JP4700905B2 - 多層板 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリイミドを含む多層板に関する。より詳細には、耐熱性、機械特性、接着性に優れ、加えて高い磁気特性を有する、金属微粒子分散ポリイミドを含む多層板及びその製造方法に関する。
エンジニアリングプラスチックとして知られるポリイミドは、その高耐熱性に加え、耐薬品性、力学的強度、寸法安定性が優れ、更に難燃性、電気絶縁性などを併せ持つために、電気電子機器、宇宙航空用機器、輸送機器などの分野で高機能材料として利用されている。応用例として、例えば高集積半導体素子の表面保護膜、封止材料、多層配線の層間絶縁膜、プリント配線基板などが挙げられる。近年、回路基板の高密度高実装化に伴い、電子部品においては発熱量の増大や電磁干渉が大きな課題となりつつあり、耐熱性、接着性、および高い磁気特性を備えた絶縁層を含む多層板の開発が求められているが、従来の多層板はこれら要求に十分応えているものとは言えなかった。
ポリイミドに種々の特性を付与することを目的に、各種金属との複合化を図った技術はこれまでにも報告されている。例えば特許文献1には、磁性金属微粒子を分散させたポリイミドの技術について開示されている。該特許は、ポリイミド等の樹脂に磁性粒子を溶剤と共に容器に入れ、X、Y、Z軸の三方向に配置された電磁コイルの中心部に容器を設置し、磁性粒子を分散させようとするものであり、これにより量産性に優れ、簡便に製造でき、厚膜化が可能で軟磁気特性を有する磁性薄膜が得られることが記載されている。しかしながら、該特許のように磁性粒子を物理的に分散させた溶液は、一般に磁性粒子が凝集しやすく、また保存安定性に欠けるという大きな課題がある。また該特許にはこの磁性薄膜を用いた磁気部品も記載されているが、すべて支持基材としてシリコン基板を使用しており、これらの開示にとどまっている。したがって導電性基板との接着性向上については検討されておらず、実際にこのような磁性粒子が凝集したものでは十分と言えるものではなかった。
また、Larry T.Taylorらは、鉄(III)アセチルアセトネート等の金属化合物をポリイミド前駆体に添加・加熱処理することで、ポリイミドフィルムの磁気特性を向上させたことを報告している。しかしながら、該文献は、ポリイミドフィルムの製造およびその特性について検討しているのみであり、導電性基板との接着については特に検討されていない(非特許文献1参照)。
さらに、特許文献2では、ポリイミド/金属積層体の技術について開示されている。該特許は、部分的に硬化および/または部分的に乾燥されたポリアミド酸フィルムを、金属化合物を含むポリアミド酸及び/またはポリイミドの溶液への浸漬または塗布処理を施し、その後アミド酸をポリイミドに転化するものであり、このポリイミドを用いて得られるポリイミド/金属積層体は、高温高湿下の接着性が改善することが記載されている。しかしながら、該特許は金属化合物として数種の金属を挙げているが、実際に検討されているものはチタン化合物のみであり、特に磁性特性を付与することについては検討されていない。更に該ポリイミドフィルムを得るために多くの工程を必要とし、著しく生産性に劣る問題があった。
特開2001−284123号公報 Chem.Mater., 4, 729(1992). 特開2002−363319号公報
本発明は、耐熱性・機械特性・接着性、および高い磁気特性を有し、プリント配線基板、電波吸収体、アンテナ、インダクタ等への応用に有用な多層板及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、磁性金属微粒子分散ポリイミドフィルムを導電性支持基材上に形成する多層板が、耐熱性・機械特性・接着性、さらには高い磁気特性等を同時に発現することを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は、以下の[1]〜[]に記載した事項により特定される。
[1](A)導電層となる支持基材、および(B)ポリイミド層を含む2層以上からなる多層板であって、
(1)ジアミン、テトラカルボン酸二無水物、並びに金属塩および/または金属錯体を原料として、金属イオン含有ポリイミド前駆体溶液を調製する工程、(2)前記溶液を支持基材上に塗布する工程、(3)前記溶液が塗布された支持基材を加熱することで前記ポリイミド前駆体を閉環・イミド化し、金属イオン含有ポリイミドフィルムを調製する工程、(4)金属イオンを還元することで金属微粒子を前記ポリイミドフィルム中に析出させる工程を、(1)→(2)→(3)→(4)の順に施すことにより得られ、
金属イオンを還元することで生じる金属微粒子が、(a)Fe、Co、Ni、Mn、Crの群から選ばれる磁性金属、(b)Fe、Co、Ni、Mn、Crの群から選ばれる金属元素を含む磁性合金、(c)Fe、Co、Ni、Mn、Crの群から選ばれる金属元素の磁性酸化物、の少なくともいずれか一種以上である、
(B)のポリイミド層中に、平均粒径が100nm以下の磁性金属微粒子が分散していることを特徴とする磁気特性を有する多層板。
[2](A)導電層となる支持基材が、(イ)Cu、Al、Fe、Co、Ni、Au、Ag、Ptの群から選ばれる金属、(ロ)Cu、Al、Fe、Co、Ni、Au、Ag、Ptの群から選ばれる金属元素を含む合金、のいずれかである請求項1記載の磁気特性を有する多層板。
[3]飽和磁化が3.8emu/g以上であること、および/または保磁力が100Oe以上であること、を特徴とする[1]または[2]に記載の磁気特性を有する多層板。
本発明により、耐熱性・機械特性・接着性、および高い磁気特性を有し、プリント配線基板、電波吸収体、アンテナ、インダクタ等への応用に有用な多層板を容易に得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の多層板は、(A)導電層となる支持基材、および(B)ポリイミド層を含む2層以上からなる多層板であって、(B)のポリイミド中に金属微粒子が分散していることを特徴とするものである。
本発明に係わる支持基材は、導電性を示せば特に限定されないが、好ましくは金属であり、その金属が、(イ)Cu、Al、Fe、Co、Ni、Au、Ag、Ptの群から選ばれる金属、(ロ)Cu、Al、Fe、Co、Ni、Au、Ag、Ptの群から選ばれる金属元素を含む合金、(ハ)Cu、Al、Fe、Co、Niの群から選ばれる金属元素の酸化物、のいずれかであることが好ましい。これらの具体例としては、銅、ニッケル、ステンレス、4,2アロイ、チタン及びこれらの合金等が挙げられ、好ましくは、銅及び銅合金、ステンレスである。尚、これらの表面は、接着性向上のための粗化処理やプラズマ処理等をおこなっていても何ら問題ない。
本発明の多層板は、極微小の金属微粒子がポリイミド層中に分散しているため、支持基材がメッキ面やスパッタ面のような平滑面であっても、極めて高い接着性を有することができる。
支持基材の厚みは特に限定されないが、例えば本発明の多層板をプリント配線板に用いる場合、1〜1000μmが好ましく、5〜100μmがより好ましい。
本発明に係わる金属微粒子は、特に限定されないが、磁性金属であれば得られる多層板の絶縁層が磁性を有するため好ましい。ここで金属微粒子とは、本発明においては非常に細かい粒状の金属を指し、形状は特に限定されないが、好ましくは球状・楕円状等、球状に近い形のものである。
本発明の多層板に係わる、金属微粒子の粒径は特に限定されず、目的に応じ所望の粒径の金属微粒子を調製することができる。例えば金属イオンから、還元により金属微粒子を製造する方法を実施した場合、粒径は還元条件を変更することで制御でき、所望の粒径の金属微粒子をポリイミド中に分散させることが可能である。またあらかじめ調製された所望の粒径の金属微粒子を、ポリイミド前駆体溶液中に分散させる方法も実施可能である。好ましい粒径として、例えば平均粒径が100nm以下、より好ましくは50nm以下であれば、多層板絶縁層の接着性および磁気特性が優れて望ましく、10nm以下であればさらに望ましい。尚、これらの粒径は、透過電子顕微鏡(TEM)、走査型トンネル顕微鏡(STM)、または原子間力顕微鏡(AFM)等の顕微鏡で直接観測する方法で測定することができる。
磁性金属としては、(a)Fe、Co、Ni、Mn、Crの群から選ばれる金属、(b)Fe、Co、Ni、Mn、Crの群から選ばれる金属元素を含む合金、(c)Fe、Co、Ni、Mn、Crの群から選ばれる金属元素の酸化物、の少なくともいずれか一種以上であることがより好ましい。具体例としては、鉄、コバルト、ニッケル及びこれらの合金等が挙げられる。これらは当然組み合わせて使用することも可能である。
本発明の多層板において、ポリイミド中に存在する金属微粒子の量は特に限定されないが、ポリイミド100体積部に対して、通常0.1〜100体積部が好ましい。上記範囲内の方が、本発明の多層膜の接着性および磁気特性が十分得られ、更にポリイミドの膜強度も得られ好ましい。
本発明で述べる分散とは、金属微粒子がポリイミド中に一様に散在し、金属微粒子の濃度の偏りが少ない状態を指す。分散状態は、先述の顕微鏡で観測することができる。本発明においては、ポリイミド層中の金属微粒子の分散状態が良好であることも特徴のひとつである。
本発明の多層板を構成するポリイミドは、絶縁層となるものであり、特に限定されず公知のポリイミドを用いることが出来る。
本発明の多層板を構成するポリイミドの原料として用いられるジアミンとしては特に限定されないが、好ましい例として、3,3'-ジアミノベンゾフェノン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3- ヘキサフルオロプロパン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド等が挙げられ、これらのジアミンを用いると得られるポリイミドの支持基材への接着性が高く好ましい。これらは単独で、或いは2種以上混合して用いることができる。
また、これらジアミンは、本発明の効果を阻害しない範囲で(通常、全ジアミン中の50モル%以内の範囲で)、他のジアミン、例えば、4,4'−ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン等のジアミンを併用してもよい。
本発明の多層板を構成するポリイミドの原料として用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、特に限定されず、公知のものが使用可能であるが、好ましい例として、エチレンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8-フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは単独で、或いは2種以上混合して用いることができる。
これらテトラカルボン酸二無水物のうちで特に、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4' −ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物およびビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物は、得られるポリイミドの支持基材への接着性が特に高く好ましい。
本発明の多層板は、支持基板上に積層される層のうち、少なくとも一層がポリイミド層であり、そのポリイミド層中に金属微粒子が分散されていれば本発明に属するものであり、他に金属微粒子が分散されていない絶縁層等や接着層などを有していても構わない。好ましくは、支持基板上に積層される各層すべてが、金属微粒子の分散されたポリイミド層である方が、プリント配線板等の用途に用いた場合、本発明の効果が得られ好ましい。また、更にその多層板に保護層等を形成しても何ら問題ない。
本発明の多層板において、金属微粒子が分散されるポリイミド層の厚みは特に限定されないが、例えば多層板をプリント配線板に用いる場合、1〜1000μmが好ましく、1〜100μmがより好ましい。
また、本発明の多層板において、金属微粒子が分散されるポリイミドには、ポリイミド前駆体の分子量制御や保存安定性向上等の目的から必要に応じて末端封止剤を用いても良い。用いられる末端封止剤は特に限定されず、好ましい代表的なものはモノアミンまたはジカルボン酸無水物である。
モノアミンとしては、例えば、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、2,3−キシリジン、2,4−キシリジン、2,5−キシリジン、2,6−キシリジン、3,4−キシリジン、3,5−キシリジン、o−クロロアニリン、m−クロロアニリン、p−クロロアニリン、o−ブロモアニリン、m−ブロモアニリン、p−ブロモアニリン、o−ニトロアニリン、m−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、o−アニシジン、m−アニシジン、p−アニシジン、o−フェネチジン、m−フェネチジン、p−フェネチジン、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アミノベンズアルデヒド、m−アミノベンズアルデヒド、p−アミノベンズアルデヒド、o−アミノベンゾニトリル、m−アミノベンゾニトリル、p−アミノベンゾニトリル、2−アミノビフェニル、3−アミノビフェニル、4−アミノビフェニル、2−アミノフェニルフェニルエーテル、3−アミノフェニルフェニルエーテル、4−アミノフェニルフェニルエーテル、2−アミノベンゾフェノン、3−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、2−アミノフェニルフェニルスルフィド、3−アミノフェニルフェニルスルフィド、4−アミノフェニルフェニルスルフィド、2−アミノフェニルフェニルスルホン、3−アミノフェニルフェニルスルホン、4−アミノフェニルフェニルスルホン、α−ナフチルアミン、β−ナフチルアミン、1−アミノ−2−ナフトール、2−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−2−ナフトール、7−アミノ−2−ナフトール、8−アミノ−1−ナフトール、8−アミノ−2−ナフトール、1−アミノアントラセン、2−アミノアントラセン、9−アミノアントラセン、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、イソブチルアミン、ジイソブチルアミン、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、ベンジルアミン、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。モノアミンの好ましい使用量は、製造するポリイミドの種類によって異なるが、通常全テトラカルボン酸二無水物100モル%に対し、0〜20モル%、より好ましくは、0〜10モル%である。モノアミンの量が多すぎると、ポリイミドの分子量が低下し、膜強度の低下等が起こる可能性がある。
また、ジカルボン酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、2,3−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、3,4−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルエーテル無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルエーテル無水物、2,3−ビフェニルジカルボン酸無水物、3,4−ビフェニルジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、1,2−ナフタレンジカルボン酸無水物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,2−アントラセンジカルボン酸無水物、2,3−アントラセンジカルボン酸無水物、1,9−アントラセンジカルボン酸無水物等が挙げられる。特に好ましい例として、無水フタル酸が挙げられる。酸無水物の使用量は、製造するポリイミドの種類によって異なるが、通常使用する全ジアミン100モル%に対し、0〜20モル%、より好ましくは0〜10モル%である。酸無水物の量が多すぎると、ポリイミドの分子量が低下し、膜強度の低下等が起こる可能性がある。これらのモノアミンまたはジカルボン酸無水物はその構造の一部がアミンまたはジカルボン酸無水物と反応性を有しない基で置換されても差し支えない。
本発明の多層板の製造方法は、特に限定されないが、好ましい製造法として、以下の方法を挙げることができる。(1)ジアミン、テトラカルボン酸二無水物、並びに金属塩および/または金属錯体を原料として、金属イオン含有ポリイミド前駆体溶液を調製する工程、(2)前記溶液を支持基材上に塗布する工程、(3)前記溶液が塗布された支持基材を加熱することで閉環・イミド化し、金属イオン含有ポリイミドフィルムを調製する工程、(4)金属イオンを還元することで金属微粒子をポリイミドフィルム中に析出させる工程を含む方法である。本発明の多層板の製造方法は、上記4工程を含んでいれば、必要に応じ他の工程を追加しても構わない。
本発明の製造方法に係わるポリイミド前駆体溶液は、金属がイオンとして溶液中に溶解して存在する。したがって前記背景技術の項に挙げたような粒子の凝集は起こらず、溶液の保存安定性は極めて高い。
本発明において用いられるジアミン、テトラカルボン酸二無水物、並びに金属塩および/または金属錯体は特に限定されず、公知の化合物を用いることが出来る。ジアミン、テトラカルボン酸二無水物の例としては、前述のものが挙げられる。
本発明の製造方法において用いられる金属塩および/または金属錯体の好ましい例としては、Fe、Co、Ni、Mn、Crの群から選ばれた金属の、弗化物、塩化物、臭化物、沃化物、蟻酸塩、酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、蓚酸塩、安息香酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フタロシアニン化合物、アセチルアセトネート化合物、シクロペンタジエニル化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの金属塩および/または金属錯体は単独で、或いは2種以上混合して用いられる。具体的には、塩化鉄(III)、蟻酸鉄(III)、酢酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、硫酸鉄(III)、硫酸鉄(II)、クエン酸鉄(III)、蓚酸鉄(III)、安息香酸鉄(III)、p−トルエンスルホン酸鉄(III)、フタロシアニン鉄、鉄(III)アセチルアセトナート、フェロセン、塩化コバルト(II)、蟻酸コバルト(II)、酢酸コバルト(II)、硝酸コバルト(II)、硫酸コバルト(II)、クエン酸コバルト(II)、蓚酸コバルト(II)、安息香酸コバルト(II)、p−トルエンスルホン酸コバルト(II)、フタロシアニンコバルト、コバルト(II)アセチルアセトナート、シクロペンタジエニルコバルト、塩化ニッケル(II)、蟻酸ニッケル(II)、酢酸ニッケル(II)、硝酸ニッケル(II)、硫酸ニッケル(II)、クエン酸ニッケル(II)、蓚酸ニッケル(II)、安息香酸ニッケル(II)、p−トルエンスルホン酸ニッケル(II)、フタロシアニンニッケル、ニッケル(II)アセチルアセトナート、シクロペンタジエニルニッケル等が挙げられる。金属塩および/または金属錯体は、水和物として用いても構わない。
金属塩および/または金属錯体の使用量は、金属種等により一概に言えないが、例えばニッケル(II)の塩および/または錯体を使用した場合は、ポリイミドの繰返し単位100モル%に対し、好ましくは1〜2000モル%、より好ましくは10〜1000モル%である。一般に金属イオンの価数がnの場合、ポリイミドの繰返し単位100モル%に対し、1〜2000×(2/n)モル%の範囲が好ましい。上記範囲内の方が、本発明の多層膜の接着性および磁気特性が十分得られ、更にポリイミドの膜強度も得られ好ましい。
本発明に係わる、金属イオン含有ポリイミド前駆体溶液の調製は、通常、有機溶媒中で実施するのが好ましい。有機溶媒としては、例えば、N-メチル−2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、1,3-ジメチル−2-イミダゾリジノン、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチル尿素、N-メチルカプロラクタム、テトラヒドロフラン、m-ジオキサン、p-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、ビス(2-メトキシエチル)エーテル、1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン、ビス−〔2-(2-メトキシエトキシ)エチル〕エーテル等が挙げられる。これらの有機溶媒は単独でも或いは2種以上混合して用いても差し支えない。好ましい例として、N-メチル−2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
これらの溶媒は、用いられるポリイミド前駆体100重量部に対し、50〜10000重量部、更に好ましくは100〜5000重量部使用することが好ましい。上記範囲内の方が、粘度が高くなりすぎず、溶液を支持基材に塗布する次工程で均一に塗布することができるため好ましい。またジアミン、テトラカルボン酸二無水物、並びに金属塩および/または金属錯体が、溶解し、溶液の調製自体が容易であり、更に膜厚が均一で表面が平滑なフィルムの調製が容易となり好ましい。
本発明に係わる、金属イオン含有ポリイミド前駆体溶液を調製する工程において、ポリイミド前駆体の分子量制御や保存安定性向上等の目的から必要に応じて末端封止剤を用いても良い。用いられる末端封止剤は特に限定されず、好ましい代表的なものはモノアミンまたはジカルボン酸無水物である。これらのモノアミン、ジカルボン酸無水物の好ましい例は前述した通りである。
本発明の製造方法において、金属イオン含有ポリイミド前駆体溶液を調製する工程においては、ジアミン、テトラカルボン酸二無水物、並びに金属塩および/または金属錯体を溶液の原料に用いていることが必須であるが、本発明の多層板の特性を損なわない範囲で、目的に応じて他のいかなる成分、例えば、レベリング剤、カップリング剤、モノマー、オリゴマー、安定剤、顔料、染料等を追加しても構わない。
本発明に係わる、金属イオン含有ポリイミド前駆体溶液を調製する工程において、原料および溶媒を装入する順序は特に限定されない。ジアミン、テトラカルボン酸二無水物および溶媒を装入・撹拌してポリイミド前駆体溶液を予め調製した後、金属塩および/または金属錯体を装入して調製しても構わないし、金属塩および/または金属錯体、および溶媒を装入した後、ジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物を装入・撹拌してポリイミド前駆体溶液を調製することも可能である。またこれら原料を同時に装入して調製することも可能である。
本発明に係わる、金属イオン含有ポリイミド前駆体溶液を調製する工程においては、必要に応じ加熱することも出来るが、100℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましい。通常、室温下で十分実施できる。圧力は特に限定されず、常圧で十分実施できる。また、撹拌することが好ましい。撹拌には、撹拌モーター、マグネティックスターラー、または超音波照射等、公知の方法を用いることができる。調製に要する時間は溶媒の種類、反応温度および用いられるジアミンやテトラカルボン酸二無水物、金属塩および/または金属錯体により異なる。通常、ポリイミド前駆体の生成が完了し、かつ金属塩および/または金属錯体が溶液に溶解するに十分な時間を確保する。通常4〜72時間で十分である。
本発明に係わる、前記溶液を支持基材上に塗布する工程において、用いる支持基材は、必ずしも多層板となる支持基材と同質でなくとも構わない。すなわち、ポリイミドフィルムを調製し、支持基材から剥離した後、加熱圧着等によって多層板用支持基材に接着させることもできる。この場合、塗布時に用いることができる支持基材の具体例として、PETやポリイミド等の樹脂基板、ガラス、石英等の無機基板が挙げられる。好ましくは、導電層となる支持基材に直接塗布するものであり、支持基板の具体例としては前述の通りである。
本発明に係わる多層板は、支持基材との接着性に優れており、通常接着剤を用いなくても積層可能であるが、目的に応じて、本発明の多層板の特性を損なわない範囲で、シランカップリング剤等の接着剤や各種表面処理剤を支持基材表面にあらかじめ塗布しても構わない。
本発明に係わる、前記溶液を所望の支持基材上に塗布する工程において、塗布方法は特に限定されないが、例えば、スピンコーターを用いた塗布、スプレーコーターを用いた塗布、バーコーターを用いた塗布、噴霧、浸漬、印刷等を挙げることができる。塗布する量は特に限定されないが例えば、硬化後の最終膜厚が0.1μm〜100μm、さらに一般的には1〜50μmとなるよう塗布する。
本発明の製造方法において、前記溶液が塗布された支持基材を加熱することで閉環・イミド化し、金属イオン含有ポリイミドフィルムを調製する工程では、閉環・イミド化のために加熱する際の温度は特に限定されず、ポリイミド前駆体の種類および混合溶液調製に用いた溶媒の種類によっても異なるが、好ましくは50℃から500℃、より好ましくは80℃から350℃である。所定の温度まで段階的に昇温することが、形状の良好なフィルムを得るのに好ましいが、特に限定されない。加熱使用する時間も特に限定されず、ポリイミド前駆体の種類、および混合溶液調製に用いた溶媒の種類によっても異なるが、通常2〜24時間で十分実施できる。圧力は特に限定されず、常圧で十分実施できる。また、特に限定されないが、窒素またはアルゴン等の不活性ガス流通下で加熱するのが好ましい。
本発明に係わる、金属イオンを還元することで金属微粒子をポリイミドフィルム中に析出させる工程において、金属イオンの還元方法は、特に限定されない。実施可能な還元方法の例として、例えば、不活性雰囲気下で加熱還元する方法、アルコール、ポリオール、アルコールアミン、クエン酸およびその塩、水素化ホウ素アルカリ金属塩、ヒドラジン、ジボラン、または水素等の還元剤を用いて還元させる方法、超音波照射、紫外光等を用いた光還元法等の公知の技術を挙げることができる。また、これら技術群の複数を組み合わせて実施しても構わない。好ましい方法の一例として、不活性雰囲気下で加熱還元する方法を実施する場合には、前工程で得られた金属イオン含有ポリイミドフィルムを、窒素流通下200〜500℃程度に加熱し、0.1〜10時間程度保持することで実施することが可能である。加熱還元する方法を実施する場合、閉環・イミド化の前工程と当工程を、連続的に実施しても構わない。
得られた金属微粒子分散ポリイミドフィルムは、加熱圧着し、他の支持基材と接着させることも可能である。加熱圧着は、好ましくは1〜1000kg/cmの圧力、50〜400℃程度の温度で通常実施可能であるが、これに限定されるものではない。
本発明により得られる多層板は、耐熱性、接着性、および高い磁気特性を同時に備えている。従って、本発明の多層板を例えばプリント配線基板に用いた場合、支持基材との界面での剥離や電気不良、電磁干渉等の不具合を抑えることができ、電気電子機器の信頼性・効率性が著しく向上する。本発明の多層板は、プリント配線基板、電波吸収体、アンテナ、インダクタ等の用途に極めて有用であり、本発明の意義は極めて大きい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより何等制限されるものではない。実施例中の試験の試験方法は次に示すとおりである。
ポリイミド前駆体の対数粘度:対数粘度は35℃、溶媒にN,N-ジメチルアセトアミドを用いて、0.5g(樹脂成分)/100ml の濃度で測定した。
フィルムの碁盤目密着性試験:フィルムの碁盤目密着性の評価はJIS−K5400法に準拠し、フィルムに2mm幅、25マスの碁盤目状の切り傷をカッターナイフで付け、傷の状態から評価点数をつけた。評価点数は、フィルムのはがれが無く接着強度が十分の場合が10点、はがれが65%以上の接着強度が不十分な場合が0点、その中間の接着強度については、はがれの度合いで段階的に8、6、4、および2点を付す上記JIS−K5400法の評価に従った。
磁化測定:保磁力(Hc)および飽和磁化(Ms)の測定は、振動試料型磁力計MicroMag Model 2900(PRINCETON MEASUREMENTS CORPORATION社製)を用いて25℃下、最大印加磁場10kOeにて行なった。
合成例1
〔金属イオン含有ポリイミド前駆体溶液(1)の調製〕
撹拌器、還流冷却器および窒素導入管を備えた容器で、3,3’−ジアミノベンゾフェノン 5.30g(0.025モル)を、N,N−ジメチルアセトアミド 39.48gに溶解させた。この溶液に3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物 7.86g(0.0245モル)、および末端封止剤として無水フタル酸 0.15g(0.0010モル)を添加し、室温下一終夜撹拌してポリイミド前駆体溶液を得た。ポリイミド前駆体の対数粘度はηinh 0.7dL/gであった。これにNiCl 3.24g(0.025モル)を加え、マグネティックスターラーを用いて一終夜撹拌することで、金属イオン含有ポリイミド前駆体溶液を得た。
合成例2
〔金属イオン含有ポリイミド前駆体溶液(2)の調製〕
3,3’−ジアミノベンゾフェノン 5.30g(0.025モル)の代わりに、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン 7.31g(0.025モル)を用いて、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物 7.86g(0.0245モル)の代わりに3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 7.18g(0.0245モル)を用いて、さらにN,N−ジメチルアセトアミドの使用量が 39.48gの代わりに43.92gであること以外は、実施例1と同様の方法により、金属イオン含有ポリイミド前駆体溶液を得た。なお、NiCl添加前のポリイミド前駆体の対数粘度はηinh 0.7dL/gであった。
合成例3
〔金属イオン含有ポリイミド前駆体溶液(3)の調製〕
3,3’−ジアミノベンゾフェノン 5.30g(0.025モル)の代わりに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル 5.01g(0.025モル)を用いて、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物 7.86g(0.0245モル)の代わりにピロメリット酸二無水物 5.34g(0.0245モル)を用いて、さらにN,N−ジメチルアセトアミドの使用量が 39.48gの代わりに31.05gであること以外は、実施例1と同様の方法により、金属イオン含有ポリイミド前駆体溶液を得た。なお、NiCl添加前のポリイミド前駆体の対数粘度はηinh 0.8dL/gであった。
合成例4
〔ポリイミド前駆体溶液(A)の調製〕
NiCl を加えることなく、その他は合成例3と同様の方法を実施することにより、公知のポリイミド前駆体溶液(A)を得た。ポリイミド前駆体の対数粘度はηinh 0.8dL/gであった。
実施例1
〔支持基材上への塗布〕
合成例1で得られた金属イオン含有ポリイミド前駆体溶液(1)を、電解銅箔表面(三井金属鉱業(株)製3EC−VLP、平均面粗さ Ra 800nm、厚み 35μm)にギャップ200μmのアプリケータを用いて均一に塗布した。
実施例2
溶液(1)の代わりに、合成例2で得られた金属イオン含有ポリイミド前駆体溶液(2)を用いる以外は実施例1と同様の方法により、電解銅箔表面に塗布した。
実施例3
溶液(1)の代わりに、合成例3で得られた金属イオン含有ポリイミド前駆体溶液(3)を用いる以外は実施例1と同様の方法により、電解銅箔表面に塗布した。
比較例1
溶液(1)の代わりに、合成例4で得られたポリイミド前駆体溶液(A)を用いる以外は、実施例1と同様の方法により、電解銅箔表面上に塗布した。
実施例4
〔金属イオン含有ポリイミドフィルムの調製・金属イオン還元〕
実施例1で製造した銅箔表面に塗布した金属イオン含有ポリイミド前駆体溶液(1)を、窒素流通下オーブンにて室温から2時間かけて400℃まで昇温し、さらに2時間保温した。このようにイミド化・金属イオン還元を連続して実施することで、多層板(1)を得た。多層板中のポリイミド層の厚みは、25μmであった。得られた多層板(1)のポリイミド層断面をTEMにより観察したところ、平均粒径が約10nmのNi粒子が多数分散していることを確認した。碁盤目接着性評価を行った。フィルムのはがれがなく10点であり、高い接着性を示した。多層板(1)から絶縁膜をカッターナイフで剥離し、この絶縁膜の磁化測定を行なった。表1に示すとおり、高い磁気特性を示した。
実施例5
溶液(1)の代わりに合成例2で得られた金属イオン含有ポリイミド前駆体溶液(2)を用いる以外は実施例4と同様の方法により、多層板(2)を得た。多層板中のポリイミド層の厚みは、25μmであった。得られた多層板(2)のポリイミド層断面をTEMにより観察したところ、平均粒径が約10nmのNi粒子が多数分散していることを確認した。TEM写真を図1に示す。碁盤目接着性評価を行った。フィルムのはがれがなく10点であり、高い接着性を示した。多層板(2)から絶縁膜をカッターナイフで剥離し、この絶縁膜の磁化測定を行なった。表1に示すとおり、高い磁気特性を示した。
実施例6
溶液(1)の代わりに合成例3で得られた金属イオン含有ポリイミド前駆体溶液(3)を用いる以外は実施例7と同様の方法により、多層板(3)を得た。多層板中のポリイミド層の厚みは、25μmであった。得られた多層板(3)のポリイミド層断面をTEMにより観察したところ、粒径が約10nmのNi粒子が多数分散していることを確認した。碁盤目接着性評価を行った。フィルムのはがれがなく10点であり、高い接着性を示した。多層板(3)から絶縁膜をカッターナイフで剥離し、この絶縁膜の磁化測定を行なった。表1に示すとおり、高い磁気特性を示した。
比較例2
金属イオン含有ポリイミド前駆体溶液(1)の代わりに、比較例1で得られた銅箔表面に塗布したポリイミド前駆体溶液(A)を用いる以外は、実施例4と同様の方法により、多層板(A)を得た。多層板中のポリイミド層の厚みは、25μmであった。碁盤目接着性評価を行った。フィルムの切り傷の交点にわずかにはがれが認められ8点であった。多層板(A)から絶縁膜を剥離し、この絶縁膜の磁化測定を行なったが、表1に示すとおり、磁気特性は認められなかった。
Figure 0004700905
本発明により得られる多層板は、耐熱性、接着性、および高い磁気特性を同時に備えている。従って、本発明の多層板を例えばプリント配線基板に用いた場合、支持基材との界面での剥離や電気不良、電磁干渉等の不具合を抑えることができ、電気電子機器の信頼性・効率性が著しく向上する。本発明の多層板は、プリント配線基板、電波吸収体、アンテナ、インダクタ等の用途に極めて有用であり、本発明の意義は極めて大きい。
実施例5で得られた多層板である絶縁層のポリイミドおよび金属微粒子のTEM写真である。

Claims (3)

  1. (A)導電層となる支持基材、および(B)ポリイミド層を含む2層以上からなる多層板であって、
    (1)ジアミン、テトラカルボン酸無水物、並びに金属塩および/または金属錯体を原料として、金属イオン含有ポリイミド前駆体溶液を調製する工程、(2)前記溶液を支持基材上に塗布する工程、(3)前記溶液が塗布された支持基材を加熱することで前記ポリイミド前駆体を閉環・イミド化し、金属イオン含有ポリイミドフィルムを調製する工程、(4)金属イオンを還元することで金属微粒子を前記ポリイミドフィルム中に析出させる工程を、(1)→(2)→(3)→(4)の順に施すことにより得られ、
    金属イオンを還元することで生じる金属微粒子が、(a)Fe、Co、Ni、Mn、Crの群から選ばれる磁性金属、(b)Fe、Co、Ni、Mn、Crの群から選ばれる金属元素を含む磁性合金、(c)Fe、Co、Ni、Mn、Crの群から選ばれる金属元素の磁性酸化物、の少なくともいずれか一種以上である、
    (B)のポリイミド中に、平均粒径が100nm以下の磁性金属微粒子が分散していることを特徴とする磁気特性を有する多層板。
  2. (A)導電層となる支持基材が、(イ)Cu、Al、Fe、Co、Ni、Au、Ag、Ptの群から選ばれる金属、(ロ)Cu、Al、Fe、Co、Ni、Au、Ag、Ptの群から選ばれる金属元素を含む合金、のいずれかである請求項1記載の磁気特性を有する多層板。
  3. 飽和磁化が3.8emu/g以上であること、および/または保磁力が100Oe以上であること、を特徴とする請求項1または2に記載の磁気特性を有する多層板。
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