JPH0559116A - エチレン−ビニルアルコール共重合体の製造方法 - Google Patents
エチレン−ビニルアルコール共重合体の製造方法Info
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- JPH0559116A JPH0559116A JP4027362A JP2736292A JPH0559116A JP H0559116 A JPH0559116 A JP H0559116A JP 4027362 A JP4027362 A JP 4027362A JP 2736292 A JP2736292 A JP 2736292A JP H0559116 A JPH0559116 A JP H0559116A
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Abstract
(57)【要約】
【効果】 アルコリシスの反応速度は、低級アルコール
単独の溶媒系に比較して増大し、さらにまたアルコール
反応系は実質的に均一な液相に保たれているので、得ら
れるエチレン−ビニルアルコール共重合体の品質も均一
である。 【構成】 エチレン−ビニルエステル共重合体のアルコ
リシスによりエチレン−ビニルアルコール共重合体を製
造するに際し、溶媒としてジアルキルスルホキシドを使
用し、液相でアルコリシスするエチレン−ビニルアルコ
ール共重合体の製造方法。
単独の溶媒系に比較して増大し、さらにまたアルコール
反応系は実質的に均一な液相に保たれているので、得ら
れるエチレン−ビニルアルコール共重合体の品質も均一
である。 【構成】 エチレン−ビニルエステル共重合体のアルコ
リシスによりエチレン−ビニルアルコール共重合体を製
造するに際し、溶媒としてジアルキルスルホキシドを使
用し、液相でアルコリシスするエチレン−ビニルアルコ
ール共重合体の製造方法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エチレン−ビニルエス
テル共重合体をけん化して得られるエチレン−ビニルア
ルコール共重合体の製造法に関し、さらに詳しくは、エ
チレン−ビニルエステル共重合体のアルコリシスにおい
て、溶媒としてジアルキルスルホキシドを使用し、液状
でアルコリシスするエチレン−ビニルアルコール共重合
体の製造方法に関する。
テル共重合体をけん化して得られるエチレン−ビニルア
ルコール共重合体の製造法に関し、さらに詳しくは、エ
チレン−ビニルエステル共重合体のアルコリシスにおい
て、溶媒としてジアルキルスルホキシドを使用し、液状
でアルコリシスするエチレン−ビニルアルコール共重合
体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エチレン−ビニルアルコール共重合体
は、エチレン含有量25〜45モル%、極限粘度、
[η]ph=0.099〜0.110リットル/グラム
(以下リットル/グラムをl/gと記す)(15重量%
含水フェノール、30℃で測定)を中心した共重合体
が、該共重合体の高度なガスバリヤー性の特徴を生かし
て、食品包装容器、油類の包装容器および油類と接触す
る部品などを中心に使用され、食生活の変化とも相俟っ
て需要量の大幅な拡大が認められる。エチレン含有率が
25モル%未満のエチレン−ビニルアルコール共重合体
はポリビニルアルコール共重合体の耐水性、吸水性、膨
潤性等の改良された製品として、また45モル%以上の
エチレン含有量を有するエチレン−ビニルアルコール共
重合体は、柔軟性が良好で成型性に優れるエチレン−ビ
ニルアルコール樹脂としての展開等が期待される。さら
にエチレン含有量が25〜45モル%で[η]ph0.
099〜0.110l/gを越えるエチレン−ビニルア
ルコール共重合体は、耐久性、機械的強度が改良された
製品として各種用途分野での性能向上に資することが期
待される。以上の如く、従来公知のエチレン含有量よ
り、低エチレン含有量または高エチレン含有量のエチレ
ン−ビニルアルコール共重合体、また従来公知の重合度
より高重合度のエチレン−ビニルアルコール共重合体
は、従来のエチレン含有量および重合度の共重合体にお
いては達成し得ない優れた性能を発揮する可能性を有し
ており、その安価かつ合理的な製造方法の開発が望まれ
る。
は、エチレン含有量25〜45モル%、極限粘度、
[η]ph=0.099〜0.110リットル/グラム
(以下リットル/グラムをl/gと記す)(15重量%
含水フェノール、30℃で測定)を中心した共重合体
が、該共重合体の高度なガスバリヤー性の特徴を生かし
て、食品包装容器、油類の包装容器および油類と接触す
る部品などを中心に使用され、食生活の変化とも相俟っ
て需要量の大幅な拡大が認められる。エチレン含有率が
25モル%未満のエチレン−ビニルアルコール共重合体
はポリビニルアルコール共重合体の耐水性、吸水性、膨
潤性等の改良された製品として、また45モル%以上の
エチレン含有量を有するエチレン−ビニルアルコール共
重合体は、柔軟性が良好で成型性に優れるエチレン−ビ
ニルアルコール樹脂としての展開等が期待される。さら
にエチレン含有量が25〜45モル%で[η]ph0.
099〜0.110l/gを越えるエチレン−ビニルア
ルコール共重合体は、耐久性、機械的強度が改良された
製品として各種用途分野での性能向上に資することが期
待される。以上の如く、従来公知のエチレン含有量よ
り、低エチレン含有量または高エチレン含有量のエチレ
ン−ビニルアルコール共重合体、また従来公知の重合度
より高重合度のエチレン−ビニルアルコール共重合体
は、従来のエチレン含有量および重合度の共重合体にお
いては達成し得ない優れた性能を発揮する可能性を有し
ており、その安価かつ合理的な製造方法の開発が望まれ
る。
【0003】エチレン−酢酸ビニル共重合体のけん化方
法としては、メタノール等のアルコール溶媒を使用し
て、アルカリ性触媒を使用する均一けん化法、メタノー
ル−水系等の溶媒を使用して、アルカリ性触媒を使用す
る不均一けん化法が公知である。しかしながら、メタノ
ールを溶媒としたけん化反応においては、エチレン含量
の増加に伴なってけん化反応速度は大幅に減少する。さ
らにまた、均一系けん化法の場合、従来、メタノリシス
反応により生成したエチレン−ビニルアルコール共重合
体は、メタノール溶媒の状態で、水を中心とした該共重
合体の非溶剤または、メタノールと非溶剤の混合溶媒中
に押出し、ストランド状、チップ状等のある一定の形状
に成形、乾燥の1次工程を経て、製品化されるのが一般
的であり、不均一系に比較して工業的には有利である。
該エチレン−ビニルアルコール共重合体は、溶融(乾式
成型)又は、特定の溶媒に溶解した溶液(湿式成型)の
状態で、繊維状、ホローファイバー状、フィルム状、粒
子状等所望の形状に第2次の成型を受け最終製品とな
る。かかる公知の一般的な製造方法は以下に述べる各種
の改良すべき問題点を包含している。
法としては、メタノール等のアルコール溶媒を使用し
て、アルカリ性触媒を使用する均一けん化法、メタノー
ル−水系等の溶媒を使用して、アルカリ性触媒を使用す
る不均一けん化法が公知である。しかしながら、メタノ
ールを溶媒としたけん化反応においては、エチレン含量
の増加に伴なってけん化反応速度は大幅に減少する。さ
らにまた、均一系けん化法の場合、従来、メタノリシス
反応により生成したエチレン−ビニルアルコール共重合
体は、メタノール溶媒の状態で、水を中心とした該共重
合体の非溶剤または、メタノールと非溶剤の混合溶媒中
に押出し、ストランド状、チップ状等のある一定の形状
に成形、乾燥の1次工程を経て、製品化されるのが一般
的であり、不均一系に比較して工業的には有利である。
該エチレン−ビニルアルコール共重合体は、溶融(乾式
成型)又は、特定の溶媒に溶解した溶液(湿式成型)の
状態で、繊維状、ホローファイバー状、フィルム状、粒
子状等所望の形状に第2次の成型を受け最終製品とな
る。かかる公知の一般的な製造方法は以下に述べる各種
の改良すべき問題点を包含している。
【0004】1)エチレン−酢酸ビニル共重合体は、エ
チレン含有量の上昇と共にメタノールに対する溶解性が
減少傾向を示し、均一系のメタノリシス反応の実施に
は、高温、加圧等、好ましからざる条件が必要となる。
チレン含有量の上昇と共にメタノールに対する溶解性が
減少傾向を示し、均一系のメタノリシス反応の実施に
は、高温、加圧等、好ましからざる条件が必要となる。
【0005】2)エチレン−酢酸ビニル共重合体のメタ
ノリシスにより生成するエチレン−ビニルアルコール共
重合体は、エチレン含有量が25〜45モル%より低エ
チレン側および高エチレン側の双方においてメタノール
に対する溶解性が減少し、特に低エチレン側では100
℃を越える高温加圧の状態においても、もはや工業的に
充分な濃度で均一状態を保ち得ず均一系でのメタノリシ
ス反応を実施し得ない。
ノリシスにより生成するエチレン−ビニルアルコール共
重合体は、エチレン含有量が25〜45モル%より低エ
チレン側および高エチレン側の双方においてメタノール
に対する溶解性が減少し、特に低エチレン側では100
℃を越える高温加圧の状態においても、もはや工業的に
充分な濃度で均一状態を保ち得ず均一系でのメタノリシ
ス反応を実施し得ない。
【0006】3)エチレン−酢酸ビニル共重合体のメタ
ノリシス反応は、酢酸ビニル重合体のメタノリシスに比
較して、反応速度が遅く、多量の触媒、メタノールを必
要とし、上述の共重合体のメタノールに対する溶解性と
相俟って、高温、加圧の反応系を必要とする。その為、
触媒使用量等の原材料費、スチームを中心としたユーテ
ィリティー、反応器の設備投資額等が増大し、製造コス
トの上昇の要因となる。
ノリシス反応は、酢酸ビニル重合体のメタノリシスに比
較して、反応速度が遅く、多量の触媒、メタノールを必
要とし、上述の共重合体のメタノールに対する溶解性と
相俟って、高温、加圧の反応系を必要とする。その為、
触媒使用量等の原材料費、スチームを中心としたユーテ
ィリティー、反応器の設備投資額等が増大し、製造コス
トの上昇の要因となる。
【0007】さらに、従来の研究によれば、エチレン−
酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニルの含有率が40モル
%以下である場合にはその溶解性が著しく低いため加水
分解が困難であり、従ってBestian(米国特許N
o3344129)は、それらのポリマーのメタノール
あるいはエタノール中でのアルコリシスはポリマーの溶
媒への溶解度が著しく小さいためその速度が極めて小さ
いことを報告している。そして同一反応生成物中に加水
分解された分子および非分解の分子の両者を含有する不
均一な物質が得られる。Bestianによれば反応溶
媒として芳香族炭化水素とアルコールとの混合物を使用
するRolandの方法(米国特許2386347)は
ビニルエステル/エチレンのモル比が1/5以下の場合
にのみ有効である。ポリマー中の酢酸ビニル含有率が低
い場合には、必要となる芳香族炭化水素の量が著しく多
く、不経済となり、またその反応速度も極めて遅い。こ
れらの問題を克服するためBestianは炭素原子数
4〜8のアルコールを反応溶媒として使用することによ
り溶解性の改善を述べているが高温の採用も示唆してい
る。
酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニルの含有率が40モル
%以下である場合にはその溶解性が著しく低いため加水
分解が困難であり、従ってBestian(米国特許N
o3344129)は、それらのポリマーのメタノール
あるいはエタノール中でのアルコリシスはポリマーの溶
媒への溶解度が著しく小さいためその速度が極めて小さ
いことを報告している。そして同一反応生成物中に加水
分解された分子および非分解の分子の両者を含有する不
均一な物質が得られる。Bestianによれば反応溶
媒として芳香族炭化水素とアルコールとの混合物を使用
するRolandの方法(米国特許2386347)は
ビニルエステル/エチレンのモル比が1/5以下の場合
にのみ有効である。ポリマー中の酢酸ビニル含有率が低
い場合には、必要となる芳香族炭化水素の量が著しく多
く、不経済となり、またその反応速度も極めて遅い。こ
れらの問題を克服するためBestianは炭素原子数
4〜8のアルコールを反応溶媒として使用することによ
り溶解性の改善を述べているが高温の採用も示唆してい
る。
【0008】Imaiらの米国特許3080350(特
公昭36−4539号)には極性の大きな非プロトン性
の溶媒、ジメチルスルホキシドを使用して酢酸ビニルの
重合を行ない、更に得られたポリ酢酸ビニルをポリビニ
ルアルコールに加水分解またはアルコリシスする方法が
述べられているが、エチレンと酢酸ビニルとを共重合す
ること、さらに該共重合体をアルコリシスすることによ
りエチレン−ビニルアルコール共重合体を得ることの記
載はないし、またジメチルスルホキシドがエチレン−酢
酸ビニル共重合体をアルコリシスするに際し、どのよう
な機能を果すのか、また得られるエチレン−ビニルアル
コール共重合体にどのような影響を及ぼすのかの記載が
なされていない。
公昭36−4539号)には極性の大きな非プロトン性
の溶媒、ジメチルスルホキシドを使用して酢酸ビニルの
重合を行ない、更に得られたポリ酢酸ビニルをポリビニ
ルアルコールに加水分解またはアルコリシスする方法が
述べられているが、エチレンと酢酸ビニルとを共重合す
ること、さらに該共重合体をアルコリシスすることによ
りエチレン−ビニルアルコール共重合体を得ることの記
載はないし、またジメチルスルホキシドがエチレン−酢
酸ビニル共重合体をアルコリシスするに際し、どのよう
な機能を果すのか、また得られるエチレン−ビニルアル
コール共重合体にどのような影響を及ぼすのかの記載が
なされていない。
【0009】ジメチルスルホキシドを反応溶媒として使
用すると酢酸ビニルのサポニン化の速度が増大すること
が報告されている。(Vinson,J.Chem.E
d.,46,877(1969))。しかしVinso
nのサポニン化は、かなりの量の水の存在下で起こるこ
とにより、エチレン−酢酸ビニル共重合物の場合、生成
するエチレン−ビニルアルコール共重合物が水に不溶の
ため、不均一系の反応となってしまう。
用すると酢酸ビニルのサポニン化の速度が増大すること
が報告されている。(Vinson,J.Chem.E
d.,46,877(1969))。しかしVinso
nのサポニン化は、かなりの量の水の存在下で起こるこ
とにより、エチレン−酢酸ビニル共重合物の場合、生成
するエチレン−ビニルアルコール共重合物が水に不溶の
ため、不均一系の反応となってしまう。
【0010】更に、Johnらの米国特許378000
4(特開昭49−71082)により、エチレン−ビニ
ルエステル共重合物のアルコリシス反応をジメチルホル
ムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性の
反応媒体中および場合によっては、炭化水素系の反応媒
体を併用し、固相におけるアルコリシス反応を行う方法
も開示されているが、均一な液相における開示は見当ら
ない。
4(特開昭49−71082)により、エチレン−ビニ
ルエステル共重合物のアルコリシス反応をジメチルホル
ムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性の
反応媒体中および場合によっては、炭化水素系の反応媒
体を併用し、固相におけるアルコリシス反応を行う方法
も開示されているが、均一な液相における開示は見当ら
ない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】以上の如き従来公知の
製造方法が包含する問題点を解決し、かつ従来公知のエ
チレン−ビニルアルコール共重合体の製造規格(エチレ
ン含有率、重合度)の幅を拡張すると共に安価かつ合理
的な製造方法に関して鋭意検討を行ない、本発明を完成
するに至った。
製造方法が包含する問題点を解決し、かつ従来公知のエ
チレン−ビニルアルコール共重合体の製造規格(エチレ
ン含有率、重合度)の幅を拡張すると共に安価かつ合理
的な製造方法に関して鋭意検討を行ない、本発明を完成
するに至った。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、エチレン−ビ
ニルエステル共重合体のアルコリシスにおいて、溶媒と
してジアルキルスルホキシドを使用し、液相でアルコリ
シスすることにより、かつ従来の方法に比較して著しく
加速されたアルコリシスを実現するものである。かかる
本発明の実施により、従来法での上記の問題点は合理的
に解決され、安価な製品コストを実現できる。本発明は
従来公知のメタノールに対して、低級アルキル基から成
るジアルキルスルホキシドを反応系の溶媒として用い、
該溶媒のエチレン−ビニルエステル共重合体およびエチ
レン−ビニルアルコール共重合体に対する特異な溶解挙
動を効果的に利用することにより、エチレン含有率、極
限粘度を従来規格から拡大しても、常に均一状態での反
応を実現するものである。
ニルエステル共重合体のアルコリシスにおいて、溶媒と
してジアルキルスルホキシドを使用し、液相でアルコリ
シスすることにより、かつ従来の方法に比較して著しく
加速されたアルコリシスを実現するものである。かかる
本発明の実施により、従来法での上記の問題点は合理的
に解決され、安価な製品コストを実現できる。本発明は
従来公知のメタノールに対して、低級アルキル基から成
るジアルキルスルホキシドを反応系の溶媒として用い、
該溶媒のエチレン−ビニルエステル共重合体およびエチ
レン−ビニルアルコール共重合体に対する特異な溶解挙
動を効果的に利用することにより、エチレン含有率、極
限粘度を従来規格から拡大しても、常に均一状態での反
応を実現するものである。
【0013】本発明は、エチレン−酢酸ビニル共重合体
を、ジアルキルスルホキシドと低級アルコールの混合系
に均一溶解し実施されるが、本発明者らの詳細な検討に
よれば本発明におけるエチレン−酢酸ビニル共重合体の
アルコリシスの反応速度は、低級アルコール単独の溶媒
系に比較して増大することが判明した。エチレン−酢酸
ビニル共重合体は、酢酸ビニル単独重合体に比べて、一
般に反応速度が小さく、反応温度の上昇、アルカリ性触
媒の使用量増加等好ましからざる条件の採用を余儀なく
されているが、本発明の完成により、温和な条件下での
反応の実施が可能となる。
を、ジアルキルスルホキシドと低級アルコールの混合系
に均一溶解し実施されるが、本発明者らの詳細な検討に
よれば本発明におけるエチレン−酢酸ビニル共重合体の
アルコリシスの反応速度は、低級アルコール単独の溶媒
系に比較して増大することが判明した。エチレン−酢酸
ビニル共重合体は、酢酸ビニル単独重合体に比べて、一
般に反応速度が小さく、反応温度の上昇、アルカリ性触
媒の使用量増加等好ましからざる条件の採用を余儀なく
されているが、本発明の完成により、温和な条件下での
反応の実施が可能となる。
【0014】従来公知の低級アルコール単独の溶媒系で
はアルコリシスにより生成するエチレン−ビニルアルコ
ールの低級アルコールに対する溶解性が小なることよ
り、均一系でのアルコリシス反応を実施するためには反
応温度を上昇させ溶解性の向上を計る以外に方策を取り
得なかった。該溶解性の制約により、従来公知の方法で
はエチレン含有率25モル%以下および45モル%以上
程度のエチレン−酢酸ビニル共重合体の均一系アルコリ
シスは非常に難しく、実質的に不可能な場合も存在す
る。本発明はかかる状況に対しても解決策を与えるもの
である。ジアルキルスルホキシドは、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体およびエチレン−ビニルアルコール共重合
体双方の良溶媒であり、反応系の温度を上昇させること
なく反応系を均一に保持でき、温度上昇による触媒失活
の増大、共重合体の熱的劣化など好ましからざる現象を
回避出来る。
はアルコリシスにより生成するエチレン−ビニルアルコ
ールの低級アルコールに対する溶解性が小なることよ
り、均一系でのアルコリシス反応を実施するためには反
応温度を上昇させ溶解性の向上を計る以外に方策を取り
得なかった。該溶解性の制約により、従来公知の方法で
はエチレン含有率25モル%以下および45モル%以上
程度のエチレン−酢酸ビニル共重合体の均一系アルコリ
シスは非常に難しく、実質的に不可能な場合も存在す
る。本発明はかかる状況に対しても解決策を与えるもの
である。ジアルキルスルホキシドは、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体およびエチレン−ビニルアルコール共重合
体双方の良溶媒であり、反応系の温度を上昇させること
なく反応系を均一に保持でき、温度上昇による触媒失活
の増大、共重合体の熱的劣化など好ましからざる現象を
回避出来る。
【0015】本発明においてはアルコリシスは液相で進
行するが、ここで液相とは実質的に均一な液相をいう。
行するが、ここで液相とは実質的に均一な液相をいう。
【0016】次に本発明の反応系ではアルコリシス反応
により酢酸などの脂肪酸の低級アルコールエステルが副
生し、さらに、けん化度を上げるためには、アルコリシ
ス平衡を生成系側に寄せることが必要となるため、エス
テル、たとえば酢酸エステルの系外への効率的な留去が
望まれる。本発明者らの詳細な検討により、本反応系に
共存するジアルキルスルホキシドには酢酸エステルと低
級アルコールの分離効率を向上せしめる効果が存在する
ことが判明した。該混合物の留出除去方法としては、槽
型式における減圧蒸留除去、塔型式において、反応塔の
中段からジアルキルスルホキシドに溶解したエチレン−
ビニルエステル共重合体を導入し、下段からアルコール
ベーパーを吹込みけん化反応を行いつつ、上段から低級
アルコールと脂肪酸アルコールエステルを留出させる方
法が好ましい実施態様の1つとして推奨出来る。かかる
効果を利用すれば該混合物の分離に要する蒸留塔の分離
段数、還流比を大幅に削減でき、設備費、ユーティリテ
ィー費の削減に対する寄与は大きい。本発明で使用する
エチレン−ビニルエステル重合体は、一般にエチレンと
ビニルエステルの共重合反応により合成される。
により酢酸などの脂肪酸の低級アルコールエステルが副
生し、さらに、けん化度を上げるためには、アルコリシ
ス平衡を生成系側に寄せることが必要となるため、エス
テル、たとえば酢酸エステルの系外への効率的な留去が
望まれる。本発明者らの詳細な検討により、本反応系に
共存するジアルキルスルホキシドには酢酸エステルと低
級アルコールの分離効率を向上せしめる効果が存在する
ことが判明した。該混合物の留出除去方法としては、槽
型式における減圧蒸留除去、塔型式において、反応塔の
中段からジアルキルスルホキシドに溶解したエチレン−
ビニルエステル共重合体を導入し、下段からアルコール
ベーパーを吹込みけん化反応を行いつつ、上段から低級
アルコールと脂肪酸アルコールエステルを留出させる方
法が好ましい実施態様の1つとして推奨出来る。かかる
効果を利用すれば該混合物の分離に要する蒸留塔の分離
段数、還流比を大幅に削減でき、設備費、ユーティリテ
ィー費の削減に対する寄与は大きい。本発明で使用する
エチレン−ビニルエステル重合体は、一般にエチレンと
ビニルエステルの共重合反応により合成される。
【0017】エチレン−ビニルエステル共重合体のエチ
レン含量は0.1〜80モル%が好ましい。共重合体の
エチレン含量が0.1モル%未満の場合には、前述のポ
リビニルアルコールに対する性能改善の効果が実質的に
発現しない。好適なエチレン含量は1モル%以上であ
り、さらには5モル%以上、10モル%以上、さらには
20モル%以上である。またエチレン含量が80モル%
を越える領域では、エチレン−ビニルエステル共重合体
がジアルキルスルホキシドを主体とする反応液系に完全
溶解し難く適当でない。エチレン−ビニルエステル共重
合体の溶解性から判断するとエチレン含量70モル%以
下の共重合体がさらに好ましい。
レン含量は0.1〜80モル%が好ましい。共重合体の
エチレン含量が0.1モル%未満の場合には、前述のポ
リビニルアルコールに対する性能改善の効果が実質的に
発現しない。好適なエチレン含量は1モル%以上であ
り、さらには5モル%以上、10モル%以上、さらには
20モル%以上である。またエチレン含量が80モル%
を越える領域では、エチレン−ビニルエステル共重合体
がジアルキルスルホキシドを主体とする反応液系に完全
溶解し難く適当でない。エチレン−ビニルエステル共重
合体の溶解性から判断するとエチレン含量70モル%以
下の共重合体がさらに好ましい。
【0018】本発明においてビニルエステルとしては炭
素数5以下の低級脂肪酸ビニルエステルなどがあげら
れ、代表的には酢酸ビニルがあげられ、さらにプロピオ
ン酸ビニルなどもあげられる。また本発明においてはエ
チレン、ビニルエステル以外で、これらと共重合可能な
エチレン性不飽和単量体を本発明の実施に支障をきたさ
ない範囲において使用することもできる。ここでエチレ
ン性不飽和単量体としては、例えば「ポバール(改定新
版)」(高分子刊行会、1981年4月1日発行)28
1〜285頁およびそこに引用の文献に記載のモノマー
を代表例として例示できる。
素数5以下の低級脂肪酸ビニルエステルなどがあげら
れ、代表的には酢酸ビニルがあげられ、さらにプロピオ
ン酸ビニルなどもあげられる。また本発明においてはエ
チレン、ビニルエステル以外で、これらと共重合可能な
エチレン性不飽和単量体を本発明の実施に支障をきたさ
ない範囲において使用することもできる。ここでエチレ
ン性不飽和単量体としては、例えば「ポバール(改定新
版)」(高分子刊行会、1981年4月1日発行)28
1〜285頁およびそこに引用の文献に記載のモノマー
を代表例として例示できる。
【0019】代表的なモノマーとしては、たとえばオレ
フィン(炭素数3〜18のオレフィンなど)、カルボン
酸ビニル(バーサチック酸ビニル、ステアリン酸ビニル
など)、アルキルビニルエーテル(ラウリルビニルエー
テル、メチルビニルエーテルなど)、(メタ)アクリレ
ート類{メチル(メタ)アクリレートなど}、アクリル
アミド類(アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N
−ジメチルアクリルアミドなど)、不飽和カルボン酸
(エステル)又は(無水物)(アクリル酸、クロトン
酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、これらのエ
ステル、無水物など)、スルホン酸モノマー(ビニルス
ルホン酸、アクリルスルホン酸など)、カチオン性モノ
マー(ジメチルアミノエチルメタクリレート、ビニルイ
ミダゾール、ビニルピリジン、ビニルサクシイミドな
ど)、その他(ビニレンカーボネート、アリルアルコー
ル、アリルアセテートなど)があげられる。
フィン(炭素数3〜18のオレフィンなど)、カルボン
酸ビニル(バーサチック酸ビニル、ステアリン酸ビニル
など)、アルキルビニルエーテル(ラウリルビニルエー
テル、メチルビニルエーテルなど)、(メタ)アクリレ
ート類{メチル(メタ)アクリレートなど}、アクリル
アミド類(アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N
−ジメチルアクリルアミドなど)、不飽和カルボン酸
(エステル)又は(無水物)(アクリル酸、クロトン
酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、これらのエ
ステル、無水物など)、スルホン酸モノマー(ビニルス
ルホン酸、アクリルスルホン酸など)、カチオン性モノ
マー(ジメチルアミノエチルメタクリレート、ビニルイ
ミダゾール、ビニルピリジン、ビニルサクシイミドな
ど)、その他(ビニレンカーボネート、アリルアルコー
ル、アリルアセテートなど)があげられる。
【0020】エチレン−ビニルアルコール共重合体のけ
ん化度は最終の用途により種々変えることができ、好ま
しくは20%以上、さらには50%以上であり、さらに
高度なガスバリヤー性の特徴を生かす分野に使用する場
合のけん化度は99.0%以上が好適であり、さらに好
ましくは99.5%以上である。本反応系に用いるジア
ルキルスルホキシドは低級アルキル基から構成され、エ
チレン−ビニルエステル共重合体およびエチレン−ビニ
ルアルコール共重合体に対する溶解性等の観点から低級
アルキル基の炭素数は一般に3以下が好ましい。ジアル
キルスルホキシドの具体例としては、ジメチルスルホキ
シド、ジエチルスルホキシド、ジi−プロピルスルホキ
シド、ジn−プロピルスルホキシド、メチルエチルスル
ホキシド、メチルi−プロピルスルホキシド等を例示で
きるが、熱的、化学的安定性、入取価格等を勘案すれ
ば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドが好
ましく、上記条件に対する総合的な判断からジメチルス
ルホキシドが特に好ましい。ジアルキルスルホキシドの
使用量は、エチレン−ビニルエステル共重合体およびエ
チレン−ビニルアルコール共重合体を均一に溶解する量
であれば特に限定されないが、溶液粘度等を考慮すれ
ば、エチレン−ビニルエステル共重合体のジアルキルス
ルホキシド溶液としての濃度で0.1〜70重量%(エ
チレン−ビニルエステル共重合体およびジアルキルスル
ホキシドの合計量に対して)が適当であり、さらに好ま
しくは1〜50重量%である。
ん化度は最終の用途により種々変えることができ、好ま
しくは20%以上、さらには50%以上であり、さらに
高度なガスバリヤー性の特徴を生かす分野に使用する場
合のけん化度は99.0%以上が好適であり、さらに好
ましくは99.5%以上である。本反応系に用いるジア
ルキルスルホキシドは低級アルキル基から構成され、エ
チレン−ビニルエステル共重合体およびエチレン−ビニ
ルアルコール共重合体に対する溶解性等の観点から低級
アルキル基の炭素数は一般に3以下が好ましい。ジアル
キルスルホキシドの具体例としては、ジメチルスルホキ
シド、ジエチルスルホキシド、ジi−プロピルスルホキ
シド、ジn−プロピルスルホキシド、メチルエチルスル
ホキシド、メチルi−プロピルスルホキシド等を例示で
きるが、熱的、化学的安定性、入取価格等を勘案すれ
ば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドが好
ましく、上記条件に対する総合的な判断からジメチルス
ルホキシドが特に好ましい。ジアルキルスルホキシドの
使用量は、エチレン−ビニルエステル共重合体およびエ
チレン−ビニルアルコール共重合体を均一に溶解する量
であれば特に限定されないが、溶液粘度等を考慮すれ
ば、エチレン−ビニルエステル共重合体のジアルキルス
ルホキシド溶液としての濃度で0.1〜70重量%(エ
チレン−ビニルエステル共重合体およびジアルキルスル
ホキシドの合計量に対して)が適当であり、さらに好ま
しくは1〜50重量%である。
【0021】本発明においては、アルコリシス用の反応
試剤として低級アルコールを使用する。エチレン−ビニ
ルエステル共重合体のアルコリシス反応によるエチレン
−ビニルアルコール共重合体の製造方法は公知である
が、酢酸ビニルのホモポリマーであるポリ酢酸ビニルに
比較して、アルカリ性触媒によるアルコリシス反応の反
応速度が一般に小さく、エチレン含有率の増大に伴ない
反応速度は減少傾向を示す。エチレン−ビニルエステル
共重合体のアルコリシス反応に関して種々検討の結果、
該アルコリシス反応には低級アルコールの使用が好まし
く、炭素数1〜5の1級の低級アルコールの使用が好適
と判断されるに至った。炭素数1〜5の1級の低級アル
コールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパ
ノール、n−ブタノール、i−ブタノール、n−アミル
アルコール、i−アミルアルコールなどをその具体例と
して例示できるが、アルコリシス反応の反応速度、エチ
レン−ビニルエステル共重合体に対する溶解性等を勘案
すればメタノール、エタノールの使用が好適であり、反
応速度の観点からメタノールの使用が特に好ましい。低
級アルコールの使用量については、エチレン−ビニルエ
ステル共重合体のアルコリシス反応によりエチレン−ビ
ニルアルコールを製造するに充分な量であれば特に限定
要因はないが、エチレン−ビニルエステル共重合体の平
均分子量から算出されるモル数に対して1.0〜50倍
モル、アルコリシスの反応平衡、仕込み低級アルコール
の後処理コスト等を考慮すれば1.5〜30倍モルが好
適であり、2.0〜20をさらに好適な範囲として開示
できる。
試剤として低級アルコールを使用する。エチレン−ビニ
ルエステル共重合体のアルコリシス反応によるエチレン
−ビニルアルコール共重合体の製造方法は公知である
が、酢酸ビニルのホモポリマーであるポリ酢酸ビニルに
比較して、アルカリ性触媒によるアルコリシス反応の反
応速度が一般に小さく、エチレン含有率の増大に伴ない
反応速度は減少傾向を示す。エチレン−ビニルエステル
共重合体のアルコリシス反応に関して種々検討の結果、
該アルコリシス反応には低級アルコールの使用が好まし
く、炭素数1〜5の1級の低級アルコールの使用が好適
と判断されるに至った。炭素数1〜5の1級の低級アル
コールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパ
ノール、n−ブタノール、i−ブタノール、n−アミル
アルコール、i−アミルアルコールなどをその具体例と
して例示できるが、アルコリシス反応の反応速度、エチ
レン−ビニルエステル共重合体に対する溶解性等を勘案
すればメタノール、エタノールの使用が好適であり、反
応速度の観点からメタノールの使用が特に好ましい。低
級アルコールの使用量については、エチレン−ビニルエ
ステル共重合体のアルコリシス反応によりエチレン−ビ
ニルアルコールを製造するに充分な量であれば特に限定
要因はないが、エチレン−ビニルエステル共重合体の平
均分子量から算出されるモル数に対して1.0〜50倍
モル、アルコリシスの反応平衡、仕込み低級アルコール
の後処理コスト等を考慮すれば1.5〜30倍モルが好
適であり、2.0〜20をさらに好適な範囲として開示
できる。
【0022】本発明のアルコリシス反応は、アルカリ性
触媒の共存下に実施されるが、該アルカリ性触媒として
は、ポリ酢酸ビニル又は、エチレン−ビニルエステル共
重合体のアルカリ性触媒によるアルコリシス反応に使用
される従来公知の触媒をそのまま使用できる。その具体
例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸
化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメ
チラート、t−ブトキシカリウムなどのアルカリ金属ア
ルコラート、1,8−ジアザビシクロ[5,4,10]
ウンデセン−7(DBU)で代表される強塩基性アミ
ン、さらには炭酸アルカリ金属塩、炭酸水素アルカリ金
属塩などを開示できるが、取り扱いの容易さ、触媒コス
ト等から水酸化ナトリウムの使用が好ましい。触媒の使
用量は、必要けん化度、反応温度等により異なるが、エ
チレン−ビニルエステル共重合体の平均分子量から算出
されるモル当り、0.001〜1.0のモル比が一般的
である。
触媒の共存下に実施されるが、該アルカリ性触媒として
は、ポリ酢酸ビニル又は、エチレン−ビニルエステル共
重合体のアルカリ性触媒によるアルコリシス反応に使用
される従来公知の触媒をそのまま使用できる。その具体
例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸
化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメ
チラート、t−ブトキシカリウムなどのアルカリ金属ア
ルコラート、1,8−ジアザビシクロ[5,4,10]
ウンデセン−7(DBU)で代表される強塩基性アミ
ン、さらには炭酸アルカリ金属塩、炭酸水素アルカリ金
属塩などを開示できるが、取り扱いの容易さ、触媒コス
ト等から水酸化ナトリウムの使用が好ましい。触媒の使
用量は、必要けん化度、反応温度等により異なるが、エ
チレン−ビニルエステル共重合体の平均分子量から算出
されるモル当り、0.001〜1.0のモル比が一般的
である。
【0023】本発明におけるアルコリシスの反応温度
は、室温から150℃程度まで必要に応じ任意の温度を
採用し得るが、常圧の反応系で高い反応速度を得るため
には40〜120℃、さらには50〜100℃が好適な
温度範囲として推奨される。エチレン−ビニルエステル
共重合体のアルコリシス反応は撹拌槽型式、塔型式等が
考えられるが、反応塔の中段から該共重合体を溶解した
ジアルキルスルホキシド溶液を導入し、下段からアルコ
ールベーパーを吹吸み、副生した酢酸エステルを上段か
ら抜取る塔型式が好ましい実施様態の1つとして推奨出
来る。
は、室温から150℃程度まで必要に応じ任意の温度を
採用し得るが、常圧の反応系で高い反応速度を得るため
には40〜120℃、さらには50〜100℃が好適な
温度範囲として推奨される。エチレン−ビニルエステル
共重合体のアルコリシス反応は撹拌槽型式、塔型式等が
考えられるが、反応塔の中段から該共重合体を溶解した
ジアルキルスルホキシド溶液を導入し、下段からアルコ
ールベーパーを吹吸み、副生した酢酸エステルを上段か
ら抜取る塔型式が好ましい実施様態の1つとして推奨出
来る。
【0024】また本発明においては酸素を実質的に除去
した状態、たとえば、酸素濃度5×10-4mol/l以
下の状態でアルコリシスを行なうことが重合度低下が少
ないので好ましい。反応系の酸素濃度をこのレベル以下
にするためには、純度99.9%以上の窒素ガスで置換
するか、60°以上に加熱したあと窒素かアルゴンで置
換する方法がある。
した状態、たとえば、酸素濃度5×10-4mol/l以
下の状態でアルコリシスを行なうことが重合度低下が少
ないので好ましい。反応系の酸素濃度をこのレベル以下
にするためには、純度99.9%以上の窒素ガスで置換
するか、60°以上に加熱したあと窒素かアルゴンで置
換する方法がある。
【0025】さらに本発明により取得されるEVOHは
DMSO系重合に由来する立体構造の特異性および/ま
たはDMSO系鹸化による残存エステル基の分布挙動
(残存エステル基の分布がよりランダムであること)か
ら、従来の低級アルコー中での重合および/または鹸化
により取得される、重合度および鹸化度が同一のEVO
Hに較べて融点が低下傾向を示すなど本発明に特有な物
性を示す。このことは後述する実施例11から明らかで
ある。本物性を利用すれば、たとえばEVOHの溶融延
伸成形においては熱的劣化によるゲル、ブツ発生の抑
制、延伸速度、延伸倍率の向上、ボイド、クラックの低
減、厚みむらの向上、長時間にわたる安定操業の確保等
への寄与が期待される。
DMSO系重合に由来する立体構造の特異性および/ま
たはDMSO系鹸化による残存エステル基の分布挙動
(残存エステル基の分布がよりランダムであること)か
ら、従来の低級アルコー中での重合および/または鹸化
により取得される、重合度および鹸化度が同一のEVO
Hに較べて融点が低下傾向を示すなど本発明に特有な物
性を示す。このことは後述する実施例11から明らかで
ある。本物性を利用すれば、たとえばEVOHの溶融延
伸成形においては熱的劣化によるゲル、ブツ発生の抑
制、延伸速度、延伸倍率の向上、ボイド、クラックの低
減、厚みむらの向上、長時間にわたる安定操業の確保等
への寄与が期待される。
【0026】本発明により得られるEVOHの残存エス
テル基の分布がよりランダム(よりシャープ)であるこ
とはブロックキャラクターにより表示され、ブロックキ
ャラクターの値が大きいほどよりランダム(よりシャー
プ)であることを示す。
テル基の分布がよりランダム(よりシャープ)であるこ
とはブロックキャラクターにより表示され、ブロックキ
ャラクターの値が大きいほどよりランダム(よりシャー
プ)であることを示す。
【0027】本発明により得られるEVOHは、好まし
くはブロックキャラクター0.2以上、さらに好ましく
は0.25以上、さらに好適には0.3以上の値を示
す。ここでブロックキャラクターとは、次式によって算
出される。 ブロックキャラクター=(OH−OAC)/2(OH)
(OAC) ここで(OH−OAC)とは、二連鎖{ビニルアルコー
ル単位−ビニルアルコール単位の二連鎖のモル分率(A
1)+ビニルアルコール単位−ビニルエステル単位の二
連鎖のモル分率(A2)+ビニルエステル単位−ビニル
エステル単位の二連鎖のモル分率(A3)}の合計モル
分率(A1+A+2A3)に対するビニルアルコール単位
−ビニルエステル単位の二連鎖のモル分率(A2)の割
合を示すものである。
くはブロックキャラクター0.2以上、さらに好ましく
は0.25以上、さらに好適には0.3以上の値を示
す。ここでブロックキャラクターとは、次式によって算
出される。 ブロックキャラクター=(OH−OAC)/2(OH)
(OAC) ここで(OH−OAC)とは、二連鎖{ビニルアルコー
ル単位−ビニルアルコール単位の二連鎖のモル分率(A
1)+ビニルアルコール単位−ビニルエステル単位の二
連鎖のモル分率(A2)+ビニルエステル単位−ビニル
エステル単位の二連鎖のモル分率(A3)}の合計モル
分率(A1+A+2A3)に対するビニルアルコール単位
−ビニルエステル単位の二連鎖のモル分率(A2)の割
合を示すものである。
【0028】またビニルアルコール単位−ビニルアルコ
ール単位の二連鎖のモル分率(A1)は13C−NMRス
ペクトルによりδが45.7〜48ppmの領域のピー
クの吸収強度から求められ、ビニルアルコール単位−ビ
ニルエステル単位のモル分率(A2)は8が43.5〜
45.5ppmの領域のピーク吸収強度から求められ
る。またビニルエステル単位−ビニルエステル単位の二
連鎖のモル分率(A3)はEVOH中のビニルアルコー
ル単位とビニルエステル単位の合計量のモル分率を2乗
した値から前記A1およびA2引き算することによって求
められる。また上記式中(OH)および(OAC)は、
それぞれ二連鎖およびそれ以上の連鎖の中のビニルアル
コール単位およびビニルエステル単位のモル分率を示
す。
ール単位の二連鎖のモル分率(A1)は13C−NMRス
ペクトルによりδが45.7〜48ppmの領域のピー
クの吸収強度から求められ、ビニルアルコール単位−ビ
ニルエステル単位のモル分率(A2)は8が43.5〜
45.5ppmの領域のピーク吸収強度から求められ
る。またビニルエステル単位−ビニルエステル単位の二
連鎖のモル分率(A3)はEVOH中のビニルアルコー
ル単位とビニルエステル単位の合計量のモル分率を2乗
した値から前記A1およびA2引き算することによって求
められる。また上記式中(OH)および(OAC)は、
それぞれ二連鎖およびそれ以上の連鎖の中のビニルアル
コール単位およびビニルエステル単位のモル分率を示
す。
【0029】以下、実施例により本発明を具体的に説明
するが、本発明は実施例により限定を受けるものではな
い。なお実施例中、EVAの[η]phとはEVAを完
全けん化(けん化度99.4モル%以上)して得たEV
OHの極限粘度を表わす。
するが、本発明は実施例により限定を受けるものではな
い。なお実施例中、EVAの[η]phとはEVAを完
全けん化(けん化度99.4モル%以上)して得たEV
OHの極限粘度を表わす。
【0030】
実施例1 撹拌機、コンデンサー、温度計ならびに窒素ガス導入管
を装備した5lセパラブルフラスコに、エチレン含有率
5モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)
([η]ph=0.224l/g)340g、メタノー
ル660g、ジメチルスルホキシドを1700gを入
れ、70℃で加熱撹拌を行い均一の溶液とした。この溶
液に3%の水酸化ナトリウム−メタノール溶液51.6
gを添加して、70℃にて20分間反応を行った。反応
後の溶液の状態は均一であった。この時、反応液の一部
をサンプリングし、中和後、メタノール中で析出、洗浄
を繰り返した。その後、粉砕、乾燥を行い、けん化度9
7.8%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(EV
OH)を得た。更に、20分間反応を行った溶液につい
て、アルコリシスの平衡を生成系側に寄せるため、メタ
ノール、酢酸メチルの混合液を、減圧蒸留により系外へ
留出させた。系外への留出量が780gとなった所で中
和により反応を停止し、上記と同様の後処理を行い、け
ん化度99.9%のEVOHを得た。また、反応停止時
の溶液の状態は均一であった。
を装備した5lセパラブルフラスコに、エチレン含有率
5モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)
([η]ph=0.224l/g)340g、メタノー
ル660g、ジメチルスルホキシドを1700gを入
れ、70℃で加熱撹拌を行い均一の溶液とした。この溶
液に3%の水酸化ナトリウム−メタノール溶液51.6
gを添加して、70℃にて20分間反応を行った。反応
後の溶液の状態は均一であった。この時、反応液の一部
をサンプリングし、中和後、メタノール中で析出、洗浄
を繰り返した。その後、粉砕、乾燥を行い、けん化度9
7.8%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(EV
OH)を得た。更に、20分間反応を行った溶液につい
て、アルコリシスの平衡を生成系側に寄せるため、メタ
ノール、酢酸メチルの混合液を、減圧蒸留により系外へ
留出させた。系外への留出量が780gとなった所で中
和により反応を停止し、上記と同様の後処理を行い、け
ん化度99.9%のEVOHを得た。また、反応停止時
の溶液の状態は均一であった。
【0031】実施例2 実施例1に準じて、エチレン含有率32モル%のEVA
([η]ph=0.111l/g)100g、メタノー
ル170g、ジメチルスルホキシド580gを入れ、6
0℃で加熱撹拌を行い、均一の溶液とした。この溶液に
3%の水酸化ナトリウム−メタノール溶液160gを添
加して、60℃にて30分間反応を行った。反応後の溶
液の状態は均一であった。反応時間中、各時間毎に反応
液をサンプリングし、中和後、1g/Lの酢酸−純水溶
液中にポリマーを析出後、30分間浸した。酢酸水溶液
を入れ換え、更に30分間酸処理を行い、液捨て後、水
道水に30分間浸した。
([η]ph=0.111l/g)100g、メタノー
ル170g、ジメチルスルホキシド580gを入れ、6
0℃で加熱撹拌を行い、均一の溶液とした。この溶液に
3%の水酸化ナトリウム−メタノール溶液160gを添
加して、60℃にて30分間反応を行った。反応後の溶
液の状態は均一であった。反応時間中、各時間毎に反応
液をサンプリングし、中和後、1g/Lの酢酸−純水溶
液中にポリマーを析出後、30分間浸した。酢酸水溶液
を入れ換え、更に30分間酸処理を行い、液捨て後、水
道水に30分間浸した。
【0032】その後、粉砕、乾燥してEVOHを得た。
けん化反応時間とけん化度の関係を図1に示したが、反
応開始2分後のけん化度は75%で最終けん化度98.
3%であった。30分間反応を行った溶液について、実
施例1に準じて、アルコリシスの平衡を生成側に寄せる
ため、メタノール、酢酸メチルの混合液を、減圧蒸留に
より系外へ留出させた。系外への留出量が260gでの
サンプリング試料を上記同様の後処理を行い、けん化度
を測定したところ99.4%であった。更に反応系にメ
タノールを190g添加して、同様に減圧蒸留を行い、
系外への留出量が150gとなった所で、中和により反
応を停止、同様に後処理を行い、けん化度99.8%の
EVOHを得た。また留出開始直後の留出液中のメタノ
ールと酢酸メチルの重量比は1:9であった。反応中お
よび反応停止時の溶液の状態は均一な液相であった。
けん化反応時間とけん化度の関係を図1に示したが、反
応開始2分後のけん化度は75%で最終けん化度98.
3%であった。30分間反応を行った溶液について、実
施例1に準じて、アルコリシスの平衡を生成側に寄せる
ため、メタノール、酢酸メチルの混合液を、減圧蒸留に
より系外へ留出させた。系外への留出量が260gでの
サンプリング試料を上記同様の後処理を行い、けん化度
を測定したところ99.4%であった。更に反応系にメ
タノールを190g添加して、同様に減圧蒸留を行い、
系外への留出量が150gとなった所で、中和により反
応を停止、同様に後処理を行い、けん化度99.8%の
EVOHを得た。また留出開始直後の留出液中のメタノ
ールと酢酸メチルの重量比は1:9であった。反応中お
よび反応停止時の溶液の状態は均一な液相であった。
【0033】比較例1 実施例2において、ジメチルスルホキシドの変わりにメ
タノールを使用し、同一の触媒量(対EVA中の酢酸ビ
ニルモル比)で反応を行った。反応時間30分までのけ
ん化度の経時変化を、上記実施例と同様の後処理を行
い、調べた。反応開始2分後のけん化度は55%で、3
0分間反応後の最終けん化度は95%であった。結果を
図1に併記したが、図1からも明らかな様に、ジメチル
スルホキシドを反応系に共存させることにより、メタノ
ール単独系と比較して、加速されたアルコリシスを実施
可能なことが分かる。さらに、30分間反応を行った溶
液について、メタノール、酢酸メチルの混合液を、減圧
蒸留により系外へ留出させた。留出開始直後の留出液中
の、メタノールと酢酸メチルの重量比は、2:8であっ
た。系外への留出量が260gでのサンプリング試料を
後処理後、けん化度測定したところ、96.5%であっ
た。
タノールを使用し、同一の触媒量(対EVA中の酢酸ビ
ニルモル比)で反応を行った。反応時間30分までのけ
ん化度の経時変化を、上記実施例と同様の後処理を行
い、調べた。反応開始2分後のけん化度は55%で、3
0分間反応後の最終けん化度は95%であった。結果を
図1に併記したが、図1からも明らかな様に、ジメチル
スルホキシドを反応系に共存させることにより、メタノ
ール単独系と比較して、加速されたアルコリシスを実施
可能なことが分かる。さらに、30分間反応を行った溶
液について、メタノール、酢酸メチルの混合液を、減圧
蒸留により系外へ留出させた。留出開始直後の留出液中
の、メタノールと酢酸メチルの重量比は、2:8であっ
た。系外への留出量が260gでのサンプリング試料を
後処理後、けん化度測定したところ、96.5%であっ
た。
【0034】実施例1と比較例1の留出液中のメタノー
ルと酢酸メチルの重量比の比較によりアルコリシスの平
衡を生成側に寄せるため、副生酢酸メチルを系外へ留去
する際、反応系にジメチルスルホキシドが共存すると、
メタノール単独系に比して、酢酸メチルとメタノールの
分離効率が向上し、酢酸メチルの系外への効率的な留去
が達成出来ることが分かる。反応中および反応停止時の
溶液の状態は、ジメチルスルホキシド系同様均一であっ
た。
ルと酢酸メチルの重量比の比較によりアルコリシスの平
衡を生成側に寄せるため、副生酢酸メチルを系外へ留去
する際、反応系にジメチルスルホキシドが共存すると、
メタノール単独系に比して、酢酸メチルとメタノールの
分離効率が向上し、酢酸メチルの系外への効率的な留去
が達成出来ることが分かる。反応中および反応停止時の
溶液の状態は、ジメチルスルホキシド系同様均一であっ
た。
【0035】実施例3 実施例1に準じて、エチレン含有率27モル%のEVA
([η]ph=0.109l/g)100g、メタノー
ル170g、ジメチルスルホキシド550gを使用し、
60℃にて均一溶解後、3%−水酸化ナトリウム−メタ
ノール溶液150gを添加し、同一温度で30分間反応
を行った。反応中および反応後の溶液の状態は均一であ
った。この反応液の一部をサンプリングし、後処理した
EVOHのけん化度は反応時間2分で77%で、30分
で98.6%であった。30分間反応を行った溶液につ
いて、上記実施例同様、アルコリシスの平衡を生成側に
寄せるため、メタノール、酢酸メチルの混合液を減圧、
蒸留により系外へ留出させた。系外への留出量が250
gでのサンプリング試料について、後処理後、けん化度
を測定した所99.5%であった。更に、反応系に、メ
タノール190g添加して、同様に減圧蒸留を行い、系
外への留出量が150gとなった所で、中和により反応
を停止、後処理を行い、けん化度99.8%のEVOH
を得た。反応中および反応停止時の溶液の状態は均一で
あった。
([η]ph=0.109l/g)100g、メタノー
ル170g、ジメチルスルホキシド550gを使用し、
60℃にて均一溶解後、3%−水酸化ナトリウム−メタ
ノール溶液150gを添加し、同一温度で30分間反応
を行った。反応中および反応後の溶液の状態は均一であ
った。この反応液の一部をサンプリングし、後処理した
EVOHのけん化度は反応時間2分で77%で、30分
で98.6%であった。30分間反応を行った溶液につ
いて、上記実施例同様、アルコリシスの平衡を生成側に
寄せるため、メタノール、酢酸メチルの混合液を減圧、
蒸留により系外へ留出させた。系外への留出量が250
gでのサンプリング試料について、後処理後、けん化度
を測定した所99.5%であった。更に、反応系に、メ
タノール190g添加して、同様に減圧蒸留を行い、系
外への留出量が150gとなった所で、中和により反応
を停止、後処理を行い、けん化度99.8%のEVOH
を得た。反応中および反応停止時の溶液の状態は均一で
あった。
【0036】比較例2 実施例3において、ジメチルスルホキシドの代りにメタ
ノールを使用し、同一の触媒量(対EVA中の酢酸ビニ
ルモル比)で反応を行った。反応開始時の溶液の状態は
均一であったが、触媒添加後、5分後から、系内にEV
OHが析出し始め、10分後には、固化してしまった。
30分後に、固体を取り出し、ミキサー破砕後、後処理
して得たEVOHのけん化度は、96.0%であった。
また、反応開始2分後のけん化度は58%であった。
ノールを使用し、同一の触媒量(対EVA中の酢酸ビニ
ルモル比)で反応を行った。反応開始時の溶液の状態は
均一であったが、触媒添加後、5分後から、系内にEV
OHが析出し始め、10分後には、固化してしまった。
30分後に、固体を取り出し、ミキサー破砕後、後処理
して得たEVOHのけん化度は、96.0%であった。
また、反応開始2分後のけん化度は58%であった。
【0037】実施例4 実施例1に準じて、エチレン含有率60モル%のEVA
([η]ph=0.077l/g)100g、メタノー
ル180g、ジメチルスルホキシド760gを使用し、
60℃にて均一溶解後、3%−水酸化ナトリウム−メタ
ノール溶液260gを添加し、同一温度で40分間反応
を行った。40分間反応後のEVOHのけん化度は、9
7.2%であった。40分間反応を行った溶液につい
て、メタノール、酢酸メチルの混合液を、減圧蒸留によ
り系外へ留出させた。系外への留出量が、350gでの
サンプリング試料について、後処理後、けん化度を測定
した所、99.0%であった。更に、反応系にメタノー
ル200g添加後、減圧蒸留を行い、留出量が160g
となった所で反応を中止した。後処理後の最終けん化度
は、99.4%であった。反応中および反応停止時の溶
液の状態は均一であった。
([η]ph=0.077l/g)100g、メタノー
ル180g、ジメチルスルホキシド760gを使用し、
60℃にて均一溶解後、3%−水酸化ナトリウム−メタ
ノール溶液260gを添加し、同一温度で40分間反応
を行った。40分間反応後のEVOHのけん化度は、9
7.2%であった。40分間反応を行った溶液につい
て、メタノール、酢酸メチルの混合液を、減圧蒸留によ
り系外へ留出させた。系外への留出量が、350gでの
サンプリング試料について、後処理後、けん化度を測定
した所、99.0%であった。更に、反応系にメタノー
ル200g添加後、減圧蒸留を行い、留出量が160g
となった所で反応を中止した。後処理後の最終けん化度
は、99.4%であった。反応中および反応停止時の溶
液の状態は均一であった。
【0038】比較例3 実施例4において、ジメチルスルホキシドの代りに、メ
タノールを使用し、同一触媒量(対EVA中の酢酸ビニ
ルのモル比)で反応を行った。60℃にてポリマーは完
全に溶解せず、白濁した状態であった。触媒添加後、系
は均一になり、40分間反応を行った。40分間反応後
のEVOHのけん化度は94.2%であった。更に、メ
タノール、酢酸メチルの混合液を、減圧蒸留により系外
へ留出させた。系外への留出量が350gでのサンプリ
ング試料のけん化度は、95.6%であった。更に反応
系にメタノールを200g添加後、減圧蒸留行い、実施
例4におけるジメチルスルホキシド共存の系より、多く
留出さた。留出量200gで反応を中止し、後処理を行
い、けん化度を測定したところ、97.4%であった。
タノールを使用し、同一触媒量(対EVA中の酢酸ビニ
ルのモル比)で反応を行った。60℃にてポリマーは完
全に溶解せず、白濁した状態であった。触媒添加後、系
は均一になり、40分間反応を行った。40分間反応後
のEVOHのけん化度は94.2%であった。更に、メ
タノール、酢酸メチルの混合液を、減圧蒸留により系外
へ留出させた。系外への留出量が350gでのサンプリ
ング試料のけん化度は、95.6%であった。更に反応
系にメタノールを200g添加後、減圧蒸留行い、実施
例4におけるジメチルスルホキシド共存の系より、多く
留出さた。留出量200gで反応を中止し、後処理を行
い、けん化度を測定したところ、97.4%であった。
【0039】実施例5 実施例2に準じて、エチレン含有率32モル%のEVA
([η]ph=0.111l/g)100g、メタノー
ル170g、ジエチルスルホキシド780g、3%−水
酸化ナトリウム−メタノール溶液160gを使用し、6
0℃で30分間反応を行った。30分間反応後のサンプ
リング試料のけん化度は98.0%であった。更に、留
出液260gでけん化度99.3%を得、メタノール1
90g添加後、留出液150gでけん化度99.6%の
EVOHを得た。留出直後の留出液中のメタノールと酢
酸メチルの重量比は1:9であった。反応中および反応
停止時の溶液の状態は均一であった。
([η]ph=0.111l/g)100g、メタノー
ル170g、ジエチルスルホキシド780g、3%−水
酸化ナトリウム−メタノール溶液160gを使用し、6
0℃で30分間反応を行った。30分間反応後のサンプ
リング試料のけん化度は98.0%であった。更に、留
出液260gでけん化度99.3%を得、メタノール1
90g添加後、留出液150gでけん化度99.6%の
EVOHを得た。留出直後の留出液中のメタノールと酢
酸メチルの重量比は1:9であった。反応中および反応
停止時の溶液の状態は均一であった。
【0040】実施例6 実施例2に準じて、エチレン含有率32モル%のEVA
([η]ph=0.111l/g)100g、エタノー
ル320g、ジメチルスルホキシド580g、3%−水
酸化ナトリウム−エタノール溶液160gを用い、60
℃で40分間反応を行った。40分間反応後のサンプリ
ング試料のけん化度は、96.5%であった。更に留出
液380gでけん化度98.5%を得、エタノール27
0g添加後、留出液220gで、けん化度99.5%の
EVOHを得た。反応中および反応停止時の溶液の状態
は均一であった。
([η]ph=0.111l/g)100g、エタノー
ル320g、ジメチルスルホキシド580g、3%−水
酸化ナトリウム−エタノール溶液160gを用い、60
℃で40分間反応を行った。40分間反応後のサンプリ
ング試料のけん化度は、96.5%であった。更に留出
液380gでけん化度98.5%を得、エタノール27
0g添加後、留出液220gで、けん化度99.5%の
EVOHを得た。反応中および反応停止時の溶液の状態
は均一であった。
【0041】実施例7〜10 実施例1に準じて、エチレン含量O(PVAc),2
0,32,47,60モル%のEVAを表1に示す条件
下で、40℃にて60分間反応を行った。けん化後のポ
リマーを析出させる溶媒は、エチレン含量、けん化度に
応じて、水,エタノール,両者の混合溶媒を適宜用い
た。反応後の溶液の状態は全て均一であった。図2に、
けん化度の経時変化を示す。また、対照として、実施例
7〜10において、ジメチルスルホキシドの代わりにメ
タノールを使用し、その他の条件は同じにしてけん化反
応を行った。反応後固化したポリマーは、粉砕後、中
和、後処理を行った。(比較例4〜8)メタノール系の
場合、エチレン含量によって異なるが、反応中、反応後
で固体あるいはスラリー状であった。図3に、メタノー
ル系の場合のけん化度の経時変化を示す。図2と図3を
比較すると分かるように、ジメチルスルホキシドを溶媒
にした場合、メタノール系に比較して、反応が非常に速
いことが分かる。
0,32,47,60モル%のEVAを表1に示す条件
下で、40℃にて60分間反応を行った。けん化後のポ
リマーを析出させる溶媒は、エチレン含量、けん化度に
応じて、水,エタノール,両者の混合溶媒を適宜用い
た。反応後の溶液の状態は全て均一であった。図2に、
けん化度の経時変化を示す。また、対照として、実施例
7〜10において、ジメチルスルホキシドの代わりにメ
タノールを使用し、その他の条件は同じにしてけん化反
応を行った。反応後固化したポリマーは、粉砕後、中
和、後処理を行った。(比較例4〜8)メタノール系の
場合、エチレン含量によって異なるが、反応中、反応後
で固体あるいはスラリー状であった。図3に、メタノー
ル系の場合のけん化度の経時変化を示す。図2と図3を
比較すると分かるように、ジメチルスルホキシドを溶媒
にした場合、メタノール系に比較して、反応が非常に速
いことが分かる。
【0042】図2、図3より、それぞれの溶媒系で、各
エチレン含量における反応速度を求め、その比(DMS
O系けん化/MeOH系けん化)を求めた(図4)。図
4より分かるように、反応速度比は、エチレン含量が高
くなるに従って、増大し、これより、ジメチルスルホキ
シドを用いたけん化反応は、非常に特異的であるといえ
る。
エチレン含量における反応速度を求め、その比(DMS
O系けん化/MeOH系けん化)を求めた(図4)。図
4より分かるように、反応速度比は、エチレン含量が高
くなるに従って、増大し、これより、ジメチルスルホキ
シドを用いたけん化反応は、非常に特異的であるといえ
る。
【0043】実施例11 実施例1に準じた方法で、エチレン含量32モル%のE
VA([η]ph=0.111l/g)100g、メタ
ノール96g、ジメチルスルホキシド1788gを使用
し、水酸化ナトリウム2.0gをメタノリシス触媒とし
て用い、反応温度40℃で、2分間反応を行い、実施例
1と同様の後処理を行い、鹸化度76.5モル%の部分
鹸化EVOHを得た。この得られたEVOHの融点は、
116.4℃、ブロックキャラクターは0.345であ
った。また対照として(比較例9)、実施例11のジメ
チルスルホキシドの代わりに、メタノールを使用した以
外は、同様の方法で、反応温度40℃、90分間反応を
行い、同様の後処理を行うことにより、鹸化度76.5
モル%の部分鹸化物を得た。この得られたEVOHの融
点は、143.8℃、ブロックキャラクター0.118
であった。上記の様に、DMSO溶媒系で鹸化した場
合、MeOH溶媒系で鹸化した場合に比較して同一の鹸
化度でも、融点が低くなること、さらに得られるEVO
H中の残存アセチル基の分布がよりランダム(よりシャ
ープ)であることがわかる。
VA([η]ph=0.111l/g)100g、メタ
ノール96g、ジメチルスルホキシド1788gを使用
し、水酸化ナトリウム2.0gをメタノリシス触媒とし
て用い、反応温度40℃で、2分間反応を行い、実施例
1と同様の後処理を行い、鹸化度76.5モル%の部分
鹸化EVOHを得た。この得られたEVOHの融点は、
116.4℃、ブロックキャラクターは0.345であ
った。また対照として(比較例9)、実施例11のジメ
チルスルホキシドの代わりに、メタノールを使用した以
外は、同様の方法で、反応温度40℃、90分間反応を
行い、同様の後処理を行うことにより、鹸化度76.5
モル%の部分鹸化物を得た。この得られたEVOHの融
点は、143.8℃、ブロックキャラクター0.118
であった。上記の様に、DMSO溶媒系で鹸化した場
合、MeOH溶媒系で鹸化した場合に比較して同一の鹸
化度でも、融点が低くなること、さらに得られるEVO
H中の残存アセチル基の分布がよりランダム(よりシャ
ープ)であることがわかる。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、アルコリシスの反応速
度は低級アルコール単独の溶媒系に比較して増大し、さ
らにまたアルコリシス反応系は実質的に均一な液相に保
たれているので、得られるエチレン−ビニルアルコール
共重合体の品質も均一である。またエチレン含量の増加
に伴なうアルコリシス反応速度の減少はわずかであり、
興味あることには、メタノール溶媒を用いた場合にくら
べ、反応速度比(ジアルキルスルホキシドを使用した場
合の反応速度/メタノールを使用した場合の反応速度)
はエチレン含量の増加とともに増加傾向を示す。したが
って本発明は高エチレンEVAのアルコリシス反応に極
めて有効である。
度は低級アルコール単独の溶媒系に比較して増大し、さ
らにまたアルコリシス反応系は実質的に均一な液相に保
たれているので、得られるエチレン−ビニルアルコール
共重合体の品質も均一である。またエチレン含量の増加
に伴なうアルコリシス反応速度の減少はわずかであり、
興味あることには、メタノール溶媒を用いた場合にくら
べ、反応速度比(ジアルキルスルホキシドを使用した場
合の反応速度/メタノールを使用した場合の反応速度)
はエチレン含量の増加とともに増加傾向を示す。したが
って本発明は高エチレンEVAのアルコリシス反応に極
めて有効である。
【図1】実施例2および比較例1における、けん化時間
(分)を横軸にし、EVOHのけん化度(%)を縦軸と
するグラフである。
(分)を横軸にし、EVOHのけん化度(%)を縦軸と
するグラフである。
【図2】実施例7〜10における、けん化時間(分)を
横軸にし、EVOHのけん化度(%)を縦軸とするグラ
フである。
横軸にし、EVOHのけん化度(%)を縦軸とするグラ
フである。
【図3】比較例4〜8における、けん化時間(分)を横
軸にし、EVOHのけん化度(%)を縦軸とするグラフ
である。
軸にし、EVOHのけん化度(%)を縦軸とするグラフ
である。
【図4】実施例7〜10および比較例4〜8における、
EVOHのエチレン含量(モル%)を横軸とし、反応速
度比(DMSO系けん化/MeOHけん化)を縦軸とす
るグラフである。
EVOHのエチレン含量(モル%)を横軸とし、反応速
度比(DMSO系けん化/MeOHけん化)を縦軸とす
るグラフである。
1 実施例2の曲線 2 比較例1の曲線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 克巳 岡山市海岸通1丁目2番1号 株式会社ク ラレ内 (72)発明者 青山 明正 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 守谷 健 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内
Claims (2)
- 【請求項1】 エチレン−ビニルエステル共重合体のア
ルコリシスによりエチレン−ビニルアルコール共重合体
を製造するに際し、溶媒としてジアルキルスルホキシド
を使用し、液相でアルコリシスすることを特徴とするエ
チレン−ビニルアルコール共重合体の製造方法。 - 【請求項2】 副生するエステルを反応系外へ留出除去
しつつ、アルコリシスを行なう請求項1記載のエチレン
−ビニルアルコール共重合体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4027362A JP3066167B2 (ja) | 1991-01-18 | 1992-01-17 | エチレン−ビニルアルコール共重合体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1941491 | 1991-01-18 | ||
JP3-19414 | 1991-01-18 | ||
JP4027362A JP3066167B2 (ja) | 1991-01-18 | 1992-01-17 | エチレン−ビニルアルコール共重合体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0559116A true JPH0559116A (ja) | 1993-03-09 |
JP3066167B2 JP3066167B2 (ja) | 2000-07-17 |
Family
ID=26356242
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4027362A Expired - Fee Related JP3066167B2 (ja) | 1991-01-18 | 1992-01-17 | エチレン−ビニルアルコール共重合体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3066167B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010132667A (ja) * | 2002-01-11 | 2010-06-17 | Celanese Internatl Corp | 酢酸メチル副生成物ストリームを用いるカルボニル化により酢酸、無水酢酸を製造、またはこれらを同時に製造するための統合プロセス |
US9768487B2 (en) | 2009-11-19 | 2017-09-19 | Huawei Device Co., Ltd. | Electronic device with plug |
US20210292502A1 (en) * | 2018-07-18 | 2021-09-23 | Kuraray Co., Ltd. | Multilayer structure |
CN113736004A (zh) * | 2021-09-30 | 2021-12-03 | 盛虹石化集团上海新材料有限公司 | 一种乙烯-乙烯醇共聚物及其制备方法和应用 |
-
1992
- 1992-01-17 JP JP4027362A patent/JP3066167B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010132667A (ja) * | 2002-01-11 | 2010-06-17 | Celanese Internatl Corp | 酢酸メチル副生成物ストリームを用いるカルボニル化により酢酸、無水酢酸を製造、またはこれらを同時に製造するための統合プロセス |
US9768487B2 (en) | 2009-11-19 | 2017-09-19 | Huawei Device Co., Ltd. | Electronic device with plug |
US20210292502A1 (en) * | 2018-07-18 | 2021-09-23 | Kuraray Co., Ltd. | Multilayer structure |
US11958954B2 (en) * | 2018-07-18 | 2024-04-16 | Kuraray Co., Ltd. | Multilayer structure |
CN113736004A (zh) * | 2021-09-30 | 2021-12-03 | 盛虹石化集团上海新材料有限公司 | 一种乙烯-乙烯醇共聚物及其制备方法和应用 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JP3066167B2 (ja) | 2000-07-17 |
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