JP2021091929A - 銀ペースト - Google Patents

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大貴 久保山
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Abstract

【課題】無加圧焼成による接合プロセスにおいても接合材料として使用することができる銀ペーストを提供する。【解決手段】本発明は、板状の銀粒子と溶剤とを含む銀ペーストであって、TEM像から算出した板状の銀粒子の厚さの平均値(dT)が、10nm〜100nmであり、TEM像から算出した板状の銀粒子の銀が延在する方向と直交する方向から銀粒子を見たときの銀粒子表面の円相当径の平均値(dL)と厚さの平均値(dT)の比である板状の銀粒子のアスペクト比(dL/dT)が、1.5〜50であり、板状の銀粒子が、重量平均分子量が9000〜45000である高分子の保護材により被覆されている銀ペーストに関する。【選択図】図5

Description

本発明は、銀ペーストに関する。
バルク材料と異なる性質を有することがある金属ナノ粒子は、例えば触媒、インクの材料、電子部品部材など、様々な用途において、使用・検討されている。
その中でも、銀ナノ粒子は、機能面において種々の優れた物理的・化学的特性を有しており、その用途や製造方法について、様々な研究開発が行われている。
例えば、特許文献1は、本質的に極薄板状銀粒子からなり、該極薄板状銀粒子の平均厚みが50nm以下であることを特徴とする銀粉及び当該銀粉を含有していることを特徴とする導電性ペーストを開示している。
特許文献2は、表面を被覆する有機物が炭素数として2〜10の有機物であり、SEM像から算出した厚み方向の粒子径の平均値(dSEM−T)が10〜200nmであり、長手方向の粒子径の平均値(dSEM−L)と前記厚み方向の粒径の平均値(dSEM−T)の比(dSEM−L/dSEM−T)であるアスペクト比が2〜100であることを特徴とする平板状の銀微粒子粉末及び当該銀微粒子粉末を含む銀ペーストを開示している。
特許文献3は、銀粒子及び溶剤を含有する銀ペーストであって、前記銀粒子は、粒子径が1μm〜20μmである銀粒子と、大気圧下における沸点が130℃未満である保護剤で被覆された、粒子径が1nm〜300nmである銀粒子とを含む、銀ペーストを開示している。
特開2004−183010号公報 国際公開第2012/147945号 特開2015−082385号公報
近年、エレクトロニクス実装分野においても、低温で接合することができる鉛フリー化接合材料として、金属ナノ粒子が検討されている。鉛フリーはんだは250℃以下で接合することが困難であるが、金属ナノ粒子を含むペーストは、金属ナノ粒子の特性、すなわち、バルク材料と比較して低い融点を有する一方で接合に使用されて焼結するとバルク材料としての融点を有するという特性を利用して、250℃以下での接合を可能にし得る。
しかしながら、このような接合プロセス技術において無加圧焼成により接合する場合、金属ナノ粒子を含むペーストを接合材料として使用すると、金属ナノ粒子同士の分散性及び充填性が十分でないことから、得られる接合部分の空隙率は大きくなる可能性がある。したがって、当該プロセスの信頼性は低い。
一方で、加圧焼成により接合する場合、金属ナノ粒子を含むペーストを接合材料として使用すると、金属ナノ粒子同士の分散性及び密着性が向上することから、得られる接合部分の空隙率は小さくなる。したがって、当該プロセスの信頼性は高い。しかしながら、当該プロセスは複雑なプロセスを必要とするためにコストが増大する可能性がある。
したがって、簡易なプロセスでの接合が可能である無加圧焼成において使用できる接合材料が望まれる。
特許文献1における極薄板状銀粒子は平均厚みが50nm以下であり、かつ、当該銀粒子の製造時には、保護コロイドとしてタンパク質高分子アミノ化合物、ゴム質多糖類又はチオール化合物が用いられる。無加圧焼成による接合プロセスにおいて、当該極薄板状銀粒子を含むペーストを接合材料として使用した場合、極薄板状銀粒子表面上に存在し得る保護コロイドは、耐熱性が100℃程度と低いため、接合プロセスの初期(昇温中)に分解してしまう。この結果、接合プロセス中における極薄板状銀粒子の分散性は低下し得る。極薄板状銀粒子の分散性の低下は焼結時の極薄板状銀粒子の流動性の低下を引き起こすことから、焼結した後の銀焼結体には粗密が生じ得る。したがって、当該プロセスの信頼性は低い。
特許文献2における平板状の銀微粒子は、その表面を被覆する炭素数が2〜10である有機物を有し、10nm〜200nmの平均粒子径及び2〜100のアスペクト比を有する。無加圧焼成による接合プロセスにおいて、当該平板状の銀微粒子と溶剤とを混合し銀ペーストを製造する場合、平板状の銀微粒子表面上に存在し得る炭素数が2〜10である有機物は、十分な立体障害効果を発揮することができない。この結果、銀ペースト中で平板状の銀微粒子の分散不良が生じ、塗布時には塗布不良が生じ、さらに焼結した後の銀焼結体には粗密が生じ得る。したがって、当該プロセスの信頼性は低い。
特許文献3における銀ペーストに含有される銀粒子には、粒子径が1μm〜20μmである銀粒子と、大気圧下における沸点が130℃未満である保護剤で被覆された粒子径が1nm〜300nmである銀粒子が存在する。無加圧焼成による接合プロセスにおいて、当該銀粒子を含む銀ペーストを接合材料として使用した場合、粒子径が1nm〜300nmである銀粒子表面上に存在し得る保護剤は、沸点が130℃未満と低いため、接合プロセスの初期(昇温中)に蒸発してしまう。この結果、接合プロセス中における銀粒子の分散性は低下し得る。銀粒子の分散性の低下は焼結時の銀粒子の流動性の低下を引き起こすことから、焼結した後の銀焼結体には粗密が生じ得る。したがって、当該プロセスの信頼性は低い。
さらに、無加圧焼成による接合プロセスにおいて、特許文献1〜3に記載の銀ペーストを接合材料として使用する場合、焼結時の銀粒子の流動性を担保するために焼結助剤をペースト成分として添加するプロセスが必要になり、当該プロセスは焼結後の有機残渣やコストの増大をもたらし得る。
そこで、本発明は、無加圧焼成による接合プロセスにおいても接合材料として使用することができる銀ペーストを提供することを課題とする。
本発明者らは、上述した課題を解決するための手段を種々検討した結果、板状の銀粒子と溶剤とを含む銀ペーストにおいて、板状の銀粒子として、TEM像から算出した厚さの平均値(d)が10nm〜100nmであり、TEM像から算出した銀が延在する方向と直交する方向から銀粒子を見たときの銀粒子表面の円相当径の平均値(d)と厚さの平均値(d)の比であるアスペクト比(d/d)が1.5〜50であり、さらに、重量平均分子量が9000〜45000である高分子の保護材により被覆されている板状の銀粒子を使用することによって、銀ペースト中の当該板状の銀粒子の分散性を向上できることを見出し、さらに、当該板状の銀粒子を含む銀ペーストを無加圧焼成による接合プロセスにおいて接合材料として使用した場合に、当該板状の銀粒子の形状が銀粒子同士の密着性を向上させ、当該板状の銀粒子表面上に存在する高分子の保護材が焼結助剤としての役割を担うことで、接合プロセスにおける焼結助剤の添加に伴うコストを削減しつつ空隙率の小さい接合を実現できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)板状の銀粒子と溶剤とを含む銀ペーストであって、
TEM像から算出した板状の銀粒子の厚さの平均値(d)が、10nm〜100nmであり、
TEM像から算出した板状の銀粒子の銀が延在する方向と直交する方向から銀粒子を見たときの銀粒子表面の円相当径の平均値(d)と厚さの平均値(d)の比である板状の銀粒子のアスペクト比(d/d)が、1.5〜50であり、
板状の銀粒子が、重量平均分子量が9000〜45000である高分子の保護材により被覆されている
銀ペースト。
本発明によって、無加圧焼成による接合プロセスにおいても接合材料として使用することができる銀ペーストが提供される。
本発明の銀ペーストに含まれる板状の銀粒子の形状の一実施形態を模式的に示す図である。 本発明の銀ペーストに含まれる板状の銀粒子が生成する様子を模式的に示す図である。 実施例1の銀ペーストに含まれる板状の銀粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)により撮影したTEM像である。 半導体素子を銀ペーストによりリードフレームに接合して調製したパワー半導体モジュールを模式的に示す図である。 実施例1の銀ペーストの焼結の様子を走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影したSEM像である。 比較例1の銀ペーストの焼結の様子を走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影したSEM像である。 実施例1の銀ペーストのリードフレーム上での焼結の様子を模式的に示す図である。 比較例1の銀ペーストのリードフレーム上での焼結の様子を模式的に示す図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本明細書では、適宜図面を参照して本発明の特徴を説明する。図面では、明確化のために各部の寸法及び形状を誇張しており、実際の寸法及び形状を正確に描写してはいない。それ故、本発明の技術的範囲は、これら図面に表された各部の寸法及び形状に限定されるものではない。なお、本発明の銀ペーストは、後述する実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良などを施した種々の形態にて実施することができる。
本発明は、板状の銀粒子と溶剤とを含む銀ペーストであって、TEM像から算出した板状の銀粒子の厚さの平均値(d)及びTEM像から算出した板状の銀粒子の銀が延在する方向と直交する方向から銀粒子を見たときの銀粒子表面の円相当径の平均値(d)と厚さの平均値(d)の比である板状の銀粒子のアスペクト比(d/d)が特定範囲であり、板状の銀粒子が特定範囲の重量平均分子量を有する高分子の保護材により被覆されている銀ペーストに関する。
ここで、本発明の銀ペーストに含まれる板状の銀粒子の形状は、板状であれば限定されず、例えば、銀が延在する方向(すなわち、銀が面的に広がる方向)と直交する方向から銀ナノ粒子を見たときの銀ナノ粒子の表面の形状が、円形、楕円形、多角形、例えば三角形、四角形、五角形、六角形などである。図1に、本発明の銀ペーストに含まれる板状の銀粒子の形状の一実施形態を模式的に示す。
本発明の銀ペーストに含まれる板状の銀粒子の形状が板状であることによって、焼成、特に無加圧焼成による接合プロセスにおいて、粒子同士が低い空隙率で接合することができ、良好な信頼性を有する接合プロセスを確保することができる。
本発明の銀ペーストに含まれる板状の銀粒子において、TEM像から算出した板状の銀粒子の厚さの平均値(d)は、10nm〜100nm、好ましくは10nm〜80nm、より好ましくは10nm〜50nmである。なお、本発明の銀ペーストに含まれる板状の銀粒子において、TEM像から算出した板状の銀粒子の厚さの平均値(d)は、10万倍〜30万倍の透過型電子顕微鏡(TEM)により撮影したTEM像において、任意の銀粒子を50個〜150個選択し、選択した銀粒子それぞれにおいて、銀が延在する方向と直交する方向の長さ、言い換えると、選択した銀粒子それぞれにおける最大面積を有する面と直交する方向の長さ(厚み)を測定し、それらを平均化した値である。
本発明の銀ペーストに含まれる板状の銀粒子において、TEM像から算出した板状の銀粒子の銀が延在する方向と直交する方向から銀粒子を見たときの銀粒子表面の円相当径の平均値(d)は、15nm〜1000nm、好ましくは20nm〜500nmである。なお、本発明の銀ペーストに含まれる板状の銀粒子において、TEM像から算出した板状の銀粒子の銀が延在する方向と直交する方向から銀粒子を見たときの銀粒子表面の円相当径の平均値は、10万倍〜30万倍の透過型電子顕微鏡(TEM)により撮影したTEM像において、任意の銀粒子を50個〜150個選択し、選択した銀粒子それぞれにおいて、銀が延在する方向と直交する方向から銀粒子を見たときの銀粒子の表面の表面積を円の面積として換算したときの直径の値を測定し、それらを平均化した値である。
接合プロセスにおける焼結は、素子や周辺部材への悪影響を抑制するため、通常300℃〜銀粒子の融点、好ましくは250℃〜銀粒子の融点で実施される。本発明の銀ペーストに含まれる板状の銀粒子の大きさを上述した範囲に調整することにより、焼成、特に無加圧焼成による接合プロセスにおいて、上述のような低温で焼結させるための融点降下を期待することができる。さらに、本発明の銀ペーストに含まれる板状の銀粒子の大きさを上述した範囲に調整することにより、本発明の銀ペーストに含まれる板状の銀粒子の厚さが薄すぎる(例えば10nm未満)場合に生じ得る室温でのわずかな焼結を抑制しつつ、銀ペーストの室温での保管性や分散性、接合プロセスにおける分散性や焼結性を担保することができる。
本発明の銀ペーストに含まれる板状の銀粒子のアスペクト比、すなわち、TEM像から算出した板状の銀粒子の銀が延在する方向と直交する方向から銀粒子を見たときの銀粒子表面の円相当径の平均値(d)と厚さの平均値(d)の比(d/d)は、1.5〜50、好ましくは2.0〜10である。
本発明の銀ペーストに含まれる板状の銀粒子のアスペクト比を上述した範囲に調整することにより、銀ペーストの粘度を後述する適切な粘度範囲に調整することができる。
本発明の銀ペーストに含まれる板状の銀粒子は、保護材により被覆されている。
ここで、保護材は、9000〜45000、好ましくは30000〜40000の重量平均分子量を有する高分子である。保護材としては、保護材としての機能、すなわち、銀粒子に吸着する機能を有し、焼成、特に無加圧焼成による接合プロセスにおいて、焼結時に液体として存在する高分子である。したがって、保護材としての高分子の融点は焼結温度よりも低く、保護材としての高分子の沸点及び熱分解温度は焼結温度よりも高い。このような高分子としては、上述した重量平均分子量を有する、ポリビニルピロリドン(ポリビニルピロリドン共重合体、PVP)、ポリエチレングリコール系高分子、ポリアクリル酸系高分子、及びそれらの混合物が挙げられる。
保護材としての高分子の重量平均分子量を上述した範囲に調整することにより、当該高分子は、銀ペースト中での板状の銀粒子の分散性を担保しつつ、焼成、特に無加圧焼成による接合プロセスにおいて、焼結時に溶融することで焼結助剤として機能することができる。したがって、接合プロセスにおいて、焼結助剤を添加するプロセスが必要なくなり、コストを削減しつつ良好な接合が可能になる。
板状の銀粒子に被覆される保護材としての高分子の量は、銀ペーストの総重量に対して、通常0.1重量%〜1.5重量%である。
板状の銀粒子に被覆される保護材としての高分子の量を上述した範囲に調整することにより、当該高分子は、板状の銀粒子を十分に被覆して、銀ペースト中での板状の銀粒子の分散性を担保しつつ、焼成、特に無加圧焼成による接合プロセスにおいて、焼結時に溶融することで焼結助剤として機能することができる。
本発明の銀ペーストに含まれる保護材としての高分子により被覆されている板状の銀粒子の量は、銀ペーストの総重量に対して、通常75重量%〜95重量%、好ましくは90重量%〜95重量%である。
保護材としての高分子により被覆されている板状の銀粒子の量を上述した範囲に調整することにより、銀ペーストの粘度を後述する適切な粘度範囲に調整することができる。
本発明の銀ペーストに含まれる溶剤は、当該技術分野において公知のものを使用することができ、限定されないが、例えば20℃で液体である溶剤、アルコール類、アルデヒド類、カルボン酸類、エーテル類、エステル類、アミン類、単糖類、多糖類、直鎖の炭化水素類、脂肪酸類、芳香族類などから選択することができ、上述した溶剤を複数組み合わせて使用することもできる。
溶剤の沸点は特に限定されないが、通常100℃〜300℃、好ましくは130℃〜250℃、より好ましくは150℃〜200℃である。溶剤の沸点が100℃以上であると、銀ペーストの使用時に室温で溶剤が揮発することを抑制でき、その結果、銀ペーストの粘度安定性、塗布性などを確保できる。また、溶剤の沸点が300℃以下であると、焼成、特に無加圧焼成による接合プロセスにおいて、半導体素子を支持部材に接続する温度で、溶剤が蒸発せずに銀焼結体に残存するのを抑制でき、その結果、銀焼結体の特性をより良好に保つことができる。
溶剤としては、上述した溶剤の中から銀粒子の分散に適した溶剤を選択することが好ましく、具体的には、銀焼結体の熱伝導性、電気伝導性、及び接着強度が良好になる点から、アルコール構造、エーテル構造、又はエステル構造を有する溶剤を選択することが好ましい。本発明の銀ペーストに含まれる溶剤としては、例えば、ブチルセロソルブ、カルビトール、酢酸ブチルセロソルブ、酢酸カルビトール、エチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−メチルエーテル、テルピネオール、エチレングリコール、イソボルニルシクロヘキサノール、トリブチリンなどが挙げられる。本発明の銀ペーストに含まれる溶剤としては、エチレングリコールが好ましい。
本発明の銀ペーストに含まれる溶剤の量は、銀ペーストの総重量に対して、通常5重量%〜25重量%、好ましくは5重量%〜10重量%である。
溶剤の量を上述した範囲に調整することにより、銀ペーストの粘度を後述する適切な粘度範囲に調整することができ、さらに、銀ペーストを焼結した際の溶剤の揮発に伴う体積収縮を抑制でき、形成される銀焼結体の緻密性を向上することができる。
本発明の銀ペーストは、本発明の効果を阻害しない範囲で、板状の銀粒子及び溶剤以外の成分をさらに含んでもよい。板状の銀粒子及び溶剤以外に添加してもよい成分としては、当該技術分野において公知のものを挙げることができ、限定されないが、例えば大気圧下における沸点が400℃以下であり、かつ20℃で固体であるカルボン酸、例えばステアリン酸、ラウリン酸、ドコサン酸、セバシン酸、1,16−オクタデカン二酸などの添加剤、銀以外の金属粒子、銀ペースト中の板状の銀粒子の沈降防止剤、板状の銀粒子の焼結促進のためのフラックス剤などが挙げられる。板状の銀粒子及び溶剤以外に添加してもよい成分の量は、銀ペーストの総重量に対して、通常0重量%〜5重量%、好ましくは0重量%〜1重量%である。
本発明の銀ペーストの粘度は、コーンプレート型粘度計で測定した場合に、通常50Pa・s〜600Pa・s、好ましくは200Pa・s〜600Pa・sである。当該粘度は、上述したように、板状の銀粒子のアスペクト比及び量、保護材としての高分子の種類及び量、溶剤の種類及び量などにより適宜調整することができる。
銀ペーストの粘度を上述した範囲に調整することにより、銀ペーストの塗布性を向上させ、銀ペースト塗布後のにじみを防止することができる。
本発明の銀ペーストに含まれる板状の銀粒子は、例えば特開2018−135566号公報に記載されている方法に基づいて製造することができ、得られた板状の銀粒子から銀ペーストを製造することができる。本発明の銀ペーストは、例えば以下のように製造することができる。
まず、銀イオンを含む溶液を準備する。具体的には、溶媒に電離する無機銀塩を準備し、これを溶媒で電離させ、銀イオンを生成する。例えば、溶媒が水である場合には、無機銀塩としては、硝酸銀、シアン化銀、酢酸銀、などが挙げられ、入手の容易さ、化学的安定性などの観点から、硝酸銀が好ましい。
次に、銀イオンを含む溶液に添加する、銀イオンを還元する還元剤と、還元した銀に吸着する高分子吸着剤とを準備する。具体的には、準備する還元剤は、標準電極電位が、0.03V〜0.8Vの範囲にある還元剤である。標準電極電位がこの範囲にある還元剤は、析出した銀に後述する高分子吸着剤を吸着させた状態で、銀を異方に成長させることができる。
ここで、標準電極電位が、0.03V未満の場合には、析出反応が速過ぎるため、高分子吸着剤が、析出した銀に吸着する前に、銀の析出が進行してしまい、プレート状の銀ナノ粒子を得ることができない。一方、銀の標準電極電位は、0.8Vであることから、この標準電極電位よりも大きいものは、還元剤として機能せず、銀を析出させることができない。
このような標準電極電位が0.03V〜0.8Vの範囲となる還元剤として、たとえば、クエン酸(0.03V)、ホルマリン(0.056V)、アスコルビン酸(0.06V)、シュウ酸(0.49V)、過酸化水素(0.68V)を挙げることができる。なお、括弧内は、各物質の標準電極電位を示している。
高分子吸着剤には、重量平均分子量が9000〜45000のポリビニルピロリドンを準備する。これにより、重量平均分子量がこの範囲にあるポリビニルピロリドンは、銀の特定の方位において銀に吸着し、その方向における銀の成長が阻害される。この結果、後述するマイクロ波の照射により、異方性をもって銀を成長させ、プレート状の銀ナノ粒子を生成することができる。なお、重量平均分子量がこのような範囲となるポリビニルピロリドンは、例えば、一般的に知られたグラフト重合により、製造することができる。
ここで、ポリビニルピロリドンの重量平均分子量が9000未満である場合には、ポリビニルピロリドンの重量平均分子量が小さ過ぎるため、高分子吸着剤が銀の特定の方位に吸着して、銀の周囲を保護するに至らない。したがって、後述するマイクロ波の照射により、異方性をもって銀を成長させることができず、球状の銀ナノ粒子が生成されてしまう。
一方、ポリビニルピロリドンの重量平均分子量が45000を超えた場合には、ポリビニルピロリドンの重量平均分子量が大き過ぎるため、適切な方位において銀粒子の周囲を高分子吸着剤で吸着できない。このような結果、後述するマイクロ波の照射により、高分子吸着剤が凝集するとともに、球状又は多面体状の銀ナノ粒子が生成されてしまう。
さらに、高分子吸着剤としてのポリビニルピロリドンと同様の効果を示すものとしては、上述した保護材としての高分子を挙げることができる。
なお、本発明の銀ペーストに含まれる板状の銀粒子を製造する際に使用される高分子吸着剤は、板状の銀粒子が形成された際に板状の銀粒子の表面に被覆された状態で残存する。したがって、本発明の銀ペーストに含まれる板状の銀粒子を製造する際に使用される高分子吸着剤は、そのまま、本発明の銀ペーストに含まれる板状の銀粒子に被覆されている保護材として使用される。
次に、準備した銀イオンを含む溶液に、上述した還元剤と高分子吸着剤とを添加して、混合し、混合液を作製する。作製した混合液を、マイクロウェーブ合成装置に投入する。具体的には、混合液をマイクロ波が透過可能な容器に投入し、筐体内に配置されたマイクロ波発振器によりマイクロ波を混合液に照射する。これにより、銀イオンから銀を析出させながら、板状の銀粒子を製造する。
なお、銀イオンから銀を析出させながら、板状の銀粒子が生成されるのであれば、マイクロ波の周波数、出力などは、特に限定されず、混合液の量、高分子吸着剤の量などに応じて、実験的にこれらを設定することができる。
このようにして、高分子吸着剤が析出した銀に吸着し、銀が等方に成長することを抑制しつつ、析出した銀に高分子吸着剤を吸着させた状態で、銀を異方に成長させることができる。また、マイクロ波を照射することにより銀の還元反応を促進することができる。このような結果、短時間に、精度良く板状の銀粒子を製造することができる。図2に、本発明の銀ペーストに含まれる板状の銀粒子が生成する様子を模式的に示す。
続いて、得られた板状の銀粒子を含む懸濁液から未反応の原料を除去する。未反応の原料の除去には、当該技術分野において公知の技術を使用することができ、限定されないが、例えばろ過、遠心分離などが挙げられる。未反応の原料の除去は、限外ろ過(UF)が好ましい。
また、板状の銀粒子の製造において溶媒として水を使用していた場合、得られた板状の銀粒子を含む懸濁液の水を揮発性の高い溶媒、例えばエタノールなどのアルコールに置換することが好ましい。板状の銀粒子を含む懸濁液の水を揮発性の高い溶媒に置換することにより、懸濁液を銀ペーストにする際の固形分の調整が容易になる。
次に、得られた揮発性の高い溶媒及び板状の銀粒子を含む懸濁液の固形分を調整する。固形分は、例えば加熱やエバポレータなどを使用して、揮発性の高い溶媒を蒸発させることで調整される。揮発性の高い溶媒及び板状の銀粒子を含む懸濁液の固形分は、通常5%〜25%に調整される。
最後に、固形分が調整された揮発性の高い溶媒及び板状の銀粒子を含む懸濁液と、本発明の銀ペーストに含まれる上述した溶剤とを混合し、揮発性の高い溶媒をさらに除去、例えば上述したような加熱やエバポレータなどを使用して蒸発させることで、本発明の板状の銀粒子と溶剤とを含む銀ペーストを製造する。なお、本発明の銀ペーストの固形分は、通常75%〜95%、好ましくは90%〜95%である。
本発明の銀ペーストは、従来の触媒、電子部品部材、インクの材料などに加え、エレクトロニクス実装分野における高耐熱鉛フリー化接合材料として使用することができる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例につき説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
I.銀ペーストの調製
(実施例1)
硝酸銀の濃度が10mMとなり、アスコルビン酸の濃度が20Mとなるように、硝酸銀及びアスコルビン酸を、水を溶媒として混合した混合液を作製した。アスコルビン酸は、銀を還元する還元剤である。アスコルビン酸の標準電極電位は、0.06Vである。
次に、ポリビニルピロリドンの濃度が20mM(単位ユニット分子量換算)となるように、混合液にポリビニルピロリドンをさらに混合した。ポリビニルピロリドンは、還元された銀に吸着する高分子吸着剤である。なお、ポリビニルピロリドンは、グラフト重合により、重量平均分子量を40000にしたもの(東京化成工業(株)製)である。
得られた混合液に、周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、130℃で10分間混合液を加熱した。これにより、板状の銀粒子を含む懸濁液を作製した。
続いて、板状の銀粒子を含む懸濁液中の未反応の原料を除去するためにUFろ過を実施し、その後、溶媒としての水をエタノールに置換した。
次に、得られたエタノール及び板状の銀粒子を含む懸濁液の固形分を、エタノールをエバポレータにより蒸発させることによって、約15%に調整した。
最後に、エタノール及び板状の銀粒子を含む懸濁液と、溶剤としてのエチレングリコールとを混合し、さらにエタノールを加熱により蒸発させることによって、固形分を約90%に調整して、板状の銀粒子と溶剤とを含む銀ペーストを製造した。得られた銀ペーストの粘度は、コーンプレート型粘度計で測定した場合に、50Pa・sであった。
図3に得られた銀ペースト中の板状の銀粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)により撮影したTEM像を示す。
図3より、実施例1の銀ペースト中の板状の銀粒子では、TEM像から算出した板状の銀粒子の厚さの平均値(d)は、70nmであり、TEM像から算出した板状の銀粒子の銀が延在する方向と直交する方向から銀粒子を見たときの銀粒子表面の円相当径の平均値(d)と厚さの平均値(d)の比である板状の銀粒子のアスペクト比(d/d)は、2.0であった。
なお、実施例1の銀ペースト中の板状の銀粒子において、TEM像から算出した板状の銀粒子の厚さの平均値(d)は、15万倍の透過型電子顕微鏡(TEM)により撮影したTEM像において、任意の銀粒子を100個選択し、選択した銀粒子それぞれについて銀が延在する方向と直交する方向の長さを測定し、それらを平均化して求めた。また、実施例1の銀ペースト中の板状の銀粒子において、TEM像から算出した板状の銀粒子の銀が延在する方向と直交する方向から銀粒子を見たときの銀粒子表面の円相当径の平均値(d)は、15万倍の透過型電子顕微鏡(TEM)により撮影したTEM像において、任意の銀粒子を100個選択し、選択した銀粒子それぞれについて銀が延在する方向と直交する方向から銀粒子を見たときの銀粒子の表面の表面積を円の面積として換算したときの直径の値を測定し、それらを平均化して求めた。
(比較例1)
エチレングリコールを溶媒として、硝酸銀10mM、ポリビニルピロリドン(重量平均分子量:10000)20mMを溶解させ、実施例1と同じようにマイクロ波を照射することによりこれらを加熱し、銀粒子を含む懸濁液を作製した。エチレングリコールの標準電極電位は、−0.1Vである。
続いて、銀粒子を含む懸濁液中の未反応の原料を除去するためにUFろ過を実施し、その後、溶媒としての水をエタノールに置換した。
次に、得られたエタノール及び銀粒子を含む懸濁液の固形分を、エタノールをエバポレータにより蒸発させることによって、約15%に調整した。
最後に、エタノール及び銀粒子を含む懸濁液と、溶剤としてのエチレングリコールとを混合し、さらにエタノールを加熱により蒸発させることによって、固形分を約90%に調整して、銀粒子と溶剤とを含む銀ペーストを製造した。得られた銀ペーストの粘度は、コーンプレート型粘度計で測定した場合に、50Pa・sであった。
得られた銀ペースト中の銀粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)により撮影したところ、銀粒子は球状であり、TEM像における長径の平均値は70nmであり、短径の平均値は63nmであり、長径の平均値と短径の平均値の比である銀粒子のアスペクト比は、1.1であった。
なお、比較例1の銀ペースト中の銀粒子において、TEM像から算出した銀粒子の長径(粒子の中心を通る最大径)及び短径(粒子の中心を通る最小径)の平均値は、15万倍の透過型電子顕微鏡(TEM)により撮影したTEM像において、任意の銀粒子を100個選択し、選択した銀粒子それぞれについて銀の長径及び短径を測定し、それらを平均化して求めた。
II.銀ペーストの評価
Iで得られた実施例1及び比較例1の銀ペーストを使用して、後述する無加圧焼成による接合プロセスにおいて、半導体素子を支持部材に接続した。
無加圧焼成による接合プロセス
(1)半導体素子の面積に合わせたメタルマスクにより支持部材であるリードフレームに実施例1又は比較例1の銀ペーストをスキージでシェアをかけながら塗布した。
(2)塗布した銀ペーストの上に半導体素子をセットした。
(3)得られたモジュールを250℃で1時間焼結した。
図4に、半導体素子を銀ペーストにより支持部材であるリードフレームに接合して調製したパワー半導体モジュールを模式的に示す。
III.結果
図5に実施例1の銀ペーストの焼結の様子を走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影したSEM像を示す。図6に比較例1の銀ペーストの焼結の様子を走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影したSEM像を示す。
図5及び6より、無加圧焼成による接合プロセスにおいて、比較例1の銀ペーストを用いた場合の焼結体では空隙率が大きくなってしまったのに対し、実施例1の銀ペーストを用いた場合の焼結体では空隙率を小さくすることができることがわかった。図7に、実施例1の銀ペーストの支持部材であるリードフレーム上での焼結の様子を模式的に示し、図8に、比較例1の銀ペーストの支持部材であるリードフレーム上での焼結の様子を模式的に示す。

Claims (1)

  1. 板状の銀粒子と溶剤とを含む銀ペーストであって、
    TEM像から算出した板状の銀粒子の厚さの平均値(d)が、10nm〜100nmであり、
    TEM像から算出した板状の銀粒子の銀が延在する方向と直交する方向から銀粒子を見たときの銀粒子表面の円相当径の平均値(d)と厚さの平均値(d)の比である板状の銀粒子のアスペクト比(d/d)が、1.5〜50であり、
    板状の銀粒子が、重量平均分子量が9000〜45000である高分子の保護材により被覆されている
    銀ペースト。
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