JP4948915B2 - 1液型の歯科用接着性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、歯科用陶材、歯科用セラミックス、歯科用合金等の歯科用修復材料に対して優れた接着強さを示し、且つ保存安定性にも優れる1液型の歯科用接着性組成物に関する。
歯科修復において機能性とともに歯科修復後の審美性が求められるようになったのに伴い、歯冠修復や歯科用ポストに用いる歯科用修復材料として、従来使用されてきた歯科用金属、歯科用陶材、歯科用コンポジットレジン材料に加えて、ジルコニア、アルミナ等のセラミックス材料およびグラスファイバーを利用したレジン材料が使用されるようになってきた。そして、これらの新しい歯科用修復材料に対して優れた接着強さを発現する歯科用接着性組成物として、シランカップリング剤とリン酸モノマーとを含有する歯科用接着性組成物が提案されている(特許文献1参照)。
特開平7−277913号公報
特許文献1記載の歯科用接着性組成物は、シランカップリング剤、水、溶媒およびリン酸モノマー等の酸触媒を混合してなる。この歯科用接着性組成物は、シランカップリング剤の活性が酸触媒により高められるため、種々の被着物に対して高い接着力を発現する。しかし、この歯科用接着性組成物は、シランカップリング剤と酸触媒とが分包された2液型の剤型をとるので、使用の際に2液を混合する必要がある(特許文献1実施例1等参照)。このため、この歯科用接着性組成物には、接着操作が煩雑であるという課題がある。
特許文献1記載の歯科用接着性組成物が抱える、接着操作に関する課題を解決するためには、2液を混合して1液型の歯科用接着性組成物とすればよい。しかし、そうすると保存中に酸触媒の作用によりシランカップリング剤中の加水分解性基が加水分解してシラノール基が生成し、生成したシラノール基同士が縮合して、実際の接着に関与するシラノール基の数が減少するので、実用上満足のいく接着強さおよび保存安定性を得ることができない。
本発明は、特許文献1記載の発明が抱える上記した二律背反的な問題を解決するべくなされたものであって、その目的とするところは、1液型ゆえに接着操作が簡便であり、しかも各種の歯科用修復材料に対して優れた接着強さを発現し、且つ保存安定性にも優れる歯科用接着性組成物を提供することにある。
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明に係る1液型の歯科用接着性組成物は、下記一般式化1で表されるシランカップリング剤(A)、酸性基含有重合性単量体(B)、第1級アルコール(C)および水(D)を含有してなる1液型の歯科用接着性組成物であって、含水率が0.005〜0.5重量%であることを特徴とする。
Figure 0004948915
〔式中、R1は(メタ)アクリロイル基、ビニル基、メルカプト基およびエポキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1個の官能基を有する1価の有機基を表し、R2は水酸基、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のアルコキシ基を表し、R3およびR4は各独立して水酸基または炭素数1〜5のアルコキシ基を表す。〕
請求項2記載の発明に係る1液型の歯科用接着性組成物は、請求項1記載の発明に係る1液型の歯科用接着性組成物において、酸性基含有重合性単量体(B)が、下記一般式化2で表されるリン酸基含有重合性単量体であるものである。
Figure 0004948915
〔式中、R5 は水素原子またはメチル基を表し、nは8〜20の整数である。〕
請求項3記載の発明に係る歯科用ポストの前処理剤は、請求項1または2記載の1液型の歯科用接着性組成物からなる。
本発明に係る1液型の歯科用接着性組成物は、1液型ゆえに接着操作が簡便であるとともに、各種の歯科用修復材料に対して優れた接着強さを発現し、且つ保存安定性にも優れる。
本発明におけるシランカップリング剤(A)は、上記一般式化1で表される。具体例としては、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリヘキシロキシシラン、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルトリメトキシシラン、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルトリエトキシシラン、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルトリメトキシシラン、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルトリエトキシシラン、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルトリヘキシロキシシラン、20−(メタ)アクリロイルオキシエイコシルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルエトキシシラン、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフェニルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリクロロシラン、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルトリクロロシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジクロロメチルシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルクロロジメチルシラン、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルジクロロメチルシラン、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルクロロジエチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルジクロロメチルシラン、ビニルトリ(2−メトキシエトキシ)シラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジアリルジクロロシラン、ジビニルジエトキシシラン、m,p−スチリルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルトリメトキシシランが挙げられる。中でも、接着性及び取扱い性が良い点で、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシランおよびこれらの加水分解物が好ましい。
シランカップリング剤(A)は、1種単独を配合してもよく、複数種類を組み合わせて配合してもよい。
本発明における酸性基含有重合性単量体(B)は、上記シランカップリング剤(A)と被着体表面のシラノール基との脱水縮合を促進する酸触媒としての機能を有する。例えば、1価のリン酸基〔ホスフィニコ基:=P(=O)OH〕、2価のリン酸基〔ホスホノ基:−P(=O)(OH)2〕、ピロリン酸基〔−P(=O)(OH)−O−P(=O)(OH)−〕、カルボン酸基〔カルボキシル基:−C(=O)OH、酸無水物基:−C(=O)−O−C(=O)−〕、スルホン酸基〔スルホ基:−SO3H〕等の酸性基を少なくとも一個有し、且つアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、ビニルベンジル基等の重合性基(重合可能な不飽和基)を少なくとも一個有する疎水性の重合性単量体が好適に用いられる。なお、以下において、メタクリロイルとアクリロイルとを(メタ)アクリロイルと総称する。
リン酸基含有重合性単量体(B−1)としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジハイドロジェンホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルジハイドロジェンホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチルジハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート、7−(メタ)アクリロイルオキシヘプチルジハイドロジェンホスフェート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルジハイドロジェンホスフェート、9−(メタ)アクリロイルオキシノニルジハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルジハイドロジェンホスフェート、12−(メタ)アクリロイルオキシドデシルジハイドロジェンホスフェート、16−(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルジハイドロジェンホスフェート、20−(メタ)アクリロイルオキシイコシルジハイドロジェンホスフェート、ビス〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシブチル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔8−(メタ)アクリロイルオキシオクチル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔9−(メタ)アクリロイルオキシノニル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔10−(メタ)アクリロイルオキシデシル〕ハイドロジェンホスフェート、1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロピルジハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル2−ブロモエチルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスホネート、(5−メタクリロキシ)ペンチル−3−ホスホノプロピオネート、(6−メタクリロキシ)ヘキシル−3−ホスホノプロピオネート、(10−メタクリロキシ)デシル−3−ホスホノプロピオネート、(6−メタクリロキシ)ヘキシル−3−ホスホノアセテート、(10−メタクリロキシ)デシル−3−ホスホノアセテート、2−メタクリロイルオキシエチル−(4−メトキシフェニル)ハイドロジェンホスフェート、2−メタクリロイルオキシプロピル−(4−メトキシフェニル)ハイドロジェンホスフェート並びにこれらの酸塩化物、アルカリ金属塩およびアミン塩が例示される。
ピロリン酸基含有重合性単量体(B−2)としては、ピロリン酸ビス〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、ピロリン酸ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシブチル〕、ピロリン酸ビス〔6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル〕、ピロリン酸ビス〔8−(メタ)アクリロイルオキシオクチル〕、ピロリン酸ビス〔10−(メタ)アクリロイルオキシデシル〕並びにこれらの酸塩化物、アルカリ金属塩およびアミン塩が例示される。
カルボン酸基含有重合性単量体(B−3)としては、マレイン酸、メタクリル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシカルボニルフタル酸;4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメット酸、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルオキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルオキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシオクチルオキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシデシルオキシカルボニルフタル酸及びこれらの酸無水物;5−(メタ)アクリロイルアミノペンチルカルボン酸、6−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ヘキサンジカルボン酸、8−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−オクタンジカルボン酸、10−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−デカンジカルボン酸、11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸並びにこれらの酸塩化物、アルカリ金属塩およびアミン塩が例示される。
スルホン酸基含有重合性単量体(B−4)としては、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート並びにこれらの酸塩化物、アルカリ金属塩およびアミン塩が例示される。
酸性基含有重合性単量体(B−1)〜(B−4)の中では、(B−1)〜(B−3)が、金属および歯質に対する接着力を向上させる効果も具備していることから好ましく、中でも、(B−1)および(B−2)がより好ましく、2価のリン酸基〔ホスホノ基:−P(=O)(OH)2 〕を有する(B−1)が最も好ましい。リン酸基含有重合性単量体(B−1)の中でも、上記化2で表される2価のリン酸基含有重合性単量体が好ましく、特に、分子内に主鎖の炭素数が6〜20のアルキル基又はアルキレン基を有する2価のリン酸基含有重合性単量体が好ましく、10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート等の分子内に主鎖の炭素数が8〜12のアルキレン基を有する2価のリン酸基含有重合性単量体がより好ましい。
酸性基含有重合性単量体(B)は、1種単独を配合してもよく、複数種類を組み合わせて配合してもよい。酸性基含有重合性単量体(B)の配合量が過多及び過少いずれの場合も被着体表面に対する接着力が低下することがある。酸性基含有重合性単量体(B)の配合量はシランカップリング剤(A)1重量部に対して0.01〜10重量部が好ましく、0.01〜1重量部がより好ましい。
シランカップリング剤(A)および酸性基含有重合性単量体(B)を溶かすために使用するアルコールの種類は、組成物の保存安定性に大きく影響する。保存中の組成物は、式:Si−OR+H2 O⇔Si−OH+R−OHで示される平衡状態にある。すなわち、保存中、シランカップリング剤のアルコキシ基(加水分解性基)は酸性基含有重合性単量体(B)の触媒作用により加水分解してシラノール基となる(上式の右方向の反応)。しかし、アルコールの種類によっては、生成したシラノール基の一部は溶媒であるアルコールと反応してアルコキシ基に戻る(上式の左方向の反応)。ここで、アルコールが第2級アルコールや第3級アルコールの如き嵩高のアルコールの場合は、立体障害が大きいためにシラノール基からの攻撃を受けにくいが、第1級アルコールの場合は、立体障害が小さいために攻撃を受けやすく置換反応(上式の左方向の反応)が効率的に進み、組成物中の遊離のシラノール基の数が減少して、保存中の組成物の劣化が抑制される。本発明において、アルコールとして、第1級アルコール(C)を使用することとしているのはこのためである。
本発明における第1級アルコール(C)としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノールが例示される。第1級アルコールの配合量が多すぎるとシランカップリング剤の濃度が低くなり、そのためシランカップリング剤の塗布量の実質的な減少により接着力が低下することがある。一方、同配合量が少なすぎると粘度が高くなり塗布性が悪化することがある。第1級アルコール(C)の配合量はシランカップリング剤(A)1重量部に対して1〜45重量部が好ましい。
本発明に係る1液型の歯科用接着性組成物は水(D)を含有する。水(D)はシランカップリング剤中の加水分解性基の加水分解に不可欠である。含水率は、保存安定性の点で、0.005〜0.5重量%の範囲に規定される。0.005〜0.2重量%の範囲がより好ましい。含水率が0.005重量%未満の場合は、加水分解が十分に進行せず、十分な接着強さが得られない。一方、含水率が0.5重量%を越えた場合は、優れた保存安定性が得られない。組成物の含水率を0.5重量%を越えない範囲に制御するためには、含水率を低減させるための処理が必要である。含水率の低減処理方法は、特に限定されない。組成物を調製した後に、脱水剤で脱水処理してもよいが、操作が簡便であることから、使用する原材料を調合する前または調合工程の途中で脱水処理することが好ましい。脱水処理の方法としては蒸留や、脱水剤による処理などを行うことで所望のレベルまで脱水することができる。酸性基含有重合性単量体(B)および第1級アルコール(C)を蒸留脱水して使用する場合においては、それらを少なくともどの程度まで脱水すればよいかが問題となるが、それらの組成物中の配合量によっても組成物の含水率に及ぼす影響度が異なるので一概には決定し得ない。一般的には、酸性基含有重合性単量体(B)としては、含水率が2.0重量%以下のものが好ましく、1.0重量%以下のものがより好ましい。また、第1級アルコール(C)としては、含水率が0.20重量%以下のものが好ましく、0.10重量%以下のものがより好ましく、0.08重量%以下のものが最も好ましい。本発明に係る1液型の歯科用接着性組成物の保存安定性が良いのは、溶媒が第1級アルコールであること、および、含水率が0.5重量%以下に抑えられていることに因るものであり、いずれか一方を満たさない場合には、保存安定性の良い1液型の歯科用接着性組成物を得ることは困難である。
本発明に係る1液型の歯科用接着性組成物の接着性及び機械的強度をさらに向上させるために、保存安定性を損なわない範囲で、酸性基含有重合性単量体(B)とは別に、酸性基を有しない重合性単量体を配合しても良い。酸性基を有しない重合性単量体とは、酸性基含有重合性単量体(B)とシランカップリング剤(A)(特定の重合性基を含有するので、重合性単量体の一種である。)以外の重合性単量体である。
酸性基を有しない重合性単量体としては、α−シアノアクリル酸、(メタ)アクリル酸、α−ハロゲン化アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、マレイン酸、イタコン酸等の有機酸のエステル類、(メタ)アクリルアミド、および(メタ)アクリルアミド誘導体、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、モノ−N−ビニル誘導体、スチレン誘導体が例示される。中でも、(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。酸性基を有しない重合性単量体の具体例を以下に示す。以下においてn官能性の単量体とは、n個のオレフィン性二重結合(官能基)を有する単量体のことである。
(イ)1官能性の重合性単量体
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、エリトリトールモノ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N、N−(ジヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドなど
(ロ)2官能性の重合性単量体
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス[4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]プロパン、1,2−ビス〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕エタン、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレートなど
(ハ)3官能性以上の重合性単量体
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、N,N'−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレート、1,7−ジアクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラアクリロイルオキシメチル−4−オキシヘプタンなど
酸性基を有しない重合性単量体は1種類または複数種類の組み合わせで用いられる。
本発明に係る歯科用接着性組成物は、これと組み合わせて使用する歯科用修復材料に含ませる重合触媒により、その歯科用修復材料の重合硬化の際に一緒に重合硬化させることができる。しかし、本発明に係る歯科用接着性組成物に歯科用修復材料とは独立した硬化性を付与するために、本発明に係る歯科用接着性組成物に本発明の効果を損なわない範囲で重合開始剤を含有させてもよい。
本発明に係る歯科用接着性組成物に含有させる重合開始剤は、特に限定されず公知の重合開始剤でよい。通常、光重合開始剤もしくはレドックス系重合開始剤が使用されるか、または、これら両者が併用される。
光重合開始剤としては、α−ジケトン類、ケタール類、チオキサントン類、アシルホスフィンオキサイド類、クマリン類、ハロメチル基置換−s−トリアジン誘導体が例示される。
α−ジケトン類としては、カンファーキノン、ベンジル、2,3−ペンタンジオンが例示される。ケタール類としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタールが例示される。チオキサントン類としては、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントンが例示される。アシルホスフィンオキサイドとしては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジ−(2,6−ジメチルフェニル)ホスホネート、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイドおよび特公平3−57916号公報に開示されている水溶性のアシルホスフィンオキサイド化合物が例示される。クマリン類としては、3,3'−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−チェノイルクマリンが例示される。ハロメチル基置換−s−トリアジン誘導体としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンが例示される。また、紫外線照射による光重合を行う場合は、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタールが好適である。光重合開始剤は、1種類または複数種類の組み合わで用いられる。また、光重合開始剤は、シランカップリング剤(A)1重量部に対して、通常、0.0001重量部〜10重量部の範囲、より好ましくは0.001重量部〜5重量部の範囲、最も好ましくは、0.01重量部〜1重量部の範囲で配合される。
光重合開始剤は単独で使用してもよいが、光硬化性をより促進させる目的で、還元剤と併用するのが一般的である。その場合に用いる主な還元剤としては、第3級アミン類、アルデヒド類、チオール基を有する化合物が挙げられる。第3級アミン類としては、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ビス〔(メタ)アクリロイルオキシエチル〕−N−メチルアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブトキシエチル、N−メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノベンゾフェノンが例示される。アルデヒド類としては、ジメチルアミノベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒドが例示される。チオール基を有する化合物としては、2−メルカプトベンゾオキサゾール、デカンチオール、チオ安息香酸等が例示される。これらの還元剤は、1種類または複数種類の組み合わせで用いられる。還元剤は、シランカップリング剤(A)1重量部に対して、通常、0.0001重量部〜10重量部の範囲、より好ましくは0.001重量部〜5重量部の範囲、最も好ましくは、0.01重量部〜1重量部の範囲で配合される。
一方、酸化剤と還元剤とからなるレドックス系重合開始剤を使用する場合は、本発明に係る接着性組成物は、通常、2分割以上の包装形態をとる。しかし、本発明に係る接着性組成物は、他の修復材料、例えば、歯科用ボンディング材、コンポジットレジン、コンポマー、義歯床用レジン、レジンセメント、レジン強化型グラスアイオノマーセメントなどと組み合わせて使用するものである。したがって、修復材料中に酸化剤および還元剤の少なくとも一方を配合し、本発明に係る接着性組成物には酸化剤または還元剤のいずれかを配合するようにすれば、本発明に係る接着性組成物を1液型とすることができる。
酸化剤としては、例えば、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ケトンパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類等の有機過酸化物が挙げられる。ジアシルパーオキサイド類としては、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイドが例示される。パーオキシエステル類としては、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートが例示される。ジアルキルパーオキサイド類としては、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドが例示される。パーオキシケタール類としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが例示される。ケトンパーオキサイド類としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイドが例示される。ハイドロパーオキサイド類としては、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、p−ジイソプロピルベンゼンパーオキサイドが例示される。
還元剤としては、芳香族第3級アミン、脂肪族第3級アミン並びにスルフィン酸およびその塩が好適である。芳香族第3級アミンとしては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−4−エチルアニリン、N,N−ジメチル−4−i−プロピルアニリン、N,N−ジメチル−4−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−エチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−イソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−イソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、4−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(2−メタクリロイルオキシ)エチルが例示される。
脂肪族第3級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−ラウリルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、(2−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、N−メチルジエタノールアミンジメタクリレート、N−エチルジエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミンモノメタクリレート、トリエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミントリメタクリレートが例示される。
スルフィン酸またはその塩としては、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸カリウム、ベンゼンスルフィン酸カルシウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、トルエンスルフィン酸、トルエンスルフィン酸ナトリウム、トルエンスルフィン酸カリウム、トルエンスルフィン酸カルシウム、トルエンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−イソプロピルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カルシウムが例示される。
酸化剤および還元剤は、それぞれ1種類または複数種類の組み合わせで用いられる。酸化剤および還元剤は、シランカップリング剤(A)1重量部に対して、通常、0.0001重量部〜10重量部の範囲、より好ましくは0.001重量部〜5重量部の範囲、最も好ましくは、0.01重量部〜1重量部の範囲で配合される。
操作性、塗布性、機械的強度を改善するために、フィラーを本発明の効果を損なわない範囲で配合してもよい。フィラーとしては、無機系フィラー、有機系フィラーまたはこれらの複合体が用いられる。
無機系フィラーとしては、シリカ;カオリン、クレー、マイカ等の、シリカを基材とする鉱物;シリカを基材とし、Al23、B23、TiO2、ZrO2、BaO、La23、SrO2、CaO、P25等の酸化物を含有する、セラミックス類またはガラス類、特にランタンガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、ソーダガラス、リチウムボロシリケートガラス、亜鉛ガラス、フルオロアルミナムボロシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス、バイオガラスが挙げられる。結晶石英、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、酸化チタン、酸化イットリウム、ジルコニア、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウムも好適である。
有機系フィラーとしては、ポリメチルメタクリレート、多官能メタクリレートの重合体、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等の有機樹脂が挙げられる。
有機・無機複合体としては、有機樹脂中に無機フィラーを分散させたもの、無機フィラーを有機樹脂でコーティングしたものが挙げられる。
フィラーとしては、接着性組成物の機械的強度の改善、流動性の調整およびフィラーの組成物中での分散性を向上させるために、表面処理剤で表面処理したものを用いてもよい。表面処理剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。特に好適なフィラーとしては、平均粒径0.1μmの以下のコロイダルシリカやX線造影性を有するフィラーが挙げられる。これらのフィラーは、1種類または複数種類の組み合わせで配合される。
本発明に係る接着性組成物は、歯科用ポストの前処理剤として好適に用いることができる。歯科用ポストとは、歯髄を抜いた歯に補綴物を施して歯の修復を行うときに、残された歯に補綴物を固定するための棒状の材料のことである。歯科用ポストは、本発明の組成物が接着性を示す材料、すなわちステンレス等の卑金属のほか、チタン合金、ガラスファイバーやカーボンファイバーを含有するレジン系材料などで作製されている。歯科用ポストを植立する術式では、歯科用ポストの表面と根管内の歯面との間の非常に狭い間隙に、歯科用ポストの表面処理剤、歯科用レジンおよび歯面処理剤の3層が形成される。十分な厚みの歯科用レジン層を確保するためには、歯科用ポストの表面処理剤の層を薄くする必要がある。したがって、本発明に係る接着性組成物を歯科用ポストの前処理剤として使用する場合は、薄層化が可能な程度に粘度を低くすることが好ましい。歯科用ポストの前処理剤として使用する場合は、円錐−平板型回転粘度計での粘度で、300cP以下のものが好ましく、100cP以下のものがより好ましく、50cP以下のものが最も好ましい。
本発明に係る歯科用接着性組成物の使用方法の一例を次に説明する。先ず、スポンジ、ブラシ、筆等を用いて被着体表面に本発明に係る歯科用接着性組成物を塗布する。必要に応じて歯科用エアーシリンジなどを用いて、塗布物を適当な厚みに延ばすとともに、塗布物に含まれる有機溶媒を揮発させる。このような処理が施された被着体は歯科用セメント、歯科用接着剤、歯科用コンポジットレジンなどに良好な接着性を示す。
本発明に係る歯科用接着性組成物を歯科用ポストの前処理剤として用いる場合は、歯科用ポストを植立するための根管を形成した後、その根管内を歯質接着性組成物で前処理する。その一方で、歯科用ポストに本発明の組成物をスポンジ、ブラシ、筆等を用いて塗布し歯科用エアーシリンジを用いて薄く延ばす。このときエタノールを含む組成物についてはエタノールを十分に揮発させる。次いで、ポストを植立するためのレジン材料を根管内に注入するか、前処理後のポストに塗布するかした後、ポストを根管内に挿入し、光照射などにより先に注入したレジン材料を硬化させる。
本発明を実施例により更に詳細に説明する。本発明は下記の実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例で使用した材料は次のとおりである。
〔シランカップリング剤(A)〕
・3−MPS(3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン)を用いた。
〔酸性基含有重合性単量体(B)〕
・MDP(10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート)を蒸留により脱水したものを用いた。未蒸留のMDPの含水率は2.13重量%、蒸留後のMDPの含水率は0.95重量%であった。
〔第1級アルコール(C)〕
市販のエタノールをそのまま、または、蒸留脱水して用いた。未蒸留のエタノールの含水率は1.56重量%、蒸留後のエタノールの含水率は0.025重量%であった。
〔その他〕
・蒸留水
・イソプロピルアルコール:市販のイソプロピルアルコールを蒸留により脱水したものを用いた。蒸留後のイソプロピルアルコールの含水率は0.059重量%であった。
以下の実施例および比較例における含水率、引張接着強さおよびポスト引き抜き応力は、それぞれ下記の方法により測定したものである。
〔含水率〕
微量水分測定器(三菱化学社製、商品コード「MITSUBISHI MOISTURE METER CA−06」)を用いてカールフィッシャー法により測定する。
〔接着強さ〕
歯科用陶材ブロック(VITA社製、商品名「ビタ セレイ」)を#1000シリコン・カーバイド紙(日本研紙社製)で平滑に研磨し、超音波洗浄した後、表面の水を歯科用エアーシリンジを用いて吹き飛ばし、被着面とする。被着面に接着性組成物を小筆ブラシを用いて塗布し、歯科用エアーシリンジを用いて薄く延ばす。このときエタノールを含む接着性組成物についてはエタノールを十分に揮発させる。次いで、被着面に、直径5mmの丸穴を有する厚さ150μmの粘着テープを貼着し、その丸穴に歯科用コンポジットレジン(クラレメディカル社製、商品名「AP−X」)を充填し、離型フィルム(クラレ社製、商品名「エバール」)を被せた後、その離型フィルムの上にスライドグラスを載置して押し付け、歯科用光照射器(モリタ社製、商品名「JETLITE3000」)を用いて20秒間光照射して硬化させる。次いで、この硬化面に対して、歯科用レジンセメント(クラレメディカル社製、商品名「パナビア21」)を用いて直径7mm、長さ1.5cmのステンレス製の円柱棒の一方の端面を接着して試験片とする。次いで、この試験片を70°Cの水中に10日間静置し、取り出して室温に戻した後、接着強さ(引張強度)を測定する。接着強さは、オートグラフ(島津社製、型番「AG−1」)により、クロスヘッドスピードを2mm/分に設定して測定する。
〔ポスト引き抜き応力〕
牛歯を歯科用レジンで包埋し、模擬根管(直径1.2mm、深さ5mm)を形成した後、ライナーボンドΣプライマー(クラレメディカル社製)にて処理し、次いでライナーボンドΣボンド(クラレメディカル社製)にて処理する。一方、ファイバーコアポスト(ペントロン社製、直径1.0mm、長さ18mm)に接着性組成物を小筆ブラシを用いて塗布し、歯科用エアーシリンジを用いて薄く延ばす。このときエタノールを含む接着性組成物についてはエタノールを十分に揮発させる。次いで、クリアフィルDCコア(クラレメディカル社製)のペーストを根管内に注入し、上記の表面処理を行ったファイバーコアポストを根管内に挿入し、余剰のペーストを除去した後、光照射により硬化させて試験片とする。次いで、試験片を37°Cの水中に24時間静置した後、オートグラフ(島津社製、型番「AG−1」)により引き抜き応力(N)を測定する。
(実施例1および比較例1)
表1に示す成分を混合し、表1に示すように混合直後または50°Cで2週間もしくは4週間保存した後に接着試験を行い、接着強さを調べた。
Figure 0004948915
表1に示すように、実施例1の組成物を用いた場合は、50°Cで4週間保存した後でも高い接着強度を維持しているが、比較例1の組成物を用いた場合は、50°Cで2週間および4週間保存した後の接着強度の低下が著しかった。このように比較例1の組成物の保存安定性が良くないのは、アルコールとして、溶媒に第2級アルコールを使用したために、保存中にアルコキシ基が加水分解して生成したシラノール基が第2級アルコールと反応してアルコキシ基となりにくかったためと考えられる。
(実施例2、3および比較例2、3、4)
表2に示す成分を混合し、表2に示すように混合直後または50°Cで2週間保存した後に接着試験を行い、接着強さを調べた。
Figure 0004948915
表2に示すように、実施例2、3の組成物を用いた場合は、50°Cで2週間保存した後でも高い接着強度を維持しているが、比較例2〜4の組成物は50°Cで2週間保存した後の接着強度の低下が著しかった。このように比較例2〜4の組成物の保存安定性が良くないのは、組成物の含水率が0.5重量%を越えて高いために、保存中にシランカップリング剤(A)中の加水分解性基の加水分解が進行し、次いで生成したシラノール基同士が縮合して、シランカップリングの結合手であるシラノール基の数が減少したからである。
(実施例4および比較例5)
表3に示す成分を混合し、表3に示すように混合直後または50°Cで2週間保存した後にポスト引き抜き試験を行い、ポスト引き抜き応力(N)を調べた。実施例4の組成物は実施例2の組成物と、比較例5の組成物は比較例3の組成物と、それぞれ組成物としては同じものである。なお、実施例4の組成物および比較例5の組成物の円錐−平板型回転粘度計での粘度は、3cP以下であった。
Figure 0004948915
表3に示すように、実施例4の組成物を用いた場合は、混合直後および50°Cで2週間保存した後ともに高いポスト引き抜き応力を示したが、比較例5の組成物は、混合直後および50°Cで2週間保存した後ともに低いポスト引き抜き応力を示した。

Claims (3)

  1. 下記一般式化1で表されるシランカップリング剤(A)、酸性基含有重合性単量体(B)、第1級アルコール(C)および水(D)を含有してなる1液型の歯科用接着性組成物であって、含水率が0.005〜0.5重量%であることを特徴とする1液型の歯科用接着性組成物。
    Figure 0004948915
    〔式中、R1は(メタ)アクリロイル基、ビニル基、メルカプト基およびエポキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1個の官能基を有する1価の有機基を表し、R2は水酸基、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のアルコキシ基を表し、R3およびR4は各独立して水酸基または炭素数1〜5のアルコキシ基を表す。〕
  2. 酸性基含有重合性単量体(B)が、下記一般式化2で表されるリン酸基含有重合性単量体である請求項1記載の1液型の歯科用接着性組成物。
    Figure 0004948915
    〔式中、R5 は水素原子またはメチル基を表し、nは8〜20の整数である。〕
  3. 請求項1または2記載の1液型の歯科用接着性組成物からなる、歯科用ポストの前処理剤。
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