JP2001049199A - 接着性の組成物及びその製造方法 - Google Patents

接着性の組成物及びその製造方法

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JP2001049199A JP2000143150A JP2000143150A JP2001049199A JP 2001049199 A JP2001049199 A JP 2001049199A JP 2000143150 A JP2000143150 A JP 2000143150A JP 2000143150 A JP2000143150 A JP 2000143150A JP 2001049199 A JP2001049199 A JP 2001049199A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硬質組織、特にエナメル質および象牙質の両
方の硬質組織に対して、優れた接着性、特に水中での接
着耐久性を向上させ得る硬質組織用の接着性の組成物と
その製造方法を提供すること。 【解決手段】 分子内に炭素鎖8〜25のアルキレン
基、炭素鎖8〜25のアルキル基及び芳香族基から選ば
れる炭化水素基を少なくとも一つ以上有する水不溶性の
酸性基含有重合性単量体及び/又はその塩、並びに水を
含有してなり、pHが1.0〜6.0の実質的に透明な
接着性の組成物によって達成することができ、かかる組
成物は、(a)分子内に炭素鎖8〜25のアルキレン
基、炭素鎖8〜25のアルキル基及び芳香族基から選ば
れる炭化水素基を少なくとも一つ以上有する水不溶性の
酸性基含有重合性単量体、(b)該酸性基含有重合性単
量体と可溶性の塩を形成する塩基性化合物、及び(c)
水とを混合してpHを1.0〜6.0とすることにより
得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人あるいは動物の
骨、爪、歯などの硬質組織に対し、強力に接着するため
の硬質組織用の接着性の組成物に関する。さらに詳しく
は、特に歯科治療において、歯牙と修復材料、特に歯科
用ボンディング材、歯科用合着材、歯科用充填用コンポ
ジットレジン、歯科用充填用コンポマー等のレジン材料
とを接着するために使用する歯科用の接着性組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】齲蝕等により損傷を受けた歯質の修復に
は、通常、充填用コンポジットレジン、充填用コンポマ
ー等と呼ばれる充填修復材料が用いられるが、これらの
充填修復材料自体には接着性がないため、従来、歯質表
面をリン酸などの強力な酸エッチング剤によって処理を
施した後に、ボンディング材を塗布して歯質と充填材料
とを接着してきた。しかし、このような酸エッチング剤
による処理方法では、処理後に強酸を十分取り除くため
に水洗操作が必要であり、さらに再び乾燥させるなど操
作が煩雑であることが欠点とされている。また、酸エッ
チング剤を用いた接着システムではエナメル質への接着
力は優れるが、象牙質に対しては高い接着力を得ること
が難しいとされている。
【0003】その対策として、特開昭62−22328
9号公報では、酸エッチング剤の代わりに、酸(酸性モ
ノマー含む)と親水性モノマーからなるプライマーを歯
質に処理した後、水洗操作を行わずしてボンディング材
を適用させる接着システム、いわゆるセルフエッチング
型プライマーを使用したボンディングシステムが提案さ
れており、特に象牙質に対してある程度の接着性の改善
がなされてきた。しかし、該プライマーは、親水性のモ
ノマーを多く含むことから、モノマー成分が歯質に浸透
し、重合硬化によって形成される層、いわゆる樹脂含浸
層の耐水性が劣るため長期間に渡って高い接着性を維持
することが困難である。また、該公報では接着試験片を
45℃で5日間浸漬させる接着耐久性試験が開示されて
おり、HEMA等の親水性モノマーを多く含有するプラ
イマーを用いてもある程度の耐久性があることが示され
ている。しかしながら、このような耐久性試験にて接着
強度が保持されるプライマーでも、臨床にて使用した場
合、口腔内に長期間経過すると辺縁漏洩が生じ、脱落が
生じる場合があり、更なる耐久性の改善が望まれてい
る。
【0004】また、特開平1−113057号公報に
は、水と水溶性の重合性単量体および酸の塩とから構成
されるプライマーが提案されている。該公報では、酸の
代わりに酸の塩を配合することによって象牙質に対する
接着性を向上できることが記載されている。しかし、該
公報には、セルフエッチング型プライマーにおいて最も
重要であるエナメル質に対する接着強度に関する記載は
なく、また、実施例に記載されているプライマーを用い
てエナメル質に対する接着強度を測定した場合、接着強
度が著しく劣っていた。従って、該プライマーからはエ
ナメル質および象牙質の両方の硬質組織に対して強固に
接着することのできるセルフエッチング型のプライマー
を完成させるには至っていない。さらに、前述の特開昭
62−223289号公報についても言及したように、
該公報のプライマーについても、HEMA(2−ヒドロ
キシエチルメタクリレート)等の親水性モノマーを多く
含むことから、接着耐久性が劣るという本質的な問題は
解決していない。
【0005】また、特開平10−251115公報に
は、特定のリン酸モノマー、多価カルボン酸モノマーお
よび水からなるプライマーが提案されており、HEMA
等の親水性モノマーを配合せずとも高い歯質接着性能が
得ることができるプライマーが開示されている。しか
し、該公報のプライマーは、各成分を溶解し均一溶液す
るために必ず水溶性の有機溶剤が配合されており、水溶
性の有機溶剤は必須成分であることは明らかである。ま
た、水不溶性の酸性モノマーを水溶性の有機溶剤に溶解
させたプライマーでは、歯質、特に水分を多く含む象牙
質に浸透させようとしても、歯質中の組織液によって、
該酸性モノマーは不溶化され、該酸性モノマーが十分に
浸透あるいは拡散できない。そのため、接着強度が非常
にばらつく欠点がある。更に、該公報の有機溶剤の中に
は、HEMAも記載されていることからも、該公報は、
接着耐久性を改善する目的として提案されたものではな
いことは明らかである。また、該公報のプライマーを用
いて接着耐久性試験を行ったが、接着強度がばらつき、
接着強度も劣っていた。
【0006】更に特開平6−93211号公報には、特
定のリン酸エステル及び/又はその塩と水を含有するプ
ライマーが開示されており、該組成物に使用すれば、金
属、特にステンレスに対して優れた接着性、密着性が得
られることが記載されている。しかしながら、該公報の
実施例に記載されているプライマーを使用して、歯質に
対する接着試験を実施しても高い接着性を得ることがで
きす、特に熱サイクル負荷試験等の接着耐久性試験を行
うと接着強度は著しく低下した。したがって、該公報の
プライマーを歯牙の治療に使用するには必ずしも満足な
ものではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、硬質組織、特に歯質(エナメル質、象牙
質、セメント質)とレジン材料、例えば、歯科用ボンデ
ィング材、歯科用レジンセメント、歯科用グラスアイオ
ノマーセメント、充填用コンポジットレジン、充填用コ
ンポマー等との接着性、特に水中での接着耐久性を向上
させ得る硬質組織用の接着性の組成物を提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、開発当初、
親水性の重合性単量体を必須成分としない接着性の優れ
た組成物を見出せば、上記の技術課題を解決できると考
えた。しかし、従来の接着性組成物からただ単に親水性
の重合性単量体を除いただけでは、接着性組成物の歯質
への浸透性は低下し、優れた接着性を得ることができな
かった。そこで、いかにして親水性の重合性単量体を使
用せずに、接着性に優れる水不溶性の酸性基含有重合性
単量体の歯質への浸透性を向上させ、優れた接着性を発
現できる接着性組成物を提供することができるかという
新たな課題に対して鋭意検討を行った。その結果、以下
(1)〜(5)の条件を満足する接着性組成物が必要で
あると考えた。 (1)該接着性組成物の歯質接着性を十分に発揮させる
には、接着性組成物が、切削器具、例えば、切削用ター
ビン、切削用レーザー等によって歯質を切削する際に生
じるスメアー層を脱灰できること。 (2)優れた歯質接着性、および接着耐久性を得るため
には、耐水性の優れる水不溶性の酸性基含有重合性単量
体を必須成分として含有すること。 (3)該水不溶性の酸性基含有重合性を、水分を含む歯
質に容易に浸透させるには、この水不溶性の酸性基含有
重合性単量体を水溶化する必要があり、また、水は必須
成分として含有する必要があること。 (4)水溶化した酸性基含有重合性単量体が、歯質に対
して接着性を有すること。 (5)水溶化した酸性基含有重合性単量体が、歯質中の
ハイドロキシアパタイト等と結合し、接着性組成物中に
配合される重合触媒、あるいは接着性組成物の上に積層
されるボンディング材、コンポジットレジン、レジンセ
メント等の硬化に伴い、重合硬化されること。 上記(1)〜(5)の要件を満足できるような接着性組
成物を目指して、鋭意検討を重ねた結果、水不溶性の酸
性基含有重合性単量体の優れた接着性能を保持した状態
で水溶化する技術および特定の水溶化した酸性基含有重
合性単量体を含有する水性の組成物により、従来の接着
性組成物に比べ予想以上に接着耐久性を向上できること
を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】即ち、本発明は、(a)分子内に炭素鎖8
〜25のアルキレン基、炭素鎖8〜25のアルキル基及
び芳香族基から選ばれる炭化水素基を少なくとも一つ以
上有する水不溶性の酸性基含有重合性単量体及び/又は
その塩、並びに(b)水を含有してなり、pHが1.0
〜6.0であることを特徴とする、実質的に透明な接着
性の組成物である。
【0010】また、本発明のもう一つの発明は、(a)
分子内に炭素鎖8〜25のアルキレン基、炭素鎖8〜2
5のアルキル基及び芳香族基から選ばれる炭化水素基を
少なくとも一つ以上有する水不溶性の酸性基含有重合性
単量体、(b)該酸性基含有重合性単量体と可溶性の塩
を形成する塩基性化合物、及び(c)水とを混合してp
Hを1.0〜6.0とする、実質的に透明な接着性の組
成物の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に使用する水不溶性の酸性
基含有重合性単量体とは、前述したように炭素鎖8〜2
0のアルキレン基、炭素鎖8〜20のアルキル基及び芳
香族基から選ばれる炭化水素基を少なくとも一つ以上有
し、リン酸基、ピロリン酸基、チオリン酸基、カルボン
酸基またはスルホン酸基等の酸性基を有し、更にアクリ
ロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、スチレン基等
の重合可能な不飽和基を有するものであり、25℃にお
ける水に対する溶解度が5%以下、より好ましくは1%
以下のものが使用される。かかる水不溶性の酸性基含有
重合性単量体の具体例として、以下のものが挙げられ
が、なかでも、メタクリロイル基あるいはアクリロイル
基を不飽和基として有するものが好ましく使用される。
本発明においては(メタ)アクリルをもってメタクリル
とアクリルの両者を包括的に表現する。
【0012】リン酸基含有重合性単量体としては、例え
ば、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルジハイド
ロジェンホスフェート、9−(メタ)アクリロイルオキ
シノニルジハイドロジェンホスフェート、10−(メ
タ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフ
ェート、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシル
ジハイドロジェンホスフェート、12−(メタ)アクリ
ロイルオキシドデシルジハイドロジェンホスフェート、
16−(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルジハイ
ドロジェンホスフェート、20−(メタ)アクリロイル
オキシエイコシルジハイドロジェンホスフェート、ジ
(メタ)アクリロイルオキシオクチルハイドロジェンホ
スフェート、ジ(メタ)アクリロイルオキシノニルハイ
ドロジェンホスフェート、ジ(メタ)アクリロイルオキ
シデシルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)ア
クリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフ
ェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル 2’
−ブロモオクチルハイドロジェンホスフェート、2−
(メタ)アクリロイルオキシエチル オクチルハイドロ
ジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ
エチル ノニルハイドロジェンホスフェート、2−(メ
タ)アクリロイルオキシエチル デシルハイドロジェン
ホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシブチル
デシルハイドロジェンホスフェート、(メタ)アクリ
ロイルオキシエチル フェニルホスホネート等。特開平
3−294286号公報に記載されている(8−メタク
リロキシ)オクチル−3−ホスホノプロピオネート、
(9−メタクリロキシ)ノニル−3−ホスホノプロピオ
ネート、(10−メタクリロキシ)デシル−3−ホスホ
ノプロピオネート、(8−メタクリロキシ)オクチル−
3−ホスホノアセテート、(10−メタクリロキシ)デ
シル−3−ホスホノアセテート等。特開昭62−281
885号公報に記載されている2−メタクリロイルオキ
シエチル(4−メトキシフェニル)ハイドロジェンホス
フェート、2−メタクリロイルオキシプロピル(4−メ
トキシフェニル)ハイドロジェンホスフェート等。更に
は、特開昭52−113089号公報、特開昭53−6
7740号公報、特開昭53−69494号公報、特開
昭53−144939号公報、特開昭58−12839
3号公報、特開昭58−192891号公報に例示され
ている炭素鎖8〜20のアルキレン基、炭素鎖8〜20
のアルキル基、又は芳香族基を含む水不溶性のリン酸基
含有重合性単量体、およびこれらの酸塩化物が挙げられ
る。
【0013】ピロリン酸基含有重合性単量体としては、
例えば、ピロリン酸ジ(8−(メタ)アクリロイルオキ
シオクチル)、ピロリン酸ジ(9−(メタ)アクリロイ
ルオキシノニル)、ピロリン酸ジ(10−(メタ)アク
リロイルオキシデシル)、ピロリン酸ジ(12−(メ
タ)アクリロイルオキシドデシル)等、およびこれらの
酸塩化物が挙げられる。チオリン酸基含有重合性単量体
としては、例えば、8−(メタ)アクリロイルオキシオ
クチルジハイドロジェンジチオホスフェート、9−(メ
タ)アクリロイルオキシノニルジハイドロジェンジチオ
ホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシ
ルジハイドロジェンチオホスフェート等、およびこれら
の酸塩化物が挙げられる。
【0014】カルボン酸基含有重合性単量体としては、
例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシ
カルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシ
ブチルオキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリ
ロイルオキシヘキシルオキシカルボニルフタル酸、4−
(メタ)アクリロイルオキシオクチルオキシカルボニル
フタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシデシルオキ
シカルボニルフタル酸、およびこれらの酸無水物。8−
(メタ)アクリロイルアミノオクチルカルボン酸、9−
(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ノナンジカルボ
ン酸、10−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−デ
カンジカルボン酸、11−(メタ)アクリロイルオキシ
−1,1−ウンデカンジカルボン酸等およびこれらの酸
塩化物が挙げられる。
【0015】スルホン酸基含有重合性単量体としては、
例えば、8−(メタ)アクリルアミドオクチルスルホン
酸、10−(メタ)アクリルアミドデシルスルホン酸、
スチレンスルホン酸等のスルホン酸基を含有する化合物
などを挙げることができる。なかでも、塩基性化合物と
塩を形成して水溶化された後も酸性を示すような2価以
上の酸性基含有重合性単量体が好適に使用される。な
お、本発明において、2価以上の酸性基含有重合性単量
体とは、分子中に酸性基を2つ以上有する重合性単量体
や2価のリン酸基のような多価の酸性基を1つ以上有す
る重合性単量体を総称して呼び、一価の塩基性化合物を
当モル配合しても酸性を示すものである。また、前述し
たリン酸基含有重合性単量体はエナメル質および象牙質
に対しても優れた接着性、接着耐久性を示すので特によ
い。これらの特定の構造を有する水不溶性の酸性基含有
重合性単量体は1種または数種組み合わせて用いられ
る。
【0016】本発明においては、水不溶性の酸性基含有
重合性単量体を塩基性化合物を用いて水溶性の塩にする
ことによって、歯質への浸透性を向上させ、接着強度を
向上させ得ることができる。かかる塩基性化合物として
は、該水不溶性の酸性基含有重合性単量体と塩を形成す
ることによって、水溶性の塩を形成できるものが使用さ
れ、該酸性基含有重合性単量体の塩は、25℃における
水に対する溶解度が5%以上、好ましくは10%以上を
示すように塩基性化合物を選択するとよい。なお、該塩
は、組成物中では、その大半が酸性基含有重合性単量体
由来のアニオンと塩基性化合物由来のカチオンの状態と
して存在している。塩基性化合物の具体例としては、例
えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリ
ウム等のアルカリ金属の水酸化物類、炭酸ナトリウム、
炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウ
ム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、ギ酸ナトリウ
ム、安息香酸ナトリウム、シュウ酸水素ナトリウム、酢
酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウ
ム、ホウ酸ナトリウム、亜リン酸二水素ナトリウム、亜
リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン
酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水
素二カリウム等のようなアルカリ金属とpKaが3以上
の弱酸から形成される強塩基酸類およびアミン類等が好
適に使用される挙げられる。
【0017】かかるアミン類としては、第1級アミン
類、第2級アミン類および第3級アミン類のいずれのア
ミン類でもよいが、本発明の水不溶性の酸性基含有重合
性単量体の種類によって、選択が異なるものの、例え
ば、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−ジメ
チルアミノプロピル(メタ)アクリレート、4−ジメチ
ルアミノブチル(メタ)アクリレート、6−ジメチルア
ミノヘキシル(メタ)アクリレート、10−ジメチルア
ミノデシル(メタ)アクリレート、4−ジメチルアミノ
フェネチルアルコール、4−ジエチルアミノフェネチル
アルコール、ジプロピルアミノフェネチルアルコール、
N,N−(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、
N,N−(2−ヒドロキシプロピル)−P−トルイジ
ン、ジエチル−p−トルイジン、ジプロピル−p−トル
イジン、ジブチル−p−トルイジン、ジエトキシエチル
−p−トルイジン、ジブトキシシエチル−p−トルイジ
ン、ジ(ポリオキシエチレン)オキシエチル−p−トル
イジン、ヘキサメチレンジアミン、ジメチルアミン水溶
液、ペンタメチレンジアミン、ジエチルアミン、エチレ
ンジアミン、2−アミノエタノール、トリエチルアミ
ン、2−ジメチルアミノエタノール等が好適に使用され
る。
【0018】なかでも、2価の水不溶性のリン酸基含有
重合性単量体である10−メタクリロイルオキシデシル
ジハイドロジェンホスフェート(以下、MDPと略す)
0.047モルと蒸留水85gからなるゲル状の組成物
にアミンを0.047モル配合することによって、透明
な水性の組成物が得られるようにアミンを選択するとよ
い。なお、透明な組成物とは、25℃において、肉眼的
に透明であり、沈殿物、浮遊物あるいは濁りのないこと
を意味する。これらのアミンは、後で述べる重合開始
剤、還元剤として使用されるアミンと同一の化合物も含
まれるが、本発明者は、該触媒能を有するアミン類が、
酸性基含有重合性単量体と塩を形成した後でも、重合開
始能、還元能を発揮できることを確認している。これら
の塩基性化合物は、1種または数種組み合わせて使用し
てもよい。
【0019】これらの塩基性化合物の配合量は、水不溶
性の酸性基含有重合性単量体を水溶化できる量であれば
特に限定されないが、前述したように、切削用レーザー
等によって歯質を切削する際に生じるスメアー層を脱灰
させ、特にエナメル質への接着強度を高めるために、本
発明の接着性組成物のpHを1.0〜6.0に調整する
必要がある。また、接着性組成物のpHが6よりも大き
くなる場合には、少量の酸をpH調整剤として配合し、
pHを6以下になるように調整してもよい。かかるpH
調整剤として使用される酸としては、無機酸、有機酸の
いずれの酸でもよいが、歯質への為害性を考慮すると、
酢酸、マレイン酸、クエン酸、メタクリル酸等の有機酸
を配合することが望ましい。
【0020】さらに、該pH調整剤として使用される酸
は、本発明の接着性組成物に使用される水不溶性の酸性
基含有重合性単量体よりもpKaが大きい酸を使用する
必要がある。もし、水不溶性の酸性基含有重合性単量体
よりもpKaが小さい酸を使用した場合には、水可溶性
の該水不溶性の酸性基含有重合性単量体の塩と該pH調
整剤として使用している酸とが塩交換し、水不溶性の酸
性基含有重合性単量体が遊離し、透明な接着性組成物を
得ることができない。また、これらのpH調整剤として
使用される酸の大半は、水溶性であり、接着後に漏洩
し、接着耐久性を低下させる場合があるため、可能な限
り配合量を少なくすることが望ましく、通常、接着性組
成物全体に対して10重量%以下、好ましくは5重量%
以下で添加する必要がある。
【0021】本発明の酸性基含有重合性単量体及びその
塩の総含有量は、通常、接着性組成物全体に対して1重
量%〜80重量%の範囲、より好ましくは5重量%〜5
0重量%の範囲、さらに好ましくは15重量%〜30重
量%の範囲とするのがよい。1重量%よりも少ない場合
や80重量%よりも多い場合には接着強度が低下する場
合がある。なお、本発明の水不溶性の酸性基含有重合性
単量体は、通常、組成物中に微量存在している。これら
の存在量は、水不溶性の酸性基含有重合性単量体の水お
よび酸性基含有重合性単量体の塩に対する溶解度によっ
て支配される。
【0022】本発明において接着性組成物に使用される
水は、歯牙と修復材料との接着強度の発現に対して悪影
響を及ぼす不純物を実質的に含有していないものを使用
する必要があり、蒸留水またはイオン交換水が好適であ
る。水の配合量は、接着性組成物全体に対し、通常、1
重量%〜99重量%の範囲、好ましくは10重量%〜9
5重量%の範囲、さらに好ましくは30重量%〜90重
量%の範囲で使用される。
【0023】本発明において、接着性組成物は、歯面に
塗布した後、歯科用エアーシリンジ等にて水を乾燥する
ことにより極めて薄くさせる場合には、接着性組成物中
に重合開始剤は必ずしも必要ではないが、接着性組成物
を乾燥する際、術者が接着性組成物を極端に多く残して
しまった場合等には、硬化性が低下し、接着強度が低下
する恐れがあるため、接着性組成物に重合開始剤を配合
した方がより望ましい。重合開始剤としては、公知の光
重合開始剤及び/又は化学重合開始剤を配合することが
できる。光重合開始剤としては、例えば、α−ジケトン
類、ケタール類、チオキサントン類、アシルホスフィン
オキサイド類、クマリン類、ハロメチル基置換−s−ト
リアジン誘導体等が挙げられる。
【0024】α−ジケトン類の例としては、カンファー
キノン、ベンジル、2,3−ペンタンジオンなどが挙げ
られる。ケタール類の例としては、ベンジルジメチルケ
タール、ベンジルジエチルケタール等が挙げられる。チ
オキサントン類の例としては、2−クロロチオキサント
ン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド類の例としては、例えば、
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィ
ンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニ
ルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイル
ジフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テ
トラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイ
ド、ベンゾイルジ−(2,6−ジメチルフェニル)ホス
ホネート、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシ
フェニルホスフィンオキサイドおよび2,4,6−トリ
メチルベンゾイルフェニルホスフィン酸塩や特公平3−
57916号公報に開示されている水溶性のアシルホス
フィンオキサイド化合物等が挙げられる。
【0025】クマリン類としては、3,3’−カルボニ
ルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、3−(4−メ
トキシベンゾイル)クマリン、3−チェノイルクマリン
等の特開平10−245525号公報に記載されている
化合物が挙げられる。ハロメチル基置換−s−トリアジ
ン誘導体としては、2,4,6−トリス(トリクロロメ
チル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブ
ロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−
ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等の特開平
10−245525号公報に記載されている化合物が挙
げられる。また、紫外線照射による光重合を行う場合
は、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルジメチルケ
タール等が好適である。これらの光重合開始剤は、1種
または数種組み合わせて用いられる。これらの光重合開
始剤の配合量は、接着性組成物に対して通常0.01重
量%〜5重量%の範囲、より好ましくは0.1〜1重量
%の範囲で使用される。
【0026】これらの光重合開始剤は単独で使用しても
よいが、より光硬化性を促進させる目的として、還元剤
と併用して用いるのが一般的である。かかる還元剤とし
ては、主として第3級アミン類、アルデヒド類、チオー
ル基を有する化合物などが挙げられる。第3級アミンの
例としては、2−ジメチルアミノエチルメタクリレー
ト、N,N−ビス〔(メタ)アクリロイルオキシエチ
ル〕−N−メチルアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸
エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメ
チルアミノ安息香酸ブトキシエチル、N−メチルジエタ
ノールアミン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン等が
挙げられる。アルデヒド類の例としては、ジメチルアミ
ノベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒド等が挙げら
れる。チオール基を有する化合物の例としては、2−メ
ルカプトベンゾオキサゾール、デカンチオール、3−メ
ルカプトプロピルトリメトキシシラン、チオ安息香酸
等。これらの還元剤は、1種または数種組み合わせて用
いられる。これらの還元剤の配合量は、接着性組成物に
対して、通常、0.01重量%〜5重量%の範囲、より
好ましくは0.05重量%〜3重量%の範囲、さらに好
ましくは0.1重量%〜1重量%の範囲で使用される。
【0027】化学重合開始剤としては、例えば、酸化剤
と還元剤よりなるレドックス系の重合開始剤が好適に用
いられる。レドックス系の重合開始剤を使用する場合、
本発明の接着性組成物は2分割以上の包装形態をとる必
要がある。しかし、本発明の接着性組成物は、他の修復
材料、例えば、歯科用ボンディング材、コンポジットレ
ジン、コンポマー、義歯床用レジン、レジンセメント、
レジン強化型グラスアイオノマーセメントなどと組み合
わせて使用する場合、その修復物中に酸化剤および還元
剤の少なくとも一方を配合し、本発明の接着性組成物に
酸化剤および還元剤のいずれか一方のみを配合して、一
つの包装形態をとることもできる。
【0028】酸化剤としては、例えば、ジアシルパーオ
キサイド類、パーオキシエステル類、ジアルキルパーオ
キサイド類、パーオキシケタール類、ケトンパーオキサ
イド類、ハイドロパーオキサイド類などの有機過酸化物
も配合することが可能であり、具体的には、ジアシルパ
ーオキサイド類としてはベンゾイルパーオキサイド、
2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トル
オイルパーオキサイド等が挙げられる。パーオキシエス
テル類としては、例えば、t−ブチルパーオキシベンゾ
エート、ビス−t−ブチルパーオキシイソフタレート、
2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキ
シ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキ
サノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボ
ネート等が挙げられる。ジアルキルパーオキサイド類と
しては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブ
チルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等が挙
げられる。パーオキシケタール類としては、例えば、
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−ト
リメチルシクロヘキサン等が挙げられる。ケトンパーオ
キサイド類としては、例えば、メチルエチルケトンパー
オキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチル
アセトアセテートパーオキサイド等が挙げられる。ハイ
ドロパーオキサイド類としては、例えば、t−ブチルハ
イドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、
p−ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド等が挙げら
れる。
【0029】還元剤としては、芳香族第3級アミン、脂
肪族第3級アミンおよびスルフィン酸またはその塩など
が好適な還元剤として使用される。芳香族第3級アミン
としては、例えば、N,N−ジメチルアニリン、N,N
−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−
トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,
N−ジメチル−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジ
メチル−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル
−4−エチルアニリン、N,N−ジメチル−4−i−プ
ロピルアニリン、N,N−ジメチル−4−t−ブチルア
ニリン、N,N−ジメチル−3,5−ジt−ブチルアニ
リン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5
−ジメチルアニリン、 N,N−ジ(2−ヒドロキシエ
チル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキ
シエチル)−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ビス
(2−ヒドロキシエチル)−4−エチルアニリン、N,
N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−i−プロピル
アニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4
−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシ
エチル)−3,5−ジ−i−プロピルアニリン、N,N
−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−t−ブ
チルアニリン、4−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキ
シエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(2−メタクリ
ロイルオキシ)エチル等が挙げられる。
【0030】脂肪族第3級アミンとしては、例えば、ト
リメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタ
ノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n
−ブチルジエタノールアミン、N−ラウリルジエタノー
ルアミン、トリエタノールアミン、(2−ジメチルアミ
ノ)エチルメタクリレート、N−メチルジエタノールア
ミンジメタクリレート、N−エチルジエタノールアミン
ジメタクリレート、トリエタノールアミンモノメタクリ
レート、トリエタノールアミンジメタクリレート、トリ
エタノールアミントリメタクリレート等が挙げられる。
【0031】スルフィン酸またはその塩としては、例え
ば、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸ナト
リウム、ベンゼンスルフィン酸カリウム、ベンゼンスル
フィン酸カルシウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、
トルエンスルフィン酸、トルエンスルフィン酸ナトリウ
ム、トルエンスルフィン酸カリウム、トルエンスルフィ
ン酸カルシウム、トルエンスルフィン酸リチウム、2,
4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6
−トリメチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,
4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カリウム、
2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カルシウ
ム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸リチ
ウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸、
2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸ナトリウ
ム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カリ
ウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カ
ルシウム、2,4,6−イソプロピルベンゼンスルフィ
ン酸、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィ
ン酸ナトリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼ
ンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリイソプロピ
ルベンゼンスルフィン酸カルシウム等が挙げられる。こ
れらの酸化剤および還元剤は、1種または数種組み合わ
せて用いられる。また、これらの酸化剤および還元剤の
配合量は、接着性組成物に対して通常0.01重量%〜
10重量%の範囲、より好ましくは0.05〜5重量%
の範囲、さらに好ましくは0.1〜3重量%の範囲で使
用される。
【0032】本発明の接着性組成物には、硬化特性、機
械的強度を向上させる目的で、疎水性の重合性単量体を
配合することもできる。かかる疎水性の重合性単量体と
しては、25℃における水に対する溶解度が5%以下、
より好ましくは1%以下である重合性単量体が好適に使
用され、α−シアノアクリル酸、(メタ)アクリル酸、
α−ハロゲン化アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソル
ビン酸、マレイン酸、イタコン酸等のエステル類、(メ
タ)アクリルアミド、および(メタ)アクリルアミド誘
導体、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、モノ−N
−ビニル誘導体、スチレン誘導体等が挙げられる。なか
でも(メタ)アクリル酸エステルが好適に用いられ、例
を以下に示す。
【0033】本発明においては、一つのオレフィン性二
重結合を有する単量体を一官能性単量体とする。 (イ)一官能性単量体 メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレ
ート、イソプロピル(メタ)アクリレート、プロピル
(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレー
ト、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)ア
クリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2,3−
ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、3−メタクリ
ロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、11−メタ
クリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン等。
【0034】(ロ)二官能性単量体 エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ
ールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオー
ルジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオール
ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジ
ル(メタ)アクリレート、2,2−ビス〔4−(メタ)
アクリロイルオキシエトキシフェニル〕プロパン、2,
2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキ
シフェニル〕プロパン、2,2−ビス[4−〔3−(メ
タ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕
フェニル]プロパン、1,2−ビス〔3−(メタ)アク
リロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕エタン、
ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、1,2
−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプ
ロポキシ)エタン、[2,2,4−トリメチルヘキサメ
チレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジメタ
クリレート等。
【0035】(ハ)三官能性基以上の単量体 トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ト
リメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラ
メチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエ
リスリトールテトラ(メタ)アクリレート、N,N’−
(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−
(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テ
トラメタクリレート、1,7−ジアクリロイルオキシ−
2,2,6,6−テトラアクリロイルオキシメチル−4
−オキシヘプタン等。これらの疎水性の重合性単量体は
1種類または数種類の組み合わせで用いられる。これら
の疎水性の重合性単量体の配合量は、接着性組成物全体
に対して、通常、30重量%以下、好ましくは20重量
%以下の範囲で使用される。30重量%を越える場合に
は、象牙質に対する接着強度が低下する傾向にある。
【0036】更に、前述の重合開始剤および疎水性の重
合性単量体の溶解性を補助する目的として少量の水溶性
の揮発性有機溶剤を配合してもよい。かかる水溶性の揮
発性有機溶剤としては、通常、常圧の沸点が150℃以
下、より好ましくは、100℃以下の揮発性有機溶剤が
使用され、例えば、エタノール、メタノール、1−プロ
パノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチル
エチルケトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジ
エトキシエタン、テトラヒドロフラン等が好適に使用さ
れる。これらの水溶性の揮発性有機溶剤は、1種または
数種組み合わせて用いてもよい。これらの水溶性の揮発
性有機溶剤の配合量は、接着性組成物全体に対して、通
常、20重量%以下、好ましくは10重量%以下、更に
好ましくは5重量%以下の範囲で使用される。20重量
%より多くなると象牙質に対する接着性のバラツキが大
きくなる。また、接着性組成物に配合されたこれらの水
溶性の揮発性溶剤は、接着性を損なわないように、接着
性組成物を歯質に塗布した後、歯科用のエアーシンリン
ジ等にて蒸散させることが望ましい。
【0037】更に、本発明の接着性組成物には、所望に
応じて、重合禁止剤、着色剤、蛍光剤、紫外線吸収剤な
どを添加してもよい。また、重合開始剤や疎水性の重合
性単量体を溶解性を補助する目的として、HEMAや3
−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の親水性の重合
性単量体を少量配合しても良いが、接着耐久性の低下を
引き起こさないように、接着性組成物全体に対して、1
0重量%以下、より好ましく5重量%以下に配合量を制
限する必要がある。また、抗菌性を付与する目的で、
(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムブロ
マイド、(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルピリ
ジニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシデシ
ルアンモニウムクロライド等のカチオン性基を有する抗
菌性重合性単量体を配合してもよい。また、耐酸性を付
与する目的として、フッ化ナトリウム、フッ化リチウ
ム、モノフルオロリン酸ナトリウム、セチルアミンフッ
化水素酸塩等のフッ素イオンを放出する公知のフッ素化
合物を配合してもよい。
【0038】更には、塗布性、流動性及び機械的強度等
を調整するために、フィラーを配合することができる。
かかるフィラーとしては、無機系あるいは有機物及びこ
れらの複合体が用いられる。無機系フィラーとしては、
シリカあるいはカオリン、クレー、雲母、マイカなどの
シリカを基材とする鉱物、シリカを基材とし、Al
23、B23、TiO2、ZrO2、BaO、La23
SrO2、CaO、P25等を含有するセラミックスや
ガラスの類、特にランタンガラス、バリウムガラス、ス
トロンチウムガラス、ソーダガラス、リチウムボロシリ
ケートガラス、亜鉛ガラス、フルオロアルミナムボロシ
リケートガラス、ホウ珪酸ガラス、バイオガラス等が挙
げられる。さらには結晶石英、ヒドロキシアパタイト、
アルミナ、酸化チタン、酸化イットリウム、ジルコニ
ア、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニ
ウム等も好適に用いられる。有機物のフィラーとして
は、ポリメチルメタクリレート、多官能メタクリレート
の重合体、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニ
ル、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタ
ジエンゴム等の有機樹脂が挙げられる。また、これらの
有機樹脂中に無機フィラーが分散したり、無機フィラー
を上記有機樹脂でコーティングして無機/有機複合フィ
ラー等も挙げられる。
【0039】これらのフィラーは、分散性、機械的強度
等をより向上させるために、必要に応じてシランカップ
リング剤等の公知の表面処理剤で予め表面処理してから
用いてもよい。かかる表面処理剤としては、例えば、ビ
ニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、
ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシエ
トキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げら
れる。これらのフィラーは、単独または数種類を組み合
わせて配合され、接着性組成物全体に対して、通常、3
0重量%以下、好ましくは10重量%以下で添加され
る。30重量%よりも多くなると接着強度が低下する場
合がある。また、これらのフィラーの平均粒径0.00
1〜0.1μmのコロイダルシリカが好ましく使用され
る。なお、これらのフィラーを配合すると組成物が白濁
するなどして透明でなくなることがある。しかしなが
ら、本発明の特徴は、接着性に優れる水不溶性の酸性基
含有重合性単量体を水溶化することにあり、前記した水
不溶性の酸性基含有重合性単量体(a)及び水(b)を
含有する組成物が実質的に透明であれば問題ない。
【0040】本発明の接着性の組成物を調製するには、
(a)分子内に炭素鎖8〜25のアルキレン基、炭素鎖
8〜25のアルキル基及び芳香族基から選ばれる炭化水
素基を少なくとも一つ以上有する水不溶性の酸性基含有
重合性単量体、(b)該酸性基含有重合性単量体と可溶
性の塩を形成する塩基性化合物、及び(c)水とを混合
してpHを1.0〜6.0とすればよく、こうして得ら
れた組成物は実質的に透明である。なお、実質的に透明
であるとは、肉眼観察により、濁りが認められない状態
をいう。
【0041】本発明の接着性組成物は、通常、歯科用ボ
ンディング材、レジンセメント、グラスアイオノマーセ
メント、リン酸亜鉛セメント、ポリカルボキシレートセ
メント、シリケートセメントなどの接着材料を歯質に接
着する場合、その前処理剤として歯質に塗布して使用さ
れる。また、これらの接着材料を使用せずに、本発明の
接着性組成物を歯質に塗布し、必要に応じて光照射器に
て光硬化させた後、直ちに充填用コンポマー、充填用コ
ンポジットレジン等の充填用修復材料を硬化させること
もできる。この場合、本発明の接着性組成物は接着剤と
して機能する。さらには、小窩裂溝へ適用されるフィッ
シャーシーラント材、根面および隣接歯部分のコーティ
ング材、知覚過敏を抑制する目的として象牙細管封鎖材
およびそれらの接着剤としても使用できる。
【0042】本発明の接着性組成物は、歯質のみなら
ず、金属、陶材、コンポジット硬化物などの歯冠修復材
料に対しても使用することができ、さらに、市販の歯科
用金属プライマー、陶材接着用のプライマー、酸エッチ
ング剤、次塩素酸塩等の歯面清掃剤と組み合わせて使用
してもよい。以下に、本発明の好ましい実施の形態を説
明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではな
い。なお、略称・略号については次の通りである。
【0043】酸性基を有する重合性単量体
【0044】
【化1】
【0045】塩基性化合物 NaOH:水酸化ナトリウム KHCO3:炭酸水素カリウム Na2CO3:炭酸ナトリウム CaCO3:炭酸カルシウム DET:ジエチル−p−トルイジン DMAP:4−ジメチルアミノフェネチルアルコール DMABAE:4−ジメチルアミノ安息香酸エチル 親水性の重合性単量体 HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート 重合開始剤、還元剤 CQ:カンファーキノン TMPN:2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニル
ホスフィン酸ナトリウム DMAEMA:ジメチルアミノエチルメタクリレート DMAB:4−ジメチルアミノベンゾフェノン 重合禁止剤 BHT:t−ブチルヒドロキシトルエン 重合性単量体 Bis−GMA:ビスフェノールAジグリシジルメタク
リレート UDMA:[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビ
ス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレー
【0046】
【実施例】実施例1 MDP(15g:0.047モル)、蒸留水(85g)
およびNaOH(1.9g:0.047モル)を混合
して、MDPのナトリウム塩を含有する、透明な水性の
接着性組成物を調製した。また、Bis−GMA(65
重量部)、HEMA(35重量部)、CQ(1重量部)
およびDMAB(1重量部)からなるボンディング材を
調製した。この接着性組成物およびボンディング材を用
いて、後述の接着力試験方法に従って接着強度を測定
し、測定結果を表1に併記した。
【0047】接着力試験方法 ウシの前歯を#1000シリコン・カーバイド紙(日本
研紙(株)製)で平滑に湿潤研磨して、エナメル質表面
または象牙質表面を露出させた後、表面の水を歯科用エ
アーシリンジで吹き飛ばした。露出したエナメル質表面
または象牙質表面に直径3mmの穴を開けた厚さ約15
0ミクロンの粘着テープを貼り、穴の部分に接着性組成
物を筆で塗布し、そのまま30秒間放置した後、エアー
シリンジで接着性組成物の流動性がなくなるまで乾燥さ
せた。その上に、ボンディング材を筆で約100ミクロ
ンの厚さに塗布し、歯科用光照射器「ライテルII」
(群馬牛尾電気(株)製)にて20秒間光照射を行い、
硬化させた。さらに、その上に市販の光重合型歯科用コ
ンポジットレジン「クリアフィルAP−X」((株)ク
ラレ製)をのせ、エバール(登録商標、(株)クラレ
製)からなるフィルムをかぶせた後、スライドガラスを
上から押しつけ、かかる状態で上記光照射器にて40秒
間光照射を行い、硬化させた。この硬化面に対して、市
販の歯科用レジンセメント「パナビア21」((株)ク
ラレ製)を用いてステンレス棒を接着し、30分間後に
試験片を37℃の水中に浸漬し、24時間浸漬後に接着
強度を測定した。また、別の試験片に対しては、37℃
水中に365日間浸漬後に接着強度を測定した。更に、
別の試験片については、37℃水中に24時間浸漬後
に、4℃の冷水中と60℃の温水中に各1分間ずつ浸漬
する熱サイクルを30000回負荷させた後に接着強度
を測定した。接着強度の測定には、万能試験機(インス
トロン製)を用い、クロス・ヘッドスピード2mm/m
inの条件で引張接着強度を測定した。各接着強度の測
定値は、8個の試験片の測定値の平均値で示した。
【0048】実施例2 MDP(15g:0.047モル)、蒸留水(85g)
およびDMAP(7.7g:0.047モル)を混合し
て、MDPのDMAP塩を含有する、透明な水性の接着
性組成物を調製した。この接着性組成物と実施例1で使
用したボンディング材を用いて実施例1と同様な接着力
試験方法にて接着強度を測定し、それぞれ表1に測定結
果を示した。
【0049】実施例3 MDP(15g:0.047モル)、蒸留水(85g)
およびNa2CO3(2.5g:0.024モル)を混合
して、MDPのナトリウム塩を含有する、透明な水性の
接着性組成物を調製した。この接着性組成物と実施例1
で使用したボンディング材を用いて実施例1と同様な接
着力試験方法にて接着強度を測定し、それぞれ表1に測
定結果を示した。
【0050】比較例1 MDP(15g:0.047モル)および蒸留水(85
g)からなる接着性組成物を調製した。この接着性組成
物と実施例1で使用したボンディング材を用いて実施例
1と同様な接着力試験方法にて接着強度を測定し、それ
ぞれ表1に測定結果を示した。
【0051】比較例2 MDP(15g:0.047モル)、蒸留水(42.5
g)およびエタノール(42.5g)からなる接着性組
成物を調製した。この接着性組成物と実施例1で使用し
たボンディング材を用いて実施例1と同様な接着力試験
方法にて接着強度を測定し、それぞれ表1に測定結果を
示した。
【0052】比較例3 MDP(15g:0.047モル)、蒸留水(42.5
g)およびHEMA(42.5g)からなる接着性組成
物を調製した。この接着性組成物と実施例1で使用した
ボンディング材を用いて実施例1と同様な接着力試験方
法にて接着強度を測定し、それぞれ表1に測定結果を示
した。
【0053】比較例4 MDP(15g:0.047モル)、 蒸留水(85
g)およびCaCO3(2.3g:0.023モル)を
混合して、MDPのカルシウム塩を含有する接着性組成
物を調製した。この接着性組成物と実施例1で使用した
ボンディング材を用いて実施例1と同様な接着力試験方
法にて接着強度を測定し、それぞれ表1に測定結果を示
した。
【0054】比較例5 MDP(15g:0.047モル)、 蒸留水(85
g)およびDMABAE(9.0g:0.047モル)
からなる接着性組成物を調製した。この接着性組成物と
実施例1で使用したボンディング材を用いて実施例1と
同様な接着力試験方法にて接着強度を測定し、それぞれ
表1に測定結果を示した。
【0055】比較例6 マレイン酸(5.4g:0.047モル)、蒸留水(9
4.6g)およびDMAP(7.7g:0.047モ
ル)を混合して、接着性組成物を調製した。この接着性
組成物と実施例1で使用したボンディング材を用いて実
施例1と同様な接着力試験方法にて接着強度を測定し、
それぞれ表1に測定結果を示した。
【0056】比較例7 MEP(9.8g:0.047モル)、蒸留水(90.
2g)およびDMAP(7.7g:0.047モル)を
混合して、接着性組成物を調製した。この接着性組成物
と実施例1で使用したボンディング材を用いて実施例1
と同様な接着力試験方法にて接着強度を測定し、それぞ
れ表1に測定結果を示した。
【0057】
【表1】
【0058】表1から明らかなように、水不溶性の酸性
基含有重合性単量体(MDP)、塩基性化合物および蒸
留水を混合して得られる透明な接着性組成物を使用した
場合、エナメル質および象牙質のいずれに対しても高い
接着性を示し、また、接着耐久性にも優れていた(実施
例1〜3)。これに対し、塩基性化合物を配合しなかっ
た接着性組成物を使用した場合、歯質に対する接着強度
が著しく劣っていた(比較例1、比較例2)。また、接
着性組成物中に多量の親水性モノマー(HEMA)を含
有する接着性組成物を使用した場合、37℃水中に1日
浸漬後の接着強度は非常に優れていたが、37℃水中3
65日間浸漬後および熱サイクル30000回負荷後の
接着強度は約半減しており、接着強度の低下率が大き
く、接着耐久性が十分ではなかった(比較例3)。ま
た、塩基性化合物として、アルカリ土類金属と弱酸の塩
であるCaCO3を配合した接着性組成物を使用した場
合、水に不溶なMDPのカルシウム塩が生成し、歯質に
対する接着強度も著しく劣っていた(比較例4)。ま
た、塩基性化合物として、水不溶性の酸性基含有重合性
単量体と水可溶性の塩を形成できないアミンであるDM
ABAEを配合した接着性組成物を使用した場合、歯質
に対する接着強度が著しく劣っていた(比較例5)。ま
た、水溶性の酸性基含有重合性単量体であるマレイン酸
を使用した場合、歯質に対する接着強度が著しく劣って
いた(比較例6)。更に、炭素鎖長が2であるリン酸基
含有重合性単量体(MEP)を配合した場合、歯質に対
する接着強度が著しく劣っていた(比較例7)。
【0059】実施例4〜9、比較例8および9 表2に示すように、水不溶性の酸性基含有重合性単量
体、塩基性化合物および蒸留水を混和して、酸性基含有
重合性単量体の塩を含有するpHの異なる接着性組成物
を各々調製した。これらの接着性組成物と実施例1で使
用したボンディング材を用いて実施例1と同様な接着力
試験方法にて接着強度を測定し、それぞれ表2に測定結
果を示した。
【0060】
【表2】
【0061】表2から明らかなように、水不溶性の酸性
基含有重合性単量体、塩基性化合物および蒸留水とを混
合して得られる、透明な水性の接着性組成物において、
pHが5以下のものはエナメル質および象牙質のいずれ
に対しても高い接着性を示し、また、接着耐久性にも優
れていた(実施例4〜9)。これに対し、pHが7以上
の接着性組成物を使用した場合、歯質に対する接着強度
が著しく劣っていた(比較例8、9)。
【0062】実施例10〜15 表3に示すように、MDP、DMAPおよび蒸留水を混
和して、MDPのDMAP塩を含有する接着性組成物を
各々調製した。これらの接着性組成物と実施例1で使用
したボンディング材を用いて実施例1と同様な接着力試
験方法にて接着強度を測定し、それぞれ表3に測定結果
を示した。
【0063】比較例10、11 表3に示すように、MDPおよび蒸留水を混和して接着
性組成物を各々調製した。これらの接着性組成物と実施
例1で使用したボンディング材を用いて実施例1と同様
な接着力試験方法にて接着強度を測定し、それぞれ表3
に測定結果を示した。
【0064】
【表3】
【0065】表3から明らかなように、MDP、DMA
Pおよび蒸留水を混合して得られる接着性組成物を使用
した場合、エナメル質および象牙質のいずれに対しても
高い接着性を示し、また、接着耐久性にも優れていた
(実施例10〜15)。これに対し、DMAPを配合し
なかった接着性組成物を使用した場合、歯質に対する接
着強度が著しく劣っていた(比較例10、11)。
【0066】実施例16〜19 表4に示すように、水不溶性の酸性基含有重合性単量
体、塩基性化合物および蒸留水を混合して、酸性基含有
重合性単量体の塩を含有する、透明な水性の接着性組成
物を各々調製した。また、UDMA(65重量部)、9
G(30重量部)、MDP(5重量部)、CQ(1重量
部)、DMAB(1重量部)およびBHT(0.05重
量部)からなるボンディング材を調製した。これらの接
着性組成物とボンディング材を用いて実施例1と同様な
接着力試験方法にて接着強度を測定し、それぞれ表4に
測定結果を示した。
【0067】比較例12〜15 表4に示すように、水不溶性の酸性基含有重合性単量
体、塩基性化合物、蒸留水およびHEMAを混合して、
接着性組成物を各々調製した。これらの接着性組成物と
実施例16で使用したボンディング材を用いて実施例1
と同様な接着力試験方法にて接着強度を測定し、それぞ
れ表4に測定結果を示した。
【0068】
【表4】
【0069】表4から明らかなように、水不溶性の酸性
基含有重合性単量体、塩基性化合物(DET)および蒸
留水を混合して得られる接着性組成物を使用した場合、
エナメル質および象牙質のいずれに対しても高い接着力
を示し、熱サイクル30000回負荷後でも接着力の低
下は殆どなく、接着耐久性に優れていた(実施例16〜
19)。これに対して、接着性組成物中に多量の親水性
モノマー(HEMA)を含有する接着性組成物を使用し
た場合、37℃水中に1日浸漬後の接着強度は非常に優
れていたが、熱サイクル30000回負荷後には、接着
強度は約半減しており、接着強度の低下率が大きく、耐
久性に劣っていた(比較例12〜15)。
【0070】実施例20および比較例16 実施例1の接着性組成物に、更に重合開始剤としてTM
PN(0.5g)およびDMAEMA(0.5g)配合
した接着性組成物を調製した。この接着性組成物と実施
例1で使用したボンディング材を用いて実施例1と同様
な接着力試験方法にて、熱サイクル30000回負荷後
の接着強度は、エナメル質(18.0MPa)、象牙質
(17.7MPa)を示し、接着耐久性に優れているこ
とがわかった(実施例20)。これに対し、HEMAを
含有する比較例3の接着性組成物に、TMPN(0.5
g)およびDMAEMA(0.5g)配合した接着性組
成物を調製し、同様に熱サイクル30000回負荷後の
接着強度測定した結果、エナメル質(11.3MP
a)、象牙質(11.7MPa)を示し、実施例20に
比べ接着耐久性が劣っていた(比較例16)。
【0071】実施例21および比較例17 水不溶性の酸性基含有重合性単量体MEPP(15g:
0.056モル)、塩基性化合物KHCO3(5.6
g:0.056モル)および蒸留水(85g)を混合し
て得られるMEPPのカリウム塩を含有する水性の組成
物に、さらにpH調整剤としてメタクリル酸(5g)を
配合したpHが3.2の透明な接着性組成物を調製し
た。この接着性組成物と実施例1で使用したボンディン
グ材を用いて実施例1と同様な接着力試験方法にて、熱
サイクル30000回負荷後の接着強度は、エナメル質
(15.0MPa)、象牙質(14.7MPa)を示
し、接着耐久性に優れていることがわかった(実施例2
1)。これに対し、pH調整剤のメタクリル酸を配合し
なかったpHが7.8の接着性組成物を調製し、同様に
熱サイクル30000回負荷後の接着強度測定した結
果、エナメル質(1.3MPa)、象牙質(0.7MP
a)を示し、著しく接着強度が劣っていた(比較例1
7)。
【0072】
【発明の効果】特定の水不溶性の酸性基含有重合性単量
体及び/又はその塩、並びに水を含有してなり、pHが
1.0〜6.0の実質的に透明な接着性の組成物を用い
ることにより、歯質とレジン材料との接着性、特に接着
耐久性を向上させることができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)分子内に炭素鎖8〜25のアルキ
    レン基、炭素鎖8〜25のアルキル基及び芳香族基から
    選ばれる炭化水素基を少なくとも一つ以上有する水不溶
    性の酸性基含有重合性単量体及び/又はその塩、並びに
    (b)水を含有してなり、pHが1.0〜6.0である
    ことを特徴とする、実質的に透明な接着性の組成物。
  2. 【請求項2】 該酸性基含有重合性単量体が2価以上の
    酸性基含有重合性単量体である請求項1記載の接着性の
    組成物。
  3. 【請求項3】 該接着性の組成物のpHが1.5〜5.
    0である請求項1又は2記載の接着性の組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3いずれかに記載の組成物に
    さらに重合開始剤が配合されてなる接着性の組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4いずれかに記載の組成物に
    おいて、親水性重合性単量体を含有しない接着性の組成
    物。
  6. 【請求項6】 (a)分子内に炭素鎖8〜25のアルキ
    レン基、炭素鎖8〜25のアルキル基及び芳香族基から
    選ばれる炭化水素基を少なくとも一つ以上有する水不溶
    性の酸性基含有重合性単量体、(b)該酸性基含有重合
    性単量体と可溶性の塩を形成する塩基性化合物、及び
    (c)水とを混合してpHを1.0〜6.0とする、実
    質的に透明な接着性の組成物の製造方法。
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