場合には、出力画像面積に応じたトナー強制消費量の算出及び記憶や、トナー強制消費フラグのセットが行われる。
トナー強制消費フラグがセットされた場合には、プリントジョブの終了時に、トナー強制消費用画像が感光体3に形成される。また、複数枚の記録紙Pに対するプリント動作が連続的に行われる連続プリント動作中である場合には、1枚の記録紙Pに対するプリント動作と、後続の1枚の記録紙Pに対するプリント動作との間に、連続プリント動作が一時中断されてトナー強制消費用画像が感光体3に形成される。このトナー強制消費用画像は、上述したトナー強制消費判定処理で算出されたトナー強制消費量に応じた面積及び濃度で形成される。具体的には、出力画像面積と上述の閾値との差が大きくなるほど、トナー強制消費用画像がより大きな面積で形成されて、より多量のトナーが現像ユニット7内から排出される。
図16は、トナー強制消費処理を行っている状態の本プリンタを示す概略構成図である。図示のように、トナー強制消費処理は、給紙路内に記録紙Pを通紙していない状態で行われる。感光体3上に形成されたトナー強制消費用画像は、感光体3の回転に伴って転写ニップに進入する。転写搬送ユニット70の転写バイアス電源76は、この進入に先立って、転写ローラ74にトナーの正規帯電極性と同極性、即ち負極性(マイナス極性)の強制消費用転写バイアスを転写ローラ74に印加する。これにより、転写ローラ74から紙搬送ベルト71の裏面に負極性の転写電流を流して、感光体3上のトナー強制消費用画像を紙搬送ベルト71の表面に転写する。即ち、転写手段たる転写搬送ユニット70は、トナー強制消費用画像を感光体3から紙搬送ベルト71に転写する場合には、紙搬送ベルト71に対してトナーの正規帯電極性と同極性の電荷を付与する。これにより、感光体3の表面上において正規帯電極性とは逆極性(正極性)に帯電している逆帯電トナー粒子対して、感光体3表面側から紙搬送ベルト71の表面側に向かう静電力を付与する電界を、感光体3と紙搬送ベルト71との間に形成する。
現像に用いられるトナー中における個々のトナー粒子は、適切な電荷や流動性を発揮するためにその表面にシリカ等の外添剤が外添されている。この外添剤がトナー粒子の表面上に吸着していれば、トナー粒子が適切に帯電する。しかし、現像ユニット7内での過剰な撹拌によって劣化したトナー粒子は、現像ユニット7内における過剰な撹拌によって繰り返しストレスを受けたことで、表面の外添剤を離脱させていたり、外添剤を粒子母材中に埋没させていたりする。このような劣化トナー粒子は、図17に示すように、正規帯電極性側への帯電量を通常よりも大幅に低下させたり、正規帯電極性とは逆極性に帯電したりする。更には、通常のトナー粒子よりも流動性を低下させていることで凝集し易くなっている。このため、転写ニップを通過するときに、紙搬送ベルト71の表面に転写されずに感光体3の表面上に残留し易い状態になっている。すると、転写ニップで劣化トナー粒子を感光体3の表面上に残留させ、その後のクリーニングやリサイクルによって現像ユニット7内に戻してしまう可能性が高くなる。
そこで、本プリンタにおいては、トナー強制消費用画像を感光体3の表面移動に伴って転写ニップに進入させる際には、転写ローラ74に対してトナーの正規帯電極性と同極性(図示の例では負極性)の強制消費用転写バイアスを印加する。これにより、トナー強制消費用画像中に含まれるトナー粒子のうち、劣化トナー粒子を感光体3から紙搬送ベルト71に転移させつつ、未劣化のトナー粒子(正規の負極性に帯電)を転写ニップで感光体3の表面上に残す。そして、紙搬送ベルト71上に転写した劣化トナー粒子については、転写後トナー除去手段としてのベルトクリーニングユニット75によって紙搬送ベルト71の表面上から除去する。除去された劣化トナーは、ベルトクリーニングユニット75内の排出スクリュウ75aによってユニットの図紙面に直交する方向の端部まで搬送された後、図示しない廃トナーボトルに落とし込まれる(図中矢印C)。
一方、転写ニップで紙搬送ベルト71の表面に転写せずに感光体3の表面上に残した未劣化のトナー粒子については、ドラムクリーニング装置4によって感光体3の表面から除去した後、トナーリサイクル機構16によって現像ユニット7内に戻す。これにより、未劣化のトナー粒子の再利用が有効に図られる。また、本プリンタの制御部は、これまで説明したトナー強制処理処理を終えると、上述したトナー強制消費フラグを解除する。
このように、本プリンタでは、トナー強制消費用画像の形成によって現像ユニット7内から感光体3の表面に強制的に排出した劣化トナー粒子を、転写ニップで紙搬送ベルト71に転移させた後、ベルトクリーニングユニット75によって除去する。これにより、現像ユニット7内で劣化トナー粒子を蓄積させることによる画質低下の発生を抑えることができる。更に、トナー強制消費用画像中のトナー粒子のうち、未劣化のトナー粒子については、転写ニップで紙搬送ベルト71に転移させずに感光体3の表面上に残しておき、ドラムクリーニング装置4からトナーリサイクル機構16を経て現像ユニット7に戻す。これにより、参考形態に係るプリンタに比べて、トナー強制消費用画像を形成することによる未劣化のトナー粒子の無駄な廃棄を回避することができる。つまり、本プリンタにおいては、トナー強制消費用画像として現像ユニット7内から強制的に排出したトナーのうち、劣化トナー粒子だけを選択的に感光体3から紙搬送ベルト71に転移させて回収する一方で、未劣化トナーについてはドラムクリーニング装置4で回収してリサイクル使用することで、無駄なトナーの廃棄を回避することができる。
なお、図17に示したトナー帯電量分布のグラフは、現像ユニット7内から取り出したトナーを、ホソカワミクロン社製のトナー帯電分布測定器(イースバートアナライザ EST−3)によって実際に測定した結果を示している。
トナー強制消費の必要性を判定するトナー強制消費処理としては、図15に示した処理の他、次のような処理を採用することが可能である。即ち、本プリンタの作像手段の現像能力を測定し、その結果に基づいてトナー強制消費の必要性を判定するのである。具体的には、感光体3、帯電装置5、現像ユニット7、光書込ユニット等からなる作像手段の現像能力は、現像ポテンシャルと、単位面積たりにおけるトナー付着量との関係を示すグラフの傾きである現像γで表される。現像ポテンシャルとは、感光体表面の静電潜像と、現像バイアスが印加される現像スリーブ表面との電位差のことである。かかる現像γを所定のタイミングで測定する。具体的には、互いにトナー付着量の異なる5[cm2]程度の複数のベタトナー像を具備するパターン像を感光体3の表面上に形成した後、紙搬送ベルト71に転写する。そして、このパターン像における各ベタトナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量を、反射型フォトセンサ78(図16参照)によって検知する。この反射型フォトセンサ78は、図18に示すように、紙搬送ベルト71上のベタトナー像に対して光を照射する発光素子78aと、紙搬送ベルト71上で正反射した正反射光を受光する正反射型受光素子78bと、ベタトナー像の表面で拡散反射した拡散反射光を受光する拡散反射型受光素子78cとを有している。正反射型受光素子78bによる受光量や、拡散反射型受光素子78cによる受光量に基づいて、ベタトナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量を求めることができる。制御部は、各ベタトナー像に対するトナー付着量と、現像ポテンシャルとの関係を示す近似直線を算出し、この近似直線の傾きを現像γとする。かかる現像γが所定の閾値よりも小さな傾きとなった場合には、現像ユニット7内に劣化トナー粒子が蓄積していることにより、転写ニップで所望量のトナーを紙搬送ベルト71に転写することができなかった可能性が高い。そこで、制御部は、所定のタイミングで上述のパターン像を感光体3表面上に形成した後、紙搬送ベルト71に転写する制御を実施した後、次のようなトナー強制消費判定処理を行う。即ち、図19に示すように、反射型フォトセンサ78による検知結果と、パターン像を形成したときの各ベタトナー像についての現像ポテンシャルとに基づいて、現像γを算出する(S1)。そして、算出した現像γについて所定の閾値を下回っているか否かを判定する(S2)。そして、現像γが所定の閾値を下回っている場合には(S2でY)、現像γに応じたトナー強制消費量を算出及び記憶した後(S3)、トナー強制消費フラグをセットする(S4)。
なお、先に説明した参考形態に係るプリンタにおいても、同様にして、各色についての現像γに基づいて、各色におけるトナー強制消費の必要性を判定させるようにしてもよい。
本プリンタにおいては、トナー強制消費用画像を転写ニップに進入させる際に転写ローラ74から紙搬送ベルト71に付与する電荷量の絶対値を、通常の転写時に転写ローラ74から紙搬送ベルト71に付与する電荷量の絶対値よりも少なくする。より詳しくは、通常の転写時には、紙搬送ベルト71から感光体3に向けて流れる実効転写電流を+30[μA]に定電流制御する。この一方で、トナー強制消費用画像を転写ニップに進入させる際には、実効転写電流を−20[μA]に定電流制御する。これは次に説明する理由からである。即ち、実効転写電流の値(転写電界の強度)が良好な転写効率を得るのに適した値に設定されている場合、転写ニップ内で放電を発生させることがある。劣化トナー粒子の含有率が比較的低い正常なトナーの場合、このような放電が発生しても個々のトナー粒子の帯電量が十分であるため、放電に伴って正規極性とは逆極性に帯電してしまうトナー粒子の量はごく微量である。そして、逆極性に帯電してしまったトナーは、転写残トナーとなってリサイクルされるので問題ない。ところが、トナー強制消費用画像中に含まれる逆帯電トナー粒子は、逆極性側への帯電量がそれほど多くないため、転写ニップ内で放電が発生すると、正規の帯電極性に帯電してしまい易い。すると、転写ニップ内で紙搬送ベルト71に転移せずに感光体3の表面上に残って、現像ユニット7に戻されてしまうことになる。また、現像ユニット7に補給された直後に十分に帯電しないままに現像に寄与した未劣化のトナーが、ニップ内での放電に伴って正規極性とは逆極性に帯電すると、未劣化であるにもかかわらず、紙搬送ベルト71に転移してしまう。すると、ベルトクリーニングユニット75を経て最終的には廃トナーボトルに至ってしまう。そこで、トナー強制消費用画像を転写ニップに進入させる際には、電荷量の絶対値を通常の転写時よりも少なくするのである。かかる構成では、転写ニップ内での放電に起因する劣化トナー粒子のリサイクルや、未劣化トナー粒子の無駄な廃棄の発生を抑えることができる。
また、本プリンタにおいては、紙搬送ベルト71として、その表面摩擦係数が感光体3の表面摩擦係数よりも大きいもの、を用いている。これは次に説明する理由からである。即ち、上述したように、劣化トナー粒子には、正規帯電極性とは逆極性に帯電しているものの他、正規帯電極性ではあるものの、その帯電量が通常よりも大幅に少なくなっているものがある。このような低帯電量劣化トナー粒子は、正規帯電極性と同極性の強制消費用転写バイアスの条件下でも、感光体3から紙搬送ベルト71に転写されないおそれがある。ここで、劣化トナー粒子は、逆帯電であるか低帯電量であるかにかかわらず、上述したように、流動性が悪化しているため、他の物体との付着力を高めている。このような劣化トナー粒子は、2つの部材の間に挟み込まれた後に2つの部材が離間する際に、表面摩擦係数のより大きな部材の方に付着する。そこで、本プリンタでは、紙搬送ベルト71として、感光体3よりも表面摩擦係数の大きなものを用いることで、劣化トナー粒子を転写ニップで感光体3表面から紙搬送ベルト71に転移させ易くしている。かかる構成では、トナー強制消費用画像に含まれる劣化トナー粒子のうち、逆帯電トナー粒子のみならず、低帯電量トナーも紙搬送ベルト71に転写して、劣化トナーの回収効率を向上させることができる。
なお、感光体3や紙搬送ベルト71の表面摩擦係数については、オイラーベルト法によって測定することが可能である。オイラーベルト法では、図20に示すように、台座に固定した被検対象301の上に、幅30[mm]、長さ297[mm]にカットした上質紙(リコーType6200)302を乗せる。この上質紙の一端側に重さ100[g]の分銅303を取り付ける。また、もう一方の端部には、デジタルフォースゲージに取り付ける。そして、デジタルフォースゲージを載せている移動ステージ305に対し、レール306上を5[mm/sec]以下の一定速度で移動させる力を加重を付与し、移動ステージ305が移動し始めたときの加重を読み取る。そして、「表面摩擦係数μ=(2/π)×Log(測定荷重/100g)」という公式に基づいて(πは円周率:3.14)、表面摩擦係数μを算出する。なお、ベルトを被検対象とする場合には、ドラム状の筒の周面にベルトを固定する。
本プリンタでは、紙搬送ベルト71として、それ自体が感光体3よりも大きな表面摩擦係数を発揮するものを用いたが、必ずしもかかる構成を採用する必要はない。それ自体の表面摩擦係数が感光体3よりも大きくても、潤滑剤の塗布等により、少なくとも転写ニップ内で紙搬送ベルト71の表面摩擦係数を感光体3よりも大きくすればよいからである。例えば、ドラムクリーニング装置4やベルトクリーニングユニット75として、それぞれクリーニング対象の表面にステアリン酸亜鉛などの潤滑剤を塗布するものを用いる場合には、次のようにすればよい。即ち、ドラムクリーニング装置4による潤滑剤塗布量をベルトクリーニングユニット75による潤滑剤塗布量よりも多くして、転写ニップ内で紙搬送ベルト71の表面摩擦係数を感光体3よりも大きくするのである。また、ドラムクリーニング装置4として潤滑剤塗布機能を有さないものを用いる一方で、ベルトクリーニングユニット75として潤滑剤塗布機能を有するものを用い、その潤滑剤塗布量の調整によって転写ニップ内のベルトの表面摩擦係数を感光体3よりも大きくしてもよい。潤滑剤塗布後の表面摩擦係数についても、潤滑剤塗布後の感光体3や紙搬送ベルト71を被検対象として、オイラーベルト法によって測定することが可能である。
本発明者らは、実際に次のような実験を行った。即ち、ドラムクリーニング装置4やベルトクリーニングユニット75に、それぞれ潤滑剤塗布機構を付設した。この潤滑剤塗布機構は、滑剤としてのステアリン酸亜鉛塊と、クリーニング対象(感光体3又は紙搬送ベルト71)との両方に当接しながら回転するブラシローラと、ステアリン酸亜鉛塊をブラシローラに向けて付勢するバネとを具備している。そして、ブラシローラによってステアリン酸亜鉛塊から掻き取って得たステアリン酸亜鉛粉末を、クリーニング対象に塗布する。かかる潤滑剤塗布機構を、クリーニングブレードとの当接位置よりも下流側でクリーニング対象に当接させた。そして、ブラシローラのブラシ密度、ブラシ剛性、回転速度、バネによるステアリン酸亜鉛塊の付勢力などの調整によって、ドラムクリーニング装置4やベルトクリーニングユニット75によるステアリン酸亜鉛粉末の塗布量を調整した。かかる調整により、ステアリン酸亜鉛粉末塗布後の感光体3の表面摩擦係数が0.1〜0.2(オイラーベルト法による)になるようにした。また、ステアリン酸亜鉛粉末塗布後の紙搬送ベルト71の表面摩擦係数が0.25〜0.35(オイラーベルト法による)になるようにした。かかる条件で、テストプリントを行い、所定のタイミングでトナー強制消費処理を実施したところ、感光体3の表面摩擦係数を紙搬送ベルト71よりも大きくした場合に比べて、ベルトクリーニングユニット75によって劣化トナーを良好に回収することができた。
本プリンタにおいては、トナー強制消費用画像を感光体3の表面移動に伴って転写工程としての転写ニップに進入させる際における転写ニップ内での紙搬送ベルト71の表面移動速度を、感光体3の表面移動速度よりも速くするようになっている。これは次に説明する理由からである。即ち、紙搬送ベルト71と感光体3とに線速差をもたせることで、感光体3上のトナー強制消費用画像のトナー層に対してせん断力を付与する。これにより、感光体3と紙搬送ベルト71との間で、トナーを表面摩擦抵抗のより高い紙搬送ベルト71に追従させて移動させ易くする。これにより、トナー強制消費用画像中のトナー粒子のうち、通常よりも付着力を大幅に高めている劣化トナーを感光体3表面上から紙搬送ベルト71上に機械的に移行させ易くする。更に、感光体3よりも紙搬送ベルト71の表面移動速度を速くしていることから、紙搬送ベルト71への移行の際にベルト表面移動方向に像を引き伸ばすことで、トナーの凝集力を低下させる。これにより、劣化トナー中の逆帯電トナー粒子の静電的な転移を助長する。これらの結果、感光体3表面から紙搬送ベルト71への劣化トナー粒子の転移を促して、トナー強制消費用画像中から劣化トナー粒子をより確実に選別することができる。
本発明者らが、試験機にて実験をおこなったところ、紙搬送ベルト71の表面移動速度に対し、感光体3の表面移動速度を0.2〜2[%]程度低くすることで、劣化トナー粒子の転移を良好に促すことができた。但し、線速差はこの数値範囲に限られるものではない。
なお、本プリンタとは逆に、感光体3の表面移動速度を紙搬送ベルト71の表面移動速度よりも速くすると、転写ニップでトナー強制消費用画像のトナー層を表面移動方向に縮めることになる。すると、トナー層内でのトナー粒子の凝集力を高めて、劣化トナー粒子を却って紙搬送ベルト71に転移させ難くしてしまう。
本プリンタは、画像情報に基づいて感光体3の表面上に形成するトナー像については、現像ユニット7の現像スリーブに−600[V]程度の現像バイアスを印加した状態で現像するようになっている。このような条件では、現像に伴って現像スリーブから感光体3の静電潜像に転移するトナーの静電潜像上における単位面積あたりの付着量(以下、現像トナー量という)が0.5[mg/cm2]程度になる。そして、感光体3の表面上で、3〜5層のトナー層が形成される。かかるトナー層のうち、感光体2の表面に最も近い1層目のトナーは、全層のうちで最も転写され難い状態になっている。通常のトナー像であれば、この1層目のトナーの若干量が転写残トナーとなっても差し支えない。しかし、トナー強制消費用画像の場合には、1層目における劣化トナーを感光体3表面に残すと、それをリサイクルしてしまうため、現像ユニット7内での劣化トナーの蓄積を抑える上で不利になる。
そこで、本プリンタにおいては、トナー強制消費用画像を現像する際における現像トナー量を、画像情報に基づくトナー像を現像する際における現像トナー量よりも少なくするようになっている。具体的には、トナー強制消費用画像を現像する際には、現像スリーブに印加する現像バイアスを−600[V]から−300[V]に下げることで、現像ポテンシャルをより小さくすることで、現像トナー量を半減させている。かかる構成では、トナ強制消費用画像のトナー層数をより少なくすることで、第1層目中の劣化トナー粒子の紙搬送ベルト71への静電的な転移を促す。更に、第1層目中の劣化トナー粒子を紙搬送ベルト71に接触させ易くして、感光体3から紙搬送ベルト71への劣化トナー粒子の機械的な転移も促す。以上の結果、劣化トナー粒子の転移を良好に促すことができる。
図21は、本プリンタの制御部によって実施されるトナー強制処理処理の制御フローを示すフローチャートである。トナー強制消費処理を開始すると、転写手段の一部を構成している制御部は、感光体3、現像ユニット7、転写搬送ユニット70等からなる作像部の駆動を開始する(S1)。このとき、紙搬送ベルト71については、感光体3よりも速い線速で駆動させる(S2)。そして、感光体3の表面を負極性に一様帯電させる帯電処理を帯電装置5に実行させながら、トナー強制消費用画像の前駆体である強制消費用の静電潜像を光書込ユニットによって感光体3に書き込ませる(S3)。このとき、先のトナー強制消費判定処理で算出しておいた出力画像面積に対応する静電潜像を書き込ませる。次いで、現像バイアス電源回路から通常よりも低い値の現像バイアスを出力させた後(S4)、その静電潜像を現像ユニット7に現像させてトナー強制消費用画像を得る(S5)。そして、転写バイアス電源回路から強制消費用転写バイアスを出力させて(S6)、感光体3上のトナー強制消費用画像中の劣化トナーを紙搬送ベルト71上に転移させる(S7)。その後、感光体3表面上に残った未劣化トナーをドラムクリーニング装置4によって除去して現像ユニット7に戻したり、紙搬送ベルト71上の劣化トナーをベルトクリーニングユニット75によって除去して廃トナーボトル内に回収したりするための処理を行う(S8、S9)。そして、作像部の駆動を停止させて、一連の制御フローを終える。
次に、実施形態に係るプリンタに、より特徴的な構成を付加した各実施例のプリンタについて説明する。
まず、後述する各実施例に共通する事項について説明する。後述する各実施例に係るプリンタは、何れもいわゆるタンデム方式によってフルカラー画像を形成するものであり、実施形態に係るプリンタの構成を全て備えている。また、参考形態に係るプリンタの基本構成と同様のものを備えている。
図22は、後述する各実施例に係るプリンタにおけるY用のプロセスユニットを示す拡大構成図である。先に図2に示した参考形態に係るプリンタのY用のプロセスユニットとはユニット全体の形状が少し異なるが、内部構成はほぼ同様になっている。図22における感光体3Y、現像ユニット7Y、帯電装置5Yは、図2におけるものとそれぞれ同様の構成になっている。ドラムクリーニング装置4Yは、クリーニングブレード17Yや回収スクリュウ15Yの他に、回転駆動可能な潤滑剤塗布ブラシローラ18Yや、ステアリン酸亜鉛塊からなる潤滑剤19Yを有している。そして、クリーニングブレード17Yよりも感光体3Y表面移動方向下流側で、潤滑剤塗布ブラシローラ18Yによって潤滑剤19Yから掻き取ったステアリン酸亜鉛粉末を感光体3Y表面に塗布する。この潤滑剤塗布ブラシローラ18Yよりも感光体3Y表面移動方向下流側では、潤滑剤ならしブレードが感光体3Y表面に当接しており、感光体3Yに塗布されたステアリン酸亜鉛粉末を均一にならしている。
図23は、後述する各実施例に係るプリンタにおける各色のプロセスユニット1Y,C,M,Kと、転写ユニット40とを示す拡大構成図である。この転写ユニット40は、次に掲げる点の他が、先に図1に示した参考形態に係るプリンタの転写ユニットと同様の構成になっている。即ち、2次転写ニップの位置では、2次転写ローラの代わりに、2次転写ニップ形成ローラ52が中間転写ベルト41のおもて面に当接して2次転写ニップを形成している。この2次転写ニップ形成ローラ52は、図示のように電気的に接地されている。また、中間転写ベルト41のループ内でベルトを張架している各ローラのうち、2次転写ニップの裏側でベルトをバックアップしているローラが駆動ローラ47となっている。この駆動ローラ47は、2次転写ローラとしての機能も兼ね備えており、2次転写バイアス電源回路205によってトナーの帯電極性と同極性(本例では負極性)の2次転写バイアスが印加される。ベルトの裏側に位置する駆動ローラ47にトナーと同極性の2次転写バイアスが印加されることで、ベルト上のトナー像が、ベルト表面から、接地されている2次転写ニップ形成ローラ52に向けて移動する。これにより、2次転写が実行される。
図24は、Y用のプロセスユニット1Yやその周囲におけるYトナーの流れを説明するための模式図である。現像ユニット7Y内の現像剤のYトナー濃度が目標濃度よりも低下すると、図示しないYトナー供給装置により、Yトナーカートリッジ100Y内のYトナーが現像ユニット7Y内に補給される(図中矢印E)。補給されたYトナーは、現像剤に取り込まれながら、現像ユニット7Y内を循環する。そして、一部のYトナーは、感光体3Y表面上の静電潜像の現像に寄与してYトナー像を構成する。このYトナー像中のYトナーの殆どは1次転写ニップで中間転写ベルト41上に1次転写される。1次転写されなかった若干量の転写残Yトナーは、ドラムクリーニング装置4Yによって感光体3Y表面から除去された後、トナーリサイクル機構16Yによって現像ユニット7Y内に戻される。これにより、転写残Yトナーのリサイクルが図られる。図23に矢印Aで示したように、C,M,K用のプロセスユニット1C,M,Kにおいても、同様にして転写残トナーのリサイクルが図られている。
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト41表面に残留している2次転写残トナーは、ベルトクリーニングユニット42によってベルト表面から除去された後、矢印Cで示すように、図示しない廃トナーボトルに落とし込まれる。
以上のようにして感光体1Y,C,M,K上の転写残トナーのリサイクルを図る各実施例に係るプリンタの構成をより解り易くするために、トナーリサイクル機構を設けていないタンデム方式の画像形成装置について説明しておく。
図26は、同画像形成装置におけるY用のプロセスユニットやその周囲におけるYトナーの流れを説明するための模式図である。同図において、現像ユニット7Y内の現像剤のYトナー濃度が目標濃度よりも低下すると、図示しないYトナー供給装置により、Yトナーカートリッジ100Y内のYトナーが現像ユニット7Y内に補給される(図中矢印E)。補給されたYトナーは、現像剤に取り込まれながら、現像ユニット7Y内を循環する。1次転写ニップで中間転写ベルト41に1次転写されなかった若干量の転写残Yトナーは、ドラムクリーニング装置4Yによって感光体3Y表面から除去された後、矢印Cで示されるように、図示しない廃トナーボトル内に戻される。この転写残Yトナーの中には、未劣化のYトナーも含まれるため、Yトナーの有効利用を行うことができない。
図27は、トナーリサイクル機構を設けていない同画像形成装置における各色のプロセスユニット1Y,C,M,Kと、転写ユニット40とを示す構成図である。図中矢印Cで示すように、Y用のプロセスユニット1Yのみならず、C,M,K用のプロセスユニット1C,M,Kにおいても、感光体3C,M,Kから除去した転写残トナーをリサイクルせずに廃トナーボトルに落とし込むようになっている。このような構成において、トナー強制消費用画像を形成すると、まだ使える未劣化のトナーの無駄な廃棄が大幅に増えて、ランニングコストの増大が深刻になってしまう。
これに対し、後述する各実施例に係るプリンタにおいては、これまで説明してきたように、Y,C,M,Kの各色において、トナー強制消費用画像中の劣化トナー粒子を選択的に回収して廃トナーとする。この一方で、トナー強制消費用画像中の未劣化トナー粒子については、感光体から回収した後、現像ユニットに戻してリサイクル使用するので、未劣化トナーを無駄に廃棄してしまうことによるランニングコストの増大を回避することができる。
図25は、後述する各実施例に係るプリンタの電気回路の要部を示すブロック図である。同図において、制御部200は、演算手段たるCPU(Central Processing Unit)200a、情報記憶手段たるRAM(Random Access Memory)200b及びROM(Read Only Memory)200cなどから構成されている。そして、現像バイアス電源回路203、1次転写バイアス電源回路204、2次転写バイアス電源回路205、帯電バイアス電源回路212、Y,C,M,Kトナー供給装置206Y,C,M,Kなどが接続されている。また、光書込ユニット20、感光体駆動部207、現像スリーブクラッチ208、転写ユニット駆動部209、定着排紙系駆動部210、給紙搬送系駆動部211、定着ユニット60等も接続されている。
[実施例A]
実施例Aに係るプリンタでは、先に図23に示したように、Y,C,M,Kの各色のプロセスユニット1Y,C,M,Kでそれぞれ、必要に応じてトナー強制消費処理を行うようになっている。これらプロセスユニットは、Y,C,M,Kの順で、感光体上のトナー像が中間転写ベルト41に1次転写される。
Y用のプロセスユニット1Yは、各色プロセスユニットのうち、ベルト移動方向において、最も上流側に配設されたものであり、感光体3Y上のトナー像の1次転写工程が各色のうちで最も先になる。つまり、感光体3Yは、トナー像の転写工程が他の感光体3C,M,Kよりも先に行われる潜像担持体である。かかる構成において、感光体3Yに形成されたトナー強制消費用画像から中間転写ベルト41に転移せしめられた劣化トナーは、C,M,K用の1次転写ニップを順次通過してから、ベルトクリーニングユニット42によってベルト表面から除去される。この除去に先立って、C,M,K用の1次転写ニップで、ベルトから感光体3C,M,Kに逆転移してしまうと、ドラムクリーニング装置4C,M,K内で混色を引き起こしてしまう。
また、C用のプロセスユニット1Cは、各色プロセスユニットのうち、感光体3C上のトナー像の1次転写工程が2番目に行われる。つまり、感光体3Cは、トナー像の転写工程が他の感光体3M,Kよりも先に行われる潜像担持体である。かかる構成において、感光体3Cに形成されたトナー強制消費用画像から中間転写ベルト41に転移せしめられた劣化トナーは、M,K用の1次転写ニップを順次通過してから、ベルトクリーニングユニット42によってベルト表面から除去される。この除去に先立って、M,K用の1次転写ニップで、ベルトから感光体3M,Kに逆転移してしまうと、ドラムクリーニング装置4M,K内で混色を引き起こしてしまう。
また、M用のプロセスユニット1Mは、各色プロセスユニットのうち、感光体3M上のトナー像の1次転写工程が3番目に行われる。つまり、感光体3Mは、トナー像の転写工程が他の感光体3Kよりも先に行われる潜像担持体である。かかる構成において、感光体3Mに形成されたトナー強制消費用画像から中間転写ベルト41に転移せしめられた劣化トナーは、K用の1次転写ニップを通過してから、ベルトクリーニングユニット42によってベルト表面から除去される。但し、この除去に先立って、K用の1次転写ニップで、ベルトから感光体3Kに逆転移してドラムクリーニング装置4K内に入り込んだとしても、Kトナーの黒色には殆ど影響を及ぼさない。よって、混色を引き起こすおそれはない。但し、ドラムクリーニング装置4KからK用の現像ユニット7K内に搬送されるため、現像ユニット7K内における劣化トナーの増加抑制を阻害してしまう。
一方、K用のプロセスユニット1Kは、各色プロセスユニットのうち、感光体3K上のトナー像の1次転写工程が最も後に行われる。つまり、感光体3Kは、トナー像の転写工程が他よりも先に行われる潜像担持体ではない。このような感光体3Kでは、その表面に形成されたトナー強制消費用画像から中間転写ベルト41に転移せしめられた劣化トナーが多色のドラムクリーニング装置に入り込むことはない。よって、混色を引き起こさない。
本プリンタは、Y用の感光体3Y上に形成されたY用のトナー強制消費用画像から中間転写ベルト41に転移させた劣化Yトナーを、ベルトの表面移動に伴って下流側のC用の1次転写ニップに進入させる際には、次のようなバイアス調整を行う。即ち、トナーの正規帯電極性と同極性(本例では負極性)のバイアスをC用の1次転写ローラ45Cに印加する。即ち、同極性の電荷を中間転写ベルト41に付与する。これにより、中間転写ベルト41上で正規帯電極性とは逆極性に帯電している劣化YトナーをC用の1次転写ニップ内でベルト表面に引き寄せて、劣化YトナーのC用の感光体3Cへの逆転移を防止する。かかる構成では、C用の現像ユニット7C内でのYトナーの混色を防止することができる。
また、本プリンタは、中間転写ベルト41上の劣化Yトナーや、C用の感光体3Cから中間転写ベルト41に転移させた劣化Cトナーをベルトの表面移動に伴って下流側のM用の1次転写ニップに進入させる際にも、同様のバイアス調整を行う。即ち、トナーの正規帯電極性と同極性のバイアスをM用の1次転写ローラ45Mに印加する。これにより、M用の1次転写ニップ内で劣化Yトナーや劣化Cトナーをベルト表面に引き寄せて、それら劣化トナーのM用の感光体3Mへの逆転移を防止する。かかる構成では、M用の現像ユニット7M内でのYトナーやCトナーの混色を防止することができる。
また、本プリンタは、中間転写ベルト41上の劣化Yトナーや劣化Cトナー、並びに、M用の感光体3Mから中間転写ベルト41に転移させた劣化Mトナーをベルトの表面移動に伴って下流側のK用の1次転写ニップに進入させる際にも、同様のバイアス調整を行う。即ち、トナーの正規帯電極性と同極性のバイアスをK用の1次転写ローラ45Kに印加する。これにより、K用の1次転写ニップ内で劣化Yトナー、劣化Cトナー、劣化Mトナーをそれぞれベルト表面に引き寄せて、それら劣化トナーのK用の感光体3Kへの逆転移を防止する。かかる構成では、それら劣化トナーのK用の現像ユニット7Kへの誤搬送に起因するユニット内での劣化トナーの増加を防止することができる。
なお、より上流側の1次転写ニップで中間転写ベルト41に転移させた劣化トナーをベルト表面移動に伴って下流側の1次転写ニップに進入させる際における1次転写ローラへのバイアスとしては、通常の1次転写時よりも絶対値の小さいものを採用している。具体的には、通常の1次転写時における1次転写バイアスが+30[μA]であるのに対し、前述のバイアスは−20[μA]である。実施形態で説明したように、1次転写ニップ内での放電による劣化トナーの逆帯電を抑える目的からである。
また、より上流側の1次転写ニップで中間転写ベルト41に転移させた劣化トナーをベルト表面移動に伴って下流側の1次転写ニップに進入させる際に、正規帯電極性と同極性のバイアスを1次転写ローラに印加することに代えて、1次転写ローラへのバイアスの印加を中止してもよい(0Vにする)。劣化によって機械的な付着力を高めている劣化トナーは、バイアスによる静電気力を受けなくても、感光体よりも表面摩擦係数の高い中間転写ベルト41に付着し易いため、逆方向の静電気力を受けない限り、感光体に逆転移しないからである。この場合、中間転写ベルト41へのステアリン酸亜鉛粉末の塗布を一時中止して、ベルトの表面摩擦係数を0.5程度といった比較的高い状態にすればよい。
感光体上のトナー強制消費用画像から中間転写ベルト41に転移した劣化トナー粒子の殆どは、正規帯電極性とは逆極性(本例では正極性)に帯電しているkとは既に述べた通りである。一方、感光体の非潜像部である地肌部(一様帯電部)は、トナーの正規帯電極性と同極性に帯電している。より上流側の1次転写ニップで中間転写ベルト41に転移させた劣化トナーをベルト表面移動に伴って下流側の1次転写ニップに進入させる際に、下流側の感光体の地肌部電位が通常の作像時と同じ値であると、逆帯電している劣化トナーを地肌部に静電移動させてしまい易い。
そこで、本プリンタにおいては、より上流側の1次転写ニップで感光体上のトナー強制消費用画像から中間転写ベルト41に転移した劣化トナーがより下流側の1次転写ニップに進入する際には、それに先立つ帯電バイアスの調整によって次のようにする。即ち、より下流側の1次転写ニップにおける感光体の地肌部電位を、画像情報に基づくトナー像を担持する当該感光体におけ地肌部電位よりも低くする。具体的には、より下流側の1次転写ニップにおいて、通常の作像時には地肌部電位を−700[V]程度にしているのに対し、劣化トナーの進入時には地肌部電位を0〜−350[V]程度にする。かかる構成では、下流側の1次転写ニップにおける感光体への劣化トナーの逆転移をより確実に防止することができる。
ところで、Y,C,M,Kの各色トナーのうち、Yトナーが最も混色の影響を受けやすく、多色のトナーが僅かに混入しただけでも、色調が大きく変化してしまう。そこで、本プリンタにおいては、Yトナー像を形成するためのY用の感光体3Yを、各色の感光体のうちでトナー像の転写工程が最も先に行われる位置である最上流側の1次転写ニップの位置に配設している。この位置では、多色のトナー像や劣化トナーが進入しないため、Y用の現像ユニット7Yにおける多色のトナー像の混色を回避する。これにより、混色に起因する形成画像の色調の乱れを抑えることができる。
また、本プリンタにおいては、Kトナー像を形成するためのK用の感光体3Kを、各色の感光体のうちでトナー像の転写工程が最も後に行われる位置である最下流側の1次転写ニップの位置に配設している。上述したように、Kトナーに対する多色トナーの混入はKの色調に影響を与え難いからである。よって、かかる構成により、混色に起因する形成画像の色調の乱れを更に抑えることができる。
また、本プリンタは、ジャムなどの異常の発生に伴ってプリントジョブ(画像形成動作)を中断した後、動作を復帰する際には、転写ユニット40の上述した第1ブラケットの動作により、Y,C,M用の感光体3Y,C,Mから中間転写ベルト41を離間させる。そして、この状態で中間転写ベルト41上のトナーをベルトクリーニングユニット42によって除去する。これは次に説明する理由からである。即ち、異常停止の際に、感光体上のトナー強制消費用画像から転移した劣化トナーが中間転写ベルト41に付着していることがある。復帰動作の際には、試運転のためにバイアス等を印加しない状態でベルト等を所定時間駆動するのが一般的であるが、この際、劣化トナーがより下流側の1次転写ニップで感光体に逆転移するおそれがある。そこで、復帰動作の際には、感光体3Y,C,Mから中間転写ベルト41を離間させるのである。K用の感光体3Kについては、中間転写ベルト41に当接させたままであるが、Kは上述したように混色の影響を殆ど受けないので差し支えない。かかる構成では、復帰動作時における劣化トナーの混色の発生を回避することができる。
なお、本プリンタでは、復帰動作時にY,C,M用の感光体3Y,C,Mから中間転写ベルト41を離間させるようになっているが、少なくとも、最上流側の感光体、及び最下流側の感光体からベルトを離間させれば混色の発生を回避することができる。また、最下流側にK以外の感光体を配設する場合には、最下流側の感光体からもベルトを離間させることが望ましい。最上流側の感光体については、混色のおそれがないので、離間させる必要はない。
[実施例B]
実施例Bに係るプリンタにおいては、中間転写ベルト41をY,C,M,K用の感光体3Y,C,M,Kに対してそれぞれ独立して接離させることが可能なベルト接離ユニットを備えている。そして、より上流側の1次転写ニップで感光体上のトナー強制消費用画像から中間転写ベルト41に転移させた劣化トナーをベルト表面移動に伴ってより下流側の1次転写ニップに進入させるのに先立って、その1次転写ニップにおける感光体から中間転写ベルト41を離間させる。これにより、より下流側の1次転写ニップを解除する。具体的には、例えば、最も上流側に位置するY用の感光体3Y上のトナー強制消費用画像から中間転写ベルト41に劣化Yトナーを転移させた場合には、その劣化YトナーをC用の1次転写ニップに進入させるのに先立って、C,M,K用の感光体3C,M,Kから中間転写ベルト41を離間させる。また、C用の感光体3C上のトナー強制消費用画像から中間転写ベルト41に劣化Cトナーを転移させた場合には、その劣化CトナーをM用の1次転写ニップに進入させるのに先立って、M,K用の感光体3M,Kから中間転写ベルト41を離間させる。また、M用の感光体3M上のトナー強制消費用画像から中間転写ベルト41に劣化Mトナーを転移させた場合には、その劣化MトナーをK用の1次転写ニップに進入させるのに先立って、K用の感光体3Kから中間転写ベルト41を離間させる。なお、Y,C,M,K用のトナー強制消費用画像については、同時に形成せずに、互いにタイミングをずらして形成するようになっている。
かかる構成においては、より上流側の1次転写ニップで中間転写ベルト41上に転移させた劣化トナーの下流側の1次転写ニップにおける感光体への逆転移を回避することができる。
[実施例C]
実施例Cに係るプリンタにおいては、各色の感光体3Y,C,M,Kのうち、Kトナー像を形成するためのK用の感光体3Kにだけトナー強制消費用画像を形成して、そのトナー強制消費用画像中に含まれる劣化Kトナーを中間転写ベルト41に転移させるようにしている。既に何度も説明しているように、Kトナーは多色トナーの混入による色調の変化をきたし難いので、Kトナーについてだけ劣化トナーを回収するようにすることで、劣化トナーの混色による画像の色調変化をきたすことなく、現像ユニット7K内における劣化トナーの増加を抑えることができる。
[実施例D]
本プリンタにおいては、最下流側に配設されたK用の感光体3K、及び、最上流側に配設されたY用の感光体3Y、だけにトナー強制消費用画像を形成して、それぞれのトナー強制消費用画像中の劣化トナーを中間転写ベルト41に転移させるようになっている。かかる構成では、劣化Kトナーを多色用の現像ユニット内に混入させることによる画像の色調の乱れを回避することができる。また、最下流側の1次転写ニップをK用のニップにしていることで、最下流側の1次転写ニップで多色の劣化トナーを感光体に逆転移させることによる画像の色調の乱れを抑えることもできる。更には、最上流側のY用の現像ユニット7Y内における劣化トナーの増加を効率よく抑えることができる。具体的には、最上流側の1次転写ニップで中間転写ベルト41に転写するトナー像は、各色の重ね合わせのうちで最も下側になるため、その色調が他のトナー像に比べて視認され難くなる。そこで、最上流側のプロセスユニットについては、他のプロセスユニットよりも現像トナー量を多くするのが一般的である。そして、転写残トナーが他のプロセスユニットよりも多く発生することから、リサイクルによる劣化トナーの増加率も他のプロセスユニットよりも高くなる。そこで、最上流側の感光体3Yから劣化トナーを中間転写ベルト41に転移させて最終的に廃トナーボトルに回収することで、他の感光体から劣化トナーを回収する場合に比べて、現像ユニット7Y内における劣化トナーの増加を効率よく抑えることができるのである。
これまで、2成分現像方式を採用したプリンタについて説明してきたが、トナーの劣化は、非磁性1成分現像方式や磁性1成分現像方式の画像形成装置でも発生する。よって、それらの現像方式を採用した画像形成装置にも、本発明の適用が可能である。
また、紙搬送ベルト方式や中間転写ベルト方式のプリンタについて説明してきたが、トナー強制消費用画像中の劣化トナーを転写手段に転移させ得る構成であれば、他の方式の画像形成装置にも本発明の適用が可能である。例えば、モノクロの画像形成装置において、感光体に当接する転写ローラに対してトナー強制消費用画像中の劣化トナーを転移させるようにするとともに、その劣化トナーをローラクリーニング装置によって転写ローラから除去するようにしてもよい。
以上、参考形態に係るプリンタや各参考例に係るプリンタにおいては、転写手段たる転写ユニット40として、画像情報に基づく感光体上のトナー像を表面無端移動体たる中間転写ベルト41の表面に転写した後、ベルトとこれに当接する当接部材たる2次転写ローラ50とによって形成される2次転写ニップ内に挟み込んだ記録紙にベルト表面上のトナー像を再転写するものを用いている。かかる構成では、各感光体上のY,C,M,Kトナー像をベルト表面に保持した記録紙に直接重ね合わせて転写する方式とは異なり、先に図1に示したように、記録紙Pを各感光体3Y,C,M,Kと中間転写ベルト41との対向部に搬送する必要がない。このため、記録紙Pの装置内における搬送経路のレイアウト自由度を向上させることができる。
また、第1参考例に係るプリンタでは、当接部材たる2次転写ローラ50を表面無端移動体たる中間転写ベルト41の表面に接離させる接離手段を設けている。そして、少なくともベルト表面上のトナー強制消費用画像が2次転写ニップを通過するタイミングでは2次転写ローラ50をベルト表面から離間させる制御を実施するように、制御手段たる制御部200を構成している。かかる構成では、上述したように、トナー強制消費用画像を2次転写ローラ50に逆転移させることによる記録紙Pの裏汚れの発生を回避することができる。
また、第2参考例に係るプリンタにおいては、転写ニップたる2次転写ニップ内に電界を形成する電界形成手段たる2次転写バイアス電源205を設けるとともに、少なくとも中間転写ベルト41の表面に転写された画像情報に基づくトナー像が2次転写ニップを通過するタイミングではトナーをベルト表面側から2次転写ローラ50側に向けて静電移動させる順方向の2次転写電界を形成する一方で、少なくともベルト表面上のトナー強制消費用画像が2次転写ニップを通過するタイミングではトナーを2次転写ローラ50側からベルト表面側に向けて静電移動させる逆電界を形成する制御を実施するように、制御手段たる制御部200を構成している。かかる構成においては、2次転写ローラ50を中間転写ベルト41に接離させる接離手段を設けることによる装置の大型化を回避しつつ、トナー強制消費用画像を2次転写ローラ50に逆転移させることによる記録紙Pの裏汚れの発生を回避することができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、トナーの正規帯電極性と同極性の電荷を記録部材保持体たる紙搬送ベルト71に付与する際には、トナーの帯電極性とは逆極性の電荷を紙搬送ベルト71に付与する際よりも電荷付与量を少なくするように、転写手段たる転写搬送ユニット70を構成している。かかる構成では、既に説明したように、転写ニップ内での放電に起因する劣化トナー粒子のリサイクルや、未劣化トナー粒子の無駄な廃棄の発生を抑えることができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、感光体3と紙搬送ベルト71とが当接する転写ニップ内において、紙搬送ベルト71の表面摩擦係数が感光体3の表面摩擦係数以上になっている。かかる構成では、既に説明したように、トナー強制消費用画像に含まれる劣化トナー粒子のうち、逆帯電トナー粒子のみならず、低帯電量トナーも紙搬送ベルト71に転写して、劣化トナーの回収効率を向上させることができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、トナー強制消費用画像を感光体3の表面移動に伴って転写搬送ユニット70による転写工程である転写ニップに進入させる際における紙搬送ベルト71の表面移動速度を、感光体3の表面移動速度以上にする。かかる構成では、既に説明したように、感光体3表面から紙搬送ベルト71への劣化トナー粒子の転移を促して、トナー強制消費用画像中から劣化トナー粒子をより確実に選別することができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、トナー強制消費用画像を現像する際における感光体3に対するトナー強制消費用画像の単位面積あたりのトナー付着量を、画像情報に基づくトナー像を現像する際における感光体3に対するトナー像の単位面積あたりのトナー付着量よりも少なくするようになっている。かかる構成では、既に説明したように、感光体3上のトナー強制消費用画像に含まれる劣化トナー粒子の紙搬送ベルト71への静電的な転移を促すとともに、機械的な転移も促すことで、劣化トナーの回収効率を向上させることができる。
また、実施形態の実施例Aに係るプリンタにおいては、感光体と現像ユニットとの組合せを具備するプロセスユニットを複数設けている。そして、それぞれの感光体3Y,C,M,Kの表面上で現像されたY,C,M,Kトナー像を転写担持体である中間転写ベルト41に重ね合わせて転写し、且つ、各色の感光体のうち、他の感光体よりもトナー像の転写工程が先に行われる感光体3Y,C,Mの表面上のトナー強制消費用画像から中間転写ベルト41に転移させた劣化トナーを、中間転写ベルト41の表面移動に伴って他の潜像担持体たるより下流側の感光体との対向位置(より下流側の1次転写ニップ)に進入させる際に、その対向位置で中間転写ベルト41にトナーの正規帯電極性と同極性の電荷を付与するように、転写手段たる転写ユニット40を構成している。かかる構成では、既に説明したように、中間転写ベルト41上の劣化トナーをより下流側の1次転写ニップで感光体に逆転移させることに起因する混色、ひいては画像の色調の乱れを抑えることができる。
また、実施例Aに係るプリンタにおいては、トナー強制消費用画像から中間転写ベルト41に転移した劣化トナーがより下流側の1次転写ニップに進入する際の、当該1次転写ニップにおける感光体の非潜像部の表面電位である地肌部電位を、画像情報に基づくトナー像を担持する感光体における地肌部電位よりも低くするようになっている。かかる構成では、既に説明したように、下流側の1次転写ニップにおける感光体への劣化トナーの逆転移をより確実に防止することができる。
また、実施形態の実施例Bに係るプリンタにおいては、感光体と現像ユニットとの組合せを具備するプロセスユニットを複数設けている。そして、それぞれの感光体の表面上で現像されたY,C,M,Kトナー像を中間転写ベルト41に重ね合わせて転写し、且つ、それら感光体のうち、他の感光体よりもトナー像の転写工程が先に行われる感光体3Y,C,M、の表面上のトナー強制消費用画像から中間転写ベルト41に転移させた劣化トナーを、中間転写ベルト41の表面移動に伴ってより下流側の転写ニップに進入させるのに先立って、中間転写ベルト41を感光体3C,Mから離間させるように、転写ユニット40を構成している。かかる構成では、既に説明したように、より上流側の1次転写ニップで中間転写ベルト41上に転移させた劣化トナーの下流側の1次転写ニップにおける感光体への逆転移を回避することができる。
また、実施例Aや実施例Dに係るプリンタにおいては、複数の感光体のうち、少なくとも、トナー像の転写工程が最も先に行われるY用の感光体3Yにトナー強制消費用画像を形成して、そのトナー強制消費用画像中の劣化トナーを中間転写ベルト41に転移させるようにしている。かかる構成では、既に説明したように、他の感光体から劣化トナーを回収する場合に比べて、現像ユニット内における劣化トナーの増加を効率よく抑えることができる。
また、実施例Aに係るプリンタにおいては、Yトナー像を形成するためのY用の感光体3Yを、複数の感光体のうちでトナー像の転写工程が最も先に行われる最上流側の位置に配設している。かかる構成では、既に説明したように、Yトナーに多色のトナーを混色させることによる形成画像の色調の乱れを回避することができる。
また、実施例Aに係るプリンタにおいては、Kトナー像を形成するためのK用の感光体3Kを、複数の感光体のうちでトナー像の転写工程が最も後に行われる最下流の位置に配設している。かかる構成では、既に説明したように、感光体3Kを他の位置に配設する場合に比べて、混色に起因する形成画像の色調の乱れを抑えることができる。
また、実施形態の実施例Cに係るプリンタにおいては、複数の感光体のうち、Kトナー像を形成するためのK用の感光体3Kにだけトナー強制消費用画像を形成して、そのトナー強制消費用画像中のトナーを中間転写ベルト41に転移させるようになっている。かかる構成では、既に説明したように、劣化トナーの混色による画像の色調変化をきたすことなく、現像ユニット7K内における劣化トナーの増加を抑えることができる。
また、実施形態の実施例Dに係るプリンタにおいては、Kトナー像を形成するためのK用の感光体3Kを、複数の感光体のうちでトナー像の転写工程が最も後に行われる最下流側の位置に配設し、K用の感光体3K、及び、複数の感光体のうちでトナー像の転写工程が最も先に行われる最上流側の位置に配設されたY用の感光体3Y、だけにトナー強制消費用画像を形成して、それらトナー強制消費用画像中の劣化トナーを中間転写ベルト41に転移させるようにしている。かかる構成では、既に説明したように、劣化Kトナーを多色用の現像ユニット内に混入させることによる画像の色調の乱れを回避することができる。最下流側の1次転写ニップで多色の劣化トナーを感光体に逆転移させることによる画像の色調の乱れを抑えることもできる。更には、最上流側のY用の現像ユニット7Y内における劣化トナーの増加を効率よく抑えることができる。
また、実施例Aに係るプリンタにおいては、異常の発生に伴って画像形成動作を中断した後、動作を復帰する際には、少なくとも、複数の感光体のうちでトナー像の転写工程が最も先に行われるK用の感光体3Kでなく且つトナー像の転写工程が最も後に行われるY用の感光体3Yでもない、C,M用の感光体3C,Mと、中間転写ベルト41とを離間させた状態で、中間転写ベルト41上のトナーを転写後トナー除去手段たるベルトクリーニングユニットによって除去するようにしている。かかる構成では、既に説明したように、復帰動作時における劣化トナーの混色の発生を回避することができる。