JPH11147914A - ポリビニルアルコール樹脂 - Google Patents

ポリビニルアルコール樹脂

Info

Publication number
JPH11147914A
JPH11147914A JP9315558A JP31555897A JPH11147914A JP H11147914 A JPH11147914 A JP H11147914A JP 9315558 A JP9315558 A JP 9315558A JP 31555897 A JP31555897 A JP 31555897A JP H11147914 A JPH11147914 A JP H11147914A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vinyl ester
molecular weight
iodine
polyvinyl alcohol
polymerization
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP9315558A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3739195B2 (ja
Inventor
Naoki Ueda
直樹 植田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP31555897A priority Critical patent/JP3739195B2/ja
Publication of JPH11147914A publication Critical patent/JPH11147914A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3739195B2 publication Critical patent/JP3739195B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F8/00Chemical modification by after-treatment
    • C08F8/12Hydrolysis

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 一次構造が精密に制御されたポリビニルアル
コール樹脂を提供する。 【解決手段】 炭素数3〜20のビニルエステル系単量
体を重合させて得られるビニルエステル系重合体がケン
化されてなるポリビニルアルコール樹脂であって、該ビ
ニルエステル系重合体の分子量分布(重量平均分子量/
数平均分子量)が1.05〜1.9である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリビニルアルコ
ール樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリビニルアルコールは、ビ
ニロン繊維、経糸糊、製紙用コーティング剤、食料・農
業・薬品・工業用各種フィルム、乳化剤、保護コロイド
等に用いられている。さらに、ポリビニルアルコールを
変性して得られる樹脂のうち、ブチルアルデヒドを用い
てアセタール化して得られるポリビニルブチラールは、
安全ガラス用中間膜、接着剤、バインダー、相溶化剤等
として、ホルムアルデヒドでホルマール化して得られる
ポリビニルホルマールは、エナメル電線用ワニス、金属
塗装、接着剤、塗料等として、それぞれ用いられてい
る。
【0003】ポリビニルアルコール樹脂は、工業的には
主にポリ酢酸ビニルをケン化することにより生産されて
おり、ポリ酢酸ビニルはラジカル重合によって得られ
る。しかしながら、通常のラジカル重合では、副反応が
多く起こるため、分子量、分子量分布、末端基の制御は
困難であった。
【0004】このため、分子量分布を制御することによ
って期待される、結晶性、力学的強度、流動特性、熱安
定性、他の樹脂との相溶性、可塑化効率、分散安定性等
の改善、分子量分布を狭くして低分子量成分を少なくす
ることによって期待される、接着性、力学的特性、流動
特性、動的粘弾特性、相溶性等の改善、さらに、末端官
能性ポリマーの反応性を利用したマクロモノマーの合
成、架橋点としての利用、ブロックポリマーの合成は達
成されていなかった。
【0005】例えば、ベンジルビニルエーテル、t−ブ
チルビニルエーテル、ビニルトリメチルシリルエーテル
等のビニルエーテルをリビングカチオン重合させること
により、分子量分布の狭いポリマーを得て、ポリビニル
アルコールに誘導する試みがなされているが、この方法
では微量の水分でも重合の制御が妨げられるうえに、モ
ノマーや触媒のコストが高く、重合温度を−20℃〜7
8℃と低くする必要があり、まだ工業的に利用されるま
でに至っていない。
【0006】また、ある特定の連鎖移動定数をもつ溶媒
を用い、酢酸ビニルを逐次仕込みながら超低分子量のポ
リ酢酸ビニルを経てケン化することにより、低分子量で
分子量分布が狭いポリビニルアルコール樹脂を得る方法
が、特公平7−13094号公報に開示されているが、
操作が煩雑であり、分子量分布も十分なレベルではな
く、数平均分子量(Mn)が13200以下と低いポリ
マーしか得られていない。
【0007】また、ポリビニルアルコールを溶解法を用
いて分別して分子量分布の狭い樹脂を得る試みがなされ
ているが、操作が煩雑で収率が低く、工業的には実施が
困難であった(特開昭51−125154号公報)。さ
らに、ポリ酢酸ビニル等のビニルエステル系重合体で
は、酢酸基のメチル基への連鎖移動反応が起こり易く、
重合の進行に伴い分岐したポリマーが得られることが知
られている。側鎖へ分岐したポリ酢酸ビニルをケン化し
て、ポリビニルアルコール樹脂を得ると、原料のポリ酢
酸ビニルと比較して重合度の低下は避けられなかった。
【0008】上記技術上の問題点を解決する手段とし
て、ポリビニルアルコール樹脂の原料となる酢酸ビニル
のリビングラジカル重合が考えられるが、酢酸ビニルの
場合は、連鎖移動が起こり易く、さらに、生長ラジカル
が不安定であるため、副反応が起こり易く、まだ実現さ
れていない。
【0009】例えば、特開平7−126322号公報に
は、炭素−ヨウ素結合を有するヨウ素化合物及びラジカ
ル重合開始剤の存在下で、スチレン系単量体を重合させ
ることにより、比較的狭い分子量分布を有する重合体を
得る方法が開示されている。しかしながら、ビニル系エ
ステルに関する示唆はなく、且つ、余り高分子量のポリ
マーは得られず、高分子材料として物性を発現するもの
を得ることは困難であった。また、同様の方法が、Macr
omolecules 1995,28,8051-8056に記載されており、スチ
レン単量体とアクリレート単量体では、ある程度制御さ
れたポリマーが得られることが示されているが、酢酸ビ
ニル単量体についてはポリマーが得られていないとの報
告がある。
【0010】上記酢酸ビニル単量体のリビングラジカル
重合に関して、Macromolecules 27,645-649 には、トリ
イソブチルアルミニウム、2,2'-ビピリジル及び2,
2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニロキシ(T
EMPO)の3成分からなる触媒系でリビングラジカル
重合が可能であるとの記載がある。しかしながら、空
気、水分に対して不安定な金属錯体を触媒系として用い
ることが必要であり、工業的には不適であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
問題点を解消し、その目的は、一次構造が精密に制御さ
れたポリビニルアルコール樹脂を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリビニルア
ルコール樹脂の一次構造を精密に制御することを目的と
して鋭意検討する中で、ある特定のヨウ素化合物を通常
のラジカル重合の系に添加することにより、得られたポ
リビニルエステル系重合体の分子量分布が狭いこと、さ
らには、ケン化して得られるポリビニルアルコール樹脂
の分子量分布が狭いこと、また、ケン化後においても重
合度の低下がほとんどないことを見いだし、本発明を完
成するに至った。
【0013】本発明の請求項1記載の発明(以下、第1
発明という)であるポリビニルアルコール樹脂は、炭素
数3〜20のビニルエステル系単量体を重合させて得ら
れるビニルエステル系重合体がケン化されてなるポリビ
ニルアルコール樹脂であって、該ビニルエステル系重合
体の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が
1.05〜1.9であることを特徴とする。
【0014】本発明の請求項2記載の発明(以下、第2
発明という)であるポリビニルアルコール樹脂は、ビニ
ルエステル系単量体にヨウ素化合物を添加し、ラジカル
重合させて得られるビニルエステル系重合体がケン化さ
れてなるものである。
【0015】以下、本発明について説明する。本発明で
用いられるビニルエステル系重合体は、炭素数3〜20
のビニルエステル系単量体を重合することにより得られ
る。上記ビニルエステル系単量体の炭素数は、多くなる
と反応性が低下するので、上記範囲に限定される。
【0016】上記炭素数が3〜20のビニルエステル系
単量体としては、例えば、酢酸ビニル、蟻酸ビニル、プ
ロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、n−カプロン酸ビニ
ル、イソカプロン酸ビニル、オクタン酸ビニル、ラウリ
ン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニ
ル、トリメチル酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、トリク
ロロ酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、安息香酸ビ
ニル等が挙げられ、これらは単独で用いられてもよく、
二種以上が併用されてもよい。これらの中でも、特に酢
酸ビニルは、工業的に広く用いられているので好適であ
る。
【0017】上記ビニルエステル系重合体は、例えば、
ビニルエステル系単量体にヨウ素化合物を添加してラジ
カル重合させることにより得られる。
【0018】上記ヨウ素化合物としては、分子中に炭素
−ヨウ素結合、水素−ヨウ素結合及びハロゲン−ヨウ素
結合の中から選ばれる1種以上の結合を有する化合物を
用いることが好ましい。
【0019】上記分子中に炭素−ヨウ素結合をもつ化合
物としては、ヨウ化アルキル、ヨウ化パーフルオロアル
キル、ヨウ化水素とアルケンとの付加体、ヨウ化フェニ
ル等が挙げられる。
【0020】上記ヨウ化アルキルとしては、例えば、ヨ
ードメタン、ヨードエタン、ヨードプロパン、ヨードブ
タン、ジヨードメタン、1,2−ジヨードエタン、ヨー
ドホルム、クロロヨードメタン、ヨードアセトニトリ
ル、ヨード酢酸等が挙げられる。上記ヨウ化パーフルオ
ロアルキルとしては、例えば、ヨードパーフルオロプロ
パン、1−ヨードパーフルオロヘキサン、1−ヨードパ
ーフルオロオクタン、1,2−ジヨードパーフルオロエ
タン、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、1,6−
ジヨードパーフルオロヘキサン等が挙げられる。
【0021】上記ヨウ化水素とアルケンとの付加体に用
いられるアルケンとしては、例えば、酢酸ビニルを代表
とするビニルエステル系モノマー、イソブチルビニルエ
ーテル等の種々のビニルエーテルモノマー、スチレン系
モノマーなどが挙げられる。上記ヨウ化水素とアルケン
との付加体の合成例は、無水のヨウ化水素をアルケンと
低温で混合する方法が挙げられる。
【0022】上記ヨウ化フェニルとしては、例えば、ヨ
ードベンゼン、2−ヨードエチルベンゼン等が挙げられ
る。
【0023】上記分子中に水素−ヨウ素結合を有するヨ
ウ素化合物としては、例えば、ヨウ化水素等が挙げら
れ、また、上記分子中にハロゲン−ヨウ素結合を有する
ヨウ素化合物としては、例えば、一塩化ヨウ素、三塩化
ヨウ素、一臭化ヨウ素等が挙げられる。
【0024】上記ヨウ素化合物の好ましい例としては、
ヨードホルム、ジヨードメタン、ヨードアセトニトリル
等のヨウ化アルキル;1−ヨードパーフルオロヘキサ
ン、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、1,6−ジ
ヨードパーフルオロヘキサン等のヨウ化パーフルオロア
ルキル;ヨウ化水素とアルケンとの付加体;ヨウ化水素
等が挙げられる。さらに、1分子中にヨウ素原子を2個
以上有する化合物、例えば、ヨードホルム、ジヨードメ
タン、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、1,6−
ジヨードパーフルオロヘキサン等は、分子量制御の点で
特に好ましい。
【0025】上記ヨウ素化合物は、単独で用いられても
よく、2種以上が併用されてもよい。
【0026】上記ヨウ素化合物の使用量は、得ようとす
るビニルエステル系重合体の分子量に応じて適宜決定す
ることができるが、少なすぎると重合体の構造を制御す
ることができず、多すぎると重合体を得ることができな
くなるため、ビニルエステル系単量体1モルに対して、
0.0001〜0.2モルが好ましく、より好ましくは
0.0002〜0.1モルである。添加方法は、特に限
定されないが、分子量分布の制御と操作の簡便性の観点
から、重合の開始前に添加することが好ましい。
【0027】上記ラジカル重合反応させる方法として
は、通常のラジカル重合開始剤の使用;光重合開始剤の
使用と光の照射;放射線、レーザー光、光等の照射;加
熱などが挙げられる。特に、工業的にはラジカル重合開
始剤の使用が好ましく、ラジカル重合開始剤としては、
ラジカルを発生し、ビニルエステル系単量体、ヨウ素化
合物と反応し、重合を開始させるものであれば、特に制
限はなく、熱、光、放射線、酸化還元化学反応等の作用
によって、ラジカルを発生する化合物から選ばれる。
【0028】具体的には、アゾビスイソブチロニトリル
(AIBN)、アゾビスイソ酪酸エステル、次亜硝酸エ
ステル等のアゾ化合物;過酸化ベンゾイル(BPO)、
過酸化ラウロイル、ジクミルパーオキサイド、ジベンゾ
イルパーオキサイド等の有機過酸化物;過硫酸カリウ
ム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物;過酸化水素
−第1鉄系、BPO−ジメチルアニリン系、セリウム
(IV)塩−アルコール系等のレドックス重合開始剤など
が挙げられる。これらの中で、特に、AIBN、BPO
等が好ましい。また、光重合の場合、アセトフェノン
系、ベンゾインエーテル系、ケタール系等の光重合開始
剤を添加してもよい。
【0029】ラジカル重合開始剤は、相互作用によって
重合反応へ悪影響を及ぼさない範囲で、2種以上が併用
されてもよい。また、熱の作用により予めある程度まで
重合を進行させた後で、光により重合を完了させるなど
の組合わせを用いることができる。
【0030】ラジカル重合開始剤の使用量は、重合を開
始させることができれば、特に限定されないが、使用す
るヨウ素化合物1モルに対して、0.02〜20モルが
好ましく、より好ましくは0.05〜10モル、特に好
ましくは0.1〜5モルである。また、使用するビニル
エステル系単量体1モルに対して、0.00005〜
0.5モルが好ましく、より好ましくは0.0001〜
0.2モルである。ラジカル重合開始剤の使用量が、少
なくなると重合反応が遅く重合率が低くなり、多くなる
と重合反応を制御することが難しくなるからである。
【0031】重合温度は、ラジカル重合の種類によって
異なり、特に制限はないが、−30℃〜120℃が好ま
しく、より好ましくは0℃〜100℃である。重合圧力
は、通常、常圧で行われるが、加圧することも可能であ
る。
【0032】重合方法としては、従来公知の方法であ
る、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等が用い
られる。特に連鎖移動を抑えてより良好に制御された重
合体を得るためには、塊状重合が好ましい。また、押出
機を用いた連続重合も使用可能である。また、溶液重合
の溶媒には、アルコール、トルエン、ベンゼン等を用い
ることができるが、ビニルエステル系単量体の重合に際
して連鎖移動定数が比較的小さく、ポリマーの溶解性に
も優れるためベンゼンを用いることが好ましい。
【0033】上記ビニルエステル系単量体の添加は、重
合溶液に最初から全量添加されてもよく、重合の進行に
伴い逐次添加されてもよい。
【0034】上記ラジカル重合で得られるビニルエステ
ル系重合体の分子量は、ヨウ素化合物の濃度によって調
節可能であり、特に制限されるものではないが、ビニル
エステル系重合体で換算すると、数平均分子量500〜
数十万が好ましく、より好ましくは数平均分子量100
0〜20万である。本発明では、従来の技術では困難で
あった、低分子から高分子に渡る広い分子量分布に渡っ
て、かつ分子量分布が狭い重合体を容易に得ることがで
きる。
【0035】上記で得られたビニルエステル系重合体
を、常法によって、一部又は全体をケン化することによ
り、ポリビニルアルコール樹脂、部分ケン化ポリビニル
アルコール樹脂を得ることができる。
【0036】ケン化する方法には、大きく分けてアルカ
リケン化法と酸ケン化法とがあり、いずれの方法も使用
可能であるが、好ましくは、ビニルエステル系重合体を
メタノール等のアルコールに溶解させ、水酸化ナトリウ
ムやナトリウムメチラート等を添加するアルカリケン化
法である。また、場合により、ケン化とアセタール化反
応を同時に行うことも可能である。
【0037】上記ビニルエステル系重合体の開始末端と
してヨウ素化合物由来のアルキル基、パーフルオロアル
キル基、フェニル基等が、また、生長末端としてヨウ素
が確認されている。従って、官能基を有するヨウ素化合
物を重合時に用いることにより、重合体の末端に官能基
を導入することができる。また、末端の官能基やヨウ素
の反応性を利用して、他の官能基へ変換することが可能
である。これら末端官能性重合体は、マクロモノマーの
合成原料、架橋点としての利用、相溶化剤、ブロックポ
リマーの原料等として用いることができる。
【0038】本発明で得られたビニルエステル系重合体
の安定性を向上させるために、重合停止時に重合系へメ
タノール、アンモニア性メタノール、リチウムボロハイ
ドライド等を添加することによって、重合体の生長末端
に存在するヨウ素を脱離させてもよい。また、イソペン
タン等の存在下で紫外線を照射することにより、ビニル
エステル系重合体の生長末端のヨウ素を水素で安定化し
てもよい。
【0039】上記ビニルエステル系重合体を得た後、さ
らに他のモノマーを重合系に添加して重合させることに
より、ブロック共重合体を得ることも可能である。異種
のビニルエステル系単量体をブロック化することも、ビ
ニルエステル系単量体と、スチレン系、アクリル系やメ
タクリレート系の単量体やエチレン等とのブロック化を
行うことも可能である。
【0040】本発明では、重合に関与しうるヨウ素が複
数個入ったヨウ素化合物を使用することや、重合後期に
ジビニルモノマーを少量添加して架橋反応を行わせるこ
とにより、多分岐ポリマーを得ることもができる。さら
に、得られたポリビニルアルコール樹脂が保有する水酸
基の反応性、水素結合能等を利用して種々のポリマーへ
変換したり、相溶化剤などとして用いることができる。
特に、常法によりアセタール化することにより、ポリビ
ニルアセタール樹脂を得ることができる。
【0041】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施例を説明する。 (実施例1〜4、比較例1)酢酸ビニル単量体に、ヨウ
素化合物及びラジカル重合開始剤を加え、さらにn−ヘ
プタンを、表1に示した濃度となるように加えて均一に
混合した後、耐熱ガラス製試験管に分注、溶封して、表
1に示した所定温度に保って重合を行った。所定時間重
合させた後、重合液を−78℃に冷却して重合を停止さ
せた。次いで、重合液をトルエンで希釈し、n−ヘキサ
ンへ投入して沈殿させた後、得られた沈殿物を数回洗浄
し、室温で減圧乾燥することによりポリ酢酸ビニルを得
た。得られたポリ酢酸ビニルをメタノールに溶解し、触
媒量の水酸化ナトリウムを添加した後、常法によりアル
カリケン化し、ポリビニルアルコール樹脂を得た。尚、
上記モノマー、溶媒等は、断りのない限り、蒸留精製に
より重合禁止剤、不純物を取り除いた後、脱酸素処理し
て使用した。
【0042】上記実施例及び比較例で得られた、ポリ酢
酸ビニル及びポリビニルアルコール樹脂につき、下記の
測定を行い、その測定結果を表1に示した。 (1)重合率 n−ヘプタンを内部標準として、ガスクロマトグラフィ
ーにより測定した。 ガスクロマトグラフィー:島津製作所「GC」、カラ
ム:PEG1500
【0043】(2)ポリ酢酸ビニルの分子量及び分子量
分布 数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に
より、ポリスチレン換算で測定した。上記Mn及びMw
の測定値から、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。 GPC:東ソー社製「LS8000システム」 カラム:昭和電工社製ポリスチレンゲル「KF−805
L」 溶媒:クロロホルム、流速:1ml/分
【0044】(3)ポリビニルアルコール樹脂の分子量
及び分子量分布 ポリビニルアルコール樹脂を常法により再アセチル化し
て得られたポリ酢酸ビニルにつき、(2)と同様GPC
により測定した。
【0045】(4)熱重量測定 熱重量測定の重量減少開始温度を、JIS K7120
に準拠して、セイコー電子工業社製「TG/DTA22
0」を使用して測定した。 流入ガス:空気、200ml/分、加熱温度:10℃/
分 尚、市販ポリビニルアルコールの熱重量測定は、クラレ
社製「PVA117」が282℃、クラレ社製「PVA
108」が278℃であり、本発明品が良好な結果を示
すことが確認された。
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】本発明は、上述の構成であり、一次構造
が精密に制御されたポリビニルアルコール樹脂を提供す
る。即ち、分子量分布が狭いポリビニルアルコール樹
脂、分子の末端が制御されたポリビニルアルコール樹
脂、ポリビニルアルコール樹脂のブロック共重合体、ポ
リビニルアルコール樹脂を変性したポリビニルアセター
ル樹脂等の誘導体を工業的に簡便な方法で得ることがで
きる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素数3〜20のビニルエステル系単量
    体を重合させて得られるビニルエステル系重合体がケン
    化されてなるポリビニルアルコール樹脂であって、該ビ
    ニルエステル系重合体の分子量分布(重量平均分子量/
    数平均分子量)が1.05〜1.9であることを特徴と
    するポリビニルアルコール樹脂。
  2. 【請求項2】 ビニルエステル系単量体にヨウ素化合物
    を添加し、ラジカル重合させて得られるビニルエステル
    系重合体がケン化されてなるポリビニルアルコール樹
    脂。
  3. 【請求項3】 ヨウ素化合物が、分子中に炭素−ヨウ素
    結合、水素−ヨウ素結合及びハロゲン−ヨウ素結合の中
    から選ばれる1種以上の結合を有する化合物であること
    を特徴とする請求項2記載のポリビニルアルコール樹
    脂。
  4. 【請求項4】 ビニルエステル系単量体が酢酸ビニルで
    あることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記
    載のポリビニルアルコール樹脂。
JP31555897A 1997-11-17 1997-11-17 ポリビニルアルコール樹脂の製造方法 Expired - Fee Related JP3739195B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31555897A JP3739195B2 (ja) 1997-11-17 1997-11-17 ポリビニルアルコール樹脂の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31555897A JP3739195B2 (ja) 1997-11-17 1997-11-17 ポリビニルアルコール樹脂の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11147914A true JPH11147914A (ja) 1999-06-02
JP3739195B2 JP3739195B2 (ja) 2006-01-25

Family

ID=18066800

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31555897A Expired - Fee Related JP3739195B2 (ja) 1997-11-17 1997-11-17 ポリビニルアルコール樹脂の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3739195B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005054310A2 (de) * 2003-12-04 2005-06-16 Celanese Ventures Gmbh Neue poly(vinylester)- und poly(vinylalkohol)-copolymere und deren verwendung
JP2006052259A (ja) * 2004-08-10 2006-02-23 Kuraray Co Ltd 分子量規制されたシンジオタクチシチーに富むポリビニルアルコールの製造方法
JP2007308665A (ja) * 2006-05-22 2007-11-29 Kuraray Co Ltd 分子量規制されたポリビニルエステルおよびポリビニルアルコールの製造方法
JP2015083688A (ja) * 2008-07-28 2015-04-30 大日精化工業株式会社 水性顔料分散液、および使用
CN106220759A (zh) * 2016-08-26 2016-12-14 四川东材科技集团股份有限公司 一种胶片用聚乙烯醇缩丁醛树脂及其合成方法
WO2017170974A1 (ja) * 2016-03-31 2017-10-05 株式会社クラレ ポリビニルアルコール及びその製造方法
KR20180132749A (ko) 2016-03-31 2018-12-12 주식회사 쿠라레 폴리비닐알코올
WO2019013267A1 (ja) 2017-07-11 2019-01-17 株式会社クラレ ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコールの製造方法
JP2019066533A (ja) * 2017-09-28 2019-04-25 株式会社クラレ 光学フィルム製造用原反フィルム及びそれを用いた光学フィルムの製造方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8524831B2 (en) * 2009-03-31 2013-09-03 Kuraray Co., Ltd. Polyvinyl alcohol polymer and method for producing the same

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0539319A (ja) * 1991-08-03 1993-02-19 Sony Corp 芳香族カルボン酸ビニルエステル重合体およびその製造方法
JPH07126322A (ja) * 1993-11-05 1995-05-16 Mitsubishi Chem Corp スチレン系重合体の製造方法
JPH08501821A (ja) * 1992-09-25 1996-02-27 イー・アイ・デユポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー フルオロモノマー重合用のヨウ素含有連鎖移動剤
WO1997013792A1 (en) * 1995-10-06 1997-04-17 Commonwealth Scientific And Industrial Research Organisation Control of molecular weight and end-group functionality in polymers

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0539319A (ja) * 1991-08-03 1993-02-19 Sony Corp 芳香族カルボン酸ビニルエステル重合体およびその製造方法
JPH08501821A (ja) * 1992-09-25 1996-02-27 イー・アイ・デユポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー フルオロモノマー重合用のヨウ素含有連鎖移動剤
JPH07126322A (ja) * 1993-11-05 1995-05-16 Mitsubishi Chem Corp スチレン系重合体の製造方法
WO1997013792A1 (en) * 1995-10-06 1997-04-17 Commonwealth Scientific And Industrial Research Organisation Control of molecular weight and end-group functionality in polymers

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005054310A2 (de) * 2003-12-04 2005-06-16 Celanese Ventures Gmbh Neue poly(vinylester)- und poly(vinylalkohol)-copolymere und deren verwendung
WO2005054310A3 (de) * 2003-12-04 2005-08-04 Celanese Ventures Gmbh Neue poly(vinylester)- und poly(vinylalkohol)-copolymere und deren verwendung
JP2006052259A (ja) * 2004-08-10 2006-02-23 Kuraray Co Ltd 分子量規制されたシンジオタクチシチーに富むポリビニルアルコールの製造方法
JP2007308665A (ja) * 2006-05-22 2007-11-29 Kuraray Co Ltd 分子量規制されたポリビニルエステルおよびポリビニルアルコールの製造方法
JP2015083688A (ja) * 2008-07-28 2015-04-30 大日精化工業株式会社 水性顔料分散液、および使用
JP5733608B2 (ja) * 2008-07-28 2015-06-10 大日精化工業株式会社 高分子分散剤の製造方法
US9120948B2 (en) 2008-07-28 2015-09-01 Dainichiseika Color & Chemicals Mfg. Co., Ltd. Process for producing block polymer, coated pigment and aqueous pigment dispersion
WO2017170974A1 (ja) * 2016-03-31 2017-10-05 株式会社クラレ ポリビニルアルコール及びその製造方法
KR20180132749A (ko) 2016-03-31 2018-12-12 주식회사 쿠라레 폴리비닐알코올
JPWO2017170974A1 (ja) * 2016-03-31 2019-02-07 株式会社クラレ ポリビニルアルコール及びその製造方法
US10766978B2 (en) 2016-03-31 2020-09-08 Kuraray Co., Ltd. Polyvinyl alcohol and method for producing same
US11111319B2 (en) 2016-03-31 2021-09-07 Kuraray Co., Ltd. Polyvinyl alcohol
CN106220759A (zh) * 2016-08-26 2016-12-14 四川东材科技集团股份有限公司 一种胶片用聚乙烯醇缩丁醛树脂及其合成方法
CN106220759B (zh) * 2016-08-26 2019-03-15 四川东材科技集团股份有限公司 一种胶片用聚乙烯醇缩丁醛树脂及其合成方法
WO2019013267A1 (ja) 2017-07-11 2019-01-17 株式会社クラレ ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコールの製造方法
US11261270B2 (en) 2017-07-11 2022-03-01 Kuraray Co., Ltd. Polyvinyl alcohol and method for producing polyvinyl alcohol
JP2019066533A (ja) * 2017-09-28 2019-04-25 株式会社クラレ 光学フィルム製造用原反フィルム及びそれを用いた光学フィルムの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3739195B2 (ja) 2006-01-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4086961B2 (ja) グラフトポリマー
JP6913907B2 (ja) ポリビニルアルコールの製造方法
JP6934469B2 (ja) ポリビニルアルコール
JP7149537B2 (ja) ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコールの製造方法
TW593354B (en) Dispersion stabilizer for suspension polymerization of vinyl compound
JP3739195B2 (ja) ポリビニルアルコール樹脂の製造方法
WO2018117246A1 (ja) ポリビニルアルコール系樹脂、分散剤及び懸濁重合用分散剤
JPH0674304B2 (ja) ポリビニルアルコール系重合体を一成分とするブロツク共重合体の製法
KR102310659B1 (ko) 현탁중합반응을 위한 2차 현탁제
JPH11255827A (ja) ポリビニルアセタール樹脂及びこれを用いた合わせガラス用中間膜
JP6875608B1 (ja) ビニルアルコール系ブロック共重合体及びその製造方法
JP3377916B2 (ja) ビニルエステル系重合体及びその製造方法
JP3779254B2 (ja) ビニルエステル系重合体の製造方法
JP4377299B2 (ja) 分子量規制されたシンジオタクチシチーに富むポリビニルアルコールの製造方法
EP1363958B1 (en) Preparation of vinyl aromatic-allylic alcohol copoylmers
TWI836106B (zh) 乙烯醇系嵌段共聚物及其製造方法
JP3033915B2 (ja) チオール基を有する重合体の製法
US20240174785A1 (en) Method for producing polymer, composition for radical polymerization, and radical polymerization inhibitor
JPH11171926A (ja) ビニルエステル系重合体及びその製造方法
JP3487095B2 (ja) スチレン系重合体の製造方法
JP2000086710A (ja) アクリル系共重合体の製造方法
JPWO2018199158A1 (ja) ビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤及びその製造方法、並びにビニル系樹脂の製造方法
JPH0148923B2 (ja)
JPH01113413A (ja) 塩化ビニル系重合体の製造法
JPH03174426A (ja) ポリビニルアルコール系マクロモノマー単位を含有する重合体

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050425

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050427

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050601

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20051012

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20051101

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees