JP2020102316A - ピラー用導電性ペースト - Google Patents

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Abstract

【課題】導電性ペーストによりピラーを形成するためには、電極パット部(電極基板)と導電性ピラーとの密着強度を向上させる必要があるが、電極基板の材料に卑な金属種を用いた場合、電極最表面をその金属種の酸化膜が覆うため、電極基板と導電性ピラーとの密着強度が低下するという課題があった。【解決手段】本発明者らは、前記諸問題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、標準電極電位(E0)が、電極基板に使用する金属種のE0よりも卑な電位にある化合物を還元剤として用いることで、電極基板への接合性能が飛躍的に向上することを見出した。本発明は、フリップチップ実装の端子である、金属ピラーの製造に特段の効果を有する。【選択図】 なし

Description

本発明は、半導体パッケージ内において、半導体チップとパッケージインターポーザの接続方式であるフリップチップ実装の端子である、金属ピラー(Pillar)あるいは金属ポスト(Post)用の金属微粒子を含有する導電性ペーストに関する。
半導体装置においては、半導体チップ上に電子回路を形成し、半導体チップ上の電極と半導体パッケージ上の電極とを接続して形成される。従来、半導体チップ上の電極と半導体パッケージ上の電極との間は、金あるいは銅製のボンディングワイヤを用いて電気的に接続されていた。半導体チップと半導体パッケージの間の電気的な接続方法としてフリップチップ法が用いられている。フリップチップ法における代表的な接続方法として、金バンプやはんだバンプが用いられている。
しかしながら、近年のチップの高集積化に伴い、最近は銅ピラーを用いたフリップチップ技術が注目されている。銅ピラーは、半導体チップ上に形成し、銅ピラー先端を半導体パッケージの電極と接続する。
銅ピラーは、材質が低電気抵抗の銅であることから、はんだバンプに比べて大電流に対応できる。さらに、金バンプは電極との接触面積が小さいのに対し、銅ピラーは半導体チップ上の電極から半導体パッケージ上の電極に至るまで同じ断面積を維持できることからも、大電流に対応可能であるという利点を有する。上記理由により、銅ピラーの作製は半導体実装において重要であり、銅ピラーを簡便に作製する方法が望まれている。
従来技術としては、基板上に銅ピラーを形成する方法として、メッキ技術を利用した方法が知られている。シード層と呼ばれるメッキ層を電極パッド上に作製し、電解メッキにより銅ピラーを形成する方法である。
その他、メッキ技術により銅ピラーを形成する方法として、無電解メッキを使用する方法もある。半導体チップ上にフォトレジスト層を形成し、銅ピラーを形成する部分のフォトレジスト層を除去・開口し、開口部分分に無電解で銅めっきを形成し、さらに銅めっきの頂部にはんだめっきを形成する方法である。
特開2011−29636号公報
基板上に銅ピラーを形成する方法として、電解メッキ技術を用いた場合、シード層と呼ばれるメッキ層を電極パッド上に作製する必要が生じるため、全面に導電性のシード層を設ける。したがって、ピラー作製後にパターニングされたレジスト層及びメッキ層を除去する工程が必要となる。また、シードエッチング時に銅ピラー自体も溶解するため(アンダーカット)、微細なピラーを作製することは困難であるという課題が存在する。
基板上に銅ピラーを形成する方法として、無電解メッキ技術を用いた場合、基板全面に導電性のシード層を設ける必要はない。しかしながら、銅ピラーの高さ/直径比(アスペクト比)が大きい(細長い)銅ピラーを形成しようとすると、直径が小さく深い穴にめっきを成長させる必要が生じる。この場合、開口部分に十分な濃度のめっき液を送り続けることが難しく、めっきの成長が遅くなりスループットが悪化すること、銅ピラーの直径が目標より細くなるなど形状が不安定になること、析出する銅にボイドが生じること、などから品質及び再現性に問題が生じるという課題がある。
また、メッキ法は大量の廃液を再生又は処分する必要があり、環境負荷が大きく設備維持にコストも要することから代替手段が望まれている。
メッキ技術を利用した方法以外に、基板上に銅ピラーを形成する方法として、導電性ペーストをパターニングされたレジスト層の開口部分に充填させることでピラーを簡便に形成する方法が考えられる。本発明に係る導電性ペースト
本発明に係る導電性ペーストを用いて電極基板上に直接ピラーを形成することにより、従来方法による課題であったエッチング時のアンダーカットを解決することができ、微細な銅ピラーの形成が可能となる。導電性ペーストによるピラー作製は、メッキ液の劣化や、イオンの拡散律速などの制限を受けないため、無電解メッキ法の品質や再現性の課題も解決できる可能性があると考えられる。
しかしながら、導電性ペーストによりピラーを形成するためには、電極パット部(電極基板)と導電性ピラーとの密着強度を向上させる必要がある。電極基板の材料に卑な金属種を用いた場合、電極最表面をその金属種の酸化膜が覆うため、電極基板と導電性ピラーとの密着強度が低下するという課題が生じる。したがって、卑な金属種を電極として用いる場合、電極基板上に貴な金属種から成る接合層を新たに導入する必要があった。貴な金属としては、銀、金又は白金が挙げられるが、非常に効果であることに加えて、エッチングが困難であることから、電極基板のみに製膜することは難しい。
本発明は、充填法によりピラーを作製するための導電性ペーストである。
以下に、本発明について具体的に記述する。
(1)金属微粒子と、保護剤と、還元剤と、を含有するピラー用導電性ペーストであって、金属微粒子の含有率が40以上95質量%濃度未満であること、還元剤が電子を喪失したときに得られる半反応に対応する還元半反応の298Kにおける標準電極電位(E)が、電極基板に使用する金属種の還元半反応の標準電極電位よりも卑な電位にある還元剤であること、還元剤の含有率が10ppm以上であること、を特徴とするピラー用導電性ペースト。
(2)さらに、沸点250℃以下の溶媒を含有することを特徴とする(1)記載のピラー用導電性ペースト。
(3)(1)記載の還元剤のEが、+0.518Vより卑な電位であることを特徴とする(1)または(2)に記載のピラー用導電ペースト。
(4)(1)記載の還元剤が、分子内に少なくとも一つの第1級又は第2級水酸基を有する化合物、分子内に少なくとも一つのアルデヒド基を有する化合物、分子内に少なくとも一つのカルボキシ基を有する化合物、前記化合物の塩、の内から少なくとも一つ選択される還元剤であることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載のピラー用導電ペースト。
(5)(1)記載の金属微粒子の金属が、銀、銅又はこれらの複合体である、(1)〜(4)いずれかに記載のピラー用導電性ペースト。
(6)(1)〜(5)いずれかに記載のピラー用導電性ペーストを用いたピラー。
本発明は、充填法によりピラーを作製するための導電性ペーストであって、電極基板の酸化被膜を還元により除去することができる機能を付与した導電性ペーストである。
導電性ペーストを用いることにより、従来技術であるメッキ技術を使用することなく、スキージ等であらかじめ導電性ペーストをパターニングされたレジスト層の開口部分に充填させることでピラーを簡便に形成することができる。また、メッキ方法による課題であったエッチング時のアンダーカットを解決することができ、微細な銅ピラーの形成が可能となる。導電性ペーストによるピラー作製は、メッキ液の劣化や、イオンの拡散律速などの制限を受けないため、無電解メッキ法の品質や再現性の課題も解決できる可能性があると考えられる。
上記に加えて、本発明に係る導電性ペーストを用いることにより、電極基板と導電性ピラーとの密着強度、接合強度を向上させることができる。さらに、ピラー形成の歩留まりを飛躍的に向上させることができる。本発明に係る導電性ペーストは、還元性ガス(例えば、水素含有ガス、蟻酸雰囲気等)を使用せずに電極基板へピラーを形成することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。ここで単位「%」は、特に断りのない限りにおいて「質量%濃度」である。また、「E」は、還元半反応の298Kにおける標準電極電位を示しており、単位「V」は、特に断りのない限りにおいて標準水素電極に対する電位を示しており「V vs SHE」である。
<金属微粒子>
本発明の金属微粒子として用いることができる金属種は、当該金属種が後述する保護剤中の官能基と化学的に結合できるものであれば特に制限されない。例えば、金、銀、銅、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、白金、パラジウム、スズ、クロム、鉛、タングステン等を用いることができる。また、金属種は一種類であっても、二種類以上の混合物、または合金であっても良い。
導電性ペースト中の金属微粒子濃度は、40以上95%未満の範囲で使用することができる。より好ましくは60〜90%の範囲で使用可能である。
<保護剤>
本発明の保護剤は、金属微粒子や溶剤との親和性を有する官能基を有する化合物を任意に選択することができる。また、使用する保護剤は、分子量の大小にかかわらず使用することができる。使用する金属種や所望する物性に応じて保護剤を設計することで高導電性や分散安定性を金属微粒子に付与することが可能である。
具体的には、金属に対しやや強い吸着能を有するカルボキシ基、リン酸基、スルホン酸基、複素芳香族基(例えば、イミダゾール基)等を有する保護剤を使用することにより、微粒子に高い分散安定性を付加することができる。
また、金属に対し中程度の相互作用を示し分散媒の液性によって吸着能が変化するアミノ基(例えば、ジメチルアミノエチル基、ジメチルアミノプロピル基)、ヒドロキシ基(ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基)、芳香族基(例えば、ベンジル基)等を有する保護剤を使用することにより、低温焼結においても低い体積抵抗率を発現する高導電性を付加することができる。
このように、種々の目的に応じて金属微粒子用保護剤を選択することで金属微粒子の特性を自在に変更することができる。低分子量の保護剤を用いる場合は、二種以上の化合物を併用することで様々な特性を発現できる。高分子量の保護剤を用いる場合は、化合物中の官能基の数及び種類を変更することで様々な特性を発現できる。
導電性ペースト中の保護剤濃度は、15%以下の範囲で使用することができる。より好ましくは、10%以下の範囲である。保護剤濃度が高すぎる場合には、焼結時に金属粒子同士のネッキング現象が十分に生じず、高い導電性及び接合強度を発現させることが困難となる。
保護剤の具体例として以下の物質を例として列挙することができる、
例えば、カルボキシル基を有するカルボン酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、パルミトオレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リシノール酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ジグリコール酸、マレイン酸、イタコン酸、安息香酸、N−オレイルサルコシン、N−カルボベンゾキシ−4−アミノ酪酸、p−クマル酸、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、3−ヒドロキシミリスチン酸、2−ヒドロキシパルミチン酸、2−ヒドロキシイコサン酸、2−ヒドロキシドコサン酸、2−ヒドロキシトリコサン酸、2−ヒドロキシテトラコサン酸、3−ヒドロキシカプロン酸、3−ヒドロキシオクタン酸、3−ヒドロキシノナン酸、3−ヒドロキシデカン酸、3−ヒドロキシウンデカン酸、3−ヒドロキシドデカン酸、3−ヒドロキシトリデカン酸、3−ヒドロキシテトラデカン酸、3−ヒドロキシヘキサデカン酸、3−ヒドロキシヘプタデカン酸、3−ヒドロキシオクタデカン酸、15−ヒドロキシペンタデカン酸、17−ヒドロキシヘプタデカン酸、15−ヒドロキシペンタデカン酸、17−ヒドロキシヘプタデカン酸、ラウロイルサルコシン、6−アミノヘキサン酸、2−ベンゾイル安息香酸、12−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシペンタデカン酸、2−ヒドロキシパルミチン酸、3−ヒドロキシデカン酸、15−ヒドロキシペンタデカン酸、ラウロイルサルコシン、6−アミノヘキサン酸、N−(tert−ブトキシカルボニル)−6−アミノヘキサン酸、[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸、N−カルボベンゾキシ−β−アラニン等を例示することができる。また、多量体を形成する化合物であれば、これらの二量体及び三量体から六量体までの多量体を用いても良い。また、1又は2以上のカルボン酸を任意の割合で組み合わせて用いることもできる。
例えば、アミノ基を有するアミンとしては、2−メトキシエチルアミン、2−エトキシエチルアミン、2−イソプロポキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−イソプロポキシプロピルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、N−メチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N−イソプロピルエチレンジアミン、N−メチル−1,3−プロパンジアミン、3−イソプロピルアミノプロピルアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N−(3−アミノプロピル)モルホリン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−1,4−ジアミノブタン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−1,5−ジアミノペンタン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−1,6−ジアミノヘキサン、2−(アミノエチルアミノ)エタノール、2−(アミノエトキシ)エタノール、3−(2−ヒドロキシエチルアミノ)プロピルアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N−(3−アミノプロピル)ジエタノールアミン等を例示することができる。この他に、アミン類として第二級アミン化合物、又は、第三級アミン化合物も併用することができる。
本発明で用いる保護剤の一例として、炭素数8〜200のポリエチレンオキシド構造を含む有機化合物を用いることができる。当該保護剤のポリエチレンオキシド部位は、沸点が250℃以下のアルコール系溶媒など本発明で用いる特定の溶媒との親和性に優れることから、金属微粒子の凝集を強く抑制でき、金属微粒子の高分散を可能とする。これは即ち、金属微粒子が高密度に充填されている状態であるため、加熱処理による保護剤及び溶媒の分解除去に伴うボイド発生を起こさず、高密度充填を可能とする。
また、本発明の保護剤を用いて合成した金属微粒子は、保護剤存在量が2〜10%程度と少なく、焼成時の金属粒子同士のネッキング現象を妨げない。
本発明で用いられる炭素数8〜200のポリエチレンオキシド構造を含む有機化合物を含有する金属微粒子(有機化合物と金属微粒子の複合体)の例として、特許第4784847号公報、特開2013−60637号公報又は特許第5077728号公報が挙げられ、ここに記載の方法で合成することができる。これらは、チオエーテル型(R−S−R’)化合物が金属粒子表面に対して適切な親和吸着効果と、加熱による迅速な脱離性を有することが特徴となっており、低温融着特性を示す金属微粒子として開発されている。
また、他の例として、特開2010−209421号公報に記載のチオエーテル基を有する高分子化合物のうち、炭素数8〜200のポリエチレンオキシド部位を有する高分子化合物が複合した金属微粒子、さらには、特許第4697356号公報に記載のチオエーテル基を有しリン酸エステル基を有する高分子化合物のうち、炭素数8〜200のポリエチレンオキシド部位を有する高分子化合物が複合した金属微粒子などが挙げられる。これらのポリエチレンオキシド構造を含む高分子化合物の製造は、これら公報に記載の方法に従い行うことができる。
また、本発明においてこれらのポリエチレンオキシド構造を含むリン酸エステル型有機化合物は、チオエーテル基を有しリン酸エステル基をも有しており、これらの基を有することにより、金属微粒子表面に対して適切な親和吸着効果と、加熱による迅速な脱離性を付加することができる。
エチレンオキシド構造を繰り返し単位として有する鎖状の官能基は、溶媒親和部として機能する。このポリエチレンオキシド構造の炭素数は、8〜200のものを用いることが好適であり、炭素数8〜100のものを用いることがより好適である。
<還元剤>
本発明に係る還元剤は、チップ電極基板表面の酸化被膜を還元反応により化学的に除去することができれば特に制限はない。導電性ペーストに還元剤を添加することによって、フリップチップ実装時において電極基板にフラックス剤を別途塗布する必要がない点においてメリットがある。また、還元剤の沸点を調整することにより、導電性ペーストペースト焼結時に揮発させ、除去することも可能であることから、フラックス残の洗浄工程も省略できる可能性がある点においてもメリットがある。
本発明に係る還元剤は、二種以上の化合物を組み合わせて使用することもできるし、各工程に分割して添加することもできる。ただし、本発明に係る還元剤はチップの電極基板表面の酸化被膜を還元反応により化学的に除去することを目的としているため、チップの電極基板に使用する金属種の還元半反応の標準電極電位よりも卑な電位に標準電極電位を有する化合物を還元剤として用いる必要がある。
具体的な事例を列挙すると、例えば、チップの電極基板材料として銅を用いた場合、酸性溶液(pH=0.000)下においてCu/Cu及びCu2+/Cuの298Kにおける標準電極電位(E)は、それぞれ+0.518V及び+0.339Vであることから、この電位よりも貴な電位にEを有する化合物は、還元剤として機能せず、チップの電極基板表面の酸化被膜を除去することができない。したがって、チップの電極基板表面の酸化被膜の金属種が酸化銅(I)であるとき、還元剤として使用できる化合物は、Eが、+0.518Vより卑な電位である必要がある。また、チップの電極基板表面の酸化被膜の金属種が酸化銅(II)であるとき、還元剤として使用できる化合物は、Eが、+0.339Vより卑な電位である必要がある。
チップの電極基板材料として錫を用いた場合、酸性溶液下においてSnO(黒色)/SnのEは、−0.104Vである。したがって、チップの電極基板表面の酸化被膜がSnOであるとき、還元剤として使用できる化合物は、Eが−0.104Vより卑な電位である必要がある。
チップの電極基板材料として銀を用いた場合、酸性溶液下においてAg/AgのEは、+0.799Vである。したがって、チップの電極基板表面の酸化被膜が酸化銀(I)であるとき、還元剤として使用できる化合物は、Eが+0.799Vより卑な電位である必要がある。
本発明において還元剤として作用しうる化合物及びその標準電極電位Eを例示的に列挙した。「:」の後に各化合物の各酸化還元系におけるEを示している。酸化還元系を明記していない還元剤については、一般に用いられている代表的なEを記載している。なお、EはpH=0.000の水溶液中での値を示している。
例えば、還元剤として、過酸化水素:E(O/H)=+0.695V、炭素:E(CO/C)=+0.518V、メタノール:E(HCHO/CHOH)=+0.237V、炭素:E(O/H)=+0.206V、アスコルビン酸:E=+0.058V、ホルムアルデヒド:E(HCOOH/HCHO)=+0.034V、ジメチルアミンボラン:E=+0.056V、クエン酸:E=+0.030V、蟻酸:E(CO/HCOOH)=−0.199V、シュウ酸:E(CO/H)=−0.432V、エチレングリコール:E(H/HOCOH)=−0.690V、ヒドラジン:E=−1.150V、水素化ホウ素ナトリウム:E=−1.240V又はそれらの塩を用いることができる。
還元剤の還元半反応の298KにおけるEは、公知公用の値を採用することができる。例えば、Standard Potentials in Aqueous Solution,A.J.Bard,R.Parsons,J.Jordan,NewYork(1985)、S.G.Bratsch,J.Phys.Chem.Ref.Data,18,1(1989)に記載されており、その値を採用することができる。
還元剤として使用する化合物の酸化還元系におけるEが未知場合には、次に示す計算式を用いて値を見積もることができる。Eについては、還元半反応の標準ギブズエネルギー(Δ)と、ファラデー定数(F(F=96.485kCmol−1))と、移動する電子の化学量論係数(ν)と、を用いて右式(Δ=−νFE)により計算することもできる。
本発明に係る導電性ペーストに係る還元剤は、金属微粒子表面や、チップの電極基板表面の金属酸化物と錯形成させることにより、酸化被膜を除去する目的で使用するものではない。チップ電極基板を無垢な金属に還元し、金属塩を発生させることなくピラーをチップ電極基板へ接合することを目的としている。
なお、本発明に係る還元剤は、金属微粒子分散体の調製時、導電性ペーストの調製時、ピラー作製時、のいずれの時期においても添加することができる。すなわち、本発明の効果を発揮するためには、ピラー焼結時に還元剤が添加されている状態であれば足りる。
なお、ピラーを形成させる電極基板の金属種としては、特に限定されるものではなく純金属に限られず合金であっても良い。しかし、金(Au/Au E=+1.69V)や白金(Pt2+/Pt E=+1.18V)を用いる場合、これらの金属は大気下標準状態において酸化被膜を形成しない、あるいはペースト焼結時の熱により酸化被膜が還元される、と考えられるので本発明に係る導電性ペーストの効果は小さい。したがって、ピラーを形成させる電極基板の金属種には、Eが+1.18Vよりも卑な電位を有する金属種を用いることが好ましい。
チップの電極基板材料として採用し得る各種金属のEは、公知公用の値を採用することができる。
例えば、Standard Potentials in Aqueous Solution,A.J.Bard,R.Parsons,J.Jordan,NewYork(1985)、S.G.Bratsch,J.Phys.Chem.Ref.Data,18,1(1989)に記載されており、その値を採用することができる。
<溶媒>
本発明で用いることができる溶媒としては、沸点が250℃以下の化合物であれば分子量の大小にかかわらず、特に制限されることはない。水又は/及び有機溶剤を溶媒として用いることが可能である。前記溶媒は、金属微粒子を凝集させない良溶媒を用いることが、均一な粒子系を有する導電性ペーストを製造する上では好ましい。
溶媒は、導電性ペースト焼結時に揮発することが望ましい。しかし、高い焼結温度はレジスト膜を変質させ、ダメージを与えてしまう。したがって、レジスト膜へのダメージが生じない温度範囲に沸点を有する有機溶剤を溶媒として使用する必要がある。
以下に、特に好適に用いることができる有機溶剤について例示列挙するが、本発明はこれら化合物に限定されるものではない。
例えば、水酸基を含む有機溶剤としてメタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、4−メチル−2−ペンタノール、ネオペンチルグリコール、プロピオニトリル、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、イソブチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、2,5−ヘキサンジオール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどを例示することができる。
その他、水酸基を含まない有機溶剤として、アセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、アクリロニトリル、プロピオニトリル、n−ブチロニトリル、イソブチロニトリル、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクト、プロピオラクトン、炭酸−2,3−ブチレン、炭酸エチレン、炭酸1,2−エチレン、炭酸ジメチル、炭酸エチレン、マロン酸ジメチル、乳酸エチル、安息香酸メチル、サリチル酸メチル、二酢酸エチレングリコール、ε−カプロラクタム、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、ホルムアミド、ピロリジン、1−メチル−2−ピロリジノン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ナフタレンも例示することができる。
導電性ペースト中の溶媒濃度は、60質量%濃度以下の範囲で使用することができる。より好ましくは30質量%濃度以下の範囲である。
(混合物の沸点測定方法)
複数の溶媒を組み合わせた混合溶媒を用いる場合、前期混合溶媒(溶液)の沸点は、JIS K2233−1989「自動車用非鉱油系ブレーキ液」7.1に規定する「平衡還流沸点試験方法」に準じて測定することができる。
具体例をあげると、
(1)100mL三つ口フラスコに、2種の溶媒を混合した混合溶液60mLと撹拌子を入れる。
(2)オイルバスの液面とフラスコ内の液面をあわせ、オイルバスを用いて加熱する。
(3)内溶液に気泡が発生した時点の内温を読み取り、混合溶液の沸点とする。
上記具体例に沿って見積もられた沸点を溶媒の沸点として採用することができる。二種以上の溶媒を組み合わせた混合溶媒を本発明に使用する場合には、混合溶媒の沸点が250℃以下であれば特に制限されることはない。
<金属微粒子の合成>
本発明の金属微粒子の合成方法としては、化学還元方法を採用したが、金属微粒子表面を保護剤より保護することができれば、任意の方法を採用することができる。
例えば、湿式法として化学還元法の他に熱分解法、電気化学法を採用することもできる。乾式法としてガス中蒸発法、スパッタ法を採用することもできる。金属微粒子の粒子径については、特に制限されるものではないが、少なくとも作製するピラーの開口部分の径よりも小さいことが必要となる。
本発明の効果を説明する一例として、以下に本発明で使用する保護剤として炭素数8〜200のポリエチレンオキシド構造を含む有機化合物を使用した際の金属微粒子の製造方法について説明する。
前記製造方法の具体例を示すにあたり、金属種を銅又は銀とした場合について記述するが、本発明に係る導電性ペーストの金属種を銅又は銀に限定するわけではない。
炭素数8〜200のポリエチレンオキシド構造を含む有機化合物が複合した金属微粒子は、チオエーテル型有機化合物の存在下で、2価の銅イオン化合物又は1価の銀イオン化合物を溶媒と混合する工程と、銅イオン又は銀イオンを還元する工程と組み合わせることで容易に作製することが可能である。
2価の銅イオン化合物としては、一般的に入手可能な銅化合物が利用可能であり、硫酸塩、硝酸塩、カルボン酸塩、炭酸塩、塩化物、アセチルアセトナート錯体等が利用できる。0価の銅微粒子との複合体を得る場合には2価の化合物から出発しても1価の化合物から製造してもよく、水分や結晶水を有していても差し支えない。
具体的には、結晶水を除いて表現すれば、CuSO、Cu(NO、Cu(OAc)、Cu(CHCHCOO)、Cu(HCOO)、CuCO、CuCl、CuO、CCuOなどが挙げられる。さらに、上記塩類を加熱したり、塩基性雰囲気に曝したりすることにより得られる塩基性塩、たとえばCu(OAc)・CuO、Cu(OAc)・2CuO、CuCl(OH)等は最も好適に用いることができる。これら塩基性塩は、反応系内で調製してもよいし、反応系外で別途調製したものを使用してもよい。また、アンモニアやアミン化合物を加えて錯体形成し、溶解度を確保してから還元に用いる一般的な方法も適用可能である。
1価の銀イオン化合物としては、一般的に入手可能な銀化合物が利用可能であり、硝酸銀、酸化銀、酢酸銀、フッ化銀、銀アセチルアセトナート、安息香酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、銀ヘキサフルオロフォスフェート、乳酸銀、亜硝酸銀、ペンタフルオロプロピオン酸銀等が挙げられ、取り扱い容易性、工業的入手容易性の観点から、硝酸銀または酸化銀を用いることが好ましい。
これらの銅又は銀イオン化合物を、予めチオエーテル型有機化合物を溶解又は分散した媒体に溶解、または混合する。このとき用いることができる媒体としては、使用する有機化合物の構造にもよるが、水、エタノール、アセトン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンおよびそれらの混合物が好適に用いられ、水−エチレングリコール混合物は特に好ましい。
チオエーテル型有機化合物の、各種媒体中における濃度としては、引き続き行なう還元反応の制御が容易になる点から、0.3〜10質量%の範囲に調整することが好ましい
上記で調整した媒体中に、銅又は銀イオン化合物を、一括又は分割して添加し、混合する。溶解しにくい媒体を使用する場合には、予め少量の良溶媒に溶解させておいてから、媒体中に添加する方法であっても良い。
混合するチオエーテル型有機化合物と銅又は銀イオン化合物との使用割合としては、反応媒体中でのチオエーテル型有機化合物の保護能力に応じて適宜選択することが好ましいが、通常、銅又は銀イオン化合物1molあたりに、チオエーテル型有機化合物として1mmol〜30mmol(分子量2000のポリマーを用いる場合、2〜60g程度)の範囲で調製し、特に15〜30mmolの範囲で用いることが好ましい。ここで、ポリエチレンオキシド構造を含むリン酸エステル型有機化合物を用いても同様に行うことができ、銅又は銀イオン化合物1molあたりの有機化合物の使用量も前期と同様である。
引き続き、銅又は銀イオンの還元を各種還元剤を用いて行なう。還元剤としては、ヒドラジン化合物、ヒドロキシルアミンおよびその誘導体、金属水素化物、ホスフィン酸塩類、アルデヒド類、エンジオール類、ヒドロキシケトン類など、氷冷温から80℃以下の温度で銅又は銀の還元反応を進行させることができる化合物であることが、沈殿物形成の少ない複合体を与えるため、好適である。
銅イオンの還元において、具体的にはヒドラジン水和物、非対称ジメチルヒドラジン、ヒドロキシルアミン水溶液、水素化ホウ素ナトリウムなどの強力な還元剤が好適である。これらは、銅化合物を0価まで還元する能力を有するので、2価および1価の銅化合物を還元銅とし、有機化合物とナノ銅粒子との複合体を製造する場合に適している。
還元反応に適する条件は、原料として用いる銅化合物、還元剤の種類、錯化の有無、媒体、チオエーテル型有機化合物の種類によって様々である。例えば、水系で酢酸銅(II)を水素化ホウ素ナトリウムで還元する場合には、氷冷程度の温度でも0価のナノ銅粒子が調製できる。一方、ヒドラジンを用いる場合には、室温では反応は遅く、60℃程度に加熱してはじめて円滑な還元反応が起こり、エチレングリコール/水系で酢酸銅を還元する場合には、60℃で2時間程度の反応時間を要する。このようにして還元反応が終了すると、有機化合物と銅系微粒子との複合体を含む反応混合物が得られる。
このように調製した銅微粒子は保護剤の効果により、水分を完全に除去して乾燥体粉末とした後に、再び溶媒を添加しても乾燥前の状態と同じように高分散させることが可能である。
また、チオエーテル型有機化合物と前記媒体、および銅イオン化合物の混合液中にナノ銀を添加した混合液をあらかじめ調整し、次いで還元剤を添加して銅イオンを前記方法で還元させると、ナノ銀表面を銅が被覆した、銀コア銅シェル微粒子を得ることができる。
また、逆にチオエーテル型有機化合物と前記媒体、および銀イオン化合物の混合液中にナノ銅を添加した混合液をあらかじめ調整し、次いで還元剤を添加して銀イオンを前記方法で還元させると、ナノ銅表面を銀が被覆した、銅コア銀シェル微粒子を得ることができる。
還元反応後は、必要に応じて金属化合物残渣、還元試薬残渣、余剰のポリエチレンオキシド構造を含む有機化合物等を除く工程が設けられる。複合体の精製には、再沈殿、遠心沈降または限外濾過が適用可能であり、得られた複合体を含む反応混合物を洗浄溶媒、例えば水、エタノール、アセトンおよびこれらの混合物によって洗浄することで、前述の不純物を洗い流すことができる。
<ピラー形成用導電性ペーストの作製>
本発明のピラー形成用導電性ペーストは、金属微粒子の合成時又は/及び合成後に還元剤を添加することにより本発明に係る導電性ペーストとしての適性を付与することができる。また、作製した金属微粒子に充填用のペーストとして使い易い溶媒を加え、あるいは、媒体交換することにより、本発明に係る導電性ペーストとしての適性を付与することができる。
本発明に係るピラー形成用導電性ペーストには、本発明の効果を損なわせない範囲において、必要に応じて、樹脂等のバインダー成分、乾燥防止剤、消泡剤、基材への密着付与剤、酸化防止剤、皮膜形成促進のための各種触媒、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤の様な各種界面活性剤、レベリング剤、離型促進剤等を助剤として添加できる。
<ピラーの形成方法>
本発明のピラー形成用導電性ペーストは、加熱焼結時に加圧を必要とせず、開口部分に充填し焼結するだけで、十分な性能を発揮できる。
本発明におけるピラーの形成方法については、特に制限されるものではない。例えば、簡便にピラーを形成する方法として、開口部分を複数有するレジスト膜を基板上部に作製し、その開口部分分に導電性ペーストを充填し、焼結する方法が考えられる。
導電性ペーストの充填方法としては、特に制限されるものではなく、ゴムスキージ、ドクターブレード、ディスペンサ、インクジェット、プレス注入等、任意の方法を採用することができる。
<ピラーの焼結>
本発明に係る導電性ペーストは、金属微粒子が融着する温度にまで加熱をすることで、粒子間でネッキングと呼ばれる融着が生じ、導電性が発現する。金属微粒子が融着する温度は、使用する保護剤や溶媒種によって異なる。金属微粒子が融着する温度は、熱重量分析(TG−DTA)や示差走査熱量計(DSC)を用いて見積もることができる。
焼成温度は150〜350℃の範囲であれば融着可能であり、焼成時間は1〜60分間の範囲あれば十分な性能を発揮するが、作業を短時間にする点、及び、その後のレジスト膜の除去を考えると250℃以下で5〜15分間の焼成が好ましい。本発明に係る導電性ペーストを使用すれば、短時間焼成においても十分な性能を発揮することができる。
また、必要に応じて、低温で溶媒を揮発させる仮焼成を行ってから、150〜350℃の範囲で本焼成を行う等の、温度プロファイルを用いて焼成を行うこともできる。
金属微粒子を焼結させる焼成方法としては、ホットプレートや熱風オーブンをはじめとする熱による焼結に制限されるものではなく、金属微粒子の融着が生じればよい。例えば、可視光、赤外光又はレーザー光の照射、フラッシュランプ、水素ガスをはじめとするプラズマ処理を用いても金属微粒子を焼結することができる。
<金属微粒子含有率>
本発明に係る導電性ペーストの金属微粒子含有率は、40以上95%未満であることが、レジスト開口部分への充填適性を考えると好ましい。ここで、導電性ペースト中の金属微粒子含有率が40質量%濃度未満の場合、開口部分に充填し、焼結させた場合に、金属成分が少なすぎるために金属微粒子同士の融着が進まない。したがって、レジスト剥離後にピラーが自立できないばかりではなく、導電性も十分に発揮されない、という問題が生じる。以上より、金属微粒子を含む率は少なくとも40質量%以上有することが好ましい。
導電性ペースト中の金属微粒子含有率が95質量%濃度を超える場合、高い粘度及びチキソトロピー性により、高アスペクト比の開口部分へ均一かつ空隙無く充填することは難しい。また、本発明の特徴であるピラー上部の形状を凹型にすることは難しい。
以上より、金属微粒子を含む率は少なくとも95質量%濃度以下が好ましい。
(金属微粒子含有率の計算)
本発明における導電性ペースト中の金属微粒子を含有率は、熱重量分析(TG/DTA)により算出することができる。導電性ペーストを熱重量分析用アルミパンに精密にはかり、示差熱重量分析装置に載せ、不活性ガス雰囲気下において、室温〜600℃まで毎分10℃の割合で昇温して、重量減少率に基づいて金属微粒子含有率を計算した。
また、金属微粒子は、バルク金属とは異なり熱膨張率の差から生じる基材間の応力を緩和できるという効果が考えられ、冷熱衝撃試験をはじめとする環境試験時の耐久性が向上する効果があると推察される。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。ここで「%」は、特に指定がない限り「質量%濃度」である。
(熱重量分析による重量減少率の測定〕
導電性ペースト2〜25mgを熱重量分析用アルミパンに精密にはかり、EXSTAR TG/DTA6300型示差熱重量分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)に載せ、不活性ガス雰囲気下において、室温〜600℃まで毎分10℃の割合で昇温して、100℃〜600℃の重量減少率を測定した。前記重量減少率より有機物の含有率を計算した。
以下に、ピラーの形成及びシェア強度試験に用いた導電性ペーストの合成方法を記載する。
(実施例1)
<分散体の合成>
酢酸銅(II)一水和物(3.00g、15.0mmol)(東京化成工業社製)、エチル3−(3−(メトキシ(ポリエトキシ)エトキシ)−2−ヒドロキシプロピルスルファニル)プロピオナート〔ポリエチレングリコールメチルグリシジルエーテル(ポリエチレングリコール鎖の分子量2000(炭素数91))への3−メルカプトプロピオン酸エチルの付加化合物〕(0.451g)、およびエチレングリコール(10mL)(関東化学社製)からなる混合物に、窒素を50mL/分の流量で吹き込みながら加熱し、125℃で2時間通気攪拌して脱気した。この混合物を室温に戻し、ヒドラジン水和物(1.50g、30.0mmol)(東京化成工業社製)を水7mLで希釈した溶液を、シリンジポンプを用いてゆっくり滴下した。約1/4量を2時間かけてゆっくり滴下し、ここで一旦滴下を停止し、2時間攪拌して発泡が沈静化するのを確認した後、残量を更に1時間かけて滴下した。得られた褐色の溶液を60℃に昇温して、さらに2時間攪拌し、還元反応を終結させた。
つづいて、この反応混合物をダイセン・メンブレン・システムズ社製の中空糸型限外濾過膜モジュール(HIT−1−FUS1582、145cm、分画分子量15万)中に循環させ、滲出する濾液と同量の0.1%ヒドラジン水和物水溶液を加えながら、限外濾過モジュールからの濾液が約500mLとなるまで循環させて精製した。0.1%ヒドラジン水和物水溶液の供給を止め、そのまま限外濾過法により濃縮すると、2.85gのチオエーテルを含む有機化合物と銅微粒子との複合体の水分散液が得られた。
得られた銅微粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察すると、得られた銅微粒子の一次粒子径は20nmであった。水分散液中の不揮発物含量は16%であった。TG−DTA測定による重量減少より、得られた銅微粒子には3%のポリエチレンオキシド構造を含む有機物が存在していた。
<導電性ペーストの調製>
上記の水分散液5mLをそれぞれ50mL三口フラスコに封入し、ウォーターバスを用いて40℃に加温を行いながら、減圧下、窒素を5mL/分の流速で流すことで、水を完全に除去し、銅微粒子複合体乾燥粉末1.0gを得た。
得られた乾燥粉末に窒素バブリングしたエチレングリコールと、蟻酸アンモニウムと、を添加した。蟻酸アンモニウムの添加量は、得られた乾燥粉末に対して50ppmの濃度になるように調製した。添加後、乳鉢で10分間混合することで金属微粒子含有率70%の導電性ペーストを作製した。また、表面張力を調整するためにフッ素系レベリング剤MEGAFACE(DIC社製)を添加した。
(実施例2)
<分散体の合成>
実施例1記載の調製方法と同様の方法で、チオエーテルを含む有機化合物と銅微粒子との複合体の水分散液を得た。
<導電性ペーストの調製>
上記の水分散液5mLをそれぞれ50mL三口フラスコに封入し、ウォーターバスを用いて40℃に加温を行いながら、減圧下、窒素を5mL/分の流速で流すことで、水を完全に除去し、銅微粒子複合体乾燥粉末1.0gを得た。
得られた乾燥粉末に窒素バブリングしたエチレングリコールと、蟻酸アンモニウムと、を添加した。蟻酸アンモニウムの添加量は、得られた乾燥粉末に対して500ppmの濃度になるように調製した。添加後、乳鉢で10分間混合することで金属微粒子含有率70%の導電性ペーストを作製した。また、表面張力を調整するためにフッ素系レベリング剤MEGAFACEを添加した。
(実施例3)
<分散体の合成>
実施例1記載の調製方法と同様の方法で、チオエーテルを含む有機化合物と銅微粒子との複合体の水分散液を得た。
<導電性ペーストの調製>
上記の水分散液5mLをそれぞれ50mL三口フラスコに封入し、ウォーターバスを用いて40℃に加温を行いながら、減圧下、窒素を5mL/分の流速で流すことで、水を完全に除去し、銅微粒子複合体乾燥粉末1.0gを得た。
得られた乾燥粉末に窒素バブリングしたエチレングリコールと、蟻酸と、を添加した。蟻酸の添加量は、得られた乾燥粉末に対して50ppmの濃度になるように調製した。添加後、乳鉢で10分間混合することで金属微粒子含有率70%の導電性ペーストを作製した。また、表面張力を調整するためにフッ素系レベリング剤MEGAFACEを添加した。
(実施例4)
<分散体の合成>
実施例1記載の調製方法と同様の方法で、チオエーテルを含む有機化合物と銅微粒子との複合体の水分散液を得た。
<導電性ペーストの調製>
上記の水分散液5mLをそれぞれ50mL三口フラスコに封入し、ウォーターバスを用いて40℃に加温を行いながら、減圧下、窒素を5mL/分の流速で流すことで、水を完全に除去し、銅微粒子複合体乾燥粉末1.0gを得た。
得られた乾燥粉末に窒素バブリングしたエチレングリコールと、蟻酸と、を添加した。蟻酸の添加量は、得られた乾燥粉末に対して500ppmの濃度になるように調製した。添加後、乳鉢で10分間混合することで金属微粒子含有率70%の導電性ペーストを作製した。また、表面張力を調整するためにフッ素系レベリング剤MEGAFACEを添加した。
(実施例5)
<分散体の合成>
実施例1記載の調製方法と同様の方法で、チオエーテルを含む有機化合物と銅微粒子との複合体の水分散液を得た。
<導電性ペーストの調製>
上記の水分散液5mLをそれぞれ50mL三口フラスコに封入し、ウォーターバスを用いて40℃に加温を行いながら、減圧下、窒素を5mL/分の流速で流すことで、水を完全に除去し、銅微粒子複合体乾燥粉末1.0gを得た。
得られた乾燥粉末にエチレングリコールを添加し、乳鉢で10分間混合することで金属微粒子含有率70%の導電性ペーストを作製した。また、表面張力を調整するためにフッ素系レベリング剤MEGAFACE(DIC社製)を添加した。
(実施例6)
<分散体の合成>
硝酸銅(東京化成工業社製)5.6g、保護剤としてオクチルアミン(東京化成工業社製)9.2g、リノール酸(東京化成工業社製)2.1gをトリメチルペンタン(東京化成工業社製)1Lに加え、攪拌混合し溶解した。この混合溶液に、0.01mol/Lの水素化ホウ素ナトリウム(東京化成工業社製)を含むプロパノール(東京化成工業社製)溶液1Lを1時間かけて滴下し銅を還元した。さらに、3時間攪拌して黒色の液体を得た。得られた黒色の液体をエバポレーターによって濃縮した後、これにメタノール2Lを加えて褐色の沈殿物を生成させた後、吸引ろ過により沈殿物を回収した。生成した沈殿物をトリメチルペンタンに再分散させ、ろ過した後、乾燥させて、銅微粒子を黒色の固体として、銅微粒子乾燥粉末1.0gを得た。
得られた銅微粒子乾燥粉末を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察すると、得られた銅微粒子の一次粒子径は6nmであった。
<導電性ペーストの調製>
得られた乾燥粉末に窒素バブリングしたテルピネオール(和光純薬工業製)と、蟻酸と、を添加した。蟻酸アンモニウムの添加量は、得られた乾燥粉末に対して500ppmの濃度になるように添加した。添加後、乳鉢で10分間混合することで金属微粒子含有率70%の導電性ペーストを作製した。また、表面張力を調整するためにフッ素系レベリング剤MEGAFACE(DIC社製)を添加した。
(実施例7)
<分散体の合成>
アルゴンガス雰囲気下で1Lフラスコに、N,N−ジメチルエチレンジアミン(東京化成工業社製)153.2g(1.738mol)、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン(東京化成工業社製)325.6g(1.738mol)を添加後、この混合液の内温が30℃になるまでオイルバスで加熱攪拌した。加熱攪拌下、シュウ酸銀(松田産業社製)35.2g(0.116mol)を添加して、内温が40℃になるまで加熱攪拌した。1時間加熱攪拌を維持した後、フラスコ上部を開放し、オイルバスを95℃まで昇温した。シュウ酸銀とアミンの熱分解により反応液が90−97℃まで上昇することを確認後、フラスコをオイルバスから外し、アルゴンガス雰囲気下で反応液の内温が40℃以下になるまで冷却し、銀微粒子分散体を得た。
過剰なアミンを銀微粒子分散体から除去するために、N−ヘキサン(関東化学社製)によりデカンテーションを実施し、銀微粒子分散体を洗浄した。デカンテーション後、銀微粒子分散体約22gを得た。
得られた銀微粒子分散体を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察すると、一次粒子径は17nmであった。
<導電性ペーストの調製>
上記合成により得られた銀微粒子分散体に、銀に対して2.0%になるように、リシノール酸(東京化成工業社製)を加えた1−ブタノール(関東化学社製)混合液を、銀濃度が70質量%になるように添加した。0.5時間程度攪拌し、蟻酸を500ppmの濃度になるように添加し、褐色の導電性ペーストを得た。また、表面張力を調整するためにフッ素系レベリング剤MEGAFACEを添加した。
(比較例1)
<分散体の調製>
実施例1記載の方法と同様にして、チオエーテルを含む有機化合物と銅微粒子との複合体の水分散液を作製した。
<導電性ペーストの調製>
上記の水分散液5mLをそれぞれ50mL三口フラスコに封入し、ウォーターバスを用いて40℃に加温を行いながら、減圧下、窒素を5mL/分の流速で流すことで、水を完全に除去し、銅微粒子複合体乾燥粉末1.0gを得た。
得られた乾燥粉末に窒素バブリングした水を添加し、乳鉢で10分間混合することで金属微粒子含有率70%の導電性ペーストを作製した。また、表面張力を調整するためにフッ素系レベリング剤MEGAFACEを添加した。
(比較例2)
<分散体の調製>
実施例6記載の方法と同様に、銅微粒子乾燥粉末を作製した。
<導電性ペーストの調製>
次に、得られた銅微粒子乾燥粉末1.0gにアルゴンガス置換したグローブバッグ内で、30分間窒素バブリングしたテルピネオールを添加し、乳鉢で10分間混合することで金属微粒子含有率70%の導電性ペーストを作製した。また、表面張力を調整するためにフッ素系レベリング剤MEGAFACEを添加した。
(比較例3)
<分散体の調製>
実施例7記載の方法と同様に、銀微粒子分散体を作製した。
<導電性ペーストの調製>
得られた銀微粒子分散体に銀に対して2.0%になるように、リシノール酸を加えた1−ブタノール混合液を銀濃度が70%になるように添加した。0.5時間程度攪拌し、褐色の導電性ペーストを得た。また、表面張力を調整するためにフッ素系レベリング剤MEGAFACEを添加した。
(参考例1)
<分散体の調製>
実施例1記載の方法と同様にして、チオエーテルを含む有機化合物と銅微粒子との複合体の水分散液を作製した。
<導電性ペーストの調製>
比較例1記載の方法と同様にして、導電性ペーストを作製した。
<ピラーの作製と歩留り評価>
表1は、実施例1から7及び比較例1から4に記載した導電性ペーストを用いてピラーを形成した際の歩留りを示している。導電性ペーストをレジスト開口部分分に充填し、焼結し、レジスト薄膜を除去することによりピラーを作製した。以下に、詳細を記載する。
(電極基板の作製)
実験に用いた電極基板の作製方法を述べる。ピラーの基板への接合状態を観察するため、以下の手順で歩留り評価用の基板を作製した。
実施例1から7及び比較例1から3において、4インチのシリコンウエハー上に、Ti(厚さ50nm)をスパッタした後、Cu(250nm)をスパッタした電極基板を作製し、実験に用いた。
参考例1において、電極基板表面の酸化がピラーの接合に及ぼす影響を調査するために、銅よりも貴な金属であるAuを電極基板に使用した。4インチのシリコンウエハー上に、メッキによりNiを製膜した後、Auをメッキした電極基板を作製し、実験に用いた。
スパッタ又はメッキをしたシリコン基板に最終膜厚が30μmになるようにレジスト樹脂を塗布し、パターニングした。レジストパターンの形状は円柱形状であり、開口部分分の直径は30μm、開口部分の深さは30μmである。したがって、アスペクト比は、1.0で、Hole:Space=1:1となるようにデザインした。
(ピラー形成)
導電性ペーストの充填は、スクリーン印刷用のウレタンゴムスキージを用いておこなった。図1には、直径30μmの開口部分に導電ペーストを充填し、焼結した際のレジスト表面の形状を示している。使用した導電性ペーストは、実施例1記載の導電ペーストである。いずれの開口部分においても導電性ペーストが均一に充填されていることがわかる。
ゴムスキージによりペーストを開口部分に充填した後、不活性ガス(窒素)雰囲気下において250℃で10分間焼結し、放冷した後、レジストを除去した。
(観察・評価)
レジスト膜を除去した後、作製した電極基板上のピラーを光学顕微鏡により観察した。観察したピラーの本数(「観察数」)は、各900である。「欠損」は、本来ピラーが作製されるべき箇所にピラーが存在しなかったことを意味している。「欠け」は、円柱形状に形成されるべきピラーが、円柱の形状を保っていないことを意味している。
評価基準について、
◎:作製したピラーの歩留まりが99%以上であることを示す。
○:作製したピラーの歩留まりが90%以上であることを示す。
△:作製したピラーの歩留まりが70%以上であることを示す。
×:作製したピラーの歩留まりが70%未満であることを示す。
Figure 2020102316
実施例2、4、6、及び7においては、99%以上のピラー歩留りを示した。特に実施例2及び4においては、欠落したピラーが観測されないことから、電極基板とピラーとが強固に接合されていることを示唆しており、顕著な効果を有する。比較例と比較して、飛躍的に歩留りが向上していることは、導電性ペーストに添加した還元剤が基板電極表面の酸化被膜を除去しているためである。実施例1及び3からわかるように、本発明の効果は還元剤濃度50ppmの場合であっても発揮された。また、還元剤濃度10ppm程の濃度であっても歩留り向上の効果は発現できる。
比較例1から3のいずれにおいても、ピラーの歩留りは70%未満であった。レジスト膜を剥離後、基板表面を観察した結果250〜300本あまりのピラーが欠落していた。ピラーの欠落は、スジスト膜剥離時に生じたものであり、電極基板とピラーとの密着性が低いことを示している。
なお、参考例として酸化被膜を形成しないと考えられるAuを電極基板に使用した場合の歩留り評価結果を示した。本発明に係る導電性ペーストを使用することにより、卑な金属種を電極として用いた場合であっても、高い歩留りを維持できることがわかる。
<ピラーのシェア強度試験>
表2は、実施例1から7及び比較例1から3に記載した導電性ペーストを用いて、作製したピラーのシェア強度試験結果を示している。導電性ペーストをレジスト開口部分分に充填し、焼結し、レジスト薄膜を除去することによりピラーを作製した。以下に、詳細を記載する。
(電極基板の作製)
実験に用いた電極基板の作製方法を述べる。ピラーの基板への接合強度を評価するため、以下の手順でシェア強度試験用のピラーを電極基板上に作製した。
4インチのシリコンウエハー上に、Ti(厚さ50nm)をスパッタした後、Cu(250nm)をスパッタした電極基板を作製し、実験に用いた。スパッタをしたシリコン基板に最終膜厚が30μmになるようにレジスト樹脂を塗布し、パターニングした。レジストパターンの形状は円柱状であり、開口部分の直径は75μm、開口部分の深さは30μmとした。Hole:Space=1:1となるようにデザインした。
(ピラー形成)
導電性ペーストの充填は、スクリーン印刷用のウレタンゴムスキージを用いておこなった。ゴムスキージによりペーストを開口部分に充填した後、不活性ガス(窒素)雰囲気下において250℃で10分間焼結し、放冷した後、レジストを除去した。
(観察・評価)
作製した電極基板上のピラーの強度をシェア試験により測定した。試験条件は、高さを電極基板より7μm、スピードを200μm/s、で実施した。
評価基準について、
◎:作製したピラーのシェア強度の中央値が80MPa以上であることを示す。
○:作製したピラーのシェア強度の中央値が60MPa以上であることを示す。
△:作製したピラーのシェア強度の中央値が40MPa以上であることを示す。
×:作製したピラーのシェア強度の中央値が40MPa未満であることを示す。
Figure 2020102316
※実施例5記載の還元剤であるエチレングリコールは、溶媒として加えている。したがって、濃度は30%である。
実施例2においては90MPa以上、実施例4においては100MPa以上のシェア強度を示した。シェア試験後の基板を観察すると。ピラーと電極基板との界面における破断ではなく、ピラー内部で破断が生じていることがわかった。これは、電極基板に対してピラーが十分な強度で接合されていることを示している。SAC305で同様のピラーを形成した場合のシェア強度は35から60MPaと見積もられることから、本発明に係る導電性ペーストを用いて作製したピラーは、非常に高いシェア強度を有すると言える。
同様に実施例1、3、6及び7においても60MPa以上の強度を示しており、高いシェア強度が観測された。
比較例1から3のいずれにおいても、最大で35MPaの強度にとどまった。シェア試験後の基板を観察すると。ピラーと電極基板と界面において破断していた。これは、電極基板に対してピラーが十分な強度で接合されていないことを示しており、電極基板表面の酸化膜の存在に起因していると推察される。

Claims (6)

  1. 金属微粒子と、
    保護剤と、
    還元剤と、
    を含有するピラー用導電性ペーストであって、
    金属微粒子の含有率が40以上95質量%濃度未満であり、
    還元剤が電子を喪失したときに得られる半反応に対応する還元半反応の298Kにおける標準電極電位(E)が、電極基板に使用する金属種の還元半反応の標準電極電位よりも卑な電位にある還元剤であり、
    該還元剤の含有率が10ppm以上である、
    ことを特徴とするピラー用導電性ペースト。
  2. さらに、沸点250℃以下の溶媒を含有することを特徴とする請求項1記載のピラー用導電性ペースト。
  3. 請求項1記載の還元剤のEが、+0.518Vより卑な電位であることを特徴とする請求項1または2に記載のピラー用導電ペースト。
  4. 請求項1記載の還元剤が、分子内に少なくとも一つの第1級又は第2級水酸基、アルデヒド基、カルボキシ基を有する化合物、または、それら化合物の塩、から選ばれる少なくとも一つの還元剤であることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載のピラー用導電ペースト。
  5. 請求項1記載の金属微粒子の金属が、銀、銅又はこれらの複合体である、請求項1〜4いずれか一項に記載のピラー用導電性ペースト。
  6. 請求項1〜5いずれか一項に記載のピラー用導電性ペーストを用いたピラー。
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