JP4724345B2 - 接着性組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療及び歯科分野において、骨、爪、歯等の硬質組織に対して強力に接着し、かつ辺縁封鎖性に優れた硬質組織用の接着性組成物に関する。更に詳しくは、歯科治療において、特に歯牙に対して優れた辺縁封鎖性を得るために、通常、歯科用ボンディング材、歯科用合着材、歯科用コンポジットレジン、歯科用コンポマー等のレジン材料を歯質に接着させるために使用される歯科用接着性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
齲蝕等により損傷を受けた歯質の修復には、通常、充填用コンポジットレジン、充填用コンポマーと呼ばれている充填修復材料や、歯科用金属合金、陶材、レジン材料等の歯冠修復材料等が用いられている。しかし、これらの充填修復材料や歯冠修復材料自体には接着性がないため、従来、様々な歯科用接着剤が使用されている。その中では、歯質表面をリン酸等の強力な酸エッチング剤によって処理を施した後に、ボンディング材を塗布して接着させるいわゆる酸エッチング型接着システムが好ましく用いられている。
【0003】
しかし、このような酸エッチング剤による処理方法では、処理後に酸を十分に取り除くための水洗及び再度の乾燥が必要であるため、その操作が煩雑であるという欠点がある。また、酸エッチング剤を用いた接着システムでは、エナメル質に対する接着性に優れるが、象牙質に対しては、高い接着力や優れた辺縁封鎖性を得ることが難しい。
【0004】
なお、本明細書における「辺縁封鎖性」とは、接着剤の接合部(辺縁部)における封鎖性を意味する。該辺縁封鎖性は、接着した試料を色素液、例えば、塩基性フクシン水溶液に浸漬させることにより、評価することができる。歯質と接着剤との接合部の隙間が大きい場合、多量の色素がその隙間に浸透するので、接着辺縁部が著しく着色される。このように着色される場合には、その隙間が、細菌や接着性に悪影響を及ぼす異物等が侵入することにより、二次齲蝕を引き起こす原因の1つとなるものと考えられている。
【0005】
他の接着剤を用いた技術として、特開昭62−223289号公報及び特開平3−240712号公報には、酸エッチング剤の代わりに、酸又は酸性モノマーと親水性モノマーとからなるプライマー組成物を歯質に処理した後、水洗操作を行わずに、ボンディング材を該歯質に適用させる接着システム、いわゆるセルフエッチング型プライマーを使用した接着剤システムが提案されてる。この接着剤システムでは、特に象牙質に対してある程度の接着性及び辺縁封鎖性の改善がなされている。
【0006】
しかし、この接着剤システムでは、セルフエッチング型プライマーが使用されているとはいうものの耐久性が十分であるとはいえず、接着力の耐久性試験を行った際に接着強度の低下が小さいときであっても、辺縁封鎖性が劣ることがしばしば発生している。そのため、臨床においても、修復をして一定期間経過後に、歯質と修復材料との間に漏洩を生じ、再び辺縁部から齲蝕が進行し、いわゆる二次齲蝕が発生する等の問題がしばしば起きている。したがって、近年、辺縁部の封鎖性の更なる改善が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、硬質組織、特に、エナメル質、象牙質、セメント質等の歯牙に対して優れた接着性を呈し、特に辺縁封鎖性に優れた硬質組織用の接着性組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(a)酸性基含有重合性単量体、
(b)一般式(I):
【0009】
【化8】
【0010】
〔式中、R1 は水素原子又はメチル基;R2 はハロゲン原子、水酸基、メルカプト基又は−O−R3 −OH基(R3 は炭素数6〜25のアルキレン基を示す);Yは酸素原子又は硫黄原子を示す〕
で表される重合性単量体、及び
(c)親水性重合性単量体
を含有してなり、重合性単量体(b)/酸性基含有重合性単量体(a)の重量比が0.001〜0.5である接着性組成物
に関する。
【0011】
【発明の効果】
本発明の接着性組成物は、歯に対して強力に接着し、かつ優れた辺縁封鎖性を示すことから、医療分野や歯科分野において、硬質組織とレジン材料を接着させるのに好適に使用することができる。
【0012】
また、本発明の接着性組成物は、特に歯質に対して辺縁封鎖性を向上させることができ、齲蝕菌の接着部への浸入を抑制し、齲蝕の再発を防止することができる。したがって、歯科医療に貢献する価値の非常に大きなものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
酸性基含有重合性単量体(a)は、優れた歯質接着性を得るための成分である。
【0014】
酸性基含有重合性単量体(a)は、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基及びビニルベンジル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の重合可能な不飽和基を有することが好ましい。その中では、アクリロイル基又はメタクリロイル基が好ましい。本明細書においては、(メタ)アクリルをもってメタクリルとアクリルの両者を包括的に表現する。
【0015】
酸性基含有重合性単量体(a)の酸性基としては、リン酸基、ピロリン酸基、チオリン酸基、及びスルホン酸基からなる群より選ばれた少なくとも1種があげられる。
【0016】
酸性基含有重合性単量体(a)の具体例としては、リン酸基含有重合性単量体、ピロリン酸基含有重合性単量体、チオリン酸基含有重合性単量体、及びスルホン酸基含有重合性単量体があげられる。
【0017】
リン酸基含有重合性単量体の具体例としては、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート、7−(メタ)アクリロイルオキシヘプチルジハイドロジェンホスフェート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルジハイドロジェンホスフェート、9−(メタ)アクリロイルオキシノニルジハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルジハイドロジェンホスフェート、12−(メタ)アクリロイルオキシドデシルジハイドロジェンホスフェート、16−(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルジハイドロジェンホスフェート、20−(メタ)アクリロイルオキシエイコシルジハイドロジェンホスフェート、ジ(メタ)アクリロイルオキシヘキシルハイドロジェンホスフェート、ジ(メタ)アクリロイルオキシヘプチルハイドロジェンホスフェート、ジ(メタ)アクリロイルオキシオクチルハイドロジェンホスフェート、ジ(メタ)アクリロイルオキシノニルハイドロジェンホスフェート、ジ(メタ)アクリロイルオキシデシルハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルメチルハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルエチルハイドロジェンホスフェート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルメチルハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルメチルハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルエチルハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルフェニルハイドロジェンホスフェート、1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2−ジハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル2’−ブロモエチルハイドロジェンホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスホネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキシルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルオクチルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルデシルハイドロジェンホスフェート等;特開平3−294286号公報に記載されている(5−メタクリロキシ)ペンチル−3−ホスホノプロピオネート、(6−メタクリロキシ)ヘキシル−3−ホスホノプロピオネート、(10−メタクリロキシ)デシル−3−ホスホノプロピオネート、(6−メタクリロキシ)ヘキシル−3−ホスホノアセテート、(10−メタクリロキシ)デシル−3−ホスホノアセテート等;特開昭62−281885号公報に記載されている2−メタクリロイルオキシエチル(4−メトキシフェニル)ハイドロジェンホスフェート、2−メタクリロイルオキシプロピル(4−メトキシフェニル)ハイドロジェンホスフェート等;特開昭52−113089号公報、特開昭53−67740号公報、特開昭53−69494号公報、特開昭53−144939号公報、特開昭58−128393号公報及び特開昭58−192891号公報に例示されているリン酸基含有重合性単量体及びこれらの酸塩化物等があげられる。
【0018】
ピロリン酸基含有重合性単量体の具体例としては、ジ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ピロリン酸、ジ〔4−(メタ)アクリロイルオキシブチル〕ピロリン酸、ジ〔6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル〕ピロリン酸、ジ〔8−(メタ)アクリロイルオキシオクチル〕ピロリン酸、ジ〔9−(メタ)アクリロイルオキシノニル〕ピロリン酸、ジ〔10−(メタ)アクリロイルオキシデシル〕ピロリン酸、ジ〔10−(メタ)アクリロイルオキシウンデシル〕ピロリン酸及びこれらの酸塩化物等があげられる。
【0019】
チオリン酸基含有重合性単量体の具体例としては、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンジチオホスフェート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルジハイドロジェンジチオホスフェート、9−(メタ)アクリロイルオキシノニルジハイドロジェンジチオホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンチオホスフェート及びこれらの酸塩化物等があげられる。
【0020】
スルホン酸基含有重合性単量体の具体例としては、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、6−スルホヘキシル(メタ)アクリレート、p−(メタ)アクリロイルオキシベンゼンスルホン酸等があげられる。
【0021】
酸性基含有重合性単量体(a)は、いずれも単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
酸性基含有重合性単量体(a)の中では、リン酸基含有重合性単量体、中でも特に一般式(II):
【0023】
【化9】
【0024】
〔式中、R4 は水素原子又はメチル基;R5 は炭素数6〜25のアルキレン基;R6 は水素原子、アルキル基又はフェニル基を示す〕
で表されるリン酸基含有重合性単量体は、エナメル質及び象牙質に対して優れた接着性、接着耐久性及び辺縁封鎖性を示すので、好適に使用しうるものである。R6 が示すアルキル基の炭素数は、1〜20、好ましくは1〜10であることが望ましい。
【0025】
本発明の接着性組成物における酸性基含有重合性単量体(a)の含有量は、歯質に対する接着力及び辺縁封鎖性を向上させる観点から、1〜70重量%、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%であることが好ましい。
【0026】
重合性単量体(b)は、辺縁封鎖性を改善しうる成分である。重合性単量体(b)として、一般式(I):
【0027】
【化10】
【0028】
〔式中、R1 は水素原子又はメチル基;R2 はハロゲン原子、水酸基、メルカプト基又は−O−R3 −OH基(R3 は炭素数6〜25のアルキレン基を示す);Yは酸素原子又は硫黄原子を示す〕
で表される重合性単量体が用いられる。
【0029】
一般式(I)で表される重合性単量体の代表例としては、一般式(III):
【0030】
【化11】
【0031】
〔式中、R1 は水素原子又はメチル基、R7 は炭素数6〜25のアルキレン基を示す〕
で表される水酸基含有重合性単量体、及び一般式(IV):
【0032】
【化12】
【0033】
〔式中、R1 は水素原子又はメチル基、R8 はハロゲン原子、水酸基又はメルカプト基、Yは酸素原子又は硫黄原子を示す〕
で表される重合性単量体があげられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0034】
一般式(III) で表される水酸基含有重合性単量体の具体例としては、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、7−ヒドロキシヘプチル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、9−ヒドロキシノニル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、11−ヒドロキシウンデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシドデシル(メタ)アクリレート、16−ヒドロキシヘキサデシル(メタ)アクリレート、20−ヒドロキシエイコシル(メタ)アクリレート等があげられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。一般式(III) で表される水酸基含有重合性単量体の中では、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシドデシル(メタ)アクリレート及び16−ヒドロキシヘキサデシル(メタ)アクリレートは、好適に使用しうるものである。
【0035】
一般式(IV)で表される重合性単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸クロライド、(メタ)アクリル酸ブロマイド、2−メチルプロペンチオニックアシッド、2−メチルプロペンジチオニックアシッド、プロペンチオニックアシッド、プロペンジチオニックアシッド等があげられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。一般式(IV)で表される重合性単量体の中では、アクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。
【0036】
本発明においては、一般式(III) で表される水酸基含有重合性単量体と一般式(IV)で表される重合性単量体とを併用することが、辺縁封鎖性を向上させる観点から好ましい。この場合、一般式(III) で表される水酸基含有重合性単量体/一般式(IV)で表される重合性単量体の重量比は、0.005〜200、好ましくは0.05〜20であることが、辺縁封鎖性を向上させる観点から好ましい。
【0037】
また、酸性基含有重合性単量体(a)として、一般式(II)で表されるリン酸基含有重合性単量体を用い、重合性単量体(b)として、一般式(III) で表される水酸基重合性単量体を用いることが辺縁封鎖性を向上させる観点から好ましい。この場合、一般式(II)で表されるリン酸基含有重合性単量体における基R5 と、一般式(III) で表される水酸基重合性単量体におけるR7 とが同一であることが、更に辺縁封鎖性の耐久性を高める観点から好ましい。また、一般式(III) で表される水酸基重合性単量体において、R7 のアルキレン基の炭素数は、8〜25であることが、接着耐久性及び辺縁封鎖性をより一層高める観点から好ましい。 本発明においては、酸性基含有重合性単量体(a)と重合性単量体(b)との割合が重要であり、重合性単量体(b)/酸性基含有重合性単量体(a)の重量比は、辺縁封鎖性及び接着強度を高める観点から、0.001〜0.5、好ましくは0.005〜0.3、より好ましくは0.01〜0.1とされる。
【0038】
本発明に用いられる親水性重合性単量体(c)とは、25℃における水に対する溶解度が10%以上、より好ましくは30%以上である化合物である。
【0039】
親水性重合性単量体(c)の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル−1,3−ジ(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル−1,2−ジ(メタ)アクリレート、2−トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリルクロライド、(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート(オキシエチレン基の数が9以上のもの)等があげられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。親水性重合性単量体(c)の中では、アルキレン基の炭素数が1〜3の親水性重合性単量体が歯質浸透性を向上させる観点から好ましい。
【0040】
本発明の接着性組成物における親水性重合性単量体(c)の含有量は、接着性及び辺縁封鎖性を向上させる観点から、5〜95重量%、好ましくは10〜90重量%、より好ましくは15〜70重量%であることが望ましい。
【0041】
本発明の接着性組成物は、必要により、水(d)を含有していてもよい。水(d)を接着性組成物に含有させた場合には、歯質に対する接着性及び辺縁封鎖性を向上させることができる。
【0042】
水(d)は、歯牙と修復材料との接着強度の発現に対して悪影響を及ぼす不純物を実質的に含有していないものであればよい。水(d)としては、蒸留水又はイオン交換水が好適である。
【0043】
本発明の接着性組成物における水(d)の含有量は、歯質に対する接着性及び辺縁封鎖性を向上させる観点から、通常、0.1〜80重量%、好ましくは0.5〜70重量%、より好ましくは1〜60重量%であることが望ましい。
【0044】
本発明においては、接着性組成物を歯面に塗布した後、歯科用エアーシリンジ等を用いて極めて薄く延ばす場合には、歯科用ボンディング材、歯科用合着材及び歯科用コンポジットと同時に該接着性組成物を硬化させることができるので、重合開始剤は必ずしも必要ではない。
【0045】
しかし、本発明の接着性組成物を、レドックス系の化学重合開始剤が配合された歯科用合着材等と組み合わせて使用する場合には、接着性を向上させる観点から、接着性組成物中に還元剤及び/又は酸化剤を含有させることが好ましい。
【0046】
また、本発明の接着性組成物を10μm以上の厚さで塗布する場合には、接着性組成物中に重合開始剤(e)を含有させることが好ましい。
【0047】
重合開始剤(e)としては、公知の光重合開始剤及び/又は化学重合開始剤を用いることができる。
【0048】
光重合開始剤としては、例えば、α−ジケトン類、ケタール類、チオキサントン類、アシルホスフィンオキサイド類、クマリン類、ハロメチル基置換−s−トリアジン誘導体等があげられる。
【0049】
α−ジケトン類の例としては、カンファーキノン、ベンジル、2,3−ペンタンジオン等があげられる。
【0050】
ケタール類の例としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等があげられる。チオキサントン類の例としては、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等があげられる。
【0051】
アシルホスフィンオキサイド類の例としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジ−(2,6−ジメチルフェニル)ホスホネート、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイド、特公平3−57916号公報に開示されている水溶性のアシルホスフィンオキサイド化合物等があげられる。
【0052】
クマリン類の例としては、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−チェノイルクマリン等の特開平10−245525号公報に記載されている化合物があげられる。
【0053】
ハロメチル基置換−s−トリアジン誘導体の例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等の特開平10−245525号公報に記載されている化合物があげられる。
【0054】
また、紫外線照射によって光重合を行う場合には、光重合触媒として、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタール等が好適である。
【0055】
光重合開始剤は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0056】
本発明の接着性組成物における光重合開始剤の含有量は、特に限定がないが、通常、0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%であることが望ましい。
【0057】
重合開始剤(e)として光重合開始剤を用いる場合、光重合開始剤を単独で使用してもよい。しかし、より光硬化性を促進させるためには、光重合開始剤と還元剤とを併用することが好ましい。
【0058】
還元剤としては、第3級アミン類、アルデヒド類、チオール基を有する化合物等があげられる。
【0059】
第3級アミンの例としては、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ビス〔(メタ)アクリロイルオキシエチル〕−N−メチルアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブトキシエチル、N−メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン等があげられる。
アルデヒド類の例としては、ジメチルアミノベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒド等があげられる。
【0060】
チオール基を有する化合物の例としては、2−メルカプトベンゾオキサゾール、デカンチオール、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、チオ安息香酸等があげられる。
【0061】
これらの還元剤は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0062】
本発明の接着性組成物における還元剤の含有量は、特に限定がないが、通常、0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜7重量%、より好ましくは0.1〜5重量%であることが望ましい。
【0063】
また、化学重合開始剤としては、例えば、酸化剤と還元剤よりなるレドックス系の重合開始剤を好適に用いることができる。
【0064】
レドックス系の重合開始剤を使用する場合には、本発明の接着性組成物を2分割以上の包装形態にする必要がある。しかし、本発明の接着性組成物を、他の材料、例えば、歯科用ボンディング材、コンポジットレジン、コンポマー、義歯床用レジン、レジンセメント、レジン強化型グラスアイオノマーセメント等の修復材料と組み合わせて使用する場合には、その修復材料の中に酸化剤及び還元剤の少なくとも一方が配合されていれば、酸化剤及び還元剤のいずれか一方のみを接着性組成物に含有させて1つの包装形態とすることが可能である。
【0065】
酸化剤としては、例えば、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ケトンパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類等の有機過酸化物があげられる。
【0066】
ジアシルパーオキサイド類の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド等があげられる。
【0067】
パーオキシエステル類の具体例としては、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等があげられる。
【0068】
ジアルキルパーオキサイド類の具体例としては、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等があげられる。
【0069】
パーオキシケタール類の具体例としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン等があげられる。
【0070】
ケトンパーオキサイド類の具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド等があげられる。
【0071】
ハイドロパーオキサイド類の具体例としては、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、p−ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド等があげられる。
【0072】
還元剤としては、芳香族第3級アミン、脂肪族第3級アミン、スルフィン酸又はその塩等が好適な還元剤としてあげられる。
【0073】
芳香族第3級アミンの具体例としては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−4−エチルアニリン、N,N−ジメチル−4−i−プロピルアニリン、N,N−ジメチル−4−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジメチルアニリン、 N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−エチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−i−プロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−i−プロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、4−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(2−メタクリロイルオキシ)エチル等があげられる。
【0074】
脂肪族第3級アミンの具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−ラウリルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、(2−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、N−メチルジエタノールアミンジメタクリレート、N−エチルジエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミンモノメタクリレート、トリエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミントリメタクリレート等があげられる。
【0075】
スルフィン酸又はその塩の具体例としては、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸カリウム、ベンゼンスルフィン酸カルシウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、トルエンスルフィン酸、トルエンスルフィン酸ナトリウム、トルエンスルフィン酸カリウム、トルエンスルフィン酸カルシウム、トルエンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−i−プロピルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カルシウム等があげられる。
【0076】
これらの酸化剤及び還元剤は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0077】
本発明の接着性組成物における化学重合開始剤の含有量は、特に限定がないが、通常、0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜7重量%、より好ましくは0.1〜5重量%であることが望ましい。
【0078】
本発明の接着性組成物には、硬化性及び機械的強度を向上させるために、酸性基含有重合性単量体(a)、重合性単量体(b)及び親水性重合性単量体(c)以外の疎水性重合性単量体(以下、単に「疎水性重合性単量体」という)を含有させてもよい。
【0079】
かかる疎水性重合性単量体としては、例えば、α−シアノアクリル酸、(メタ)アクリル酸、α−ハロゲン化アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボン酸のエステル類、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドの誘導体、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、モノ−N−ビニル誘導体、スチレン誘導体等があげられる。これらの中では、(メタ)アクリル酸エステルが好適に用いられる。
【0080】
疎水性重合性単量体の具体例としては、以下の単量体があげられる。なお、本明細書にいう「一官能性単量体」とは、1つのオレフィン性二重結合を有する単量体を意味する。
(A)一官能性単量体
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン等。
(B)二官能性単量体
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス[4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]プロパン、1,2−ビス〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕エタン、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレート等。
(C)三官能性基以上の単量体
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、N,N’−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレート、1,7−ジアクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラアクリロイルオキシメチル−4−オキシヘプタン等。
【0081】
前記疎水性重合性単量体は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0082】
本発明の接着性組成物における疎水性重合性単量体の含有量は、特に象牙質に対する接着強度を維持する観点から、通常、60重量%以下、好ましくは40重量%以下であることが望ましい。
【0083】
また、本発明においては、接着性組成物における酸性基含有重合性単量体(a)、重合性単量体(b)及び重合開始剤の溶解性を補助するために、揮発性有機溶剤を接着性組成物に含有させることができる。
【0084】
揮発性有機溶剤として、通常、常圧における沸点が150℃以下、好ましくは、100℃以下である揮発性有機溶剤を用いることが望ましい。
【0085】
揮発性有機溶剤の好適な例としては、エタノール、メタノール、1−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等のエステル化合物、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ヘプタン、ヘキサン、トルエン等の炭化水素化合物類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素化合物等があげられる。これらの揮発性有機溶剤は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、エタノール、アセトン等の水溶性の揮発性溶剤が好ましい。
【0086】
本発明の接着性組成物における揮発性有機溶剤の含有量は、特に限定がないが、通常、60重量%以下、好ましくは30重量%以下であることが望ましい。
【0087】
なお、揮発性溶剤を接着性組成物に含有させた場合には、接着性が損なわれないようにするために、接着性組成物を歯質に塗布した後、歯科用のエアーシンリンジ等で可能な限り該揮発性溶剤を蒸散させることが好ましい。
【0088】
また、本発明の接着性組成物には、所望により、重合禁止剤、着色剤、蛍光剤、紫外線吸収剤等を適宜添加してもよい。
更に、本発明の接着性組成物に抗菌性を付与するために、例えば、セチルピリジニウムクロライド、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルピリジニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシデシルアンモニウムクロライド等のカチオン性抗菌性化合物を本発明の接着性組成物に含有させてもよい。
【0089】
また、本発明の接着性組成物に耐酸性を付与するために、フッ化ナトリウム、フッ化リチウム、セチルアミンフッ化水素酸塩等のフッ素イオンを放出する公知のフッ素化合物を本発明の接着性組成物に含有させてもよい。
【0090】
更には、本発明の接着性組成物には、接着性組成物の流動性を損なわない範囲内の量でフィラーを含有させることができる。かかるフィラーとしては、無機系フィラー、有機系フィラー又はこれらの複合体があげられる。
【0091】
無機系フィラーとしては、例えば、シリカ、カオリン、クレー、雲母等のシリカを基材とする鉱物;シリカを基材とし、Al2 O3 、B2 O3 、TiO2 、ZrO2 、BaO、La2 O3 、SrO2 、CaO、P2 O5 等を含有するセラミックス;ランタンガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、ソーダガラス、リチウムボロシリケートガラス、亜鉛ガラス、フルオロアルミナムボロシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス、バイオガラス等のガラス類;結晶石英、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、酸化チタン、酸化イットリウム、ジルコニア、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム等があげられる。
【0092】
有機系フィラーとしては、例えば、ポリメチルメタクリレート、多官能メタクリレートの重合体、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等の有機樹脂があげられる。また、これらの有機樹脂中に無機フィラーを分散させたり、無機フィラーを前記有機樹脂でコーティングした無機/有機複合フィラー等もあげられる。これらのフィラーは、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0093】
なお、これらのフィラーには、接着性組成物の流動性を調整するために、必要に応じてシランカップリング剤等の公知の表面処理剤で予め表面処理を施した後に用いてもよい。
【0094】
かかる表面処理剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等があげられる。
【0095】
本発明の接着性組成物におけるフィラーの含有量は、特に限定がないが、通常、30重量%以下、好ましくは10重量%以下であることが望ましい。
【0096】
また、フィラーとして平均粒径0.001〜30μmを有するものを用い、これを接着性組成物中に分散させることにより、接着性組成物の30℃における粘度を1Pa・s以下に調整することが歯質への浸透性、塗布性、硬化性等の観点から好ましく、本発明の接着性組成物を接着剤として使用する場合には、0.1〜1Pa・sに調整することが好ましい。
【0097】
本発明の接着性組成物は、種々の形態で使用することができる。例えば、本発明の接着性組成物は、歯科用ボンディング材、レジンセメント、グラスアイオノマーセメント、リン酸亜鉛セメント、ポリカルボキシレートセメント、シリケートセメント、酸化亜鉛ユージノールセメント等の接着材料を歯質に接着させるため、あるいは接着性を増強させるための接着性前処理剤として使用することができる(形態1)。また、歯科用コンポジットレジンあるいは充填用コンポマーと歯質とを接着させるための接着剤としても使用することができる(形態2)。更には、小窩裂溝へ適用されるフィッシャーシーラント材、根面及び隣接歯部分のコーティング材として使用したり(形態3)、知覚過敏を抑制する目的として象牙細管封鎖材として使用することができる(形態4)。
【0098】
接着性組成物を形態1で使用する場合、接着性組成物における、酸性基含有重合性単量体(a)の含有量は5〜40重量%、重合性単量体(b)の含有量は0.005〜20重量%、親水重合性単量体(c)の含有量は10〜90重量%であることが好ましく、水(d)が5〜60重量%含有されていることがより好ましい。この場合、重合性単量体(b)/酸性基含有重合性単量体(a)の重量比(b)/(a)は0.001〜0.5となるように調整される。
【0099】
また、接着性組成物を形態2〜4で使用する場合、接着性組成物における、酸性基含有重合性単量体(a)の含有量は10〜50重量%、重合性単量体(b)の含有量は0.01〜25重量%、親水性重合性単量体(c)の含有量は5〜50重量%であることが好ましく、水(d)が0.1〜10重量%含有されていることがより好ましい。この場合、重合性単量体(b)/酸性基含有重合性単量体(a)の重量比は、0.001〜0.5となるよう設定される。また、かかる接着性組成物には、酸性基含有重合性単量体(a)、重合性単量体(b)及び親水性重合性単量体(c)以外の疎水性重合性単量体5〜40重量%を含有させることが、接着性及び辺縁封鎖性をより一層向上させる観点から好ましい。また、この接着性組成物には、塗布性及び機械的強度を向上させるために、フィラーを30重量%以下の範囲で含有させてもよい。
【0100】
本発明の接着性組成物は、歯質等の硬質組織のみならず、金属、陶材、セラミックス、コンポジットレジン硬化物等の歯冠修復材料に対しても使用することができる。更に、本発明の接着性組成物は、市販の歯科用金属プライマー、陶材接着用のプライマー、酸エッチング剤、次塩素酸塩等の歯面清掃剤と組み合わせて使用してもよい。中でも、特に本発明の接着性組成物を酸エッチング剤と組み合わせて用いることは、エナメル質に対してより一層優れた辺縁封鎖性を発現させることができるので好ましい。
【0101】
次に、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0102】
なお、略称・略号については次の通りである。
〔酸性基含有の疎水性重合性単量体〕
MDP:10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート
MOP:8−メタクリロイルオキシオクチルジハイドロジェンホスフェート
ADDP:12−アクリルロイルオキシドデシルジハイドロジェンホスフェートMHEP:16−メタクリロイルオキシヘキサデシルエチルハイドロジェンホスフェート
MEPP:メタクリロイルオキシエチルフェニルホスホネート
MDPP:10−メタクリロイルオキシデシルホスホニックアシッド
4−MHPT:4−メタクリロイルオキシヘキシルオキシカルボニルフタル酸
【0103】
〔水酸基含有重合性単量体〕
4HM:4−ヒドロキシブチルメタクリレート
6HM:6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート
8HM:8−ヒドロキシオクチルメタクリレート
10HM:10−ヒドロキシデシルメタクリレート
12HA:12−ヒドロキシドデシルメタクリレート
16HA:16−ヒドロキシヘキサデシルメタクリレート
【0104】
〔親水性重合性単量体〕
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
9G:ポリエチレングリコールジメタクリレート(オキシエチレン基の付加モル数は9)
14G:ポリエチレングリコールジメタクリレート(オキシエチレン基の付加モル数は14)
【0105】
〔重合開始剤及び還元剤〕
CQ:カンファーキノン
TMDPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド
DEPT:N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン
TPBSS:2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウム
DMAB:N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン
【0106】
〔重合禁止剤〕
BHT:t−ブチルヒドロキシトルエン
【0107】
〔その他の重合性単量体〕
Bis−GMA:ビスフェノールAジグリシジルメタクリレート
UDMA:[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレート
【0108】
実施例1(但し、実施例1は参考例である)
MDP20重量部、メタクリル酸0.02重量部、HEMA40重量部及び蒸留水40重量部からなる接着性組成物を調製した。この接着性組成物を用いて、後述の接着力試験方法及び辺縁封鎖性試験方法に従って接着強度及び辺縁封鎖を測定し、測定結果を表1に示す。
【0109】
〔接着力試験方法〕
ウシの前歯を#1000シリコン・カーバイド紙〔日本研紙(株)製〕で平滑に湿潤研磨し、エナメル質表面又は象牙質表面を露出させた後、表面の水を歯科用エアーシリンジで吹き飛ばした。露出したエナメル質表面又は象牙質表面に直径3mmの穴を開けた厚さ約150ミクロンの粘着テープを貼り、穴の部分に実施例1の接着性組成物を筆で塗布し、そのまま30秒間放置した後、エアーシリンジで接着性組成物の流動性が無くなる程度まで乾燥させた。その上に、光重合型歯科用ボンディング材「クリアフィルメガボンド」〔(株)クラレ製、商品名〕を筆で約100ミクロンの厚さとなるように塗布し、歯科用光照射器「ライテルII」〔群馬牛尾電気(株)製、商品名〕にて10秒間光照射を行い、硬化させた。更に、その上に市販の光重合型歯科用コンポジットレジン「クリアフィルAP−X」〔(株)クラレ製、商品名〕をのせ、エバール〔(株)クラレ製、登録商標〕からなるフィルムをかぶせた後、スライドガラスを上から押しつけ、かかる状態で上記光照射器にて40秒間光照射を行い、硬化させた。
【0110】
この硬化面に対して、市販の歯科用レジンセメント「パナビア21」〔(株)クラレ製、商品名〕を用いてステンレス棒を接着し、30分間後に試験片を37℃水中に24時間浸漬させた後、更に4℃の冷水中と60℃の温水中に各1分間ずつ浸漬する熱サイクルを2000回負荷させた後に接着強度を測定した。接着強度の測定には、万能試験機(インストロン製)を用い、クロス・ヘッドスピード2mm/minの条件で引張接着強度を測定した。各接着強度の測定値は、8個の試験片の測定値の平均値で示した。
【0111】
〔辺縁封鎖性試験方法〕
歯科用エアータービンを用いて、人間の抜去歯の臼歯部の歯頸線部が中央になるようにほぼ直径4mm、深さ3mmの窩洞を形成した。窩洞内面に実施例1の接着性組成物を塗布し、そのまま30秒間放置した後、エアーシリンジで接着性組成物の流動性が無くなるまで乾燥させた。その上に、光重合型歯科用ボンディング材「クリアフィルメガボンド」〔(株)クラレ製、商品名〕を約100ミクロンの厚さになるように窩洞内面に塗布し、歯科用光照射器「ライテルII」〔群馬牛尾電気(株)製、商品名〕にて10秒間光照射を行い、硬化させた。更に、市販の光重合型歯科用コンポジットレジン「クリアフィルAP−X」〔〔株)クラレ製、商品名〕を窩洞に充填した後、上述の光照射器にて40秒間光照射を行って硬化させた。続いて、歯根尖及び歯冠裂溝部等からの色素の浸入を防止するために、「クリアフィルメガボンド」〔(株)クラレ製、商品名〕を窩洞修復部及びその周辺部以外に塗布し、上述の光照射器にて30秒間光照射を行って硬化させた。
【0112】
試験片は37℃の水中に24時間浸漬させた後に、更に4℃の冷水中と60℃の温水中に各々1分間ずつ浸漬する熱サイクルを2000回負荷させた。その後、37℃の0.2%の塩基性フクシン水溶液に24時間浸漬させた後、試験片を取り出して水洗した。試験片は歯科用エアーシリンジにて乾燥させ、低速ダイヤモンドカッターを用いて修復部分を縦方向に3分割し、歯1本につき3つの切片を作製した。合計5本の人歯大臼歯から15個の切片を作製した。
色素の浸入の評価は、光学顕微鏡(倍率:25倍)を用いて歯頂側(エナメル質側)窩縁と歯肉側(象牙質側)窩縁の双方を肉眼にて観察し、下記のスコア値を求め、15個の切片のスコアの平均した。
【0113】
スコア0:窩壁部及び窩底部に色素の浸入が認められない。
スコア1:窩底部には色素の浸入は認められないが、窩壁部については窩壁の1/2以下の色素が浸入が認められる。
スコア2:窩底部には色素の浸入は認められないが、窩壁部については窩壁の1/2以上の色素が浸入が認められる。
スコア3:窩壁部及び窩底部に色素の浸入が認められる。
【0114】
実施例2〜7及び比較例1〜3(但し、実施例2〜7は参考例である)
表1に示すように、メタクリル酸の配合量の異なる接着性組成物をそれぞれ調製した。これらの接着性組成物を用いて、実施例1と同様にして接着力試験及び辺縁封鎖性試験を行った。その結果を表1に併記する。
【0115】
【表1】
【0116】
表1に示された結果から明らかなように、メタクリル酸/MDPの重量比が0.001〜0.5の範囲で配合された本発明の接着性組成物を使用した場合には(実施例1〜7)、接着力に優れ、更に辺縁封鎖性にも優れることがわかる。
【0117】
これに対して、メタクリル酸を含まない接着性組成物を使用した場合には(比較例1)、接着力には優れているが、辺縁封鎖性が著しく劣ることがわかる。
【0118】
また、メタクリル酸/MDPの重量比が1.0又は2.0の接着性組成物を使用した場合には(比較例2〜3)、接着力が明らかに低下し、辺縁封鎖性も劣ることがわかる。
【0119】
実施例8〜14及び比較例4〜6
表2に示すように、MDP、10HM、HEMA、蒸留水等からなる接着性組成物をそれぞれ調製した。これらの接着性組成物を用いて、実施例1と同様にして接着力試験及び辺縁封鎖性試験を行った。その結果を表2に併記する。
【0120】
【表2】
【0121】
表2に示された結果から明らかなように、10HM/MDPの重量比が0.001〜0.5の範囲で配合された接着性組成物を使用した場合には(実施例8〜14)、接着力に優れ、更に辺縁封鎖性にも優れることがわかる。
【0122】
これに対して、10HMを含まない接着性組成物を使用した場合には(比較例4)、接着力には優れるが、辺縁封鎖性が著しく劣ることがわかる。
【0123】
また、10HM/MDPの重量比が1.0又は2.0の接着性組成物を使用した場合には(比較例5〜6)、接着力は明らかに低下し、辺縁封鎖性も劣ることがわかる。
【0124】
実施例15〜18(但し、実施例15〜18は参考例である)
表3に示すように、MEPP、メタクリル酸、HEMA、蒸留水、CQ、DEPT、TPBSS及びDMABからなる接着性組成物をそれぞれ調製した。これらの接着性組成物を用いて、実施例1と同様にして接着力試験及び辺縁封鎖性試験を行った。その結果を表3に示す。
【0125】
比較例7〜10
表3に示すように、実施例15〜18の接着性組成物からメタクリル酸を除いた接着性組成物を調製した。これらの接着性組成物を用いて、実施例1と同様にして接着力試験及び辺縁封鎖性試験を行った。その結果を表3に併記する。
【0126】
【表3】
【0127】
表3に示された結果から明らかなように、メタクリル酸が配合された接着性組成物を使用した場合には(実施例15〜18)、接着力に優れ、更に辺縁封鎖性にも優れることがわかる。
【0128】
これに対して、メタクリル酸を含まない接着性組成物を使用した場合には(比較例7〜10)、接着力には優れるが、辺縁封鎖性が著しく劣ることがわかる。
【0129】
実施例19〜23
表4に示すように、MDP、10HM、HEMA、蒸留水、CQ、DEPT、TPBSS及びDMABからなる接着性組成物をそれぞれ調製した。これらの接着性組成物を用いて、実施例1と同様にして接着力試験及び辺縁封鎖性試験を行った。その結果を表4に示す。
【0130】
比較例11〜15
表4に示すように、実施例19〜23の接着性組成物から10HMを除いた接着性組成物を調製した。これらの接着性組成物を用いて、実施例1と同様にして接着力試験及び辺縁封鎖性試験を行ったその結果を表4に併記する。
【0131】
【表4】
【0132】
表4示された結果から明らかなように、10HMが配合された接着性組成物を使用した場合には(実施例19〜23)、接着力に優れ、更に辺縁封鎖性にも優れることがわかる。
【0133】
これに対して、10HMを含まない接着性組成物を使用した場合には(比較例11〜15)、接着力には優れるが、辺縁封鎖性が著しく劣ることがわかる。
【0134】
実施例24〜31(但し、実施例24〜31は参考例である)
表5に示すように、MDPP又は4−MHPT、HEMA、蒸留水、DEPT、TPBSS等からなる組成物にメタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸クロライド又は2−メチルプロペンジチオニックアシッドを配合した接着性組成物をそれぞれ調製した。これらの接着性組成物を用いて、実施例1と同様にして接着力試験及び辺縁封鎖性試験を行った。その結果を表5に示す。
【0135】
比較例16及び17(但し、比較例17は参考例である)
表5に示すように、実施例24の接着性組成物及び実施例28の接着性組成物からメタクリル酸を除いた接着性組成物をそれぞれ調製した。これらの接着性組成物を用いて、実施例1と同様にして接着力試験及び辺縁封鎖性試験を行った。その結果を表5に併記する。
【0136】
【表5】
【0137】
表5に示す結果から明らかなように、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸クロライド又は2−メチルプロペンジチオニックアシッドが配合された接着性組成物を使用した場合には(実施例24〜31)、接着力に優れ、更に辺縁封鎖性にも優れることがわかる。
【0138】
これに対して、メタクリル酸等を含まない接着性組成物を使用した場合には(比較例16及び17)、接着力には優れるが、辺縁封鎖性が著しく劣ることがわかる。
【0139】
実施例32〜40
表6に示すように、MDP、10HM、HEMA、蒸留水、メタクリル酸又はアクリル酸、DEPT及びTPBSSからなる接着性組成物をそれぞれ調製した。これらの接着性組成物を用いて、実施例1と同様にして接着力試験及び辺縁封鎖性試験を行った。その結果を表6に示す。
【0140】
【表6】
【0141】
表6に示された結果から明らかなように、メタクリル酸/MDPの重量比又はアクリル酸/MDPの重量比が、0.001〜0.5の範囲で配合された接着性組成物を使用した場合には(実施例32〜40)、非常に優れた辺縁封鎖性が発現されることがわかる。
【0142】
実施例41〜50(但し、実施例41、43、44、46、48、49は参考例である)
表7に示すように、アルキレン鎖長の異なるリン酸基含有重合性単量体、アルキレン鎖長の異なる水酸基含有重合性単量体、HEMA及び蒸留水からなる接着性組成物をそれぞれ調製した。これらの接着性組成物を用いて、実施例1と同様にして接着力試験及び辺縁封鎖性試験を行った。その結果を表7に示す。
【0143】
【表7】
【0144】
比較例18〜21
表8に示すように、アルキレン鎖長の異なるリン酸基含有重合性単量体、4HM、HEMA及び蒸留水からなる接着性組成物をそれぞれ調製した。これらの接着性組成物を用いて、実施例1と同様に接着力試験及び辺縁封鎖性試験を行った。その結果を表8に示す。
【0145】
【表8】
【0146】
表8に示された結果から明らかなように、リン酸基含有重合性単量体とアルキル鎖長が6以上の水酸基含有重合性単量体とを配合した接着性組成物を使用した場合には(実施例41〜50)、接着性及び辺縁封鎖性に優れることがわかる。中でもリン酸基含有重合性単量体のアルキレン鎖長と水酸基含有重合性単量体のアルキレン鎖長とが同じ数の組み合わせの場合には(実施例42、45、47及び50)、辺縁封鎖性に更に優れることがわかる。
【0147】
これに対して、表8に示された結果から明らかなように、水酸基含有重合性単量体として4HMを含有する接着性組成物を使用した場合には(比較例18〜21)、接着力に優れてるが、辺縁封鎖性が著しく劣ることがわかる。
【0148】
実施例51及び比較例22(但し、実施例51は参考例である)
実施例3又は比較例1の接着性組成物を使用して、実施例1の接着力試験方法及び辺縁封鎖性試験方法に従って試験を行った。ただし、光重合型ボンディング材として「クリアフィルメガボンド」〔(株)クラレ製、商品名〕の代わりに、Bis−GMA61重量部、HEMA31重量部、コロイダルシリカ〔アエロジル380:日本アエロジル(株)製〕5重量部、CQ2重量部、DMAB1重量部からなるボンディング材を調製し、使用した。
【0149】
その結果、実施例3の接着性組成物は、接着力が牛歯エナメル質に対して17.5MPa、牛歯象牙質に対して15.8MPaであることから、接着力に優れていた。また、実施例3の接着性組成物は、歯頂側(エナメル質側)窩縁のスコアが0.5、歯肉側(象牙質側)窩縁のスコアが0.4であることから、辺縁封鎖性に優れていた(実施例51)。
【0150】
これに対して、比較例1の接着性組成物は、接着力が牛歯エナメル質に対して17.1MPa、牛歯象牙質に対して15.2MPaであることから、接着力に優れているものの、歯頂側(エナメル質側)窩縁のスコアが2.1、歯肉側(象牙質側)窩縁のスコアが2.4であることから、辺縁封鎖性が明らかに実施例51よりも劣っていた(比較例22)。
【0151】
実施例52(但し、実施例52は参考例である)
MDP35重量部、メタクリル酸2重量部、HEMA40重量部、Bis−GMA5重量部、14G10重量部、蒸留水5重量部、TMDPO2.5重量部、DMAB0.5重量部及びBHT0.05重量部からなる接着性組成物を調製した。この接着性組成物を用いて、後述の接着力試験方法に従って接着強度を測定した。その結果、接着力は、牛歯エナメル質に対して17.5MPa、牛歯象牙質に対して14.6MPaであることから、接着力に優れていた。
【0152】
また、後述の辺縁封鎖性試験方法に従って辺縁封鎖性を測定した結果、歯頂側(エナメル質側)窩縁のスコアが0.3と歯肉側(象牙質側)窩縁のスコアが0.3であることから、辺縁封鎖性に優れていた。
【0153】
〔接着力試験方法〕
ウシの前歯を#1000シリコン・カーバイド紙〔日本研紙(株)製〕で平滑に湿潤研磨し、エナメル質表面または象牙質表面を露出させた後、表面の水を歯科用エアーシリンジで吹き飛ばした。露出したエナメル質表面または象牙質表面に直径3mmの穴を開けた厚さ約150ミクロンの粘着テープを貼り、穴の部分に実施例52の接着性組成物を筆で約100ミクロンの厚さに塗布し、30秒間後に歯科用光照射器「ライテルII」〔群馬牛尾電気(株)製、商品名〕にて30秒間光照射を行い、硬化させた。更に、その上に市販の光重合型歯科用コンポジットレジン「クリアフィルAP−X」〔(株)クラレ製、商品名〕をのせ、エバール〔(株)クラレ製、登録商標〕からなるフィルムをかぶせた後、スライドガラスを上から押しつけ、かかる状態で上記光照射器にて40秒間光照射を行い、硬化させた。
【0154】
この硬化面に対して、市販の歯科用レジンセメント「パナビア21」〔(株)クラレ製、商品名〕を用いてステンレス棒を接着し、30分間後に試験片を37℃水中に24時間浸漬させた後、更に4℃の冷水中と60℃の温水中に各1分間ずつ浸漬する熱サイクルを2000回負荷させた後に接着強度を測定した。接着強度の測定には、万能試験機(インストロン製)を用い、クロス・ヘッドスピード2mm/minの条件で引張接着強度を測定した。各接着強度の測定値は、8個の試験片の測定値の平均値で示した。
【0155】
〔辺縁封鎖性試験方法〕
歯科用エアータービンを用いて、人間の抜去歯の臼歯部の歯頸線部が中央になるようにほぼ直径4mm、深さ3mmの窩洞を形成し、窩洞内面に実施例52の接着性組成物を約100ミクロンの厚さとなるように塗布し、30秒後に歯科用光照射器「ライテルII」〔群馬牛尾電気(株)製、商品名〕にて30秒間光照射を行い、硬化させた。更に、市販の光重合型歯科用コンポジットレジン「クリアフィルAP−X」〔(株)クラレ製、商品名〕を窩洞に充填した後、上述の光照射器にて40秒間光照射を行って硬化させた。続いて、歯根尖及び歯冠裂溝部等からの色素の浸入を防止するために、「クリアフィルメガボンド」〔(株)クラレ製、商品名〕を窩洞修復部及びその周辺部以外に塗布し、上述の光照射器にて30秒間光照射を行って硬化させた。
【0156】
試験片を37℃の水中に24時間浸漬させた後に、更に4℃の冷水中と60℃の温水中に各々1分間ずつ浸漬する熱サイクルを2000回負荷させた。次に、37℃の0.2%の塩基性フクシン水溶液に24時間浸漬させた後、試験片を取り出して水洗した。試験片を歯科用エアーシリンジにて乾燥させ、低速ダイヤモンドカッターを用いて修復部分を縦方向に3分割し、歯1本につき3つの切片を作製した。合計5本の人歯大臼歯から15個の切片を作製した。色素の浸入の評価は、実施例1の判定方法に従った。
【0157】
比較例23
実施例52の接着性組成物からメタクリル酸を除いた接着性組成物を調製した。この接着性組成物を用いて、実施例52の接着力試験方法に従って、接着強度を測定した。その結果、接着力は、牛歯エナメル質に対して17.2MPa、牛歯象牙質に対して14.3MPaであることから、接着力に優れていた。しかし、実施例52の辺縁封鎖性試験方法に従って辺縁封鎖性を測定したところ、歯頂側(エナメル質側)窩縁のスコアは1.5、歯肉側(象牙質側)窩縁のスコアは2.0であることから、明らかに実施例52よりも辺縁封鎖性に劣っていた。
【0158】
実施例53
MDP34重量部、10HM2重量部、HEMA40重量部、Bis−GMA5重量部、9G5重量部、UDMA5重量部、蒸留水5重量部、TMDPO3重量部、CQ0.5重量部、DMAB0.5重量部及びBHT0.05重量部からなる接着性組成物を調製した。この接着性組成物を用いて、実施例52の接着力試験方法に従って接着強度を測定した。その結果、接着力は、牛歯エナメル質に対して16.5MPa、牛歯象牙質に対して14.1MPaであることから、接着力に優れていた。また、実施例52の辺縁封鎖性試験方法に従って辺縁封鎖性を測定したところ、歯頂側(エナメル質側)窩縁のスコアは0.3、歯肉側(象牙質側)窩縁のスコアは0.3であることから、辺縁封鎖性に優れていた。
【0159】
比較例24
実施例53の接着性組成物から10HMを除いた接着性組成物を調製した。この接着性組成物を用いて、実施例52の接着力試験方法に従って、接着強度を測定した。その結果、接着力は、牛歯エナメル質に対して16.6MPa、牛歯象牙質に対して13.9MPaであることから、接着力に優れていた。しかし、実施例52の辺縁封鎖性試験方法に従って辺縁封鎖性を測定した結果、歯頂側(エナメル質側)窩縁のスコアは1.5、歯肉側(象牙質側)窩縁のスコアは2.0であることから、明らかに実施例53よりも辺縁封鎖性に劣っていた。
【0160】
実施例54(但し、実施例54は参考例である)
実施例52の接着性組成物を用いて、後述の接着力試験方法に従って接着強度を測定した。その結果、接着力は、牛歯エナメル質に対して21.5MPa、牛歯象牙質に対して14.1MPaであることから、接着力に優れていた。また、後述の辺縁封鎖性試験方法に従って辺縁封鎖性を測定した結果、歯頂側(エナメル質側)窩縁のスコアは0.1と歯肉側(象牙質側)窩縁のスコアは0.6であることから、辺縁封鎖性に優れていた。
【0161】
〔接着力試験方法〕
ウシの前歯を#1000シリコン・カーバイド紙〔日本研紙(株)製〕で平滑に湿潤研磨し、エナメル質表面または象牙質表面を露出させた後、表面の水を歯科用エアーシリンジで吹き飛ばした。露出したエナメル質表面または象牙質表面に直径3mmの穴を開けた厚さ約150ミクロンの粘着テープを貼った。40%のリン酸水溶液を穴の部分に塗布し、15秒間経過後に水洗した。リン酸によってエッチングされた歯質は乾燥させないように脱脂綿で軽く水分をふき取り、直ちに実施例52の接着性組成物を筆で約100ミクロンの厚さになるように塗布し、30秒後に歯科用光照射器「ライテルII」〔群馬牛尾電気(株)製、商品名〕にて30秒間光照射を行い、硬化させた。更に、その上に市販の光重合型歯科用コンポジットレジン「クリアフィルAP−X」〔(株)クラレ製、商品名〕をのせ、エバール〔(株)クラレ製、登録商標〕からなるフィルムをかぶせた後、スライドガラスを上から押しつけ、かかる状態で上記光照射器にて40秒間光照射を行い、硬化させた。
【0162】
この硬化面に対して、市販の歯科用レジンセメント「パナビア21」〔(株)クラレ製、商品名〕を用いてステンレス棒を接着し、30分間後に試験片を37℃水中に24時間浸漬させた後、更に4℃の冷水中と60℃の温水中に各1分間ずつ浸漬する熱サイクルを2000回負荷させた後に接着強度を測定した。接着強度の測定には、万能試験機(インストロン製)を用い、クロス・ヘッドスピード2mm/minの条件で引張接着強度を測定した。各接着強度の測定値は、8個の試験片の測定値の平均値で示した。
【0163】
〔辺縁封鎖性試験方法〕
歯科用エアータービンを用いて、人間の抜去歯の臼歯部の歯頸線部が中央になるようにほぼ直径4mm、深さ3mmの窩洞を形成し、40%のリン酸水溶液を窩洞内面に塗布し、15秒後に水洗した。リン酸によってエッチングされた歯質は乾燥させないように脱脂綿で軽く水分をふき取り、直ちに窩洞内面に実施例52の接着性組成物を約100ミクロンの厚さとなるように塗布し、30秒間経過後に歯科用光照射器「ライテルII」〔群馬牛尾電気(株)製、商品名〕にて30秒間光照射を行い、硬化させた。更に、市販の光重合型歯科用コンポジットレジン「クリアフィルAP−X」〔(株)クラレ製、商品名〕を窩洞に充填した後、上述の光照射器にて40秒間光照射を行って硬化させた。続いて、歯根尖及び歯冠裂溝部等からの色素の浸入を防止するために、「クリアフィルメガボンド」〔(株)クラレ製、商品名〕を窩洞修復部及びその周辺部以外に塗布し、上述の光照射器にて30秒間光照射を行って硬化させた。
【0164】
試験片を37℃の水中に24時間浸漬させた後に、更に4℃の冷水中と60℃の温水中に各々1分間ずつ浸漬する熱サイクルを2000回負荷させた。その後、37℃の0.2%の塩基性フクシン水溶液に24時間浸漬させた後、試験片を取り出して水洗し、歯科用エアーシリンジにて乾燥させ、低速ダイヤモンドカッターを用いて修復部分を縦方向に3分割し、歯1本につき3つの切片を作製し、合計5本の人歯大臼歯から15個の切片を作製した。色素の浸入の評価は、実施例1の判定方法に準拠した。
【0165】
比較例25
比較例23の接着性組成物を用いて、実施例54の接着力試験方法に従って、接着強度を測定した。その結果、接着力は、牛歯エナメル質に対して21.2MPa、牛歯象牙質に対して14.1MPaであることから、接着力に優れていた。しかし、実施例54の辺縁封鎖性試験方法に従って辺縁封鎖性を測定した結果、歯頂側(エナメル質側)窩縁のスコアが0.8、歯肉側(象牙質側)窩縁のスコアが2.4であることから、明らかに実施例54よりも辺縁封鎖性に劣っていた。
【0166】
実施例55(但し、実施例55は参考例である)
実施例24の接着性組成物を用いて、後述の接着力試験方法に従って接着強度を測定した。その結果、接着力は、牛歯エナメル質に対して18.6MPa、牛歯象牙質に対して9.6MPaであることから、接着力に優れていた。また、後述の辺縁封鎖性試験方法に従って辺縁封鎖性を測定した結果、歯頂側(エナメル質側)窩縁のスコアが0.2、歯肉側(象牙質側)窩縁のスコアが0.4であることから、辺縁封鎖性にも優れていた。
【0167】
〔接着力試験方法〕
ウシの前歯を#1000シリコン・カーバイド紙〔日本研紙(株)製〕で平滑に湿潤研磨し、エナメル質表面または象牙質表面を露出させた後、表面の水を歯科用エアーシリンジで吹き飛ばした。露出したエナメル質表面または象牙質表面に直径4mmの穴を開けた厚さ約150ミクロンの粘着テープを貼り、穴の部分に実施例24の接着性組成物を筆で塗布し、そのまま30秒間放置した後、エアーシリンジで接着性組成物の流動性がなくなる程度まで乾燥させた。
【0168】
この接着性組成物の塗布面に、市販の歯科用レジンセメント「パナビア21」〔(株)クラレ製、商品名〕を用いてステンレス棒を接着し、30分間後に試験片を37℃水中に24時間浸漬させた後、更に4℃の冷水中と60℃の温水中に各1分間ずつ浸漬する熱サイクルを2000回負荷させた後に接着強度を測定した。接着強度の測定には、万能試験機(インストロン製)を用い、クロス・ヘッドスピード2mm/minの条件で引張接着強度を測定した。各接着強度の測定値は、8個の試験片の測定値の平均値で示した。
【0169】
〔辺縁封鎖性試験方法〕
歯科用エアータービンを用いて、人間の抜去歯の臼歯部の歯頸線部が中央になるように直径約4mm、深さ約3mmの窩洞を形成した。市販の歯科用ゴム質弾性印象材「エクザファイン」〔(株)ジーシー製、商品名〕を用いて印象採取を行った後、歯科用歯冠材料「エステニア」〔(株)クラレ製、商品名〕の硬化物を作製し、硬化物の表面を40%リン酸水溶液にて5秒間塗布して、水洗し、乾燥させた。更にエステニア硬化物の表面に歯科用ポーセレン接着材料「クリアフィルポーセレンボンド」〔(株)クラレ製、商品名〕を塗布し、歯科用エアーシリンジにて乾燥させた。
【0170】
窩洞内面に実施例24の接着性組成物を塗布し、そのまま30秒間放置して後、エアーシリンジで接着性組成物の流動性が無くなるまで乾燥させ、歯科用レジンセメント「パナビア21」〔(株)クラレ製、商品名〕を用いて、エステニア硬化物を合着させ、余剰ペーストを除去した。合着5分間経過後に、辺縁部に「オキシガードII」〔(株)クラレ製、商品名〕を塗布してレジンセメントの表面を硬化させ、10分間経過後に水銃でオキシガードIIを除去した。続いて、歯根尖及び歯冠裂溝部等からの色素の浸入を防止するために、「クリアフィルメガボンド」〔(株)クラレ製、商品名〕)を窩洞修復部及びその周辺部以外に塗布し、前述の光照射器にて30秒間光照射を行って硬化させた。
【0171】
試験片を37℃の水中に24時間浸漬させた後に、更に4℃の冷水中と60℃の温水中に各々1分間ずつ浸漬する熱サイクルを2000回負荷させた。その後、37℃の0.2%の塩基性フクシン水溶液に24時間浸漬させた後、試験片を取り出して水洗した。試験片は歯科用エアーシリンジにて乾燥させ、低速ダイヤモンドカッターを用いて修復部分を縦方向に3分割し、歯1本につき3つの切片を作製した。合計5本の人歯大臼歯から15個の切片を作製した。色素の浸入の 評価は、実施例1の判定方法に準拠した。
【0172】
比較例24
比較例16の接着性組成物を用いて、実施例55の接着力試験方法に従って、接着強度を測定した。その結果、接着力は、牛歯エナメル質に対して18.3MPa、牛歯象牙質に対して9.3MPaであることから、接着力に優れていた。しかし、実施例55の辺縁封鎖性試験方法に従って辺縁封鎖性を測定した結果、歯頂側(エナメル質側)窩縁のスコアが1.7、歯肉側(象牙質側)窩縁のスコアが1.9であることから、実施例55よりも辺縁封鎖性に劣っていた。
Claims (4)
- (a)一般式(II):
で表されるリン酸基含有重合性単量体、
(b)一般式(III):
で表される重合性単量体、及び
(c)2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル−1,3−ジ(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル−1,2−ジ(メタ)アクリレート、2−トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリルクロライド、(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート(オキシエチレン基の数が9以上のもの)からなる群より選択される1種以上の親水性重合性単量体
を含有してなり、重合性単量体(b)/リン酸基含有重合性単量体(a)の重量比が0.001〜0.5である接着性組成物において、式(II)におけるR 5 と式(III)におけるR 7 とが同一である接着性組成物。 - 更に、(d)水を含有してなる請求項1記載の接着性組成物。
- 更に、(e)重合開始剤を含有してなる請求項1記載の接着性組成物。
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