JP2015059233A - 金属薄膜の製造方法、金属薄膜樹脂基板およびプリント回路基板 - Google Patents

金属薄膜の製造方法、金属薄膜樹脂基板およびプリント回路基板 Download PDF

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豪太 瀧本
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万紀 木南
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Abstract

【課題】過熱水蒸気処理で金属微粒子分散体から導電性に優れる低抵抗率の金属薄膜を製造する方法およびこの方法により製造されたプリント回路基板を提供する。【解決手段】金属薄膜を製造する方法であって、耐熱性樹脂層の上に金属微粒子分散体を用いて金属微粒子を含有する塗膜を形成した後、過熱水蒸気による加熱処理を施す工程を含み、該耐熱性樹脂層が350℃2時間処理時の熱収縮率が0.3%以下であるポリイミドフィルムであることを特徴とする金属薄膜の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、金属微粒子分散体から導電性に優れる低比抵抗の金属薄膜を製造する方法およびこの方法により製造されたプリント回路基板に関する。
フレキシブルプリント基板の製造においては、例えばまず銅箔を貼り付けた銅張りフィルムを用意し、印刷法やフォトレジスト法により回路のレジストパターンを形成する。この後、エッチングし、銅箔の回路パターンを形成する一方、不要なレジストを剥離する。このような製造方法では、その工程が煩雑であり、エッチング工程時に発生する銅イオンや銅化合物の処理が大変で、処理コストの上昇を招いていた。また、このエッチング工程時やレジスト剥離工程などの際には、多量の酸やアルカリ水溶液を使用するため、その廃液処理にもコストがかかるなどの問題があった。そこで、導電性ペーストを用いて、ベースフィルム上に直接印刷法により回路を形成することが検討されている。
印刷による導電層や導電パターンの形成は、導電性粒子を用いた導電性ペーストをスクリーン印刷や凸版印刷に適応することでなされている。スクリーン印刷では、使用する導電性粒子としては粒径が数μm以上のフレーク状金属粒子等が用いられ、回路の厚みを10μm以上にして導電性を確保している。導電回路は近年、急速に高密度化が進んでいる。より高密度な回路の形成を可能にするため、より微細な金属微粒子の開発がなされている。
導電性粒子としての金属は、銀、銅、ニッケルが一般的に用いられる。銀は高価であるだけでなく、耐マイグレーション性が悪く、回路に対して微細化の要求が大きくなることに対して、用途により重大な欠陥になりうる。ニッケルは導電性が劣る。銅は酸化されやすく、できた酸化物は導電性が悪い。銅ペースト製造時や保存時あるいは銅ペーストから銅薄膜形成時の加熱処理や、銅薄膜保存時に銅表面に形成される酸化層により、導電性が悪くなる。さらに銅の酸化による弊害は 銅ペースト回路に酸化防止や絶縁のためにカバーフィルムを張り合わせた場合にも起こる。銅表面の酸化層の形成と進行はカバーフィルム接着剤と銅薄層間に、歪を発生し接着力の低下が起こる場合がある。歪の発生は銅ペースト層と基材との間でも発生する。この接着力の低下は150℃以上の温度で長期間保存する時に起こることが多い。
銅粒子の酸化による弊害を防止するため、銅ペーストでは種々の検討がなされている。特許文献1では特定の配合比率の金属銅粉、レゾール型フェノール樹脂、アミノ化合物、アミノ基含有カップリング剤および1,2−N−アシル−N−メチレンエチレンジアミン化合物を含有する導電性塗料が開示されており、アミノ化合物が導電性向上剤として働くと共に還元剤としても働き、金属銅粉の酸化を防止して、導電性の維持に寄与するとされている。また特許文献1においては金属銅粉の粒径が1μm未満のものは酸化されやすく、得られる塗膜の導電性が低下するので好ましくないとされている。一方、銅粉の表面を銀で被覆しこれを導電性ペースト用の導電性フィラーとして用いることが試みられており、例えば特許文献2ではキレート化剤溶液に銅粉を分散し、銀イオン溶液、還元剤を順次添加して銅粉表面に銀被膜を析出させることおよびこれを導電性フィラーとする導電性ペーストが開示されている。
金属粒子の粒径を低減することによって、金属粒子間の焼成温度を金属バルクの融点に比べて大幅に下げることができることが知られている。例えば、特許文献3には、粒径1000Å以下の銅微粒子と特定成分を含有する有機溶媒中に分散した金属ペーストを調製し、金属ペースト塗膜を500℃で焼成して金属薄膜を形成する方法が開示されており、この方法により電気配線を形成できるとされている。しかしながら特許文献3に開示されている金属ペーストは銅粉を除き揮発性成分のみで形成されており、焼成後の基材との密着は弱いものである。また焼成温度が高いので、基材の選択肢が大幅に限定される。特許文献4には、超音波を利用して水酸化銅と還元剤から粒径0.1μm以下の銅超微粉末を作る方法が開示されているが、特許文献4実施例においては電子顕微鏡によって銅超微粉末 の平均粒径と形状を確認したにとどまり、実際に導電性ペースト用の導電性フィラーとして有用であったか否かについては開示されていない。銅超微粉末の酸化被膜形成を抑制することについてなんら記載されていないことから、銅超微粉末表面に酸化銅の被膜が形成され、導電性フィラーとしては有用でなかったものと推定される。
ナノ粒子に代表される微粒子は、表面積が非常に大きいため、極めて凝集し易く分散困難である。金属微粒子の分散性は、バインダー樹脂や分散剤を金属微粒子 に吸着させることによって改善することができ、微粒子の凝集を防止して保存安定性を高め、分散体の流動性を確保するとの効果が期待できる。しかしながら、金属微粒子が微細化するほど、多量のバインダー樹脂や分散剤が必要になり、バインダー樹脂や分散剤が金属微粒子相互の接触を妨げ、導電性の向上を阻害する傾向となる。このような場合、バインダー樹脂や分散剤を昇華あるいは分解蒸発等により除く操作が必要になることがある。また、焼成によりフィルムやガラス 等の基材との接着性が悪化することが起こりやすい。銅粒子ではこれらの金属粒子に特有な問題のうえに、酸化に起因する問題が加わる。銅粒子の酸化による導電性の悪化は粒子径が小さくなるほど顕著になる。
銅系粒子を含有する導電性ペースト塗膜を還元性雰囲気にて処理する方法が開示されている。例えば、マイクロ波表面波プラズマ処理(特許文献5)では、処理できる塗膜の厚みが2mm以下に制限される。また、ギ酸ガス処理(特許文献6)では200℃以下の低温で処理できるが、ギ酸の毒性や厚い塗膜での処理の困難性が懸念される。
高エネルギーのパルス光を照射して、基板の温度を上げずに、酸化銅を含有する塗膜のみを加熱して銅被膜を形成するフォトシンタリング法が開示されている。(たとえば、特許文献7)この方法では、室温で短時間に処理できる長所はあるが、照射装置が高価で、しかも基板を損傷しない条件が狭いという問題がある。
導電粉に銅を使用した導電性ペーストを基材に塗布した後に過熱水蒸気処理をすることにより、大気中で焼成処理をするよりも低酸素状態で、また、空気よりも比熱容量が大きい水蒸気を使用することで、安全にかつ、短時間に加熱焼成することができるので、塗布した金属薄膜の比抵抗を下げることができるという技術が知られている。(特許文献8)。しかし、処理温度が300℃以上と高く、またこの高い処理温度でも変形しにくく、寸法安定性の優れた基材が要求されるという問題点があった。
特開平11−293185号公報 特開平1−119602号公報 特許2561537号公報 特開2005−23417号公報 特開2010−192841号公報 国際公開2011/034016号 国際公開2006/071419号 特許4853590号公報
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、過熱水蒸気処理で金属微粒子分散体から導電性に優れる低抵抗率の金属薄膜を製造する方法およびこの方法により製造されたプリント回路基板を提供することにある。
本発明者は、かかる目的を達成するために鋭意検討した結果、以下の手段により上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。すなわち本発明は、(1)金属薄膜を製造する方法であって、耐熱性樹脂層の上に形成した金属微粒子分散体を用いて金属微粒子を含有する塗膜を形成した後、過熱水蒸気による加熱処理を施す工程を含み、該耐熱性樹脂層が350℃2時間処理時の熱収縮率が0.3%以下であるポリイミドフィルムであることを特徴とする金属薄膜の製造方法。
(2)前記耐熱性樹脂層が、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸無水物とを反応させて得られるポリイミドを主成分とするポリイミドフィルムであることを特徴とする(1)に記載の金属薄膜の製造方法。
(3)前記金属微粒子が銅、銅酸化物、銅錯体からなる群より選択されてなる1種以上を含有することを特徴とする(1)〜(2)のいずれかに記載の金属薄膜の製造方法。
(4)過熱水蒸気による加熱処理温度が300℃以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の金属薄膜の製造方法。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法を含む方法により製造された金属薄膜樹脂基板。
(6)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法を含む方法により製造されたプリント回路基板。
本発明において、過熱水蒸気処理を施して金属微粒子分散体から導電性に優れる低抵抗率の金属薄膜を製造する際に、特定の耐熱性樹脂層を用いることにより、耐熱性樹脂層が反りや変形を生じないために、寸法安定性の優れたプリント回路基板とすることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明では、350℃2時間処理時の熱収縮率が0.3%以下であり、好ましくはベンゾオキサゾール構造を有する特定のポリイミドフィルムからなる耐熱性樹脂層の上に、金属微粒子分散体を含有する塗膜を形成し、過熱水蒸気によって好ましくは300℃以上の加熱処理を施すことにより、金属薄膜を製造する。前記塗膜は金属微粒子分散液を耐熱性樹脂層上に塗布または印刷したものであることが好ましい。
本発明において、過熱水蒸気によって加熱処理をすることにより処理雰囲気は無酸素状態または低酸素状態となり、銅微粒子のように空気中で酸化が起こりやすい金属微粒子であっても熱処理工程で酸化されることを抑制することができる。その結果、酸化による導電性の悪化が起こり難い。さらに、金属の種類や処理条件によっては微粒子表面の酸化物層の還元が起こり、導電性の向上が見られる場合がある。また、前記塗膜が金属微粒子分散体の塗布または印刷によって形成されたものである場合、過熱水蒸気を用いることにより、金属微粒子に吸着した有機物の脱着を促し、その結果、金属微粒子同士の接触機会を増加させる場合があり、更に導電性が向上する。また、過熱水蒸気は加熱効率が加熱空気や加熱窒素ガスよりも高いため、焼成を短時間および/又は低温で起こさせることができる場合がある。
本発明の350℃2時間処理時の熱収縮率が0.3%以下である耐熱性樹脂層は、剛直構造を有するポリイミドフィルムで実現できる。ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドを主成分とするポリイミドフィルムが好ましく、そのポリイミド樹脂前駆体であるポリアミド酸はベンゾオキサゾール構造を有するジアミン類と芳香族テトラカルボン酸無水物類を含有するテトラカルボン酸無水物類との縮合反応により合成できる。
この場合において前記ポリイミドを主成分とするとは、ポリイミドを構成するジアミン類およびテトラカルボン酸無水物類をそれぞれ100モル%としたとき、ジアミン類の70モル%以上がベンゾオキサゾール構造を有するジアミン類で構成され、かつテトラカルボン酸無水物類の70モル%以上が芳香族テトラカルボン酸無水物類で構成されることをさす。
一般にポリイミドは、溶媒中でジアミン類とテトラカルボン酸無水物を反応して得られるポリアミド酸溶液を、支持体に塗布・乾燥してフィルム状と成し、さらに支持体上で、あるいは支持体から剥がした状態でフィルム状成形体を高温熱処理することにより脱水閉環反応を行うことによって得られる物である。
本発明におけるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類としては、具体的には以下のものが挙げられる。
該ジアミンは、単独であっても二種以上を用いることも可能である。
本発明においては、全ジアミンの30モル%以下であれば下記に例示されるベンゾオキサゾール構造を有しないジアミン類を一種または二種以上を併用しても構わない。例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン,4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリル、および上記芳香族ジアミンの芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシ基、シアノ基、またはアルキル基またはアルコキシ基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基またはアルコキシ基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
本発明において用いられるテトラカルボン酸無水物は芳香族テトラカルボン酸無水物類である。芳香族テトラカルボン酸無水物類としては、具体的には、以下のものが挙げられる。
これらのテトラカルボン酸二無水物は単独でも二種以上を用いることも可能である。
本発明においては、全テトラカルボン酸二無水物の30モル%以下であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種または二種以上を併用しても構わない。用いられるテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6ラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等である。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独でも二種以上を用いることも可能である。
また、本発明の線状ポリイミドまたは線状ポリアミド酸の分子末端を炭素−炭素二重結合を有する末端基で封止するために無水マレイン酸等を用いることが出来る。無水マレイン酸の使用量は、芳香族ジアミン成分1モル当たり0.001〜1.0モル比である。
本発明で使用する極性有機溶剤としては、原料モノマーおよび生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、例えば,N−メチル−2−ピロリドン,N−アセチル−2−ピロリドン,N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジエチルホルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミド,ジメチルスルホキシド,ヘキサメチルホスホリックアミド,エチルセロソルブアセテート,ジエチレングリコールジメチルエーテル,スルホラン,ハロゲン化フェノール類等があげられ,これらの溶媒は,単独あるいは混合して使用することができる。極性有機溶媒の使用量は,仕込みモノマーを溶解するのに十分な量であればよく,通常は5〜50質量%であり,好ましくは10〜20質量%の固形分を含むものであればよい。
本発明で用いるポリアミド酸の有機溶媒溶液は、固形分を好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%を含有するものであって、またその粘度はブルックフィールド粘度計による測定で10〜2000Pa・s、好ましくは100〜1000Pa・sのものが、安定した送液が可能であることから好ましい。重合反応は、有機溶媒中で撹拌および/または混合しながら、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して進められるが、必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両反応体の添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸類を添加するのが好ましい。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の有機溶媒溶液を製造するのに有効な方法である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封鎖剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。
本発明では閉環触媒を用いても良い。本発明で使用される閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミンおよびイソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどの複素環式第3級アミンなどが挙げられるが、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンを使用することが好ましい。
本発明で使用される脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などの脂肪族カルボン酸無水物、および無水安息香酸などの芳香族カルボン酸無水物などが挙げられるが、無水酢酸および/または無水安息香酸が好ましい。ポリアミド酸に対する閉環触媒の含有量は、閉環触媒の含有量(モル)/ポリアミド酸の含有量(モル)が0.5〜8となる範囲が好ましい。また、ポリアミド酸に対する脱水剤の含有量は、脱水剤の含有量(モル)/ポリアミド酸の含有量(モル)が0.1〜4となる範囲が好ましい。尚、この場合には、アセチルアセトンなどのゲル化遅延剤を併用してもよい。
一般に、ポリイミドフィルムは所定のポリアミド酸溶液を回転する支持体にフィルム状に連続的に押し出し又は塗布して形成したフィルム状成型体を、前記支持体から剥離し、延伸あるいは固定し、乾燥、熱処理することにより製造される。ポリアミド酸の有機溶媒からポリイミドフィルムを製造する代表的な方法としては、閉環触媒および脱水剤を含有しないポリイミド酸の有機溶媒溶液をスリット付き口金から支持体上に流延してフィルム状に成形し、支持体上で加熱乾燥することにより自己支持性を有するフィルム状成型体にした後、支持体よりフィルムを剥離し、 更に高温下で乾燥熱処理することによりイミド化する熱閉環法、および閉環触媒および脱水剤を含有せしめたポリド酸の有機溶媒をスリット付き口金から支持体上に流延してフィルム状に成形し、支持体上でイミド化を一部進行させて自己支持性を有するフィルムとした後、支持体よりフィルムを剥離し、加熱乾燥、イミド化し、熱処理を行う化学閉環法が挙げられる。
ここに支持体とは、ポリアミド酸溶液をフィルム状に成形する際に用いられるドラムまたはベルト状回転体、長尺フィルム、あるいは金属箔である。ポリアミド酸溶液は支持体上に塗布され、加熱乾燥により自己支持性を与えられる。支持体の表面は金属、プラスチック、ガラス、磁器などが挙げられ、支持体表面として好ましい物として、金属、なお、好ましくは錆びなくて耐腐食に優れるSUS材である。また、Cr、Ni、Snなどの金属メッキをしても良い。本発明における金属表面は必要に応じて鏡面にしたり、あるいは梨地状に加工することができる。また、本発明においては支持体として、平滑な高分子フィルムを用いることが出来る。高分子フィルムとして好ましく用いられる物はポリエチレンテレフタレートフィルム、ないしはポリエチレンナフタレートフィルムである。
本発明において、耐熱性樹脂層の熱収縮率(流れ(MD)方向の熱収縮率と幅(TD))方向の熱収縮率の平均値)は、350℃2時間処理時において、0.3%以下であることが必須であり、0.2%以下であることが好ましく、0.1%であることがさらに好ましい。熱収縮率が大きい場合には、過熱水蒸気処理後に、基材の耐熱性樹脂が反りや変形を起こすために、この金属薄膜積層基板の実装工程での実装精度の悪化を招く。基板(50mm×50mm)の試験片での反り量で、0.1mm以下が好ましい。さらに、本発明では耐熱性樹脂層の熱収縮率が400℃2時間処理において、0.3%以下であることが好ましく、0.2%以下であることがさらに好ましい。なお、さらに0.1%以下であることが好ましい。
本発明において、耐熱性樹脂層の厚さは3〜100μmであることが好ましく、さらには4〜50μm、なおさらには5〜25μmが好ましい。所定の範囲より薄いと作成した耐熱性樹脂層の機械的強度、寸法安定性に問題が生じる。また所定の範囲より厚くなると溶媒の除去、イミド化に難点が生じる。
本発明においては、金属微粒子分散体を含有する塗膜に過熱水蒸気による加熱処理を施すことによって、金属薄膜を製造する。前記塗膜は金属微粒子分散体を耐熱性樹脂層上に塗布または印刷したものであることが好ましい。
本発明の金属微粒子分散体は、金属微粒子を分散質とし、分散媒中に分散させたものであり、必要により金属微粒子に吸着能力のあるバインダー樹脂を含んでもよい。
本発明に用いられる金属微粒子の平均粒径は2μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.1μm以下、特に好ましくは0.08μm以下である。平均粒径の測定は、透過電子顕微鏡、電界放射型透過電子顕微鏡、電界放射型走査電子顕微鏡のいずれかにより粒子100個の粒子径を測定して平均値をもとめる方法による。
金属微粒子の平均粒径が2μmより大きいと、分散体での金属微粒子の沈降を生じたり、微細回路の印刷適性が劣ったりする。平均粒径の下限は特に限定されないが、0.01μm以上であることが好ましい。0.01μm未満では金属微粒子の経済性の制限や、安定な分散物を得るためには多量の分散媒を必要とするため、高導電性の金属薄膜を得ることが困難になる場合がある。本発明で用いる金属微粒子は異なる粒径の物を混合して使用してもかまわない。
本発明で使用する金属微粒子としては、加熱処理によって微粒子間が融着するものでも、融着しないものでも使用可能である。金属の種類としては、銅、ニッケル、コバルト、銀、白金、金、モリブデン、チタン等が挙げられ、特に銅が好ましく、銅微粒子、銅酸化物微粒子、銅錯体微粒子のいずれかを一つ以上を含有する粒子が好ましい。これらの金属微粒子は、市販品を用いてもよいし、公知の方法を用いて調製することも可能である。また、異種の金属を積層した構造のもの、有機物あるいは無機物に金属めっきを施したものでもかまわない。
本発明で使用する金属微粒子分散体には還元剤を含有させることができる。還元剤とは金属の酸化物、水酸化物、または塩等の金属化合物を金属に還元する能力を有するものを言う。還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、ヒドラジン類、ホルマリンやアセトアルデヒド等のアルデヒド類、亜硫酸塩類、蟻酸、蓚酸、コハク酸、アスコルビン酸等のカルボン酸類あるいはラクトン類、エタノール、ブタノール、オクタノール等の脂肪族モノアルコール類、ターピネオール等の脂環族モノアルコール類等のモノアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル類、ジエタノールアミンやモノエタノールアミン等のアルカノールアミン類、ハイドロキノン、レゾルシノール、ブドウ糖、あるいはクエン酸ナトリウム等が挙げられる。還元剤あるいは還元剤分解物の金属薄層への残留は、得られた金属薄層の導電性や絶縁基板との接着性等の特性の悪化を生じることがある。そのため、還元剤は過熱水蒸気処理により蒸発揮散するものが望ましい。また、金属微粒子分散体の塗布層を過熱水蒸気処理する際、還元剤が塗布層に残留していることが望ましい。そのため、還元剤が液状揮発性物質の場合は沸点が150℃以上であることが望ましい。本発明の還元剤としてはアルコール類や多価アルコール類が望ましい。本発明の還元剤は具体的な好ましい例としては、ターピネオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、アスコルビン酸、レゾルシノール等を挙げることができる。
本発明で用いる金属微粒子分散体は、金属微粒子、溶媒、バインダー樹脂を含有することが好ましい。各成分の割合は金属微粒子100重量部に対し、溶剤20〜400重量部、バインダー樹脂3〜15重量部の範囲が好ましい。
本発明で使用される金属微粒子分散体に使用される溶媒は、分散安定化の働きをするバインダー樹脂を用いる場合には、その樹脂を溶解するものから選ばれ、有機化合物であっても水であってもよい。分散媒は、分散体中で金属微粒子を分散させる役割に加えて、分散体の粘度を調整する役割がある。溶媒として好適に用いられる有機溶媒の例として、アルコール、エーテル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素、アミド等が挙げられる。
本発明で使用される金属微粒子分散体に使用されるバインダー樹脂としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミドあるいはアクリル等が挙げられる。樹脂中にエステル結合、ウレタン結合、アミド結合、エーテル結合、イミド結合等を有するものが、金属微粒子分散体の安定性から、好ましい。
本発明で用いる金属微粒子分散体は、スルフォン酸塩基やカルボン酸塩基等の金属への吸着能力のある官能基を含有するポリマーを含んでいることが好ましい。さらに分散剤を配合してもかまわない。分散剤としてはステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸金属塩、燐酸エステル、スルフォン酸エステル等が挙げられる。分散剤の使用量はバインダー樹脂の0.1〜10重量%の範囲が好ましく、金属微粒子の分散性や分散体の保存安定性を向上させる効果が発揮される場合がある。
本発明で用いられる金属微粒子分散体には、必要に応じ、硬化剤を配合しても良い。本発明に使用できる硬化剤としてはフェノール樹脂、アミノ樹脂、イソシアネート化合物、エポキシ樹脂等が挙げられる。硬化剤の使用量はバインダー樹脂の1〜100重量%の範囲が好ましく、塗膜の密着性や表面硬度を向上させる効果が発揮される場合がある。
本発明で使用する金属微粒子の分散体には還元剤を含有させてもかまわない。還元剤は金属の酸化物、水酸化物、または塩等の金属化合物から金属に還元する能力を有するものを言う。還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、ヒドラジン類、ホルマリンやアセトアルデヒド等のアルデヒド類、亜硫酸塩類、蟻酸、蓚酸、コハク酸、アスコルビン酸等のカルボン酸類あるいはラクトン類、エタノール、ブタノール、オクタノール等の脂肪族モノアルコール類、ターピネオール等の脂環族モノアルコール類、等のモノアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の脂肪族ジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル類、ジエタノールアミンやモノエタノールアミン等のアルカノールアミン類、ハイドロキノン、レゾルシノール、アミノフェノール、ブドウ糖、あるいはクエン酸ナトリウム等が挙げられる。金属微粒子として銅を使用する場合、還元剤あるいは還元剤分解物の銅薄膜への残留は、得られた銅薄膜の特性の悪化を生じさせることがある。そのため、還元剤は過熱水蒸気処理により蒸発揮散するものが望ましい。還元剤としては、アルコール類や多価アルコール類が特に望ましい。還元剤の具体的な好ましい例としては、ターピネオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、アスコルビン酸、レゾルシノールを挙げることができる。
金属微粒子分散体を得る方法としては、粉体を液体に分散させる一般的な方法を用いることができる。例えば、金属微粒子とバインダー樹脂溶液、必要により追加の溶媒からなる混合物を混合した後、超音波法、ミキサー法、3本ロール法、ボールミル法等で分散を施せばよい。これらの分散手段のうち、複数を組み合わせて分散を行うことも可能である。これらの分散処理は室温で行ってもよく、分散体の粘度を下げるために、加熱して行ってもよい。必要により使用する還元剤は金属微粒子分散体の分散前、分散中、分散後の任意の段階で添加しても良い。
金属微粒子分散体を含有する塗膜を形成するには、分散体を耐熱性樹脂層に塗布あるいは印刷する場合に用いられる一般的な方法を用いることができる。例えばスクリーン印刷法、ディップコーティング法、スプレー塗布法、スピンコーティング法、ロールコート法、ダイコート法、インクジェット法、凸版印刷法、凹版印刷法等の方法によって金属微粒子分散体を塗布または印刷し、次いで風乾、加熱あるいは減圧等により分散媒の少なくとも一部を蒸発させることにより、塗膜を形成することができる。塗膜は耐熱性樹脂層上に全面に設けられたものでも部分的に設けられたものでもよく、また導電回路等のパターン形成物でもかまわない。
本発明の金属薄膜の厚みは、電気抵抗や接着性等の必要特性にあわせて適宜設定することができ、特に限定されない。分散体組成や塗布または印刷の方法により、形成可能な銅薄膜の厚みの範囲は異なるが、0.05〜20μmが好ましく、より好ましくは0.1〜15μm、さらに好ましくは0.2〜10μmである。厚い銅薄膜を得るためには塗膜を厚くする必要があり、溶剤の残留による弊害や塗膜形成速度を低速化する必要が生じる等の経済性の悪化が起こりやすい。一方、塗膜が薄すぎると、ピンホールの発生が顕著になる傾向がある。
本発明の金属薄膜の形成に際し、重ね刷りや多層印刷を行なうことが可能である。ここで、重ね刷りとは、同じパターンを多数回重ねて印刷することを指し、これにより銅薄膜の厚さを増すことができ、あるいはアスペクト比(膜厚と線幅の比)の高い銅薄膜を得ることができる。また、多層印刷とは、異なるパターンを重ねて印刷することを指し、これにより層ごとに異なる機能を発揮させることができる。部分的に重ね刷りおよび/または多層印刷を行なうこと、また重ね刷りと多層印刷を複合的に行うことも差し支えない。また、本発明の銅薄膜とは異なる薄膜、例えば絶縁層との多層印刷を行うことも可能である。
金属微粒子分散体を含有する塗膜を形成した後、塗膜が破壊しない範囲で加圧処理(カレンダー処理)をすることができる。カレンダー処理により導電性が向上する傾向がある。カレンダー処理は一般的には金属ロールと弾性ロールの間で材料に応じた線圧、たとえば1〜250kg/cm、より好ましくは50〜200kg/cmの加圧処理を行うことである。カレンダー処理は、金属微粒子分散体にバインダー樹脂を用いている場合には、バインダー樹脂のガラス転移温度以上の温度に加熱して行うことが特に好ましい。カレンダー処理は金属微粒子分散体の塗膜に他の層を積層した状態で行っても良い。
本発明において、金属微粒子分散体から形成された塗膜は、乾燥処理を行った後に過熱水蒸気による加熱処理を行なう。塗布後、乾燥工程無しで過熱水蒸気処理を行うと、突沸が起こり塗膜の均質性が悪化する場合がある。乾燥処理と過熱蒸気処理は連続して行っても、間に他の処理を挟んで行ってもよい。乾燥処理と過熱水蒸気処理の間に挟む処理としては、例えば塗膜に還元剤を付与する処理を挙げることができる。この場合、塗膜には予め還元剤が含有されていても含有されていなくてもよく、含有されている場合には同種のもの、異種のものおよび同種のものと異種のものの混合物のいずれとすることも可能である。塗膜に還元剤を付与する処理により、塗膜の体積抵抗率の低下、過熱処理温度の低下、過熱処理時間の短縮、といった効果が発揮される場合がある。また、乾燥処理と過熱水蒸気処理の間に挟む処理としては、カレンダー処理を挙げることができる。カレンダー処理を行うことにより、塗膜の体積抵抗率の低下が可能になる場合がある。
金属微粒子分散体を含有する塗膜を形成した後、塗膜が破壊しない範囲で加圧処理(カレンダー処理)をすることが好ましい。カレンダー処理により導電性が向上する傾向がある。カレンダー処理は一般的には金属ロールと弾性ロールの間で材料に応じた線圧、たとえば1〜100kg/cmの加圧処理を行うことである。カレンダー処理は、金属微粒子分散体にバインダー樹脂を用いている場合には、バインダー樹脂のガラス転移温度以上の温度に加熱して行うことが特に好ましい。カレンダー処理は金属微粒子分散体の塗膜に他の層を積層した状態で行っても良い。
金属微粒子分散体を含有する塗膜に過熱水蒸気による加熱処理を行うことによって、本発明の金属薄膜を得ることができる。過熱水蒸気とは、圧力を上げずにさらに飽和水蒸気を加熱して温度を上げた水蒸気のことをいう。過熱水蒸気は温度が150℃以上では放射熱エネルギーが通常の加熱空気と比較して著しく大きくなるため、短時間で物質を加熱することができる。
本発明において、過熱水蒸気としてアルコール化合物を含有する過熱水蒸気を用いることができる。過熱水蒸気に含有させるアルコール化合物はメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等の脂肪族モノアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の脂肪族ジオールのモノアルキルエーテル、シクロヘキサノール、テルピネオール等の脂環族モノアルコール等のモノアルコール化合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール等の脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール化合物、あるいは酒石酸、ヒドロキシ酪酸、リンゴ酸等のヒドロキシカルボン酸が挙げられる。これらのうち、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールが好ましい。
アルコール化合物を含有する過熱水蒸気を作る方法としては、例えば、水にアルコール化合物を溶解させた溶液の飽和蒸気を加熱する方法、アルコール化合物と水の夫々の飽和蒸気を混合加熱する方法が挙げられる。過熱水蒸気中のアルコール化合物の含有率は化合物の種類により最適範囲は異なるが、0.01〜20重量%の範囲で用いることが好ましい。アルコール化合物の含有率が0.01重量%未満では導電性改善効果が見られず、20重量%を超えるとバインダー樹脂の溶解や分解が顕著に起こることがある。より好ましい範囲は0.1〜5重量%である。
過熱水蒸気処理は金属微粒子分散体を含有する塗膜の焼成処理として施されることが好ましい。焼成処理は金属微粒子の粒径が100nm以下の場合に特に高い効果を発揮する傾向にある。金属微粒子の結晶化度や酸化度等の表面状態により異なるが、いわゆるナノ粒子では表面活性が大きく、一般に知られているバルクの融点よりもはるかに低い温度で融着を始める。なお、本発明において焼成処理とは、金属微粒子の少なくとも一部に融着を生じる加熱処理を指し、バインダー樹脂および分散剤の分解や揮散は必ずしも要しないものとする。
本発明で用いる過熱水蒸気の温度は、金属薄膜の低抵抗の観点からは300℃以上が好ましく、350℃以上がより好ましく、400℃以上がさらに好ましい。処理温度の上昇とともに、形成する金属薄膜の比抵抗は減少する傾向にある。温度の上限は500℃以下が好ましい。温度の上限は、用いる耐熱性樹脂層やバインダー樹脂の耐熱特性によっても制限される。加熱時間も被処理物の量や特性から選ばれるが、10秒〜30分間が好ましい。過熱水蒸気の温度が低すぎると、低比抵抗の導電層を得ることができない。過熱水蒸気の温度が高すぎると、バインダー樹脂の大半または全てが除去され、金属薄膜と基板の密着性が損なわれることがあり、また、耐熱性樹脂層の劣化が生じる場合があり、注意が必要である。
過熱水蒸気による加熱処理操作は熱風乾燥における加熱空気による加熱処理操作と同様に取り扱うことができる。空気を過熱水蒸気で完全に置換すると不活性ガスと同様の無酸素状態が得られ、酸化反応を防止できる。金属の種類によっては、微粒子化することによる表面活性の向上により還元反応が起こり、導電性が飛躍的に向上する場合がある。特に銅微粒子では、顕著な導電性の向上が認められ、銅微粒子表面に形成された酸化層の還元が生じているものと考えられる。この還元によると考えられる導電性の向上効果は粒子径の減少により大きくなる傾向がある。銅微粒子等の酸化被膜が形成されやすい金属の微粒子の場合には、過熱水蒸気で処理する部分と処理しない部分をパターン化することにより、導電性部分と絶縁性部分を同一面上にパターン形成できる。
本発明の銅薄膜層には、防錆処理が施すことができる。好ましい防錆処理方法としては、銅薄膜層の表面に銅に対して吸着能力のある有機化合物あるいは無機化合物の吸着層を設ける方法を挙げることができる。ここで、銅薄膜層に含まれる銅粒子が相互に融着していない銅粒子を含有する場合には、前記吸着層は個々の銅微粒子の表面に形成されることが好ましい。また別の好ましい防錆処理方法としては、防水性のある絶縁樹脂層を銅薄膜層上に設ける方法を挙げることができる。銅薄膜層の表面に有機化合物あるいは無機化合物の吸着層を設け、さらに絶縁樹脂層で被覆する方法は、本発明の好ましい実施態様の一例である。
本発明における銅薄膜層の表面に吸着層を形成できる有機化合物あるいは無機化合物(以下、表面処理剤と称する場合がある)としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、テトラゾール等の含窒素複素環化合物、メルカプトプロピオン酸、メルカプト酢酸、チオフェノール、トリアジンジチオール等の含硫黄化合物、オクチルアミン、イソブチルアミン等のアミノ化合物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロメート処理剤等が挙げられる。表面処理剤を溶解した処理剤に銅薄膜を浸漬する、あるいは処理剤を銅薄膜に塗布することで、吸着層の形成がなされる。表面処理剤層の厚みが増すと導電性の低下や接着加工性の悪化を起こす場合があるので、表面処理層の厚みは0.05μm以下の薄層とすることが望ましい。表面処理剤層を薄層にする方法としては、処理液の濃度を下げる、表面処理剤を溶解する溶剤で余分の表面処理剤を除去する等が挙げられる。
本発明における銅薄膜層上に設ける防水性のある絶縁樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ブチラール樹脂等が挙げられる。これらの樹脂の一種以上で銅薄膜層を被覆することにより防錆効果が発揮できる。防水性のある絶縁樹脂で銅薄膜層を被覆する方法は特に限定されないが、樹脂溶液を銅薄膜層に塗布または印刷し次いで溶媒を揮散させる方法、樹脂フィルムに接着剤を塗布して銅薄膜層に貼り合わせる方法を、好ましい方法として例示することができる。接着剤付きのポリイミドフィルムあるいはポリエステルフィルムを貼り合わせることは、特に好ましい実施態様の例である。絶縁樹脂層の厚みは1〜30μmが望ましい。
本発明をさらに詳細に説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例に記載された測定値は以下の方法によって測定したものである。
1.ポリイミドフィルムの厚さ
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン(R)1245D)を用いて測定した。
2.ポリイミドフィルムの引張弾性率
測定対象のポリイミドフィルムを、流れ方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれ100mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。引張試験機(島津製作所製、オートグラフ(R)機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度を測定した。引張弾性率は、流れ方向(MD方向)および幅方向(TD方向)の平均値を計算した。
3.ポリイミドフィルムの融点
試料を下記条件でDSC測定し、融点(融解ピーク温度Tpm)をJIS K 7121に準拠して下記測定条件で求めた。
装置名 ; MACサイエンス社製DSC3100S
パン ; アルミパン(非気密型)
試料重量 ; 4mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温速度 ; 20℃/分
雰囲気 ; アルゴン
4.熱分解温度
熱分解温度は、充分に乾燥した試料を下記条件でTGA測定(熱天秤測定)して、5%重量減をもって規定した。
装置名 ; MACサイエンス社製TG−DTA2000S
パン ; アルミパン(非気密型)
試料重量 ; 10mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温速度 ; 20℃/分
雰囲気 ; アルゴン
5.熱収縮率
測定対象の基板(50cm×50cm)に、200mm間隔で2カ所パンチングを施し、350℃で2時間処理、および400℃で2時間処理し、処理前後に200mm間隔で2カ所パンチングした部位の長さを測定し熱収縮率を算出した。
6.基板の反り量
50mm×50mmの試験片を定盤上に、上側に凹となるように置いた場合の、定盤面から試験片の四隅までの距離(h1、h2、h3、h4:単位mm)の平均値を反り量(mm)とた。
反り量(mm)=(h1+h2+h3+h4)/4
7.電気抵抗の測定方法
電気抵抗率は、低抵抗率計(商品名:ロレスタ−CP、三菱化学製)および四探針プローブ(NSCPプローブ)を用いた四端子法で測定した。
8.密着性の評価方法
ニチバン株式会社製セロテープ(登録商標)「CT405AP−15」の1cm幅のものを使用し、金属薄膜面にその接着テープを5cm長貼り付け、剥がした際に金属薄膜面が損傷を受けているかどうか、目視観察により判断した。金属薄膜に剥がれ、浮き、亀裂等の何らかの損傷が認められた場合には×、損傷が認められなかった場合には○と判定した。
製造例1(ポリイミドフィルムAの製造)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスター(R)KE−P30(日本触媒株式会社製)を0.81質量部、N−メチル−2−ピロリドン420質量部を、容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。予備分散液中の平均粒子径は0.38μm、標準偏差0.032μm、CV値8.4%、であり、球形度0.98であった。
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器を窒素置換した後、223質量部の5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(ジアミン−1)を入れた。次いで、4000質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を420質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物(酸無水物−1)を加えて、25℃にて48時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Aが得られた。
得たポリアミド酸溶液Aを送液し、ポリエチレンテレフタレート製フィルムの支持体上にコーティングし(スキージ/ベルト間のギャップは、950μm)、90℃にて60分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して、厚さ71μmのポリアミド酸フィルム(グリーンフィルム)を得た。
得られたグリーンフィルムを、窒素置換された連続式の熱処理炉に通し、第1段が180℃で3分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として460℃で5分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却することで、褐色を呈する、厚さ48μm、幅60cmポリイミドフィルムAを得て、両端部(耳部)をそれぞれ5cmずつスリットし、中央部のみの幅50cmのフィルムを製品とした。
製造例2(ポリイミドフィルムBの製造)
酸無水物として、ピロメリット酸二無水物(酸無水物−1)の代わりにジフェニルテトラカルボン酸二無水物(酸無水物−2)を用いる他は製造例1と同様にして(ジアミン/酸無水物のモル比を0.996)、ポリアミック酸Bが得られた。次に製造例1と同様にしてポリイミドフィルムBを得て、両端部(耳部)をそれぞれ5cmずつスリットし、中央部のみの幅50cmのフィルムを製品とした。
製造例3(ポリイミドフィルムCの製造)
ジアミンとして、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(ジアミン−1)の代わりに4,4‘−ジアミノジフェニルエーテル(ジアミン−2)を用いる他は製造例1と同様にして(ジアミン/酸無水物のモル比を0.996)、ポリアミック酸Cが得られた。次に製造例1と同様にしてポリイミドフィルムCを得て、両端部(耳部)をそれぞれ5cmずつスリットし、中央部のみの幅50cmのフィルムを製品とした。
製造例4(ポリイミドフィルムDの製造)
ジアミンとして、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(ジアミン−1)の代わりに1,4―フェニレンジアミン(ジアミン−3)を用い、酸無水物として、ピロメリット酸二無水物(酸無水物−1)の代わりにジフェニルテトラカルボン酸二無水物(酸無水物−2)を用いる他は製造例1と同様にして(ジアミン/酸無水物のモル比を0.996)、ポリアミック酸Dが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は5.0dl/gであった。次に製造例1と同様にしてポリイミドフィルムDを得て、両端部(耳部)をそれぞれ5cmずつスリットし、中央部のみの幅50cmのフィルムを製品とした。
合成例(バインダー樹脂の合成)
下記の配合割合の組成物を撹拌機を付けた4つ口フラスコに入れて撹拌・加熱を行い、常法に従い、共重合ポリエステルを得た。
cis-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物(HHPA) 80部
1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA) 20部
2−メチルプロパンジオール 100部
得られた共重合ポリエステルの数平均分子量は32461、ガラス転移温度は11℃であった。
実施例1〜3
下記割合の組成物を3本ロールミルで分散した。さらに、溶剤で希釈してポリイミドフィルムA上に乾燥後の厚みが5μmになるように塗布して、120℃で2分熱風乾燥し、銅薄膜積層体を得た。
組成物
共重合ポリエステルの酢酸n-ブチルカルビトールアセテートの35重量%溶液 1.8部
銅微粒子(RCA−16、DOWAエレクトロニクス株式会社製) 20部
エチルカルビトールアセテート 3部
続いて、銅薄膜積層体をそれぞれ300℃(実施例1)、350℃(実施例2)、400℃(実施例3)で20分間の過熱水蒸気による焼成処理を行い、銅薄膜積層体を得た。過熱水蒸気の発生装置として蒸気過熱装置(第一高周波工業株式会社製「DHF Super-Hi 10」)を用い、10kg/時間の過熱水蒸気を供給する熱処理炉で行った。過熱水蒸気処理後の銅薄膜積層体について、比抵抗、密着性、基板フィルム反り量を測定し、その値を表1に示した。銅薄膜の比抵抗は十分に低く、処理温度の増加とともに低下する。また、密着性も良好で、基板のポリイミドフィルムの反りは見られなかった。
実施例4〜6
基板のポリイミドフィルムAの代わりに、ポリイミドBを用いる他は、実施例1〜3と同様にして、過熱水蒸気処理後の銅薄膜を得た。比抵抗、密着性、基板フィルムの反り量の値を表1に示した。銅薄膜の比抵抗は十分に低く、処理温度の増加とともに低下する。また、密着性も良好で、基板のポリイミドフィルムの反りは見られなかった。
比較例1〜3
基板のポリイミドフィルムAの代わりに、ポリイミドCを用いる他は、実施例1〜3と同様にして、過熱水蒸気処理後の銅薄膜を得た。比抵抗、密着性、基板フィルムの反り量の値を表1に示した。ポリイミドフィルムの熱収縮が大きく、フィルム表裏の熱収縮が異なるために、ポリイミド基板の反りが大きく、寸法安定性に問題を生じる。
比較例4〜6
基板のポリイミドフィルムAの代わりに、ポリイミドDを用いる他は、実施例1〜3と同様にして、過熱水蒸気処理後の銅薄膜を得た。比抵抗、密着性、基板フィルムの反り量を表1に示した。比較例1〜3と同様に、ポリイミド基板の反りが大きい。
1)ジアミン−1 ; 5−アミノー2−(p―アミノフェニル)ベンゾオキサゾール
2)ジアミン−2 ; 4,4‘−ジアミノジフェニルエーテル
3)ジアミン−3 ; 1,4―フェニレンジアミン
4)酸無水物−1 ; ピロメリット酸二無水物
5)酸無水物−2 ; ジフェニルテトラカルボン酸二無水物
本発明において、過熱水蒸気処理を施して金属微粒子分散体から導電性に優れる低抵抗率の金属薄膜を製造する際に、ベンゾオキサゾール構造を有する耐熱性樹脂層を用いることにより、高い処理温度で処理しても、基板である耐熱性樹脂層の反りや変形を生じないために、寸法安定性の優れたプリント回路基板とすることができる。金属/樹脂積層体、電磁シールド金属薄膜等の金属薄膜形成材料、めっき用導電層、金属配線材料、導電材料等としても有用であり、導電性回路、アンテナ、電磁波シールド体、電極等に応用することができる。

Claims (6)

  1. 金属薄膜を製造する方法であって、耐熱性樹脂層の上に金属微粒子分散体を用いて金属微粒子を含有する塗膜を形成した後、過熱水蒸気による加熱処理を施す工程を含み、該耐熱性樹脂層が350℃2時間処理時の熱収縮率が0.3%以下であるポリイミドフィルムであることを特徴とする金属薄膜の製造方法。
  2. 耐熱性樹脂層が、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸無水物とを反応させて得られるポリイミドを主成分とするポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の金属薄膜の製造方法。
  3. 金属微粒子が銅、銅酸化物、銅錯体からなる群より選択されてなる1種以上を含有することを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の製造方法。
  4. 過熱水蒸気による加熱処理温度が300℃以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法を含む方法により製造された金属薄膜樹脂基板。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法を含む方法により製造されたプリント回路基板。
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