JP2004196735A - 歯科用コーティング組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題解決手段】疎水性重合性単量体(a)、親水性重合性単量体(b)5重量%〜50重量%、屈折率が1.9以上の無機フィラー(c)0.1重量%〜50重量%および光重合開始剤(d)を含有する歯科用コーティング組成物。
【効果】歯に対する濡れ性が良く、表面硬化性に優れ、適用後に破折やチッピングが生じにくい、歯のマニキュア、歯のエナメル欠損部のコーティング、齲蝕予防のシーラントなどとして好適に使用できる歯科用コーティング組成物が提供される。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯科分野において用いるコーティング組成物に係わり、詳しくは、歯の審美修復(例えば、歯のマニキュア)、歯のエナメル欠損部のコーティング、齲蝕予防などを目的として歯の表面をコーティングするための歯科用コーティング組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、歯科治療においては、補綴物の金属色や歯の変色を遮蔽するためのオペーカー、齲蝕予防を目的として隣接する歯と歯の隙間部分に適用するコーティング材およびシーラントなど、種々の歯科用コーティング組成物が使用されている。また、近年、歯のマニキュアが、美容の一環として歯を白くしたり、変色歯やエナメル欠損による着色歯を審美修復したりするための手段として、注目されている。
【0003】
歯のマニキュア、審美修復材、オペーカーなどの用途に用いられる組成物としては、例えば、下記の特許文献1〜7に、多官能性(メタ)アクリレート、揮発性溶剤および重合開始剤からなる組成物が提案されている。
【0004】
また、補綴物の金属色や歯の変色の遮蔽を目的として用いるオペーカーとしては、下記の特許文献8に、ラジカル重合性単量体、屈折率が1.9以上の無機フィラー、カンファーキノンおよび特定のアミノベンゾフェノン化合物を含有してなる組成物が提案されている。
【0005】
さらに、歯の齲蝕予防を目的として用いるシーラントとしては、例えば、下記の特許文献9に、ビスフェノールAグリシジルメタクリレート、ビスフェノールAジ(ポリエトキシエチル)ジメタクリレートおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレートからなる重合性単量体と硬化剤とからなる小窩裂溝封鎖用組成物が提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭63−183904号公報
【特許文献2】
特開平4−69311号公報
【特許文献3】
特開平4−69312号公報
【特許文献4】
特開平4−366111号公報
【特許文献5】
特開平4−366112号公報
【特許文献6】
特開平4−366113号公報
【特許文献7】
特開平4−360809号公報
【特許文献8】
特開平6−336410号公報
【特許文献9】
特開昭59−130806号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特許文献1〜7に開示の組成物には、これらの組成物がいずれも疎水性であるために、歯に対する濡れ性や浸透性が低く、また硬化物が硬くて脆いために咬合時の応力などによりチッピングや破折が起こりやすいという課題がある。
【0008】
また、上記の特許文献8に開示の組成物には、ラジカル重合性単量体として、同文献の実施例に具体的に記載されている疎水性の重合性単量体を用いた場合、確かに金属製の鋳造体をコーティングする組成物としては有用ではあるものの、これを歯に適用したときは、耐チッピング性が不十分であるという課題がある。
【0009】
さらに、上記の特許文献9に開示の組成物には、これを歯に適用した場合は、硬化物の表面未重合層が厚く、そのため硬化物から未反応の重合性単量体が多量に溶出するという課題がある。
【0010】
本発明は上記の課題を解決するべくなされたものであって、その目的とするところは、歯に対する濡れ性が良く、表面硬化性に優れ、適用後に破折やチッピングが生じにくい歯科用コーティング組成物を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明に係る歯科用コーティング組成物は、疎水性重合性単量体(a)、親水性重合性単量体(b)、屈折率が1.9以上の無機フィラー(c)および光重合開始剤(d)を含有する歯科用コーティング組成物であって、前記親水性重合性単量体(b)を5重量%〜50重量%含有し、且つ前記屈折率が1.9以上の無機フィラー(c)を0.1重量%〜50重量%含有する。
【0012】
本発明に係る歯科用コーティング組成物は、親水性重合性単量体(b)を所定量含有しているので、破折やチッピングが生じにくい。重合硬化後のコーティング層が口腔内の湿潤環境において吸水して膨潤することにより、そのコーティング層の靭性が向上するからである。また、屈折率が1.9以上の無機フィラー(c)を所定量含有しているので、重合硬化後の表面未重合層が薄く、そのため未反応の重合性単量体の溶出が少ない。なお、この明細書において、屈折率とは、波長589.3nmの光を用いて20°Cで測定したときの屈折率をいうものとする。重合硬化後の表面未重合層が薄くなる理由は定かでないが、本発明者らは次のように考えている。
【0013】
すなわち、通常、光重合開始剤を用いて重合性単量体を重合させる際には、空気中に存在している酸素が重合禁止剤として作用し、その結果、空気と接触しているコーティング層の表面部分にミクロン単位の厚さの未重合層が生じる。しかし、コーティング層に屈折率が1.9以上の不透明な無機フィラー(c)(顔料に相当する)が少量含まれていると、この無機フィラー(c)がコーティング層に入射した光(重合開始の際に照射した光)を乱反射させて、光の散乱効果により、その表面部分の重合性を向上させ、重合硬化後の表面未重合層を薄くする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に係る歯科用コーティング組成物は、疎水性重合性単量体(a)、親水性重合性単量体(b)、屈折率が1.9以上の無機フィラー(c)および光重合開始剤(d)を含有する。なお、以下においては、メタクリルとアクリルとを(メタ)アクリルと、メタクリレートとアクリレートとを(メタ)アクリレートと、またメタクリロイルとアクリロイルとを(メタ)アクリロイルと、それぞれ包括的に記すことがある。
【0015】
疎水性重合性単量体(a)は、接着性、機械的強度および塗布性を向上させる。疎水性重合性単量体(a)は、25°Cにおける水に対する溶解度が10重量%未満の重合性単量体である。同溶解度が1重量%以下の重合性単量体が好ましい。かかる重合性単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸エステル、α−シアノアクリル酸エステル、α−ハロゲン化アクリル酸エステル、クロトン酸エステル、桂皮酸エステル、ソルビン酸エステル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル等のエステル類、(メタ)アクリルアミド誘導体、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、モノ−N−ビニル誘導体、スチレン誘導体等の重合可能な不飽和基を有する化合物が挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
【0016】
以下に、(メタ)アクリル酸エステルの具体例を示す。n個(n=1,2,3,…)のオレフィン性二重結合を有する単量体をn官能性単量体と表現し、一官能性単量体、二官能性単量体および三官能性以上の単量体の3つに分けて示す。
【0017】
(イ)一官能性単量体:
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン
【0018】
(ロ)二官能性単量体:
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス[4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]プロパン、1,2−ビス〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕エタン、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレート
【0019】
(ハ)三官能性以上の単量体:
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、N,N’−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート
【0020】
疎水性重合性単量体(a)の種類は、コーティング組成物の粘度、重合性などを考慮して適宜選択すればよい。1種単独を用いてもよく、必要に応じて2種以上を併用してもよい。重合性の点で、二官能性以上の単量体が好ましい。疎水性重合性単量体(a)が過少であるとコーティング組成物の塗布性、流動性、操作性などが低下する場合がある。疎水性重合性単量体の配合量は、コーティング組成物の全重量に対して20重量%〜90重量%が好ましく、40重量%〜80重量%がより好ましい。
【0021】
親水性重合性単量体(b)は、歯に対する濡れ性および浸透性を向上させるために必要であるばかりでなく、靭性の高いコーティング層を形成するためにも必要である。親水性重合性単量体(b)は、25°Cにおける水に対する溶解度が10重量%以上の重合性単量体である。同溶解度が30重量%以上の重合性単量体が好ましい。親水性重合性単量体(b)の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル−1,3−ジ(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル−1,2−ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、2−トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリルクロライド、(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート(オキシエチレン基の数が9以上のもの)が挙げられる。なかでも、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましい。
【0022】
親水性重合性単量体(b)は、1種単独を用いてもよく、必要に応じて2種以上を併用してもよい。親水性重合性単量体(b)の配合量は、組成物の全重量に対して5重量%〜50重量%の範囲である。5重量%未満の場合には、コーティング組成物の濡れ性や得られる硬化物の靭性が低くなる傾向があり、50重量%を超えた場合には、得られる硬化物の強度が低下する場合がある。同配合量は、5重量%〜40重量%の範囲がより好ましく、10重量%〜35重量%の範囲が最も好ましい。
【0023】
疎水性重合性単量体(a)および親水性重合性単量体(b)の他に、さらに重合性単量体として、リン酸基、ピロリン酸基、チオリン酸基、カルボン酸基またはスルホン酸基等の酸性基を少なくとも一つ以上有し、且つアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、スチレン基等の重合可能な不飽和基を有する重合性単量体(以下、「酸性基含有重合性単量体」と記すことがある)を配合することにより、歯に対する接着性をさらに改善することができる。酸性基含有重合性単量体としては、接着性の点で、そのカルシウム塩の25°Cにおける水に対する溶解度が10重量%以下のものが好ましく、1重量%以下のものがより好ましく、0.1重量%以下ものが最も好ましい。酸性基含有重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
【0024】
リン酸基含有重合性単量体としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジハイドロジェンホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルジハイドロジェンホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキペンチルジハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート、7−(メタ)アクリロイルオキシヘプチルジハイドロジェンホスフェート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルジハイドロジェンホスフェート、9−(メタ)アクリロイルオキシノニルジハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルジハイドロジェンホスフェート、12−(メタ)アクリロイルオキシドデシルジハイドロジェンホスフェート、16−(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルジハイドロジェンホスフェート、20−(メタ)アクリロイルオキシエイコシルジハイドロジェンホスフェート、4−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕シクロヘキシルオキシジハイドロジェンホスフェート、ジ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔4−(メタ)アクリロイルオキシブチル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔5−(メタ)アクリロイルオキシペンチル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔7−(メタ)アクリロイルオキシヘプチル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔8−(メタ)アクリロイルオキシオクチル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔9−(メタ)アクリロイルオキシノニル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔10−(メタ)アクリロイルオキシデシル〕ハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキシルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル 2’−ブロモオクチルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルオクチルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルノニルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルデシルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルデシルハイドロジェンホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスホネート、(8−メタクリロキシ)オクチル−3−ホスホノプロピオネート、(9−メタクリロキシ)ノニル−3−ホスホノプロピオネート、(10−メタクリロキシ)デシル−3−ホスホノプロピオネート、(6−メタクリロキシ)オクチル−3−ホスホノアセテート、(10−メタクリロキシ)デシル−3−ホスホノアセテート、2−メタクリロイルオキシエチル(4−メトキシフェニル)ハイドロジェンホスフェート、2−メタクリロイルオキシプロピル(4−メトキシフェニル)ハイドロジェンホスフェート、特開昭52−113089号公報、特開昭53−67740号公報、特開昭53−69494号公報、特開昭53−144939号公報、特開昭58−128393号公報または特開昭58−192891号公報に開示のリン酸基含有疎水性重合性単量体、およびこれらの酸塩化物が例示される。これらの外、上記のリン酸基含有重合性単量体のアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩など)、アンモニウム塩が挙げられる。
【0025】
ピロリン酸基含有重合性単量体としては、ピロリン酸ジ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、ピロリン酸ジ〔3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル〕、ピロリン酸ジ〔4−(メタ)アクリロイルオキシブチル〕、ピロリン酸ジ〔5−(メタ)アクリロイルオキシペンチル〕、ピロリン酸ジ〔6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル〕、ピロリン酸ジ〔7−(メタ)アクリロイルオキシヘプチル〕、ピロリン酸ジ〔8−(メタ)アクリロイルオキシオクチル〕、ピロリン酸ジ〔9−(メタ)アクリロイルオキシノニル〕、ピロリン酸ジ〔10−(メタ)アクリロイルオキシデシル〕、ピロリン酸ジ〔12−(メタ)アクリロイルオキシドデシル〕、およびこれらの酸塩化物、アルカリ金属塩、アンモニウム塩が例示される。
【0026】
チオリン酸基含有重合性単量体としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンジチオホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジハイドロジェンジチオホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルジハイドロジェンジチオホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチルジハイドロジェンジチオホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンジチオホスフェート、7−(メタ)アクリロイルオキシヘプチルジハイドロジェンジチオホスフェート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルジハイドロジェンジチオホスフェート、9−(メタ)アクリロイルオキシノニルジハイドロジェンジチオホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンチオホスフェート、およびこれらの酸塩化物、アルカリ金属塩、アンモニウム塩が例示される。
【0027】
カルボン酸基含有重合性単量体としては、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルオキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシオクチルオキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシデシルオキシカルボニルフタル酸、およびこれらの酸無水物、6−(メタ)アクリロイルアミノヘキシルカルボン酸、8−(メタ)アクリロイルアミノオクチルカルボン酸、9−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ノナンジカルボン酸、10−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−デカンジカルボン酸、11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、およびこれらの酸塩化物、アルカリ金属塩、アンモニウム塩が例示される。
【0028】
スルホン酸基含有重合性単量体としては、2−(メタ)アクリルアミドエチルスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミドプロピルスルホン酸、4−(メタ)アクリルアミドブチルスルホン酸、6−(メタ)アクリルアミドヘキシルスルホン酸、8−(メタ)アクリルアミドオクチルスルホン酸、10−(メタ)アクリルアミドデシルスルホン酸、スチレンスルホン酸等のスルホン酸基を含有する化合物、およびこれらの酸塩化物、アルカリ金属塩、アンモニウム塩が例示される。
【0029】
上記の酸性基含有重合性単量体のうち、リン酸基含有重合性単量体が接着性に優れるので好ましい。なかでも、炭素数6〜25のアルキレン基、アルキル基および/またはフェニル基を有するリン酸基含有重合性単量体がより好ましく、炭素数6〜12のアルキレン基を有するリン酸基含有重合性単量体が最も好ましい。
【0030】
酸性基含有重合性単量体は、1種単独を用いてもよく、必要に応じて2種以上を併用してもよい。酸性基含有重合性単量体が過多であるとコーティング組成物の表面硬化性が低下する場合があるので、酸性基含有重合性単量体の配合量は、コーティング組成物の全重量に対して30重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましい。
【0031】
屈折率が1.9以上の無機フィラー(c)は、光の散乱効果によりコーティング層の表面硬化性を向上させるばかりでなく、歯の変色を遮蔽したり、コーティング層の明度を上げたりするので審美改善の点でも極めて有用である。表面硬化性と審美改善効果の点で、屈折率が2.1以上の無機フィラーが好ましい。屈折率が1.9未満の場合には、表面硬化性が低下する場合がある。屈折率が1.9以上の無機フィラー(c)としては、酸化チタン(屈折率:2.49〜2.90)、酸化ジルコニウム(屈折率:2.13〜2.19)、酸化亜鉛(屈折率:2.00〜2.02)が例示される。また、屈折率が1.9以上の無機フィラー(c)の平均粒径は、0.01μm〜100μmが好ましく、0.1μm〜80μmがより好ましい。
【0032】
無機フィラー(c)は、1種単独を用いてもよく、必要に応じて2種以上を併用してもよい。無機フィラー(c)の配合量は、コーティング組成物の全重量に対して0.1重量%〜50重量%である。同配合量が0.1重量%よりも少ない場合には表面硬化性が低下する傾向があり、同配合量が50重量%を超えた場合には光重合性触媒を用いただけでは硬化深度が浅く、内部まで十分に硬化しなくなる傾向がある。好ましい配合量は、0.1重量%〜10重量%の範囲であり、最も好ましい配合量は0.1重量%〜5重量%の範囲である。
【0033】
無機フィラー(c)の沈降を抑制したり、機械的強度、塗布性、容器からの採取性、操作性などを向上させたりするために、他のフィラーを併用してもよい。無機フィラー(c)と併用するフィラーとしては、下記に示す無機系フィラー、有機系フィラーおよび無機/有機複合フィラーが挙げられる。
【0034】
無機系フィラーとしては、シリカおよびカオリン、クレー、雲母、マイカ等のシリカを基材とする鉱物、シリカを基材とし、Al23、B23、BaO、La23、SrO2、CaO、P25などを含有する、セラミックスまたはガラスが例示される。かかるガラスの具体例としては、ランタンガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、ソーダガラス、リチウムボロシリケートガラス、亜鉛ガラス、ホウ珪酸ガラス、バイオガラスが挙げられる。これらの外、結晶石英、ヒドロキシアパタイト、リン酸カルシウムも好ましい。
【0035】
有機系フィラーとしては、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、多官能メタクリレートの重合体、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴムが例示される。
【0036】
無機/有機複合フィラーとしては、有機系フィラーに無機系フィラーを分散させたもの、無機系フィラーを種々の重合性単量体にてコーティングしたものが例示される。
【0037】
無機フィラー(c)と併用する上記のフィラーは、1種単独を用いてもよく、必要に応じて2種以上を併用してもよい。これら無機フィラー(c)と併用するフィラーの配合量は、コーティング組成物の全重量に対して60重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましい。無機フィラー(c)と併用するフィラーの平均粒径は0.001〜50μmの範囲が好ましい。フィラー(c)の沈降を抑えたり塗布性や操作性を向上させたりするために、平均粒径0.001〜0.1μmのコロイドシリカ(e)を、コーティング組成物の全重量に対して、好ましくは1重量%〜40重量%の範囲、より好ましくは3重量%〜35重量%の範囲、最も好ましくは5重量%〜30重量%の範囲で併用するとよい。コロイドシリカ(e)としては、噴霧熱分解法によって得られる粒子系の小さいシリカ(例えば、デグサ社製、商品名「アエロジル」)、湿式法によって得られるシリカゾル、ゾルゲル法で得られる単分散シリカが例示される。
【0038】
上記の無機フィラー(c)およびこれと併用するフィラーは、コーティング組成物の機械的強度、塗布性、操作性、流動性などを向上させるために、シランカップリング剤等の公知の表面処理剤で予め表面処理してから用いてもよい。かかる表面処理剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランが例示される。
【0039】
光重合開始剤(d)としては、従来公知の光重合開始剤を使用することができる。その具体例としては、α−ジケトン類、ケタール類、チオキサントン類、アシルホスフィンオキサイド類、α−アミノアセトフェノン類が挙げられる。
【0040】
α−ジケトン類としては、カンファーキノン、ベンジル、2,3−ペンタンジオンが例示される。
【0041】
ケタール類としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタールが例示される。
【0042】
チオキサントン類としては、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントンが例示される。
【0043】
アシルホスフィンオキサイド類としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(ベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、トリス(2,4−ジメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド、トリス(2−メトキシベンゾイル)ホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジ−(2,6−ジメチルフェニル)ホスホネート、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイド、特公平3−57916号公報に開示されている水溶性のアシルホスフィンオキサイド化合物が例示される。
【0044】
α−アミノアセトフェノン類としては、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−プロパノン−1、2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−プロパノン−1、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ペンタノン−1、2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ペンタノン−1が例示される。
【0045】
光重合開始剤(d)は、1種単独を用いてもよく、必要に応じて2種以上を併用してもよい。光重合開始剤(d)の配合量は、コーティング組成物中の重合性単量体の合計重量に対して、0.01重量%〜10重量%の範囲が好ましく、0.05重量%〜7重量%の範囲がより好ましく、0.1重量%〜5重量%の範囲が最も好ましい。
【0046】
光重合開始剤(d)は、それのみを単独で使用してもよく、光硬化性を促進するために、第3級アミン類、アルデヒド類、チオール基を有する化合物等の重合促進剤と併用してもよい。
【0047】
第3級アミン類としては、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ビス〔(メタ)アクリロイルオキシエチル〕−N−メチルアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチル、N−メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジンが例示される。
【0048】
アルデヒド類としては、ジメチルアミノベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒドが例示される。
【0049】
チオール基を有する化合物としては、2−メルカプトベンゾオキサゾール、デカンチオール、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、チオ安息香酸が例示される。
【0050】
重合促進剤は、1種単独を用いてもよく、必要に応じて2種以上を併用してもよい。重合促進剤の配合量は、コーティング組成物中の重合性単量体の合計重量に対して、0.01重量%〜10重量%の範囲が好ましく、0.05重量%〜7重量%の範囲がより好ましく、0.1重量%〜5重量%の範囲が最も好ましい。
【0051】
必要に応じて化学重合開始剤を光重合開始剤(d)と併用してもよい。化学重合開始剤を併用することにより、特に、光が到達しにくいために光重合しにくいコーティング層の内部の重合性を高めることができる。かかる化学重合開始剤としては、酸化剤と還元剤よりなるレドックス系の化学重合開始剤が好ましい。レドックス系の化学重合開始剤を使用する場合は、コーティング組成物の包装形態を酸化剤と還元剤とが離間されるように2分割以上にする必要がある。
【0052】
酸化剤としては、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ケトンパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類等の有機過酸化物が挙げられる。
【0053】
ジアシルパーオキサイド類の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイドが挙げられる。パーオキシエステル類の具体例としては、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートが挙げられる。ジアルキルパーオキサイド類の具体例としては、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドが挙げられる。パーオキシケタール類の具体例としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが挙げられる。ケトンパーオキサイド類の具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイドが挙げられる。ハイドロパーオキサイド類の具体例としては、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、p−ジイソプロピルベンゼンパーオキサイドが挙げられる。
【0054】
還元剤としては、芳香族第3級アミン、脂肪族第3級アミン並びにスルフィン酸およびその塩が挙げられる。
【0055】
芳香族第3級アミンとしては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−4−エチルアニリン、N,N−ジメチル−4−イソプロピルアニリン、N,N−ジメチル−4−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−エチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−イソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−イソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジブチルアニリン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(2−メタクリロイルオキシ)エチルが例示される。
【0056】
脂肪族第3級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−ラウリルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、(2−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、N−メチルジエタノールアミンジメタクリレート、N−エチルジエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミンモノメタクリレート、トリエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミントリメタクリレートが例示される。
【0057】
スルフィン酸およびその塩としては、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸カリウム、ベンゼンスルフィン酸カルシウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、トルエンスルフィン酸、トルエンスルフィン酸ナトリウム、トルエンスルフィン酸カリウム、トルエンスルフィン酸カルシウム、トルエンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カルシウムが例示される。
【0058】
酸化剤および還元剤は、いずれも、1種単独を用いてもよく、必要に応じて2種以上を併用してもよい。酸化剤および還元剤の配合量は、コーティング組成物中の重合性単量体の合計重量に対して、いずれも、0.01重量%〜10重量%の範囲が好ましく、0.05重量%〜7重量%の範囲がより好ましく、0.1重量%〜5重量%の範囲が最も好ましい。
【0059】
本発明に係るコーティング組成物に、顔料を配合してもよい。顔料を配合することにより、得られるコーティング層の色調を調整することができる。かかる顔料としては、ベンガラ、フタロシアニンブルー、各種アゾ系顔料が例示される。顔料は、1種単独を用いてもよく、必要に応じて2種以上を併用してもよい。顔料の配合量は特に限定されず、コーティング組成物の色調や審美性を考慮して適宜配合すればよい。
【0060】
本発明に係るコーティング組成物に、フッ素イオン放出性物質を配合してもよい。フッ素イオン放出性物質を配合することにより、歯の表面に耐酸性を付与することができる。かかるフッ素イオン放出性物質としては、フルオロアルミノシリケートガラス等のフッ素ガラス、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化リチウム、フッ化イッテルビウム等の金属フッ化物、特開平5−85912号公報に開示されているメタクリル酸メチルとメタクリル酸フルオライドとの共重合体等のフッ素イオン放出性ポリマー、セチルアミンフッ化水素酸塩が例示される。
【0061】
本発明に係るコーティング組成物に、重合禁止剤、蛍光剤、紫外線吸収剤などを添加してもよい。また、抗菌性を付与する目的で、セチルピリジニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルピリジニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシデシルアンモニウムクロライド、トリクロサン等の抗菌性物質を配合してもよい。
【0062】
本発明に係るコーティング組成物を調合するにあたっては、それが適当な粘性を有するように、各成分を適宜選択することが好ましい。本発明に係るコーティング組成物の30°Cにおける粘度は、歯に対する浸透性、塗布性、操作性などの点で、300cP〜50,000cPの範囲が好ましく、500cP〜30,000cPの範囲がより好ましく、1,000cP〜20,000cPの範囲が最も好ましい。同粘度が300cP未満の場合には、流動性が高すぎて操作性が低下する場合があり、50,000cPを超えた場合には、塗布性が低下してコーティング層の色調の均一性が低下したり、歯に対する接着性や塗布性が低下したりする場合がある。
【0063】
次に、本発明に係る歯科用コーティング組成物の使用方法の一例を説明する。小筆、刷毛、スポンジ、ローラーなどでコーティング組成物を歯の表面に塗布し、塗布したコーティング組成物を重合硬化させることによりコーティング層を形成する。コーティング組成物の塗布厚みは、0.005mm〜1mmの範囲が好ましく、0.05mm〜0.7mmの範囲がより好ましく、0.1mm〜0.5mmの範囲が最も好ましい。塗布したコーティング組成物を、紫外および/または可視光型の光照射器による光重合硬化法を用いて重合硬化させる。光源としては、キセノンランプ、ハロゲンランプ、水銀ランプ、発光ダイオードなどが好ましい。重合硬化させるための光の照射時間は、光の波長や光量に依存する。歯科専用の照射器を使用すれば3秒〜10分間程度で硬化させることが可能である。
【0064】
歯に対する接着性を向上させるために、本発明に係るコーティング組成物の塗布に先立って、歯の表面をエッチング処理(例えばリン酸溶液によるエッチング処理)してもよい。
【0065】
また、必要に応じて、本発明に係るコーティング組成物を市販の歯科用接着性組成物と組み合わせて使用してもよい。例えば、歯の表面に歯科用接着性組成物を適用した後、その上に本発明に係るコーティング組成物を適用することにより、歯とコーティング組成物とが歯科用接着性組成物を介して強固に接着し、長期にわたってコーティング層が脱離しない優れた耐久性が得られる。
【0066】
さらに、本発明に係るコーティング組成物を歯に適用して得たコーティング層の光沢性および滑沢性を向上させるために、そのコーティング層の表面にさらに市販の歯科用表面滑沢性組成物を適用してもよい。
【0067】
さらにまた、漂白の効果を補足したり、漂白後に色が後戻りする現象を防止したりするために、本発明に係るコーティング組成物を、漂白後の歯の表面に適用してもよい。歯の漂白は、歯を白くする手段として近年普及しつつあるが、本発明に係るコーティング組成物はかかる漂白後の歯のコーティングにも好適に用いることができる。なお、漂白後の歯をコーティングする場合も、必要に応じて、漂白後の歯の表面を予めエッチング処理したり、本発明に係るコーティング組成物を市販の歯科用接着性組成物と組み合わせて使用したりすることができる。
【0068】
上記の外、本発明に係るコーティング組成物は、歯のコーティングのみならず、金属、陶材、セラミックス、コンポジット硬化物等の歯冠修復材料のコーティングにも使用することができる。また、本発明に係るコーティング組成物は、これのみを単独で使用してもよく、市販の歯科用金属プライマー、陶材接着用のプライマー、次塩素酸塩等の歯面清掃剤などと組み合わせて使用してもよい。
【0069】
【実施例】
実施例により本発明を更に詳細に説明する。本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、以下で使用する略記号は次の通りである。
【0070】
〔疎水性重合性単量体(a)〕
Bis−GMA:ビスフェノールAジグリシジルメタクリレート
UDMA:[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレート
U−4TH:N,N’−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレート
HD:1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート
DD:1,10−デカンジオールジメタクリレート
【0071】
〔親水性重合性単量体(b)〕
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
9G:ポリエチレングリコールジメタクリレート(オキシエチレン基の数は9)
【0072】
〔光重合開始剤(d)〕
CQ:カンファーキノン
〔重合促進剤〕
DMABE:4−ジメチルアミノ安息香酸エチル
【0073】
(実施例1)
UDMA(50重量%)、U−4TH(20重量%)、HEMA(20重量%)、常法によりγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで表面処理した屈折率2.6の日局酸化チタン粉末(0.4重量%)、CQ(0.5重量%)、DMABE(1重量%)およびコロイドシリカ粉末(日本アエロジル製、商品コード「アエロジル130」)(8.1重量%)を混合してコーティング組成物を調製した。このコーティング組成物について、下記(1)の方法により表面未重合層の厚さを測定した。また、下記(2)の方法により耐チッピング性を評価した。なお、以下の実施例および比較例で調べた表面未重合層の厚さおよび耐チッピング性も、下記(1)、(2)の方法により調べたものである。
結果を表1に示す。
【0074】
(1)表面未重合層の厚さ
ガラス板上に設置した直径10mm、厚さ1mmのテフロン(登録商標)製モールド型に実施例1で調製したコーティング組成物を充填し、表面を平滑にした後、上方より歯科用光照射器(群馬ウシオ電気製、商品コード「ライテルII」)を用いて20秒間光照射し重合硬化させた。このようにして得た硬化物とガラス板およびモールドとの総重量を測定し(W1)、次いでその硬化物の表面の未重合部分をワイパーで拭き取り、再び重量を測定した(W2)。次式により未重合層の厚さを算出した。
【0075】
表面未重合層の厚さ(μm)={(W1−W2)/(A×d)}×10000〔上式中、Aはコーティング組成物の塗布面積(cm2 )(0.5×0.5×π)であり、dはコーティング組成物の密度(g/cm3 )である。〕
【0076】
(2)耐チッピング性
(2−1)抜去した人の前歯の舌側面を唇面のエナメル質平坦部と平行になるように削り、厚さ2mmの板状に加工した。こうして加工した歯の唇面のエナメル質部分の表面をブラシ(日本歯科工業社製、商品名「ブラシコーン」)を用いて清掃した後、そのエナメル質部分の平坦部の中央部に、直径5mmの穴を空けた厚さ150μmのテープを貼り付け、歯科用接着材料としてのプライマー(クラレ製、商品名「クリアフィルメガボンドプライマー」)を塗布した。20秒間静置した後、歯科用エアーシリンジにて流動性がなくなるまで揮発成分を蒸散させた。次いで、実施例1で調製したコーティング組成物をテープの穴の中のプライマーの表面に塗布した。コーティング組成物を塗布した面に、歯科用光照射器(群馬ウシオ電気製、商品コード「ライテルII」)を用いて20秒間光照射を行ってコーティング組成物を硬化させた後、テープを剥して、エナメル質部分の表面に直径5mmの円板状のコーティング層が形成された板状の歯を得た。
【0077】
(2−2)上記の板状の歯を、縦3cm、横2cm、厚さ2mmの金型の中央部に、円板状のコーティング層を上にして設置し、周囲に歯科用コンポジットレジンを充填して歯を固定し、かかる状態で歯科用コンポジットレジンを重合硬化させて試験片とした。この試験片を、水を満たした水槽の底面に固定し、コーティング層の表面に歯ブラシ(ライオン社製、商品名「ビトイーン」;硬度:ふつう)の毛を垂直に接触させ、250gの荷重をかけた状態で歯ブラシを振幅10cmで40,000回往復滑走させた。
【0078】
(2−3)次いで、水槽から試験片を取り出し、円板状のコーティング層の周縁部を光学顕微鏡(拡大倍率:10倍)で観察し、長径が0.1mm以上のチッピングの有無を観察した。チッピングが認められたものを×、認められなかったものを○と評価した。
【0079】
(実施例2〜5、比較例1〜4)
Bis−GMA、UDMA、U−4TH、HD、HEMA、常法によりγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで表面処理した屈折率2.6の日局酸化チタン粉末、CQ、DMABEおよびコロイドシリカ粉末(日本アエロジル製、商品コード「アエロジル130」)を表1に示す重量比率で混合し、8種類のコーティング組成物を調製した。これらのコーティング組成物について、表面未重合層の厚さを測定し、また耐チッピング性を評価した。結果を表1に示す。
【0080】
【表1】
Figure 2004196735
【0081】
表1より、屈折率が2.6の無機フィラー(c)を0.1重量%〜50重量%の範囲内で含有する本発明に係るコーティング組成物を用いた場合、表面未重合層の厚さが薄く、耐チッピング性に優れたコーティング層が得られることが分かる(実施例1〜5)。これに対して、屈折率が2.6の無機フィラー(c)を全く含まないか、或いは、その含有量が0.1重量%未満のコーティング組成物を用いた場合、耐チッピング性は優れているが、表面未重合層の厚さが極めて厚く、実用上問題があることが分かった(比較例1〜4)。
【0082】
(実施例6)
UDMA(60重量%)、U−4TH(20重量%)、HEMA(10重量%)、常法によりγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで表面処理した屈折率2.6の日局酸化チタン粉末(1重量%)、CQ(0.5重量%)、DMABE(1重量%)およびコロイドシリカ粉末(日本アエロジル製、商品コード「アエロジル130」)(7.5重量%)を混合してコーティング組成物を調製した。このコーティング組成物について、表面未重合層の厚さを測定し、また耐チッピング性を評価した。さらに、下記(1)の方法により吸水量を、また下記(2)の方法により破断点変位を、それぞれ調べた。結果を表2に示す。
【0083】
(1)吸水量
直径15mm、厚さ1mmの金型に実施例6で調製したコーティング組成物を充填し、上下面にスライドガラスを圧接した後、歯科用技工用照射器(モリタ製、商品名「αライト」)を用いて、上下面に各3分ずつ光を照射して重合硬化させた。金型から硬化物を取り出してこれを試験片とした。この試験片を37°Cの蒸留水に7日間浸漬した後、表面の水分をワイパーで拭き取り、試験片の重量W1(単位:g)を測定した。次いでかかる操作後の試験片を90°Cの恒温槽に入れて3時間乾燥し、デシケーターに移して室温で30分放置した後取り出して、重量W2(単位:g)を測定した。下式により吸水量を算出した。
【0084】
吸水量(μg/mm3)= [(W1−W2)/B]×1000
〔上式中、Bは試験片の体積(=1×7.5×7.5×π)(単位:mm3 )である。〕
【0085】
(2)破断点変位
ステンレス製の金型(寸法2mm×2mm×30mm)に実施例6で調製したコーティング組成物を充填した後、上下面にスライドガラスを圧接し、歯科用技工用照射器(モリタ製、商品名「αライト」)を用いて、上下面に各3分ずつ光を照射して重合硬化させた。金型から硬化物を取り出し、37°Cの蒸留水に24時間浸漬した後、破断点変位測定装置(島津製作所製、商品名「オートグラフ」)を用いて破断点変位を測定した。破断点変位測定装置のスパンは20mm、クロスヘッドスピードは1mm/分とした。各試料について5本の試験片を作製し、5本の試験片の破断点変位量の平均値をその試料の破断点変位とした。
【0086】
(実施例7〜9、比較例9)
UDMA、U−4TH、HEMAまたは9G、常法によりγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで表面処理した屈折率2.6の日局酸化チタン粉末、CQ、DMABEおよびコロイドシリカ粉末(日本アエロジル製、商品コード「アエロジル130」)を表2に示す重量比率で混合し、親水性重合性単量体(b)の含有量が異なる4種類のコーティング組成物を調製した。これらのコーティング組成物について、表面未重合層の厚さ、吸水量および破断点変位を測定し、また耐チッピング性を評価した。結果を表2に示す。
【0087】
(比較例5〜8)
HEMAに代えてDDを、それぞれ10重量%、20重量%、30重量%、42重量%配合したこと以外はそれぞれ実施例6、実施例2、実施例7、実施例8と同様にして、4種類のコーティング組成物を調製した。これらのコーティング組成物について、表面未重合層の厚さ、吸水量および破断点変位を測定し、また耐チッピング性を評価した。結果を表2に示す。
【0088】
【表2】
Figure 2004196735
【0089】
表2より、親水性重合性単量体(b)を5重量%〜50重量%の範囲内で配合して調製した実施例6〜9のコーティング組成物を用いた場合は、表面未重合層の厚さが薄く、耐チッピング性に優れた硬化物が得られることが分かる。このように硬化物の耐チッピング性が良いのは、吸水量が多く靭性が高いために破断点変位が大きいからである。一方、親水性重合性単量体(b)を配合しないで調製した比較例5〜8のコーティング組成物を用いた場合は、表面未重合層の厚さは薄いものの、耐チッピング性に優れた硬化物は得られないことが分かる。硬化物の耐チッピング性が良くないのは、吸水量が少なく靭性が低いために破断点変位が小さいからである。また、親水性重合性単量体(b)を65重量%配合して調製した比較例9のコーティング組成物を用いた場合は、表面未重合層の厚さが厚く、しかも耐チッピング性が良くない硬化物しか得られないことが分かる。このように硬化物の耐チッピング性が良くないのは、吸水量が多くなりすぎて強度が低下したからである。
【0090】
(実施例10)
UDMA(45重量%)、U−4TH(20重量%)、HEMA(30重量%)、常法によりγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで表面処理した屈折率2.6の日局酸化チタン粉末(1重量%)、CQ(0.5重量%)、DMABE(1重量%)およびコロイドシリカ粉末(日本アエロジル製、商品コード「アエロジル130」)(2.5重量%)を混合してコーティング組成物を調製した。このコーティング組成物について、下記(1)の方法により粘度を、下記(2)の方法により酸処理した歯に対する濡れ性を、下記(3)の方法により酸処理した歯に対する接着強度を、下記(4)の方法により塗布性を、それぞれ調べた。なお、以下の実施例および比較例で調べた粘度、濡れ性、接着強度および塗布性も、下記(1)〜(4)の方法により調べたものである。結果を表3に示す。
【0091】
(1)粘度
コーティング組成物を0.6cc採取し、その30°Cにおける粘度をE型粘度計(東機産業製)を用いて測定した。
【0092】
(2)酸処理した歯に対する濡れ性
ブラシ(日本歯科工業社製、商品名「ブラシコーン」)を用いて予め清掃した抜歯された人の中切歯の唇面表面に酸処理剤(クラレ製、商品名「Kエッチャントゲル」)を塗布し、40秒後に流水洗浄した。この酸処理した歯を接触角計(協和界面科学製、商品コード「CA−P」)にセットし、酸処理した歯の表面にマイクロシリンジで実施例10で調製したコーティング組成物を滴下し、気/液界面と歯の表面がなす角度を測定した。測定を10回繰り返し行い、接触角(単位:°)を、10回の測定値の平均値として求めた。
【0093】
(3)酸処理した歯に対する接着強度
ブラシ(日本歯科工業社製、商品名「ブラシコーン」)を用いて予め清掃した抜歯された人の中切歯の唇面表面に酸処理剤(クラレ製、商品名「Kエッチャントゲル」)を塗布し、40秒後に流水洗浄した。この酸処理した人の中切歯の中央部分に、直径3mmの穴を空けた厚さ150μmのテープを貼り、実施例10で調製したコーティング組成物をテープのその穴の中に塗布した。コーティング組成物を塗布した面に、歯科用光照射器(群馬ウシオ電気製、商品コード「ライテルII」)を用いて60秒間光照射を行い、硬化させた。次いで、その硬化面に対して、市販の歯科用レジンセメント(クラレ製、商品コード「パナビア21」)を用いてステンレス製の円柱の棒(直径5mm、長さ1.5cm)を棒の端面(円面)を接着面にして接着した。30分後に試験片を37°Cの水中に浸漬し、1日浸漬した後に接着強度を測定した。接着強度は、ステンレス製の円柱棒が引張り方向の軸に対して±5°以下の範囲になるように、数枚の厚さ0.5mmの金属製の板を歯にあてて固定し、ステンレス製の棒を下方向に引張って測定した。接着強度は、試験片8個についての測定値の平均値として求めた。なお、接着強度は、引張試験装置(島津製作所製、商品名「オートグラフ」)を使用し、そのクロス・ヘッドスピードを2mm/分に設定して測定した。
【0094】
(4)塗布性
抜去した人の前歯の唇面をブラシ(日本歯科工業社製、商品名「ブラシコーン」)を用いて清掃した後、実施例10で調製したコーティング組成物を小筆で唇面の切縁から歯頚線まで塗布し、色調の均一性を目視により調べた。塗布性の評価は、明らかに色調にむらが著しく認められたものを×、僅かに認められたものを△、まったく認められなかったものを○と評価した。
【0095】
(実施例11〜12)
UDMA、U−4TH、HEMA、9G、常法によりγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで表面処理した屈折率2.6の日局酸化チタン粉末、CQ、DMABEおよびコロイドシリカ粉末(日本アエロジル製、商品コード「アエロジル130」)を表3に示す重量比率で混合して、2種類のコーティング組成物を調製した。これらのコーティング組成物について、粘度、酸処理した歯に対する濡れ性、酸処理した歯に対する接着強度および塗布性を調べた。結果を表3に示す。
【0096】
(比較例10)
コーティング組成物中のHEMA30重量%に代えてDD30重量%を配合したこと以外は実施例10と同様にして、コーティング組成物を調製した。このコーティング組成物について、粘度、酸処理した歯に対する濡れ性、酸処理した歯に対する接着強度および塗布性を調べた。結果を表3に示す。
【0097】
【表3】
Figure 2004196735
【0098】
表3より、コロイドシリカを1重量%〜40重量%の範囲内で配合して調製した実施例10〜12のコーティング組成物は、塗布性に優れ、しかも酸処理した歯に対する濡れ性および接着強度にも優れていることが分かる。これに対して、HEMAに代えてDDを配合して調製した、親水性重合性単量体(b)を含有しない比較例10のコーティング組成物は、塗布性には優れているものの、歯に対する濡れ性および接着強度が低かった。
【0099】
【発明の効果】
歯に対する濡れ性が良く、表面硬化性に優れ、適用後に破折やチッピングが生じにくい、歯のマニキュア、歯のエナメル欠損部のコーティング、齲蝕予防のシーラントなどとして好適に使用できる歯科用コーティング組成物が提供される。

Claims (5)

  1. 疎水性重合性単量体(a)、親水性重合性単量体(b)、屈折率が1.9以上の無機フィラー(c)および光重合開始剤(d)を含有する歯科用コーティング組成物であって、前記親水性重合性単量体(b)を5重量%〜50重量%含有し、且つ前記屈折率が1.9以上の無機フィラー(c)を0.1重量%〜50重量%含有することを特徴とする歯科用コーティング組成物。
  2. コロイドシリカ(e)を1重量%〜40重量%含有する請求項1記載の歯科用コーティング組成物。
  3. 前記親水性重合性単量体(b)が2−ヒドロキシエチルメタクリレートである請求項1または2記載の歯科用コーティング組成物。
  4. 30°Cにおける粘度が300cP〜50,000cPである請求項1〜3のいずれかに記載の歯科用コーティング組成物。
  5. 歯のマニキュアに用いられる請求項1〜4のいずれかに記載の歯科用コーティング組成物。
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