JPH09316110A - 酢酸ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents
酢酸ビニル系重合体の製造方法Info
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- JPH09316110A JPH09316110A JP5902297A JP5902297A JPH09316110A JP H09316110 A JPH09316110 A JP H09316110A JP 5902297 A JP5902297 A JP 5902297A JP 5902297 A JP5902297 A JP 5902297A JP H09316110 A JPH09316110 A JP H09316110A
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Abstract
ニル単量体および酢酸ビニル単量体と共重合可能な他の
単量体の共重合により酢酸ビニル系重合体を製造するに
際して、重合開始剤として60℃における半減期が10
〜110分の有機過酸化物を用い、且つ重合液中にヒド
ロキシカルボン酸及び多価カルボン酸から選ばれた少な
くとも1種のカルボン酸又はその塩を存在せしめること
を特徴とする酢酸ビニル系重合体の製造方法。 【効果】 本発明のPVAcの製造方法によれば、PV
Acをケン化した場合に生成するケン化廃液中に含まれ
る溶解成分が減少し、PVAcをケン化して得られたP
VAの溶液を調整するに際し溶媒への未溶解分が減少
し、PVAcをケン化して得られたPVA溶液の透明性
が向上し、さらにPVAcをケン化して得られたPVA
の臭気が減少するPVAcが得られる。
Description
(以下、「VAc」と略記する)の単独重合又はVAc
およびVAcと共重合可能な他の単量体の共重合による
酢酸ビニル系重合体(以下、共重合したものも含めて
「PVAc」と略記する)の製造方法に関する。
重合法、塊状重合法、懸濁重合法および乳化重合法等が
知られている。その際、重合開始剤としては、過硫酸カ
リウム等の過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル等の
アゾ系化合物及びベンゾイルパーオキシド等の有機過酸
化物が一般的に用いられている。VAcを重合して得ら
れたPVAcはケン化されることにより、工業的に有用
なポリビニルアルコール(以下、共重合したものも含め
て「PVA」と略記する)に変換されている。
「公知事項A」と略記する)には、重合開始剤として特
定の有機過酸化物が開示されている。また、特開昭58
−222102号公報(以下、「公知事項B」と略記す
る)には、メタノール又は第三級ブチルアルコールを重
合溶媒に用いて、60℃における半減期が2時間以下の
ラジカル開始剤を用いて、エチレンとVAcとを共重合
して得られた共重合体のケン化物は、表面特性に優れた
フィルムが得られる旨開示されている。また、特公昭3
7−10590号公報(以下、「公知事項C」と略記す
る)には、特定の有機酸又はその塩を添加してVAcを
溶液重合して得られたPVAcをケン化することによ
り、白度の良好なPVAが得られる旨開示されている。
また、特公平36−16446号公報(以下、「公知事
項D」と略記する)には、有機酸を添加してVAcを溶
液重合して得られたPVAcをケン化することにより、
PVAの重合度低下が減少する旨開示されている。しか
しながら、上記の公知事項A〜Dに開示された従来の重
合方法により得られたPVAcをケン化した場合には、
ケン化廃液中に溶解成分が多く含まれるようになり、環
境汚染、廃液処理時のフィルター詰まり及び処理費用の
増加などの問題が生じていた。PVAは、通常、水など
の溶媒に溶解され、溶液の形態で使用されることが多
い。しかしながら、従来の重合方法により得られたPV
Aは、水などの溶媒への未溶解分が増加し、水溶液など
にした場合には、その溶液の透明性が低下するという問
題があった。また、過硫酸塩、アゾ系化合物又は有機過
酸化物を重合開始剤に用いて得られたPVAは、加温し
た時などに臭気が発生するという問題があった。
Acをケン化した場合に生成するケン化廃液中に含まれ
る溶解成分が減少し、PVAcをケン化して得られたP
VA溶液を調整するに際しPVAの溶媒への未溶解分が
減少し、PVAcをケン化して得られたPVA溶液の透
明性が向上し、さらにPVAcをケン化して得られたP
VAの臭気が減少するPVAcが得られるPVAcの製
造方法を提供することにある。
を解決するために鋭意検討した結果、酢酸ビニル単量体
の単独重合又は酢酸ビニル単量体および酢酸ビニル単量
体と共重合可能な他の単量体の共重合により酢酸ビニル
系重合体を製造するに際して、重合開始剤として60℃
における半減期が10〜110分の有機過酸化物を用
い、且つ重合液中にヒドロキシカルボン酸及び多価カル
ボン酸から選ばれた少なくとも1種のカルボン酸又はそ
の塩を存在せしめることを特徴とする酢酸ビニル系重合
体の製造方法を見出し、本発明を完成させるに至った。
としては、VAc単独の他に、VAcと共重合可能な他
の単量体が挙げられる。しかしながら、共重合成分を少
なくすることが好ましく、VAcの単独使用が特に好ま
しい。VAcと共重合可能な他の単量体としては、エチ
レン、プロピレン等のオレフィン、7−オクテン−1−
オ−ル等のヒドロキシオレフィン、(メタ)アクリル酸
メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル
酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アク
リル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エス
テル、アリルアセテート、塩化アリル等のアリル化合
物、(メタ)アクリロニトリル、ビニルトリメトキシシ
ラン等のノニオン性単量体;イタコン酸、マレイン酸、
無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸、フマール酸、ク
ロトン酸、(メタ)アリルスルホン酸等のアニオン性単
量体;3−(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチル
アンモニウムクロライド等のカチオン性単量体が挙げら
れる。
は、50〜30000が好ましく、100〜20000
がより好ましく、200〜5000が特に好ましい。な
お、本発明における重合度とは、PVAcをケン化して
得られるPVAの重合度をいう。本発明により得られる
PVAcからは、完全ケン化物及び部分ケン化物が得ら
れる。PVAのケン化度としては、60モル%以上が好
ましく、70〜99.9モル%がより好ましい。
における半減期が10〜110分の有機過酸化物であ
る。有機過酸化物の半減期は、15〜100分が好まし
く、20〜80分がより好ましい。
キシド(IBP)、ジ−イソプロピルパーオキシジカー
ボネート(IPPDC)、ジ−アリルパーオキシジカー
ボネート(APDC)、ジ−n−プロピルパーオキシジ
カーボネート(NPPDC)、ジ−ミリスチルパーオキ
シジカーボネート(MSPDC)、ジ(2−エトキシエ
チル)パーオキシジカーボネート(EEPDC)、ジ
(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート(E
HPDC)、ジ(メトキシイソプロピル)パーオキシジ
カーボネート(MIPPDC)が挙げられる。これらの
中でも、パーオキシジカーボネートが特に好ましい。な
お、以下の記載においては、有機過酸化物の名称を上記
の括弧内の略号を用いて表記する。
酸化物の活性低下防止、重合の安定性及び取扱い時の安
全性の確保の観点から、適当な溶媒で希釈して重合槽に
供給する方法が好ましい。希釈用の溶媒としては、メタ
ノール等の低級脂肪族アルコール、イソパラフィン等の
脂肪族系炭化水素、ジメチルフタレート等の芳香族系炭
化水素、およびこれらの混合溶媒が挙げられる。具体的
には、IBP、IPPDC、APDC、EEPDC及び
EHPDC等の場合には、イソパラフィン等の脂肪族系
炭化水素が好ましい。また、NPPDC、MSPDC、
MIPPDC、EHPDC等の場合には、メタノール等
の低級脂肪族アルコールが好ましい。
(共重合体の場合には単量体の合計量)1モルに対し
て、1×10-3〜1×10-7モルが好ましく、5×10
-4〜1×10-6モルがより好ましい。有機過酸化物の供
給量が上記の上限値よりも大である場合には、PVAの
溶媒への未溶解分が増加したり、PVAの臭気が増加す
る可能性がある。一方、有機過酸化物の供給量が上記の
下限値よりも小である場合には、重合率の変動が増大
し、安定な連続生産が困難となる可能性がある。
及び多価カルボン酸としては、グリコール酸、乳酸、グ
リセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、サリチル
酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、蓚酸
及びグルタル酸等が挙げられる。これらの中でも、特に
脂肪族飽和ヒドロキシカルボン酸が好ましく、脂肪族飽
和ヒドロキシ多価カルボン酸が特に好ましい。上記のカ
ルボン酸は塩の形態であっても良く、アルカリ金属塩、
アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩等が挙げられ
る。また、多価カルボン酸の場合には、カルボン酸の一
部が塩を形成したもの及びカルボン酸の全部が塩を形成
したものでもよい。しかしながら、本発明においては、
塩を形成しない遊離のカルボン酸が特に好ましい。カル
ボン酸の供給量としては、VAcの単位重量当たり1〜
500ppmが好ましく、3〜300ppmがより好ま
しく、5〜200ppmが特に好ましい。
酸をそのまま重合槽を供給する方法、溶液の形態で重合
槽へ供給する方法、重合前に酢酸ビニル等の単量体に予
め添加しておく方法、重合開始剤と共に重合槽へ供給す
る方法、これらの方法を併用する方法が挙げられる。本
発明はバッチ式重合法においても効果を発揮するが、連
続式重合法、特に連続式溶液重合法の場合に、最も良く
その効果を発揮する。
明する。なお、以下の実施例において特に断りのない限
り、「%」は「重量%」を意味する。
始剤に対して不活性な溶媒、例えばベンゼン等を用い
て、重合開始剤の濃度が0.05〜0.1モル/リット
ルの溶液を調整し、ガラス管中に注入、窒素置換して密
封後、60℃に設定した恒温槽中に入れる。一定時間経
過した後、重合開始剤の濃度を公知の方法にて測定し、
経過時間と重合開始剤濃度の関係から重合開始剤の濃度
が初期濃度の二分の一となる時間を半減期とする。
採用すれば良いが、例えば有機過酸化物の定量分析法と
しては次の方法を例示することができる。 [有機過酸化物の定量分析法]フラスコに、試料(有機
過酸化物)約0.5g当り、イソプロピルアルコール3
0ml、氷酢酸2ml、飽和ヨウ化カリウム溶液2ml
の割合で、各薬液をこの順序で入れ、次に精秤した試料
(有機過酸化物)を入れる。フラスコに還流冷却器を取
り付け、熱板上にて3分間穏やかに沸騰させる。還流冷
却器をフラスコから取り外し、直ちにチオ硫酸ナトリウ
ムを用いてヨードの色が消えるまで滴定し、その滴定量
から有機過酸化物の量を計算により求める。
℃にて蒸発乾固し、残渣の重量を測定した。残渣の重量
を、PVAcをケン化して得られたPVAの単位重量当
りの百分率に換算した。 (2)PVAの溶媒への未溶解分 PVAを濃度10%になるように溶媒に投入し、90℃
で1時間の溶解操作を行った。得られた溶液を250メ
ッシュの金網で濾過し、金網上に残った未溶解分の重量
を測定した。未溶解分の重量を、PVAの単位重量当り
のPPMに換算した。PVAが水溶性の場合には溶媒と
して水を使用し、PVAが水不溶性の場合または水に難
溶性の場合には適宜良好な溶媒(例:ジメチルスルホキ
シド、水/イソプロピルアルコール混合溶媒)を選択す
る。 (3)PVA溶液の透明度 株式会社島津製作所製のD型光電管比色計を用いて、
(2)項において得られた濃度10%のPVA溶液の透
明度を温度20℃にて測定する。 (4)PVAの臭気 PVA20gをガラス製試験管(内径4cm,高さ11
cm)に投入、密栓し、95℃のウォーターバス中で3
時間加熱する。次に、20℃に冷却し開封した後、直ち
に試験管中において発生した臭気の強弱を官能的に評価
する。評価は5名のパネラーが行い、その平均値を評価
結果とする。評価結果を下記の記号で示す。 ◎:臭気が弱く極めて良好 ○:良好 △:やや不良 ×:臭気が強く極めて不良
る容量10リットルの重合槽を用いて、重合開始剤とし
てジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート(IPP
DC)を用い、ヒドロキシカルボン酸として乳酸を用
い、VAcを下記の条件で連続重合した。 VAc 1000g/hr 乳酸0.04%メタノール溶液供給量 50g/hr IPPDC0.08%メタノール溶液供給量 50g/hr メタノール供給量 150g/hr 重合温度 60℃ 平均滞留時間 5hr 次に、重合溶液をVAcの追出塔の中段に供給し、且つ
塔底部よりメタノール蒸気を供給して、塔頂部より未反
応のVAcを追い出し、PVAcのメタノール溶液を得
た。得られたPVAcのメタノール溶液に、水酸化ナト
リウムを加えて温度40℃にてケン化し、120℃,2
時間乾燥することにより、重合度1700、ケン化度9
8.5モル%のPVAを得た。評価結果を表1に示す。
は、実施例1と同様にしてVAcを重合することにより
PVAcを得た。次に、実施例1と同様にして、PVA
cのメタノール溶液を調整し、ケン化することにより、
PVAを得た。評価結果を表1及び表2に示す。
ト IPPDC :ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネ
ート NPPDC :ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネ
ート EHPDC :ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジ
カーボネート EEPDC :ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジ
カーボネート MIPPDC:ジ(メトキシイソプロピル)パーオキシ
ジカーボネート LP :ラウロイルパーオキシド AIBN :アゾビスイソブチロニトリル AP :アセチルパーオキシド
PVAcをケン化した場合に生成するケン化廃液中に含
まれる溶解成分が減少し、PVAcをケン化して得られ
たPVAの溶液を調整するに際し溶媒への未溶解分が減
少し、PVAcをケン化して得られたPVA溶液の透明
性が向上し、さらにPVAcをケン化して得られたPV
Aの臭気が減少するPVAcが得られる。
Claims (3)
- 【請求項1】 酢酸ビニル単量体の単独重合又は酢酸ビ
ニル単量体および酢酸ビニル単量体と共重合可能な他の
単量体の共重合により酢酸ビニル系重合体を製造するに
際して、重合開始剤として60℃における半減期が10
〜110分の有機過酸化物を用い、且つ重合液中にヒド
ロキシカルボン酸及び多価カルボン酸から選ばれた少な
くとも1種のカルボン酸又はその塩を存在せしめること
を特徴とする酢酸ビニル系重合体の製造方法。 - 【請求項2】 有機過酸化物がパーオキシジカーボネー
トである請求項1記載の酢酸ビニル系重合体の製造方
法。 - 【請求項3】 カルボン酸がヒドロキシ多価カルボン酸
である請求項1または2記載の酢酸ビニル系重合体の製
造方法。
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JP8-77829 | 1996-03-29 | ||
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