JP7453619B2 - 銅および酸化銅含有微粒子及びその製造方法 - Google Patents

銅および酸化銅含有微粒子及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、複数の金属製部材を相互に接合するための接合用材料であって、銅および酸化銅含有微粒子を接合の主剤とする接合用材料に関する。
近年、ナノメートルレベルの金属微粒子が通常の塊状金属(金属バルク)とは異なる熱的、磁気的性質を示すことが明らかとなり、これらの性質を利用した新規な反応や素材開発が盛んに行われている。
ナノメートルレベルの金属微粒子は、一般的なミリメートルオーダーの金属粉末とは異なり、元素単体が示す融点より著しく低温で相互融着する性質を有する。そのため、焼結時の温度を低温化する点から、粒子径の小さい金属粒子を用いることが検討されている。
金属微粒子を用いた接合は、金属微粒子同士が融着しバルク化した場合、バルク材料の融点まで再溶融しないので、二次実装を行う場合に接合が安定であり、高温条件下での高い信頼性が期待できる。また、金属微粒子は、パワー半導体の接合や、自動車のエンジンルームのような高温環境で用いられる回路実装用の接合にも好適に用いることができる。
金属微粒子は、溶剤又は/及び樹脂に分散させることにより、インキ化・塗料化することができ、各種印刷やディスペンサ等を用いて容易に取り扱うことができる。
金属微粒子の種類としては、金、銀、銅、ニッケル等の様々な金属微粒子材料が知られている。それらの中でも銅は、製造時の安全性、原料価格、耐マイグレーション特性、分散体の分散安定性に優れており、これらの点から特に注目されている。
銅の融点は1000℃を超えるが、100nm以下の粒子径を有する銅微粒子は、350℃以下の温度において融着が進行し、バルク化できる利点がある。
しかし、銅は金、銀などの金属と比較して酸化しやすく、特に微粒子化された銅はその比表面積の大きさから酸化がより促進される。中でも、100nm以下の粒子径を有する銅微粒子は、比表面積が非常に大きく大気中で容易に酸化する課題があった。
銅微粒子同士を融着・接合させるには、
(1)銅微粒子の焼結に水素混合ガスやギ酸蒸気を使用して銅微粒子表面の酸化銅層を銅へ還元させる(特許文献1、特許文献2)、
(2)酸化銅層が形成されないように、銅微粒子の取り扱い工程を不活性ガス雰囲気下で行う、
(3)金属錯体の熱分解を用いて銅へ還元させる(特許文献3)、
(4)銅微粒子を貴金属で被覆することにより銅微粒子表面の酸化銅層の発生を防止する方法(特許文献4)
が知られている。
特開2020-009554号公報 特開2015-214722号公報 特開2017-124986号公報 特開2007-227156号公報
本発明が解決しようとする課題は、銅微粒子最表面を結晶性のキュプライト(CuO)を含む層で覆うことにより、コアである銅微粒子の更なる酸化を抑制し、低温焼結による融着・接合が可能な銅および酸化銅含有微粒子を提供することである。
本発明は、金属との接合に用いる銅および酸化銅含有微粒子又は銅および酸化銅含有微粒子分散体である。
以下に、本発明について具体的に記述する。
(1)平均一次粒子径(DTEM)が100nm未満である銅および酸化銅含有微粒子であって、
前記微粒子中のCuOとCuとの濃度比([CuO]/[Cu])が、0.27未満であることを特徴とする銅および酸化銅含有微粒子。
(2)(1)記載の銅および酸化銅含有微粒子の粉末X線回折において、Cuのミラー指数(111)における結晶子径(Dx)が50nm以下であり、かつ、CuOのミラー指数(111)における結晶子径(Dx)が50nm以下であることを特徴とする請求項1記載の銅および酸化銅含有微粒子。
(3)(1)または(2)記載の銅および酸化銅含有微粒子と、
分子量が1000以上であって、かつ、アミノ基、カルボニル基、チオール基、チオエーテル基、リン酸基のうち少なくとも一種以上の官能基を有する化合物と、
分散媒と、
を含むことを特徴とする銅および酸化銅含有微粒子分散体。
(4)(1)から(3)いずれか記載の銅および酸化銅含有微粒子又は銅および酸化銅含有微粒子分散体を用いた導電材料又は導電性ピラー。
(5)(4)記載の導電材料又は導電性ピラーを用いた電子デバイス。
(6)酸素濃度1%未満の雰囲気で製造した銅微粒子を、酸素濃度200ppm以上の雰囲気に1分から12時間までの間、継続して又は断続的に暴露させる工程を有する、請求項1または2記載の銅および酸化銅含有微粒子の製造方法。
本発明によれば、平均一次粒子径(DTEM)が100nm未満である銅微粒子であって、前記微粒子中のCuOとCuとの濃度比([CuO]/[Cu])が、0.27未満であることを特徴とする銅および酸化銅含有微粒子を接合の主剤として接合用材料に用いれば、複数の金属製部材を相互に接合可能であり、かつ、低温焼結による融着・接合が可能な銅および酸化銅含有微粒子を提供することができる
図1は、実施例1により合成した銅および酸化銅含有微粒子のTEM像である。 図2は、実施例1により合成した銅および酸化銅含有微粒子のTEM像である。 図3は、銅および酸化銅含有微粒子の粉末X線回折の結果を示したグラフである。 図4は、銅と酸化銅(I)の強度比と濃度比の関係を示したグラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。ここで単位「%」は、特に断りのない限りにおいて「質量%」である。
<銅および酸化銅含有微粒子>
本発明に係る銅および酸化銅含有微粒子について、以下詳細に説明する。
(金属種)
本発明に係る金属微粒子の金属種は、銅および酸化銅である。
銅は、製造時の安全性、原料価格、耐マイグレーション特性、分散体の分散安定性に優れる。
酸化銅は、結晶性のCuO(キュプライト)を示している。銅微粒子最表面を結晶性のCuOで覆うことにより、コアである銅微粒子の更なる酸化を抑制し、低温焼結による融着・接合が可能な銅および酸化銅含有微粒子を提供することができる。なお、本発明の銅および酸化銅含有微粒子に係る結晶性の酸化銅は、単結晶でもよいし多結晶でもよい。
本発明に係る銅および酸化銅含有微粒子には、銅および酸化銅以外の金属種が含まれていてもよいが、本発明の効果を発揮するためには、銅および酸化銅含有微粒子を構成する金属元素の過半数(50atm%以上)がCu元素であることが好ましい。
(保護剤)
保護剤は、銅および酸化銅含有微粒子表面を保護するものであり、銅および酸化銅含有微粒子の凝集を防止し、銅および酸化銅含有微粒子を分散媒に安定して分散させる。保護剤は、銅および酸化銅含有微粒子や分散媒との親和性を有する官能基及び/又は分子構造を有する化合物であれば特に制限はなく、例えば以下に示す官能基・分子構造を有する化合物を用いることができる。
使用する保護剤は、分子量の大小にかかわらず使用することができ、所望する物性及び特性に応じて保護剤を設計することで高導電性や分散安定性を銅および酸化銅含有微粒子に付与することが可能である。
種々の目的に応じて保護剤を選択することで銅および酸化銅含有微粒子の特性を自在に変更することができる。高分子量の保護剤を用いる場合は、化合物中の官能基の数及び種類を変更することで様々な特性を発現できる。低分子量の保護剤を用いる場合は、二種以上の化合物を併用することで様々な特性を発現できる。
保護剤に含まれる官能基として、具体的には、チオール基、チオエーテル基、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、リン酸基、リン酸エステル基、スルホン酸基、芳香族基が挙げられる。これら官能基を有する保護剤を使用することにより、微粒子に分散安定性を付加することができる。
中でも、チオエーテル基、リン酸エステル基、アミノ基、ヒドロキシ基を有する保護剤を使用することが好ましく、低温焼結した場合においてより低い体積抵抗率を発現する高導電性を付加することができる。
保護剤に高分子量の保護剤を用いる場合、選択可能な分子構造としては、分散媒との親和性を有する任意の分子構造を採用することができる。例えば、分散媒がアルコール類や水などの極性溶媒である場合においては、炭素数8~200のポリエチレンオキシド構造を含む有機化合物を好適に用いることができ、炭素数8~100のポリエチレンオキシド構造を含む有機化合物をより好適に用いることができる。
当該保護剤のポリエチレンオキシド部位は、沸点が250℃以下のアルコール系溶媒との親和性に優れることから、金属微粒子の凝集を強く抑制でき、金属微粒子の高分散することができる。これにより、金属微粒子が高密度に充填されている状態となり、加熱処理による保護剤及び溶媒の分解除去に伴うボイド発生が起きず、高密度充填が可能となる。
保護剤に炭素数8~200のポリエチレンオキシド構造を含む有機化合物を含有する金属微粒子(有機化合物と金属微粒子の複合体)の例として、特許第4784847号公報、特開2013-60637号公報又は特許第5077728号公報に記載の金属微粒子が挙げられ、これらに記載の方法で合成することができる。これらは、チオエーテル型(R-S-R’)化合物が銅および酸化銅含有微粒子表面に対して適切な親和吸着効果と、加熱による迅速な脱離性を有することが特徴となっており、銅および酸化銅含有微粒子に低温融着特性を付与する保護剤としても使用できる。
他の例として、特開2010-209421号公報に記載のチオエーテル基を有する高分子化合物のうち、炭素数8~200のポリエチレンオキシド部位を有する高分子化合物が複合した金属微粒子、さらには、特許第4697356号公報に記載のチオエーテル基を有しリン酸エステル基を有する高分子化合物のうち、炭素数8~200のポリエチレンオキシド部位を有する高分子化合物が複合した金属微粒子などが挙げられる。これらのポリエチレンオキシド構造を含む高分子化合物の製造は、これら公報に記載の方法に従い行うことができる。
これらのポリエチレンオキシド構造を含むリン酸エステル型有機化合物は、チオエーテル基及びリン酸エステル基を有しており、これらの基を有することにより、銅および酸化銅含有微粒子表面に対して適切な親和吸着効果と、加熱による迅速な脱離性を付加することができる。
保護剤にアミノ基を有する化合物を用いる場合、具体例として以下の物質を用いることができる。
例えば、2-メトキシエチルアミン、2-エトキシエチルアミン、2-イソプロポキシエチルアミン、3-メトキシプロピルアミン、3-エトキシプロピルアミン、3-イソプロポキシプロピルアミン、3-(2-エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、N-メチルエチレンジアミン、N-エチルエチレンジアミン、N-イソプロピルエチレンジアミン、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、3-イソプロピルアミノプロピルアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジエチル-1,3-プロパンジアミン、N-(3-アミノプロピル)モルホリン、N-(tert-ブトキシカルボニル)-1,4-ジアミノブタン、N-(tert-ブトキシカルボニル)-1,5-ジアミノペンタン、N-(tert-ブトキシカルボニル)-1,6-ジアミノヘキサン、2-(アミノエチルアミノ)エタノール、2-(アミノエトキシ)エタノール、3-(2-ヒドロキシエチルアミノ)プロピルアミン、N-(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N-(3-アミノプロピル)ジエタノールアミン等を例示することができる。この他に、アミン類として第二級アミン化合物、又は、第三級アミン化合物も併用することができる。
保護剤にカルボキシル基を有する化合物を用いる場合、具体例として以下の物質を用いることができる。
例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、パルミトオレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リシノール酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ジグリコール酸、マレイン酸、イタコン酸、安息香酸、N-オレイルサルコシン、N-カルボベンゾキシ-4-アミノ酪酸、p-クマル酸、3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、3-ヒドロキシミリスチン酸、2-ヒドロキシパルミチン酸、2-ヒドロキシイコサン酸、2-ヒドロキシドコサン酸、2-ヒドロキシトリコサン酸、2-ヒドロキシテトラコサン酸、3-ヒドロキシカプロン酸、3-ヒドロキシオクタン酸、3-ヒドロキシノナン酸、3-ヒドロキシデカン酸、3-ヒドロキシウンデカン酸、3-ヒドロキシドデカン酸、3-ヒドロキシトリデカン酸、3-ヒドロキシテトラデカン酸、3-ヒドロキシヘキサデカン酸、3-ヒドロキシヘプタデカン酸、3-ヒドロキシオクタデカン酸、15-ヒドロキシペンタデカン酸、17-ヒドロキシヘプタデカン酸、15-ヒドロキシペンタデカン酸、17-ヒドロキシヘプタデカン酸、ラウロイルサルコシン、6-アミノヘキサン酸、2-ベンゾイル安息香酸、12-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシペンタデカン酸、2-ヒドロキシパルミチン酸、3-ヒドロキシデカン酸、15-ヒドロキシペンタデカン酸、ラウロイルサルコシン、6-アミノヘキサン酸、N-(tert-ブトキシカルボニル)-6-アミノヘキサン酸、[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸、N-カルボベンゾキシ-β-アラニン等を例示することができる。また、多量体を形成する化合物であれば、これらの二量体及び三量体から六量体までの多量体を用いても良い。また、1又は2以上のカルボン酸を任意の割合で組み合わせて用いることもできる。
銅および酸化銅含有微粒子分散体中の保護剤濃度は、特に制限されるものではないが、焼結時の銅および酸化銅含有微粒子同士の融着のし易さ、導電性及び接合強度向上の観点からペースト全量中の15%以下の範囲が好適であり、より好ましくは10%以下の範囲である。
(銅および酸化銅含有微粒子分散体、分散媒)
本発明に係る銅および酸化銅含有微粒子に良溶媒となる分散媒を加えることにより、銅および酸化銅含有微粒子分散体を得ることができる。分散媒には、銅および酸化銅含有微粒子を凝集させない良分散媒を用いることが、均一な粒子径を有するペーストを製造する上で好ましい。
銅および酸化銅含有微粒子分散体中の金属微粒子含有率については、特に制限を設ける必要はなく、微粒子の分散安定性を損なわない範囲で任意の濃度を定めることができる。また、銅および酸化銅含有微粒子分散体の金属微粒子含有率は、使用用途及び使用目的に合わせて任意の濃度で使用をすることができる。分散媒は、基材への濡れ性付与や、ペースト中の銅および酸化銅含有微粒子の濃度を調整することを目的として添加できる。
本発明で使用できる分散媒は、焼結後にピラー内部に分散媒が残留しないことが望ましく、焼成温度以下の沸点であることが好ましく、具体的には沸点250℃以下であることがより好ましい。
以下に、好適に用いることができる分散媒について、具体例として以下の物質を用いることができる。
例えば、水酸基を有する分散媒としては、水、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、アミルアルコール、tert-アミルアルコール、1-ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、2-エチル-1-ブタノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、4-メチル-2-ペンタノール、ネオペンチルグリコール、プロピオニトリル、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、イソブチレングリコール、2,2-ジメチル-1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、2,5-ヘキサンジオール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、乳酸エチルなどを例示することができる。中でも、1-ブタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類を好適に用いることができる。また、分散媒は1又は2以上の物質を任意の割合で組み合わせて用いることもできる。
その他、水酸基を含まない有機溶剤として、アセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、アクリロニトリル、プロピオニトリル、n-ブチロニトリル、イソブチロニトリル、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトン、プロピオラクトン、炭酸-2,3-ブチレン、炭酸エチレン、炭酸1,2-エチレン、炭酸ジメチル、炭酸エチレン、マロン酸ジメチル、安息香酸メチル、サリチル酸メチル、二酢酸エチレングリコール、ε-カプロラクタム、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N-エチルアセトアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、ホルムアミド、ピロリジン、1-メチル-2-ピロリジノン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ナフタレン、ケロシンなどを用いることができる。また、分散媒は1又は2以上の物質を任意の割合で組み合わせて用いることもできる。
(混合物の沸点測定方法)
複数の物質を組み合わせて分散媒として用いる場合、分散媒の沸点は、JIS K2233-1989「自動車用非鉱油系ブレーキ液」7.1に規定する「平衡還流沸点試験方法」に準じて測定することができる。
<銅および酸化銅含有微粒子の製造方法>
銅および酸化銅含有微粒子の製造方法としては、湿式法である化学還元法、熱分解法、電気化学法等や、乾式法であるガス中蒸発法、スパッタ法等を用いることができる。
本発明に係る銅および酸化銅含有微粒子は、極性溶媒中で銅イオンを還元剤により還元し銅微粒子を作製した後に、得られた銅微粒子の表面を酸化させることにより作製できる。酸化により作製される酸化銅は、結晶性を有していれば良く、単結晶でも多結晶でもよいが、結晶子径が50nm以下であることが好ましい。
銅微粒子を合成する際に保護剤を共存させることにより、還元生成した銅微粒子の最表面を保護剤で覆うことができ、微粒子の成長や凝集を抑制し、均一な粒子径を有する銅微粒子の製造を可能にする。
本発明の効果を説明するため、保護剤として炭素数8~200のポリエチレンオキシド構造を含む有機化合物を保護剤として使用した際の銅および酸化銅含有微粒子又は銅および酸化銅含有微粒子分散体の製造方法について説明する。
炭素数8~200のポリエチレンオキシド構造を含む有機化合物が複合した銅微粒子分散体は、チオエーテル型有機化合物の存在下で、2価の銅イオン化合物を溶媒と混合する工程と、銅イオンを還元する工程と組み合わせることで容易に作製することが可能である。
(原料)
2価の銅イオン化合物としては、一般に入手可能な銅化合物が利用可能であり、硫酸塩、硝酸塩、カルボン酸塩、炭酸塩、塩化物、アセチルアセトナート錯体等を用いることができる。0価の銅微粒子との複合体を得る場合には、2価の化合物や、1価の化合物から製造してもよく、水分や結晶水を有していても良い。
2価の銅イオン化合物として具体的には、CuSO、Cu(NO、Cu(OAc)、Cu(CHCHCOO)、Cu(HCOO)、CuCO、CuCl、CuO、CCuO、及びそれらの水和物等を使用することができる。また、前記塩類を加熱し、又は、塩基性雰囲気に曝す等により得られる塩基性塩たとえばCu(OAc)・CuO、Cu(OAc)・2CuO、CuCl(OH)等を好適に用いることができる。
これら塩基性塩は、反応系内で調製してもよいし、反応系外で別途調製したものを使用してもよい。また、アンモニアやアミン化合物を加えて錯体形成し、溶解度を確保してから還元に用いる一般的な方法も適用できる。
これらの銅イオン化合物は、予めチオエーテル型有機化合物を溶解又は分散した溶媒に溶解、または混合することができる。このとき用いることができる溶媒としては、使用する有機化合物の構造にもよるが、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、水、アセトン等の極性溶媒、及び、それらの混合物が好適に用いることができる。なかでも、水-エチレングリコール混合物がより好ましい。
チオエーテル型有機化合物の各種溶媒中における濃度としては、引き続き行なう還元反応の制御が容易になる点から、0.3~10%の範囲に調整することが好ましい
上記で調整した溶媒中に、銅イオン化合物を、一括又は分割して添加し、混合する。難溶性溶媒を使用する場合には、予め少量の良溶媒に溶解させ、溶媒中に添加しても良い。
混合するチオエーテル型有機化合物と銅イオン化合物の配合割合としては、反応溶媒中でのチオエーテル型有機化合物の保護能力に応じて適宜選択することができる。銅イオン化合物1mol当たりチオエーテル型有機化合物として1mmol~30mmolの範囲で調製し、特に15~30mmolの範囲で用いることが好ましい。ここで、ポリエチレンオキシド構造を含むリン酸エステル型有機化合物を用いても同様に行うことができ、銅イオン化合物1molあたりの有機化合物の使用量も前記と同様である。
(還元工程)
引き続き、銅イオンの還元反応を各種還元剤により行なう。還元剤としては、銅イオンを還元することができる物であれば特に制限されることはないが、氷冷温から80℃以下の温度で銅イオンの還元反応を進行させることができる、ヒドラジン化合物、ヒドロキシルアミンおよびその誘導体、金属水素化物、ホスフィン酸塩類、アルデヒド類、エンジオール類、ヒドロキシケトン類など、を用いることが好ましい。
特に、ヒドラジン水和物、非対称ジメチルヒドラジン、ヒドロキシルアミン水溶液、水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤は、銅化合物を0価まで還元することができる点でより好ましい。2価及び/又は1価の銅化合物を還元銅とし、有機化合物と銅微粒子との複合体を製造する場合に好適に用いることができる。
還元反応の条件は、原料として用いる銅化合物、還元剤の種類、錯化の有無、溶媒、チオエーテル型有機化合物の種類に応じ、適宜設定することができる。例えば、水系溶媒で酢酸銅(II)を水素化ホウ素ナトリウムで還元する場合には、氷冷程度の温度でも0価の銅微粒子が調製できる。一方、ヒドラジンを用いる場合には、室温では反応が遅く、60℃程度に加熱してはじめて円滑な還元反応が起こる。またエチレングリコール/水系で酢酸銅を還元する場合には、60℃で2時間程度の反応時間を要する。これら還元反応の結果、有機化合物と銅微粒子との複合体を含む反応混合物が得られる。
(精製工程)
還元反応後は、必要に応じて金属化合物残渣、還元試薬残渣、余剰のポリエチレンオキシド構造を含む有機化合物等を除く、いわゆる精製工程を設けることができる。銅微粒子の精製行程は、再沈殿、遠心沈降、限外濾過等の公知公用の方法により行うことができる。
また、再沈殿、遠心沈降等の方法を使用する場合には、銅微粒子を含む反応混合物を水、エタノール、アセトン等によって洗浄することで、過剰に存在する前述の不純物を洗い流すことができる。
精製のために水、エタノール、アセトン等の洗浄液を用いた場合、洗浄液は乾燥によって除去することもできるし、洗浄液を溶媒置換によって良溶媒に置換することもできる。
(微粒子表面の酸化工程)
本発明に係る銅および酸化銅含有微粒子を作製するために、作製した銅微粒子を酸化させる工程を設けることができる。銅微粒子表面を均一に酸化させ、結晶性の酸化皮膜を作製するためである。微粒子表面の酸化工程は、均一に銅微粒子が分散された液相において酸化処理することが望ましいが、本発明の効果を損なうものでなければ酸化方法について特に限定されない。
液相中で銅微粒子表面を酸化させる方法について、例えば、酸素を含む気体をバブリングする方法、酸素を含む気体中で銅微粒子分散体を攪拌又は混練する方法、酸化剤を添加する方法等任意の方法を採用することができる。
酸素を含む気体とは、空気でもよく、酸素濃度が200ppm以上であることが好ましい。
本発明に係る銅および酸化銅含有微粒子を作製するために、酸素を含む気体に暴露させる時間としては、本発明の効果を損なうものでなければ特に限定はない。また、微粒子表面の酸化工程は、継続して又は断続して実施してもよい。
(乾燥工程)
銅および酸化銅含有微粒子の乾燥粉末を得る場合には、乾燥工程を設けることができる。乾燥方法については特に限定されるものではないが、減圧乾燥法を用いることが好ましい。
本発明に係る銅および酸化銅含有微粒子の乾燥粉末を、良溶媒に加え、攪拌することにより、容易に銅および酸化銅含有微粒子分散体を得ることができる。
(添加剤等)
本発明に係る銅および酸化銅含有微粒子には、本発明の効果を損なわせない範囲において、必要に応じて、樹脂等のバインダー成分、乾燥防止剤、消泡剤、基材への密着付与剤、酸化防止剤、皮膜形成促進のための各種触媒、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤の様な各種界面活性剤、レベリング剤、離型促進剤等を助剤として添加できる。
本発明に係る銅および酸化銅含有微粒子は、本発明の効果を損なわない範囲内でフラックス成分を加えることができる。フラックス成分を加えることにより、還元力を持たせた接合用材料として使用することができる。フラックスとしては、ロジン、脂肪酸などの一般的なフラックス剤を用いることが可能であり、特に制限するものではない。また、このフラックス中には、通常用いられるロジン、活性剤、チキソ剤等が含まれていても構わない。
<金属微粒子含有率及びその計算>
銅および酸化銅含有微粒子分散体中の金属微粒子含有率は、熱重量分析(TG/DTA)により算出することができる。例えば、銅および酸化銅含有微粒子分散体を熱重量分析用アルミパンに精密にはかり、示差熱重量分析装置に載せ、不活性ガス雰囲気下において、室温~600℃まで毎分10℃の割合で昇温して、重量減少率に基づいて金属微粒子含有率を計算することができる。
金属微粒子含有率について、特に制限を設ける必要はなく、微粒子の分散安定性を損なわない範囲で任意の濃度を定めることができる。また、銅および酸化銅含有微粒子分散体の金属微粒子含有率は、使用用途及び使用目的に合わせて任意の濃度で使用をすることができる。
<平均一次粒子径(DTEM)>
平均一次粒子径(DTEM)が、100nm未満の銅および酸化銅含有微粒子は、350℃以下の温度において融着が進行し、バルク化できる点で接合用材料として好適である。本発明に係る銅および酸化銅含有微粒子には、発明の目的を損なわない範囲において、銅および酸化銅の他に、金、銀、ニッケル、又はこれらの合金を含んでいても良い。
平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により算出することができる。すなわち、本明細書において、金属微粒子の平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)により試料の写真を撮影し、その画像を解析することにより算出する。
透過型電子顕微鏡(TEM)の観察用試料は、作製した銅および酸化銅含有微粒子を、良溶媒で任意の濃度に希釈し、その希釈液をカーボン膜被覆グリッド上にキャストし、乾燥させることで作製できる。
平均一次粒子径は、得られたTEM像の中から無作為に微粒子を200個抽出し、それぞれの面積を求め、真球に換算したときの粒子径を個数基準として算出した値を採用する。無作為に抽出される粒子からは、2個の粒子が重なったものは除外する。多数の粒子が、接触して、又は、二次凝集して、集合している場合には、集合を構成している粒子はそれぞれ独立した粒子であるものとして取り扱う。例えば、5個の一次粒子が接触又は二次凝集して1の集合を構成している場合、集合を構成する5個の粒子それぞれが金属微粒子の 平均一次粒子径の算出対象となる。
また、平均一次粒子径は、焼結前の値を採用する。すなわち、焼結されることにより融着が生じる前の値を採用する。
<X線回折>
(結晶子径(D)の計算)
金属種が銅である場合には2θ=43.3°付近に(111)面に由来するピークを、金属種が酸化銅(I)である場合には2θ=36.4°付近に(111)面に由来するピークをそれぞれ観測することができる。
(111)面は原子の密度が他の面に比べて高く、高い反応性を示すことが知られている。(111)面を多く有する(他の面よりも存在比率が高い)銅微粒子は、比較的低温で融着しやすく、接合材料に用いた場合に、他の金属との良好な接合強度を発現することができる。
銅および酸化銅含有微粒子中の銅の結晶子の大きさは、シェラーの式により求められる。平均一次粒子径と同様に、各格子面における結晶子径Dも、小さい方が低温での融着を生じやすいという点において好ましい。
(CuのDの計算)
銅の結晶子径Dは、X線回折測定で得られる回折線のうち、最も強度が高い回折線(Cu(111)、2θ=43.3°)、2番目に強度が高い回折線(Cu(200)、2θ=50.4°)、3番目に強度が高い回折線(Cu(220)、2θ=74.1°)について、それぞれ求めることができる。中でも、3つの結晶子径のうち、ミラー指数(111)における結晶子径DX(111)が、50nm以下であることが好ましく、より好ましくはDX(111)が20nm以下である。
(CuOのDの計算)
銅および酸化銅含有微粒子中のCuOの結晶子の大きさは、シェラーの式によりCuと同様にして求められる。銅および酸化銅含有微粒子中のCuOの結晶子が大きく結晶性が高い場合には、より酸素バリア性が高くなり、コアである銅微粒子への酸素分子の接触を抑制することができる。
酸化銅の結晶子径Dは、X線回折測定で得られる回折線のうち、最も強度が高い回折線(CuO(111)、2θ=36.4°)、2番目に強度が高い回折線(CuO(200)、2θ=42.3°)、3番目に強度が高い回折線(CuO(220)、2θ=61.3°)について、それぞれ求めることができる。中でも、3つの結晶子径のうち、ミラー指数(111)における結晶子径DX(111)が、5~50nmであることが好ましく、より好ましくはDX(111)が10~50nmである。さらに好ましくは、DX(111)が20~50nmである。
(酸化銅(I)と銅のピーク強度比(CuO/Cu)の計算)
酸化銅(I)と銅のピーク強度比(CuO/Cu)は、X線回折におけるCuO(111)面に帰属されるピークの強度値とCu(111)面に帰属されるピークの強度値の比を示している。すなわちCuOの面指数(111)面のピーク強度値を、Cuの面指数(111)面のピーク強度値で除した値である。この酸化銅(I)と銅のピーク強度比(CuO/Cu)は、0.3以下であることが好ましく、より好ましくは0.18以下である。
本発明に係る銅および酸化銅含有微粒子の粒子構造の組成は、粉末X線回折測定により得られる酸化銅(I)と銅のピーク強度比(CuO/Cu)と、以下に説明する検量線と、を用いることにより概算することができる。
<酸化銅(I)と銅の濃度比([CuO]/[Cu])の測定>
酸化銅(I)と銅の濃度比([CuO]/[Cu])は、銅および酸化銅含有微粒子中の酸化銅(I)濃度を銅の濃度で除した値を用いる。
銅および酸化銅含有微粒子中の銅及び/又は酸化銅(I)の濃度を測定する方法、又は、銅および酸化銅含有微粒子中の銅および酸化銅(I)の濃度比率を特定する方法、については特に限定されるものではなく、公知又は公用の方法を採用することができる。また、濃度には、「質量%濃度」を用いる。
本発明においては、銅および酸化銅含有微粒子中の銅および酸化銅(I)の濃度比率を特定する方法として、粉末X線回折測定を採用した。粉末X線回折法を用いることで、薬品等を用いることなく、簡便に酸化銅(I)と銅の濃度比([CuO]/[Cu])を簡便に見積もることができる。
以下に本発明で採用した酸化銅(I)と銅の濃度比([CuO]/[Cu])の計算方法について詳細に説明する。
(検量線)
XRD測定により銅および酸化銅含有微粒子中の酸化銅(I)と銅の濃度比([CuO]/[Cu])を見積もる場合には、[CuO]と[Cu]が既知の試料を用いてX線回折測定結果から得られるピーク強度を用いて検量線を作成し、該検量線を用いて銅および酸化銅含有微粒子中の銅と酸化銅(I)との濃度比を見積もることができる。
例えば、検量線は、X軸に混合比が既知の粉末試料のCuO(111)面とCu(111)面の回折ピーク強度比を、Y軸に[CuO]/[Cu]を、それぞれプロットしたものを用いることができる(図4)。
<銅および酸化銅含有微粒子の焼結>
本発明に係る銅および酸化銅含有微粒子は、金属微粒子が融着する温度にまで加熱をすることで、粒子間で融着が生じ、導電性が発現する。金属微粒子が融着する温度は、使用する金属種、保護剤や溶媒種によって異なる。金属微粒子が融着する温度は、熱重量分析(TG-DTA)や示差走査熱量計(DSC)を用いて見積もることができる。
ピラーの導電性及び接合強度について十分な値が得られる範囲であれば、焼成温度及び焼成時間に特に制限されるものではないが、好ましくは、焼成温度が150~350℃かつ焼成時間が1~60分間の範囲である。より好ましくは、焼成温度が200~250℃以下かつ焼成時間が5~15分間、の範囲である。本発明に係るペーストを使用すれば、短時間焼成を行った場合であっても十分な性能を発揮することができる。
また、必要に応じて、低温で溶媒を揮発させる仮焼成を行った後、150~350℃の範囲で本焼成を行う等の、温度プロファイルを用いて焼成を行うこともできる。
金属微粒子を焼結させる焼成方法としては金属微粒子の融着が生じる限りにおいて特に制限されるものではなく、ホットプレートや熱風オーブンをはじめとする熱による焼成や可視光、赤外光又はレーザー光の照射、フラッシュランプ、水素ガスをはじめとするプラズマ処理を用いても良い。
焼結時に使用するガス種については特に制限はない。窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス環境下に限らず酸素存在下での焼結も可能である。
<電子デバイス>
本実施形態の銅微粒子を使用すれば、十分に低い抵抗率をもった、配線、電極等の導電構造を形成できる。したがって、本実施形態の金属微粒子は、薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタを含む集積回路、タッチパネル、RFID、フレキシブルディスプレイ、有機EL、回路基板、センサーデバイス、導電性ピラー、フリップチップ実装用導電材料、パワー半導体等用の接合材料等の様々な電子部品の製造に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ここで「%」は、特に指定がない限り「質量パーセント濃度」である。
<検量線の作成>
XRD測定により銅および酸化銅含有微粒子中の銅と酸化銅(I)との濃度比([CuO]/[Cu])を見積もるために、[CuO]と[Cu]が既知の試料を用いて検量線を作成した。
検量線の作成には、純度99.5%以上の銅粉末試薬(関東化学社製)と、純度99.2%以上の酸化銅(I)粉末試薬(関東化学社製)とを用いた。濃度比([Cu]:[CuO])が、それぞれ1:9、3:7、5:5、7:3、9:1になるようにアルゴンガス雰囲気下で各試薬を混合し、少なくとも5分間瑪瑙製乳鉢で粉砕、混和させ、試料を調製した。各1.5gになるように試料を調製した。調製した各試料について粉末XRD測定を実施した。
検量線は、X軸にXRD測定結果により見積もられた酸化銅(I)と銅のピーク強度比(CuO/Cu)を、Y軸に既知の酸化銅(I)と銅の濃度比([CuO]/[Cu])を、それぞれプロットした。
また、得られたプロットからy=0.918xの近似式を得た。また、R=0.9997であった。その結果を図4に示した。
(合成例1)
<銅微粒子分散体の作製>
(分散体の合成)
酢酸銅(II)一水和物(3.00g、15.0mmol)(東京化成工業社製)、エチル3-(3-(メトキシ(ポリエトキシ)エトキシ)-2-ヒドロキシプロピルスルファニル)プロピオナート〔ポリエチレングリコールメチルグリシジルエーテル(ポリエチレングリコール鎖の分子量2000(炭素数91))への3-メルカプトプロピオン酸エチルの付加化合物〕(0.451g)、およびエチレングリコール(10mL)(関東化学社製)からなる混合物に、窒素を50mL/分の流量で吹き込みながら加熱し、125℃で2時間通気攪拌して脱気した。
この混合物を室温に戻し、ヒドラジン水和物(1.50g、30.0mmol)(東京化成工業社製)を水7mLで希釈した溶液を、シリンジポンプを用いて滴下した。約1/4量を2時間かけて滴下し、ここで一旦滴下を停止し、2時間攪拌して発泡が沈静化するのを確認した後、残量を更に1時間かけて滴下した。得られた褐色の溶液を60℃に昇温して、さらに2時間攪拌し、還元反応を終結させた。分散体の合成は、窒素ガス雰囲気で行い、酸素濃度は0.1%未満であった。
(分散体の精製)
つづいて、この反応混合物をダイセン・メンブレン・システムズ社製の中空糸型限外濾過膜モジュール(HIT-1-FUS1582、145cm、分画分子量15万)中に循環させ、滲出する濾液と同量の脱イオン水を加えながら、限外濾過モジュールからの濾液が約500mLとなるまで循環させて精製した。精製後、限外濾過法により濃縮した。2.85gのチオエーテルを含む有機化合物と銅微粒子との複合体の水分散液(銅微粒子分散体)が得られた。水分散液中の不揮発物含量は16%であった。分散体の調製工程は、酸素濃度200ppm未満の環境で行った。
<熱重量分析(TG-DTA)による重量減少率の測定>
合成した銅および酸化銅含有微粒子分散体の乾燥粉末約25mgを熱重量分析用アルミパンに精密にはかり、EXSTAR TG/DTA6300型示差熱重量分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)に載せ、窒素ガス雰囲気下において、室温~600℃まで毎分10℃の割合で昇温して、100℃~600℃の重量減少率を測定した。前記重量減少率より有機物の含有率を計算した。
TG-DTA測定による重量減少より、得られた銅および酸化銅含有微粒子粉末には3%のポリエチレンオキシド構造を含む有機物が存在した。
(実施例1)
<銅および酸化銅含有微粒子の作製>
(微粒子表面の酸化工程)
合成例1の手法により得られた銅微粒子分散液5mLを50mL三口フラスコに入れ、攪拌子を用いて攪拌しながら、空気を0.5L/分の流速で、3分間流すことにより、銅および酸化銅含有微粒子を得た。
(乾燥工程)
銅および酸化銅含有微粒子分散体の入った50mL三口フラスコをウォーターバスに入れ40℃に加温し、減圧下、窒素を5mL/分の流速で流すことで、水を完全に除去し、銅および酸化銅含有微粒子の乾燥粉末1.0gを得た。
<銅および酸化銅含有微粒子分散体の作製>
銅および酸化銅含有微粒子の乾燥粉末と、金属微粒子含有率が70%になるように窒素バブリングしたエチレングリコールと、をサンプル瓶に入れ、自転・公転ミキサー(あわとり練太郎 ARE-310)を用いて混錬し、分散させた。銅および酸化銅含有微粒子分散体を得た。
作製した銅および酸化銅含有微粒子分散体について、以下に記載した方法により物性を評価した。
<平均一次粒子径の測定>
平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により見積った。作製した金属微粒子を、水で100倍に希釈し、その希釈液を、カーボン膜被覆グリッド上にキャストし、乾燥させ、透過型電子顕微鏡(装置:TEMJEM-1400(JEOL製)、加速電圧:120kV)にて観察した。
平均一次粒子径は、得られたTEM像の中から無作為に微粒子を200個抽出し、それぞれの面積を求め、真球に換算したときの粒子径を個数基準として算出した値を採用した。
得られた銅および酸化銅含有微粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察すると、得られた銅および酸化銅含有微粒子の平均一次粒子径は46nmであった。得られた電子顕微鏡写真を図1及び図2に示した。
<X線回折分析>
粉末X線回折装置(SmartLab、リガク製)を用いた。測定条件は、2θ/θ法 2θ=30~70deg. step=0.02deg. speed=2.0deg/min.とした。Cu管球で40kV、30mAで発生させたKα線を用いた。
作製した銅および酸化銅含有微粒子分散体を真空乾燥させ、銅および酸化銅含有微粒子の粉体1.5gを得た。得られた銅および酸化銅含有微粒子の粉体について、上記条件で粉末X線回折分析を行った。当該分析により得られたX線回折像を図3に示した。
<ピーク強度比(CuO/Cu)>
粉末X線回折により得られた、CuO(111)面に由来するピーク強度値をCu(111)面に由来するピーク強度値で除した値をピーク強度比(CuO/Cu)として計算した。得られた値を表1に示した。
<濃度比[CuO]/[Cu]>
検量線から見積もられた近似式と、上記ピーク強度比(CuO/Cu)とを用いて、実施例2において作製した銅および酸化銅含有微粒子分散体中の銅と酸化銅(I)との濃度比([CuO]/[Cu])を計算した。得られた値を表1に示した。
<Cuの結晶子径Dの算出>
前記金属粉体の粉末X線回折(XRD)パターンにおけるCu(111)回折ピークの半値全幅から下記のシェラーの式で見積もった結晶子径は、14nmであった。結果を表1に示した。
D=Kλ/(βcosθ) (1)
上記式中、Dは結晶子の大きさ(Å)を表し、Kはシェラー定数(0.9を使用)を表し、λはX線源の波長(CuKα1の場合は、1.540562Å)を表し、βはXRDパターンにおける回折ピークの半値全幅(FWHM)を表し、θは回折角(degree)を表す。
<CuOの結晶子径Dの算出>
Cuの結晶子径Dの算出方法と同様に、CuO(111)回折ピークの半値全幅から下記のシェラーの式で見積もった結晶子径は、14nmであった。結果を表1に示した。
<接合強度の測定>
接合強度の測定は、以下に記載された条件で実施した。以下に記載していない条件に関してはJIS Z-03918-5:2003「鉛フリーはんだ試験方法」に記載の方法に準拠して測定を実施した。当該測定は、せん断強度試験ともいう。
接合強度測定に用いた試験片の作製方法について説明する。試験片は、銅製の試験材(母材)に円柱形状の試験材を接合し、作製される。
試験材(母材)には、厚さ1mm、1辺20mmの銅板(C1020)を用いた。
母材に接合する試験材には、円柱形状(直径3mm、高さ2mm)の銅(C1020)を用いた。
窒素ガス雰囲気下において、実施例1記載の方法により得られた銅および酸化銅含有微粒子分散体を、母材上に厚さ30μmになるように塗布した後、母材と円柱形状の試験材とを接合させた。
得られた接合体を、窒素ガス雰囲気下で250℃、10分間焼成し、試験片を作製した。作製した試験片について、ダイシェア試験により接合強度を測定した。ダイシェア試験による接合強度は、ダイシェア試験機(Nordson社製)を用いて、200μm/sのシェア速度で測定を行った。
接合強度測定は、5個の試験片を作製し、5回測定を実施した。得られた値の中央値を接合強度として、結果を表1に示した。
<接合強度の評価>
前記接合強度について評価を行った。評価基準は、以下のとおりとした。
◎:母材と試験材との接合強度の最高値が10MPa以上であり、非常に良好な接合強度であったことを示している。
○:母材と試験材との接合強度の最高値が5MPa以上であり、良好な接合強度であったことを示している。
△:母材と試験材との接合強度の最高値が5MPa未満であり、接合可能であったことを示している。
×:母材と試験材との接合強度の最高値が0MPa又は接合されていないことを示す。
得られた評価結果を表1に示した。
<塗膜の導電性測定>
体積抵抗率は、四端子測定法の低抵抗率計ロレスターEP(三菱化学株式会社製)にて測定した。
0.7mm厚の無アルカリガラス基板(40mm×50mm)上に銅および酸化銅含有微粒子分散体をスピンコートすることにより塗布膜を作製した。
得られた塗布膜を窒素ガス雰囲気下において250℃で10分間焼成することにより焼結膜を得た。焼結膜の膜厚は、1μmとなるようにスピンコート時の回転数を調整した。
得られた塗膜の体積抵抗率を表1に示した。
<塗膜導電性の評価>
上記方法で作製した焼結膜の導電性について評価を行った。評価基準は、以下のとおりとした。
◎:作製した塗膜における体積抵抗率が10μΩ・cm以下であり、非常に良好な体積抵抗率であったことを示している。
○:作製した塗膜における体積抵抗率が50μΩ・cm以下であり、良好な体積抵抗率であったことを示している。
△:作製した塗膜における体積抵抗率が500μΩ・cm未満であり、良い体積抵抗率であったことを示している。
×:作製した塗膜における体積抵抗率が500μΩ・cm以上であり、低い体積抵抗率であったことを示している。
得られた評価結果を表1に示した。
(実施例2)
<銅および酸化銅含有微粒子の作製>
(微粒子表面の酸化工程)
合成例1の手法により得られた銅微粒子分散液5mLを50mL三口フラスコに入れ、攪拌子を用いて攪拌しながら、空気を0.5L/分の流速で、60分間流すことにより、銅および酸化銅含有微粒子を得た。
(乾燥工程)
実施例1記載の方法と同様に、銅および酸化銅含有微粒子の乾燥粉末1.0gを得た。
<銅および酸化銅含有微粒子分散体の作製>
実施例1記載の方法と同様にして、銅および酸化銅含有微粒子分散体を得た。
作製した銅および酸化銅含有微粒子分散体について、以下に記載した方法により物性を評価した。
<平均一次粒子径の測定>
平均一次粒子径の測定は、実施例1記載の方法と同様に実施した。得られた銅および酸化銅含有微粒子の平均一次粒子径は46nmであった。
<X線回折分析>
実施例1記載の方法と同様に、銅および酸化銅含有微粒子分散体を乾燥させて得られた金属粉体について、粉末X線回折分析を行った。当該分析により得られたX線回折像を図3に示した。
<その他の測定・評価結果>
実施例1記載の方法と同様に、得られた銅および酸化銅含有微粒子の「ピーク強度比(CuO/Cu)」、「濃度比[CuO]/[Cu]」、「Cu及びCuOの結晶子径」、「接合強度」及び「体積抵抗率」を算出し、これら結果を表1にまとめた。また、同様にして「接合強度評価」及び「導電性評価」を行い、これらの結果を表1にまとめた。
(実施例3)
<銅および酸化銅含有微粒子の作製>
(微粒子表面の酸化工程)
合成例1の手法により得られた銅微粒子分散液5mLを50mL三口フラスコに入れ、攪拌子を用いて攪拌しながら、空気を0.5L/分の流速で、180分間流すことにより、銅および酸化銅含有微粒子分散体を得た。
(乾燥工程)
実施例1記載の方法と同様に、銅および酸化銅含有微粒子の乾燥粉末1.0gを得た。
<銅および酸化銅含有微粒子分散体の作製>
実施例1記載の方法と同様にして、銅および酸化銅含有微粒子分散体を得た。
作製した銅および酸化銅含有微粒子分散体について、以下に記載した方法により物性を評価した。
<平均一次粒子径の測定>
平均一次粒子径の測定は、実施例1記載の方法と同様に実施した。得られた銅および酸化銅含有微粒子の平均一次粒子径は47nmであった。
<X線回折分析>
実施例1記載の方法と同様に、銅および酸化銅含有微粒子分散体を乾燥させて得られた金属粉体について、粉末X線回折分析を行った。当該分析により得られたX線回折像を図3に示した。
<その他の測定・評価結果>
実施例1記載の方法と同様に、得られた銅および酸化銅含有微粒子の「ピーク強度比(CuO/Cu)」、「濃度比[CuO]/[Cu]」、「Cu及びCuOの結晶子径」、「接合強度」及び「体積抵抗率」を算出し、これら結果を表1にまとめた。また、同様にして「接合強度評価」及び「導電性評価」を行い、これらの結果を表1にまとめた。
(実施例4)
<銅および酸化銅含有微粒子の作製>
(微粒子表面の酸化工程)
合成例1の手法により得られた銅微粒子分散液5mLを50mL三口フラスコに入れ、攪拌子を用いて攪拌しながら、空気を0.5L/分の流速で、360分間流すことにより、銅および酸化銅含有微粒子分散体を得た。
(乾燥工程)
実施例1記載の方法と同様に、銅および酸化銅含有微粒子の乾燥粉末1.0gを得た。
<銅および酸化銅含有微粒子分散体の作製>
実施例1記載の方法と同様にして、銅および酸化銅含有微粒子分散体を得た。
作製した銅および酸化銅含有微粒子分散体について、以下に記載した方法により物性を評価した。
<平均一次粒子径の測定>
平均一次粒子径の測定は、実施例1記載の方法と同様に実施した。得られた銅および酸化銅含有微粒子の平均一次粒子径は48nmであった。
<X線回折分析>
実施例1記載の方法と同様に、銅および酸化銅含有微粒子分散体を乾燥させて得られた金属粉体について、粉末X線回折分析を行った。当該分析により得られたX線回折像を図3に示した。
<その他の測定・評価結果>
実施例1記載の方法と同様に、得られた銅および酸化銅含有微粒子の「ピーク強度比(CuO/Cu)」、「濃度比[CuO]/[Cu]」、「Cu及びCuOの結晶子径」、「接合強度」及び「体積抵抗率」を算出し、これら結果を表1にまとめた。また、同様にして「接合強度評価」及び「導電性評価」を行い、これらの結果を表1にまとめた。
(実施例5)
<銅および酸化銅含有微粒子の作製>
(微粒子表面の酸化工程)
合成例1の手法により得られた銅微粒子分散液5mLを50mL三口フラスコに入れ、攪拌子を用いて攪拌しながら、空気を0.5L/分の流速で、540分間流すことにより、銅および酸化銅含有微粒子分散体を得た。
(乾燥工程)
実施例1記載の方法と同様に、銅および酸化銅含有微粒子の乾燥粉末1.0gを得た。
<銅および酸化銅含有微粒子分散体の作製>
実施例1記載の方法と同様にして、銅および酸化銅含有微粒子分散体を得た。
作製した銅および酸化銅含有微粒子分散体について、以下に記載した方法により物性を評価した。
<平均一次粒子径の測定>
平均一次粒子径の測定は、実施例1記載の方法と同様に実施した。得られた銅および酸化銅含有微粒子の平均一次粒子径は48nmであった。
<X線回折分析>
実施例1記載の方法と同様に、銅および酸化銅含有微粒子分散体を乾燥させて得られた金属粉体について、粉末X線回折分析を行った。当該分析により得られたX線回折像を図3に示した。
<その他の測定・評価結果>
実施例1記載の方法と同様に、得られた銅および酸化銅含有微粒子の「ピーク強度比(CuO/Cu)」、「濃度比[CuO]/[Cu]」、「Cu及びCuOの結晶子径」、「接合強度」及び「体積抵抗率」を算出し、これら結果を表1にまとめた。また、同様にして「接合強度評価」及び「導電性評価」を行い、これらの結果を表1にまとめた。
(実施例6)
<銅および酸化銅含有微粒子の作製>
(微粒子表面の酸化工程)
合成例1の手法により得られた銅微粒子分散液5mLを50mL三口フラスコに入れ、攪拌子を用いて攪拌しながら、空気を0.5L/分の流速で、720分間流すことにより、銅および酸化銅含有微粒子分散体を得た。
(乾燥工程)
実施例1記載の方法と同様に、銅および酸化銅含有微粒子の乾燥粉末1.0gを得た。
<銅および酸化銅含有微粒子分散体の作製>
実施例1記載の方法と同様にして、銅および酸化銅含有微粒子分散体を得た。
作製した銅および酸化銅含有微粒子分散体について、以下に記載した方法により物性を評価した。
<平均一次粒子径の測定>
実施例1記載の方法と同様にして電子顕微鏡を用いて平均一次粒子径の測定を実施した。得られた銅および酸化銅含有微粒子の平均一次粒子径は49nmであった。
<X線回折分析>
実施例1記載の方法と同様に、銅および酸化銅含有微粒子分散体を乾燥させて得られた金属粉体について、粉末X線回折分析を行った。当該分析により得られたX線回折像を図3に示した。
<その他の測定・評価結果>
実施例1記載の方法と同様に、得られた銅および酸化銅含有微粒子の「ピーク強度比(CuO/Cu)」、「濃度比[CuO]/[Cu]」、「Cu及びCuOの結晶子径」、「接合強度」及び「体積抵抗率」を算出し、これら結果を表1にまとめた。また、同様にして「接合強度評価」及び「導電性評価」を行い、これらの結果を表1にまとめた。
(比較例1)
<銅および酸化銅含有微粒子の作製>
(微粒子表面の酸化工程)
合成例1の手法により得られた銅微粒子分散液5mLを50mL三口フラスコに入れ、攪拌子を用いて攪拌しながら、空気を0.5L/分の流速で、24時間流すことにより、銅および酸化銅含有微粒子分散体を得た。
(乾燥工程)
実施例1記載の方法と同様に、銅および酸化銅含有微粒子の乾燥粉末1.0gを得た。
<銅および酸化銅含有微粒子分散体の作製>
実施例1記載の方法と同様にして、銅および酸化銅含有微粒子分散体を得た。
作製した銅および酸化銅含有微粒子分散体について、以下に記載した方法により物性を評価した。
<平均一次粒子径の測定>
実施例1記載の方法と同様にして電子顕微鏡を用いて平均一次粒子径の測定を実施した。得られた銅および酸化銅含有微粒子の平均一次粒子径は49nmであった。
<X線回折分析>
実施例1記載の方法と同様に、銅および酸化銅含有微粒子分散体を乾燥させて得られた金属粉体について、粉末X線回折分析を行った。当該分析により得られたX線回折像を図3に示した。
<その他の測定・評価結果>
実施例1記載の方法と同様に、得られた銅および酸化銅含有微粒子の「ピーク強度比(CuO/Cu)」、「濃度比[CuO]/[Cu]」、「Cu及びCuOの結晶子径」、「接合強度」及び「体積抵抗率」を算出し、これら結果を表1にまとめた。また、同様にして「接合強度評価」及び「導電性評価」を行い、これらの結果を表1にまとめた。
(比較例2)
<銅および酸化銅含有微粒子の作製>
(微粒子表面の酸化工程)
合成例1の手法により得られた銅微粒子分散液5mLを50mL三口フラスコに入れ、攪拌子を用いて攪拌しながら、空気を0.5L/分の流速で、72時間流すことにより、銅および酸化銅含有微粒子分散体を得た。
(乾燥工程)
実施例1記載の方法と同様に、銅および酸化銅含有微粒子の乾燥粉末1.0gを得た。
<銅および酸化銅含有微粒子分散体の作製>
実施例1記載の方法と同様にして、銅および酸化銅含有微粒子分散体を得た。
作製した銅および酸化銅含有微粒子分散体について、以下に記載した方法により物性を評価した。
<平均一次粒子径の測定>
実施例1記載の方法と同様にして電子顕微鏡を用いて平均一次粒子径の測定を実施した。得られた銅および酸化銅含有微粒子の平均一次粒子径は49nmであった。
<X線回折分析>
実施例1記載の方法と同様に、銅および酸化銅含有微粒子分散体を乾燥させて得られた金属粉体について、粉末X線回折分析を行った。当該分析により得られたX線回折像を図3に示した。
<その他の測定・評価結果>
実施例1記載の方法と同様に、得られた銅および酸化銅含有微粒子の「ピーク強度比(CuO/Cu)」、「濃度比[CuO]/[Cu]」、「Cu及びCuOの結晶子径」、「接合強度」及び「体積抵抗率」を算出し、これら結果を表1にまとめた。また、同様にして「接合強度評価」及び「導電性評価」を行い、これらの結果を表1にまとめた。
図3は、各実施例及び比較例において得られた銅および酸化銅含有微粒子の粉末XRD像である。作製した銅および酸化銅含有微粒子分散体を大気に暴露させることにより、ペースト中の銅および酸化銅含有微粒子のCu(111)面に帰属される回折ピークが減少し、CuO(111)面に帰属される回折ピークが増大していることがわかった。このXRD測定により得られた回折ピークに基づいて、回折ピーク強度比を計算した。
表1は、各実施例及び比較例において得られた測定結果及び評価結果を示したものである。CuO/Cuのピーク強度比が0.008以上0.3以下の場合には、基材への良好な接合が確認された。このとき、[CuO]/[Cu]の濃度比は0.007以上0.266以下を示した。
以上の結果から[CuO]/[Cu]の濃度比が0.007以上0.266以下となる比率で構成される銅および酸化銅含有微粒子は、250℃の低温焼結において良好な金属間接合材料として機能することが明らかとなった。
また、前記比率で構成される銅および酸化銅含有微粒子は、良好な導電性を示すことが明らかとなった。
Figure 0007453619000001

Claims (5)

  1. 平均一次粒子径(DTEM)が100nm未満である銅および酸化銅含有微粒子であって、
    前記微粒子中のCuOとCuとの濃度比([CuO]/[Cu])が、0.27未満であり、
    前記微粒子の粉末X線回折において、Cuのミラー指数(111)における結晶子径(Dx)が20nm以下、かつ、Cu 2 Oのミラー指数(111)における結晶子径(Dx)が5~50nm、
    であることを特徴とする銅および酸化銅含有微粒子。
  2. 請求項1記載の銅および酸化銅含有微粒子と、
    分子量が1000以上であって、かつ、アミノ基、カルボニル基、チオール基、チオエーテル基、リン酸基のうち少なくとも一種以上の官能基を有する化合物と、
    分散媒と、
    を含むことを特徴とする銅および酸化銅含有微粒子分散体。
  3. 請求項1または請求項2記載の銅および酸化銅含有微粒子又は銅および酸化銅含有微粒子分散体を用いた導電材料又は導電性ピラー。
  4. 請求項3記載の導電材料又は導電性ピラーを用いた電子デバイス。
  5. 酸素濃度1%未満の雰囲気で製造した銅微粒子を、酸素濃度200ppm以上の雰囲気に1分から12時間までの間、継続して又は断続的に暴露させる工程を有する、請求項1記載の銅および酸化銅含有微粒子の製造方法。
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