JP2733315B2 - 高強力ポリビニルアルコール繊維の製法 - Google Patents

高強力ポリビニルアルコール繊維の製法

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JP2733315B2 JP1172642A JP17264289A JP2733315B2 JP 2733315 B2 JP2733315 B2 JP 2733315B2 JP 1172642 A JP1172642 A JP 1172642A JP 17264289 A JP17264289 A JP 17264289A JP 2733315 B2 JP2733315 B2 JP 2733315B2
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Description

【発明の詳細な説明】 A.産業上の利用分野 本発明は、産業資材用とか複合材強化用に適した高強
力ポリビニルアルコール(以下、ポリビニルアルコール
をPVAと略記することがある。)繊維の製造方法および
主として高強力PVA繊維の紡糸原液に用いられるポリビ
ニルエステル溶液の製造方法およびポリビニルアルコー
ル溶液の製造方法に関する。
とくに詳しくはビニルエステルを重合することにより
得られた未反応のビニルエステルを含有する重合反応液
をジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメ
チルアセトアミド、N−メチルピロリドン、炭素数1〜
10のジアミン化合物および炭素数1〜10のトリアミン化
合物から選ばれた少なくとも1種の溶媒と接触させ、未
反応のビニルエステルを除去することによりポリビニル
エステル溶液を得、次いで該溶液中でポリビニルエステ
ルをけん化することにより得られたポリビニルアルコー
ル溶液を紡糸することにより、PVAの重合度の低下が少
く、プロセス的には使用する溶剤量を大きく節減でき、
かつPVAの溶解工程をはぶくことによりコスト的に有利
な高強力PVA繊維の製造方法に関するものである。
B.従来の技術 従来PVA繊維はポリアミド、ポリエステル、ポリアク
リロニトリル系繊維に比べ強度、モジユラスが高く、そ
の主用途である産業資材用繊維はもちろん最近ではアス
ベスト代替繊維としてセメント補強材に使用されてい
る。
高強力PVA繊維を得る方法としては、高分子量ポリエ
チレンのゲル紡糸−超延伸の考え方を応用した高強力繊
維あるいはその製造法が特開昭59−100710号公報、特開
昭59−130314号公報あるいは特開昭61−108711号公報な
どで公知である。
しかしこれらの方法を本発明者らが検討したところ、
特にPVAの重合度が高くなると、該PVAを溶剤へ均一に溶
解させることが難しく、苛酷な条件で溶解するとPVAの
重合度が低下し、ひいては満足した繊維強度が得られな
いという事が判明した。
またPVAの重合度が高くかつゲル化を起こすような貧
溶剤を用いた場合はPVAの溶解性が低下し、均一に溶解
しようと高温で長時間撹拌した場合はPVAの着色分解が
起こるという問題が生じる。とくにエチレングリコー
ル、グリセリンまたはジエチレングリコールなどの多価
アルコールで高重合度PVAを溶解する場合、温度150〜20
0℃で数時間から十数時間の溶解条件が必要であり、こ
の溶液中のPVAは部分的に重合度の低下が生じており繊
維にした場合に繊維強度の著しい低下につながるもので
ある。
またPVAの良溶媒といわれるジメチルスルホキシドを
用いてPVAを加熱溶解する場合でも高重合度でシンデイ
オクタテイシテイの高いPVAの場合は溶解条件を苛酷に
する必要があり、PVAの分子量の低下が大きい。とくに
ジメチルスルホキシド溶液中のPVAは加熱などにより分
子量が大きく低下することが知られており(例えば高分
子化学16,217,(1959))、繊維にした場合に着色や強
度低下を伴うことが多い。
このようにして溶解したPVA溶液から紡糸した場合に
は繊維構造に欠陥部を生じるためかあるいは高重合度PV
Aの分子量の低下や着色が生じ、満足した高強力PVA繊維
は得られなかつた。
またもう一つの問題点は、高強力繊維を製造するめた
に必要な高重合度PVA、すなわち極限粘度が1.4dl/g以
上、とくに3.2dl/gより大きなPVAはその製造過程に多く
の溶剤の使用と煩雑な溶剤回収、精製工程を必要とし非
常にコスト的に高いものとなり産業上の利用がむずかし
い事である。本発明で用いる高重合度ポリビニルエステ
ルおよび高重合度PVAはけん化工程や紡糸工程で溶液で
用いる場合の濃度は工程通過性を考えるとたかくて10
%、とくに極限粘度が3.2dl/gより大きい場合だと5%
前後の濃度となり、使用する溶剤量はこれらのポリマー
の10倍から20倍が必要となる。さらに回収、精製工程に
おいても重合反応液に含まれる未反応のビニルエステ
ル、メタノール、酢酸メチル、水、酢酸およびアルデヒ
ド類などの沸点が比較的狭い範囲にあるために多段数の
蒸留塔や還流比を大きくとる必要がありコスト的に高い
ものにつながるものである。
C.発明が解決しようとする課題 本発明の目的はPVAの溶解工程をなくし、溶解工程で
生ずるPVAの着色や分子量低下をなくし、さらにコスト
的に有利な高強力ポリビニルアルコール繊維を製造する
方法を提供するものである。
D.課題を解決するための手段 本発明者らは従来の高重合度PVAを使用したPVA繊維を
製造する場合の上記欠点を解決すべく鋭意検討した結
果、ビニルエステルを重合することにより得られた未反
応のビニルエステルを含有する重合反応液をジメチルス
ルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド、N−メチルピロリドン、炭素数1〜10のジアミン
化合物および炭素数1〜10のトリアミン化合物から選ば
れた少なくとも1種の溶媒と接触させ、未反応のビニル
エステルを除去することによりポリビニルエステル溶液
を得、次いで該溶液中でポリビニルエステルをけん化す
ることにより得られたポリビニルアルコール溶液を紡糸
することにより、PVAの重合度低下や着色が少く、かつ
コスト的に有利な高強力PVA繊維の製造方法を見い出し
て本発明を完成するに至つた。
以下本発明の内容を更に詳細に説明する。
本発明に用いるビニルエステルとしてはギ酸ビニル、
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、
カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビ
ニル等のモノマーが挙げられるが、とりわけ酢酸ビニル
が好ましい。
また本発明の効果を損わない範囲内で上記のビニルエ
ステルに共重合可能なモノマーを共重合しても差しつか
えなく、これらモノマーとしては例えば、(メタ)アク
リル酸、(メタ)アクリル酸エステル、イタコン酸また
はそのエステル、マレイン酸エステルまたは無水マレイ
ン酸、(メタ)アクリルアミドまたはこれらの誘導体、
塩化ビニル、フツ化ビニル、塩化ビニリデン、フツ化ビ
ニリデン、アクリロニトリル、ビニルアルコキシシラン
等が挙げられる。
本発明のビニルエステルの重合は、ビニルエステルを
塊状重合、溶液重合、懸濁重合または乳化重合によつて
行なうことができる。とくに高重合度のポリビニルエス
テルを得るためには低温で行なう必要がある。工業的に
は、乳化重合を除く他の重合法では低温で非常に遅い重
合速度で重合する必要があるため、乳化重合がとくに好
ましい。懸濁重合や乳化重合を0℃以下の温度で行う場
合には凝固点降下剤を用いる必要があるが、重合後の工
程を考えると凝固点降下剤を用いる有機溶媒としてジメ
チルスルホキシド、ジメチルアセトアミドを用いると有
利であることがあるが、これらに限定されるものではな
い。
また該ポリビニルエステルの極限粘度はとくに限定さ
れるものではないが、高強力繊維を得るためには1.4dl/
g以上が好ましく、とくに3.2dl/gより大きなことがより
好ましい。これはポリビニルエステルだけでなく紡糸に
使用する原液中のPVAの極限粘度についても同様のこと
がいえる。(ここでポリビニルエステルの極限粘度は、
該ポリビニルエステルをけん化度99.0モル%以上にけん
化した後、再酢化して得られたポリ酢酸ビニルについ
て、アセトン中で温度30℃で測定した値と定義し、また
PVAの極限粘度は該PVAのけん化度が99.0モル%未満の場
合には、けん化度99.0モル%以上にけん化した後、PVA
を再酢化して得られたポリ酢酸ビニルについて、アセト
ン中で温度30℃で測定した値と定義する。) 次に、得られた重合反応液中に含まれる未反応のビニ
ルエステルを除去するために、重合反応液と接触させる
溶媒としてはジメチルスルホキシド、ジメチルホルムア
ミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、
エチレンジアミン、プロピレンジアミンのようなジアミ
ン化合物およびジエチレントリアミンのようなトリアミ
ン化合物から選ばれた少なくとも1種の溶液を主体とす
る溶媒を使用できるが、とくにこのなかでもジメチルス
ルホキシドが好ましい。重合反応液と上記溶媒との接触
の方法は種々の方法が使用できる。たとえば重合後の重
合反応液を該溶媒に投入し均一溶媒にした後未反応のビ
ニルエステルを加熱除去する方法、蒸留塔へ重合反応液
を連続フイードしさらに該溶媒の蒸気および/または加
熱された該溶媒も同様に連続フイードして重合反応液に
含まれる未反応のビニルエステル、メタノールおよび水
などの比較点低沸点の溶媒を追出しながら塔底よりポリ
ビニルエステルの該溶媒の溶液を得る方法がとられる。
得られるポリビニルエステル溶媒中の未反応のビニルエ
ステルの含有量は0.5%以下にするのが好ましく、さら
に好ましくは0.1%以下まで除去するのが良い。
未反応のビニルエステルを除いた後の溶媒はジメチル
スルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセト
アミド、N−メチルピロリドン、炭素数1〜10のジアミ
ン化合物および炭素数1〜10のトリアミン化合物から選
ばれた少なくとも1種の溶媒を主体とすることが必須で
あるが、必ずしも該溶媒単独である必要はなくメタノー
ル、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、
プロピレングリコール、グリセリンまたはジエチレング
リコールなどのアルコール類とかグリコール類あるいは
場合によつては水、酢酸、または酢酸メチルなどが混合
溶媒として使用されてもよい。
本発明に用いる溶媒はポリビニルエステルを溶解で
き、さらにけん化後に生成するPVAをも完全に溶解でき
ることが必要である。ポリビニルエステルとPVAがとも
に溶解する溶媒であることが必要であるが、けん化中あ
るいはけん化後にPVAの非溶媒であるメタノールなどが
多く併用されている場合には白濁したり、PVAが沈澱分
離することがあるが、これらの非溶媒をけん化終了後に
留去することにより均一透明な溶液が得られればこれら
の溶媒も使用できる。
本発明に用いる溶媒と併用できる他の溶媒の種類や、
混合割合はとくに限定されるものではない。
また高重合度PVAを製造する場合には低温エマルジヨ
ン重合が好ましく用いられるが、重合後本発明に用いる
該溶媒と接触させることにより未反応のビニルエステル
を除去してポリビニルエステル溶液を調製する際に、エ
マルジヨン重合に用られる乳化剤がポリビニルエステル
の溶液中に混入されることがあるが本発明の主旨を妨げ
ないかぎり混入されていてもよい。この乳化剤はポリビ
ニルエステル溶液中ばかりでなくけん化工程の各溶液
中、紡糸原液および紡糸工程中の各溶液中についても、
工程通過性やPVA繊維の物性に大きな悪影響を及ぼさな
いかぎり混入されていてもよい。
けん化反応はポリビニルエステルのジメチルスルホキ
シド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、
N−メチルピロリドン、炭素数1〜10のジアミン化合物
および炭素数1〜10のトリアミン化合物から選ばれた少
なくとも1種の溶媒中で、アルカリ触媒または酸触媒を
用いてエステル交換反応および/または直接けん化反応
によりけん化する通常の方法が用いられる。けん化触媒
として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アミン類、
アルカリ金属のアルコラート、炭酸アルカリ金属塩、炭
酸水素アルカリ金属塩が好適に用いられるがなかでも炭
酸アルカリ金属塩がけん化中のPVAの重合度の低下が小
さいためにとくに好ましい。またけん化反応中に生じる
PVAの着色や重合度の低下がないようとくに注意を要す
るが、そのためには脱酸素を十分に行ない、さらにハイ
ドロキノンやハイドロキノンモノメチルエーテルなどの
ラジカル捕捉剤をけん化反応系中に添加することがのぞ
ましい。得られたPVAのけん化度はとくに限定はないが9
8モル%以上が好ましい。
けん化後のPVA溶液はそのまま紡糸原液として使用さ
れるがけん化反応時に副製する酢酸、酢酸メチルおよび
他の溶媒を減圧蒸留などの操作で分離したPVA溶液を紡
糸原液として使用してもよい。
紡糸方法は湿式、乾式および乾湿式など通常用いられ
る方法で何んら支障はないが、特にゲル紡糸−超延伸の
考え方では乾湿式紡糸が望ましい。凝固剤としてはメタ
ノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール類、
アセトン、ベンゼン、トルエンなどあるいはこれらと溶
剤との混合系、さらには飽和無機塩類水溶液、カセイソ
ーダ水溶液などがあるが、本発明はこれに限定されるも
のではない。
紡糸された繊維からの溶剤除去は薬剤による抽出また
は/および乾燥により行なうのが一般的である。本発明
は溶剤を完全に除去する前または除去した後で、水系あ
るいは有機溶剤系の浴中で延伸しても何んら問題ない
が、延伸温度は少なくとも最終的に200℃以上の乾熱で
延伸し、総延伸倍率を15倍以上にする必要がある。最終
的な延伸温度が200℃未満の場合は延伸に必要な分子鎖
の動きが不十分で高倍率延伸が出来ず、また結晶化度が
低下するため分子鎖の固定が不十分となり高強力繊維は
得難くなる。
延伸温度は225〜235℃が好ましい。245℃以上の延伸
温度では分子鎖の素抜けが生じて延伸倍率が低下した
り、着色分解が起つて強力低下を招く。200℃以上の油
浴中で延伸しても支障ないが、繊維に付着した油を除去
する工程が必要になる。乾熱延伸は空気又は不活性ガス
の雰囲気下で1段または2段以上の多段にて行なつても
良いが、繊維損傷の点で非接触タイプの中空ヒーターを
用いるのが好ましい。
総延伸倍率は15倍以上、好ましくは20倍以上、さらに
好ましくは25倍以上である。高重合度PVAほど延伸倍率
は低下するが目的としている単繊維強度が15g/dr以上の
高強力繊維を得るためには15倍以上の延伸倍率が必要で
ある。
E.実施例 以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する
が、本発明はこれらによつて何ら限定されるものではな
い。なお実施例中の「%」および「部」はとくにことわ
りのない限り「重量%」および「重量部」をあらわす。
実施例1 酢酸ビニル35部、ジメチルスルホキシド(以下、DMSO
と略記する。)29部、ポリオキシエチレンノニルフエニ
ルエーテル(三洋化成(株)製のノニポール400)1
部、イオン交換水35部、FeSO4・7H2O0.001部および和光
純薬(株)製のロンガリツト0.024部を冷却装置、撹拌
装置および窒素導入管の付いた重合装置へ仕込み、十分
に窒素置換を行なつた後、別途脱気したイオン交換水で
調製した濃度0.01%の過酸化水素水を1部/hrで均一に
連続添加しながら、温度−20℃で5時間の乳化重合を行
い、重合率57.2%で重合を停止した。
得られたポリ酢酸ビニルの極限粘度は5.12dl/gであつ
た。重合後のエマルジヨン100部を減圧蒸留塔へ連続的
にフイードし、同時にDMSO蒸気185部を連続的にフイー
ドした。塔中段の圧力は25mmHg、温度82℃であつた。塔
頂より未反応の酢酸ビニルおよび水が留去され、ポリ酢
酸ビニルの8.5%DMSO溶液が塔底より得られた。このポ
リ酢酸ビニルのDMSO溶液は均一で透明な粘稠溶液であつ
た。
次にこのポリ酢酸ビニルのDMSO溶液200部を撹拌機と
加熱用ジヤケツトつきの反応槽に入れメタノール31部を
加えて撹拌しながら溶解した後、窒素を系内へバブリン
グして系中の酸素を除去し60℃まで昇温後、別途窒素バ
ブリングにより酸素を除去した炭酸カリウムのメタノー
ル溶液8.5部を添加し、温度60℃で30分間けん化反応を
実施した。けん化反応は酢酸を添加することにより停止
した。けん化終了後、反応系を90℃まで加温しメタノー
ルおよび酢酸メチルなどの低沸点留分を留去し、紡糸原
液とした。紡糸原液のPVA濃度は4.7%であつた。ポリ酢
酸ビニルのDMSO溶液のけん化前からけん化反応中、けん
化後さらに紡糸原液に至るまで反応液は均一透明であつ
た。紡糸原液の一部を取り出し水−アセトン系で再沈精
製をくりかえした後さらにアセトンでソツクスレー抽出
を24時間行なつた後、温度60℃で乾燥して白色粉末のPV
Aを得た。けん化液で測定したところ99.7モル%であつ
た。該PVA0.1部を無水酢酸8部とピリジン2部の混合液
中でときどき撹拌しながら温度105℃で20時間再酢化を
行つた後、アセトン−エーテルおよびアセトン−水系で
再沈精製をくりかえした。
ポリ酢酸ビニルについてアセトン中で温度30℃で極限
粘度を測定したところ5.08dl/gであつた。これらのけん
化反応を含むプロセス中での重合度低下はみられなかつ
た。
該溶液を40ホールのノズルより空気中に吐出させた
後、ただちに温度5℃でメタノール80部およびDMSO20部
の混合溶剤からなる浴に浸漬し、透明なゲル繊維にした
後、メタノール抽出、40℃真空乾燥を行なつた。次いで
170〜225℃の中空ヒーターで2段延伸することにより単
繊維引張強度24.6g/dr、初期弾性率528g/drの高強力PVA
繊維を得た。
実施例2 実施例1で用いた重合槽に酢酸ビニル95部およびメタ
ノール5部を仕込み、十分に窒素置換した後、和光純薬
(株)製のアゾ系開始剤V−70 0.0025部を仕込み、温
度30℃で5時間の溶液重合を行ない、重合率16%の重合
を停止した。以下実施例1と同様の方法で減圧蒸留塔へ
連続フイードしながらジメチルホルムアミド(以下、DM
Fと略記する。)蒸気を同時に吹き込み、未反応の酢酸
ビニルおよびメタノールを追出し、ポリ酢酸ビニルの18
%のDMF溶液を得た。重合直後およびDMF溶液中のポリ酢
酸ビニルの極限粘度はそれぞれ2.54dl/gおよび2.52dl/g
で重合度低下はなかつた。このポリ酢酸ビニルのDMF溶
液100部とメタノール20部を実施例1で使用した反応容
器へ仕込み混合撹拌しながら十分に窒素置換を行なつた
後、0.35部のナトリウムメチラートおよびハイドロキノ
ンモノメチルエーテル0.03部を添加し温度60℃でけん化
反応を行なつた。けん化が進むにつれて系全体が増粘
し、ゲル化気味になつたので系の温度をメタノールを留
去しながら95℃まで上げたところ透明で均一なPVA溶液
が得られた。この溶液の一部をサンプリングして実施例
1を同様の方法によりけん化度および極限粘度を測定し
たところけん化度99.6モル%および極限粘度2.52dl/gで
あり、けん化反応により重合度の低下とか着色はなかつ
た。このPVAのDMF溶液の濃度は9.8%であつた。
該PVA溶液を紡糸原液とし、該溶液を20ホールのノズ
ルより空気中へ吐出させた後、ただちに温度5℃でメタ
ノール70部およびDMF30部の混合溶剤からなる浴に入れ
て冷却しゲル化させた。次いでメタノールによりDMFを
完全に抽出し80℃の熱風でメタノールを蒸発させた。紡
糸原糸はほぼ円型に近くデニール斑はほとんどなかつ
た。得られた原糸を温度170℃と233℃の中空ヒータにし
て乾熱2段に延伸することにより総延伸倍率18.5倍で単
繊維引張強度21.2g/dr、初期弾性率432g/drの高強力PVA
繊維を得た。
比較例1 実施例1で重合したポリ酢酸ビニルエマルジヨン100
部をメタノール220部に均一溶解させ、ついで追出塔に
連続フイードしながら塔下部よりメタノール蒸気をふき
こみ未反応酢酸ビニルを除去し、ポリ酢酸ビニルのメタ
ノール溶液を得た。このとき塔下部よりふきこんだメタ
ノールの量は212部であつた。このポリ酢酸ビニルのメ
タノール溶液の組成はポリ酢酸ビニル7.0%、水6.8%、
DMSO9.8%、乳化剤0.35%、メタノール76%であつた。
このポリ酢酸ビニルのメタノール溶液中の水は完全に留
去できなかつた。この含水率を2%におとすためには吹
き込みメタノールの量が約3倍必要となる計算となる。
10%の苛性ソーダのメタノール溶液でモル比0.1で温
度40℃でけん化したが、けん化度が99.2モル%より上ら
ないため粉砕脱液後、メタノールを新しく加えて約15%
のスラリーにして苛性ソーダのメタノール溶液をモル比
0.03になるよう追加し温度40℃で5時間再けん化した。
得られたPVAのけん化度および再けん化度のポリ酢酸ビ
ニルの極限粘度はそれぞれ99.8モル%および5.10dl/gで
あつた。このPVAを105℃の熱風乾燥器で乾燥し白色のPV
A粉末を得た。
このように非常に多量の溶媒の使用とその溶媒の回収
精製が必要であり非常にコスト高になるものである。
次にこのPVAをDMSO中に温度95℃で16時間撹拌しなが
ら濃度5%で溶解したところ茶褐色に着色し、溶解後の
PVAの極限粘度は3.2dl/gに大きく低下ていた。
この溶液を実施例1と同様にして紡糸したところ、単
繊維の引張強度14.9g/dr、初期弾性率283g/drであつ
た。
F.発明の効果 上記の実施例で明らかなとうり、本発明は重合から紡
糸までポリビニルエステルやPVAを単離することなく本
発明に用いる溶媒を主体とする溶液で一貫したプロセス
をとることにより、PVAの重合度低下が小さく、かつプ
ロセス的には使用する溶剤量およびユーテイリテイーを
大幅に節減することが可能で、工業的規模で安定かつ容
易に高強力繊維を提供することのできる製造方法を提供
するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−156517(JP,A) 特開 昭63−120107(JP,A) 特開 昭63−85105(JP,A) 特開 平1−124611(JP,A)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ビニルエステルを重合することにより得ら
    れた未反応のビニルエステルを含有する重合反応液をジ
    メチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチル
    アセトアミド、N−メチルピロリドン、炭素数1〜10の
    ジアミン化合物および炭素数1〜10のトリアミン化合物
    から選ばれた少なくとも1種の溶媒と接触させ、未反応
    のビニルエステルを除去することによりポリビニルエス
    テル溶液を得、次いで該溶媒中でポリビニルエステルを
    けん化することにより得られたポリビニルアルコール溶
    液を紡糸することを特徴とする高強力ポリビニルアルコ
    ール繊維の製法。
  2. 【請求項2】ビニルエステルを重合することにより得ら
    れた未反応のビニルエステルを含有する重合反応液をジ
    メチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチル
    アセトアミド、N−メチルピロリドン、炭素数1〜10の
    ジアミン化合物および炭素数1〜10のトリアミン化合物
    から選ばれた少なくとも1種の溶媒と接触させ、未反応
    のビニルエステルを除去することを特徴とするポリビニ
    ルエステル溶液の製法。
  3. 【請求項3】請求項2記載の方法により得られたポリビ
    ニルエステル溶液を用いて、該溶液中でポリビニルエス
    テルをけん化することを特徴とするポリビニルアルコー
    ル溶液の製法。
  4. 【請求項4】ビニルエステルの重合が塊状重合、溶液重
    合、懸濁重合または乳化重合である請求項1〜3のいず
    れか1つの項に記載の製法。
  5. 【請求項5】ビニルエステルの重合が乳化重合である請
    求項4記載の製法。
  6. 【請求項6】ポリビニルエステルの極限粘度が1.4dl/g
    以上である請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の製
    法。
  7. 【請求項7】ポリビニルエステルの極限粘度が3.2dl/g
    より大である請求項6記載の製法。
  8. 【請求項8】高強力ポリビニルアルコール繊維の単糸の
    引張強度が15g/dr以上で、かつ初期弾性率が250g/dr以
    上である請求項1記載の製法。
  9. 【請求項9】けん化の条件がポリビニルエステル溶液を
    脱酸素後、けん化触媒として炭酸アルカリ金属塩を添加
    することを特徴とする請求項1または3記載の製法。
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