JP4707897B2 - アゾ分散染料混合物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分散アゾ染料の混合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
公知のアゾ染料は、以下の式
【化13】
Figure 0004707897
で表わされるC.I.ディスパースオレンジ37である。この染料は、例えば、CH−A−0406481に開示されている。商業的には、この染料は、様々な色調を得るべく、他の染料と混合されてきた。しかしながら、この染料は、皮膚刺激物として作用することが見出された。
【0003】
アゾ染料の混合物は、DE−A−4304744およびBE−A−0592096にも開示されている。
【0004】
DE−A−4304744には、
(a)式
【化14】
Figure 0004707897
〔式中、
1は、存在しないか、あるいはC1 6アルキル、C1 6アルコキシ、または任意に置換されたC1 8アルキルアミノもしくはC3 4アルケニルアミノであり、
2およびY3は、それぞれ独立して、水素または任意に置換されたC1 6アルキルである。〕
で表わされる1種以上のアゾ染料10〜90wt%と、
(b)(b1)式
【化15】
Figure 0004707897
で表わされるアゾ染料成分および場合により(b2)式
【化16】
Figure 0004707897
で表わされるアゾ染料成分を10〜90wt%と、ここで、染料成分(b1)は、成分(b)を基準にして、50〜100wt%の量で存在し、染料成分(b2)は、0〜50wt%の量で存在する、
(c)式(c1)または(c2
【化17】
Figure 0004707897
〔式中、
c 1は、ニトロであるかまたはヒドロキシにより任意に置換されたC1 6アルキルスルホニル基であり;
c 2およびRc 3は、それぞれ独立して、存在しないかあるいは塩素または臭素であり;
c 4およびRc 5は、それぞれ独立して、存在しないかあるいは塩素であり;
c 6およびRc 7は、それぞれ独立して、水素であるかあるいは任意に置換されたC1 4アルキル基またはフェニル基であるが、Rc 2およびRc 3が存在しないかまたは塩素であるときは、Rc 6およびRc 7は、これ以外にシアノエチルであってもよい。〕
で表わされる1種以上のアゾ染料0〜70wt%と、
を含んでなる染料混合物が開示されている。
【0005】
BE−A−0592096には、式
【化18】
Figure 0004707897
〔式中、
Dは、水素*であるか、あるいは塩素、臭素、シアノ、トリフルオロメチル、またはニトロであり;
Dは、水素*、塩素、臭素、または低分子量アルキルであり;
Dは、例として水素*またはメチルが挙げられ(これ以外の定義はなされていない);
Dは、水素*または低分子量アルキルであり;
D 1は、低分子量アルキル、アルコキシアルキル、またはアシルオキシアルキルであり;
Dは、ゼロまたは1であり;
Dは、ゼロまたは1であり;そして
D 2の内容は、nDがゼロかつmDが1のときRD 2がアシルオキシアルキルであり、mDがゼロかつnDが1のときRD 2がシアノエチルであるように決められる。〕
で表わされる染料が開示されている。
【0006】
BE−A−0592096にはまた、上記の式(d)〔式中、特に、nDはゼロであり、mDは1であり、YDはNHCOCH3であり、そしてRD 2はアシルオキシアルキルである。〕で表わされる染料と、式(e)
【化19】
Figure 0004707897
〔式中、
Eは、水素*、塩素、または臭素であり;
Eは、塩素、臭素、シアノ、またはトリフルオロメチルであり;
E 4は、水素*、メチル、エチル、または塩素であり;そして
1は、低分子量アルキル、アルキルオキシアルキル、またはアシルオキシアルキルである。〕
で表わされる染料との混合物も開示されている。
【0007】
*BE−A−0592096では、UD、XD、YD、ZD、VE、およびRE 4のそれぞれに対する可能な置換基として「水素」を挙げているが、これは単にそのような置換基が存在しないことを示すことを意図したことは明らかであると思われる。
【0008】
なお、BE−A−0592096中には、式(e)〔式中、VEおよびWEは、塩素原子または臭素原子であり、そしてRE 1は、低分子量アルキル基である。〕で表わされる染料についての開示がないことは注意すべきである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、皮膚刺激性がなくかつ優れた染色特性を示す染料混合物を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
驚くべきことに、本発明者らは、成分がいかなる気づくことができる皮膚刺激をも引き起こさず、しかも優れた耐熱堅牢性、高い色強度、および優れたビルドアップ特性のうちの少なくとも一つを与える一連の染料混合物を見出した。
【0011】
かくして、本発明は、少なくとも以下の(1)または(2)の染料混合物からなることを特徴とする染料混合物を提供する。
(1):以下の式(I)、
【化14】
Figure 0004707897
〔式中、
XおよびXは、それぞれ独立して、塩素または臭素であり;
は、水素またはC1〜4アルキルであり;そして
は、n−ブチルまたはシアノエチルであり、R はシアノエチルである。〕で表される少なくとも1種のアゾ染料(A)と;
以下の式(II)、
【化15】
Figure 0004707897
〔式中、
は、水素あるいは塩素または臭素であり;
およびRは、それぞれ独立して、水素、C1〜4アルキル、アリル、またはアシルオキシアルキルであり;
は、C1〜4アルキルまたはNHCOY(式中、Yは、水素、C1〜4アルキル、またはNHである。)であり;そして
は、C1〜4アルコキシである。〕で表される少なくとも1種のアゾ染料(B)と;
さらに、少なくとも、式(I)においてR水素であり、かつ式(II)においてXが臭素であり、RはNHCOY(式中、Yはメチルである。)であり、Rはメトキシであり、かつRおよびRはいずれもアリルであるかまたはRおよびRのうちの一方はアリルであり他方は水素である場合には、
以下の式(III)、
【化16】
Figure 0004707897
〔式中、
は、水素あるいは塩素または臭素であり;
は、C1〜4アルキルまたはNHCOY(式中、Yは、水素、C1〜4アルキル、またはNHである。)であり;そして
およびR10は、それぞれ独立して、水素、C1〜4アルキル、アリル、またはアシルオキシアルキルである。〕で表される少なくとも1種のアゾ染料(C)と、
を含む染料混合物;または
(2):上に提示および規定した式(I)で表わされる少なくとも1種のアゾ染料(A)と、
以下の式(IV)、
【化17】
Figure 0004707897
〔式中、
11は、水素またはC1〜4アルキルであり;
12は、水素、シアノ、ヒドロキシル、OCOR14、またはOCOOR14(式中、R14は、C1〜4アルキル、アリール、またはアラルキルである。)であり;
13は、ヒドロキシルまたはOCOR14(式中、R14は先に規定した通りである。)であり;そして
mおよびnは、それぞれ独立して、1、2、3、または4である。〕で表される少なくとも1種のアゾ染料(D)と、
を含む染料混合物。
【0012】
アルキル基は、直鎖であっても分枝鎖であってもよく、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、またはtert−ブチルが挙げられる。このことは、アシルオキシアルキル残基、アルコキシ残基、およびアラルキル残基中のアルキル基についても当てはまる。アシルオキシアルキル中のアシルは、好ましくは、COY〔式中、YはC1 4アルキルである。〕である。アリールは、好ましくは、フェニルおよびナフチルである。アラルキルは、好ましくは、ベンジルおよびフェネチルである。
【0013】
本発明を具体化する一つの好ましい部類の染料混合物において、式(I)で表わされる染料は、式
【化24】
Figure 0004707897
〔式中、
XおよびX1は、それぞれ独立して、塩素または臭素であり、そして
2は、n−ブチルまたはシアノエチルである。〕
を有し、そしてこの混合物には、先に提示および規定した式(II)で表わされる染料と、場合により、同様に先に提示および規定した式(III)で表わされる染料とが更に含まれる。
【0014】
そのような染料混合物において、式(I)1で表わされる特に好ましい染料は、式(1)
【化25】
Figure 0004707897
を有する。そのような染料は、皮膚を刺激することがなく、しかも混合物に優れた耐熱堅牢性を付与する。
【0015】
特に、本発明の混合物に先に提示および規定した式(I)1で表わされる染料が含まれる場合、混合物中の式(II)で表わされる好ましい染料は、式(II)1
【化26】
Figure 0004707897
〔式中、
2は、塩素または臭素であり、そして
7は、メトキシまたはエトキシである。〕
を有する。
【0016】
式(I)1および(II)1で表わされる染料を含んでなる混合物中に式(III)で表わされる染料が含まれる必要はないが、異なる色調が要求される場合には、そのような染料を添加してもよい。
【0017】
それぞれ式(I)1および(II)1で表わされる染料成分の染料混合物には、式(I)1および(II)1で表わされる染料の混合物の重量を基準にして、好ましくは、式(I)1で表わされる染料が両端の値を含めて15〜75%および式(II)1で表わされる染料が両端の値を含めて25〜85%含まれ、より好ましくは、式(I)1で表わされる染料が両端の値を含めて30〜60%および式(II)1で表わされる染料が両端の値を含めて40〜70%含まれる。
【0018】
一方、式(II)1で表わされる染料成分を含んでなる染料混合物中に式(III)で表わされる染料が更に存在する場合、この染料成分は、好ましくは、式(III)1
【化27】
Figure 0004707897
〔式中、
3は、塩素または臭素であり、
Yは、メチルまたはエチルであり、そして
9およびR10は、それぞれ独立して、エチルまたはアリルである。〕
を有する。
【0019】
そのような染料混合物において、式(II)で表わされる染料は、好ましくは、染料(II)2〔式中、X2は、塩素であり、R4およびR5は、それぞれ独立して、エチル、アリル、またはアセトキシエチルであり、R6は、NHCOY基(式中、Yは、メチルまたはエチルである。)であり、そしてR7は、C1 6アルコキシである。〕である。
【0020】
本発明を具体化する特に好ましい染料混合物では、式(I)1において、R1は存在せず、R2はn−ブチルであり、R3はシアノエチルであり、そしてXおよびX1はいずれも塩素であり;式(II)において、X2は臭素であり、R6はNHCOY基(式中、Yはメチルである。)であり、R7はメトキシであり、そしてR4およびR5はいずれもアリルであり;かつ式(III)1において、X4は臭素であり、R8はNHCOY基(式中、Yはメチルである。)であり、そしてR9およびR10はいずれもエチルである。
【0021】
それぞれ式(I)1、(II)、および(III)1で表わされる各染料成分を含んでなる染料混合物には、式(I)1、(II)、および(III)1で表わされる染料の混合物の重量を基準にして、
式(I)で表わされる染料が両端の値を含めて5〜50%;
式(II)で表わされる染料が両端の値を含めて5〜75%;および
式(III)で表わされる染料が両端の値を含めて5〜75%含まれ;より好ましくは
式(I)で表わされる染料が両端の値を含めて5〜25%;
式(II)で表わされる染料が両端の値を含めて15〜50%;および
式(III)で表わされる染料が両端の値を含めて30〜60%含まれる。
【0022】
本発明を具体化するこのほかの好ましい部類の染料混合物では、式(I)で表わされる染料において、R1は、C1 4アルキル、より好ましくはメチルである。そのような染料は、以下の染料(I)2として表わされる。そのような好ましい染料は、式(2)
【化28】
Figure 0004707897
を有する。そのような染料は、本発明を具体化する染料混合物、特に、黒色の混合物に、とりわけ高い色強度を与える。
【0023】
特に、本発明の混合物に染料(I)2が含まれる場合、混合物中の式(II)で表わされる好ましい染料は、式
【化29】
Figure 0004707897
〔式中、
2は、塩素または臭素であり、そしてR7は、メトキシまたはエトキシである。〕
を有する。
【0024】
式(I)2および(II)1で表わされる染料を含んでなる混合物中に式(III)で表わされる染料が含まれる必要はないが、異なる色調が要求される場合には、そのような染料を添加してもよい。
【0025】
それぞれ式(I)2および(II)1で表わされる染料成分の染料混合物には、式(I)2および(II)1で表わされる染料の混合物の重量を基準にして、好ましくは、式(I)2で表わされる染料が両端の値を含めて15〜75%および式(II)1で表わされる染料が両端の値を含めて25〜85%含まれ、より好ましくは、式(I)2で表わされる染料が両端の値を含めて30〜60%および式(II)1で表わされる染料が両端の値を含めて40〜70%含まれる。
【0026】
一方、式(I)2および(II)1で表わされる染料成分を含んでなる染料混合物中に式(III)で表わされる染料が更に存在する場合、この染料成分は、好ましくは、式(III)2
【化30】
Figure 0004707897
〔式中、
3は、塩素または臭素であり、そして
9およびR10は、それぞれ独立して、エチルまたはアリルである。〕
を有する。
【0027】
そのような染料混合物において、式(II)で表わされる染料は、好ましくは、染料(II)2〔式中、X2は、塩素であり、R4およびR5は、それぞれ独立して、エチル、アリル、またはアセトキシエチルであり、R6は、NHCOY基(式中、Yは、メチルまたはエチルである。)であり、そしてR7は、C1 6アルコキシである。〕である。
【0028】
本発明を具体化する特に好ましい染料混合物では、式(I)2において、XおよびX1はいずれも塩素であり、R1はメチルであり、R2はエチルであり、そしてR3はシアノエチルであり;式(II)2において、X2は塩素であり、R4およびR5はいずれもアリルであり、R6はNHCOY基(式中、Yはメチルである。)であり、そしてR7はメトキシであり;かつ式(III)2において、X3は塩素であり、そしてR8およびR9はいずれもエチルである。
【0029】
それぞれ式(I)2、(II)2、および(III)2で表わされる各染料成分を含んでなる染料混合物には、式(I)2、(II)2、および(III)2で表わされる染料の混合物の重量を基準にして、
式(I)2で表わされる染料が両端の値を含めて5〜50%;
式(II)2で表わされる染料が両端の値を含めて5〜75%;および
式(III)2で表わされる染料が両端の値を含めて5〜75%含まれ;より好ましくは
式(I)2で表わされる染料が両端の値を含めて5〜25%;
式(II)2で表わされる染料が両端の値を含めて15〜50%;および
式(III)2で表わされる染料が両端の値を含めて30〜60%含まれる。
【0030】
本発明を具体化するもう一つの好ましい部類の染料混合物において、式(I)で表わされる染料は、式
【化31】
Figure 0004707897
〔式中、
XおよびX1は、それぞれ独立して、塩素または臭素であり、そして
2は、n−ブチルまたはシアノエチルである。〕
を有し、そしてこの混合物には、先に提示および規定した式(IV)で表わされる染料が更に含まれる。
【0031】
そのような染料混合物において、式(I)1で表わされる特に好ましい染料は、式
【化32】
Figure 0004707897
を有する。式(I)および(IV)で表わされる染料成分を含んでなるそのような染料混合物は、特に良好なビルドアップ特性を有する。
【0032】
本発明を具体化する特に好ましい染料混合物では、式(I)1において、XおよびX1はいずれも塩素であり、R1は存在せず、R2はn−ブチルであり、そしてR3はシアノエチルであり;かつ式(IV)において、R11は水素であり、R12はシアノであり、R13はアセトキシであり、そしてmおよびnはいずれも2である。
【0033】
それぞれ式(I)1および(IV)で表わされる各染料成分を含んでなる染料混合物には、式(I)1および(IV)で表わされる染料の混合物の重量を基準にして、好ましくは、式(I)1で表わされる染料が両端の値を含めて10〜90%および式(IV)で表わされる染料が両端の値を含めて10〜90%含まれ、より好ましくは、式(I)1で表わされる染料が両端の値を含めて25〜75%および式(IV)で表わされる染料が両端の値を含めて25〜75%含まれる。
【0034】
式(I)〜(IV)で表わされるすべての染料は、ジアゾ化およびカップリングにより従来の方法で調製することができる。
【0035】
この場合、式(I)で表わされる染料は、式(V)
【化33】
Figure 0004707897
〔式中、XおよびX1は、それぞれ独立して、塩素原子または臭素原子である。〕
で表わされるアミンをジアゾ化し、そしてジアゾ化されたアミンを、式(VI)
【化34】
Figure 0004707897
〔式中、R1、R2、およびR3は、それぞれ、先に規定した通りである。〕
で表わされるカップリング成分にカップリングさせることによって、調製することが可能である。
【0036】
式(II)で表わされる染料は、式(VII)
【化35】
Figure 0004707897
〔式中、X2は、存在しないかあるいは塩素または臭素である。〕
で表わされるアミンをジアゾ化し、そしてジアゾ化されたアミンを、式(VIII)
【化36】
Figure 0004707897
〔式中、R4、R5、R6、およびR7は、それぞれ、先に規定した通りである。〕で表わされるカップリング成分にカップリングさせることによって、調製することが可能である。
【0037】
式(III)で表わされる染料は、式(IX)
【化37】
Figure 0004707897
〔式中、X3は、存在しないかあるいは塩素または臭素である。〕
で表わされるアミンをジアゾ化し、そしてジアゾ化されたアミンを、式(X)
【化38】
Figure 0004707897
〔式中、R8、R9、およびR10は、それぞれ、先に規定した通りである。〕
で表わされるカップリング成分にカップリングさせることによって、調製することが可能である。
【0038】
式(IV)で表わされる染料は、式(XI)
【化39】
Figure 0004707897
で表わされるアミンをジアゾ化し、そしてジアゾ化されたアミンを、式(XII)
【化40】
Figure 0004707897
〔式中、R11、R12、R13、m、およびnは、それぞれ、先に規定した通りである。〕
で表わされるカップリング成分にカップリングさせることによって、調製することが可能である。
【0039】
上記のジアゾ化反応およびカップリング反応において、ジアゾ化は、場合により氷酢酸またはリン酸/酢酸混合物で希釈された好ましくはニトロシル硫酸であるジアゾ化剤を用いて、かつ好ましくは0〜10℃、より好ましくは0〜5℃の温度で、かつ好ましくは1未満(例えば、0.5)から7までのpH、より好ましくは0.5〜1のpHで行われ、続いて、染料を単離するために、pHは3〜4まで増大される。
【0040】
式(I)で表わされる少なくとも1種の染料(成分A)、式(II)で表わされる少なくとも1種の染料(成分B)、および場合により式(III)で表わされる少なくとも1種の染料を含んでなる本発明の(1)を具体化する染料混合物、あるいは式(I)で表わされる少なくとも1種の染料(成分A)および式(IV)で表わされる少なくとも1種の染料(成分D)を含んでなる本発明の(2)を具体化する染料混合物には、少なくとも1種の他の染料(成分E)、特に、黄色、帯緑黄色、橙色、赤色、または濃紺または黒色の色調を生成することのできる褐色の染料が更に含まれていてもよい。そのような他の染料は、全染料を基準にして、好ましくは、10%までの重量(しかし、10%を超えない重量)、より好ましくは2〜6重量%の量で存在する。
【0041】
特に、式(I)、(II)、および(III)で表わされる染料の混合物を用いて黒色を与えるための混合物の場合、全染料の重量を基準にして10%まで、より好ましくは2〜6%の量で存在させうる帯緑黄色の染料を添加することが好適である。この帯緑黄色の染料は、典型的には、5−(2’−ニトロ)フェニルアゾ−6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−N−エチルピリド−2−オンまたは5−(2’,3’−ジクロロ)フェニルアゾ−6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−N−メチルピリド−2−オンであってよい。
【0042】
本発明を具体化する混合物は、例えば、所要の量のそれぞれの染料成分を混合することによって調製することができる。好適な混合方法としては、以下の方法が挙げられる。
【0043】
1)共結晶化法
典型的には、例えば、染料を好適な溶剤中に添加し、そして染料が溶解するまで溶剤の還流温度まで加熱することによって、熱溶剤に染料を溶解させ、その後、ろ過して溶液とし、次いで、溶液を冷却して結晶を生成させる。次に、得られた混合物を、混練や噴霧乾燥などの更なる処理に付してもよい。この方法に好適な溶剤の例は、芳香族炭化水素、塩素化炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、アルコール、アミド、スルホキシド、エステル、ケトン、エーテルなどの有機溶剤である。有機溶剤の具体例は、トルエン、エチルセロソルブ、アセトン、クロロベンゼン、ピリジン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エチルアセテート、ベンゼン、テトラヒドロフラン、およびシクロヘキサンである。共結晶化法は、一般に、2種を超える成分を含有する混合物には適していない。
【0044】
2)共混練法
(a)染料を混合してから一緒に混練することにより均質ブレンドを形成し、次に、噴霧乾燥させて固体混合物を得るか;または
(b)各染料を別々に混練し、次いで、所要比で混合してから噴霧乾燥させる。
【0045】
3)ドライブレンド法
各染料を別々に噴霧乾燥させ、次に、ドライブレンド処理により所要比で混合する。
【0046】
本発明を具体化する混合物は、吸尽染色、パジング、または捺染により合成繊維材料およびその繊維ブレンドを着色するのに価値のある特に有用な分散染料を提供し、そしてその目的のために分散物にすることが可能である。この混合物はまた、例えば、織布および不織布のインクジェット捺染、染料拡散、熱転写捺染、およびプラスチックの着色にも使用することが可能である。
【0047】
本発明の特定の態様では、染料(I)、(II)、および場合により(III)を含む(1)の組成物、または染料(I)および(IV)を含む(2)の組成物が提供され、これらの組成物には、さらに場合により、少なくとも1種の他の分散染料と、さらに、場合によりこのほかに、分散剤、界面活性剤、または湿潤剤のような着色用途で慣用される少なくとも1種の成分が含まれる。これらの組成物には、典型的には、液体媒質中、好ましくは水性媒質中、または固体媒質中に、全染料混合物が1%〜65%、好ましくは10%〜60%、より好ましくは20%〜55%含まれる。液体組成物は、好ましくはpH2〜7、より好ましくはpH4〜6に調節される。
【0048】
分散剤の典型的な例は、リグノスルホネート、ナフタレンスルホン酸/ホルムアルデヒド縮合物、およびフェノール/クレゾール/スルファニル酸/ホルムアルデヒド縮合物であり、湿潤剤の典型的な例は、スルホン化またはリン酸処理(phosphated)されていてもよいアルキルアリールエトキシレートであり、そして存在しうる他の成分の典型的な例は、無機塩、鉱油またはノナノールのような脱泡剤、有機液体、および緩衝剤である。分散剤は、染料混合物の重量を基準にして10%〜200%存在させることが可能である。湿潤剤は、染料混合物の重量を基準にして0%〜20%の量で使用することが可能である。
【0049】
上記組成物は、水性媒質中でガラスビーズまたは砂と一緒に染料混合物をビーズ混練することによって調製することが可能である。また、組成物には、分散剤、充填剤、および他の界面活性剤を更に添加することが可能であり、そして噴霧乾燥などの方法により乾燥させて染料を5%〜65%含んでなる固体組成物を得ることが可能である。
【0050】
もう一つの態様によれば、本発明は、合成繊維材料またはその繊維ブレンドを着色する方法を提供する。この方法には、合成繊維材料またはその繊維ブレンドに、式(I)で表わされる少なくとも1種の染料、式(II)で表わされる少なくとも1種の染料、および場合により式(III)で表わされる少なくとも1種の染料を含む(1)の混合物、または式(I)で表わされる少なくとも1種の染料および式(IV)で表わされる少なくとも1種の染料を含む(2)の混合物を適用することが含まれる。
【0051】
合成繊維材料は、芳香族ポリエステル、特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、特に、ポリヘキサメチレンアジパミド、二次セルロースアセテート、セルローストリアセテート、および天然繊維材料、特に、セルロース系材料および羊毛から選択することが可能である。特に好ましい繊維材料は、芳香族ポリエステルまたはそれと上記の繊維材料のうちの任意の繊維との繊維ブレンドである。特に好ましい繊維ブレンドとしては、ポリエステル−綿のようなポリエステルセルロースおよびポリエステル−羊毛のブレンドが挙げられる。繊維材料またはそのブレンドは、フィラメント、ばら毛状繊維、糸、あるいは織布または編布の形態であってよい。
【0052】
式(I)、(II)、および(III)、あるいは式(I)および(IV)で表わされる染料の混合物、場合により、それを他の分散染料と組み合わせた混合物は、合成繊維材料または繊維ブレンドに分散染料を適用する際に慣用的に用いられる方法により、合成繊維材料または繊維ブレンドに適用することが可能である。
【0053】
好適なプロセス条件は、次の中から選択することが可能である。
(i) pH4〜6.5、温度125℃〜140℃、10〜120分間、および圧力1〜2バール(bar)、場合により金属イオン封鎖剤(sequestrant)添加の条件下での吸尽染色、
(ii) pH4〜6.5、温度190℃〜225℃、15秒間〜5分間、場合により移染抑制剤添加の条件下での連続染色、
(iii) pH4〜6.5、高温蒸熱の場合は温度160℃〜185℃、4〜15分間、または乾熱によるベーク(bake)固着の場合は温度190℃〜225℃、15秒間〜5分間、または加圧蒸熱の場合は温度120℃〜140℃、圧力1〜2バール、10〜45分間、場合により染料を基準にして湿潤剤および増粘剤(例えば、アルギン酸塩)の5〜100%添加の条件下での直接捺染、
(iv) pH4〜6.5、場合により移染抑制剤添加および増粘剤添加の条件下での抜染(繊維材料上への染料のパジング、乾燥、およびオーバー捺染)、
(v) pH4〜6.5、温度95℃〜100℃、メチルナフタレン、ジフェニルアミン、または2−フェニルフェノールのようなキャリヤーの使用、場合により金属イオン封鎖剤添加の条件下でのキャリヤー染色、ならびに
(vi) pH4〜6.5、アセテートの場合は温度85℃またはトリアセテートおよびナイロンの場合は温度90℃、15〜90分間、場合により金属イオン封鎖剤添加の条件下でのアセテート、トリアセテート、およびナイロンの常圧染色。
【0054】
上記のプロセスのいずれにおいても、染料混合物は、水性媒質中に染料混合物を0.001〜6%、好ましくは0.005〜4%含有する分散物として適用される。
【0055】
上記の適用プロセスのほかに、染料混合物は、捺染を助長するために場合により基材が前処理されるインクジェット捺染により、合成繊維材料および繊維ブレンドに適用することも可能である。インクジェット適用の場合、適用媒質には、水および水溶性有機溶剤が、好ましくは1:99〜99:1、より好ましくは1:95〜50:50、特に10:90〜40:60の範囲の重量比で含まれていてもよい。水溶性有機溶剤には、好ましくは、C1 4−アルカノール、特に、メタノールまたはエタノール、ケトン、特に、アセトンまたはメチルエチルケトン、2−ピロリドンまたはN−メチルピロリドン、グリコール、特に、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ブタン−2,3−ジオール、チオジグリコール、またはジエチレングリコール、グリコールエーテル、特に、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、またはジエチレングリコールモノメチルエーテル、尿素、スルホン、特に、ビス−(2−ヒドロキシエチル)スルホン、あるいはそれらの混合物が含まれる。
【0056】
染料混合物はまた、超臨界二酸化炭素を用いて繊維材料に適用することも可能である。このとき、場合により染料配合剤を省略してもよい。
【0057】
次に、以下の実施例を参照して、本発明の実施形態をより詳細に説明する。ここで、部は、特に記載のない限り、重量基準である。
【0058】
【実施例】
実施例1〜8 染料の調製
実施例1
2,6−ジクロロ−4−ニトロアニリン(0.01モル)を酢酸43部とプロピオン酸7部との混合物に溶解し、0℃まで冷却し、そしてニトロシル硫酸を硫酸に40%溶解した溶液3.0mlを添加することによりジアゾ化した。酢酸50mlおよびスルファミン酸5.0gを含有する氷/水にN―ブチル―N−(2’−シアノエチル)アニリン(0.01モル)を加えた溶液に、ジアゾ溶液を添加した。カップリング反応混合物を0〜5℃で1時間攪拌し、次に一晩かけて室温まで上昇させた。生成物を濾別し、水で洗浄し、そして50℃で乾燥させた。乾燥固体を熱エチルアセテート75ml中に抽出し、次いで晶出させた。濾過固体をエチルアセテートおよびヘキサンで洗浄し、次いで乾燥させることにより、式(I)の範囲内の染料成分(1)を2.12g得た。
【化41】
Figure 0004707897
【0059】
実施例2
2,6−ジクロロ−4−ニトロアニリン(0.01モル)を酢酸43部とプロピオン酸7部との混合物に溶解し、0℃まで冷却し、そしてニトロシル硫酸を硫酸に40%溶解した溶液3.0mlを添加することによりジアゾ化した。酢酸50mlおよびスルファミン酸5.0gを含有する氷/水にN―エチル―N−(2’−シアノエチル)−3−トルイジン(0.01モル)を加えた溶液に、ジアゾ溶液を添加した。カップリング反応混合物を0〜5℃で1時間攪拌し、次に一晩かけて室温まで上昇させた。生成物を濾別し、水で洗浄し、そして50℃で乾燥させた。乾燥固体を熱エチルアセテート100ml中に抽出し、次いで冷却し、そしてヘキサン(400ml)で希釈して晶出させた。濾過固体をヘキサンで洗浄し、次いで乾燥させることにより、式(I)の範囲内の染料成分(2)を2.55g得た。
【化42】
Figure 0004707897
【0060】
実施例3
2,4−ジニトロ−6−クロロアニリン(0.12モル)を乳鉢中で粉末にし、そして外部冷却により温度を20〜25℃に保持しながら、ニトロシル硫酸(0.12モル)を硫酸(0.7モル)に溶解した混合物に30分間かけて添加した。反応混合物を更に1時間攪拌してジアゾ化を終了させた。硫酸(0.10モル)およびスルファミン酸(5.0g)を含有する氷/水(2000ml)に、3−N,N―ジエチル―4−メトキシアセトアニリド(0.1モル)を溶解させた。酢酸ナトリウム(40%溶液200ml)を添加して懸濁液のpHを4.5〜5に調節し、そしてジアゾ溶液を0〜5℃で徐々に添加した。28%水酸化ナトリウム溶液を添加することによりカップリングのpHを4〜4.5に調節し、そして氷を添加することにより温度を保持した。カップリング反応混合物を0〜5℃で2時間攪拌し、次いで生成物を濾別し、そして最初に水で、続いて水性アセトンで洗浄した。得られたプレスケーキを50℃で乾燥させることにより、乾燥固体42.87gを得た。染料を熱エチルアセテート500ml中に抽出し、次いで一晩かけて晶出させた。濾過固体を最初にエチルアセテートで、続いてヘキサンで洗浄することにより、式(II)の範囲内の純青色染料成分(3)を34.45g得た。
【化43】
Figure 0004707897
【0061】
実施例4
2,4−ジニトロ−6−クロロアニリン(0.10モル)を酢酸215部とプロピオン酸35部との混合物に溶解し、0℃まで冷却し、そしてニトロシル硫酸を硫酸に40%溶解した溶液22mlを添加することによりジアゾ化した。ジアゾ化反応混合物を5〜10℃で1時間攪拌した。得られたジアゾ溶液を、酢酸50ml、スルファミン酸5.0g、および酢酸ナトリウム80gを含有する氷/水(3000ml)に3−N,N―ジエチル―アセトアニリド(0.1モル)を溶解させた混合物に徐々に添加した。カップリング反応混合物を0〜5℃で1時間攪拌し、次に一晩かけて室温まで上昇させた。生成物を濾別し、そして50%水性アセトンで十分に洗浄した。プレスケーキを50℃で乾燥させることにより乾燥固体35.68gを得た。染料を熱エチルアセテート500ml中に抽出し、次いで一晩かけて晶出させた。濾過固体を最初にエチルアセテートで、続いてヘキサンで洗浄することにより、式(II)の範囲内の紫色染料成分(4)を21.6g得た。
【化44】
Figure 0004707897
【0062】
実施例5
2,4−ジニトロ−6−ブロモアニリン(0.12モル)を乳鉢中で粉末にし、そして外部冷却により温度を20〜25℃に保持しながら、ニトロシル硫酸(0.12モル)を硫酸(0.7モル)に溶解した混合物に30分間かけて添加した。反応混合物をこの温度で更に1時間攪拌してジアゾ化を終了させた。硫酸(0.1モル)およびスルファミン酸(5.0g)を含有する氷/水(2000ml)に、3−N,N―ジエチル―4−メトキシアセトアニリド(0.1モル)を溶解させた。酢酸ナトリウム(40%溶液100ml)を添加して懸濁液のpHを4.5〜5に調節し、そしてジアゾ溶液を0〜5℃で徐々に添加した。28%水酸化ナトリウム溶液を添加することによりカップリング反応混合物のpHを4〜4.5に調節し、そして氷を添加することにより温度を保持した。カップリング反応混合物を2時間攪拌し、次いで生成物を濾別し、そして最初に希酢酸で、続いて希塩酸で十分に洗浄した。プレスケーキを50℃で乾燥させることにより乾燥固体52.2gを得た。染料を熱エチルアセテート750ml中に抽出し、次いで一晩かけて晶出させた。濾過固体を最初にエチルアセテートで、続いてヘキサンで洗浄することにより、式(II)の範囲内の純青色染料成分(5)を33.06g得た。
【化45】
Figure 0004707897
【0063】
実施例6
2,4−ジニトロ−6−ブロモアニリン(0.12モル)を乳鉢中で粉末にし、そして外部冷却により温度を20〜25℃に保持しながら、ニトロシル硫酸(0.12モル)を硫酸(0.7モル)に溶解した混合物に30分間かけて添加した。反応混合物を更に1時間攪拌してジアゾ化を終了させた。ジアゾ溶液を、硫酸(0.1モル)およびスルファミン酸(5.0g)を含有する氷/水(2000ml)に3−N,N―ジエチルアセトアニリド(0.1モル)を溶解させた混合物に徐々に添加した。酢酸ナトリウム(40%溶液26ml)を添加して懸濁液のpHを4〜4.5に調節し、そしてジアゾニウム溶液の添加を開始した。28%水酸化ナトリウム溶液を添加することによりカップリング反応混合物のpHを4〜4.5に調節し、そして氷を添加することにより温度を0〜5℃に保持した。カップリング反応混合物を1時間攪拌し、次いで生成物を濾別し、そして水で十分に洗浄した。得られたプレスケーキを50℃で乾燥させることにより、乾燥固体46.9gを得た。染料を熱エチルアセテート500ml中に抽出し、次いで一晩かけて晶出させた。濾過固体を最初にエチルアセテートで、続いてヘキサンで洗浄することにより、式(III)の範囲内の紫色染料成分(6)を31g得た。
【化46】
Figure 0004707897
【0064】
実施例7
2,4−ジニトロ−6−ブロモアニリン(0.10モル)を酢酸215部とプロピオン酸35部との混合物に溶解し、0℃まで冷却し、そしてニトロシル硫酸を硫酸に40%溶解した溶液20mlを添加することによりジアゾ化した。ジアゾ化反応混合物を5〜10℃で1時間攪拌した。酢酸(50ml)、スルファミン酸(5.0g)、および酢酸ナトリウム(40g)を含有する氷/水(2000ml)に、3−N,N―ジアリル―4−メトキシアセトアニリド(0.1モル)を溶解させた。添加終了時、酢酸ナトリウムの40%w/v水溶液100mlを添加することにより、カップリング反応混合物のpHを4.0に調節した。カップリング反応混合物を0〜5℃で2時間攪拌し、次いで生成物を濾別し、50%アセトン水溶液で洗浄し、そして乾燥させた。乾燥生成物を熱エチルアセテート750ml中に抽出し、次いで一晩かけて冷却させた。得られた生成物を濾別し、エチルアセテートで、続いてヘキサンで洗浄し、そして乾燥させることにより、式(II)の範囲内の純青色染料成分(7)を36.47g得た。
【化47】
Figure 0004707897
【0065】
実施例8
2,4−ジニトロ−6−クロロアニリン(0.10モル)を酢酸215部とプロピオン酸35部との混合物に溶解し、0℃まで冷却し、そしてニトロシル硫酸を硫酸に40%溶解した溶液22mlを添加することによりジアゾ化した。ジアゾ化反応混合物を5〜10℃で1時間攪拌した。酢酸(50ml)、スルファミン酸(5.0g)、および酢酸ナトリウム(80g)を含有する氷/水(3000ml)に、3−N,N―ジアリル―4−メトキシアセトアニリド(0.1モル)を溶解させた。カップリング反応混合物を0〜5℃で2時間攪拌し、次いで生成物を濾別し、50%アセトン水溶液で洗浄し、そして乾燥させた。乾燥生成物を熱エチルアセテート500ml中に抽出し、次いで一晩かけて冷却させた。再結晶した生成物を濾別し、エチルアセテートで、続いてヘキサンで洗浄し、そして乾燥させることにより、式(II)の範囲内の純青色染料成分(8)を32.4g得た。
【化48】
Figure 0004707897
【0066】
実施例9〜11 混合物の調製および適用
実施例9
式(I)で表わされる黄褐色成分(1)、式(II)〔式中、X2=Br、R4およびR5=CH2CH=CH2、Y=CH3、R7=OCH3〕で表わされる青色染料成分(7)、および式(III)〔式中、X3=Br、R9およびR10=C25、Y=CH3〕で表わされる紫色染料成分(6)を、それぞれ染料の粒子サイズ(平均直径)が0.1〜5ミクロンの範囲になるまで40%水性スラリーとして高温安定性分散剤20部とともに混練することによって、別々に水性分散物として調製した。
【0067】
染料成分(1)を38.1部、青色染料成分(7)を7.9部、および紫色染料成分(6)を37.5部一緒に混合し、そしてポリエステル上で黒色の色調が得られるように、帯緑黄色分散染料、すなわち5−(2’−ニトロ)フェニルアゾ−6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−N−エチルピリド−2−オンを5部用いて色調を整えた。次に、保湿剤および水を6.5部添加することにより(全体を100部とする)、この混合物45部を標準化し、着色剤を18%含有する液状製品を得た。この液は、ポリエステルおよびポリエステル/セルロースブレンドの吸尽染色および連続染色に使用するのに特に好適である。またこの液は直接捺染にも使用することができる。
【0068】
温度安定性分散剤を添加して噴霧乾燥器中で粒状または粉末状に乾燥させることによって、上記の分散物を、混合物55%および分散剤45%を含有する固形製品に標準化した。この製品は、ポリエステル、ポリエステル/セルロースブレンド、およびポリエステル/羊毛ブレンドの吸尽染色に特に好適である。またこの製品は連続染色および直接捺染にも使用することができる。
【0069】
固形製品の水性分散物(水100ml中染料1g、40〜50℃)10mlを脱イオン水48.8mlおよび緩衝溶液1.2mlに添加することにより、布片形態のポリエステルを吸尽染色するための染浴を調製した。この染浴にポリエステルの布片5gを添加し、そしてその全体をワーナーマチスラボマート(Werner Mathis Labomat)高温染色機中において130℃で30分間保持した。水によるすすぎおよび還元清浄化処理の後、材料はISO薄黒色(light black shade)の色調に染色された。
【0070】
実施例10
式(I)で表わされる黄褐色成分(2)、式(II)〔式中、X2=Cl、R4およびR5=CH2CH=CH2、Y=CH3、R7=OCH3〕で表わされる青色染料成分(8)、および式(III)〔式中、X3=Cl、R9およびR10=C25、Y=CH3〕で表わされる紫色染料成分(4)を、それぞれ40%水性スラリーとし、これを高温安定性分散剤として20部とともに混連することによって別々に水性分散物として調製した。
【0071】
染料成分(1)を32.2部、青色染料成分(8)を19.4部、および紫色染料成分(4)を31.3部を一緒に混合し、そしてポリエステル上で黒色の色調が得られるように、実施例9で使用した帯緑黄色分散染料を用いて色調を整えた。
【0072】
温度安定性分散剤を添加して噴霧乾燥器中で粒状または粉末状に乾燥させることによって、この分散物を、混合物55%および分散剤45%を含有する固形製品に標準化した。この製品は、ポリエステル、ポリエステル/セルロースブレンド、およびポリエステル/羊毛ブレンドの吸尽染色に特に好適である。またこの製品は連続染色および直接捺染にも使用することができる。
【0073】
固形製品の水性分散物(水100ml中染料1g、40〜50℃)10mlを脱イオン水48.8mlおよび緩衝溶液1.2mlに添加することにより、布片形態のポリエステルを吸尽染色するための染浴を調製した。この染浴にポリエステルの布片5gを添加し、そしてその全体をワーナーマチスラボマート高温染色機中において130℃で30分間保持した。水によるすすぎおよび還元清浄化処理の後、材料はISO薄黒色の色調に染色された。
【0074】
実施例11
式(I)で表わされる黄褐色染料成分(1)33.1部および式(IV)〔式中、R11=H、R12=CN、およびR13=OCOCH3〕で表わされる黄褐色/橙色染料成分(9)16.1部を一緒に混合し、そして染料の粒子サイズ(平均直径)が0.1〜5ミクロンの範囲になるまで高温安定性分散剤25部と一緒に40%水性スラリーとして混練することによって、水性分散物を調製した。
【0075】
温度安定性分散剤を添加して噴霧乾燥器中で粒状または粉末状に乾燥させることによって、この分散物を、混合物50%および分散剤50%を含有する固形製品に標準化した。この製品は、ポリエステル、ポリエステル/セルロースブレンド、およびポリエステル/羊毛ブレンドの吸尽染色に特に好適である。またこの製品は連続染色および直接捺染にも使用することができる。
【0076】
固形製品の水性分散物(水100ml中染料1g、40〜50℃)3.75mlを脱イオン水56.25mlおよび緩衝溶液1.2mlに添加することにより、布片形態のポリエステルを吸尽染色するための染浴を調製した。この染浴にポリエステルの布片5gを添加し、そしてその全体をワーナーマチスラボマート高温染色機中において130℃で30分間保持した。水によるすすぎおよび還元清浄化処理の後、材料は黄褐色色調に染色された。

Claims (6)

  1. 少なくとも以下の(1)または(2)の染料混合物からなることを特徴とする染料混合物。
    (1):以下の式(I)、
    Figure 0004707897
    〔式中、
    XおよびXは、それぞれ独立して、塩素または臭素であり;
    は、水素またはC1〜4アルキルであり;そして
    は、n−ブチルまたはシアノエチルであり、R はシアノエチルである。〕で表される少なくとも1種のアゾ染料(A)と;
    以下の式(II)、
    Figure 0004707897
    〔式中、
    は、水素あるいは塩素または臭素であり;
    およびRは、それぞれ独立して、水素、C1〜4アルキル、アリル、またはアシルオキシアルキルであり;
    は、C1〜4アルキルまたはNHCOY(式中、Yは、水素、C1〜4アルキル、またはNHである。)であり;そして
    は、C1〜4アルコキシである。〕で表される少なくとも1種のアゾ染料(B)と;
    さらに、少なくとも、式(I)においてR水素であり、かつ式(II)においてXが臭素であり、RはNHCOY(式中、Yはメチルである。)であり、Rはメトキシであり、かつRおよびRはいずれもアリルであるかまたはRおよびRのうちの一方はアリルであり他方は水素である場合には、
    以下の式(III)、
    Figure 0004707897
    〔式中、
    は、水素あるいは塩素または臭素であり;
    は、C1〜4アルキルまたはNHCOY(式中、Yは、水素、C1〜4アルキル、またはNHである。)であり;そして
    およびR10は、それぞれ独立して、水素、C1〜4アルキル、アリル、またはアシルオキシアルキルである。〕で表される少なくとも1種のアゾ染料(C)と、
    を含む染料混合物;
    (2):上に提示および規定した式(I)〔式中、R水素であり、Rはn−ブチルまたはシアノエチルであり、そしてRはシアノエチルである。〕で表わされる少なくとも1種のアゾ染料(A)と、
    以下の式(IV)、
    Figure 0004707897
    〔式中、
    11は、水素またはC1〜4アルキルであり;
    12は、水素、シアノ、ヒドロキシル、OCOR14、またはOCOOR14(式中、R14は、C1〜4アルキル、アリール、またはアラルキルである。)であり;
    13は、ヒドロキシルまたはOCOR14(式中、R14は先に規定した通りである。)であり;そして
    mおよびnは、それぞれ独立して、1、2、3、または4である。〕で表される少なくとも1種のアゾ染料(D)と、
    を含む染料混合物。
  2. 以下の式(I)で表わされる染料と、以下の式(IV)で表わされる染料と、を含む、請求項1に記載の染料混合物。
    Figure 0004707897
    〔式中、
    XおよびXは、いずれも塩素であ
    は、n−ブチルである。〕
    Figure 0004707897
    〔式中、
    11は水素であり、R12はシアノであり、R13はアセトキシであり、そしてmおよびnはそれぞれ2である。〕
  3. 他の染料成分として5−(2’−ニトロ)フェニルアゾ−6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−N−エチルピリド−2−オンまたは5−(2’,3’−ジクロロ)フェニルアゾ−6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−N−メチルピリド−2−オンを更に含む、請求項1または2に記載の染料混合物。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の染料混合物を調製する方法であって、含有する染料成分を混合する方法。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の染料混合物と、少なくとも1種の分散剤、界面活性剤、または湿潤剤とを含む組成物。
  6. 合成繊維材料を着色する方法であって、該合成繊維材料に請求項1〜のいずれか1項に記載の染料混合物を使用する方法。
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