以下、この発明を実施するための形態(以下「実施の形態」という)について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態1]
図1は実施の形態1に係る画像形成装置の概要を示し、図2はその画像形成装置における一部(作像装置及び現像剤補給システム)を示し、図3はその画像形成装置における他の一部(廃棄トナー回収システム)を示している。
<画像形成装置全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えばカラープリンタとして構成されている。この画像形成装置1は、図1に示されるように、筐体10の内部空間に、被記録材の一例としての記録用紙9にトナーで構成される画像を形成して出力する画像出力部2と、画像出力部2に供給すべき所要の記録用紙9を収容して送出する給紙部4と、画像出力部2で不要になるトナーを廃棄トナーとして収集した後に回収する廃棄トナー回収システム100と、制御装置7等が設置されている。図中の一点鎖線は、筐体10内において記録用紙9が主に搬送される搬送経路を示す。
画像出力部2は、公知の電子写真方式、静電記録方式等の画像記録方式を利用してトナー(着色等がされた微粉体)で現像されるトナー像を形成する複数の作像装置20と、各作像装置20で形成された各トナー像を一次的に保持して記録用紙9に転写する中間転写装置30と、中間転写装置30でトナー像が転写された記録用紙9を通過させてトナー像の定着を行う定着装置45等で主に構成されている。また、給紙部4は、記録用紙9を収容して送出する給紙装置40と、給紙装置40から送出される記録用紙9を中間転写装置30の二次転写部まで搬送する給紙路とで主に構成されている。
画像出力部2の作像装置20は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(黒:K)の4色のトナー像と特別色SA,SBの特別色トナー像をそれぞれ専用に形成することができる6つの作像装置20Y,20M,20C,20K,20SA,20SBで構成されている。6つの作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)は、筐体10の内部空間において直列に並べた状態となるよう配置されている。また、各作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)は、以下に示すようにほぼ共通した構成のものである。
各作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)は、図1や図2に示すように、回転する感光ドラム21を備えており、この感光ドラム21の周囲に、次のような各装置が主に配置されている。その主な装置とは、感光ドラム21の周面(厳密には帯電と潜像の形成とが可能な像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置22と、感光ドラム21の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する露光装置23と、その静電潜像を対応する色(Y,M,C,K,SA,SB)の現像剤のトナーで現像して可視像であるトナー像とする現像装置24(Y,M,C,K,SA,SB)と、そのトナー像を中間転写装置30(の中間転写ベルト)に転写する一次転写装置25と、転写後の感光ドラム21の周面に残留して付着するトナー等の付着物を除去するドラム清掃装置26とである。
感光ドラム21は、接地処理される円筒又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものであり、図示しない回転駆動装置(図6:回転駆動部16)から動力を受けて矢印で示す方向に回転する。帯電装置22は、感光ドラム21の表面に接触した状態で配置されるとともに帯電バイアスが供給される帯電ロール等の接触部材を備えた接触型の帯電装置である。帯電バイアスとしては、現像装置24が反転現像を行うものである場合、その現像装置から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が図示しない帯電用電源部から供給される。
露光装置23は、画像形成装置1に入力される画像の情報に応じて構成される光(矢付き点線)を、帯電された後の感光ドラム21の像保持面に対して照射して静電潜像を形成するものである。露光装置22としては、半導体レーザとポリゴンミラー等の光学部品を用いて構成される走査型のものを使用しているが、その他にも、例えば、発光ダイオードと光学部品等を用いて構成される非走査型の露光装置を使用してもよい。
この露光装置23には、画像形成装置1に入力されるプリント対象となる画像の情報について図示しない画像処理装置12(図6:画像処理部)で必要な画像処理が施され、その処理後に得られる各色成分の画像信号が図示しない露光駆動部に送信されるようになっている。画像形成装置1には、画像読取装置や、パーソナルコンピュータ等の情報端末や、記憶媒体の読み書き装置等の図示しない画像情報機器が接続通信部13を介して接続可能となっており、その画像情報機器から画像の情報が入力される。
現像装置24(Y,M,C,K,SA,SB)はいずれも、図2等に示すように、所要の色成分等からなる非磁性トナー8と磁性キャリアを含む二成分現像剤80を収容する現像剤収容器24aを有しており、その現像剤収容器24aの内部に、その二成分現像剤80を回転しながら保持して感光ドラム21と近接して対向する現像領域に搬送する現像ロール24bや、その収容されている現像剤8を回転して攪拌しながら現像ロール24bに搬送する攪拌搬送部材24cや、現像ロール24bに保持される現像剤の量(層厚)を規制する層厚規制部材24d等が配置されて構成されている。
また、現像装置24(Y,M,C,K,SA,SB)はいずれも、その現像ロール24bに現像バイアスが供給されるとともに、その現像ロール24b及び攪拌搬送部材24cが図示しない回転駆動装置(図6:回転駆動部16)からの動力を受けて所要の方向に回転させられる。各現像装置24における二成分現像剤80のトナー8は、現像剤収容器24a内において攪拌搬送部材24cにより攪拌されながら搬送されることでキャリアと擦れ合い、これにより所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)に摩擦帯電される。また、特別色SA,SBの二成分現像剤80におけるトナー8は、例えば、上記4色では表現が困難又は不可能であった色材等で構成される。具体的には、上記4色以外の色のトナー、点字用の発泡性トナー、蛍光色トナー、光沢を向上させるトナー等である。
さらに、現像装置24(Y,M,C,K,SA,SB)は、図2に示すように、現像剤の補給システム5により、各二成分現像剤80が補給されるようになっている。補給システム5は、4色(Y,M,C,K)及び特別色(SA,SB)の補給現像剤(磁性キャリアを含む非磁性トナー8)85をそれぞれ収納する現像剤カートリッジ50(Y,M,C,K,SA,SB)と、各現像剤カートリッジ50の補給現像剤85を各現像装置24にそれぞれ必要な時期に必要な量だけ搬送する補給装置53(Y,M,C,K,SA,SB)とで構成されている。現像剤カートリッジ50は、筐体10に設けられるカートリッジ装着部に対して着脱して容易に交換できる着脱交換式になっている。
補給装置53はいずれも、各現像剤カートリッジ50の排出口から排出される補給現像剤を受け入れて一時的に貯留するとともに、その貯留されている補給現像剤を各現像装置24にむけてそれぞれ送り出すものである。各補給装置53から送り出される補給現像剤は、接続搬送装置56を通して各現像装置24に搬送される。
図2等における符号52は、現像剤カートリッジ50内の補給現像剤85を排出口にむけて搬送する搬送部材51を回転駆動させる駆動装置である。符号57は、補給装置53内に貯留されている補給現像剤85の一部を送出口にむけて送り出す送出部材54等を回転駆動させる駆動装置であり、符号55は、補給装置53内に貯留されている補給現像剤85を攪拌しながら送出部材54の付近を通過させるよう循環搬送する攪拌搬送部材である。また、符号58は、補給装置53内に貯留されている補給現像剤の設定値以上の有無を検出する残量検出センサであり、符号29は、現像装置24内に収容されている二成分現像剤80のトナー濃度(二成分現像剤80中におけるトナー8の割合)を検出するトナー濃度検出センサである。
さらに、現像装置24(Y,M,C,K,SA,SB)は、その現像剤収容器24aに収容されている二成分現像剤80のキャリアの劣化に対処するため、その二成分現像剤80の一部(磁性キャリアとそれに付着する非磁性トナー8)を廃棄トナー(キャリアを含むトナー)として現像装置24の外部に排出させる方式、いわゆるトリックル現像方式を採用している。この二成分現像剤80の一部の排出は、現像剤収容器24aの一端部において攪拌搬送部材24cで搬送される現像剤のうち所定の高さを超える分のものを溢れ出し口から排出させて収集する溢れ出し構造部24e(図2)により行われる。各現像装置24から排出される廃棄トナー(83)は、最終的に廃棄トナー回収システム100により回収される。
一次転写装置25は、感光ドラム21の周面に接触して回転するとともに一次転写バイアスが供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。一次転写バイアスとしては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧等が印加される。この一次転写装置25は、中間転写装置30を構成するものとして扱ってもよい。ドラム清掃装置26は、一次転写位置を通過した後の感光ドラム21の周面に接触して残留トナー等の付着物を除去する弾性ブレード26aと、弾性ブレード26aで除去したトナー等の付着物を廃棄トナー(81)として収集して廃棄トナー回収システム100に送り出すよう駆動する送出部材26b等で構成されている。
画像出力部2の中間転写装置30は、図1等に示すように、各作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)の下方の位置に存在するように配置される。この中間転写装置30は、感光ドラム21と一次転写装置25(一次転写ロール)の間となる一次転写位置を通過しながら矢印で示す方向に回転する中間転写ベルト31と、中間転写ベルト31をその内面から所望の状態に保持して回転自在に支持する複数の支持ロール32a〜32fと、支持ロール32eに支持されている中間転写ベルト31の外周面部分に所定の圧力で接触して回転する二次転写ロール35と、二次転写ロール35を通過した後に中間転写ベルト31の外周面に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を除去するベルト清掃装置36とで主に構成されている。
中間転写ベルト31としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボン等の抵抗調整剤を分散した材料を用いて所定の厚さからなる無端状のベルトに形成されたものが使用される。支持ロール32aは駆動ロールとして、支持ロール32cは張力付与ロールとして構成されている。支持ロール32e(又は二次転写ロール35)には、二次転写バイアスが供給される。二次転写バイアスとしては、トナーの帯電極性と同極性(又は逆極性)を示す直流の電圧等が供給される。ベルト清掃装置36は、二次転写位置を通過した後の中間転写ベルト31の外周面に接触して残留トナー等の付着物を除去する弾性ブレード36aと、弾性ブレード36aよりも回転方向上流側で中間転写ベルト31の外周面に接触して付着物を除去する回転ブラシ36bと、弾性ブレード36a及び回転ブラシ36bで除去したトナー等の付着物を廃棄トナー(82)として収集して廃棄トナー回収システム100に送り出すよう駆動する送出部材36c等で構成されている。
画像出力部2の定着装置45は、筐体46の内部に、矢印で示す方向に回転するとともに表面温度が所定の温度に保持されるように加熱手段によって加熱される加熱回転体47と、この加熱回転体47の軸方向にほぼ沿う状態で所定の圧力で接触して従動回転する加圧用回転体48とを設置したものである。この定着装置45でトナー像の定着が終了して画像が形成された記録用紙9は、複数の搬送ロール対や搬送ガイド材で構成される排出搬送路を通して筐体10等に設置される排出部に搬送されて収容される。
給紙部4の給紙装置40は、中間転写装置30の下方側の位置に存在するように配置される。給紙装置4は、筐体10の正面(操作者が使用時に向き合う側面)側に引き出すことができるように取り付けられ、所望のサイズ、種類等の記録用紙9を積載した状態で収容する単数(又は複数)の用紙収容体41と、用紙収容体41から記録用紙9を1枚ずつ送り出す送出装置42とで主に構成されている。また、給紙部4の給紙路43は、給紙装置40の送出装置42と中間転写装置30の二次転写位置(中間転写ベルト31と二次転写ロール35の間)との間を接続する状態で配置される、複数の用紙搬送ロール対43a,43b,43c,…や搬送ガイド材で構成されている。
制御装置7は、演算処理装置、記憶素子及び装置、制御装置、入出力装置等で構成されるものであり、その記憶素子に格納される制御プログラム及びデータに基づいて所要の制御動作を実行するようになっている。記憶素子及び記憶装置は、ROM,RAM等の記憶素子や磁気ディスク装置等の外部記録装置で構成されている。
制御装置7には、図6に示されるように、前述したトナー濃度センサ29等の検出器や、画像処理装置12や、外部接続通信部13や、各種の情報の入力や表示を行う入力・表示装置(操作パネル等)14が接続されており、その各接続相手から制御に必要な情報がそれぞれ入力されるようになっている。また、制御装置7には、画像出力部2を構成する作像装置20、中間転写装置30及び定着装置45の動作を制御する画像出力部制御部71や、後述する廃棄トナー回収システム100の動作を制御する回収システム制御部72や、画像処理装置12や、接続通信部13や、入力・表示装置14等と接続されており、その各接続相手の各動作に必要な制御信号をそれぞれ送信するようになっている。
このうち画像出力部制御部71は、例えば、画像出力部2を構成する各装置において回転駆動する構成部品に必要な回転動力を発生させる回転駆動部16と接続されており、その回転駆動部16に対して回転駆動に関する制御信号を送信するようになっている。回転駆動部16は、モータ、駆動伝達機構等で構成されている。
<画像形成装置の各動作>
この画像形成装置1においては、以下に説明する基本的な画像形成動作が行われる。ここでは、画像出力部2における4つの作像装置20(Y,M,C,K)のすべてを使用して形成する4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成する画像形成動作のパターン(フルカラーモード)を説明する。
前記した画像情報機器などから外部接続通信部13を通して制御装置7に画像形成動作(プリント)の要求の指示があると、画像出力部2や給紙部4等が始動し始める。画像出力部では、4つの作像装置20(Y,M,C,K)において、各感光ドラム21が矢印で示す方向に回転し、各帯電装置22がその各感光ドラム21の周面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電させる。続いて、露光装置23が、帯電後の感光ドラム21の周面に対し、画像処理装置12から送信された各色成分(Y,M,C,K)に分解された画像データに基づいて発光される光を照射して露光を行い、所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。
続いて、各現像装置24(Y,M,C,K)が、感光ドラム21に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,K)のトナーを供給して静電的に付着させる。これにより、各感光ドラム21上の各色成分の静電潜像は、各現像装置24を通過することにより、その対応する色のトナーでそれぞれ現像されて4色(Y,M,C,K)のトナー像として顕像化される。
次いで、各作像装置20(Y,M,C,K)の感光ドラム21上に形成された各色のトナー像が、一次転写装置25により、中間転写装置30の中間転写ベルト31に対して順番に重ね合わるようにして一次転写される。また、中間転写装置30は、中間転写ベルト31に一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置まで搬送した後、給紙部4の給紙装置40から給紙路43を経由して搬送されて送り込まれる記録用紙9に二次転写ロール34が一括して二次転写させる。
次いで、トナー像が二次転写された記録用紙9は、中間転写ベルト31から剥離された後に定着装置45に導入されて必要な定着処理(加熱及び加圧)を受けてそのトナー像が定着され、これにより画像が形成される。最後に、定着後の用紙9は、その片面への画像の形成を行うだけの画像形成動作の場合には、例えば筐体10に形成される図示しない排出収容部に排出されて収容される。
以上の画像形成動作により、画像出力部2から4色のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像が形成された記録用紙9が出力される。複数枚の画像形成動作が要求されている場合には、以上の画像形成動作がほぼ同様に繰り返される。
また、この画像形成装置1においては、前記特別色SA,SBのトナー像を形成する場合、その作像装置20SA,20SBにおいて前述した作像装置20(Y,M,C,K)と同様の動作が行われることにより各感光ドラム21に特別色SA,SBのトナー像が形成される。この作像装置20SA,20SBで形成された特別色SA,SBのトナー像は、中間転写装置30により最終的に記録用紙9に(例えば、他の色のトナー像と併せて)転写された後、定着装置45において定着される。また、画像形成装置1では、現像装置24におけるトナー濃度検出センサ29の検出結果が予め設定する設定値以下になると、補給装置53が所要の時間だけ作動して各現像剤カートリッジ50から現像剤を補給対象となる現像装置24に補給する動作が行われる。
さらに、この画像形成装置1においては、その画像形成動作等の実行中に、図3に示されるように、画像出力部2の各作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)における各感光ドラム21の一次転写後の周面に残留するトナー等の不要物がドラム清掃装置26により除去されて収集された後に廃棄トナー81として排出され、また、画像出力部2の中間転写装置30における中間転写ベルト31の外周面に残留するトナー等の不要物がベルト清掃装置36により除去されて収集された後に廃棄トナー82として排出される。また、各作像装置20における各現像装置24(Y,M,C,K,SA,SB)では、前記したトリックル現像方式により二成分現像剤80の一部が溢れ出し構造部24eから溢れ出て収集された後に廃棄トナー83として外部に排出される。
このとき、ドラム清掃装置26では廃棄トナー81として一次転写されなかった未転写のトナーが最も多く除去され、ベルト清掃装置36では廃棄トナー82として二次転写されなかった未転写のトナーが最も多く除去される。また、各現像装置24では廃棄トナー83として、キャリアとそのキャリアに付着するトナーとが排出される。
そして、画像形成装置1では、このようにドラム清掃装置26及びベルト清掃装置36で収集されて排出される廃棄トナー81,82と各現像装置24で収集されて排出される廃棄トナー(キャリアを含む)83の双方が、後述する廃棄トナー回収システム100により回収される。
<廃棄トナー回収システムの構成>
次に、廃棄トナー回収システム100について説明する。
廃棄トナー回収システム100は、図3等に示すように、画像出力部2における各ドラム清掃装置26、ベルト清掃装置36及び各現像装置24(の溢れ出し構造部24e)からそれぞれ排出される廃棄トナー(主にトナー)81〜83を最終的にまとめて収容する1つの回収容器200と、その各ドラム清掃装置26、ベルト清掃装置36及び各現像装置24からそれぞれ排出される廃棄トナー81〜83を収集しながら回収容器200まで移送する移送装置102とで構成されている。
移送装置102は、各作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)のドラム清掃装置26及び現像装置24からそれぞれ排出される廃棄トナー81,83を1つにまとめて移送する第1移送装置110と、中間転写装置30のベルト清掃装置36から排出される廃棄トナー82を搬送する第2移送装置120と、第1移送装置110及び第2移送装置120で移送される各廃棄トナー81〜83を1つにまとめて移送する第3移送装置130と、第3移送装置130で移送される廃棄トナー81〜83を最終的に回収容器200まで移送する第4(最終)移送装置140とを備えている。
このうち第1移送装置110は、筐体10の後方側の部位において各作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)の下方になる位置にほぼ水平の状態(座標軸Xで示す方向に沿う状態)に配置される第1移送管112と、第1移送管112の断面円形状の内部空間で回転して廃棄トナー81,83をその移送方向の下流側にむけて搬送する搬送部材113と、搬送部材113に回転動力を伝える第1駆動装置114とで構成されている。移送方向は、図3等において第1移送管112の付近に記載した矢印で示す方向である(これ以降の各移送管における移送方向も同様である。)。
第1移送装置110の第1移送管112には、各作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)におけるドラム清掃装置26の廃棄トナー排出口及び現像装置24の廃棄トナー排出口との間をそれぞれ接続して廃棄トナー(81,83)を移送する接続移送装置115(Y,M,C,K,SA,SB)が接続されている。この接続移送装置115はいずれも、各作像装置20におけるドラム清掃装置26の排出口及び現像装置24の排出口と第1移送管112との間を接続するようにほぼ上下の方向(座標軸Yの鉛直方向)にそった状態で配置される管状部材116と、管状部材116の内部空間において上下の方向に振動するよう進退して内壁に付着する廃棄トナー等を取り崩す崩し部材117と、崩し部材117を進退運動させるための動力を伝える駆動装置118とで構成されている。崩す崩し部材117としては、例えば、回転軸がなく線材を螺旋状に巻いたコイルスプリングが使用される。
第2移送装置120は、筐体10の後方側の部位において中間転写装置30のベルト清掃装置36の下方になる位置にほぼ水平の状態になる状態で配置される第2移送管122と、第2移送管122の断面円形状の内部空間で回転して廃棄トナー82をその移送方向下流側に移送する図示しない搬送部材123と、搬送部材123に回転動力を伝える第2駆動装置124とで構成されている。第2移送装置120における移送方向の下流側は、第1移送装置110の第1移送管112の下流端側の端部と接合されて内部空間が互いに接続されている。
第2移送装置120の第2移送管122には、ベルト清掃装置36の廃棄トナー排出口との間を接続して廃棄トナー82を移送する接続移送装置125が接続されている。接続移送装置125は、ベルト清掃装置36の排出口と第2移送管122との間を接続するようにほぼ上下の方向にそった状態で配置される管状部材で少なくとも構成されている。ちなみに、第2移送装置120は、第3移送装置130がベルト清掃装置36よりも作像装置20側と反対側に配置される場合には、その設置が不要となり、例えば接続移送装置125を第1移送装置110の第1移送管112の一部に接続した構成にすればよい。また、第2移送装置120は、ベルト清掃装置36がない場合(画像出力部2が中間転写方式を採用しない方式の場合)には不要になることは言うまでもない。
第3移送装置130は、第1移送装置110の第1移送管112と第2移送装置120の第2移送管122の接合部から重力方向(座標軸Yにほぼ沿う方向)の下方側に存在する第4移送装置140にむけてほぼ上下の方向にそった状態で配置される管状部材132と、管状部材132の内部空間において上下の方向に進退して内壁に付着する廃棄トナー(81〜83)を取り崩す崩し部材(コイルスプリングなど)133と、崩し部材133を進退運動させるための動力を伝える第3駆動装置134とで構成されている。
第4移送装置140は、第3移送装置130の管状部材132の下部と回収容器200の受け口とを少なくとも接続するよう全体がほぼ水平の状態になるよう配置される第4移送管142と、第4移送管142の断面円形状の内部空間で回転して廃棄トナー81〜83をその移送方向の下流側(実際には後述する排出口)にむけて搬送する搬送部材143と、搬送部材143に回転動力を伝える第4駆動装置144とで構成されている。
この移送装置102における第1移送管112、第2移送管122及び第4移送管142としては、例えば円筒パイプが使用されている。第3移送管132としては、例えば内部空間が下方になるほど断面円形の径が次第に小さいくなる形状の管状部材が使用されている。
このうち第1移送管112については、その上面部のうち各接続移送装置115の管状部材116と接続する部分に、各作像装置20のドラム清掃装置26及び現像装置24から管状部材116を通して排出される廃棄トナーをそれぞれ受け入れる複数の接続口(受け口)が所要の間隔をあけて設けられている。第2移送管122については、その上面部のうち接続移送装置125の管状部材と接続する部分に、ベルト清掃装置36からその管状部材を通して排出される廃棄トナーを受け入れる接続口(受け口)が設けられている。
また、第4移送管142については、図4に示されるように、その上面部のうち第3移送装置130の管状部材132と接続する部分に、その管状部材132を通して移送される廃棄トナー81〜83を受け入れる接続口(受け口)142aが設けられている。しかも、第4移送管142については、その重力方向下流側になる下面部のうち回収容器200の受け口と接続する部分に、その第4移送管142を通して移送される廃棄トナーを回収容器200に落下させて排出させる排出口142bが設けられている。
第4移送管142の排出口142bが存在する部分には、その排出口142bを開閉する開閉シャッター148が設けられている。開閉シャッター148は、排出口142bと対応する大きさの貫通部148aとそれを塞ぐ非貫通部を有する板状部材であって第4移送管142の下面部に変位自在に取り付けている。また、開閉シャッター148は、回収容器200の着脱作業に連動して(容器200の受け口210がシャッター148の一部に接触又は離間することにより)変位し、これにより排出口142bを開閉するようになっている。
また、移送装置102における搬送部材113、123、143としては、図4に搬送部材143を代表して示すように、円柱棒状の回転軸145の周囲に螺旋状に巻き付いた形成の搬送羽根146を形成した基本構造のスクリューオーガーを使用している。図4における符号149は、回転軸145の一端部に固定されたギアであり、第4駆動装置144からの回転動力が伝達されるものである。
回収容器200は、図3、図5等に示すように、その外観がほぼ長方体の形状からなる容器であり、その上面部201に廃棄トナー(81〜83)を受け入れる受け口210が形成され、その1つの側面部202に取っ手部220が形成されている。
また、この回収容器200は、画像形成装置1の筐体10の下部に形成された容器装着部に着脱自在に装着されて容易に交換できる形式(着脱可能な容器)になっている。すなわち、回収容器200は、図5に例示されるように、容器装着部に設けられた装着枠15に回収容器200を嵌め入れて、その受け口210が回収システム100の第4搬送装置140における第4移送管142の排出口142b(本例には排出管147及び開閉シャッター148)の下方に存在して接続された状態に保たれることで装着される。また、回収容器200は、装着枠15から取り出して、その受け口210を第4移送管142の排出口142bとの接続状態から解除させることで取り外される。
また、回収容器200は、その着脱作業を行うことにより、その着脱作業に連動して第4移送管142における排出口142bの開閉シャッター148による排出口142bの開閉ができるようになっている。具体的には、例えば、回収容器200を装着するときには、その受け口210の一部などが開閉シャッター148に接触して押すことにより、開閉シャッター148が排出口142bを開ける位置に変位する。また、回収容器200を取り外すときには、その受け口210の一部などが開閉シャッター148に接触して押しつける状態が解除されることにより、開閉シャッター148が排出口142bを閉じる位置に変位する。
また、筐体10の容器装着部には、回収容器200が装着されたときに、容器200の取っ手部220が形成された側面部202とは反対側の側面部203と対峙する部位に、回収容器200内に収容される廃棄トナー(81〜83)が所定の収容量(完全に満杯にる少し手前の量)になるまで収容されたことを検出する満杯検出センサ107が設けられている。満杯検出センサ107としては、例えば、廃棄トナーに含まれる前記二成分現像剤80の磁性キャリアの透磁率を測定することにより、その収容された非磁性トナー及び磁性キャリアの収容量が所定の収容量以上になったことを検出する透磁センサが使用されるが、特にこれに限定されない。
回収システム100では、満杯検出センサ107による満杯の検出が行われると、その検出の時点では回収容器200が完全な満杯の状態に達しておらずもう少し収容できる余裕を残した状態であるので、まず画像形成装置1の使用者に回収容器200を交換する必要があることを促すための告知を行うようになっている(例えば入力・表示装置14や外部接続機器の画面に警告メッセージを表示する)。
さらに、筐体10の容器装着部には、図5等に示されるように、回収容器200が装着されたことと回収容器200が取り外されたことを検出する着脱検出センサ108が設けられている。着脱検出センサ108としては、回収容器200の着脱時における容器の有無を直接検出する方式のものが使用される。また、着脱検出センサ108は、その他にも例えば、上記開閉シャッター148の開閉時に変位する状態又は位置を検出して回収容器200の着脱を間接的に検出するものであってもよい。
前記制御装置7には、図6に示されるように、上述した満杯検出センサ107及び着脱検出センサ108が接続されており、その各検出結果がそれぞれ送信されるようになっている。また、制御装置7に接続されている回収システム制御部72は、移送装置102における各駆動装置114、118、124,134、144等で構成される回転駆動部17と接続されており、その回転駆動部17に対して各駆動装置の回転駆動に関する所要の制御信号を送信するようになっている。
<廃棄トナー回収システムの基本的な動作>
この回収システム100は、基本的に以下のように作動する。
回収システム100は、少なくとも前述の画像出力部2による画像形成動作が実行されている時期に併せて作動する。つまり、回収システム100は、画像形成動作が開始されると、移送装置102における各駆動装置110,120,130,140が始動して各搬送部材やほぐし部材がそれぞれ回転又は進退運動し始める。
まず、移送装置102の第1移送装置110においては、各作像装置20の清掃装置26及び現像装置24からそれぞれ排出される廃棄トナー81,83が、各接続搬送装置115(Y,M,C,K,SA,SB)の管状部材116の内部空間をそれぞれ通して落下し、第1移送管112に各接続口を通して受け入れられて集められた後、回転駆動する搬送部材113により第1移送管112の内部空間を矢印で示す移送方向に移動するよう搬送される。また、移送装置102の第2移送装置120においては、中間転写装置30のベルト清掃装置36から排出される廃棄トナー82が、接続搬送部125の管状部材を通して自然落下し、第2移送管122に接続口を通して受け入れられた後、回転駆動する搬送部材123により第2移送管122の内部空間を矢印で示す移送方向に移動するよう搬送される。
続いて、移送装置102の第3移送装置130においては、第1移送装置110及び第2移送装置120で各移送方向にそれぞれ移送されて一箇所(結合部)に集められた廃棄トナー81〜83が、管状部材133を通して落下し、第4移送装置140の第4移送管142に接続口142aを通して受け入れられる。ここで、第1移送装置110、第2移送装置120及び第3移送装置130における各管状部材では、各ほぐし部材117,133により落下する各廃棄トナー81〜83をほぐして凝集した状態などを消失させている。
次いで、移送装置102の第4移送装置140においては、第4移送管142に受け入れられた廃棄トナー81〜83を、第4移送管142の内部空間で回転駆動する搬送部材143により矢印で示す移送方向に移動するよう搬送し、第4移送管142の排出口142bに達したところで落下させる。これにより、その廃棄トナー81〜83が回収容器200の受け口210を通してその収容空間内にまとめて収容する。
以上の回収動作により、各作像装置20の清掃装置26及び現像装置24(溢れ出し構造部24e)からそれぞれ排出される廃棄トナー81,83と、中間転写装置30のベルト清掃装置36から排出される廃棄トナー82とが、移送装置102により収集されて回収容器200まで移送され、最終的に回収容器200に収容されることで回収される。
また、この回収システム100では、回収容器200に収容される廃棄トナー(81〜83)の収容量が所定の量に達すると、その状態が満杯検出センサ107で検出される。そして、この満杯検出センサ107による満杯検出がなされると、制御装置7の制御動作により、画像形成装置1の使用者に回収容器200を交換する必要があることを促すための警告メッセージを例えば入力・表示装置14に表示される。さらに、この交換の告知がなされた後の回収容器200の交換作業は、容器の着脱検出センサ108で回収容器200の取り外し及び取り付けが1セットで検出されることにより、実行されて完了したことが認識される。
<画像形成装置1(回収システム100)の詳細な構成>
ところで、この画像形成装置1では、画像出力部2等による画像形成動作が実行されているときに、使用者が回収容器200の交換を促す警告メッセージに従って回収容器200を取り外した場合には、回収システム100に関して次の事情が存在する。
つまり、回収システム100では、その場合において回収容器200が取り外されると、回収容器200の取り外し作業に連動して開閉シャッター148が変位することにより第4移送装置140の第4移送管142における排出口142bが閉じた状態にされる。またこの場合、画像出力部2では、画像形成動作が実行されているため、その画像出力部2の収容部(ドラム清掃装置26、現像装置24の溢れ出し構造部24e、ベルト清掃装置36)から廃棄トナー(81〜83)が排出され続け、その廃棄トナー(81〜83)を回収システム100が移送装置102により回収容器200にむけて移送し続けることになる。このため、回収容器200の交換作業(実際には次の回収容器200が装着されるまでの作業)時に、移送装置102における移送管では、廃棄トナー(81〜83)が排出口142bから排出されて回収容器200に収容されないので、特に最終段階の移送官である第4移送管142に廃棄トナーが収集されて蓄積されるようになり、最終的に第4移送管142がその廃棄トナーにより詰まってしまうおそれがある(図14参照)。
この対策としては、画像形成動作の実行中に回収容器200が取り外されたときには、その実行していた画像形成動作を一旦停止させる対策を採ることが考えられる。
ここで、実施の形態1に係る画像形成装置1は、回収容器200を1つ装着して使用するものであり、複数の回収容器を装着して使い回す構成を採用していない。このため、例えば、複数の回収容器を備えた構成の場合のように、1つの回収容器が満杯になった段階で廃棄トナーの収容先を別の回収容器に切り替えることで、移送管の廃棄トナーによる詰まりを回避し、しかも、その間に満杯になった回収容器の取り外しを可能にするという対応ができない。また、画像形成装置1は、移送装置102で移送される廃棄トナーを回収容器に収容する前に一時的に貯留することができるバッファ手段を備えていない。このため、そのバッファ手段を備えた構成の場合のように、回収容器200を取り外した後に次の回収容器200が装着されるまでの間だけ廃棄トナーをバッファ手段に収容することで、移送管の廃棄トナーによる詰まりを回避するという対応ができない。
しかし、上記画像形成動作を一旦停止させる対策を採用した場合には、実行中の画像形成動作が中断されることになるので、画像形成の生産性が悪くなる。
そこで、この回収システム100を備えた画像形成装置1においては、図6に示されるように、画像形成動作(回収シシテム100の移送装置102の搬送部材の動作を含む)中に回収容器200が交換作業のために取り外されたとき、制御装置7が、移送装置102の搬送部材の回転速度Sを回収容器200が取り外される前の回転速度Snよりも遅い速度である低速SL(<Sn)に変更する制御を行うよう構成されている。
実施の形態1では、制御装置7が上記低速SLに変更する制御を行う移送装置102の搬送部材として、第4移送装置140の第4移送管142に配置されている搬送部材143のみを対象にしている。これは、画像出力部2から排出されるすべての廃棄トナー(81〜83)がまとめて搬送されている搬送部であって、開閉シャッター148のある排出口142bの直前の搬送部であることにより最も廃棄トナーの詰まりが発生しやすい箇所であるため、廃棄トナーの詰まりを効果的に抑制することが可能であるとの観点から選択している。なお、回転速度を低速SLに変更する搬送部材としては、第4移送管142の搬送部材143のほかに、第1移送管112の搬送部材113や第2移送管122の搬送部材123を対象に加えても構わない。
また、制御装置7が変更する低速SLは、回収容器200が取り外されて排出口142bが開閉シャッター148で閉じられた後に次の回収容器200が装着されるまでの間(時間)において、少なくとも低速SLで回転駆動する搬送部材143を有する第4移送管142が廃棄トナー(81〜83)により詰まるおそれのない速度であればよく、例えば確認試験等で設定することが可能である。
ちなみに、変更する低速SLは、回収容器200が取り外される前の回転速度(平常速)Snの5%以上20%以下の範囲内になる速度であることが好ましい。この低速SLの好ましい範囲の下限値については、例えば、低速SLで回転駆動する搬送部材143による単位時間当たりの廃棄トナー(81〜83)の搬送量Jが、第4移送管142の第3移送管132から単位時間当たりに受け入れる廃棄トナー(81〜83)の最大の供給量Eと同等又はそれよりも多くなる関係(J≧E)を満たす回転速度になるよう設定すればよい。実施の形態1では、上記供給量Eについて、第4移送管142の受け口142a(図4)から受け入れられる廃棄トナー(81〜83)の総量を対象にしている。また、その最大の供給量Eは、実質的にはドラム清掃装置26、ベルト清掃装置36及び現像装置24から排出される廃棄トナー81〜83の合計量のうち最大のものになる。このような最大の供給量Eは、画像形成装置1において予め想定される画像形成動作の各種類から判断して予め設定される(例えば画像面積率が高い特殊画像を形成し、その特殊画像を一次転写せずにドラム清掃装置26ですべて除去する動作のときに想定される供給量とする)。
さらに、制御装置7では、回収容器200を取り外したときからの経過時間tが予め設定する閾値時間Txを超えたときに、実行中の画像形成動作を強制的に停止させる制御を行うように構成されている。このときの閾値時間Txとしては、回収容器200を取り外した後に回収容器200が改めて装着されるまでの時期において、移送装置102の第4移送管142の全体が廃棄トナー(81〜83)で満たされるまでの所要時間Taと第4移送管142の排出口142bが廃棄トナー(81〜83)で詰まるまでの所要時間Tbのうちで少ない方の所要時間(Ta又はTb)を適用すればよい。このときの所要時間Taと所要時間Tbは、例えば、その各廃棄トナーの移送に関係にする移送装置102の移送管の搬送部材を低速SLで回転駆動させたときに実際に詰まるまでの所要時間を計測することで算出することができる。
以下、この画像形成装置1(回収システム100)の詳細な構成による動作について説明する。
図7に示すように、制御装置7は、画像形成装置1における画像形成動作の実行中に、回収システム100における満杯検出センサ107により回収容器200の満杯が検出され(ステップ10:以下、単に「S10」と表示することもある。他のステップの表示も同様とする。)、その回収容器200の交換を促す警告メッセージの表示等の告知をした後(S11)、着脱検出センサ108により回収容器200の取り外しが検出されると(S12)、移送装置102における第4搬送管142に配置された搬送部材143の回転速度を平常速Snから低速SLに変更する制御を行う(S13)。
この搬送部材143の回転速度に関する制御装置7の制御動作は、回収システムの制御部72を通して回転駆動部17に所要の制御信号が送信することで実行される。この結果、第4搬送管142の搬送部材143を回転駆動する駆動装置114の回転出力が低速SLに変更されることになる。この回転速度の変更に関する制御が行われた際には、第1移送装置110及び第2移送装置120における各搬送部材113,123の回転速度は変更(減速)されず、また、ほぐし部材117,133の駆動速度も変更されない。さらに、回収容器200を取り外した際には、その取り外し操作に連動して開閉シャッター148が所要の位置に変位するので、第4移送管142の排出口142bが開閉シャッター148によって塞がれた状態になる。
これにより、第4搬送装置140においては、第4移送管142の搬送部材143の回転速度が平常速Snから低速SLに減速されて搬送部材143の搬送速度が低下する。このため、第4移送管の受け口142aから取り入れられる廃棄トナー81〜83は、図8に例示するように、平常速Snで回転するときの搬送部材143における搬送羽根146のピッチ間になる空間に保持される量(嵩)よりも(図8a)、低速SLで回転する搬送部材143の搬送羽根146のピッチ間になる空間に保持される量の方が相対的に多くなる(図8b)。
この結果、画像形成動作が実行されている画像出力部2から排出され続ける廃棄トナー81〜83は、第1移送装置110、第2移送装置120及び第3移送装置140を通して第4移送装置140の第4移送管142に移送され続けるが、搬送部材143が低速SLで回転する第4移送管142の内部空間(搬送部材143を除く空間)に滞留して一時的に蓄えられた状態になる。
したがって、この画像形成装置1においては、画像形成動作の実行中に回収容器200を取り外すことがあっても、回収システム100における移送装置102の移送管が廃棄トナー81〜83によりすぐに詰まることがない。また、搬送部材143の低速SLの下限値について、前述した低速SLで回転駆動する搬送部材143による搬送量Jが、第4移送管142の第3移送管132から受け入れる廃棄トナー(81〜83)の最大の供給量Eと同等又はそれよりも多くなる関係(J≧E)を満たす回転速度に設定している場合には、その受け入れられる廃棄トナー81〜83の供給量E(供給速度)に劣らない搬送部材143の搬送量J(搬送速度)で不足なく搬送することになるので、第4移送管142の受け口142aと少なくとも対応する内部空間部分が廃棄トナー81〜83で搬送されきれずに詰まってしまうことが回避される。
続いて、上記回収容器200が取り外された後(着脱検出センサ108が取り外しを検出した後)の経過時間tが画像形成動作を停止すべき所要の閾値時間Txを超えていない時期に、空状態の回収容器200が画像形成装置の筐体10における装着部に改めて取り付けられてその装着が着脱検出センサ108で検出されると(S15)、制御装置7の制御動作により、第4移送装置140における第4移送管142の搬送部材144の回転速度Sが低速SLから平常速Snに戻される(S16)。
これにより、第4移送管142においては、その排出口142bが、回収容器200の装着操作により連動して変位する開閉シャッター148により開けられた状態になり、また、搬送部材144が平常速Snで回転して廃棄トナー81〜83を排出口142bにむけて搬送することになる。
この結果、回収システム100は、画像形成動作が実行されている画像出力部2から排出され続ける廃棄トナー81〜83を、交換された新たな回収容器200まで移送装置102を介して移送し、その回収容器200に収容して回収するようになる。
また、この回収システム100では、回収容器200の取り外しがなされた後の上記経過時間tが、回収容器200の装着が検出されずに所要の閾値時間Txを超えた場合には、制御装置7の制御動作により、画像出力部2で実行中の画像形成動作が停止される(S17)。所要の閾値時間Txとしては、前述した所要時間Taと所要時間Tbの小さい方が適用される。
これにより、回収システム100は、画像形成動作の実行中に回収容器200を取り外した後に回収容器200が改めて装着されない時間が必要以上に長引いた場合でも、移送装置102の第4移送管142の全体が廃棄トナー81〜83により詰まることも、あるいは第4移送管142の排出口142bが廃棄トナー81〜83により詰まることもない。換言すれば、移送装置102の第4移送管142の全体が廃棄トナー81〜83により詰まる前か、あるいは第4移送管142の排出口142bが廃棄トナー81〜83により詰まる前に、回収容器200が改めて装着された場合には、実行中の画像形成動作を継続して実行して行うことができる。
したがって、この回収システム100を備えた画像形成装置1によれば、廃棄トナー81〜83を収容する複数の回収容器や廃棄トナー81〜83を一時的に貯留する専用のバッファ装置を備えていないにもかかわらず、回収容器200の交換作業を画像形成動作の実行中に行った場合でも、移送装置102における移送管が廃棄トナー81〜83により詰まることを抑制又は防止することができる。
図9は、この画像形成装置1(回収システム100)における第4移送管142の搬送部材143の回転速度を変更したときの第4移送管142の内部空間に滞留して蓄えられた廃棄トナーの体積を調べた試験の結果を示す。
第4移送管142としては、直径(内径)が20mmの断面円形からなる内部空間を有し、その内部空間(移送経路)の長さが300mm、その内部空間の容積が70cm3のものを使用した。第4移送管142の搬送部材143としては、直径が5mmの回転軸145に、外径が18mmとなる搬送羽根146を15mmのピッチ(P)で螺旋状に形成したスクリューオーガーを使用した。廃棄トナーとしては、未使用のトナー(体積平均粒径:5.8μm)のみ(嵩密度:1000kg/m3)を使用した。また、この廃棄トナーは、第4移送管142の受け口142aからの廃棄トナーの単位時間当たりの最大の供給量Eが約1g/秒となるように設定した。第4移送管の排出口142bについては、開閉シャッター148により閉じた状態に維持した。
試験は、搬送部材143を図9に示す複数の回転速度(30、80、150、300rpm)でそれぞれ回転させることで行った。なお、この各試験において第4移送管142の内部空間に蓄えられた廃棄トナーの体積は、シミュレーションにより求めた。
図9に示す結果から、第4移送管142には、搬送部材143を30rpmの低速で回転させた場合には、搬送部材143を300rpmで回転させたときに比べて、体積として約37cm3の量だけ多い廃棄トナーが存在することがわかる。つまり、第4移送管142は、例えば搬送部材143の回転速度を300rpmから30rpmの低速に減速させた場合には、廃棄トナーを約37cm3の量だけ多く貯留させておくことができ、いわば疑似的なバッファ手段として機能することがわかる。
ここで、紛粒体の搬送量は、以下の式で表されることが知られている(例えば、化学工学便覧第6版の889頁参照)。
すなわち、図10に示す円筒パイプ300内で回転するスクリューオーガー310で紛粒体320を搬送する場合、紛粒体の搬送量Q(m3/秒)が下記の式1で表すことができる。この式1は、図10に例示するとおり、スクリューオーガー310の螺旋状の搬送羽根313が1回転するごとに粉粒体350が搬送羽根313の1ピッチ分だけ進むものと仮定した場合を想定している。
Q=φ(π/4)Dpn …(式1)
なお、式1中の「φ」は粉粉体の円筒パイプ300内での充填率、「D」は搬送羽根313の外径(m)、「p」は搬送羽根313のピッチ(m)、「n」は回転数(回転/秒)を示す。充填率φは、φ=(100−空隙率)としても表されるものであるが、実際には、紛粒体の体積の値をその紛粒体が存在している領域の体積で割ることで求められる。紛粒体は、具体的に粒径が円筒パイプと搬送羽根間の隙間(数ミリかそれ以上の値)をすり抜けないような条件のものを想定している。
この式1(等式)について考察するに、紛粒体の搬送量Q(供給量でも良い)が一定であると仮定した場合、スクリューオーガー310の回転数n(回転速度に相当する。)を増減させると、粉粒体の円筒パイプ300内での充填率φが反比例して増減する関係にある。
そして、この事項を画像形成装置1の回収システム100に適用して考察した場合、回収システム100の第4移送管142(排出口142bを閉じた状態)において、廃棄トナーを一定の割合で第4移送管142に供給したときには、そのスクリューオーガーからなる搬送部材143の回転速度を増減させると、その移送管142の内部空間での廃棄トナーの充填率も反比例して増減するという関係にあるものと類推することができる。この知見に基づけば、第4移送管142における搬送部材143の回転速度を低速に変更した場合には、その移送管142の内部空間における廃棄トナーの充填率が増える関係にあり、これにより、その第4移送管142の内部空間に対しては、廃棄トナーを、搬送部材143の回転速度を変更する前よりも多く貯留できることが推認される(図8参照)。
また、実施の形態1における回収システム100では、第4移送管142での廃棄トナーの充填率が0.8以上になった場合に、その第4移送管142が廃棄トナーにより詰まった状態になると設定している。これは、例えば、粉粒体の搬送用円筒パイプでの空隙率(100−充填率)が0.3付近にあるときにパイプ内での粉粒体のもつ圧力が最大になり、そのときの粉粒体の充填率(0.7〜0.8)を「最密充填」とする知見を参考にして設定したものである。
図11は、実施の形態1における回収システム100の第4移送管142の搬送部材143の回転速度を変更したときに、前記試験の条件を前提としつつ、その第4移送管142での廃棄トナーの充填率の推移状態を経過時間に対応させて測定したときの結果を示している。図11aは搬送部材143の回転速度を300rpmにしたときの結果を示し、図11bは搬送部材143の回転速度を30rpmに減速させたときの結果を示している。第4移送管142での廃棄トナーの充填率はシミュレーションによって求めた。
図11に示す結果から、搬送部材143の回転速度が300rpmであるときは(図11a)、第4移送管142での廃棄トナーの充填率が0.8になるまで(換言すれば第4移送管142が廃棄トナーで詰まると仮定するまで)の所要時間がわずか2.0秒であったのに対し、搬送部材143の回転速度が30rpmに減速されたときは(図11b)、第4移送管142での廃棄トナーの充填率が0.8になるまでの所要時間が約20秒まで延長されることがわかる。このことから、回収システム100では、画像形成動作の実行中に満杯になった回収容器200を交換する必要があるときに、その回収容器200の取り外しから次の回収容器200を装着するまでの所要時間が「20秒」を下回る時間で済ませることができれば、実行中の画像形成動作を停止させず、しかも第4移送管142を廃棄トナーにより詰まらせることがなく、その回収容器200の交換作業を行うことが可能であることがわかる。
[実施の形態2]
図12は、実施の形態2に係る画像形成装置1の回収システム100の要部を示している。実施の形態2における回収システム100は、第4移送装置における第4移送管142の少なくとも排出口142bと対応する内部部分142Eに存在する搬送部材143の構成を後述するように変更した以外は実施の形態1に係る画像形成装置1の回収システム100と同じ構成のものである。
はじめに、実施の形態1に係る画像形成装置1の回収システム100では、画像形成動作の実行中に回収容器200が取り外されると、前述したように制御装置7の制御動作により第4移送装置における第4移送管142の搬送部材143の回転速度が低速SLに変更される(図6参照)。このとき、第4移送管142の排出口142bが存在する終端の内部空間部分には、図14に例示するように、移送装置102の上流側から画像形成動作に応じて移送される廃棄トナー81〜83が、低速SLで回転する移送部材143により排出口142bにむけて搬送される。ところが、第4移送管142の終端の内部空間部分では、その移送部材143により搬送される廃棄トナー81〜83が、上記開閉シャッター148で塞がれている排出口142bから排出されないので行き場を失って次第に集積されるようになり、最終的に廃棄トナー81〜83で満杯の状態になる。つまり、第4移送管142の上記終端の内部空間部分は、最終的に廃棄トナー81〜83の充填率が0.8を超えて、廃棄トナー81〜83により詰まった状態になるおそれがある。
ちなみに、この第4移送管142の搬送部材143は、その搬送羽根146の終端部分146Aが、第4移送管142の少なくとも排出口142bと対応する内部部分142Eの一部に入り込む位置まで設けられている。これにより、搬送部材143により搬送した廃棄トナーを排出口142bまで確実に搬送して排出するようにしている。また、第4移送管142の上記終端の内部空間部分が廃棄トナー81〜83により詰まる現象は、図14に例示するように、搬送部材143による搬送力(第4移送管142の終端壁面142cに押し付ける押付け圧力F)と廃棄トナー81〜83が終端の内部空間部分に凝集した状態になって搬送部材143の搬送力に対抗する反力Hとが釣り合った状態になり、廃棄トナー81〜83が外力を受けない限り移動しなくなる状態になることである。
そこで、実施の形態2に係る画像形成装置1の回収システム100では、図12aに示されるように、第4移送管142の搬送部材143として、第4移送管142の少なくとも排出口142bと対応する内部部分142Eと、その内部部分142Eよりも移送方向の上流側に存在する当該対応する内部部分142Eとほぼ同じ長さの内部部分142E2とを合わせた空間部分(142E+142E2)に、搬送羽根146を有しない(形成していない)形状の搬送部材143Bを採用している。この搬送部材143Bは、例えば実施の形態1における搬送部材143(図14)と対比した場合、搬送羽根146の終端側の2ピッチP分の羽根部分を削除したような形状で構成されたものでもある。
実施の形態2における回収システム100では、この形状の搬送部材143Bを採用していることにより、第4移送管142の排出口142bが存在する終端内部空間が、実施の形態1における第4移送管142の当該終端内部空間に対して約2〜3倍の広さ(容積)に拡大される。
これにより、この回収システム100では、画像形成動作の実行中に回収容器200が取り外されたときに制御装置7の制御動作により第4移送管142の搬送部材143Bの回転速度が低速SLに変更された際、図12bに例示するように、廃棄トナー81〜83が低速SLで回転する搬送部材143Bにより搬送されて第4移送管142の排出口142bが存在する終端の内部空間部分にむけて移送される。しかし、この回収システム100では、第4移送管142の終端の内部空間部分が搬送部材143Bの搬送羽根(146)がなく拡大された分だけ廃棄トナー81〜83がより多く集積されるようになり、その終端の内部空間部分が廃棄トナー81〜83で満杯になってやがて詰まった状態になるまでの所要時間も延長されるようになる。また、搬送部材143Bは、第4移送管142の少なくとも排出口142bと対応する内部空間部分142Eを含む空間部分に搬送羽根(146)が存在しないので搬送能力がなく、このため第4移送管142の終端の内部空間部分に集積される廃棄トナー81〜83が、搬送部材143Bによる押し付け圧力F(図14)を受ける度合が弱くなる。
したがって、この回収システム100では、上記した搬送部材143Bの回転速度が低速SLに変更されたときに、第4移送管142の排出口142bが存在する終端の内部空間部分が廃棄トナー81〜83により詰まるまでの所要時間が(実施の形態1における回収システム100に比べて)更に長くなり、実行中の画像形成動作を停止させることなく回収容器200の交換作業をより確実に行うことができるようになる。
図13は、この回収システム100の第4移送管142における搬送部材143Bの回転速度を低速である30rpmに変更したときに、その第4移送管142での廃棄トナーの充填率の推移状態を経過時間に対応させて測定したときの結果を示すものである。
図13に示す結果から、搬送部材143の回転速度が30rpmに減速されたときは、第4移送管142での廃棄トナーの充填率が0.8になるまでの所要時間が約60秒まで延長されることがわかる。ちなみに、このときの所要時間(約60秒)は、実施の形態1における回収システム100において搬送部材143の回転速度を30rpmに減速させたときの(図11b)所要時間の約20秒に比べて大幅に増えたものになる。これにより、画像形成動作の実行中における回収容器200の交換作業を、実行中の画像形成動作を停止させず、移送装置102の移送管の廃棄トナーによる詰まりの発生を抑制又は防止して、時間的により余裕をもって行うことが可能になる。
<実施の形態2の変形例1>
図15は、実施の形態2における第4移送管142の搬送部材143Bの一部を変更した構成からなる搬送部材143Cを示すものである。
すなわち、この搬送部材143Cは、図15aに示すように、実施の形態2における搬送部材143Bの搬送羽根(146)がない回転軸145の部分に、集積される廃棄トナーを撹拌する撹拌部材150を設けたものである。撹拌部材150としては、例えば、回転軸145の軸方向と平行する状態(図15bの符号150Bで示す状態を参照)で固定される矩形状の平板を設けることができる。また、撹拌部材150は、第4移送管142の少なくとも排出口142と対応する内部部分142Eを通過して回転するものであればよい。
この撹拌部材150を設けた搬送部材143Cを採用する回収システム100では、第4移送管142の排出口142bが存在する終端の内部空間部分が搬送部材143Cにおける搬送羽根(146)がない分だけ拡大されるので、その拡大された終端の内部空間部分に前述したように搬送部材143Cで搬送される廃棄トナー81〜83が次第に集積されるようになる。
しかし、その第4移送管142の終端の内部空間部分では、集積された廃棄トナー81〜83が搬送部材143Cの搬送羽根(146)による搬送力を受けることなくなるので、次第にその廃棄トナー81〜83の一部が凝集したり、あるいは第4移送管142の終端の内部空間部分における内壁の一部に固着することがある。
これに対し、搬送部材143Cは、図15bに例示されるように、第4移送管142の終端の内部空間部分に集積された廃棄トナー81〜83が、回転軸145の周りを回転する撹拌部材150により撹拌される。また、この撹拌部材150では、集積された廃棄トナー81〜83の一部が排出口142bにむけて積極的に移動させられるようになる。これにより、第4移送管142の終端の内部空間部分に集積された廃棄トナー81〜83は、その一部が凝集することや、第4移送管142の終端の内部空間部分における内壁の一部に固着することが防止され、その後において詰まることが抑制され又は詰まることもなく排出口142bから良好に排出される。
したがって、この回収システム100においても、上記した搬送部材143Cの回転速度が低速SLに変更されたときに、第4移送管142の排出口142bが存在する終端の内部空間部分が廃棄トナー81〜83により詰まるまでの所要時間が(実施の形態1における回収システム100に比べて)更に長くなり、実行中の画像形成動作を停止させることなく回収容器200の交換作業をより確実に行うことができるようになる。
<実施の形態2の変形例2>
図16は、実施の形態2における第4移送管142の搬送部材143Bの一部を変更した構成からなる搬送部材143Dを示すものである。
すなわち、この搬送部材143Cは、図16aに示すように、実施の形態2の変形例1における撹拌部材150を回転軸145の軸方向と少し交差する状態で固定して僅かな搬送能力を付与した撹拌搬送部材152として設けたものである。図16aに例示する撹拌搬送部材152は、第4移送管142の少なくとも排出口142bと対応する内部部分1142Eを通過して回転し、しかも廃棄トナーの排出口142aにむけて搬送する搬送力(f)を発揮するものであればよい。
この撹拌搬送部材152を設けた搬送部材143Dを採用する回収システム100では、図16bに例示されるように、その搬送部材143Dで搬送されて第4移送管142の排出口142bが存在する終端の内部空間部分に集積される廃棄トナー81〜83が、その搬送部材143Dの回転軸145の周りを回転する撹拌搬送部材152により撹拌されるとともに、撹拌搬送部材152の僅かな搬送力f1を受けて排出口142aにむけて搬送される。これにより、第4移送管142の終端の内部空間部分に集積された廃棄トナー81〜83は、その一部が凝集することや、第4移送管142の終端の内部空間部分における内壁の一部に固着することが防止され、その後においても詰まることが抑制又は防止されて排出口142bにむけて確実に搬送されて排出口142bから良好に排出される。
したがって、この回収システム100においても、上記した搬送部材143Dの回転速度が低速SLに変更されたときに、第4移送管142の排出口142bが存在する終端の内部空間部分が廃棄トナー81〜83により詰まるまでの所要時間が(実施の形態1における回収システム100に比べて)更に長くなり、実行中の画像形成動作を停止させることなく回収容器200の交換作業をより確実に行うことができるようになる。
<実施の形態2の変形例3>
図17は、実施の形態2における第4移送管142の搬送部材143Bの一部(又は実施の形態1における第4移送管142の搬送部材143の一部)を変更した構成からなる搬送部材143Eを示すものである。
すなわち、この搬送部材143Eは、図17aに示すように、実施の形態1における搬送部材143の排出口142bに近い複数(この例では2つ)の搬送羽根146A、146Bに、廃棄トナー81〜83を通過させ得る貫通部160A,160Bを設けたものである。貫通部160A,160Bは、例えば、連続する貫通長孔や断続的に存在する貫通孔の形態からなるものである。図17aに例示する貫通部160A,160Bは、その開口形状や大きさ及び位置がすべて同じ条件で形成されている。この貫通部160A,160Bが設けられた搬送羽根146A、146Bは、その貫通部160A,160Bを設けていない他の搬送羽根146に比べて、搬送能力(搬送力f)が低下された構成になっている。また、貫通部160は、第4移送管142の少なくとも排出口142bと対応する内部部分142Eを通過する搬送羽根146に設ければよい。
この貫通部160A,160Bを設けた搬送部材143Eを採用する回収システム100では、図17bに例示されるように、その搬送部材143Eで搬送される廃棄トナー81〜83が、貫通部160A,160Bのある搬送羽根146A,146Bでは貫通部160A,160Bで廃棄トナーを搬送できない分だけ貫通部のない他の搬送羽根146に比べて弱い搬送力f2(<f1)を受けて搬送される。これにより、その搬送部材143Eで搬送される廃棄トナー81〜83が、第4移送管142の排出口142bが存在する終端の内部空間部分に集積されるまでの所要時間が少し長くなる。また、第4移送管142の排出口142bが存在する終端の内部空間部分に集積された廃棄トナー81〜83は、その一部(k1,k2)が搬送羽根146A,146Bの貫通部160A,160Bを通過して第4移送管142の移送方向の上流側に戻されるように移動する。これにより、終端の内部空間部分に集積された廃棄トナー81〜83は、その内部空間部分で詰まるまでの所要時間も長くなる。以上により、搬送部材143Eで搬送される廃棄トナー81〜83は、最終的に第4移送管142の少なくとも排出口142bと対応する内部部分142Eに滞留する量が抑制されるとともに、その集積されて詰まるまでの所要時間が延長される。
したがって、この回収システム100においても、上記した搬送部材143Eの回転速度が低速SLに変更されたときに、第4移送管142の排出口142bが存在する終端の内部空間部分が廃棄トナー81〜83により詰まるまでの所要時間が(実施の形態1における回収システム100に比べて)更に長くなり、実行中の画像形成動作を停止させることなく回収容器200の交換作業をより確実に行うことができるようになる。
<実施の形態2の変形例4>
図18は、実施の形態2における第4移送管142の搬送部材143Bの一部を変更した構成からなる搬送部材143Gを示すものである。
すなわち、この搬送部材143Gは、図18aに示すように、実施の形態2の変形例3における貫通部160をその設ける対象とする複数の搬送羽根146ごとに条件を変えた内容の相異なる貫通部161〜162として設けたものである。図18aに例示する相異なる貫通部161〜162は、第4移送管142の排出口142bに近い搬送羽根146(146C,146B,146Aの順番)になるほど、貫通部の開口面積が次第に大きくなるよう構成している。
この貫通部161〜163を設けた搬送部材143Gを採用する回収システム100では、図18bに例示されるように、その搬送部材143Gで搬送される廃棄トナー81〜83が、貫通部161〜163のある搬送羽根146A,146B,164Cでは貫通部161〜163で廃棄トナーを搬送できない分だけ貫通部のない他の搬送羽根146に比べて徐々に弱くなる搬送力f3,f4,f5(f5<f4<f3)をそれぞれ受けて搬送される。これにより、その搬送部材143Gで搬送される廃棄トナー81〜83が、第4移送管142の排出口142bが存在する終端の内部空間部分に集積されるまでの所要時間が少し長くなる。また、第4移送管142の排出口142bが存在する終端の内部空間部分に集積された廃棄トナー81〜83は、その一部(k1,k2,k3)が搬送羽根146A,146B,164Cの貫通部161〜163をそれぞれ通過して第4移送管142の移送方向の上流側に戻されるように移動する。この際、戻される廃棄トナー81〜83の一部k1,k2,k3は、k3,k2,k1の順で多くなる。これにより、終端の内部空間部分に集積された廃棄トナー81〜83は、その内部空間部分で詰まるまでの所要時間も長くなる。以上により、搬送部材143Gで搬送される廃棄トナー81〜83は、最終的に第4移送管142の少なくとも排出口142bと対応する内部部分142Eに滞留する量が段階的に抑制されるとともに、その集積されて詰まるまでの所要時間が総体的に延長される。
したがって、この回収システム100においても、上記した搬送部材143Gの回転速度が低速SLに変更されたときに、第4移送管142の排出口142bが存在する終端の内部空間部分が廃棄トナー81〜83により詰まるまでの所要時間が(実施の形態1における回収システム100に比べて)更に長くなり、実行中の画像形成動作を停止させることなく回収容器200の交換作業をより確実に行うことができるようになる。
[他の実施の形態]
実施の形態1,2では、画像形成動作の実行中に回収容器200を取り外したときに回転速度を平常速Snから低速SLに変更する制御対象として、移送装置102における第4移送管142の搬送部材143を対象にした場合を例示したが、その搬送部材143に加えて、第1移送装置110の搬送部材113や第2移送装置120の搬送部材123も対象とすることも可能である。この場合、低速SLの値は、各搬送部材の全部について同一の値にしてもよいし、あるいはその一部又は全部について異なる値にしてもよい。
また、実施の形態1,2では、回収システム100として、移送装置102が複数の異なる移送区間(第1〜第4の移送装置:その各移送管やその各搬送部材)を組み合わせた構成のものを適用する場合について例示したが、回収システム100は、その構成に限定されず、例えば、1種類の移送区間(1つの移送管及び搬送部材)で構成される移送装置102を適用するものであっても構わない。
さらに、実施の形態2では、第4移送管の搬送部材143Bとして、第4移送管142の少なくとも排出口142bと対応する内部部分142Eとその内部部分142Eよりも移送方向の上流側に存在する内部部分142Eと同じ長さの内部部分142E2とを合わせた空間部分に、搬送羽根146を有しない形状のものを適用する場合(図12)について例示したが、搬送羽根146を有しない領域は、その構成に限定されない。その搬送部材143Bのうち搬送羽根146を有しない領域については、例えば、第4移送管142の排出口142bの周辺に廃棄トナーを一時的に効率よく貯留する内部空間を確保できる条件を満たすことが可能であれば十分であり、具体的には、例えば第4移送管142の上記対応する内部部分142Eの一部であっても構わない。その他にも、第4移送管の搬送部材143Bとしては、上記搬送羽根146を有しない各領域に、それ以外の領域にある通常の搬送羽根146よりも羽根外径が小さい外径からなる搬送羽根を形成した形状の搬送部材を適用しても構わない。
また、実施の形態2の変形例1、2では、第4移送管の搬送部材143C及び搬送部材143Dにおける撹拌部材150及び撹拌搬送部材152(図15、図16)の形成位置について変更してもよく、例えば、第4移送管142の上記対応する内部部分142Eの一部であってもよい。撹拌部材150の形態についても、矩形の平板のものに限らず、廃棄トナーの撹拌が可能であればよく、例えば、のこぎり歯形状、櫛歯形状等の形態であってもよい。
また、実施の形態2の変形例3、4では、第4移送管の搬送部材143E及び搬送部材143Gにおける貫通部160や貫通部161〜163(図17、図18)の形成位置について変更してもよく、例えば、第4移送管142の上記対応する内部部分142Eに存在する搬送羽根のみに形成してもよい。また、貫通部160や貫通部161〜163は、搬送羽根146の内側に存在する形態のものに限らず、例えば、搬送羽根146の外周部を含めて一部切り欠いた形態のものであってもよい。
この他、画像形成装置1については、単色の画像を形成するタイプの画像形成装置や、中間転写装置3を使用せずに記録用紙9を複数の作像装置20の一次転写位置を通過させるように搬送する用紙搬送装置を採用する画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置1については、作像装置20の数が他の複数(6つ以外の複数)であってもよい。さらに、現像装置24としては、トリックル現像を行わない(つまり廃棄トナー83を収集しない)タイプの現像装置であってもよい。
なお、実施の形態2及びその変形例1〜4では、実施の形態1における第4移送装置140の第4移送管142の搬送部材143に代えて、概念的に総括すると、第4移送管142の少なくとも排出口142bと対応する内部部分142Eでの搬送能力がそれ以外の内部部分での搬送能力よりも低下する形状で構成されている搬送部材(143B〜143G)を適用した構成例を例示している。つまり、実施の形態2及びその変形例1〜4における画像形成装置1(回収システム100)は、画像形成動作の実行中に回収容器200を取り外したときに制御装置7の制御動作により、第4移送管142の搬送部材143の回転速度を低速SLに変更する構成に加えて、第4移送管142の搬送部材143を上記各構成のもの(143B〜143G)に変更して適用する構成を採用したものである。
しかし、実施の形態2及びその変形例1〜4における第4移送管142の搬送部材143として上記各構成のもの(143B〜143G)に変更して適用する構成は、実施の形態1における制御装置7の制御動作を行う構成を含めず、単独で採用しても構わない。具体的には、画像形成装置1(回収システム100)は、第4移送管142の搬送部材143として上記各構成のもの(143B〜143G)に変更して適用する構成を採用するものとし、画像形成動作の実行中に回収容器200を取り外したときに制御装置7の制御動作により第4移送管142の搬送部材143の回転速度を低速SLに変更する構成を採用しないものにすることも可能である。
このように構成した場合には、画像形成動作の実行中に回収容器200を取り外したときに第4移送管142の搬送部材143の回転速度が平常速Snのままであり、画像出力部2から排出される廃棄トナー81〜83が第4移送管142において平常速Snで回転する搬送部材143により排出口142bにむけて搬送され、第4移送管142の排出口142bが存在する終端の内部空間内に徐々に集積される。この際、第4移送管142の少なくとも排出口142bと対応する内部部分142Eでの搬送能力がそれ以外の内部部分での搬送能力よりも低下する形状で構成されている搬送部材(143B〜143G)を適用しているので、第4移送管142の上記終端の内部空間部分が廃棄トナー81〜83により詰まるまでの所要時間が、その搬送部材(143B〜143G)の搬送能力が低下する分だけ少し長くなる。
この結果、画像形成動作の実行中に回収容器200を取り外したときであっても、第4移送管142の上記終端の内部空間部分が廃棄トナー81〜83により詰まるまでの所要時間が長くなる分だけ、実行中の画像形成動作を停止させることなく、しかも第4移送管142を廃棄トナー81〜83で詰まらせることが抑制され又は防止され、回収容器200の交換作業を行うことができるようになる。
また、この発明における廃棄トナーとは、少なくともトナーを含むものであるが、前記各実施の形態で例示したようにトナー以外にキャリア、各種外添剤、紙粉などのトナー以外の物が含まれていても差し支えない。