JP2017111975A - 接合材及び接合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[1] 一次粒子の粒度分布が、粒径20〜70nmの範囲内の第1ピークと、粒径200〜500nmの範囲内の第2ピークとを有する銀粉と、
炭素数が6〜10であり、かつ分子量が101.19〜157.30の範囲内にあるアルキルアミンと、
還元性有機溶剤とを含むことを特徴とする接合材。
先ず、本発明を適用した一実施形態である接合材の構成について説明する。本実施形態の接合材は、銀粉と溶剤とからなる。溶剤としては、アルキルアミンと還元性有機溶剤とを使用する。本実施形態の接合材は、加熱処理することにより接合層を形成し、隣接する2つ以上の被接合物を接合することができる。本実施形態の接合材は、従来の加熱温度よりも低温の加熱処理であっても被接合物を接合することができるため、熱に弱い材料等を接合することができる。
銀粉の形状としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、球状、棒状、鱗片状等が挙げられる。
粒径は、走査型電子顕微鏡で一次粒子を1000個以上観察し、画像処理ソフト「ImageJ(アメリカ国立衛生研究所開発)」を用い、SEM像を二値化処理し、粒子と粒子以外の境界を決定した後、各粒子に関し、ピクセル数から面積を算出し、これを真円換算することにより各粒子の一次粒径を求めた。粒径の個数が最も多い上位2つの値を算出し、このうち小さいものを第1ピークの粒径と定義し、大きいものを第2ピークの粒径と定義した。
このため、本実施形態の接合材において用いるアルキルアミンは、炭素数が6〜10であり、かつ分子量が101.19〜157.30の範囲内としている。炭素数が6〜10のアルキルアミンは、加熱により銀粉から脱離しやすい。このため、本実施形態の接合材を用いて作製した接合体の接合層には、アルキルアミンの脱離によるボイド(気泡)が発生しにくい。
質量比A/Bが0.1未満であると、アルキルアミンの含有量が少なくなりすぎて、銀粒子が過剰に還元されて活性化して、凝集しやすくなるおそれがある。一方、質量比A/Bが19を超えると、還元性有機溶剤の含有量が少なくなり、銅基板の酸化被膜に対する還元能力が低下して、銅基板の表面にシェア強度の高い接合層を形成するのが困難となるおそれがある。
先ず、図1に示すように、銀塩水溶液1とカルボン酸塩水溶液2とを水3中に同時に滴下してカルボン酸銀スラリー4を調製する。
次に、本発明を適用した一実施形態である接合体の製造方法について、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態の接合材を用いて製造した接合体11の一例の断面図である。図3に示すように、接合体11は、銅基板12と、銅基板の12の上に形成された接合層13と、接合層13に接合されている電子部品14とからなる。
(分類I)
先ず、図1に示すように、50℃に保持した1200gのイオン交換水(水3)に、50℃に保持した900gの硝酸銀水溶液(銀塩水溶液1)と、50℃に保持した600gのクエン酸ナトリウム水溶液(カルボン酸塩水溶液2)とを、5分かけて同時に滴下し、クエン酸銀スラリー(カルボン酸銀スラリー4)を調製した。
各液の温度を80℃に保持しながら混合スラリーを調製したこと、及び熱処理の際の最高温度が80℃であること以外は、分類Iと同様にして分類IIの銀粉を得た。
各液の温度を30℃に保持しながら混合スラリーを調製したこと、及び熱処理の際の昇温速度が0℃/時間、最高温度が30℃、保持時間が5時間であること以外は、分類Iと同様にして分類IIIの銀粉を得た。
各液の温度を15℃に保持しながら混合スラリーを調製したこと、及び熱処理の際の昇温速度が0℃/時間、最高温度が15℃、保持時間が5時間であること以外は、分類Iと同様にして分類IVの銀粉を得た。
熱処理の際の保持時間が8時間であること以外は、分類Iと同様にして分類Vの銀粉を得た。
分類VIの銀粉として、市販の銀粉(三井金属工業社製、「SPQ03S」)を用意した。
分類I〜IVの銀粉の、一次粒子の粒度分布、銀粉を被覆する有機物の所定温度での分解率(有機物の分解率)、粉末状態の銀粉を加熱した際に、銀粉を被覆する有機物が発生するガスの種類(加熱発生ガス種)を測定した。
(実施例1)
分類Iの銀粉とアルキルアミンとしてオクチルアミン(分子量:129.24)と還元性有機溶剤としてヘキシレングリコールとを、質量比で85:5:15の配合量にて容器に入れ、混練機(THINKY社製、「あわとり練太郎」)で2000rpmの回転速度で5分間回転させる混練を3回行うことで接合材を得た。
分類IIの銀粉を用いたこと以外は実施例1と同様にして接合材を得た。
分類IIIの銀粉を用いたこと以外は実施例1と同様にして接合材を得た。
還元性有機溶剤として、エチレングリコールを用いたこと以外は実施例1と同様にして接合材を得た。
還元性有機溶剤として、テルピネオールを用いたこと以外は実施例1と同様にして接合材を得た。
還元性有機溶剤として、オクタンジオールを用いたこと以外は実施例1と同様にして接合材を得た。
還元性有機溶剤として、ブチルカルビトールを用いたこと以外は実施例1と同様にして接合材を得た。
アルキルアミンとしてヘキシルアミン(分子量:101.19)を用いたこと以外は実施例1と同様にして接合材を得た。
アルキルアミンとしてデシルアミン(分子量:157.30)を用いたこと以外は実施例1と同様にして接合材を得た。
銀粉とオクチルアミンとヘキシレングリコールの配合量を70:10:20としたこと以外は実施例1と同様にして接合材を得た。
銀粉とオクチルアミンとヘキシレングリコールの配合量を90:2:8としたこと以外は実施例1と同様にして接合材を得た。
銀粉とオクチルアミンとヘキシレングリコールの配合量を80:19:1としたこと以外は実施例1と同様にして接合材を得た。
銀粉とオクチルアミンとヘキシレングリコールの配合量を80:2:18としたこと以外は実施例1と同様にして接合材を得た。
分類IVの銀粉を用いたこと以外は実施例1と同様にして接合材を得た。
分類Vの銀粉を用いたこと以外は実施例1と同様にして接合材を得た。
分類VIの銀粉を用いたこと以外は実施例1と同様にして接合材を得た。
還元性有機溶剤としてドデカンを用いたこと以外は実施例1と同様にして接合材を得た。
還元性有機溶剤としてポリエチレングリコール(♯200)を用いたこと以外は実施例1と同様にして接合材を得た。
アルキルアミンとしてブチルアミン(分子量:73.14)を用いたこと以外は実施例1と同様にして接合材を得た。
アルキルアミンとしてドデシルアミン(分子量:185.35)を用いたこと以外は実施例1と同様にして接合材を得た。
オクチルアミンを添加せず、銀粉とヘキシレングリコールの配合量を80:20としたこと以外は実施例1と同様にして接合材を得た。
実施例1〜13及び比較例1〜8の接合材について、固液分離の有無と粘度変化を評価した。
銅基板として銅配線層を有するフレキシブル配線回路基板を、電子部品として半導体チップを用意した。
フレキシブル回路基板の銅配線層に、上記実施例及び比較例で得た各接合材を塗布し、その接合材の上に、表面を銀で被覆した半導体チップ(サイズ:縦2.5mm×横2.5mm×厚さ200μm)を配置し、大気雰囲気中において150℃の温度で30分間加熱した。これによりフレキシブル回路基板と半導体チップとの間に接合層が形成され、接合体が得られた。
2…カルボン酸塩水溶液
3…水
4…カルボン酸銀スラリー
5…還元剤水溶液
11…接合体
12…銅基板
13…接合層
14…電子部品
Claims (5)
- 一次粒子の粒度分布が、粒径20〜70nmの範囲内の第1ピークと、粒径200〜500nmの範囲内の第2ピークとを有する銀粉と、
炭素数が6〜10であり、かつ分子量が101.19〜157.30の範囲内にあるアルキルアミンと、
還元性有機溶剤とを含むことを特徴とする接合材。 - 前記銀粉の含有量が70〜90質量%の範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載の接合材。
- 前記銀粉が、一次粒子が凝集して形成された二次粒子を含み、該二次粒子の粒径が10μm以下であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の接合材。
- 前記アルキルアミンの含有量Aと前記還元性有機溶剤の含有量Bとの質量比A/Bが0.1以上19以下の範囲にあることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の接合材。
- 銅基板と電子部品とが接合層を介して接合されている接合体の製造方法であって、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の接合材を用いて前記接合層を形成する接合体の製造方法。
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