JP4722879B2 - エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物およびその加工方法 - Google Patents
エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物およびその加工方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4722879B2 JP4722879B2 JP2007113373A JP2007113373A JP4722879B2 JP 4722879 B2 JP4722879 B2 JP 4722879B2 JP 2007113373 A JP2007113373 A JP 2007113373A JP 2007113373 A JP2007113373 A JP 2007113373A JP 4722879 B2 JP4722879 B2 JP 4722879B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polymerization
- vinyl acetate
- peroxydicarbonate
- ethylene
- evoh
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Polymerization Catalysts (AREA)
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
Description
近年、EVOH使用量の増加に伴い、生産性の向上が強く望まれている。また、EVOHは、熱安定性が悪く、加工時の加熱により着色するという問題点があり、従来から改善が求められていた。
従来のEVOHの製造方法としては、重合開始剤として2,2'−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物またはビス−4−t−ブチルシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、過酸化ラウロイル等の有機過酸化物を使用してエチレンと酢酸ビニルとを共重合し、更に得られたEVAをけん化してEVOHとする方法である。
第1の発明によれば、エチレンと酢酸ビニルとの共重合における重合速度が速く、また得られたEVAをけん化することにより、EVOHの熱安定性を向上でき、しかも着色を抑制することができる。
第3の発明によれば、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物を加熱して加工する際に熱安定性を高め、加熱による着色を抑制することができる。
EVOHは、下記一般式(1)で表されるペルオキシジカーボネートを重合開始剤とし、その重合開始剤の存在下でエチレンと酢酸ビニルとを共重合し、得られた共重合体をけん化するものである。
この一般式(1)で表されるペルオキシジカーボネートは、一般のペルオキシジカーボネート類が液体で、−10℃以下で保管しないと分解するのに対し、0℃でも分解せず、0℃での保管が可能な固体で、取扱いが容易である。シクロアルキル基の炭素数が6未満では、ペルオキシジカーボネートが固体とならず、0℃での保管ができない。シクロアルキル基の炭素数が12を越えると、エチレンと酢酸ビニルとの共重合時に重合溶剤または酢酸ビニルへの溶解が困難となる。さらに、シクロアルキル基が置換基を有する場合、ペルオキシジカーボネートが重合溶剤に溶解しにくいことから不適当である。また、アルキル基の炭素数が12未満では、ペルオキシジカーボネートが固体とならず、0℃での保管ができない。アルキル基の炭素数が16を越えると、エチレンと酢酸ビニルとの共重合時に重合溶剤または酢酸ビニルへの溶解が困難となる。
EVAからEVOHの製造方法としては、EVAを単離後メタノールに溶解してけん化する方法、あるいは、単離せず、重合後EVAのメタノール溶液の状態でけん化する方法のいずれでも良い。
・ 実施形態のEVOHの製造方法によれば、重合開始剤として前記一般式(1)で表される特定のペルオキシジカーボネートを使用することから、エチレンと酢酸ビニルとの共重合における重合速度が速く、また得られたEVAをけん化することにより、EVOHの熱安定性を向上でき、しかも着色を抑制することができる。
・ 実施形態のEVOHの製造方法によれば、エチレンと酢酸ビニルとの共重合反応をメタノール中で均一に、しかも円滑に進行させることができるとともに、工業的に安価にエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物を製造することができる。
・ 実施形態のEVOHの製造方法によれば、重合開始剤をメタノールに溶解し、それをエチレンと酢酸ビニルに自動的に供給することができ、重合開始剤の取扱いや重合操作を容易にすることができる。
(実施例1)
撹拌器を備えた容量1リットルのオートクレーブ内を充分窒素置換した後、酢酸ビニル350g、この酢酸ビニルとは別にジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート0.18gをメタノール50gに溶解したメタノール溶液を入れ、エチレン圧力が45kgf/cm2Gになるようにオートクレーブ内をエチレンで加圧しながら、60℃で3時間重合させた。重合終了後、重合反応液中に溶存するエチレンを、圧力を常圧に減ずることにより放散させ、ガスクロマトグラフにより残存する酢酸ビニルを定量したところ、酢酸ビニルの重合転化率は69%であった。
(実施例2〜5ならびに比較例1および2)
実施例1において、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネートの代わりに下記に示した重合開始剤を使用した以外は、実施例1に従って、重合およびけん化を行った。その結果を表1に示した。
実施例2 ジシクロドデシルペルオキシジカーボネート
実施例3 ジドデシルペルオキシジカーボネート
実施例4 ジテトラデシルペルオキシジカーボネート
実施例5 ジヘキサデシルペルオキシジカーボネート
比較例1 ジイソプロピルペルオキシジカーボネート
比較例2 2, 2−アゾビスイソブチロニトリル
(比較例3)
実施例1と同じ装置を使用し重合開始剤としてラウロイルペルオキシド0.30gを用い、重合温度を70℃に変えた以外は、実施例1に従って、重合およびけん化を行った。その結果を表1に示した。
(実施例11)
容量2リットル(第1重合槽)および容量3リットル(第2重合槽)の攪拌装置付きの重合槽2基を、直列に配置した重合装置において、以下に示す条件でエチレンと酢酸ビニルの連続重合を行った。
酢酸ビニル供給量 600g/hr、メタノール100重量部に対してジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート0. 15重量部を溶解したメタノール溶液の供給量 80g/hr、エチレンの圧力 45kgf/cm2G、重合温度 60℃、平均滞留時間 1. 0hr
第2重合槽:
エチレンの圧力 45kgf/cm2G、重合温度 60℃、平均滞留時間1. 0hr
そして、第1重合槽から流出する重合反応溶液は、全量第2重合槽へ供給した。このとき、第2重合槽における酢酸ビニルの重合転化率は72%であった。得られた重合反応溶液を実施例1の方法に従って、けん化および加熱後の色差を測定した。けん化により得られたEVOHは純白であり、けん化度は99. 6%であった。加熱後のEVOHの色差値は1. 6であった。
・ 前記一般式(1)中のRは、炭素数が8〜12の未置換シクロアルキル基である請求項1に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物。
・ 前記エチレンと酢酸ビニルとの共重合を、複数の重合槽を直列に連結し、各重合槽に重合開始剤を添加して連続して行う請求項1または請求項2に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物。
・ 前記けん化は、メタノール中において、アルカリまたは酸を触媒とし、けん化するものである請求項1または請求項2に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物。
Claims (3)
- 前記一般式(1)で表されるペルオキシジカーボネートは、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、ジシクロドデシルペルオキシジカーボネート、ジシクロオクチルペルオキシジカーボネート、ジシクロデシルペルオキシジカーボネート、ジドデシルペルオキシジカーボネート、ジテトラデシルペルオキシジカーボネートおよびジヘキサデシルペルオキシジカーボネートからなる群より選ばれた少なくとも1種のペルオキシドである請求項1に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物。
- 請求項1または請求項2に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物を加熱して加工する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007113373A JP4722879B2 (ja) | 2007-04-23 | 2007-04-23 | エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物およびその加工方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007113373A JP4722879B2 (ja) | 2007-04-23 | 2007-04-23 | エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物およびその加工方法 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24525797A Division JP4422218B2 (ja) | 1997-09-10 | 1997-09-10 | エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007197733A JP2007197733A (ja) | 2007-08-09 |
JP4722879B2 true JP4722879B2 (ja) | 2011-07-13 |
Family
ID=38452622
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007113373A Expired - Lifetime JP4722879B2 (ja) | 2007-04-23 | 2007-04-23 | エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物およびその加工方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4722879B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115991801A (zh) * | 2021-10-19 | 2023-04-21 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种高性能evoh及其制备方法 |
Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6015412A (ja) * | 1983-06-30 | 1985-01-26 | バイエル・アクチエンゲゼルシヤフト | エチレン−酢酸ビニル共重合体類の製造方法 |
JPH07145144A (ja) * | 1992-10-29 | 1995-06-06 | Sanken Kako Kk | 新規ペルオキシエステル及び塩化ビニル系単量体の重合方法 |
JPH07238120A (ja) * | 1992-12-22 | 1995-09-12 | Essilor Internatl (Cie Gen Opt) | 低黄色度ポリマー組成物、重合可能な組成物およびその組成物を用いたレンズ |
JPH0859738A (ja) * | 1994-07-22 | 1996-03-05 | Basf Ag | ポリオレフィンとビニルエステルとの反応生成物、該生成物の製造方法および該生成物を含有する燃料または潤滑油組成物 |
JPH0959323A (ja) * | 1995-06-12 | 1997-03-04 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 透明プラスチックシート |
JPH09316110A (ja) * | 1996-03-29 | 1997-12-09 | Kuraray Co Ltd | 酢酸ビニル系重合体の製造方法 |
JP4422218B2 (ja) * | 1997-09-10 | 2010-02-24 | 日油株式会社 | エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物の製造方法 |
-
2007
- 2007-04-23 JP JP2007113373A patent/JP4722879B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6015412A (ja) * | 1983-06-30 | 1985-01-26 | バイエル・アクチエンゲゼルシヤフト | エチレン−酢酸ビニル共重合体類の製造方法 |
JPH07145144A (ja) * | 1992-10-29 | 1995-06-06 | Sanken Kako Kk | 新規ペルオキシエステル及び塩化ビニル系単量体の重合方法 |
JPH07238120A (ja) * | 1992-12-22 | 1995-09-12 | Essilor Internatl (Cie Gen Opt) | 低黄色度ポリマー組成物、重合可能な組成物およびその組成物を用いたレンズ |
JPH0859738A (ja) * | 1994-07-22 | 1996-03-05 | Basf Ag | ポリオレフィンとビニルエステルとの反応生成物、該生成物の製造方法および該生成物を含有する燃料または潤滑油組成物 |
JPH0959323A (ja) * | 1995-06-12 | 1997-03-04 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 透明プラスチックシート |
JPH09316110A (ja) * | 1996-03-29 | 1997-12-09 | Kuraray Co Ltd | 酢酸ビニル系重合体の製造方法 |
JP4422218B2 (ja) * | 1997-09-10 | 2010-02-24 | 日油株式会社 | エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物の製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2007197733A (ja) | 2007-08-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP3381954B1 (en) | Use of a dispersion stabilizer comprising a water soluble vinyl alcohol-based copolymer in a suspension polymerization of a vinyl-based monomer | |
US9428601B2 (en) | Method of preparing vinyl chloride polymers having superior processability | |
EP2058342B1 (en) | Dispersion stabilizer for suspension polymerization of vinyl-based compound | |
TWI582115B (zh) | 懸浮聚合用分散安定劑及乙烯系樹脂之製造方法 | |
CN106414511A (zh) | 悬浮聚合用分散稳定剂、乙烯基系聚合物的制造方法及氯乙烯树脂 | |
JP6403019B2 (ja) | 変性ポリビニルアルコールを含む水性組成物及び変性ポリビニルアルコールの成形体 | |
US8524831B2 (en) | Polyvinyl alcohol polymer and method for producing the same | |
JP5288683B2 (ja) | ビニル系化合物の懸濁重合用分散安定剤 | |
US5240997A (en) | Process for producing ethylene-vinyl alcohol copolymers | |
JP4422218B2 (ja) | エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物の製造方法 | |
JP4722879B2 (ja) | エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物およびその加工方法 | |
JP4520544B2 (ja) | エチレン−酢酸ビニル共重合体の製造法 | |
JP6203038B2 (ja) | 成形品及びその製造方法 | |
WO2015005153A1 (ja) | ビニルアセタール系重合体 | |
WO2002050137A1 (fr) | Procede et appareil permettant de produire un produit de saponification de copolymere d'acetate ethylene vinyle | |
JP6161531B2 (ja) | 成形品及びその製造方法 | |
JP6253389B2 (ja) | 成形品及びその製造方法 | |
JPH0559116A (ja) | エチレン−ビニルアルコール共重合体の製造方法 | |
WO2023058761A1 (ja) | エチレン-ビニルアルコール共重合体を含有するペレット及びその製造方法 | |
JP3743696B2 (ja) | エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の製造法 | |
JP6193723B2 (ja) | 主鎖に1,2,3−トリオール基を有するポリビニルアルコール系樹脂およびその製造方法 | |
KR20240064290A (ko) | 에틸렌-비닐알코올 공중합체의 제조방법 | |
KR20090033468A (ko) | 비닐계 화합물의 현탁 중합용 분산 안정제 | |
KR20230063730A (ko) | 에틸렌-비닐알코올 공중합체의 제조방법 | |
JPH0578403A (ja) | エチレン−ビニルエステル共重合体の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070517 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20100915 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20101109 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110111 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110308 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110406 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140415 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |