JP6193723B2 - 主鎖に1,2,3−トリオール基を有するポリビニルアルコール系樹脂およびその製造方法 - Google Patents

主鎖に1,2,3−トリオール基を有するポリビニルアルコール系樹脂およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂を水溶液にし、低温で保管しても流動性が低下しない、低温での粘度安定性に優れる特性を有する新規のポリビニルアルコール系樹脂およびそれら樹脂の工業的な製造方法に関する。
ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂と略記する場合がある)は、ビニルエステルを重合し、得られた脂肪族ビニルエステルの重合体をケン化して製造される。
PVA系樹脂は、ビニロン、フィルム、接着剤、紙加工、繊維加工、各種無機材料のバインダー、乳化安定剤、ポリビニルアセタール樹脂等の多くの用途に使用されている。そして、特殊な場合を除いて通常は、水溶液として使用に供せられている。使用目的により種々のケン化度のポリビニルアルコール系樹脂が使用されるが、比較的ケン化度の高いポリビニルアルコール系樹脂を使用する場合、水に溶解して水溶液とすると、水温の低い冬期等においては、時間と共に該水溶液の粘度が上昇し、流動性が悪くなり、極端な場合には水溶液がゲル化して流動性が全くなくなることもあり、大きな問題となっている。
かかる対策として、ビニルエステルとビニルエチレンカーボネートの共重合物をケン化・脱炭酸して得られる側鎖に1,2−ジオール基を有するポリビニルアルコール系樹脂が提案されている(特許文献1)。
また、ビニルエステルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化することによって得られる側鎖に1,2−ジオール基を有するポリビニルアルコール系樹脂が提案されている(特許文献2)。
しかしながら、何れの樹脂も得られる特性は充分ではなかった。そこで、低温での粘度安定性に優れるさらなる樹脂の開発が求められていた。
特開2002−241433号公報 特開2004−285143号公報
本発明は、樹脂を水溶液にした際の低温での粘度安定性に優れるポリビニルアルコール系樹脂およびそれら樹脂の工業的な製造方法を目的とする。
本発明者らは、上記の課題を達成するために鋭意検討した結果、ビニルエステルと1,2−ジアセトキシエチレンとの共重合体をケン化して得られる主鎖に1,2,3−トリオール基を有するポリビニルアルコール系樹脂は、樹脂を水溶液にした際の低温での粘度安定性に抜群に優れることを見出した。さらに検討を重ねて、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の発明に関する。
[1]ビニルエステルと1,2−ジアセトキシエチレンとの共重合体をケン化して得られることを特徴とする主鎖に1,2,3−トリオール基を有するポリビニルアルコール系樹脂。
[2]1,2−ジアセトキシエチレンの共重合割合が、0.01〜20モル%であることを特徴とする前記[1]に記載のポリビニルアルコール系樹脂。
[3]ケン化度が、95モル%以上であることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載のポリビニルアルコール系樹脂。
[4]ビニルエステルと1,2−ジアセトキシエチレンとの共重合体をケン化することを特徴とする主鎖に1,2,3−トリオール基を有するポリビニルアルコール系樹脂の製造方法。
[5]1,2−ジアセトキシエチレンの共重合割合が、0.01〜20モル%であることを特徴とする前記[4]に記載の製造方法。
[6]ケン化度が、95モル%以上であることを特徴とする前記[4]又は[5]に記載の製造方法。
本発明の製造方法を用いることにより、樹脂を水溶液にした際の低温での粘度安定性に優れるポリビニルアルコール系樹脂を工業的な方法で製造することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明のポリビニルアルコール系樹脂は、ビニルエステルと1,2−ジアセトキシエチレンとの共重合体をケン化することによって得られるものである。
本発明に使用されるビニルエステルとして、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられるが、工業的には酢酸ビニルが好ましく用いられる。
ビニルエステルと共重合される1,2−ジアセトキシエチレンとは、下記の化学式で示されるものである。
Figure 0006193723
本発明の効果を損なわない範囲でポリマーの特性改良を目的に、前記ビニルエステルと共重合可能な不飽和単量体をビニルエステルと共重合してもよく、そのような共重合を伴う態様もまた、本発明でいう「ビニルエステルの重合」の範疇に含まれる。ビニルエステルと共重合可能な不飽和単量体として、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の脂肪族ビニルエステル類、エチレン、プロピレン等のα-オレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等の不飽和酸類又はその塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体等のアクリルアミド誘導体、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩、N−メチロールメタクリルアミドおよびその誘導体等のメタクリルアミド誘導体、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等のN−ビニルアミド類、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル等のビニルエーテル類、エチレングリコールビニルエーテル、1,3−プロパンジオールビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル等のヒドロキシ基含有のビニルエーテル、アリルアセテート、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等のアリルエーテル類、オキシアルキレン基を有する不飽和単量体、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシリル類、酢酸イソプロペニル、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等のヒドロキシ基含有のα−オレフィン類、3,4−ジアセトキ−1−ブテン等のアセトキシ基含有不飽和単量体、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有不飽和単量体、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン含有不飽和単量体、スチレン等の芳香族不飽和系単量体を挙げることができるが、それらに限らない。また、これらビニルエステルと共重合可能な不飽和単量体を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記のビニルエステルと1,2−ジアセトキシエチレン(さらには他のモノマー)を共重合するに当たっては、特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、分散重合、またはエマルジョン重合等の公知の方法を採用することができるが、通常は溶液重合が行われる。
溶液重合で用いられる溶媒としては、特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコールやアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等が挙げられ、工業的には、メタノールが好適である。溶媒の使用量は、目的とする共重合体の重合度に合わせて、溶媒の連鎖移動定数を考慮して適宜選択すればよい。
共重合時のモノマー成分の仕込み方法としては特に制限されず、一括仕込み、分割仕込み、連続仕込み等任意の方法が採用される。例えば、重合機に、ビニルエステルと1,2−ジアセトキシエチレン(さらには他のモノマー)、溶媒を添加し、攪拌下で加熱する方法等が挙げられる。
本発明における溶液重合の重合開始剤として特に制限はなく、通常アゾ系化合物(例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)や過酸化物系化合物等が用いられる。
さらに、連鎖移動剤類を添加して、脂肪族ビニルエステル重合体の重合度を調整することも可能である。連鎖移動剤類として、n−プロピルメルカプタン、sec−プロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、sec−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、n−ペンチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−デシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−オクタデシルカプタン、2−メルカプトエタノール、3−メルカプトプロパノール、3−メルカプトプロピオン酸およびその塩、メルカプトコハク酸およびその塩、2−エチルへキシル−(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、チオグリセロール、チオグリコール酸およびその塩、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート、エチレングリコールジチオグリコレート、アリルスルホン酸ソーダ、α−メチルスチレンダイマー、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジメチルベリリウム、ジエチルベリリウム、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジメチルカルシウム、ジエチルカルシウム、ジメチルバリウム、ジエチルバリウム等の金属アルキル連鎖移動剤等を挙げることができるが、これに限らない。これら連鎖移動剤類は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、共重合反応の反応温度は、特に制限がなく、重合系の圧力を加圧、減圧することで重合系の沸点を調整することも可能である。例えば、反応温度を、モノマー成分と重合溶媒の混合液の沸点以上としてもよく、具体的には、酢酸ビニル、1,2−ジアセトキシエチレン及びメタノールの混合液の場合、沸点が63℃であるため、65℃以上としてもよい。
本発明のポリビニルアルコール系樹脂は脂肪族ビニルエステルの重合体を公知の方法によって脱モノマーした後、公知の方法によってケン化することによって得られる。例えばアルコール系溶媒(メタノール等のアルコール類、又は酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類とアルコール類との混合溶媒)中で、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物やナトリウムメチラート等のアルコラート等をケン化触媒として用いた公知の方法によってケン化する方法が挙げられる。ケン化物の粉砕、分離、乾燥方法は特に制限はなく公知の方法で行われる。
本発明のポリビニルアルコール系樹脂の1,2−ジアセトキシエチレンの共重合割合(モル%)は、重合開始前の酢酸ビニル−1,2−ジアセトキシエチレン−メタノール溶液と重合終了時のポリマー−酢酸ビニル−1,2−ジアセトキシエチレン−メタノール溶液のH−NMR測定から、酢酸ビニル、1,2−ジアセトキシエチレンの消費量をもとに算出した。1,2−ジアセトキシエチレンの割合は、特に限定されないが、0.01〜20モル%が好ましく、さらには0.1〜15モル%が好ましく、特には0.2〜10モル%が好ましい。かかる導入量が0.01モル%未満では、水溶液としたときの粘度安定性が低下する傾向にあり好ましくなく、逆に20モル%を越えるとポリビニルアルコール系樹脂の重合度が低くなりすぎる傾向にあり、また経済的にも好ましくない。
本発明におけるポリビニルアルコール系樹脂のケン化度とは、ビニルエステル由来のエステル部分及び1,2−ジアセトキシエチレン由来のアセトキシ部分の水酸基への転化率(モル%)で表示される。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、すべてのエステル基の加水分解に要するアルカリ消費量より算出するJIS K 6726(1994)に準じ、計算式もJIS K 6726(1994)をそのまま適用した。ケン化度は、特に限定されないが、60モル%以上が好ましく、さらには70モル%以上が好ましく、特には80モル%以上、殊に95モル%以上が好ましい。かかるケン化度が60モル%未満では水溶性が低下して好ましくない。かかるケン化度の上限については用途によって多少変動し、水性ビニルウレタン用接着剤、紙加工剤(サイジング剤)、インクジェット用紙のインク受理層等への使用を目的とするときには99.0モル%未満とすることが好ましく、農薬や洗剤等の酸性、若しくはアルカリ性包装材料への適用へは、ケン化度が、99.0モル%以上が、フィルムの水溶解性が経時的に殆ど変化しないという特有の作用効果を示す点で特に好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度(JIS K6726(1994)に準拠して測定)は、特に限定されないが、150〜6000が好ましく、300〜3500がより好ましく、500〜2600が特に好ましい。かかる平均重合度が150未満ではフィルム用途等に用いたときには機械的強度が低下する恐れがあり、逆に平均重合度が6000を越えるときは1,2−ジアセトキシエチレンの共重合割合を高くすることができない場合がある。
本発明は、本発明の効果を奏する限り、本発明の技術的範囲内において、上記の構成を種々組み合わせた態様を含む。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
なお、得られたポリビニルアルコール系樹脂の分析は、以下の方法で行った。
(1)重合度;JIS K 6726(1994)に準じ、計算式もそのまま適用した。
(2)ケン化度;JIS K 6726(1994)に準じ、計算式もそのまま適用した。
(3)1,2−ジアセトキシエチレンの共重合割合:重合開始前の酢酸ビニル−1,2−ジアセトキシエチレン−メタノール溶液と重合終了時のポリマー−酢酸ビニル−1,2−ジアセトキシエチレン−メタノール溶液の1H-NMR測定から、反応に寄与しないメタノールの積分値をもとに酢酸ビニル、1,2−ジアセトキシエチレンの消費量を定量し、共重合割合を算出した。定量に用いた1H-NMRのピークとケミカルシフトは次の通り(DMSO-d6溶媒、TMS基準)。
メタノール:メチルプロトン(3.2ppm)
酢酸ビニル:メチンプロトン(7.2ppm)、
cis-1,2−ジアセトキシエチレン:メチンプロトン(6.8ppm)
trans-1,2−ジアセトキシエチレン:メチンプロトン(7.4ppm)
[実施例1]
攪拌機、還流冷却機、温度調節装置を備えた重合機に酢酸ビニル75質量部、1,2−ジアセトキシエチレン5質量部、メタノール20質量部を添加し、攪拌下で温度調節装置を75℃に保ち、重合溶液(混合液の沸点は約63℃)が沸騰した状態で、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.0045質量部を反応系に添加して重合反応を開始した。反応中も温度調節装置を75℃に保ち、重合溶液の沸騰を維持した。重合開始より3時間後、重合を終了した。重合転化率は70%であり、重合度は1710であり、1,2−ジアセトキシエチレンの共重合割合は2.9モル%であった。次いで、常法により脱モノマー、ケン化、粉砕、分離、乾燥して、ケン化度98.5モル%のPVAを得た。
[実施例2]
攪拌機、還流冷却機、温度調節装置を備えた重合機に酢酸ビニル60質量部、1,2−ジアセトキシエチレン5質量部、メタノール35質量部を添加し、攪拌下で温度調節装置を75℃に保ち、重合溶液(混合液の沸点は約63℃)が沸騰した状態で、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.015質量部を反応系に添加して重合反応を開始した。反応中も温度調節装置を75℃に保ち、重合溶液の沸騰を維持した。重合開始より6時間後、重合を終了した。重合転化率は90%であり、重合度は980であり、1,2−ジアセトキシエチレンの共重合割合は3.1モル%であった。次いで、常法により脱モノマー、ケン化、粉砕、分離、乾燥して、ケン化度98.5モル%のPVAを得た。
[実施例3]
攪拌機、還流冷却機、温度調節装置、連続添加・連続排出装置を備えた重合機に1時間当たり酢酸ビニル74質量部、ジアセトキシエチレン4質量部、メタノール22質量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.045質量部を連続的に添加し、攪拌下で温度調節装置を75℃に保ち、重合溶液(混合液の沸点は約63℃)が沸騰した状態で重合反応を開始した。反応開始より6時間後、重合機内のポリマー−酢酸ビニル−1,2−ジアセトキシエチレン−メタノール溶液の総量が600質量部に達した時点で、酢酸ビニル、ジアセトキシエチレン、メタノール、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルの連続添加の継続下、1時間当たりの添加量と同量のポリマー−酢酸ビニル−1,2−ジアセトキシエチレン−メタノール溶液を連続的に排出して連続反応に移行した。反応中も温度調節装置を75℃に保ち、重合溶液の沸騰を維持した。定常状態に達した後、平均滞留時間が6時間時の重合機出口での重合転化率は92%であり、重合度は580であり、1,2−ジアセトキシエチレンの共重合割合は2.4モル%であった。次いで、常法により脱モノマー、ケン化、粉砕、分離、乾燥して、ケン化度98.5モル%のPVAを得た。
[比較例1]
攪拌機、還流冷却機、温度調節装置を備えた重合機に酢酸ビニル80質量部、メタノール20質量部を添加し、攪拌下で温度調節装置を75℃に保ち、重合溶液(混合液の沸点は約60℃)が沸騰した状態で、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.003質量部を反応系に添加して重合反応を開始した。反応中も温度調節装置を75℃に保ち、重合溶液の沸騰を維持した。重合開始より3時間後、重合を終了した。重合転化率は70%であり、重合度は1810であった。次いで、常法により脱モノマー、ケン化、粉砕、分離、乾燥して、ケン化度98.5モル%のPVAを得た。
[比較例2]
攪拌機、還流冷却機、温度調節装置を備えた重合機に酢酸ビニル65質量部、メタノール35質量部を添加し、攪拌下で温度調節装置を75℃に保ち、重合溶液(混合液の沸点は約60℃)が沸騰した状態で、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.01質量部を反応系に添加して重合反応を開始した。反応中も温度調節装置を75℃に保ち、重合溶液の沸騰を維持した。重合開始より6時間後、重合を終了した。重合転化率は90%であり、重合度は1050であった。次いで、常法により脱モノマー、ケン化、粉砕、分離、乾燥して、ケン化度98.5モル%のPVAを得た。
[比較例3]
攪拌機、還流冷却機、温度調節装置、連続添加・連続排出装置を備えた重合機に1時間当たり酢酸ビニル78質量部、メタノール22質量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.03質量部を連続的に添加し、攪拌下で温度調節装置を75℃に保ち、重合溶液(混合液の沸点は約60℃)が沸騰した状態で重合反応を開始した。反応開始より6時間後、重合機内のポリマー−酢酸ビニル−メタノール溶液の総量が600質量部に達した時点で、酢酸ビニル、メタノール、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルの連続添加の継続下、1時間当たりの添加量と同量のポリマー−酢酸ビニル−メタノール溶液を連続的に排出して連続反応に移行した。反応中も温度調節装置を75℃に保ち、重合溶液の沸騰を維持した。定常状態に達した後、平均滞留時間が6時間時の重合機出口での重合転化率は92%であり、重合度は600であった。次いで、常法により脱モノマー、ケン化、粉砕、分離、乾燥して、ケン化度98.5モル%のPVAを得た。
(低温粘度の測定)
得られたPVA50gを水450gに加え、撹拌混合しながら室温より95℃まで昇温、95℃を2時間保持した後30℃まで冷却して濃度10%のPVA水溶液を作製した。30℃で粘度を測定した後、5℃に冷却し、所定の時間毎に粘度を測定し、下記式により増粘倍率を算出した。結果を下記表1に示す。
増粘倍率=5℃の粘度/30℃の粘度
×:ゲル化により粘度測定不能
Figure 0006193723
上記結果から、本発明の主鎖に1,2,3−トリオール基を有するポリビニルアルコール系樹脂は、樹脂を水溶液にした際の低温での経時的粘度安定性に抜群に優れることを確認した。
特にケン化度の高いポリビニルアルコール系樹脂を使用する用途において、水温の低い冬期等においても、時間と共に該水溶液の粘度の上昇がほとんどなく、作業性を大きく向上させ有用である。

Claims (6)

  1. ビニルエステルと1,2−ジアセトキシエチレンとの共重合体をケン化して得られることを特徴とする主鎖に1,2,3−トリオール基を有するポリビニルアルコール系樹脂。
  2. 1,2−ジアセトキシエチレンの共重合割合が、0.01〜20モル%であることを特徴とする請求項1に記載のポリビニルアルコール系樹脂。
  3. ケン化度が、95モル%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリビニルアルコール系樹脂。
  4. ビニルエステルと1,2−ジアセトキシエチレンとの共重合体をケン化することを特徴とする主鎖に1,2,3−トリオール基を有するポリビニルアルコール系樹脂の製造方法。
  5. 1,2−ジアセトキシエチレンの共重合割合が、0.01〜20モル%であることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
  6. ケン化度が、95モル%以上であることを特徴とする請求項4又は5に記載の製造方法。
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