以下、本発明のいくつかの実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明は、排出トナー像を担持した搬送体が通過する転写部に、搬送体へトナー像を転写する際よりも低い電圧が印加される限りにおいて、各実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
従って、中間転写ベルトに担持されたトナー像を記録材へ一括転写する中間転写ベルト方式に限らず、記録材搬送ベルトに担持された記録材にトナー像を順次転写して重ね合わせる直接転写方式でも実施できる。
本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
なお、特許文献1〜3に示される画像形成装置及び劣化トナーの排出制御に関する一般的な事項については、図示を省略して重複する説明を省略する。説明中、特許請求の範囲で用いた構成名に括弧を付して示した参照記号は、発明の理解を助けるための例示であって、実施形態中の該当する部材等に構成を限定する趣旨のものではない。
<上流側及び下流側像形成手段>
図1は第1実施形態の画像形成装置の構成の説明図、図2は画像形成部の構成の説明図、図3は帯電装置の構成の説明図、図4は現像装置の構成の説明図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、中間転写ベルト5に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部PY、PM、PC、PKを配置したタンデム型中間転写方式のフルカラー複写機である。画像形成装置100は、接触帯電方式、転写ローラ方式、二成分接触現像方式、及びクリーナレス方式を採用している。
上流側像形成手段の一例である画像形成部PYでは、上流側像担持体の一例である感光ドラム4Yにイエロートナー像が形成されて、搬送体の一例である中間転写ベルト5に一次転写される。下流側像形成手段の一例である画像形成部PMでは、下流側像担持体の一例である感光ドラム4Mにマゼンタトナー像が形成されて、中間転写ベルト5のイエロートナー像に重ねて一次転写される。画像形成部PC、PKでは、それぞれ感光ドラム4C、4Kにシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて、同様に中間転写ベルト5のトナー像に位置を重ねて順次一次転写される。
中間転写ベルト5に一次転写された四色のトナー像は、記録材カセット6から1枚ずつ引き出されて二次転写部eへ給送された記録材Pへ一括二次転写される。二次転写部eでトナー像を二次転写された記録材Pは、定着装置7で加熱加圧を受けて表面にトナー像を定着された後に、排出トレイへ排出される。
画像形成部PY、PM、PC、PKは、それぞれ用いるトナーの色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外は、ほぼ同一に構成されている。以下では、画像形成部PY、PM、PC、PKの区別を表す符号末尾のY、M、C、Kを取り除いて表した図2を参照して、像形成手段としての画像形成部の詳細な構成を説明する。
図2に示すように、画像形成部Pは、感光ドラム4の周囲に、帯電ローラ8、露光装置2、現像装置3、一次転写ローラ53、補助帯電ブラシ10、及び帯電ブラシ11を配置している。
(a)像担持体
像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体である感光ドラム4は、外径30.6mmで、導電性ドラム基体の表面に帯電特性が負帯電性の有機光導電体(OPC)を塗布して形成される。感光ドラム4は、中心支軸を中心にして135mm/secのプロセススピード(周速度)をもって矢印方向に回転駆動される。
図3に示すように、感光ドラム4は、アルミニウム製シリンダ(導電性ドラム基体)4aの表面に、下引き層4b、光電荷発生層4c、及び電荷輸送層4dの3層を下から順に塗り重ねて構成される。下引き層4bは、光の干渉を抑えて上層の接着性を向上させる。電荷輸送層4dは、厚さ約20μmである。
(b)帯電手段
感光ドラム4を接触帯電処理する帯電手段としての帯電ローラ8は、感光ドラム4に圧接させた帯電回転体としての導電性・弾性ローラである。帯電ローラ8は、支持部材としての芯金8aの外回りに、下層8b、中間層8c、及び表層8dを下から順次に積層した3層構成である。下層8bは、帯電音を低減するための発泡スポンジ層(弾性層)である。表層8dは、感光ドラム1上にピンホールなどの欠陥がある場合にもリークが発生するのを防止するために設けられた保護層である。
帯電ローラ8は、感光ドラム4の軸線と平行に配置され、芯金8aの両端部を、それぞれ不図示の軸受け部材によって回転自在に保持される。帯電ローラ8は、押圧ばね8eによって感光ドラム4に向かって付勢されることにより、感光ドラム4の表面に対して所定の押圧力をもって圧接される。
帯電ローラ8は、感光ドラム4の回転に従動して回転する。感光ドラム4と帯電ローラ8との圧接部(接触部)が帯電部(帯電ニップ部)aである。
帯電ローラ8の芯金8aには、電源S1より所定の条件の帯電バイアス電圧が印加される。これにより、回転する感光ドラム4表面は、所定の極性・電位に接触帯電処理される。帯電ローラ8に対する帯電バイアス電圧は、直流電圧Vdcと交流電圧Vacとを重畳した振動電圧である。より具体的には、−500Vの直流電圧と、周波数1.3kHz、ピーク間電圧Vpp1.5kVの正弦波の交流電圧とを重畳した振動電圧である。これにより、回転している感光ドラム4の表面は、帯電ローラ8に印加した直流電圧と同じ−500V(暗部電位VD)に一様に帯電される。
(c)情報書き込み手段
図2に示すように、感光ドラム4に静電潜像を形成する情報書き込み手段としての露光装置2は、半導体レーザを用いたレーザビームスキャナである。露光装置2は、各色の分解色画像を展開した走査線画像データをON−OFF変調したレーザービームを回転ミラーで走査して、帯電した感光ドラム4の表面に各色画像の静電像を書き込む。
露光装置2は、画像読取装置(101:図1)等のホスト処理装置から送られた画像信号に対応して変調されたレーザビームLを出力して、感光ドラム4の露光部bを走査露光(イメージ露光)する。感光ドラム4の表面のレーザビームLで照射された部分が明部電位VLに電位低下して、画像情報に対応した静電像が順次に形成される。
(d)現像手段
静電像をトナー像に現像する現像手段としての現像装置3は、二成分現像剤の磁気ブラシを感光ドラム4に接触させる二成分接触現像方式である。
図4に示すように、現像容器3aは、非磁性トナーを磁性キャリアに混合した二成分現像剤3eを収容しており、現像容器3a内の底部側には、現像剤攪拌部材3fが配設されている。現像剤攪拌部材3fは、二成分現像剤を攪拌して、非磁性トナーを負極性に、磁性キャリアを正極性にそれぞれ帯電させる。
非磁性の現像スリーブ3bは、外周面の一部を現像装置3の外部に露呈させて、現像容器3a内に回転可能に配置され、現像スリーブ3b内には、非回転に固定してマグネットローラ3cが挿設される。現像スリーブ3bは、感光ドラム4との最近接距離(S−Dgap)を350μmに保持して感光ドラム4に近接対向配設され、感光ドラム4の回転進行方向とは逆方向に回転駆動される。
現像スリーブ3b内のマグネットローラ3cの磁力によって、現像容器3a内の二成分現像剤3eの一部が現像スリーブ3bの外周面に磁気ブラシ層として吸着保持される。現像スリーブ3bに吸着保持された二成分現像剤は、現像剤コーティングブレード3dによって所定の薄層に整層され、感光ドラム4との対向部(現像部c)において、感光ドラム4に接触して適度に摺擦する。
電源S2は、直流電圧Vdcに交流電圧Vacを重畳した現像バイアス電圧を現像スリーブ3bに印加する。具体的には、−350Vの直流電圧Vdcに、周波数8.0kHz、ピーク間電圧Vpp1.8kVの矩形波の交流電圧を重畳した振動電圧が印加される。
これにより、現像部cに搬送された二成分現像剤3e中の非磁性トナーが、現像バイアス電圧の電界に応答して、感光ドラム4の表面の静電像に選択的に付着して、静電像がトナー像に現像される。感光ドラム4の表面の明部電位VLにトナーが付着して、静電像が反転現像される。現像部cを通過して現像スリーブ3bに残った二成分現像剤は、引き続く現像スリーブ3bの回転に伴って現像容器3a内の現像剤溜り部に戻される。
現像容器3aには、補給用トナーが収容された不図示のトナーホッパーが連結されて、現像に伴って消費した非磁性トナーはトナーホッパーから自動的に補充される。現像容器3a内の二成分現像剤3eのトナー濃度が、不図示の光学式トナー濃度センサによって検知される。制御部101は、現像容器3a内の二成分現像剤3eのトナー濃度を略一定範囲に維持するように、光学式トナー濃度センサの検知情報に応じてトナーホッパーを駆動制御する。トナーホッパーから補給されたトナーは、現像剤攪拌部材3fにより、現像容器3a内の二成分現像剤3eに攪拌混合される。
(e)転写部材・定着装置
図1に示すように、中間転写ベルト5は、テンションローラ51、駆動ローラ52、及びバックアップローラ56に掛け渡して支持され、所定のプロセススピードで矢印R2方向に回転する。
ベルトクリーニング装置55は、中間転写ベルト5にクリーニングブレードを常時当接して配置され、二次転写部eを通過した中間転写ベルト5に付着した転写残トナー、制御用トナー像、及び排出トナー像をクリーニングする。
図2に示すように、転写部材の一例である一次転写ローラ53は、中間転写ベルト5を介して感光ドラム4に向かって付勢されて、感光ドラム4と中間転写ベルト5との間に一次転写部dを形成する。電源S3は、一次転写ローラ53に出力する電圧を変更して出力可能である。電源S3は、一次転写ローラ53に正極性の転写バイアスを印加して、負極性に帯電して感光ドラム4に担持されたトナー像を中間転写ベルト5へ静電的に移転させる。感光ドラム4に形成された各色トナー像は、各色の一次転写部dで順次中間転写ベルト5に一次転写して重ね合わされ、中間転写ベルト5の回転に伴って二次転写部eまで搬送される。
一方、記録材カセット6からは記録材Pが1枚ずつ引き出されて待機しており、中間転写ベルト5上のトナー像の搬送位置に対応させた所定の制御タイミングにて二次転写部eへ給送される。
転写部材の一例である二次転写ローラ57は、中間転写ベルト5を介してバックアップローラ56に向かって付勢されて、二次転写ローラ57と中間転写ベルト5との間に二次転写部eを形成する。電源S6は、二次転写ローラ57に正極性の転写バイアスを印加して、負極性に帯電して中間転写ベルト5に担持された各色トナー像を記録材Pへ静電的に移転させる。
定着手段の一例である定着装置7は、回転自在に配設されてハロゲンランプヒータ73を用いて中心から加熱される定着ローラ71に、回転駆動される加圧ローラ72を圧接して構成される。ハロゲンランプヒータ73は、定着ローラ71の表面温度が所定範囲となるように印加される電圧等を制御されている。定着装置7は、各色のトナー像を一括二次転写された記録材Pを受け入れて加熱加圧しつつ搬送して、記録材Pの表面にトナー像を定着させる。記録材Pは、定着ローラ71と加圧ローラ72との間を通過する際に表裏両面からほぼ一定の圧力、温度で加圧、加熱されることにより、記録材表面の未定着トナー像が溶融して定着され、記録材Pにフルカラー画像が形成される。
(f)クリーナレスシステム
図1に示すように、クリーナレス方式の画像形成部PY、PM、PC、PKは、感光ドラム4Y、4M、4C、4Kにクリーニングブレードを摺擦しないので、電荷輸送層(4d:図3)の寿命が長くなる。また、クリーニング装置を配置しない分、感光ドラム4Y、4M、4C、4Kの周囲の機器配置の自由度が高まり、画像形成部PY、PM、PC、PKの小型化に有利である。さらに、転写残トナーが次工程以降の静電像の現像に再利用されるため廃トナーをなくすことができ、メンテナンス時に手を煩わせることを少なくするなどユーザビリティにも優れる。
図2に示すように、画像形成部Pは、一次転写部dを通過した感光ドラム4の表面に若干量残留する転写残トナーを除去するための専用のクリーニング装置を設けないクリーナレス方式を採用している。一次転写部dを通過した感光ドラム4表面の転写残トナーは、引き続く感光ドラム4の回転に伴って帯電部a、露光部bを通って現像部cに搬送され、現像装置3が実行する現像同時クリーニングによって除去・回収される。
現像同時クリーニングは、転写工程後の感光ドラム4上の転写残トナーを、次工程以降の現像工程時に現像装置3に回収する。転写残トナーが付着した感光ドラム4を引き続き帯電、露光して静電像を形成する。そして、静電像の現像工程時にかぶり取りバイアスVbackによって、感光ドラム4表面に残余した転写残トナーのうち、現像されるべきでない部分(暗部電位VD)上に存在する転写残トナーを現像装置3に除去・回収する。かぶり取りバイアスVbackとは、現像装置3に印加する直流電圧Vdcと感光ドラム4の暗部電位VD間の電位差である。
現像スリーブ3bは、現像部cにおいて感光ドラム4の表面の進行方向とは逆方向に回転しているので、感光ドラム4の転写残トナーの回収に有利である。また、露光装置2は、転写残トナーが付着したまま露光部bを通る感光ドラム4を走査露光するが、通常は、転写残トナーの量が少ないため、転写残トナーに遮光されることによる大きな影響は現れない。
しかし、一般的に、一次転写部dで中間転写ベルト5に一次転写されなかった転写残トナーには、帯電極性が逆極性のもの(反転トナー)や帯電量が少ないもの(未帯電トナー)が混在している。反転トナーや未帯電トナーは、帯電部aを通過する過程で帯電ローラ8に付着し易く、帯電ローラ8に許容量を越えて付着すると、絶縁層を形成して帯電不良を生じる可能性がある。
また、負極性の暗部電位VDに帯電した感光ドラム4から現像スリーブ3bへ静電的に移転して現像装置3へ回収されるのは、負極性の適正な帯電量に帯電した転写残トナーに限定される。帯電極性が正規極性であって、感光ドラム4の静電像を適正に現像できる範囲の帯電量であることが好ましい。転写残トナーの帯電極性が正極性に反転している場合や帯電量が不適正(過剰又は不足)な場合、感光ドラム4から転写残トナーを除去・回収できず、不良画像の原因となる可能性がある。
そこで、画像形成装置100は、トナー帯電補助手段の一例である帯電補助ブラシ10とトナー帯電手段の一例である帯電ブラシ11とを設けて、感光ドラム4に付着した転写残トナーの帯電状態を適正範囲に制御している。
残留現像剤像均一化手段の一例である帯電補助ブラシ10は、電源S4から正極性の電圧を印加されて、一次転写部dを通過した感光ドラム1aの表面に付着した転写残トナーを一度除電して帯電状態を均一化する。
現像剤帯電量制御手段の一例である帯電ブラシ11は、電源S5から負極性の電圧を印加されて、感光ドラム1aの表面に付着した転写残トナーの帯電状態を正規極性である負極性で所定範囲の帯電量に帯電処理する。
これにより、帯電ローラ8への転写残トナーの付着防止を達成すると同時に現像装置3での転写残トナーの除去・回収効率を高めることができ、転写残トナーに起因するゴースト像の発生も抑制できる。
帯電補助ブラシ10及び帯電ブラシ11は、適度の導電性を持ったブラシ部材であり、ブラシ部を感光ドラム4の表面に接触させて配設される。
帯電補助ブラシ10は、感光ドラム4の表面に接触部fを形成し、電源S4より正極性の+250Vの直流電圧が印加される。帯電ブラシ11は、感光ドラム4の表面に接触部gを形成し、電源S5より負極性の−750Vの直流電圧が印加される。接触部f、gを通過することによって、転写残トナーは、現像装置3で回収可能な適正な帯電極性及び帯電量に調整される。
<劣化トナー排出モード>
二成分現像方式を用いる現像装置内では、トナー粒子と磁性キャリアとが攪拌されることによってトナー粒子が劣化して現像性が悪化する。この現象は、例えば白紙や文字画像などの比較的濃度の低い画像が連続して作像された場合などに顕著である。現像に使用されなかったトナー粒子は、現像器装置内に長期間残留して磁性キャリアと攪拌され続けることで劣化が促進され、徐々に現像性が悪化する。そこで、画像形成装置100では、劣化したトナー粒子を定期的に排出する制御を行う。ある一定以下の画像濃度が連続して作像された場合に、あらかじめ設定された画像濃度と略等しい量のトナー粒子を強制的に現像装置内から排出する制御を自動的に行う。これにより、長期間使用されずに現像装置内に残留して劣化したトナー粒子が定期的に排出されて新しいトナー粒子に入れ替えられるため、劣化したトナーによる画像不良を低減して良好な画像を出力できる。
図1に示すように、クリーナレス方式の画像形成部PY、PM、PC、PKを備えた画像形成装置100は、感光ドラム4Y、4M、4C、4Kに同時並行的に排出トナー像を形成して中間転写ベルト5に一次転写する。
図4に示すように、通常の画像形成時において白紙や文字画像のように画像比率の低い画像が連続して形成された場合、現像装置3で消費されるトナー量が少なくなる。このとき、画像形成に消費されなかったトナー粒子は、現像装置3内で現像剤攪拌部材3fによって画像形成動作中に継続して磁性キャリアと共に攪拌され続けるため、徐々にトナー粒子の劣化が進行する。トナー粒子の劣化とは、予め帯電制御等の目的でトナー粒子の表面に外添された外添剤が遊離したり、トナー粒子の表面性が変化したりすることを指している。トナー粒子が劣化すると、トナー粒子の帯電性が低下して、結果として画像形成における現像性が悪化することになる。
そこで、制御部101は、低画像比率の画像形成が連続して行われた場合、消費されずに現像装置3内に留まっているトナー粒子を強制的に現像装置3から感光ドラム4へ排出する制御を行う。
すなわち、画像比率の積算値から求められる平均画像比率が予め設定された低画像比率を判断するしきい値未満であった場合、通常の画像形成動作が終了した後回転動作時に劣化トナー排出モードを実行する。露光装置3を制御して、消費量の不足分に対応する時間だけアナログベタ画像の静電像を感光ドラム4に書き込んで現像装置3により現像することで、劣化したトナー粒子を感光ドラム4に排出させる。画像比率は、A4サイズ横送りの画像領域に対して実際に画像が形成される領域の比率で定義し、低画像比率を判断するしきい値は2%とした。
排出トナー像の静電像の書き込み時間は、実際の画像形成動作における平均画像比率と予め設定された低画像比率を判断するしきい値との差分から算出される。例えば、画像比率1.5%の画像形成が連続した場合、しきい値2%との差分である0.5%に当たるトナー量を消費する長さの排出トナー像が感光ドラム4に形成されるように書き込み時間が設定される。
アナログベタ画像として形成された排出トナー像は、通常画像形成と同様に、一次転写部dで中間転写ベルト5に一次転写されて二次転写部eへ搬送される。しかし、劣化トナー排出モードでは、二次転写部eへ記録材を給送せず、排出トナー像を担持した中間転写ベルト5を、二次転写ローラ57を下方へ離間させた二次転写部eを通過させる。あるいは、二次転写部eを通常画像形成時と同様に当接状態に保ち、通常画像形成時とは逆極性の転写バイアスを印加する。
これにより、画像形成部PY、PM、PC、PKによりそれぞれ形成されて中間転写ベルト5に一次転写された各色の排出トナー像がベルトクリーニング装置55で全量回収される。
<排出トナー像に起因する混色>
現像同時クリーニングを行う画像形成部では、転写残トナーを除去するクリーニング装置が無い。このため、上流側の第1像形成手段からのトナーが下流側の異なる色の第2像形成手段に回収されることとなり、第2像形成手段が下流になるに従ってトナーの混色が発生してしまう。現像同時クリーニングの場合は回収したトナーを再利用するため、再転写された別の色のトナーが画像形成を繰り返すことで現像装置内に徐々に蓄積し、画像の色味が徐々に変わってしまう。
再転写という現象は、転写電圧が強すぎる転写部における異常放電によりトナーの極性が反転して発生するものと考えられている。しかし、再転写の程度は、転写されるトナーの状態、主にはトナーの持つ電荷量よって異なり、環境の絶対水分量や累積画像形成枚数にも影響される。
また、現像同時クリーニングを利用した画像形成装置で劣化トナーの排出モードを実行した場合、排出される劣化トナーの状態は通常の画像形成時に使用されるトナーの状態とは大きく異なっていると考えられる。上流側の画像形成部で排出された劣化トナーが下流側の画像形成部で再転写されて下流側の現像装置内に混入することが続いた場合、下流側の現像装置内のトナーが混色する。そればかりでなく、上流側の画像形成部の劣化トナーが下流側の画像形成部に蓄積することによる問題も発生する。
図5は下流側の現像装置におけるトナーの混色の説明図である。図5中、(a)は感光ドラムにクリーニング装置が付設されている場合、(b)はクリーナレス方式の場合である。
ところで、通常画像形成時と同様に一次転写部dに転写バイアスを印加して劣化トナーの排出制御を行った場合、下流側の画像形成部で上流側の排出トナー像に起因する混色が発生し易くなることが判明した。上流側の画像形成部(第1画像形成部)で形成された排出トナー像が下流側の一次転写部(転写部)dで感光ドラム(第2像担持体)4に再転写して連れ回り、下流側の現像装置(第2画像形成部)3に回収されて混色が発生する。マゼンタの画像形成部PMでは、マゼンタのトナーにイエローの劣化トナーが混入し、シアンの画像形成部PCでは、シアンのトナーにイエロー及びマゼンタの劣化トナーが混入する。その結果、下流側の現像装置でトナーの色純度が損なわれてカラー画像の品質が低下する。また、劣化トナーが下流側の画像形成部に蓄積されることで現像装置の現像性が悪化したりかぶりトナーが増えたりする。
図5の(a)に示すように、画像形成部PMにクリーニング装置9Mが付設されている場合、一次転写部dで中間転写ベルト5から感光ドラム4Mへ再転写されたイエロートナーは、現像装置3Mに混入しない。イエローの劣化トナーは、クリーニング装置9Mで回収されて感光ドラム4Mに連れ回らないからである。
図5の(b)に示すように、これに対して、クリーナレス方式の画像形成部PMの場合、一次転写部dで中間転写ベルト5から感光ドラム4Mへ再転写されたイエロートナーは、感光ドラム4Mに連れ回って現像装置3Mに混入する。再転写は、感光ドラム4Y上に形成されて中間転写ベルト5へ転写された排出トナー像が、下流側の画像形成部PMの感光ドラム4Mへ再度転写される現象である。
<実施例1>
図6は転写バイアスに対する転写効率と再転写率との関係の説明図、図7は再転写電流と再転写効率との関係の説明図である。図8は実施例1の制御のフローチャート、図9は通常画像形成時の制御のタイムチャート、図10は後回転時に行う劣化トナー排出モードのタイムチャートである。
実施例1では、劣化トナー排出モードでは、下流側の画像形成部PM、PCの一次転写ローラ53M、53Cに印加する転写バイアスを通常画像形成時よりも低くする。これにより、下流側の画像形成部PY、PMで形成された排出トナー像が感光ドラム4M、4Cへ再転写されないようにする。
図1を参照して図6に示すように、中間転写ベルト5へ転写されるマゼンタ排出トナー像の転写効率と、感光ドラム4Mへ再転写されるイエロー排出トナー像の再転写率とが転写バイアスに応じて変化する。一次転写ローラ53Mに印加する転写バイアスを上げていくと、マゼンタ排出トナー像の転写効率は高くなっていくが、放電開始電圧Vhに達すると、転写効率はまた下がってしまう。
一方、再転写率を見ると、転写効率が最大になっていない電圧から既に再転写が始まっているので、最大の転写効率を得ることと、再転写が全く起こさないこととは両立できない状況である。
図1を参照して図7に示すように、感光ドラム4Mに対する排出トナー像の再転写において、感光ドラム4Mへ流れ込む電流値と再転写率とは、一次転写ローラ53Mに印加する転写バイアスに応じて変化する。ここで言う再転写率は、中間転写ベルト5に担持されたイエロー排出トナー像を100%としたときの感光ドラム4Mへ再転写されるイエロー排出トナーの割合である。
転写バイアスを上げていくと、転写バイアス値Vaから再転写電流Isが流れ始め、これとほぼ同時にイエロー排出トナー像の再転写が始まる。このことは、転写バイアス値Va以上の転写バイアスを一次転写ローラ53Mに印加すると、一次転写部dに放電による電流が流れ始め、これによって、イエロー排出トナー像の再転写が始まることを示している。
そこで、実施例1では、画像形成部PM、PCにて、再転写電流Isが流れ始める転写バイアス値Vaを通常画像形成の開始前に予め検知しておく。そして、転写バイアス値Vaを一次転写ローラ53M、53Cに印加する転写バイアスの上限値とすることで、感光ドラム4M、4Cに対する排出トナー像の再転写を防止する。以下では画像形成部PMについて説明する。
図1を参照して図8に示すように、制御部101は、通常の画像形成を開始する前の前回転時(S11)に、絶対水分量や画像形成部PMの累積使用時間に基づいて、トナー像の転写効率が極大となる転写電流I1を求めている。続いて、一次転写ローラ53Mに複数段階の定電圧を印加して、それぞれの定電圧での電流を測定し、定電圧−電流の各段階の測定結果を内挿演算して、転写電流I1が得られる転写バイアス設定値V1を設定している(S12)。
制御部101は、通常の画像形成動作中(S15、S16)、画像形成の開始に先立たせて最適化制御によって設定された通常画像形成用の転写バイアス設定値V1を一次転写ローラ53Mに印加する。
図9に示すように、プリントスタート後は、一次転写ローラ53Mに転写バイアス設定値V1を印加し続けることで、転写効率を高く保った良好な画像形成を維持させている。画像領域と画像領域とに挟まれた非画像領域(紙間)にも転写バイアス設定値V1が印加される。
図1を参照して図8に示すように、制御部101は、定電圧−電流の各段階の測定結果(S12)から再転写電流Isが流れ始める転写バイアス値Vaを演算して、通過バイアス設定値V2を設定している(S13)。
定電圧−電流の測定結果における変曲点までの電圧領域を未放電領域とし、電流が未放電領域よりも大きく増え始める変曲点以上の電圧領域を放電領域とする。図7に示すように、未放電領域と放電領域との境界電圧(放電電流が0となる最大の転写バイアス)を求めて放電開始電圧以下の通過バイアス設定値V2に設定する。
制御部101は、通常の画像形成動作の終了後の後回転時(S18〜S21)に、劣化トナー排出モードを実行する。画像ごとの画像比率としきい値2%との差分を累積してトナー消費不足量の累積量を求める(S14)。そして、画像形成中を通じたトナー消費不足量の累積値に応じて、排出トナー像の長さ(露光時間)を設定する(S17)。
制御部101は、一次転写ローラ53Mに転写バイアス設定値V2を印加した状態で(S19)、画像形成部PMを制御して、感光ドラム4Mにマゼンタ排出トナー像を形成して中間転写ベルト5に転写する(S20)。
このとき、排出トナーは、劣化が進んで帯電量が低下しているため、転写バイアス設定値V1よりも一段低い通過バイアス設定値V2でも比較的に高い転写効率が得られる。また、上流側の画像形成部PY、PMで形成されて中間転写ベルト5に転写された排出トナー像が下流側の一次転写部dを通過する際に、放電が発生しないので、排出トナー像の感光ドラム4M、4Cへの再転写が抑制される。
制御部101は、中間転写ベルト5を複数回転させて中間転写ベルト5に担持されたイエロー、マゼンタ、シアンの排出トナー像をベルトクリーニング装置55によってクリーニングした後に画像形成装置100を停止させる(S21)。
図10に示すように、後回転スタート後、一次転写ローラ53Mに印加する転写バイアスを転写バイアス設定値V1から通過バイアス設定値V2へ切り替える。転写効率よりも再転写率を重視して、下流側の画像形成部PM、PCにおける転写バイアスの設定を再転写率が最も良好となる通過バイアス設定値V2とする。
ここで、再転写率の低い通過バイアス設定値V2は、転写効率の高い転写バイアス設定値V1と常に同極性である。転写バイアス設定値V1と通過バイアス設定値V2とが逆極性の場合、中間転写ベルト5に担持されて一次転写部dを通過するイエロー排出トナー像が、通過バイアス設定値V2に応答してそのまま感光ドラム4Mに転写されるからである。
図7に示すように、中間転写ベルト5に担持されたイエロー排出トナー像の極性反転を伴わない転写を阻止するために、放電電流が発生しない範囲で最大の電圧を通過バイアス設定値V2に設定している。また、感光ドラム4M、4Cに形成された排出トナー像を高い転写効率で中間転写ベルト5へ転写するためにも、通過バイアス設定値V2は、転写バイアス設定値V1と同極性でできるだけ絶対値の大きな電圧とすることが望ましい。
なお、実施例1では、最も上流側に位置して再転写が発生しない画像形成部PYでは、通過バイアス設定値V2は用いられず、終始、転写バイアス設定値V1が印加され続ける。
実施例1の制御によれば、クリーナレス画像形成部を用いたタンデム型画像形成装置において、上流側の画像形成部の排出トナー像が下流側の画像形成部で混色する問題を簡易な構成及び制御で解決できる。そして、上流側の画像形成部からの劣化トナーの混入を抑制して、良好で安定した画像を長期にわたって提供することが可能となる。
<実施例2>
図11は実施例2の制御のフローチャート、図12は紙間で行う劣化トナー排出モードのタイムチャートである。
実施例2では、通常画像形成動作中に、トナー消費不足量が限界値に達した時点で、随時画像形成を中断して、劣化トナーを排出トナー像として強制排出する。図11中、実施例1と共通する制御のステップには、図8と共通の符号を付して重複する説明を省略する。
図1を参照して図11に示すように、制御部101は、通常画像形成動作中(S35、S36)、画像ごとの画像比率としきい値2%との差分を累積演算する(S14)。そして、差分の累積値が限界値(紙間の長さのベタ画像に相当する値)に達すると(S31のYES)、画像形成部PY、PM、PC、PKで、そこまでの累積値に相当する長さのベタ画像を同時に形成する(S32)。このとき、通過バイアスv2に切り替えて、中間転写ベルト5への一次転写を行っている。
制御部101は、下流側の画像形成部PM、PCにおける転写バイアスの設定を通過バイアス設定値V2として、マゼンタ排出トナー像、シアン排出トナー像を中間転写ベルト5に一次転写する(S33)。
制御部101は、画像形成部PM、PCにおける転写バイアスの設定を転写バイアス設定値V1に戻して(S34)、差分の累積値をリセットした後に画像形成を再開する(S35)。
図12に示すように、予め設定された所定のタイミングの紙間において劣化トナー排出モードが実行される。排出トナー像による劣化トナーの強制排出動作に伴って通常画像形成時の電圧以下の値の上限値に相当する転写バイアス設定値V1が通過バイアス設定値V2に切り替えられる。
実施例2において、劣化トナー排出モード用の通過バイアス設定値V2は、先述したように、画像形成の開始に先立たせて再転写電流Isをモニタすることにより再転写が発生しない放電開始電圧以下の領域に設定しておくことが可能である。通過バイアス設定値V2は、転写バイアス設定値V1と同極性である。
実施例2の制御によれば、劣化トナーの強制排出を高頻度に行う場合でも、上流側の画像形成部からの劣化トナーの混入を抑制して、良好で安定した画像を長期にわたって提供することが可能となる。
<実施例3>
図13は実施例3における排出トナー像の長さ制御の説明図、図14は実施例3の制御のフローチャート、図15は後回転時に行う劣化トナー排出モードのタイムチャートである。
実施例1の制御では、劣化トナー排出モードの時には転写効率よりも再転写率に有利となるような通過バイアス設定値V2で排出トナー像を中間転写ベルト5に一次転写させる。このため、図6に示すように、転写バイアス設定値V1が印加されている場合に比較して、排出トナー像の転写効率は、当然のことながら悪化し、画像形成部PM、PCにおいて劣化トナーの転写残トナーが多く発生してしまう可能性がある。
そこで、実施例3では、第2排出トナー像を搬送体へ転写する際には、搬送体に担持された第1排出トナー像が転写部を通過する際よりも高い転写バイアス設定電圧V1を用いて第2像担持体から搬送体への転写効率を高める。排出トナー像の転写時には転写効率に最適化した転写バイアスを用い、上流側の画像形成部で転写された排出トナー像が通過する時には再転写率に最適化した転写バイアスに切り替える。
また、第2排出トナー像の長さLhを上流側の転写部から下流側の転写部までの転写部間距離Lよりも短くして、下流側の転写部で第1排出トナー像に第2排出トナー像が物理的に重ならないようにしている。
図13に示すように、実施例3では、排出トナー像Thの長さLhを隣り合う画像形成部PY、PM間の距離L未満となるようにする。つまり、下流側の画像形成部PMで感光ドラム4Mに形成されたマゼンタ排出トナー像を一次転写している期間中には、中間転写ベルト5に担持されたイエロー排出トナー像が画像形成部PMの一次転写部dに到達させない。
実施例3では、感光ドラム4MのプロセススピードをVps(mm/sec)とし、画像形成部PY、PM間の転写部間距離をL(mm)として、排出トナー像の露光時間(=排出時間)t(sec)を次式のように設定する。
Lh=Vps×t<L ・・・(1)式
t<L/Vps ・・・(2)式
従って、感光ドラム4MのプロセススピードVps=135mm/sec、画像形成部PY、PM間の距離L=96mmのとき、排出トナー像の露光時間t(sec)は次式のように設定される。
t<0.395(sec) ・・・(3)式
実施例3では、排出トナー像の露光時間を395msec未満とする。これにより、中間転写ベルト5に担持されたイエロー排出トナー像が画像形成部PMの一次転写部dへ到着するまでに感光ドラム4Mに形成されたマゼンタ排出トナー像の一次転写を終了できる。中間転写ベルト5に担持されたイエロー排出トナー像に重ねてマゼンタ排出トナー像が一次転写されることを回避できる。
図13を参照して図14に示すように、制御部101は、通常画像形成動作中(S15)の一次転写ローラ53Mには、予め最適化制御(S12)によって設定された転写バイアス設定値V1を印加する。
図9に示すように、プリントスタート後の通常画像形成時には、実施例1で説明したように、画像領域と画像領域とに挟まれた非画像領域(紙間)にも転写バイアス設定値V1が印加されている。
図13を参照して図14に示すように、制御部101は、通常画像形成動作(S15、S16)終了後の後回転動作中(S18〜S44)に、劣化トナー排出モードを実行して、現像装置3M、3Cから劣化トナーを強制排出する。
画像形成中を通じたトナー消費不足量の累積値(S14)に応じて排出トナー像の静電像の合計の露光時間が設定される(S17)。
後回転動作に入ると(S18)、先に述べた時間t(sec)に分割して排出トナー像(ベタ画像)が形成される(S41)。すなわち、トナー消費不足量の累積値に相当するベタ画像の長さLhが画像形成部PY、PM間の距離L=96mmよりも長い場合には、1回目のベタ画像の通過後に、長さ(Lh−L)の2回目のベタ画像が形成される。
制御部101は、通常の画像形成動作時と同じ転写バイアス設定値V1を用いて、劣化トナーによる排出トナー像を感光ドラム4M、4Cから中間転写ベルト5へ一次転写する(S42)。これにより、画像形成部PM、PCにて排出トナー像を中間転写ベルト5へ一次転写する際には、通常の画像形成と同じ高い転写効率を確保して感光ドラム4M、4Cに連れ回る転写残トナーを少なくする。
その後、一次転写ローラ53M、53Cへ通過バイアス設定値V2を印加した状態で、画像形成部PY、PMで中間転写ベルト5に転写されたイエロー排出トナー像、マゼンタ排出トナー像が画像形成部PM、PCの一次転写部dを通過する(S43)。これにより、上流側で中間転写ベルト5に担持された排出トナー像が画像形成部PM、PCを通過する際には、再転写率を最小に抑えて現像装置3M、3Cへ混入される他色トナーが少なくなる。
制御部101は、中間転写ベルト5を複数回転させて中間転写ベルト5に担持されたイエロー、マゼンタ、シアンの排出トナー像をベルトクリーニング装置55によってクリーニングした後に画像形成装置100を停止させる(S44)。
図1を参照して図15に示すように、画像形成部PYにおける劣化トナー排出モードでは、一次転写ローラ53Yに転写バイアス設定値V1が印加され続ける。
しかし、画像形成部PMにおける劣化トナー排出モードでは、マゼンタ排出トナー像の転写が終了すると直ちに一次転写ローラ53Mに通過バイアス設定値V2が印加される。これにより、中間転写ベルト5に担持されたイエロー排出トナー像が画像形成部PMの一次転写部dを通過する過程で、イエロー排出トナー像が感光ドラム4Mへ再転写されるのを抑制する。
具体的には、感光ドラム4Mに担持されたマゼンタ排出トナー像の先頭で通常画像形成時の電圧以下の値の上限値に相当する転写バイアス設定値V1を印加し、マゼンタ排出トナー像の後端で放電開始電圧以下の通過バイアス設定値V2に低下させる。これにより、感光ドラム4Mのマゼンタ排出トナー像を中間転写ベルト5へ高い転写効率で一次転写させた後、中間転写ベルト5に担持されて転写部dを通過するイエロー排出トナー像が感光ドラム4へ再転写されるのを阻止する。
上流側の第1像形成手段で形成された排出トナー像が下流側の転写部を通過する際には、転写部材に印加する電圧を転写バイアス設定値V1から通過バイアス設定値V2へ切り替える。転写効率よりも再転写率を重視して、下流側の第2像形成手段における転写電圧の設定を再転写率が最も良好となる通過バイアス設定値V2とする。
実施例3の制御によれば、クリーナレス画像形成部を用いたタンデム型画像形成装置において、上流側の画像形成部の排出トナー像が下流側の画像形成部で混色する問題を簡易な構成及び制御で解決できる。そして、上流側の画像形成部からの劣化トナーの混入を抑制して、良好で安定した画像を長期にわたって提供することが可能となる。