JP2016159606A - 積層構造体 - Google Patents

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優吾 久保
吉広 斎藤
Yoshihiro Saito
吉広 斎藤
晃 溝口
Akira Mizoguchi
晃 溝口
幸治 倉持
Koji Kuramochi
幸治 倉持
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Abstract

【課題】本発明は、導電層と樹脂層との間の密着性を向上させることができる積層構造体を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明の一態様に係る積層構造体は、金属を含む導電層と、この導電層の一方の面に積層される樹脂層とを備え、上記樹脂層が、樹脂組成物により形成される樹脂部分と、上記導電層に含まれる金属と同一の金属、この金属の金属化合物又はこれらの組み合わせにより形成される無機部分とを含有し、上記樹脂層における上記導電層との界面から100nm以下の領域の上記無機部分の含有率が、10体積%以上80体積%以下の積層構造体である。上記金属としては、遷移金属が好ましく、銅がより好ましい。上記金属化合物としては、金属酸化物が好ましい。上記領域の上記無機部分の含有率が、上記導電層との界面から離れるに従い小さくなっているとよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、積層構造体に関する。
導電層と樹脂層とが積層された積層構造体は、プリント配線板用の金属張積層体、絶縁電線、透明導電性フィルム等の様々な用途に適用されている。これらの用途等に適用される積層構造体は、使用時において導電層と樹脂層とが剥離しないように、導電層と樹脂層との間の密着性が要求される。
例えばプリント配線板用の金属張積層体に関しては、上記要求に応えるため、導電層と樹脂層との間に、スパッタリング法によりコバルト層、ニッケル層等の下地層を形成することが検討されている(例えば特開平9−136378号公報参照)。
特開平9−136378号公報
しかし、近年、各種の用途に適用される積層構造体には、導電層と樹脂層との間の密着性にさらに優れることが要求されている。例えばプリント配線板用の金属張積層体は、導電層を微細パターン化しても導電層と樹脂層との密着性を確保できることが要求されている。上記公報に記載の積層構造体では、その要求を満足させるには未だ不十分である。
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、導電層と樹脂層との間の密着性を向上させることができる積層構造体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る積層構造体は、金属を含む導電層と、この導電層の一方の面に積層される樹脂層とを備え、上記樹脂層が、樹脂組成物により形成される樹脂部分と、上記導電層に含まれる金属と同一の金属、この金属の金属化合物又はこれらの組み合わせにより形成される無機部分とを含有し、上記樹脂層における上記導電層との界面から100nm以下の領域の上記無機部分の含有率が、10体積%以上80体積%以下の積層構造体である。
本発明の積層構造体によれば、導電層と樹脂層との間の密着性を向上させることができる。
図1は、本発明の一実施形態の積層構造体の模式的断面図である。 図2は、図1の実施形態の積層構造体を部分的に拡大した断面の一例を示す透過型電子顕微鏡写真である。 図3は、本発明の図1とは異なる実施形態の積層構造体の模式的断面図である。 図4は、試験例1の積層構造体の断面を示す透過型電子顕微鏡写真である。 図5は、試験例2の積層構造体の断面を示す透過型電子顕微鏡写真である。 図6は、試験例1の積層構造体の断面の画像処理後の透過型電子顕微鏡写真である。 図7は、試験例2の積層構造体の断面の画像処理後の透過型電子顕微鏡写真である。
[本発明の実施形態の説明]
本発明の一態様に係る積層構造体は、金属を含む導電層と、この導電層の一方の面に積層される樹脂層とを備え、上記樹脂層が、樹脂組成物により形成される樹脂部分と、上記導電層に含まれる金属と同一の金属、この金属の金属化合物又はこれらの組み合わせにより形成される無機部分とを含有し、上記樹脂層における上記導電層との界面から100nm以下の領域(以下、「界面近傍層」ともいう。)の上記無機部分の含有率が、10体積%以上80体積%以下の積層構造体である。
なお、上記「無機部分の含有率」は、透過型電子顕微鏡で撮像された断面画像を画像解析ソフトで処理して得られる値である。また、上記「導電層」は、実質的に上記樹脂部分を含まない層である。ここで、「実質的に樹脂部分を含まない」とは、透過型電子顕微鏡により倍率550,000倍で観察した際に、樹脂部分を確認できないことをいう。
当該積層構造体は、界面近傍層の無機部分の含有率が10体積%以上80体積%以下である。これにより、導電層と樹脂層との間の密着性を向上させることができる。上記含有率を上記特定範囲とすることで、導電層と樹脂層との間の密着性を向上させることができる理由は定かではないが、(1)樹脂部分と無機部分との接触面積が増加するため、これらの間の密着性に係る相互作用(例えばファンデルワールス力)が強くなること、(2)界面近傍層において樹脂部分の微細な凹凸に無機部分が入り込むアンカー効果により、機械的結合が強くなること等の理由により密着性を向上させることができると考えられる。
上記金属としては、遷移金属が好ましく、銅がより好ましい。無機部分に含まれる金属を上記特定金属とすることで、密着性をより向上させることができる。
上記無機部分が上記金属化合物を含み、この金属化合物が金属酸化物であるとよい。金属酸化物は、大気中の酸素や不活性雰囲気中の微量酸素と金属とから容易に形成できるため、製造コストの低減が可能である。
上記樹脂組成物がポリイミドを含有するとよい。上記樹脂組成物が上記特定の樹脂を含有すると、密着性をより向上させることができる。
上記領域(界面近傍層)の上記無機部分の含有率が、上記導電層との界面から離れるに従い小さくなっているとよい。界面近傍層において、無機部分の含有率が導電層との界面から離れるに従い小さくなっていると、密着性をより向上させることができる。
上記無機部分が上記金属を含む複数の一次粒子により形成される二次粒子を含有し、上記二次粒子において上記複数の一次粒子の結晶方位が揃っているとよい。上記無機部分が上記特定の一次粒子により形成される二次粒子を含有することにより、密着性をより向上させることができる。なお、上記「一次粒子」とは、透過型電子顕微鏡で観察した際に粒子状として確認できる最小単位のものを指す。
上記一次粒子の平均粒径としては、30nm以下が好ましい。一次粒子の平均粒径を30nm以下とすることにより、一次粒子と樹脂部分との間の密着性に係る相互作用が均一化するため、密着性をより均一に向上させることができる。なお、上記「一次粒子の平均粒径」は、透過型電子顕微鏡で観察される一次粒子の最長径の数平均値(数平均粒径)である。ここで、上記「最長径」とは、透過型電子顕微鏡で観察される一次粒子の最大差し渡し長さである。
上記無機部分の金属が上記導電層に由来するとよい。無機部分の金属として、導電層に由来する金属を用いることで、密着性をより向上させることができる。
上記樹脂層の平均厚みとしては150nm以上が好ましい。樹脂層の平均厚みを150nm以上とすることにより、樹脂層を絶縁層として使用する際に、絶縁性を確保するのが容易となる。なお、上記「平均厚み」とは、対象物の厚み方向に切断した断面における測定長さ内の表面側の界面の平均線と、裏面側の界面の平均線との間の距離を指す。ここで、「平均線」とは、界面に沿って引かれる仮想線であって、界面とこの仮想線とによって区画される山の総面積(仮想線よりも上側の総面積)と谷の総面積(仮想線よりも下側の総面積)とが等しくなるような線を意味する。
従って、当該積層構造体は、プリント配線板用の金属張積層体として好適に用いることができる。すなわち、当該積層構造体をプリント配線板用の金属張積層体に適用すると、導電層と樹脂層との間の密着性を向上させることができるため、例えば導電層を微細パターン化しても導電層と樹脂層との密着性を確保できる。
さらに、当該積層構造体は、絶縁電線として好適に用いることができる。すなわち、当該積層構造体を絶縁電線に適用すると、導電層と樹脂層との間の密着性を向上させることができるため、例えば耐傷性を高めることができる。
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る積層構造体について、以下に図面を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
図1に、第1実施形態に係る積層構造体10の模式的断面図を示す。第1実施形態に係る積層構造体10は、例えばプリント配線板用の金属張積層体等に使用できる積層構造体であり、金属を含む導電層1と、導電層1の一方の面に直接積層される樹脂層2とを備える。なお、図1における上下方向は、積層構造体10の製造時における上下方向とは必ずしも一致しない。後述するように、積層構造体10を製造する方法としては、(1)導電層1の一方の面に樹脂層2となる層を積層する方法、(2)樹脂層2となる層の一方の面に導電層1を積層する方法、(3)導電層1となる金属箔等と、樹脂層2となる樹脂フィルム等とを重ねて固着させる方法等、様々な方法が挙げられる。
(導電層)
導電層1は、金属を含む層である。この金属としては、特に限定されないが、密着性をより向上させる観点から、遷移金属が好ましく、銅がより好ましい。なお、導電層1は、一方の面又は両面の表層が金属酸化物層であってもよい。この金属酸化物層は、導電層1に含まれる金属の酸化物等により形成される。導電層1が上記金属酸化物層を含む場合、金属酸化物層の平均厚みとしては、例えば1nm以上100nm以下である。
導電層1の平均厚みの下限としては、0.001μmが好ましく、0.01μmがより好ましい。また、導電層1の平均厚みの上限としては、50μmが好ましく、35μmがより好ましく、10μmがさらに好ましく、1μmが特に好ましい。導電層1の平均厚みが上記下限未満の場合、導電性が低下するおそれがある。一方、導電層1の平均厚みが上記上限を超える場合、薄型化が要求される製品への適用が困難となるおそれがある。
(樹脂層)
樹脂層2は、樹脂組成物により形成される樹脂部分3と、導電層1に含まれる金属と同一の金属、この金属の金属化合物又はこれらの組み合わせにより形成される無機部分4とを含有する。また、樹脂層2の層構成は、導電層1との界面から100nm以下の領域である界面近傍層2aと、導電層1との界面から界面近傍層2aを挟んで配される界面離隔層2bとからなる。
上記樹脂組成物は、樹脂を主成分とする組成物である。ここで、「主成分」とは、最も多い成分であり、例えば含有量が50質量%以上の成分をいう。上記樹脂組成物に含まれる樹脂としては、例えばポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド等のイミド結合を有する樹脂、液晶ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂などが挙げられる。これらの中でも、密着性をより向上させる観点から、ポリイミドが好ましい。なお、上記樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲において充填材、添加剤等を含んでもよい。上記充填材及び添加剤としては、絶縁性を確保する観点から、導電層1に含まれる金属と同一の金属、及びこの金属の金属化合物を含まないものが好ましい。
上記ポリアミドイミドとは、分子内にアミド結合及びイミド結合を有する樹脂である。ポリアミドイミドは、例えば有機溶媒中でトリカルボン酸無水物と、多価イソシアネート化合物とを反応させて得ることができる。
上記ポリエステルイミドとは、分子内にエステル結合及びイミド結合を有する樹脂である。ポリエステルイミドは、例えばトリカルボン酸無水物とジアミンとの反応生成物であるイミドジカルボン酸と、多価アルコールとを反応させて得ることができる。
上記金属化合物としては、特に限定されないが、金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物、金属炭化物、金属間化合物等が挙げられる。これらの中でも金属酸化物が好ましい。金属酸化物は、大気中の酸素や不活性雰囲気中の微量酸素と金属とから容易に形成できるため、製造コストの低減が可能である。
界面近傍層2aの無機部分4の含有率は、10体積%以上80体積%以下である。これにより、導電層1と樹脂層2との間の密着性を向上させることができる。よって、本実施形態の積層構造体10をプリント配線板用の金属張積層体に適用した場合は、例えば導電層1を微細パターン化しても導電層1と樹脂層2との密着性を確保できる。
上述したように、界面近傍層2aの無機部分4の含有率の下限としては、10体積%であり、密着性をより向上させる観点から、20体積%が好ましく、30体積%がより好ましく、40体積%がさらに好ましく、50体積%が特に好ましい。一方、上記含有率の上限としては、80体積%であり、70体積%が好ましい。上記含有率が上記上限を超えると、樹脂層2の絶縁性が低下するおそれがある。
界面近傍層2aの無機部分4の含有率は、導電層1との界面から離れるに従い小さくなっているとよい。無機部分4の含有率が導電層1との界面から離れるに従い小さくなっていると、導電層1との界面から離れるに従い導電性、熱膨張係数、ヤング率等の物理的性質が連続的に変化する。その結果、物理的強度がより強まるため、密着性をより向上させることができる。
無機部分4は、図1に示すように、導電層1の金属を含む複数の一次粒子4aにより形成される二次粒子4bを含有していてもよい。図1における無機部分4は、1つの一次粒子4aからなる無機粒子と、二次粒子4bからなる無機粒子とを含有する。また、図1の界面近傍層2aの拡大写真の一例である図2に示すように、二次粒子4bにおいて複数の一次粒子4aの結晶方位が揃っているとよい。なお、図2は、透過型電子顕微鏡(日立製作所社の「H−9000NAR」)で撮像した断面写真である。また、結晶方位の向きは、例えば図2では、参照符号4aで示す2つの一次粒子に跨る斜線方向をさす。二次粒子4bにおいて複数の一次粒子4aの結晶方位が揃っていると、アンカー効果による機械的結合がより強くなるため、密着性をより向上させることができる。アンカー効果をさらに高めるには、導電層1に接する無機部分4が、結晶方位が揃っている複数の一次粒子4aにより形成される二次粒子4bを含有するとよい。
一次粒子4aの平均粒径の上限としては、30nmが好ましく、20nmがより好ましく、10nmがさらに好ましい。また、一次粒子4aの平均粒径の下限としては、1nmが好ましく、5nmがより好ましい。一次粒子4aの平均粒径が上記上限以下の場合、一次粒子4aと樹脂部分3との間の密着性に係る相互作用が均一化するため、密着性をより均一に向上させることができる。一方、一次粒子4aの平均粒径が上記下限以上の場合、密着性をより向上させることができる。
一次粒子4aの形状としては、特に限定されないが、密着性をより向上させる観点から球状が好ましい。ここで、「球状」とは、一次粒子の最短径と最長径との比(最短径/最長径)が0.5以上となる形状をいう。
密着性をより向上させる観点から、無機部分4の金属が導電層1に由来するとよい。このような無機部分4としては、例えば導電層1の金属の一部又はそのイオンが拡散し、樹脂層2中で析出することによって形成されるものや、導電層1の表層に形成された金属酸化物層の一部が分離することによって樹脂層2中に形成されるもの等が挙げられる。
樹脂層2の平均厚みの下限としては、150nmが好ましく、300nmがより好ましく、500nmがさらに好ましく、1μmが特に好ましく、5μmがさらに特に好ましい。また、樹脂層2の平均厚みの上限としては、300μmが好ましく、100μmがより好ましく、50μmがさらに好ましい。樹脂層2の平均厚みが上記下限未満の場合、絶縁性が低下するおそれがある。一方、樹脂層2の平均厚みが上記上限を超えると、薄型化が要求される製品への適用が困難となるおそれがある。
樹脂層2の絶縁性をより向上させる観点から、樹脂層2の平均厚みが1μm以上あり、かつ界面離隔層2bにおける界面近傍層2aとの界面から1500nm以上離れた領域において実質的に無機部分4を含まないことがよい。なお、「実質的に無機部分を含まない」とは、透過型電子顕微鏡により倍率550,000倍で観察した際に、無機部分を確認できないことをいう。
<第1実施形態に係る積層構造体の製造方法>
第1実施形態に係る積層構造体10の製造方法は、界面近傍層2aの無機部分4の含有率が10体積%以上80体積%以下となる方法である限り、特に限定されないが、例えば(1)導電層1の一方の面に樹脂層2となる層を積層する方法、(2)樹脂層2となる層の一方の面に導電層1を積層する方法、(3)導電層1となる金属箔等と、樹脂層2となる樹脂フィルム等とを重ねて固着させる方法等が挙げられる。
(導電層の一方の面に樹脂層となる層を積層する方法)
導電層1の一方の面に樹脂層2となる層を積層する場合は、導電層1となる金属箔等の一方の面に樹脂部分3を形成する樹脂組成物又はその前駆体塗工液を塗布した後、得られた塗膜を加熱する。
以下、ポリイミドを主成分として含有する樹脂組成物により樹脂部分3を形成する場合を例に説明する。この場合は、まず、上記樹脂組成物を得るための前駆体塗工液を調製する。
上記前駆体塗工液は、ポリアミド酸及び溶媒を含有する塗工液であり、本発明の効果を阻害しない範囲において、充填材、添加剤等を含有してもよい。
上記ポリアミド酸は、例えばテトラカルボン酸二無水物とジアミンとから得られる。
上記テトラカルボン酸二無水物としては、例えばピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記ジアミンとしては、例えば4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、2,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、2,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、2,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2’−ジアミノジフェニルスルフィド、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、o−トリジン,o−トリジンスルホン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジイソプロピルアニリン)、2,4−ジアミノメシチレン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ベンゾフェノンジアミン、ビス−{4−(4’−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、2,2−ビス{4−(4’−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス{4−(3’−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,4−ジアミノシクロヘキサン等が挙げられる。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記ポリアミド酸の含有量の下限としては、上記前駆体塗工液中の全固形成分に対して50質量%が好ましく、60質量%がより好ましい。
上記溶媒としては、例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等の極性溶媒を挙げることができる。
上記溶媒の含有量は、例えば目的とする前駆体塗工液の粘度、溶媒に対する固形成分の溶解性等によって適宜決定され、例えば上記前駆体塗工液中の固形成分100質量部に対し50質量部以上900質量部以下である。
上記前駆体塗工液を導電層1となる金属箔等へ塗布する方法としては、特に限定はないが、例えばバーコート法、スピンコート法、ディップコート法、ブレードコート法、スプレー法、凸版印刷法、凹版印刷法、平板印刷法、ディスペンス法、インクジェット法等を挙げることができる。これらの中でも、ブレードコート法、バーコート法及びスピンコート法が好ましい。
上記前駆体塗工液の塗布により得られた塗膜を加熱する際は、溶媒を蒸発させるために、例えば30℃以上150℃以下の温度条件で予備乾燥した後、例えば200℃以上350℃以下の温度条件でポリアミド酸のイミド化を行うとよい。予備乾燥する際の乾燥時間は、通常0.5分以上120分以下である。イミド化を行う際の加熱時間は、通常10分以上300分以下である。この予備乾燥工程及びイミド化工程により、導電層1中の金属が塗膜へ拡散すると共に、塗膜が硬化し、導電層1の一方の面に樹脂層2が直接積層された図1の積層構造体10が得られる。
界面近傍層2aの無機部分4の含有率は、例えば予備乾燥温度及び時間、イミド化を行う際の加熱温度及び時間等を調整することにより、上記特定範囲に制御できる。
上記予備乾燥温度、及び上記イミド化を行う際の加熱温度は、段階的に昇温させてもよい。これらの温度を段階的に昇温させることにより、界面近傍層2aの無機部分4の含有率が導電層1との界面から離れるに従い小さくなっている積層構造体10を容易に得ることができる。
(樹脂層となる層の一方の面に導電層を積層する方法)
樹脂層2となる層の一方の面に導電層1を積層する場合は、樹脂層2となる樹脂フィルム等を形成した後、この樹脂フィルム等の一方の面にスパッタリング法、イオンプレーティング法、蒸着法、めっき法等により金属膜(導電層1)を積層し、必要に応じて加熱(アニール)する。以下、樹脂フィルムの一方の面にスパッタリング法により金属膜を積層する場合を例に説明する。この場合は、まず、樹脂層2となる樹脂フィルムを作製する。
樹脂フィルムの作製方法は特に限定されないが、樹脂フィルムとしてポリイミドフィルムを用いる場合は、例えば支持基材上に上述した前駆体塗工液を塗布して得られた塗膜を予備乾燥した後、支持基材から剥離し、イミド化のための加熱を行って自己支持性ポリイミドフィルムを得る方法等が挙げられる。上記予備乾燥の条件及びイミド化のための加熱条件は、例えば上述した条件と同様である。
作製した樹脂フィルムの一方の面に金属膜を積層する際のスパッタリング法の方式としては、直流スパッタ(DCスパッタ)、高周波スパッタ(RFスパッタ)、マグネトロンスパッタ、イオンビームスパッタ、パルススパッタ等が挙げられ、DCスパッタ及びマグネトロンスパッタが好ましい。真空度(ガス圧)、ガスの種類及び流量、放電電力、処理時間等は、常法に従って適宜選択することができる。
上記スパッタリング法により樹脂フィルムの一方の面に金属膜を形成する際に、金属膜中の金属の一部又はそのイオンが樹脂フィルムへ拡散する。そして、スパッタリング後の金属膜に対し、必要に応じて、電気めっき等を施して所望の厚みに調整することにより、樹脂層2の一方の面に導電層1が直接積層された図1の積層構造体10が得られる。
界面近傍層2aの無機部分4の含有率は、例えばガス圧、ガスの種類及び流量、放電電力、処理時間等のスパッタリング条件などを調整することにより、上記特定範囲に制御できる。
また、界面近傍層2aの無機部分4の含有率を高くするために、スパッタリング法により金属膜を形成した後、又はこの金属膜に対して電気めっき等を施して所望の厚みに調整した後、アニール処理してもよい。アニール処理の条件は、例えば80℃以上300℃以下の加熱条件で、3分以上60分以下の加熱時間とすればよい。
(導電層となる金属箔等と、樹脂層となる樹脂フィルム等とを重ねて固着させる方法)
導電層1となる金属箔等と、樹脂層2となる樹脂フィルム等とを重ねて固着させる場合は、例えば金属箔と、熱可塑性樹脂を含む樹脂フィルム又は熱硬化前の熱硬化性樹脂を含む樹脂フィルムとを重ねた後、加熱プレスする。この加熱プレスの際に、金属箔中の金属の一部又はそのイオンが樹脂フィルムへ拡散する。これにより、導電層1と樹脂層2とが積層された図1の積層構造体10が得られる。加熱プレスの条件は、使用する樹脂等により異なるが、例えば加熱温度140℃以上300℃以下、圧力1MPa以上5MPa以下、プレス時間10分以上60分以下の条件とすればよい。
界面近傍層2aの無機部分4の含有率は、例えば加熱温度、圧力、プレス時間等の加熱プレス条件などを調整することにより、上記特定範囲に制御できる。
<第2実施形態>
図3に、第2実施形態に係る積層構造体20の模式的断面図を示す。第2実施形態に係る積層構造体20は、例えば絶縁電線等に使用できる積層構造体であり、金属を含む導電層21と、導電層21の周面に直接積層される樹脂層22とを備える。なお、図3において、第1実施形態に係る積層構造体10と同一の構成要素には同一の符号を付している。また、以下の説明において、第1実施形態に係る積層構造体10と同じ内容については省略している。よって、以下に説明した内容以外については、積層構造体20の導電層21及び樹脂層22は、それぞれ上記積層構造体10の導電層1及び樹脂層2と同様である。
(導電層)
導電層21は、金属を含む層(中心層)であり、絶縁電線の導体である。上記金属としては、特に限定されないが、密着性をより向上させる観点から、遷移金属が好ましく、銅がより好ましい。
導電層21の断面形状は、特に限定されないが、円形、方形、矩形等の種々の形状を採用することができる。また、導電層21の断面の大きさも、特に限定されないが、導電層21の断面の直径(短辺幅)を0.05mm以上5.0mm以下とすることが好ましい。
(樹脂層)
樹脂層22は、樹脂組成物により形成される樹脂部分23と、導電層21に含まれる金属と同一の金属、この金属の金属化合物又はこれらの組み合わせにより形成される無機部分4とを含有する。また、樹脂層22における導電層21との界面から100nm以下の領域(界面近傍層)の無機部分4の含有率は、10体積%以上80体積%以下である。これにより、第1実施形態に係る積層構造体10と同様に、導電層21と樹脂層22との間の密着性を向上させることができる。よって、本実施形態の積層構造体20を絶縁電線に適用した場合は、例えば耐傷性を高めることができる。
上記樹脂組成物に含まれる樹脂としては、例えばポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド等のイミド結合を有する樹脂、ポリエステル、フェノキシ樹脂などが挙げられる。これらの中でも、密着性をより向上させる観点から、ポリイミドが好ましい。
樹脂層22の平均厚みは、特に限定されないが、20μm以上100μm以下とすることが一般的である。
樹脂層22の絶縁性をより向上させる観点から、樹脂層22の平均厚みが20μm以上あり、かつ導電層21との界面から5μm以上離れた領域において実質的に無機部分4を含まないことがよい。
<第2実施形態に係る積層構造体の製造方法>
第2実施形態に係る積層構造体20の製造方法は、界面近傍層の無機部分4の含有率が10体積%以上80体積%以下となる方法である限り、特に限定されないが、例えば樹脂組成物を用い、導電層21となる導体周面に塗工層を形成する工程と、塗工層が形成された導体を加熱する工程とを備える製造方法等が挙げられる。
上記導体は、例えば以下の方法により得ることができる。まず、導体の原料となる金属を鋳造及び圧延して圧延材を得る。次に、この圧延材に伸線加工を行って伸線材を形成する。伸線加工の方法としては、例えば複数の伸線ダイスを備えた伸線装置によって、この伸線ダイスに潤滑剤を塗布した圧延材を挿通させる方法を用いることができる。この伸線ダイスとしては、線引きダイス、ロ一ラダイス等を用いることができる。また、上記潤滑剤としては、油性成分を含有する水溶性又は非水溶性のものを使用できる。
上記伸線加工後、伸線材には加熱による軟化処理が行なわれる。軟化処理を行うことによって伸線材の結晶が再結晶化されるため、導体の靭性を向上させることができる。軟化処理における加熱温度は、通常250℃以上である。
上記軟化処理は、大気雰囲気下でも可能であるが、酸素含有量が少ない非酸化性雰囲気下で行うことが好ましい。非酸化性雰囲気下で軟化処理を行うことによって、軟化処理中(加熱中)の伸線材周面の酸化を抑制することができる。この非酸化性雰囲気としては、例えば真空雰囲気、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気、水素含有ガスや炭酸ガス含有ガス等の還元ガス雰囲気などが挙げられる。
上記軟化処理は連続方式又はバッチ方式を用いることができる。連続方式としては、例えばパイプ炉等の加熱用容器内に伸線材を導入して熱伝導により加熱する炉式、伸線材に通電して抵抗熱によって加熱する直接通電方式、伸線材を高周波の電磁波によって加熱する間接通電方式等が挙げられる。これらの中でも温度調節が容易な炉式が好ましい。バッチ方式としては、例えば箱型炉等の加熱用容器内に伸線材を封入して加熱する方式が挙げられる。バッチ方式の加熱時間は、通常0.5時間以上6時間以下である。また、バッチ方式においては、加熱後に50℃/秒以上の冷却速度で急冷することで、組織をより微細化することができる。
(塗工層形成工程)
塗工層形成工程においては、導体の周面に樹脂部分23を形成する樹脂組成物又はその前駆体塗工液(以下、これらをまとめて「ワニス」ともいう。)の塗布により塗工層を形成する。ワニスとしては、例えば上記第1実施形態に係る積層構造体10の製造方法で説明した前駆体塗工液等が使用できる。
ワニスを導体周面に塗工する方法としては、例えばワニスを貯留したワニス槽と塗布ダイスとを備える塗布装置を用いた方法等が挙げられる。この塗布装置によれば、導体がワニス槽内を挿通することでワニスが導体周面に付着し、その後塗布ダイスを通過することでワニスが導体周面に均一な厚みで塗布される。溶媒の含有量は、例えば目的とする前駆体塗工液の粘度、溶媒に対する固形成分の溶解性等によって適宜決定され、例えば上記前駆体塗工液中の固形成分100質量部に対し50質量部以上900質量部以下である。
(加熱工程)
加熱工程においては、上記塗工層形成工程により形成された塗工層を導体と共に加熱し、樹脂被膜とする。この加熱の際に、導体中の金属の一部又はそのイオンが塗工層(樹脂被膜)へ拡散する。これにより、導電層21の周面に樹脂層22が直接積層された図3の積層構造体20が得られる。
加熱方法は特に限定されないが、熱風加熱、赤外線加熱、高周波加熱等、従来公知の方法により行うことができる。加熱温度としては、通常400℃以上800℃以下である。加熱時間としては、通常0.5分以上30分以下である。
上記塗工層形成工程及び加熱工程は、複数回繰り返してもよい。このようにすることで、樹脂被膜の厚みを増加させることができる。このとき、塗布ダイスの孔径は繰り返し回数にあわせて徐々に大きくなるように調整される。また、所定の厚みの樹脂被膜が得られた時点で、ワニスに含まれる樹脂成分を変更することで、主成分の異なる複数の層からなる樹脂層22を形成することもできる。
界面近傍層の無機部分4の含有率は、例えば加熱温度、加熱時間等の加熱条件などを調整することにより、上記特定範囲に制御できる。
[利点]
当該積層構造体は、界面近傍層の無機部分の含有率が10体積%以上80体積%以下である。これにより、導電層と樹脂層との間の密着性を向上させることができる。従って、当該積層構造体は、プリント配線板用の金属張積層体として好適に用いることができる。すなわち、当該積層構造体をプリント配線板用の金属張積層体に適用すると、導電層と樹脂層との間の密着性を向上させることができるため、例えば導電層を微細パターン化しても導電層と樹脂層との密着性を確保できる。さらに、当該積層構造体は、絶縁電線として好適に用いることができる。すなわち、当該積層構造体を絶縁電線に適用すると、導電層と樹脂層との間の密着性を向上させることができるため、例えば耐傷性を高めることができる。
[その他の実施形態]
上記開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば当該積層構造体は、上記第1実施形態のように導電層の一方の面に樹脂層が積層された積層構造体であってもよく、導電層の両面に樹脂層が積層された積層構造体であってもよい。導電層の両面に樹脂層が積層された積層構造体の場合、2つの樹脂層のうちの一方には無機部分が含まれていなくてもよい。また、当該積層構造体は、樹脂層の両面に導電層が積層された積層構造体であってもよく、樹脂層及び導電層が交互に積層された4層以上の多層積層構造体であってもよい。
また、上記実施形態では、無機部分が複数の一次粒子により形成される二次粒子を含有する例について説明したが、無機部分が一次粒子のみを含有していてもよい。
また、上記実施形態では、無機部分が粒子状である例について説明したが、無機部分が粒子状以外の形状であってもよい。粒子状以外の形状としては、例えばデンドライト状、ウィスカー状等の形状が挙げられる。
また、上記実施形態では、プリント配線板用の金属張積層体に適用した例、及び絶縁電線に適用した例について説明したが、当該積層構造体は、これらの用途に限定されず、例えば透明導電性フィルム、絶縁ハーネス、調理家電・器物用の異種金属接合材料等に適用することもできる。
また、上記実施形態の製造方法として、無機部分が導電層の金属の一部又はそのイオンの拡散により形成される方法について説明したが、当該積層構造体は上記方法以外の方法でも製造できる。例えば無機部分及び樹脂部分を含む組成物を金属箔上に塗布することによって、導電層と樹脂層とが積層された当該積層構造体を製造することもできる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<試験例1>
(ポリイミド前駆体塗工液の調製)
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル94.3gをN−メチル−2−ピロリドン803gに溶解させた後、ピロメリット酸二無水物102.7gを加えた。次いで、窒素雰囲気下、25℃で上記溶液を1時間撹拌し、その後60℃に昇温し、20時間撹拌した。上記溶液を冷却後、密着添加剤2gを加え、さらに1時間撹拌して、ポリイミド前駆体塗工液を得た。
(樹脂フィルムの形成)
平坦基板面にDCスパッタ法により15nmの銅層を形成した基板の銅表面に、ドクターブレードを用いて上記ポリイミド前駆体塗工液を塗布した後、窒素雰囲気下において120℃で60分間予備乾燥した。次いで、300℃で60分間熱処理することによりポリアミド酸をイミド化し、平均厚み10μmのポリイミドフィルムを得た。
<試験例2>
ポリイミド前駆体塗工液が密着添加剤を含まないこと以外は上記試験例1と同様にして、試験例2の積層構造体を得た。
<透過型電子顕微鏡による断面観察>
図4及び図5は、それぞれ試験例1及び試験例2の積層構造体の透過型電子顕微鏡(日立製作所社の「H−9000NAR」)による断面写真である。図4及び図5の比較から、試験例1における導電層1との界面から100nm以下の領域の無機部分4の含有率が試験例2に比べて高いことが分かる。
上記試験例1及び試験例2の積層構造体について、以下の測定方法により各物性を評価した。結果を表1に示す。
<一次粒子の平均粒径(単位:nm)>
透過型電子顕微鏡(日立製作所社の「H−9000NAR」)により積層構造体の界面近傍層の断面を205,000倍の倍率で観察し、100nm(厚み方向)×1000nm(幅方向)内の視野範囲を画像処理ソフト(「ImageJ 1.45」)により処理した。画像処理後の上記視野における白色部分を無機部分とし、この無機部分に含まれる一次粒子の数平均粒径を算出した。試験例1の画像処理後の断面写真を図6に、試験例2の画像処理後の断面写真を図7にそれぞれ示す。なお、数平均粒径の算出には、各一次粒子の最長径を用いた。
<界面近傍層の無機部分の含有率(単位:体積%)>
上記「一次粒子の平均粒径」を測定する際の視野における白色部分の占有面積率(単位:%)を計測し、以下の式により界面近傍層の無機部分の含有率を算出した。
界面近傍層の無機部分の含有率=(白色部分の占有面積率×1/100)3/2×100
<剥離強度(単位:N/cm)>
ポリイミドフィルムの端部を剥離し、この端部を引張試験機のチャックで掴み、基板に対して180°方向に引きはがすことにより、導電層と樹脂層との剥離強度を測定した。なお、測定する際の試料の幅は5mmとし、引きはがし速度は50mm/分とした。
表1に示すように、界面近傍層の無機部分の含有率が10体積%以上80体積%以下の試験例1は、上記含有率が10体積%未満の試験例2に比べ、剥離強度が高くなった。この結果から、本発明の積層構造体によれば、導電層と樹脂層との間の密着性を向上できることが分かる。
本発明の積層構造体は、導電層と樹脂層との間の密着性を向上させることができるため、例えばプリント配線板用の金属張積層体、絶縁電線等に好適に使用できる。
1,21 導電層
2,22 樹脂層
2a 界面近傍層
2b 界面離隔層
3,23 樹脂部分
4 無機部分
4a 一次粒子
4b 二次粒子
10,20 積層構造体

Claims (12)

  1. 金属を含む導電層と、この導電層の一方の面に積層される樹脂層とを備え、
    上記樹脂層が、樹脂組成物により形成される樹脂部分と、上記導電層に含まれる金属と同一の金属、この金属の金属化合物又はこれらの組み合わせにより形成される無機部分とを含有し、
    上記樹脂層における上記導電層との界面から100nm以下の領域の上記無機部分の含有率が、10体積%以上80体積%以下である積層構造体。
  2. 上記金属が遷移金属である請求項1に記載の積層構造体。
  3. 上記遷移金属が銅である請求項2に記載の積層構造体。
  4. 上記無機部分が上記金属化合物を含み、
    上記金属化合物が金属酸化物である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の積層構造体。
  5. 上記樹脂組成物がポリイミドを含有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の積層構造体。
  6. 上記領域の上記無機部分の含有率が、上記導電層との界面から離れるに従い小さくなっている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の積層構造体。
  7. 上記無機部分が、上記金属を含む複数の一次粒子により形成される二次粒子を含有し、
    上記二次粒子において上記複数の一次粒子の結晶方位が揃っている請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の積層構造体。
  8. 上記一次粒子の平均粒径が30nm以下である請求項7に記載の積層構造体。
  9. 上記無機部分の金属が上記導電層に由来する請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の積層構造体。
  10. 上記樹脂層の平均厚みが150nm以上である請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の積層構造体。
  11. プリント配線板用の金属張積層体である請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の積層構造体。
  12. 絶縁電線である請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の積層構造体。
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