JPH0578403A - エチレン−ビニルエステル共重合体の製造方法 - Google Patents

エチレン−ビニルエステル共重合体の製造方法

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JPH0578403A
JPH0578403A JP2736092A JP2736092A JPH0578403A JP H0578403 A JPH0578403 A JP H0578403A JP 2736092 A JP2736092 A JP 2736092A JP 2736092 A JP2736092 A JP 2736092A JP H0578403 A JPH0578403 A JP H0578403A
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ethylene
vinyl ester
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copolymer
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JP2736092A
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English (en)
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Hisamichi Yanai
久道 柳井
Takanori Kitamura
隆範 北村
Fumio Nakahara
文夫 中原
Katsumi Shimizu
克巳 清水
Akemasa Aoyama
明正 青山
Takeshi Moriya
健 守谷
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【効果】 広範なエチレン含量を有するEVAを得るこ
とができるし、また重合系は実質的に均一な液相に保た
れているので、得られるEVAおよびそれをけん化して
得られるEVOHの品質も均一であり、また残存モノマ
ー回収も、容易である。さらにまたメタノールを用いた
溶液重合にくらべ重合度の高いEVAを得ることもでき
る。 【構成】 エチレンおよびビニルエステルをラジカル開
始剤の存在下に共重合するに際し、重合溶媒としてジア
ルキルスルホキシドを使用するエチレン−ビニルエステ
ル共重合体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エチレン及びビニルエ
ステルをラジカル開始剤の存在下に共重合するに際し、
重合溶媒としてジアルキルスルホキシドを使用してエチ
レン−ビニルエステル共重合体を得る不連続、又は連続
的製造法に関するものであり、好ましくは、重合系を常
に液相に保った状態で、重合度低下の少ない重合体を得
る製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】エチレン−ビニルエステルとくに酢酸ビ
ニル共重合体をけん化して得られるエチレン−ビニルア
ルコール共重合体はエチレン含量25〜45モル%、極
限粘度[η]ph0.099〜0.110リットル/グ
ラム(以下リットル/グラムをl/gと記す)を中心と
した共重合体が、該共重合体の高度なガスバリヤー性の
特徴を生かして、食品包装容器、油類の包装容器および
油類と接触する部品などを中心に使用され、食生活の変
化とも相俟って需要量の大幅な拡大が認められる。
【0003】エチレン含量が25モル%未満のエチレン
−ビニルアルコール共重合体はポリビニルアルコール重
合体の耐水性、吸水性、膨潤性等を改良した製品とし
て、また45モル%以上のエチレン含有率を有するエチ
レン−ビニルアルコール共重合体は柔軟性が良好で成形
性に勝れるエチレン−ビニルアルコール樹脂としての展
開等が期待される。さらにエチレン含有率が25〜45
モル%で[η]ph0.099〜0.110l/g(1
5重量%含水フェノール、30℃で測定)を越えるエチ
レン−ビニルアルコール共重合体は耐久性、機械的強度
が改良された製品として各種用途分野での性能向上に資
することが期待される。以上の如く、従来公知のエチレ
ン含有率より低エチレン含有率または高エチレン含有率
を有するエチレン−ビニルアルコール共重合体、また従
来公知の重合度より高重合度のエチレン−ビニルアルコ
ール共重合体は従来のエチレン含有率および重合度の共
重合体においては達成し得ない優れた性能を発揮する可
能性を有しており、その安価かつ合理的な製造方法の開
発が望まれる。
【0004】従来より、エチレン及びビニルエステルを
共重合する際、溶液重合の場合、重合溶媒としてメタノ
ール、t−ブタノール等のアルコールが主として用いら
れることは公知である。従来、エチレン−ビニルエステ
ル共重合体の製造方法において、ジメチルスルホキシド
を重合溶媒とする開示は見当らない。従来法において、
メタノール等のアルコールを重合溶媒とした場合、50
℃以下の温度領域において、重合体のエチレン含量が5
0モル%以上の高エチレン含量となると重合系に溶媒が
20重量%程度存在しても、系内に重合体が析出し、不
均一な溶液となることが認められており、特に、連続重
合を考えた場合、操作上不都合である。また、溶液重合
の場合、重合系内の溶媒濃度が高くなるほど得られる重
合体の重合度は低下することが知られており、高重合度
の重合体を取得するためには従来公知のメタノール等の
溶媒の場合、重合温度の引下げ、重合速度の抑制、メタ
ノール添加量の抑制等工程上好ましくない処理を必要と
する。また60℃以上の高温での共重合の場合、反応熱
が大きくなり、系内を均一温度に保つことが困難であ
り、特にラジカル重合系では暴走反応が起こる危険性も
大きく適当な重合方法とはいえない。
【0005】一方ジメチルスルホキシドを用いて酢酸ビ
ニルを単独重合することは特公昭36−3999(米国
特許第3080350号)などにより知られているが、
エチレンと酢酸ビニルを共重合することの記載はない
し、またジメチルスルホキシドがエチレンと酢酸ビニル
がラジカル共重合するに際し、どのような機能を果す
か、また得られる共重合体の内部構造にどのような影響
を及ぼすかの記載がなされていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは以上の如
き従来公知の製造方法が包含する課題を解決し、かつ従
来公知のエチレン−ビニルアルコール共重合体の製造規
格(エチレン含有率、重合度)の幅を拡張すると共に安
価かつ合理的な製造方法に関して鋭意検討を行なった。
【0007】
【課題を解決するための手段】その結果、本発明者ら
は、重合溶媒としてジアルキルスルホキシドを使用する
ことが上記課題を解決することを見い出した。すなわ
ち、本発明によれば重合度低下の小さいエチレン−ビニ
ルエステル共重合体を得ることができるし、さらに生成
するエチレン−ビニルエステル共重合体に対してジアル
キルスルホキシドは良溶媒であることから、エチレン−
ビニルエステル共重合体は、エチレン含量の広い範囲に
わたって均一の重合系を保持することが可能であり、さ
らにまた後続の未反応ビニルエステル除去工程において
も系中のジアルキルスルホキシド濃度を調整することに
より均一の溶液状態をそのまま保持することが可能であ
り、工程の安定な連続化を実現できる。
【0008】本発明者らの検討によればメタノール20
重量部、酢酸ビニル80重量部の系で50℃で反応を行
い、エチレン含量60モル%のエチレン−ビニルエステ
ル重合体(EVA)を得ようとした場合、低重合率の段
階から、重合系にEVAが析出し、重合系が不均一にな
るのに対し、上記の設定条件に従ったジメチルスルホキ
シド系の場合、重合率70%程度でも、重合系への重合
体の析出は認められなかった。また、メタノール10重
量部、酢酸ビニル90重量部の系で、40℃で反応を行
い、重合率20%で得られた重合体をけん化して得たエ
チレン含量が32モル%のEVOHの[η]phが0.
135l/gであるのに対し、ジメチルスルホキシド溶
媒では同一条件下での反応において、同一重合速度、重
合率、エチレン含量での条件下で比較したEVOHの
[η]phは0.149l/gであった。かかる実験事
実は、メタノールに比べて、ジメチルスルホキシドを重
合溶媒として、エチレンおよびビニルエステルを共重合
させた場合、極限粘度が高い共重合体が得られることを
示すものである。本発明により得られるエチレン−ビニ
ルエステル共重合体をけん化することにより、好ましく
は[η]ph0.4l/g以下さらには0.35l/g
以下、さらには0.3l/g以下のEVOHを得ること
ができる。また下限については好ましくは[η]ph
0.05l/g以上、さらには0.06l/g以上、さ
らには0.07l/g以上である。
【0009】本発明におけるエチレンとビニルエステル
の共重合反応による共重合体の製造は、重合系内のジア
ルキルスルホキシドが1重量%以上共存するビニルエス
テルとの混合溶液に対して、エチレンの加圧下にラジカ
ル開始剤を添加することにより実施される。共重合体の
エチレン含量、極限粘度は重合系のエチレン圧力、重合
温度、重合速度、重合率、酢酸ビニルモノマーと溶媒の
組成等により種々変化し、所望のエチレン含量、極限粘
度の共重合体の取得の為には上記条件の厳密な調整を必
要とする。本発明における共重合体のエチレン含量は
0.1〜80モル%が好ましい。共重合体のエチレン含
量が0.1モル%未満の場合にはけん化して得られるエ
チレン−ビニルアルコール共重合体がポリビニルアルコ
ールにくらべ耐水性などの性能改善の効果が実質的に発
現しない。好適なエチレン含量は1モル%以上であり、
さらには5モル%以上、10モル%以上さらには20モ
ル%以上である。またエチレン含量が80モル%を越え
る領域では共重合体がジメチルスルホキシドに対して溶
解し難く適当でない。共重合体の溶解性から判断すると
エチレン含量70モル%以下の共重合体がさらに望まし
い。
【0010】本発明においてビニルエステルとしては炭
素数5以下の低級脂肪酸のビニルエステルなどがあげら
れ、代表的には酢酸ビニルがあげられ、さらにはプロピ
レン酸ビニルなどもあげられる。また本発明において
は、エチレン、ビニルエステル以外で、これらと共重合
可能なエチレン性不飽和単量体を、本発明の目的が損な
わない範囲で使用することもできる。ここでエチレン性
不飽和単量体としては、例えば「ポバール(改定新
版)」(高分子刊行会、1981年4月1日発行)28
1〜285頁およびそこに引用の文献に記載のモノマー
を代表例として例示できる。
【0011】代表的なモノマーとしては、たとえばオレ
フィン(炭素数3〜18のオレフィンなど)、カルボン
酸ビニル(バーサチック酸ビニル、ステアリン酸ビニル
など)、アルキルビニルエーテル(ラウリルビニルエー
テル、メチルビニルエーテルなど)、(メタ)アクリレ
ート類{メチル(メタ)アクリレートなど}、アクリル
アミド類(アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N
−ジメチルアクリルアミドなど)、不飽和カルボン酸
(エステル)又は(無水物)(アクリル酸、クロトン
酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、これらのエ
ステル、無水物など)、スルホン酸モノマー(ビニルス
ルホン酸、アクリルスルホン酸など)、カチオン性モノ
マー(ジメチルアミノエチルメタクリレート、ビニルイ
ミダゾール、ビニルピリジン、ビニルサクシイミドな
ど)、その他(ビニレンカーボネート、アリルアルコー
ル、アリルアセテートなど)があげられる。
【0012】本発明において用いるジアルキルスルホキ
シドとしては低級アルキル基から構成され、エチレン−
酢酸ビニル共重合体およびエチレン−ビニルアルコール
共重合体に対する溶解性等の観点から低級アルキル基の
炭素数は一般に3以下が好ましい。ジアルキルスルホキ
シドの具体例としては、ジメチルスルホキシド、ジエチ
ルスルホキシド、ジi−プロピルスルホキシド、ジn−
プロピルスルホキシド、メチルエチルスルホキシド、メ
チルi−プロピルスルホキシド等を例示できるが、ジメ
チルスルホキシドが、高重合度のエチレン−ビニルエス
テル共重合体が得られること、さらには熱的、化学的安
全性が優れ、また入手しやすいことから特に好ましい。
またジアルキルスルホキシド中の含水率は2重量%以
下、好ましくは1重量%以下であることがより好まし
い。
【0013】本発明においては共重合は液相で進行す
る。ここで液相とは実質的に均一な液相をいう。
【0014】重合系におけるジアルキルスルホキシドの
含有量(ジアルキルスルホキシドとビニルエステルの合
計量に対するジアルキルスルホキシドの含有量)は1重
量%以上が好ましく、所望のEVAのエチレン含量、極
限粘度にもよるが、重合系の除熱、異常重合の防止等を
考慮した安定性、均一溶液状態の保持、ラジカル開始剤
の仕込み方法等を勘案すれば3重量%以上、さらには5
重量%以上が好適である。
【0015】重合系のジアルキルスルホキシドの含有量
が1重量%未満の場合には実質的に塊状重合の場合と同
等となり、異常重合反応等の生起を防止し難く、ラジカ
ル開始剤の仕込みも容易でなく好ましくない。ジアルキ
ルスルホキシドの含有量の上限については特に具体的な
限定条件はないが、共重合体の生産効率等の観点からは
80重量%未満、さらには70重量%未満が好適であ
る。エチレン含量が0.1〜80モル%の共重合体は所
望の該重合体の極限粘度、重合条件との絡みの中でエチ
レン圧力を設定し製造される為にエチレン圧力を一義的
には決定できないが、常圧から100kg/cm2程度
の圧力が一般的である。重合温度は共重合体の極限粘度
およびエチレン含量と密接に関連しているが、約0〜8
0℃の範囲から選ばれる。通常の極限粘度を有する共重
合体を得る場合は40〜80℃の範囲から選ばれ、また
より高極限粘度の共重合体を得る場合は、より低温、た
とえば40℃以下の重合温度から選択される。
【0016】本共重合で使用するラジカル開始剤として
は従来公知の2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、
2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチ
ルバレロニトリル)などのアゾ化合物、過酸化ベンゾイ
ル、イソプロピルパーオキシジカーボネートなどの過酸
化物がそのまま採用できる。開始剤の使用量はビニルエ
ステルモノマー基準で0.001〜1.0重量%、好ま
しくは0.01〜0.5重量%である。開始剤の仕込み
量により、重合熱の除去を調節するとともに、共重合体
の極限粘度等に係わる重合速度の調節を実施する。
【0017】次に本発明における重合方法としては、バ
ッチ反応方式、半回分反応方式、連続反応方式いずれの
方式も採用出来るが、重合熱の除去、共重合体の品質の
安定化、重合系の安定性等の観点からは連続方式の採用
が望ましい。
【0018】本共重合により製造された共重合体、未反
応ビニルエステルモノマー、エチレン、ジアルキルスル
ホキシド、微量の開始剤からなる均一溶液は必要に応じ
開始剤の失活処理の後溶液中の溶解エチレンを回収し、
次工程の未反応ビニルエステルモノマー回収工程に送ら
れビニルエステルモノマーの回収を行なう。本回収系で
は回収系の粘度を考慮して適宜ジアルキルスルホキシド
を添加し、溶液粘度を特定の範囲に保ちながらビニルエ
ステルモノマーの回収を実質的に均一な液相で実施する
ことが可能である。重合系の溶液粘度としては500ポ
イズ以下が好まく、好適には300ポイズ以下、さらに
好適には100以下である。下限値についてはとくに限
定されないが約1ポイズである。また本回収操作はビニ
ルエステルモノマーの熱安定性を考慮し、一般に缶液温
度を100℃、好ましくは80℃以下に保持して、常圧
または減圧下(いずれの場合でもビニルエステルの沸点
以上の状態で)に実施するのが好ましい。後続のけん化
工程においてアルコリシスの反応試剤として使用する低
級アルコールを本回収系に添加し、ビニルエステルモノ
マーと低級アルコール特にメタノールの共沸を利用して
ビニルエステル、たとえば酢酸ビニルモノマーの回収を
低温、常圧で実施するのも好ましい実施態様の1つであ
る。本回収系は撹拌槽形式、塔形式、薄膜蒸発器の利用
等により実施されるが、回収効率、設備投資、連続処理
への対応等の観点から塔形式、薄膜蒸発器の利用が好ま
しい。ビニルエステルモノマーの残存は後続のアルコリ
シス工程における着色要因とも成り得る為、モノマー回
収の処理を受けた溶液中の残存量は0.5wt%以下さ
らには0.2wt%以下程度までの低減が好ましい。
【0019】本発明により得られたEVAなどのエチレ
ン−ビニルエステル共重合体をけん化することによりエ
チレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)を得る
ことができるが、そのけん化方法としては、通常の方法
アルカリけん化、酸けん化いずれも採用出来るが、メタ
ノール溶媒中で苛性ソーダまたは、ナトリウムメチラー
トなどのアルカリを触媒としたけん化方法が最適であ
る。けん化反応の際のメタノール溶媒中には重合時に使
用したジメチルスルホキシドなどのジアルキルスルホキ
シドが含まれていても差し支えない。
【0020】以下実施例により本発明をさらに説明する
が、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0021】
【実施例】
実施例1 容量が3Lの撹拌機付き高圧オートクレーブに、ジメチ
ルスルホキシド(DMSO)(含水率0.1重量%)2
52g、酢酸ビニル(VAc)1009g(DMSO/
VAc=2/8、重量比)、アゾビスイソブチロニトリ
ル(AIBN)0.040重量%(対酢酸ビニル)を仕
込み、エチレン置換を充分行った後、反応温度60℃で
エチレン圧力を43kg/cm2Gとして5時間重合を
行った。重合終了後、重合液に1200gのDMSOを
加え未反応モノマーを蒸発除去(50mmHg以下、4
0℃)した。なお追出し開始直後の溶液の粘度は12ポ
イズ、追出し終了時の溶液の粘度は21ポイズであっ
た。さらに未反応モノマーを蒸発除去後の溶液を純水中
へ投入し、EVAを沈殿させた。水洗を行った後、さら
にポリマーを水中で加熱煮沸することにより、未反応モ
ノマーおよび溶媒を除去精製し、乾燥を充分に行い、重
合率50%で、エチレン含量32モル%のEVAを得
た。このEVA25gをメタノール(MeOH)100
gに溶解し、次いでこの溶液に10%−苛性ソーダ(N
aOH)メタノール溶液29.5g(NaOH/EVA
=0.2、モル比)を加えて、60℃に0.5時間保っ
た後、更に該NaOH溶液29.5gを加えて、2時間
60℃に保ちけん化反応を行った。ここに得られたポリ
マー溶液を酢酸水溶液中に投入し、析出沈殿させ、0.
5時間放置した。液切り後、更に0.5時間酢酸水溶液
中に侵し、最後に水道水中に0.5時間侵し放置した。
次に得られたポリマーを、粉砕し、充分乾燥し、EVO
Hを得た。
【0022】得られたEVOHのけん化度は、99.5
モル%で、[η]phは0.119l/gであった。一
方対照(比較例1)として、60℃で、メタノール24
3g、酢酸ビニル972g(MeOH/VAc=2/
8、重量比)、アゾビスイソブチロニトリル0.104
%(対酢酸ビニル)を仕込み、エチレン置換を充分に行
った後、反応温度60℃エチレン圧力を41kg/cm
2Gとして、5時間重合を行い、ジメチルスルホキシド
系の場合と同様の後処理を行い、重合率50%、エチレ
ン含量32モル%のEVAを得、更にジメチルスルホキ
シド系に準じた条件下でけん化反応を行うことによりけ
ん化度99.5モル%、[η]ph=0.097l/g
のEVOHを得た。なお、両者の重合系においては、反
応は常に均一な液相に保たれたまま進行することを、重
合途中のサンプリングした重合溶液の状態から確認し
た。これらの結果から、ジメチルスルホキシドを溶媒と
した溶液重合の場合、メタノール溶媒系で重合して得る
EVOHに比して極限粘度の高い重合体が得られること
が示唆される。
【0023】実施例2〜5 実施例1に準じた条件で、ジメチルスルホキシドの使用
量を変えて重合を行ない、得られたEVAを実施例1に
準じた条件下でけん化反応を行い、得られたEVOH
(エチレン含量32モル%、けん化度99.4〜99.
7モル%)の極限粘度を測定した。また、対照として、
ジメチルスルホキシドを用いない、塊状重合、メタノー
ル系での溶液重合を、ジメチルスルホキシドの系と同様
の組成で重合を行った(比較例2〜6)。なお重合は、
極限粘度低下の影響を見る為、全て、同一重合速度、重
合率にし、また、同一エチレン含量になる様にエチレン
圧力を設定した(表1、図1)。
【0024】
【表1】
【0025】表1からも分かる様に、ジメチルスルホキ
シド、メタノール溶媒いずれにおいても、溶剤組成が高
くなるほど、極限粘度の低下の割合は高くなっているこ
とが分かるが、図1より、ジメチルスルホキシドを溶媒
とした場合、同一組成のメタノール溶媒を使用して得ら
れる重合体(EVOH)よりも、極限粘度の高いものが
得られることが明らかである。なお比較例2の塊状重合
は重合系の内温が上昇傾向にあり、注意深い冷却操作を
必要とした。
【0026】実施例6〜8 重合開始剤として、2,2’−アゾビス−2,4−ジメ
チルバレロニトリル(AVN)を用いて、重合温度40
℃でジメチルスルホキシドの使用量を変えて、それ以外
は実施例1に準じて重合けん化を行った。なお、この場
合も、対照として、ジメチルスルホキシドを用いない塊
状重合、メタノール系での溶液重合を、ジメチルスルホ
キシドの系と同様の組成で重合し、極限粘度低下の影響
を見る為、全て、同一重合速度、重合率にし、また、同
一エチレン含量になる様に、エチレン圧力を設定した
(比較例7〜10)。重合条件と、結果を表2に示した
が、表1との比較から明らかなように、重合温度が低く
なっても、ジメチルスルホキシド溶媒組成が、得られる
EVOHの極限粘度の低下に及ぼす影響は、メタノール
系のそれに比して、非常に少ないことが明らかである。
なお、この場合も、実施例1〜5同様ジメチルスルホキ
シド系、メタノール系両方の重合系において、系は常に
均一な液相に保たれたまま、反応が進行することを確認
した(表2)。
【0027】
【表2】
【0028】実施例9 酢酸ビニル639g、ジメチルスルホキシド160g
(DMSO/VAc=2/8、重量比)、2,2’−ア
ゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル(AVN)
0.116%(対酢酸ビニル)を用い、反応温度50
℃、エチレン圧力を70kg/cm2Gとして、実施例
1に準じて重合を行った。重合中、各時間毎に重合液を
サンプリングし、重合禁止剤添加後赤外線乾燥機によ
り、蒸発乾固を行うことにより、固形分の経時変化を追
い、重合系の均一性を(EVA濃度の均一性、析出EV
Aの有無)調べた。また、サンプリング溶液の状態から
も均一性を確認した。上記条件設定下、重合時間6時間
で、重合率30%のEVAを得た。更に、重合後の溶液
を実施例1の方法に準じてけん化(NaOH/EVAc
=0.25、モル比、×2回、他の条件は実施例1に同
じ)、後処理を行い、エチレン含量60モル%、けん化
度99.5%、[η]ph=0.088l/gのEVO
Hを得た。固形分の経時変化を図2に示すが、直線が得
られることより、系が常に均一な状態で進行しているこ
とが分かる。また、サンプリング溶液の状態も、透明で
ポリマーの析出もなく均一であった。
【0029】対照として、ジメチルスルホキシドの代り
に、メタノールを用いた反応を、酢酸ビニル624g、
メタノール156g、AVN0.118%(対酢酸ビニ
ル)を用い、50℃、エチレン圧力62.5kg/cm
2Gの条件下に行った。メタノール系の場合も、ジメチ
ルスルホキシド系同様、重合時間6時間で、重合率30
%のEVAを得た。実施例9に準じたけん化反応後、エ
チレン含量60モル%、鹸化度99.5%、[η]ph
=0.075l/gのEVOHを得た。ジメチルスルホ
キシドの系同様、重合中の固形分の経時変化を追い、重
合系の均一性を調べた。結果を図2に併記したが、低重
合率からプロットがばらつき良好な直線関係は得られな
かった。また、サンプリングした溶液の状態は、白濁し
ていた。このことから、高エチレン含量のEVAの重合
の際、ジメチルスルホキシドを溶媒として用いた場合、
メタノール系と比較して、系が常に均一状態に保ったま
ま重合を進行させることができることが判る。
【0030】また、高エチレンタイプのポリマーの重合
の際にも、ジメチルスルホキシド溶媒組成が、得られる
EVOHの極限粘度の低下に及ぼす影響は、メタノール
系のそれに比して非常に少ないことが分かる。
【0031】実施例10〜11 実施例9において、ジメチルスルホキシドの使用量を変
え、それ以外は実施例9と同様にして重合けん化を行っ
た。対照として、メタノール系での溶液重合、塊状重合
も行った(比較例11〜14)。重合条件は、全て、同
一重合速度、重合率、同一エチレン含量になる様に設定
した。また、固形分の経時変化および溶液の状態から、
系内の均一性を調べた。結果を表3に示す。
【0032】
【表3】
【0033】表3から明らかな様に、ジメチルスルホキ
シド溶媒の場合メタノール溶媒と比較して、重合系が常
に均一状態を保ったまま反応が進行し、かつ極限粘度低
下の少ない重合体が得られることが分かる。
【0034】実施例12 酢酸ビニル1371g、ジメチルスルホキシド343
g、アゾビスイソブチロニトリル0.018%(対酢酸
ビニル)を用い、反応温度60℃、エチレン圧力を3.
5kg/cm2Gとして、それ以外は実施例1に準じて
重合を行い、重合時間4時間で、重合率40%、エチレ
ン含有率5モル%の重合体を得た。実施例1の方法に準
じてけん化(NaOH/EVAc=0.1、モル比、×
2回、他の条件は実施例1に同じ)後のEVOHの
[η]phは0.236l/gであった。また重合途中
のサンプリング溶液の状態も、透明でポリマーの析出も
なく均一であった。
【0035】実施例13 実施例1に準じて、重合した後のEVA溶液を、エチレ
ンパージ後、3Lセパラブルフラスコに移し、該溶液
に、ジメチルスルホキシド1360gを添加した後、5
0℃、減圧下(100mmHg以下)で系外へ残存モノ
マーを留出させた。なお追出し開始直後の溶液の粘度は
10ポイズ、追出し終了時の溶液の粘度は15ポイズで
あった。留出液中の酢酸ビニル量を測定し、留出液がジ
メチルスルホキシド100%の時点で留出を中止した。
留出中、留出後とも溶液の状態は均一であった。
【0036】実施例14〜18 実施例1に準じた条件で、ジメチルスルホキシド、酢酸
ビニルを等量(DMSO/VAc=5/5,重量比)仕
込み、エチレン圧力を変化させて同一重合速度、重合率
になるよう開始剤量を調整して重合を行い、得られたE
VAを実施例1に準じた条件下でけん化反応を行い得ら
れたEVAを実施例1に準じた条件下でけん化反応を行
い得られた各種エチレン含量のEVOH(けん化度9
9.4〜99.7モル%)の極限粘度を測定した。ま
た、対照として、ジメチルスルホキシドを用いない、メ
タノール系での溶液重合を、ジメチルスルホキシドの系
と同様の組成で重合を行った(比較例15〜19)。な
お、重合は、極限粘度低下の影響を見る為、全て、同一
重合速度、重合率にし、また、同一エチレン含量になる
様にエチレン圧力を設定した(表4,図3)。図3から
も分かるように、エチレン含量が高くなっても、ジメチ
ルスルホキシドを溶媒とした溶液重合の場合、メタノー
ル溶媒系で重合して得るEVOHに比して極限粘度の高
い重合体が得られる
【0037】
【表4】
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、広範なエチレン含量を
有するEVAを得ることができるし、さらにまた重合系
は実質的に均一な液相に保たれているので得られるEV
Aおよびそれをけん化して得られるEVOHの品質も均
一である。また残存モノマーの回収も、容易である。さ
らにまたメタノールを用いた溶液重合にくらべ重合度の
高いEVAを得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2〜5および比較例2〜6における、溶
媒量(重量%)を横軸にし、EVOHの極限粘度(l/
g)を縦軸とするグラフである。
【図2】実施例9および比較例13における、重合時間
(hr)(誘導期は除く)を横軸にし、重合液をサンプ
リングし、蒸発乾固して得たEVAの固形分の濃度(重
合液に対する重量%)を縦軸とするグラフである。
【図3】実施例14〜18および比較例15〜19にお
ける、エチレン含量(モル%)を横軸にし、EVOHの
極限粘度(l/g)を縦軸とするグラフである。
【符号の説明】
1 実施例2〜5(ジメチルスルホキシドを用いた溶液
重合) 2 比較例2(塊状重合)、比較例3〜6(メタノール
を用いた溶液重合) 3 実施例9(ジメチルスルホキシドを用いた溶液重
合) 4 比較例13(メタノールを用いた溶液重合) 5 実施例14〜18(ジメチルスルホキシドを用いた
溶液重合) 6 比較例15〜19(メタノールを用いた溶液重合)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 克巳 岡山市海岸通1丁目2番1号 株式会社ク ラレ内 (72)発明者 青山 明正 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 守谷 健 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレンおよびビニルエステルをラジカ
    ル開始剤の存在下に共重合するに際し、重合溶媒として
    ジアルキルスルホキシドを使用することを特徴とするエ
    チレン−ビニルエステル共重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 重合系が液相で、かつ粘度が500ポイ
    ズ以下に保たれた状態で、重合系から残存モノマーを留
    出除去する請求項1記載のエチレン−ビニルエステル共
    重合体の製造方法。
JP2736092A 1991-01-18 1992-01-17 エチレン−ビニルエステル共重合体の製造方法 Pending JPH0578403A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012211317A (ja) * 2011-03-30 2012-11-01 Kuraray Co Ltd エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の製造方法、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂及び多層構造体

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JP2012211317A (ja) * 2011-03-30 2012-11-01 Kuraray Co Ltd エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の製造方法、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂及び多層構造体

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