[実施の形態1]
図1は実施の形態1に係る画像形成装置1の概要を示し、図2はその画像形成装置1における一部(作像装置及び現像剤補給システム)を示し、図3はその画像形成装置1における他の一部(回収システム)を示している。
この画像形成装置1は、例えばカラープリンタとして構成されたものである。画像形成装置1は、筐体10の内部空間に、公知の電子写真方式、静電記録方式等の画像記録方式を利用して入力画像の情報に基づいて現像剤を構成するトナー(着色等がされた微粉体)で現像されるトナー像を形成する複数の作像装置20と、作像装置20で形成されたトナー像を保持して最終的に被記録材の一例としての記録用紙9に転写する中間転写装置30と、中間転写装置30の二次転写位置に供給すべき所要の記録用紙9を収容して搬送する給紙装置40と、中間転写装置30でトナー像が転写された記録用紙9を通過させてトナー像の定着を行う定着装置45、作像装置20及び中間転写装置30における不要な現像剤を回収する回収システム100、制御装置7等が設置されている。筐体10は、支持部材、外装カバー等で支持構造部や外装部が形成されている。図中の一点鎖線は、筐体10内において記録用紙9が主に搬送される搬送経路を示す。
作像装置20は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(黒:K)の4色のトナー像と特別色SA,SBの特別色トナー像をそれぞれ専用に形成する6つの作像装置20Y,20M,20C,20K,20SA,20SBで構成されている。この6つの作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)は、筐体10の内部空間において直列に並べた状態となるよう配置されている。また、各作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)は、以下に示すようにほぼ共通した構成のものである。
各作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)は、図1や図2に示すように、回転する感光ドラム21を備えており、この感光ドラム21の周囲に、次のような各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光ドラム21の表面(帯電と潜像の形成を行うことができる像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置22と、感光ドラム21の帯電された表面に画像の情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する露光装置23と、その静電潜像を対応する色(Y,M,C,K,SA,SB)の現像剤のトナーで現像して可視像であるトナー像とする現像装置24(Y,M,C,K,SA,SB)と、そのトナー像を中間転写装置30(の中間転写ベルト)に転写する一次転写装置25と、転写後の感光ドラム21の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を除去するドラム清掃装置26とである。
感光ドラム21は、接地処理される円筒又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものであり、モータ、回転伝達機構等で構成される回転駆動装置13(回転駆動部16A:図8)から動力を受けて矢印Aで示す方向に回転する。帯電装置22は、例えばコロナ放電により帯電を行う非接触型の帯電装置である。この帯電装置22には、現像装置24が反転現像を行うものである場合、その現像装置から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性に帯電させるための帯電バイアスとしての電圧又は電流が帯電用電源16B(図8)から供給される。
露光装置23は、画像形成装置1に入力される画像の情報に応じて構成される光(矢付き点線)を、帯電された後の感光ドラム21の像保持面に対して照射して静電潜像を形成するものである。露光装置23としては、半導体レーザとポリゴンミラー等の光学部品を用いて構成される走査型のものを使用しているが、その他にも、例えば、発光ダイオードと光学部品等を用いて構成される非走査型の露光装置を使用してもよい。この露光装置23には、画像形成装置1に入力されるプリント対象となる画像の情報について画像処理装置27で必要な画像処理が施され、その処理後に得られる各色成分の画像信号が露光駆動部16C(図8)に送信されるようになっている。画像形成装置1には、画像読取装置や、パーソナルコンピュータ等の情報端末や、記憶媒体の読み書き装置等の図示しない画像情報機器が接続通信部12を介して接続可能となっており、その画像情報機器から画像の情報が入力される。
現像装置24(Y,M,C,K,SA,SB)は、図2等に示すように、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤を収容する現像剤収容器24aを有し、その現像剤収容器24aに収容されている現像剤を回転しながら保持して感光ドラム21と近接して対向する現像領域に搬送する現像ロール24bや、その収容されている現像剤を回転して攪拌しながら現像ロール24bに搬送する攪拌搬送部材24cや、現像ロール24bに保持される現像剤の量(層厚)を規制する層厚規制部材24dを有している。
この現像装置24はいずれも、その現像ロール24bに図示しない現像用電源部16D(図8)から現像バイアスが供給されるとともに、その現像ロール24b及び攪拌搬送部材24cが回転駆動装置28(回転駆動部16A:図8)からの動力を受けて所要の方向に回転させられる。各現像装置24における現像剤のトナーは、現像剤収容器24a内において攪拌搬送部材24cにより攪拌されながら搬送されることでキャリアと擦れ合い、これにより所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)に摩擦帯電される。また、特別色SA,SBの現像剤におけるトナーは、例えば、上記4色では表現が困難又は不可能であった色材等で構成される。具体的には、上記4色以外の色のトナー、点字用の発泡性トナー、蛍光色トナー、光沢を向上させるトナー等である。
また、現像装置24(Y,M,C,K,SA,SB)は、図2に示すように、現像剤の補給システム5により、各現像剤が補給されるようになっている。補給システム5は、4色(Y,M,C,K)及び特別色(SA,SB)の補給現像剤(磁性キャリアを含む非磁性トナー)をそれぞれ収納する着脱交換式の現像剤カートリッジ50(Y,M,C,K,SA,SB)と、各現像剤カートリッジ50の補給現像剤を各現像装置24にそれぞれ必要な量だけ搬送する補給装置60(Y,M,C,K,SA,SB)とで構成されている。
補給装置60はいずれも、各現像剤カートリッジ50の排出口から排出される補給現像剤を受け入れて一時的に貯留するとともに、その貯留されている補給現像剤を各現像装置24にむけてそれぞれ送り出すものである。各補給装置60から送り出される補給現像剤は、接続搬送装置64を通して各現像装置24に搬送される。図2等における符号55は、現像剤カートリッジ50内の補給現像剤を排出口にむけて搬送する搬送部材52を回転駆動させる駆動装置である。符号65は、補給装置60内に貯留されている補給現像剤の一部を送出口にむけて送り出す送出部材62等を回転駆動させる駆動装置であり、符号63は、補給装置60内に貯留されている補給現像剤を攪拌しながら搬送する攪拌搬送部材である。また、符号67は、補給装置60内に貯留されている補給現像剤の設定値以上の有無を検出する残量検出センサであり、符号29は、現像装置24内に収容されている現像剤のトナー濃度(TC:現像剤中におけるトナーの重量割合)を検出する濃度検出センサである。
さらに、現像装置24(Y,M,C,K,SA,SB)は、その現像剤収容器24aに収容されている現像剤のキャリアの劣化に対処するため現像剤の一部(磁性キャリアとそれに付着する非磁性トナー)を現像装置24の外部に排出させるようになっている。いわゆるトリクル現像方式を採用している。この現像剤の一部の排出は、現像剤収容器24aの一端部に攪拌搬送部材24cで搬送される現像剤の一部が乗り越えて排出される排出口を通して行われる。各現像装置24から排出される現像剤は、後述する回収システム100によって回収される。
一次転写装置25は、感光ドラム21の表面に(後記の中間転写ベルト31を介して)接触して回転するとともに一次転写バイアスが供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。一次転写バイアスとしては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧等が転写用電源部16E(図8)から印加される。この一次転写装置25は、中間転写装置30を構成するものとして扱ってもよい。ドラム清掃装置26は、一次転写位置を通過した後の感光ドラム21の表面に接触して残留トナー等の付着物を除去する弾性ブレード26aと、弾性ブレード26aで除去したトナー等の付着物を回収して後述する回収システム100に対して送り出すように駆動する送出部材26b等で構成されている。
中間転写装置30は、図1等に示すように、各作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)の下方の位置に存在するように配置される。この中間転写装置30は、感光ドラム21と一次転写装置25(一次転写ロール)の間となる一次転写位置を通過しながら矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト31と、中間転写ベルト31をその内面から所望の状態に保持して回転自在に支持する複数の支持ロール32a〜32fと、支持ロール32eに支持されている中間転写ベルト31に所定の圧力で接触して回転する二次転写ロール35と、二次転写ロール35を通過した後に中間転写ベルト31に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を除去するベルト清掃装置36とで主に構成されている。
中間転写ベルト31としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボン等の抵抗調整剤を分散した材料を用いて所定の厚さからなる無端状のベルトに形成されたものが使用される。支持ロール32aは駆動ロールとして、支持ロール32cは張力付与ロールとして構成されている。支持ロール32e(又は二次転写ロール35)には、二次転写バイアスが転写用電源部16E(図8)から供給される。二次転写バイアスとしては、トナーの帯電極性と同極性(又は逆極性)を示す直流の電圧等が供給される。ベルト清掃装置36は、二次転写位置を通過した後の中間転写ベルト31の表面に接触して残留トナー等の付着物を除去する弾性ブレード36aと、弾性ブレード36aで除去したトナー等の付着物を回収して後述する回収システム100に対して送り出すように駆動する送出部材36b等で構成されている。
給紙装置40は、中間転写装置30の下方側の位置に存在するように配置される。給紙装置40は、筐体10の正面(操作者が使用時に向き合う側面)側に引き出すことができるように取り付けられ、所望のサイズ、種類等の記録用紙9を積載した状態で収容する単数(又は複数)の用紙収容体41と、用紙収容体41から記録用紙9を1枚ずつ送り出す送出装置42とで主に構成されている。給紙装置40から送りされる記録用紙9は、複数の用紙搬送ロール対43a,43b,43c,…や搬送ガイド材で構成される搬送路を経由して中間転写装置30における中間転写ベルト31と二次転写ロール35の間である二次転写位置に搬送される。
定着装置45は、筐体46の内部に、矢印で示す方向に回転するとともに表面温度が所定の温度に保持されるように加熱手段によって加熱される加熱回転体47と、この加熱回転体47の軸方向にほぼ沿う状態で所定の圧力で接触して従動回転する加圧用回転体48とを設置したものである。この定着装置45でトナー像の定着が終了して画像が形成された記録用紙9は、複数の搬送ロール対や搬送ガイド材で構成される排出搬送路を通して筐体10等に設置される排出部に搬送されて収容される。
この画像形成装置1による基本的な画像形成動作は、以下に説明するように行われる。ここでは、前記4つの作像装置20(Y,M,C,K)のすべてを使用して形成する4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成する画像形成動作のパターン(フルカラーモード)を説明する。
前記した画像情報機器などから画像形成動作(プリント)の要求の指示があると、4つの作像装置20(Y,M,C,K)において、まず各感光ドラム21が矢印Aで示す方向に回転し、各帯電装置22がその各感光ドラム21の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電させる。続いて、露光装置23が、帯電後の感光ドラム21の表面に対し、画像処理装置27から送信された各色成分(Y,M,C,K)に分解された画像データに基づいて発光される光を照射して露光を行い、所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。次いで、各現像装置24(Y,M,C,K)が、感光ドラム21に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,K)のトナーを供給して静電的に付着させる。
このときの現像工程について詳述すると、各現像装置24では、現像ロール24b及び攪拌搬送部材24cが回転駆動し、その現像剤収容部24a内に収容されている現像剤Gが攪拌搬送部材24cで攪拌されながら現像ロール24bに至るまで搬送される。この攪拌して搬送された現像剤Gは、回転する現像ロール24bに付着し、層厚規制部材24dで所要の厚さに規制された後に、感光ドラム21と対向する現像領域に搬送される。そして、この現像領域に搬送された現像剤G(実施の形態1ではトナー成分)は、現像ロール24bと感光ドラム21の間に供給される現像バイアスで形成される現像電界により感光ドラム21に供給されて、静電潜像部分に付着する。一方、この現像に供されなかった現像剤Gの多くは、回転する現像ロール24bによって現像剤収容部24aに戻される。このようにして各感光ドラム21で形成された各色成分の静電潜像は、現像装置24を通過することにより、その対応する色のトナーでそれぞれ現像されて4色(Y,M,C,K)のトナー像として顕像化される。
次いで、各作像装置20(Y,M,C,K)の感光ドラム21上に形成された各色のトナー像が、一次転写装置25により、中間転写装置30の中間転写ベルト31に対して順番に重ね合わるようにして一次転写される。また、中間転写装置30は、中間転写ベルト31に一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置まで搬送した後、二次転写ロール35が給紙装置40から搬送されて送り込まれる用紙9に一括して二次転写させる。トナー像が二次転写された用紙9は、中間転写ベルト31から剥離された後に定着装置45に導入されて必要な定着処理(加熱及び加圧)を受け、そのトナー像が定着される。定着が終了した後の用紙9は、その片面への画像の形成を行うだけの画像形成動作のときは、例えば筐体10に形成される図示しない排出収容部に排出されて収容される。
以上の動作により、4色のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像が形成された用紙9が出力される。
また、この画像形成装置1は、前記特別色SA,SBのトナー像を形成する場合、その作像装置20SA,20SBにおいて前述した作像装置20(Y,M,C,K)と同様の動作が行われることにより各感光ドラム21に特別色SA,SBのトナー像が形成される。また、この作像装置20SA,20SBで形成された特別色SA,SBのトナー像は、中間転写装置30により最終的に記録用紙9に(例えば、他の色のトナー像と併せて)転写される。記録用紙9に転写された特別色SA,SBのトナー像は、定着装置45で定着される。
さらに、この画像形成装置1による画像形成動作では、各作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)における各感光ドラム21の一次転写後の表面がドラム清掃装置26によって清掃され、中間転写装置30の中間転写ベルト31がベルト清掃装置36によって清掃される。また、各作像装置20における各現像装置24(Y,M,C,K,SA,SB)では、前記したトリックル現像方式により現像剤の一部が外部に排出される。このとき、ドラム清掃装置26では一次転写されなかった未転写のトナーが最も多く除去され、ベルト清掃装置36では二次転写されなかった未転写のトナーが最も多く除去される。また、各現像装置24では、キャリアとそのキャリアに付着するトナーとが排出される。そして、このドラム清掃装置26及びベルト清掃装置36で除去されたトナー等と各現像装置24から排出されるキャリア及びトナーは、後述するように回収システム100に回収される。
次に、回収システム100について説明する。
回収システム100は、図3等に示すように、主としてトナー及びキャリアを搬送する回収搬送装置101と、回収搬送装置101で搬送されたトナー及びキャリアを収容する2つの回収容器200A,200Bとで構成されている。
回収搬送装置101は、各作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)の現像装置24及びドラム清掃装置26からそれぞれ送出されるトナー及びキャリアを1つにまとめて搬送する第1搬送装置110と、中間転写装置30のベルト清掃装置36から送出されるトナーを搬送する第2搬送装置120と、第1搬送装置110及び第2搬送装置120から搬送されたトナー及びキャリアを搬送する第3搬送装置130と、第3搬送装置130から搬送されたトナー及びキャリアを搬送する第4搬送装置140と、第4搬送装置140で搬送されたトナー及びキャリアを回収容器200A,200Bのいずれかに切り替えて搬送する第5搬送装置150を備えている。
第1搬送装置110は、筐体10の後方の部位において各作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)の下方になる位置にほぼ水平の状態になるよう配置される管状部材112と、管状部材112の内部空間で回転してトナー及びキャリアをその搬送方向の下流側に搬送する搬送部材113と、搬送部材113に回転動力を伝える第1駆動装置114とで構成されている。搬送方向は、図3等において矢印で示す方向である。また、第1搬送装置100における搬送方向の下流側は、実施の形態1では特別色の作像装置20SAが配置される側となる。
この第1搬送装置110の管状部材112には、各作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)における現像装置24の排出口及びドラム清掃装置26の送出口との間をそれぞれ接続してトナー及びキャリアを搬送する接続搬送装置115(Y,M,C,K,SA,SB)が接続されている。接続搬送装置115はいずれも、各作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)における現像装置24の排出口及びドラム清掃装置26の送出口と第1搬送装置110の管状部材112とを接続するようにほぼ上下の方向(鉛直方向)にそって配置される管状部材116と、管状部材116の内部空間において上下の方向に進退して内壁に付着するトナー等を取り崩す崩し部材117と、崩し部材117を進退運動させるための動力を伝える駆動装置118とで構成されている。実施の形態1では崩す崩し部材117として、回転軸がなく線材を螺旋状に巻いたコイルスプリングを使用している。
第2搬送装置120は、筐体10の後方の部位において中間転写装置30のベルト清掃装置36の下方になる位置にほぼ水平の状態になるよう配置される管状部材122と、管状部材122の内部空間で回転してトナーをその搬送方向下流側に搬送する図示しない搬送部材と、搬送部材に回転動力を伝える第2駆動装置124とで構成されている。第2搬送装置120における搬送方向下流側は、実施の形態1では特別色の作像装置20SAが配置されて第1搬送装置110の管状部材112の下流端側となる。
この第2搬送装置120の管状部材122には、ベルト清掃装置36の送出口との間を接続してトナーを搬送する接続搬送装置125が接続されている。接続搬送装置125は、ベルト清掃装置36の送出口と管状部材122とを接続するようにほぼ上下の方向にそって配置される管状部材で少なくとも構成されている。なお、第2搬送装置120は、第3搬送装置130がベルト清掃装置36から作像装置20側とは反対側の位置に離れた位置に配置される場合には、その設置を省略することができる。この場合は、例えば、接続搬送装置125を第1搬送装置110の管状部材112に接続した構成にすればよい。
第3搬送装置130は、第1搬送装置110の管状部材112と第2搬送装置120の管状部材122の接合部から下方側にある第4搬送装置140にむけてほぼ上下の方向にそって配置される管状部材132と、管状部材132の内部空間において上下の方向に進退して内壁に付着するトナー等を取り崩す崩し部材(実施の形態1ではコイルスプリング)133と、崩し部材133を進退運動させるための動力を伝える第3駆動装置134とで構成されている。
第4搬送装置140は、図3や図4に示すように、第3搬送装置130の管状部材132の下端部と交差する状態になり、全体がほぼ水平の状態になるよう配置される管状部材142と、管状部材142の内部空間で回転してトナー及びキャリアを搬送方向下流側にむけて搬送する搬送部材143と、搬送部材143に回転動力を伝える第4駆動装置144とで構成されている。実施の形態1における第4搬送装置140の搬送方向下流側は、容器200A,200Bが配置される側となる。また、搬送部材143としては、回転軸に螺旋状に巻きつく形態の搬送羽根を形成したスクリューオーガーを使用している。
第5搬送装置150は、図3や図4に示すように、第4搬送装置140の管状部材142の下流側端部の下部に配置されて接続され、全体がほぼ水平の状態になるよう配置される管状部材152と、管状部材152の内部空間で回転してトナー及びキャリアを両方向にむけて搬送することができる搬送部材153と、搬送部材153に正方向及び逆方向の回転動力を伝える第5駆動装置154とで構成されている。管状部材152は、接続管部155を介して第4搬送装置140の管状部材142の下流側端部と接続されている一方で、接続管部155の両側の位置に存在し且つ下方に突出した状態で配置される排出部156,157を介して容器200A,200Bの受入部210A,210Bにそれぞれ接続される構造になっている。
この第5搬送装置150は、搬送先切替え機構としての搬送切り替え機能を備えている。すなわち、図4に示すように、第5駆動装置154で発生させる回転動力の回転方向について制御することにより、搬送部材153を正転方向C1に回転させた場合には、搬送部材153が第4搬送装置140から搬送されたトナー及びキャリアを、第1容器200Aと接続される第1排出部156にむけて搬送し、最終的に第1容器200Aに収容させることになる。一方、搬送部材153を逆転方向C2に回転させた場合には、搬送部材153が第4搬送装置140から搬送されたトナー及びキャリアを、第2容器200Bと接続される第2排出部157にむけて搬送し、最終的に第2容器200Bに収容させることになる。
容器200A,200Bはいずれも、図3、図5、図6等に示すように、外観がほぼ長方体の形状からなる容器であり、その上面部201にトナー及びキャリア等を受け入れる受け口210A,210Bが形成され、その1つの側面部202に取っ手部220A,220Bが形成されている。また、この容器200A,200Bは、筐体10の下部に形成された容器装着部に着脱自在に装着されて交換できるようになっている。その装着に当たっては、容器200A,200Bを容器装着部に設けられた設置枠105に嵌め入れることで、受け口210A,210Bが回収システム100の第5搬送装置150における接続管部156,157の下方に存在して接続された状態に保たれる。
また、筐体10の容器装着部には、容器200A,200Bが装着されたときに、容器200A,200Bの各取っ手部220が形成された側面部202とは反対側の側面部203と対峙する部位に、容器200A,200B内に収容される非磁性トナーT及び磁性キャリアCの収容量が設定した量L1以上になったことを検出する収容検出センサ106A,106Bがそれぞれ設けられている。
収容検出センサ106としては、例えば、その検出面部106aが容器200A,200Bの側面部203に接近又は接触した状態になるよう設置し、その状態において容器200内の磁性キャリアの透磁率を検出する方式のものが適用される。また、収容検出センサ106は、図6に示すように、収容量が設定量L1に至ると、その出力が閾値以上の高い値となり、その出力が獲られたときに収容量が設定した量L1以上になったことを検出したものとなる。設定した量L1に相当する収容量は、例えば、図6に示すように満杯であると想定する収容量(一点鎖線Lmax)よりも少し少ない量(満杯に近い量であって満杯の検出を開始する目安の量)である。図6中の左側に容器200A(200B)を示し、その右側に容器200の容量(最大の収容量)CPを示す。
回収システム100では、容器200A,200Bが収容されるトナー及びキャリアで満杯の状態になることについて、例えば、容量検出センサ106の出力が設定値L1以上であることを示す値になった後における補給装置60の補給時間(送出部材62の駆動時間)の累積値又は露光装置23で形成する潜像の画素数の累積値が予め設定する閾値を超えたときを検出することで判定している。
この回収システム100は、以下のように作動する。
回収システム100は、作像装置20及び中間転写装置30等が作動してトナー像の形成(作像動作)がなされる時期に併せて作動する。つまり、回収システム100では、回収搬送装置101である前記第1〜第5の搬送装置110,120,130,140,150及び接続搬送部115における各搬送部材が各駆動装置の始動によりそれぞれ駆動する。
これにより、各作像装置20における現像装置24からトリクル現像方式により排出される廃棄トナーT1及びキャリアC1とそのドラム清掃装置26で除去されて送り出される除去トナーT2が、各接続搬送装置115(Y,M,C,K,SA,SB)により落下する状態で搬送されて第1搬送装置110の管状部材112に集められた後、回転駆動する搬送部材113により矢印で示す搬送方向に搬送される。また、中間転写装置30におけるベルト清掃装置36で除去されて送り出される除去トナーT3が接続搬送部125により落下するように搬送されて第2搬送装置120により矢印で示す搬送方向に搬送される。
続いて、第1搬送装置110及び第2搬送装置120によりそれぞれ搬送されたトナーT1〜T3及びキャリアC1は、第3搬送装置130により落下する状態で搬送された後、第4搬送装置140により第5搬送装置にむけて矢印で示す搬送方向に搬送される。第5搬送装置150まで搬送されたトナーT1〜T3及びキャリアC1は、第5搬送装置150において搬送部材153の回転方向の切り替えによってその搬送される方向(収容先)が切り替えられ、その各搬送により排出部156又は排出部157のいずれか一方に達するよう搬送され、最後に排出部156又は排出部157から落下して第1容器200A又は第2容器200Bの収容空間内に収容される。
また、回収システム100では、第1容器200A及び第2容器200Bに収容されるトナーT1〜T3及びキャリアC1の収容量について収容検出センサ106A及び106Bにより磁性キャリアC1の透磁率が測定されて検出が行われる。また、前述したように容量検出センサ106A,Bのいずれかの出力が設定量L1以上であることを示す値になった後における前記した補給時間又は画素数の累積値が閾値を超えたときに、容器200A、Bのいずれかが満杯になったと判定され、例えば利用者に満杯になった容器200の交換を促すための報知が行われる。
また、画像形成装置1では、各作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)において記録用紙9に転写しないトナー像(以下、このトナー像を「特殊トナー像」と略称する)ST(図7)を感光ドラム21に形成するトナー放出動作をそれぞれ実行するよう構成されている。
トナー放出動作は、主に、前述したとおり、各作像装置20における感光ドラム21の表面や中間転写ベルト31の表面に、帯電装置22などから発生する放電生成物が付着して画像流れ等の問題が発生することがあるので、各作像装置20における感光ドラム21に記録用紙9に形成する画像を構成するトナー像とは異なる特殊なトナー像を現像により形成し、その感光ドラム21の表面や中間転写ベルト31の表面に付着した放電生成物を特殊トナー像STのトナーを介してドラム清掃装置26やベルト清掃装置36で除去するために行われる。
このトナー放出動作は、各作像装置20において特殊トナー像STとして画像濃度が高いトナー像を感光ドラム21に形成して現像装置24からトナーの一部を排出させ、その特殊トナー像STを中間転写ベルト31にその一部又は全部を転写させ、最終的にドラム清掃装置26とベルト清掃装置36によりそれぞれ除去するものである。トナー放出動作を実行するときには、特殊トナー像STのトナーを記録用紙9へ二次転写させないようにするため、二次転写位置では転写用電源部16Eから二次転写バイアスを供給しないか、又はトナーが二次転写ロール35に転写されにくい条件のバイアスを供給する。
また、このトナー放出動作を実行する時期は、例えば、筐体10内の湿度が予め設定される高湿の状態にあるときに予め設定する所定の時間だけ停止していた後の画像形成動作の開始時や、画像形成枚数が所定の枚数に達した時期などである。また、トナー放出動作は、画像形成動作とは異なる特別な動作モードを設定して実行されるか、あるいは、画像形成動作のなかに組み込んで実行される。画像形成動作のなかに組み込んで実行する場合は、感光ドラム21の画像形成有効領域のうち画像(トナー像)が形成されない領域に特殊トナー像STを形成する。
画像が形成されない領域とは、例えば、図7に示すように、感光ドラム21の画像形成有効領域(図7では、この領域となるドラム21の表面部分を平面に展開した状態で示している。)において、記録用紙9の片面に形成することになる画像Iaの形成領域E1と画像Ibの形成領域E2との間に存在する非画像形成領域Sである。また、画像が形成されない領域とは、画像形成有効領域のうちで画像形成領域E1、E2にならずに余る非画像形成領域ESも含まれる。図7における符号EBGは、画像形成領域Eにおいて画像Iが形成されない背景部を示す。
一方、このトナー放出動作が実行された場合は、その特殊トナー像STが一般に感光ドラム21の軸方向に対して伸びる帯状(ほぼ長方形)の形状でかつベタ状に形成されるため、各作像装置20における現像装置24(Y,M,C,K,SA,SB)に収容されている各現像剤におけるトナーTが通常の画像形成動作時に比べて多量に消費されることになる。また、特殊トナー像STを構成する比較的多めのトナーT4(図3)がドラム清掃装置26及びベルト清掃装置36で除去されるため、その除去された通常の画像形成時に比べて多めのトナーT4が回収システム100で搬送されることになるので、その搬送時の負荷が高まってトナーによる目詰まりが発生しやすくなる。このときのトナーT4は、最終的には容器200(A,B)に収容される。
そこで、この画像形成装置1においては、上記した不具合があることに鑑み、以下に説明するように、制御装置7により、上記したトナー放出動作を実行するときに、各作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)で特殊トナー像STを形成するときの動作条件を特別な条件に設定している。
実施の形態1では、図9に示すように、制御装置7が、トナー放出動作を実行するときに、複数の作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)のうち中間転写ベルト31の回転方向Bの下流側に配置される下流側配置の作像装置2B(20SB,20Y,20M,20C,20K)における感光ドラム21を中間転写ベルト31と周速差が発生するように回転させるとともに、下流側配置の作像装置2Bにおける一次転写装置25の転写性能を中間転写ベルト31の回転方向Bの上流側に配置される上流側配置の作像装置2A(20SA)における一次転写装置25の転写性能よりも低下させるよう制御している。この詳細については後述する。
画像形成装置1では、図8に示すように、制御装置7により、前述した画像形成動作、現像剤の補給動作、回収動作、トナー放出動作等の各動作が制御される。
まず、制御装置7は、演算処理装置、記憶素子及び装置、制御装置、入出力装置等で構成されるものであり、その記憶素子に格納される制御プログラム及びデータに基づいて所要の制御動作を実行するようになっている。記憶素子及び装置は、ROM,RAM等の記憶素子や磁気ディスク装置等の記録装置で構成されている。
制御装置7には、トナー濃度センサ29、現像剤残量検出センサ67等の検出器や、画像処理装置27や、接続通信部12や、各種の情報の入力や表示を行う入力・表示装置(操作パネル等)15等が接続されており、それらから制御に必要な情報が入力されるようになっている。また、制御装置7には、作像装置20、中間転写装置30、給紙装置40及び定着装置45の動作を制御する作像制御部71や、補給システム5の動作を制御する補給制御部72や、回収システム100の動作を制御する回収制御部73や、画像処理装置27や、接続通信部12や、入力・表示装置15等と接続されており、それらの各動作に必要な制御信号を送信するようになっている。作像制御部71、補給制御部72及び回収制御部73は、制御装置7の一部として構成されるが、制御装置7とは独立した専用の制御装置として構成してもよい。
作像制御部71は、その制御対象となる作像装置20、中間転写装置30、給紙装置40及び定着装置45の各駆動部材に回転動力を伝達する回転駆動装置(回転駆動部)16Aをはじめ、帯電バイアスを供給する帯電用電源部16B、露光装置23を駆動する露光駆動部16C、現像バイアスを供給する現像用電源部16D、一次転写バイアス及び二次転写バイアスを供給する転写用電源部17E等と接続されている。トナー放出動作は、その動作に必要な制御信号が作像制御部71を通して送信されるようになっている。補給制御部72は、その制御対象である補給システム5における回転駆動装置55,56と接続されている。回収制御部73は、その制御対象である回収システム5の搬送装置101における駆動装置114,118,124,134,144,154と接続されている。
以下、画像形成装置1のトナー放出動作について詳しく説明する。
まず、制御装置7は、トナー放出動作における特殊トナー像STを形成するときの動作条件について、図9に示すように、下流側配置の作像装置2B(20SB,20Y,20M,20C,20K)における一次転写装置25の一次転写バイアスの出力を上流側配置の作像装置2A(20SA)における一次転写装置25の一次転写バイアスの出力よりも低下させるように設定するとともに、下流側配置の作像装置2Bにおける感光ドラム21を中間転写ベルト31と周速差が発生するように回転させるように設定している(ここでは、感光ドラム21の回転速度を相対的に遅くしている)。これ以外の動作条件については、前記したような通常の画像形成動作(プリント)の条件と同じである。
また、上流側配置の作像装置2A(20SA)における一次転写装置25の一次転写バイアス出力は、通常の画像形成動作における一次転写バイアスの出力と同じ条件であるが、それよりも低い条件に設定しても構わない。さらに、図9等に示す作像装置21SAにおける周速差(1.0)は、感光ドラム21が中間転写ベルト31と同じ速度で回転している場合(周速差はない状態)であるが、他の作像装置における周速差との関係をわかりやすくするため便宜上、基準となる「1.0」と表示を行っている。また、図9等における周速差の「0.9」、「0.8」等の表示は、感光ドラム21の回転速度が基準の「1.0」の場合に比べて相対的に遅い速度になっていることを示している(周速差としては、下流側の位置に配置される作像装置20における感光ドラム21ほど次第に大きくなるよう設定されている)。
ちなみに、制御装置7では、このような動作条件に基づく制御信号を作像制御部71に送信し、その作像制御部71を介して実際の制御対象となる回転駆動部16A(感光ドラム21の回転駆動装置13)及び転写用電源部16Eの動作について制御する。また、この特殊トナー像STの特別な動作条件については、制御装置7の記録素子(RAM)に予め格納されている。
また、実施の形態1では、下流側配置の作像装置2Bが複数の作像装置20(SB,Y,M,C,K)を含むので、上記特殊トナー像STの動作条件について、図9に示すように、その下流側配置の作像装置群2Bにおける各一次転写装置25の一次転写バイアス出力を各作像装置20(SB,Y,M,C,K)の配置位置が中間転写ベルト31の回転方向Bの下流側の位置になるにつれて順次小さくするように設定されている。また、上記特殊トナー像STの動作条件について、図9に示すように、その下流側配置の作像装置群2Bにおける各感光ドラム21の中間転写ベルト31との周速差を各作像装置20(SB,Y,M,C,K)の配置位置が下流側の位置になるにつれて順次大きくするように設定されている(実際には、感光ドラム21の回転速度が下流側の位置になるにつれて順次遅くなるように設定されている)。
そして、制御装置7は、トナー放出動作における特殊トナー像の形成動作の要求があると、各作像装置20及び中間転写装置30を図9に示す動作条件も含めた条件下で作動させて、特殊トナー像STの形成動作を実行する。
この特殊トナー像STの形成動作は、前述した画像形成動作とは異なる時期に実行される。また、特殊トナー像STは記録用紙9に二次転写させないため、前述したように二次転写位置では二次転写が行われないよう二次転写バイアスの出力が制御される。ちなみに、この特殊トナー像STの形成動作時には、給紙装置40及び定着装置45は作動しないように設定されている。
また、下流側配置の作像装置2Bで形成する特殊トナー像STは、感光ドラム21の回転方向に沿う寸法(幅)が、上流側配置の作像装置2Aで形成される特殊トナー像STのそれよりも小さくなる関係に設定されている。これは、後述するように上流側に配置されている作像装置20で形成された特殊トナー像STのうち中間転写ベルト31に一次転写された特殊トナー像部分STcを構成するトナーの一部が下流側に配置されている作像装置20の一次転写位置において感光ドラム21に逆転写することを見込んだ設定である。
特殊トナー像の形成動作が実行されると、図10に示すように、各作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)において特殊トナー像ST(Y,M,C,K,SA,SB)が感光ドラム21にそれぞれ形成される。
このうち上流側配置の作像装置2A(20SA)では、その一次転写バイアス出力の条件と感光ドラム21の周速差の条件が通常の画像形成動作時におけるそれらの条件と同じであるため、感光ドラム21に形成された特殊トナー像ST(SA)の殆どが中間転写ベルト31に転写特殊トナー像STc(SA)として一次転写される一方で、その一次転写がされずに残留したわずかな残留特殊トナー像STbが感光ドラム21の表面に付着したままドラム清掃装置26まで送られる。
また、下流側配置の作像装置2B(20SB,20Y,20M,20C,20K)では、その各感光ドラム21に形成された特殊トナー像ST(SB,Y,M,C,K)が各一次転写バイアス出力の徐々に低下した条件設定により、中間転写ベルト31に一次転写される量が徐々に少なくなるものの、その一次転写バイアス出力に応じて転写特殊トナー像STc(SB,Y,M,C,K)として中間転写ベルト31にそれぞれ一次転写される。また、各感光ドラム21には、一次転写されなかった各残留特殊トナー像STbが各ドラム清掃装置26まで送られる。
しかも、下流側配置の作像装置2B(20SB,20Y,20M,20C,20K)における各感光ドラム21には、各一次転写バイアス出力が下流側になるにつれて徐々に低下していることと中間転写ベルト31との周速差が下流側になるにつれて徐々に大きくなっていることにより、一次転写位置において各上流側の作像装置20で中間転写ベルト31に転写された転写特殊トナー像STc(SA,SB,Y,M,C)の一部が感光ドラム21側に転移する、いわゆるトナーの逆転写が発生する。
図11は、図9に示す動作条件のもとで作像装置20及び中間転写装置30を作動させ、その最も上流に配置されている作像装置20SAだけで特殊トナー像STを形成したときに、それよりも下流側に配置されている他の作像装置20(SB,Y,M,C,K)における各感光ドラム21にそれぞれ逆転写されたトナーの量を採取して測定したときの結果を示す。図11の縦軸の「逆転写トナー量(%)」は、作像装置20SAで中間転写ベルト31に一次転写したトナー像のトナー量に対する、各作像装置で実際に逆転写された各トナー量の比率(逆転写率)を示している。ちなみに、このとき作像装置20SAで中間転写ベルト31に一次転写されたトナー像のトナー量は、画像面積率(Cin)が100%のベタ状のトナー像で5g/m2程度の量である。
以上により、トナー放出動作が実行されると、上流側配置の作像装置2Aである作像装置20SAでは、特殊トナー像ST(SA)のうちの残留特殊トナー像部分STbがドラム清掃装置26における弾性ブレード26aに一時的に滞留し、その状態において弾性ブレード26aにより感光ドラム21の表面に付着した放電生成物とともに掻き取られて除去される。
また、下流側配置の作像装置2Bである作像装置20(20SB,20Y,20M,20C,20K)では、その各特殊トナー像ST(SB,Y,M,C,K)のうちの残留特殊トナー像部分STbと逆転写した逆転写特殊トナー像部分が、各ドラム清掃装置26における弾性ブレード26aに一時的に滞留し、その状態において各弾性ブレード26aにより感光ドラム21の表面に付着した放電生成物とともに掻き取られて除去される。
さらに、中間転写ベルト31では、各作像装置20(SA,SB,Y,M,C,K)で作成された各特殊トナー像ST(SA,SB,Y,M,C,K)のうち一次転写された転写特殊トナー像STcでかつ下流側の一次転写位置で逆転写されずに残った部分STc(SA,SB,Y,M,C,K)が、二次転写位置を通過した後にベルト清掃装置36まで搬送される。続いて、その転写特殊トナー像部分STcは、ベルト清掃装置36における弾性ブレード36aに一時的に滞留し、その状態において弾性ブレード36aにより中間転写ベルト31の表面に付着した放電生成物とともに掻き取られて除去される。ちなみに、中間転写ベルト31の表面に付着した放電生成物の除去は、下流側配置の作像装置2Bにおける感光ドラム21が周速差をもって回転していることにより、特殊トナー像STのトナーが感光ドラム21と中間転写ベルト31の間に介在するときには、その感光ドラム21との摺擦によっても促進される。また、このときは、感光ドラム21に付着している放電生成物の除去も促進される。
このように図9に示す動作条件に基づいてトナー放出動作を行った場合は、上流側に配置される作像装置20で感光ドラム21に形成された後に中間転写ベルト31に一次転写した部分の特殊トナー像部分SYcの一部が、その各下流側に配置される作像装置20の感光ドラム21の表面に逆転写して供給される。このため、特に下流側配置の作像装置2Bである作像装置20(SB,Y,M,C,K)で形成する特殊トナー像STは、その逆転写されて供給されるトナーを見込んで、少ない量のトナーで形成することが可能になる。この実施の形態1では、下流側配置の作像装置で作成する特殊トナー像STの幅を予め狭い寸法に設定することで対応した。
また、下流側配置の作像装置2Bである作像装置20で形成する特殊トナー像STのトナー量を少なくした場合は、各作像装置20におけるドラム清掃装置26で除去されるトナー量とベルト清掃装置36で除去されるトナー量を合計したトナー総量が少なくなるので、その分、それらのトナーを回収して搬送する回収システム100における搬送負荷が低減される。
各作像装置20(SA,SB,Y,M,C,K)で形成する特殊トナー像STは、上流側に配置の作像装置20(SA,SB,Y,M,C)で形成される特殊トナー像のうち中間転写ベルト31に転写される転写特殊トナー像部分STcと一次転写位置で重ならないようなタイミングで形成することもできるが、実際には感光ドラム21の中間転写ベルト31との周速差により重なってしまうことがある。また、特殊トナー像STの形状パターンについては、各作像装置20の間で、異なるパターンになるよう変更することも可能である。
[実施の形態2]
図12は、実施の形態2の要部を示すものである。実施の形態2に係る画像形成装置1は、トナー放出動作を実行するときの動作条件として特殊トナー像STの濃度を各作像装置どうしの間で異ならせる条件を追加して変更した以外は実施の形態1に係る画像形成装置1と同じものである。
つまり、この画像形成装置1では、制御装置7が、トナー放出動作を実行するとき、図12に示すように、下流側配置の作像装置2Bにおいて形成する特殊トナー像STの濃度を上流側配置の作像装置2Aにおいて形成する特殊トナー像STの濃度よりも薄くする条件を追加する設定をしている。図12に示す特殊トナー像STの濃度は、画像面積率(Cin)で示している。また、上流側配置の作像装置2Aである作像装置20SAで形成する特殊トナー像STの濃度は、例えば、Cin=50%に設定することができる。
また、実施の形態2では、下流側配置の作像装置2Bが複数の作像装置20(SB,Y,M,C,K)を含むので、上記特殊トナー像STの動作条件について、図12に示すように、その下流側配置の作像装置群2Bで形成する各特殊トナー像STの濃度を、各作像装置20(SB,Y,M,C,K)の配置位置が中間転写ベルト31の回転方向Bの下流側の位置になるにつれて順次薄くするように設定している。
この図12に示す条件に基づいてトナー放出動作を実行した場合は、下流側配置の作像装置2Bである作像装置20(SB,Y,M,C,K)で形成される特殊トナー像STに対して各現像装置24で消費されるトナーの量が上流側配置の作像装置2Aである作像装置20SAでのトナー消費量に比べて少なくなり、また下流側配置の作像装置2Bのなかでも配置位置が下流側になるにつれて次第に少なくなる。
これにより、トナー放出動作の実行には、特殊トナー像STの形成に必要なトナー消費量を確実に少なくすることができる。ただし、この場合であっても、下流側配置の作像装置2Bにおけるドラム清掃装置26に供給されるトナー量は、特殊トナー像STの残留部分STbに加えて、上流側の作像装置で発生する特殊トナー像STの転写部分STcの一部が逆転写されて補給されるので、各感光ドラム21における放電生成物の除去は良好になされる。また、各作像装置20におけるドラム清掃装置26で除去されるトナー量とベルト清掃装置36で除去されるトナー量を合計したトナー総量も確実に少なくなるので、その分、それらのトナーを回収して搬送する回収システム100における搬送負荷が確実に低減されるようになる。
[実施の形態3]
図13は、実施の形態3の要部を示すものである。実施の形態3に係る画像形成装置1は、上流側配置の作像装置(群)2Aを複数の作像装置20SA,20SBで構成するとともに、その関係でトナー放出動作を実行するときの動作条件について一部変更した以外は実施の形態2に係る画像形成装置1と同じものである。
つまり、この画像形成装置1では、上流側配置の作像装置2Aについて、最上流に配置される作像装置20SAの他に、2番目の上流位置に配置される作像装置20SBを加えて作像装置群としている。また、制御装置7が、トナー放出動作を実行するとき、図13に示すように、上流側配置の作像装置2Aである2つの作像装置20SA,20SBの条件を同じとし、下流側配置の作像装置2Bである4つの作像装置20(Y,M,C,K)における条件を実施の形態2における作像装置20(SB,Y,M,C)に適用した条件を1つシフトして採用した内容に設定している。
この図13に示す条件に基づいてトナー放出動作を実行した場合は、下流側配置の作像装置2Bである作像装置20(Y,M,C,K)で形成される特殊トナー像STに対して各現像装置24で消費されるトナーの量が上流側配置の作像装置2Aである作像装置20SA,20SBのトナー消費量に比べて少なくなり、また下流側配置の作像装置2Bのなかでも配置位置が下流側になるにつれて次第に少なくなる。
これにより、トナー放出動作の実行には、特殊トナー像STの形成に必要なトナー消費量を確実に少なくすることができる。また、各作像装置20におけるドラム清掃装置26で除去されるトナー量とベルト清掃装置36で除去されるトナー量を合計したトナー総量も確実に少なくなるので、その分、それらのトナーを回収して搬送する回収システム100における搬送負荷が確実に低減されるようになる。
一方、上流側配置の作像装置群2Aである作像装置20SA,20SBでは、特殊トナー像STの形成に必要なトナー消費量が特に少なくならず、また、その特殊トナー像STは殆ど一次転写されて下流側配置の作像装置2B群に供給される。さらに、作像装置20SBの感光ドラム21においても、その上流側に配置される作像装置20SAで形成されて中間転写ベルト31に一次転写された特殊トナー像STの一部が逆転写されることがない。このため、2つの作像装置20SA,20SBにおける感光ドラム21のドラム清掃装置26に供給される特殊トナー像STのトナー量が少なくなる。
しかし、例えば上流側配置の作像装置群2Aである作像装置20SA,20SBが下流側配置の作像装置2Bに比べて、使用頻度が少なく帯電装置22からの放電生成物の発生が少ない場合は、その作像装置20SA,20SBの感光ドラム21に付着する放電生成物の量も相対的に少なくなるので、その感光ドラム21に放電生成物の除去に使用するトナーを多く供給する必要性が低くなる。したがって、このような上流側配置の作像装置群2Aである場合には、実施の形態3における図13に示す条件設定は有効である。
[他の実施の形態]
実施の形態1〜3においては、トナー放出動作を実行するときに、そのトナー放出動作が終了した後、又はその放出動作の開始前及びその動作が終了した後に、回収システム100における回収搬送装置101を強制的に駆動させるように構成することができる。この場合は、制御装置7により、回収制御部73(図8)に制御信号を送信し、その制御対象である回転駆動装置114,118,124,134,144,154を所要の時間だけを駆動させるように設定すればよい。
この場合には、少なくともトナー放出動作が行われたときに、その放出動作において各作像装置20で形成される特殊トナー像STのトナーが、ドラム清掃装置26及びベルト清掃装置36で除去された後に回収搬送装置101(搬送経路)に残存していることがなくなり、容器200まで搬送されて確実に収容される。これにより、トナー放出動作を実行した場合であっても、特殊トナー像STの多めのトナーが回収搬送装置101に残存して搬送負荷を不要に高めることがなくなるので、回収搬送装置101がそのトナーにより目詰まりしてしまうおそれがなくなる。
また、実施の形態1〜3においては、トナー放出動作を実行するときに、回収システム100における回収搬送装置101の搬送速度を画像形成動作におけるその搬送速度よりも速くするように構成することができる。この場合は、制御装置7により、回収制御部73(図8)に制御信号を送信し、その制御対象である回転駆動装置114,118,124,134,144,154の駆動速度を必要な分だけ早めて駆動させるように設定すればよい。なお、トナー放出動作が終了した後は、その回収搬送装置101の搬送速度を画像形成動作における搬送速度に戻すようにする。
この場合には、トナー放出動作が行われたときに、その放出動作において各作像装置20で形成される特殊トナー像STの多めのトナーが、ドラム清掃装置26及びベルト清掃装置36で除去された後に回収搬送装置101で効率よく搬送され、その回収搬送装置101(搬送経路)で残存することなく容器200に収容される。これにより、特殊トナー像STの多めのトナーが発生しても回収搬送装置101の強力な搬送力で搬送されることで搬送経路内に残存して搬送負荷を不要に高めることがなくなるので、回収搬送装置101がそのトナーにより目詰まりしてしまうおそれがなくなる。この構成は、上記強制的な回収搬送装置101の駆動と併せて行うように構成すると、更に有効となる。
この他、画像形成装置1については、トリクル現像方式を採用しない現像装置24を適用したものでもよい。また、画像形成装置1については、複数の作像装置20を直列状に配置するものであれば、その作像装置20の数は他の複数の数であっても構わない。帯電装置22としては、帯電バイアスを印加する帯電ロール等の帯電接触部材を適用する接触型の帯電装置を適用してもよい。また、回収システム100における満杯の予測検出については、例えば、収容量が設定量L1に達した後の画像形成枚数の累積情報(累積枚数)が予め設定する閾値を超えるか否かを判断するという構成などを採用することもできる。