JP2020119700A - 導電性ペーストの製造方法 - Google Patents
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本工程は、有機溶剤が含む水分を脱水する工程である。
有機溶剤は、導電性ペーストを構成する材料の1つであり、例えば、樹脂を溶解したり、導電性ペーストの粘度や金属粒子の含有量を調整したりするものである。用いることのできる有機溶剤としては、特に限定されず、従来公知の溶剤を適宜選択して用いることができる。例えば、飽和脂肪族系炭化水素溶剤、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が好ましい例として挙げられる。飽和脂肪族系炭化水素溶剤としては、飽和炭化水素を主成分として含有する溶剤を好ましく用いることができ、特にトリデカン、ノナン、シクロヘキサンを含有する溶剤をより好ましく用いることができる。また、ターピネオール、ジヒドロターピネオール等のテルペン系溶剤、ジヒドロターピニルアセテート、イソボルニルアセテート、イソボルニルプロピネート、イソボルニルブチレート、イソボルニルイソブチレート等が挙げられる。さらに、炭素鎖9〜16の炭化水素混合物を用いることができ、例えばLAWSやHAWS等のミネラルスピリットが挙げられる。これらの有機溶剤は、1種類のみを用いても良く、2種類以上を用いても良い。
有機溶剤が含む水分を脱水するための脱水剤としては、水を選択的に除去できるものが好ましく、これを満たせば特に限定されないが、例えば、化学的脱水剤としては、化学物質固有の特性を利用した酸化カルシウム、塩化カルシウムが挙げられる。また、物理的脱水剤としては、脱水剤の表面が多孔質構造のシリカゲル、活性炭、酸化アルミニウム、ゼオライト(天然ゼオライト、合成ゼオライト(以下、モレキュラーシーブともいう)、ゼオライトを上位概念化したアルミノケイ酸塩等)や、層状物質のアロフェン、粘土鉱物等が挙げられる。中でも、ゼオライトは、細孔径が0.3nm以上0.5nm以下のものを選択することで、水だけを選択的に吸着することができるため、より好ましい。これらの脱水剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本工程は、金属粒子が分散した、樹脂、有機溶剤および金属粒子を含む分散体を、脱水工程により脱水した有機溶剤で希釈する工程である。この工程により、導電性ペーストにおける金属粒子の濃度を調整することができる。
分散体は、樹脂、有機溶剤および金属粒子を含み、金属粒子が分散したものである。分散体が入手可能であれば、それを用いれば足りるが、分散体を製造する場合には、例えば有機溶剤へ溶解させた樹脂(バインダー樹脂)に、粉末状の金属粒子を添加し、混練することにより、分散体を製造することができる。また、金属粒子が溶媒等に分散した状態のスラリーに、樹脂を混合することによっても、分散体を製造することができる。
本発明の導電性ペーストの製造方法では、樹脂を予め有機溶剤に溶解させたバインダー樹脂の状態のものを用いることにより、含有量の調製が容易となる。樹脂を溶解させる有機溶剤としては、上記した脱水工程により脱水した有機溶剤であることが好ましい。ただし、脱水していない有機溶剤を用いても、バインダー樹脂を製造する際に有機溶剤は加熱されるため、これにより有機溶剤中の水分量が減るため、本発明の効果は十分に得られる。
分散体を得るために用いる有機溶剤については、脱水工程にて説明したものを使用することができる。なお、本発明の脱水工程により脱水した有機溶剤を使用することで、導電性ペースト中の水分量をさらに低減することができるため、導電性ペーストの粘度をより高粘度化することができる。ただし、脱水していない有機溶剤を用いても、本発明の効果は十分に得られる。
分散させる金属粒子としては、Ni、Cu、Pd、Agおよびこれらの合金から選ばれる1種類以上の粒子を用いることができる。例えば、金属粒子が粉末状やスラリー状であれば、導電性ペーストの製造が容易となる。
分散体や導電性ペーストには、その作用を損なわせない範囲で、必要に応じて種々の添加剤を含有させることができる。具体的には、上記したような、分散工程や希釈工程において、ニッケル粒子の分散性をより向上させるための分散剤や、チクソ性を高めるためのレオロジーコントロール剤等を含有することができる。また、共材として、焼結温度を調整することを目的としたチタン酸バリウム、ポリビニルブチラール(PVB)、添加剤等を含んでもよい。
本発明において、上記した脱水工程および希釈工程によって導電性ペーストを製造することができるが、これらの工程以外にも、他の工程を含んでもよい。例えば、上記した分散体を得るために、樹脂や有機溶剤等へ金属粒子を分散させる分散工程や、樹脂を有機溶剤へ溶解させてバインダー樹脂を得る工程等が挙げられる。
以下に示す脱水工程、分散工程および希釈工程を行い、導電性ペーストを製造した。
ポリエチレン製容器40(容量110ml)に、脱水剤30としてゼオライト(東ソー株式会社製:A−3 タイプ 585)を30g計量した。次に、別のポリエチレン製容器20(容量110ml)に、有機溶剤10としてターピネオール(日本香料社製)を100g計量した。その後、密閉容器50(ポリプロピレン樹脂容器「タイトボックスNo.2」(株式会社サンプラテック製))に、ポリエチレン容器20、40の蓋をせずに、計量した脱水剤30と、有機溶剤10を入れ、密閉した。この状態で、室温で24時間静置し、有機溶剤10に含まれる水分を脱水した。脱水工程後、有機溶剤10の重さを測定した結果、0.4g減少しており、有機溶剤10から0.4gの水分を脱水できたことがわかった。
導電性粉末として粉末状のニッケル粒子(平均粒径:0.3μm)50gと、予め調整したバインダー樹脂(質量比でエチルセルロース:ターピネオール=10:90)30gと、分散剤としてオレイン酸(関東化学社製)0.5gを、パレットナイフを用いて粗練した後、ロール温度25℃±2℃で3本ロールミル(ビューラー株式会社製)を10パスすることにより、分散体を作製した。
次に、分散体へ脱水工程により脱水したターピネオールを20g添加して希釈し、室温(18℃〜24℃)においてボール盤を用いて攪拌羽根により10分攪拌し、導電性ペーストを作製した。
作製したペーストについて、レオメーター(PHYSICA社製:MCR501 CP25-0.5)を用いて室温(25℃)条件下における粘度の測定を行った。
有機溶剤を石油系炭化水素の混合溶媒であるミネラルスピリットA(JX日鉱日石エネルギー社製)に変えた以外は、実施例1と同様に脱水工程を行った。脱水工程終了後、有機溶剤10の重さを測定した結果、2.8g減少しており、有機溶剤10から2.8gの水分を脱水できたことがわかった。また、この有機溶剤10を用いて、実施例1と同様に導電性ペーストを作製し、粘度測定を行った。
実施例1、2で使用したものと同様のターピネオールとミネラルスピリットを、質量比で1:2.5に混合した混合溶媒100gを有機溶剤10とし、ゼオライトの量を150gにした以外は、実施例1と同様に脱水工程を行った。脱水工程終了後、有機溶剤10の重さを測定した結果、2.4g減少しており、有機溶剤10から2.4gの水分を脱水できたことがわかった。また、この有機溶剤10を用いて、実施例1と同様に導電性ペーストを作製し、粘度測定を行った。
ゼオライトに代えてシリカゲル(豊田化工(株)社製:型番QP(白)10G)を用いた以外は、実施例1と同様に脱水工程を行った。脱水工程終了後、有機溶剤10の重さを測定した結果、1.0g減少しており、有機溶剤10から1.0gの水分を脱水できたことがわかった。また、この有機溶剤10を用いて、実施例1と同様に導電性ペーストを作製し、粘度測定を行った。尚、シリカゲルは、定温乾燥機(ADVANTEC社製)で、120℃、2時間の熱処理を実施してから用いた。
ゼオライトに代えて実施例4と同様の熱処理をしたシリカゲルを用いた以外は、実施例2と同様に脱水工程を行った。脱水工程終了後、有機溶剤10の重さを測定した結果、3.2g減少しており、有機溶剤10から3.2gの水分を脱水できたことがわかった。また、この有機溶剤10を用いて、実施例1と同様に導電性ペーストを作製し、粘度測定を行った。
ゼオライトに代えて実施例4と同様の熱処理をしたシリカゲルを用いた以外は、実施例3と同様に脱水工程を行った。脱水工程終了後、有機溶剤10の重さを測定した結果、3.0g減少しており、有機溶剤10から3.0gの水分を脱水できたことがわかった。また、この有機溶剤10を用いて、実施例1と同様に導電性ペーストを作製し、粘度測定を行った。
脱水処理をしていない混合溶媒(ターピネオールとミネラルスピリットを質量比で1:2.5)を用いた以外は、実施例3と同様にペーストを作製した。
以上より、本発明であれば、高価な装置や耐規模な設備を必要とせず、また、従来の導電性ペーストの性能を低下させることなく、簡便に輸送時等の貯蔵安定性を向上させることができる。
20 容器
30 脱水剤
40 容器
50 密閉容器
Claims (4)
- 有機溶剤が含む水分を脱水する脱水工程と、
金属粒子が分散した、樹脂、有機溶剤および金属粒子を含む分散体を、前記脱水工程により脱水した有機溶剤で希釈する希釈工程と、
を含む、導電性ペーストの製造方法。 - 前記脱水工程は、脱水対象となる有機溶剤が含む水分を脱水剤により脱水する段階を含み、前記脱水剤は有機溶剤と接触しない、請求項1に記載の導電性ペーストの製造方法。
- 前記脱水剤が、酸化カルシウム、塩化カルシウム、シリカゲル、活性炭、酸化アルミニウム、ゼオライト、アロフェンおよび粘土鉱物の少なくとも1以上である、請求項1または2に記載の導電性ペーストの製造方法。
- 前記脱水剤が、シリカゲル、酸化アルミニウム、ゼオライト、アロフェンおよび粘土鉱物の少なくとも1以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の導電性ペーストの製造方法。
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---|---|---|---|---|
WO2022070778A1 (ja) * | 2020-09-30 | 2022-04-07 | 株式会社大阪ソーダ | 導電性接着剤 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007055247A1 (ja) * | 2005-11-09 | 2007-05-18 | Showa Denko K. K. | 固体電解コンデンサ及びその製造方法 |
JP2015059233A (ja) * | 2013-09-18 | 2015-03-30 | 東洋紡株式会社 | 金属薄膜の製造方法、金属薄膜樹脂基板およびプリント回路基板 |
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