JP2019214748A - 表面被覆金属微粒子及びその分散溶液 - Google Patents

表面被覆金属微粒子及びその分散溶液 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、特に、被覆有機化合物の分解性及び金属微粒子の耐酸化性に優れ、得られる焼結体の導電性に優れる表面被覆金属微粒子及びその分散溶液を提供することを目的とする。【解決手段】金属微粒子と、該金属微粒子の表面に形成された有機被膜と、を有し、前記金属微粒子の一次粒子径が、1〜500nmの範囲内にあり、前記有機被膜が、所定のカルボン酸アルキルアンモニウムを含む、表面被覆金属微粒子。【選択図】図1

Description

本発明は、表面被覆金属微粒子及びその分散溶液に関する。
従来から、ナノサイズ(具体的には1μm未満のサイズをいう。以下同じ)の金属微粒子は、バルク金属に比べて融点が低くなる他、触媒活性、磁気特性、比熱特性、光学特性の変化等を発現することから、電子材料、触媒材料、蛍光体材料、発光体材料等の分野で広く用いられている。最近では、このようなナノサイズの金属微粒子を含有する導電性ペーストやインクのような配線形成材料を使用し、配線パターンをインクジェットプリンタ等により印刷し、焼成して配線を形成する技術が注目されており、この技術は、特にプリント配線、半導体の内部配線、プリント配線板と電子部品との接続等に適用されるようになった。
このような用途で用いられる金属微粒子は、特に、導電ペーストやインク中で均一に分散し、かつ長期間に亘り高い分散性を維持できることが求められる。
例えば、特許文献1には、凝集粒子を生成し難く、溶剤や樹脂などと混合した際にも一次粒子の状態で均一に分散することができる、再分散性に優れた新規な貴金属微粒子が提案されている。
しかし、特許文献1の技術のように、金属微粒子の表面を高分子化合物等の有機化合物で被覆する場合、導電ペーストやインク中での金属微粒子の分散性は向上するものの、得られる焼結体(配線)中に残留有機物が発生し易くなる。このような残留有機物は、焼結体の導電性の低下や、接合部材しての接合性の低下を招く。そのため、高分子化合物等の有機化合物で表面を被覆した金属微粒子を用いる場合、金属微粒子の表面を被覆する有機化合物(以下、「被覆有機化合物」ということがある)の分解性の向上が求められる。
また、近年、貴金属に比べて安価な、銅、ニッケル及びスズを含む金属微粒子の利用も進められている。これらの金属については、貴金属に比べて酸化が進行し易く、品質が低下し易い問題がある。そのため、特に、銅、ニッケル及びスズを含む金属微粒子の利用にあたっては、耐酸化性の向上が望まれる。
特開2004−043892号公報
そこで本発明は、特に、被覆有機化合物の分解性及び金属微粒子の耐酸化性に優れ、得られる焼結体の導電性に優れる表面被覆金属微粒子及びその分散溶液を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、金属微粒子と、該金属微粒子の表面に形成された有機被膜と、を有する表面被覆金属微粒子において、前記金属微粒子の一次粒子径が、1〜500nmの範囲内にあり、前記有機被膜が、所定のカルボン酸アルキルアンモニウムを含むことにより、被覆有機化合物の分解性及び金属微粒子の耐酸化性に優れた表面被覆金属微粒子及びその分散溶液が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
[1] 金属微粒子と、該金属微粒子の表面に形成された有機被膜と、を有し、
前記金属微粒子の一次粒子径が、1〜500nmの範囲内にあり、
前記有機被膜が、下記式(1)で表されるカルボン酸アルキルアンモニウムを含む、表面被覆金属微粒子。

上記式(1)中、R及びR〜Rは、それぞれ独立して水素原子又はアルキル基である(但し、R〜Rの全てが同時に水素原子になることはない。)。
[2] 前記アルキル基の炭素数が、1〜8である、上記[1]に記載の表面被覆金属微粒子。
[3] 前記金属微粒子が、銅、亜鉛、スズ及びニッケルからなる群から選択される少なくとも一種の金属を含む、上記[1]又は[2]に記載の表面被覆金属微粒子。
[4] 前記カルボン酸アルキルアンモニウムの含有率が、0.005〜30質量%である、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の表面被覆金属微粒子。
[5] 前記カルボン酸アルキルアンモニウムが、酢酸テトラメチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、酢酸テトラブチルアンモニウム及びプロピオン酸テトラメチルアンモニウムからなる群から選択される少なくとも一種である、上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の表面被覆金属微粒子。
[6] 上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の表面被覆金属微粒子が、有機溶媒(S)に分散してなる、表面被覆金属微粒子の分散溶液。
[7] 前記有機溶媒(S)が、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機化合物である有機溶媒(S1)を含む、上記[6]に記載の表面被覆金属微粒子の分散溶液。
[8] 前記有機溶媒(S)が、1種又は2種以上の有機溶媒から構成され、
前記有機溶媒(S)の常圧における沸点が、140〜350℃である、上記[6]又は[7]に記載の表面被覆金属微粒子の分散溶液。
本発明によれば、特に、被覆有機化合物の分解性及び金属微粒子の耐酸化性に優れ、得られる焼結体の導電性に優れる表面被覆金属微粒子及びその分散溶液を提供することができる。
図1は、本発明の表面被覆金属微粒子の一例を示す概略断面図である。 図2は、銅微粒子の平均一次粒子径(μm)と、該銅微粒子の酸素含有量(質量%)との関係を示すグラフである。
本発明に従う表面被覆金属微粒子及びその分散溶液の実施形態について、以下で詳細に説明する。
<表面被覆金属微粒子>
本発明の表面被覆金属微粒子は、金属微粒子と、該金属微粒子の表面に形成された有機被膜と、を有し、前記金属微粒子の一次粒子径が、1〜500nmの範囲内にあり、前記有機被膜が、下記式(1)で表されるカルボン酸アルキルアンモニウム(以下、単に「カルボン酸アルキルアンモニウム」ということがある。)を含むことを特徴とする。

上記式(1)中、R及びR〜Rは、それぞれ独立して水素原子又はアルキル基である(但し、R〜Rの全てが同時に水素原子になることはない。)。
一般的に、金属微粒子の表面を被覆する被覆有機化合物は、金属微粒子の表面の過度な酸化を抑制するとともに、金属微粒子の分散性を向上して、緻密な焼結膜の形成を容易にする。しかし、被覆有機化合物が分子量の大きい高分子であるほど、上述のような酸化の抑制や分散性の向上には効果的であるものの、加熱した際に分解し難い傾向にあり、分解したとしても金属微粒子間に分解物が介在した状態のまま残留するため、金属微粒子の焼結を阻害する要因となる。
本発明の表面被覆金属微粒子では、被覆有機化合物としてのカルボン酸アルキルアンモニウムが、加熱により、下記式(I)のようにエステルとアミンに分解されるため、焼結体から排出され易くなり、残留有機物として焼結体中に残り難くなる。その結果、比較的低温かつ短時間で、残留有機物の少ない、良好な導電性の焼成膜(焼結膜)を形成することが可能となる。
RCOONR → RCOOR+RN ・・・(I)
また、一部のカルボン酸アルキルアンモニウムは、下記式(II)のように加水分解することによって、カルボン酸と四級アンモニウムを生じさせる。カルボン酸は金属微粒子の表面に酸化物層を再形成(リーチング効果)することによって、金属微粒子の触媒的な還元焼結を促進する効果も示す。
RCOONR + HO→RCOOH+RNOH ・・・(II)
このように本発明の表面被覆金属微粒子では、被覆有機物の分解性と触媒焼結性の向上によって、微粒子間のネッキングが充分に進行し、得られる焼結体は導電性に優れる。また、導電接続部材として使用する場合には、接合強度も向上する。
以下、図1を参照しながら、本発明の表面被覆金属微粒子の構成を詳しく説明する。なお、図1は、本発明の表面被覆金属微粒子の一例を示す概略断面図であり、本発明の表面被覆金属微粒子は、図1の構成に限定されるものではない。
図1に示されるように、本発明の表面被覆金属微粒子1は、金属微粒子10と、該金属微粒子の表面10aに形成された有機被膜20と、を有する。以下、各構成毎に、詳しく説明する。
(金属微粒子10)
金属微粒子10は、その一次粒子径が1〜500nmの範囲内にあり、好ましくは1〜250nmの範囲内にあり、より好ましくは1〜150nmの範囲内にあり、更に好ましくは1〜100nmの範囲内にある。上記範囲内であると被覆有機物が分解し易く、粒子間焼結が十分に進行する。一方、金属微粒子10の一次粒子径が、1nm未満であると、金属微粒子の表面に形成される酸化物層の厚さが粒子径に対して厚くなりすぎる恐れがあり、500nm超であると、上記触媒作用が低下し、粒子間焼結の反応性が大きく低下する。
本明細書において、金属微粒子の一次粒子径とは、金属微粒子を電子顕微鏡で観察したときの、一次粒子の粒子径を指し、該粒子径は粒子の最大寸法である。具体的な測定方法は、実施例に記載の方法による。
また「一次粒子径が1〜500nmの範囲内にある」とは、測定対象とした金属微粒子の個数(例えば、電子顕微鏡で金属微粒子を撮影したときの画像から任意に選定した100個)を100%としたときに、一次粒子径が最も小さい側と、最も大きい側の各5%分(5個)の粒子を除いた、90%(90個)の金属微粒子から一次粒子径の最小値及び最大値を求め、該最小値及び最大値が1〜500nmの範囲にあることを意味する。
金属微粒子10の平均一次粒子径は、好ましくは3〜250nmであり、より好ましくは5〜150nmであり、更に好ましくは5〜50nmである。上記範囲とすることにより、良好な焼結特性を示す。なお、本明細書において、平均一次粒子径は、測定対象とした金属微粒子の全ての一次粒子径の平均値である。
金属微粒子10は、好ましくは銅、亜鉛、スズ及びニッケルからなる群から選択される少なくとも一種の金属を含み、より好ましくは銅を含む。金属微粒子10は、銅、亜鉛、スズ及びニッケル以外の元素を含有してもよく、このような元素としては、例えば、銀等の貴金属や、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、モリブデン、鉛等の遷移元素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ベリリウム、酸素、アルミニウム、ケイ素、リン等が挙げられる。中でも、酸素は、不可避的に金属微粒子10に含まれる。
通常、銅、亜鉛、スズ及びニッケルからなる群から選択される少なくとも一種の金属は、バルク状態に比べて、ナノサイズまで微細化された粒子状態になると、比表面積が増大し、酸化され易い傾向を示す。そのため、金属微粒子10が銅、亜鉛、スズ及びニッケルからなる群から選択される少なくとも一種の金属を含有する場合、不可避的に酸素も含有される。
ここで、金属微粒子が不可避的に含有する酸素量について、金属微粒子としての銅微粒子を例に、図2を参照しながら説明する。なお、図2は、銅微粒子の平均一次粒子径(μm)と、該銅微粒子の酸素含有量(質量%)との関係を示すグラフであり、以下の手順で作成した。
まず、平均一次粒径が1.5μm(1500nm)の銅微粒子を準備した。該銅微粒子について、酸素含有量を測定したところ、該銅微粒子の全量100質量%に対して、0.34質量%であった。更に、該銅微粒子の表面に存在する酸化膜(後述する金属酸化物層12に対応)の厚みを計測したところ、4.78nmであった。
次に、上記測定結果に基づき、銅微粒子の表面に存在する酸化膜の厚み(4.78nm)は、該銅微粒子の平均一次粒子径によらず一定であると仮定し、銅微粒子の平均一次粒径が小さくなるに伴い、銅微粒子の比表面積が増大する関係から、平均一次粒径ごとに酸素含有量を算出し、これを平均一次粒子径との関係でグラフ化した。
図2に示されるように、銅微粒子は、その平均一次粒径が0.001μm〜0.5μm(1〜500nm)の範囲では、銅微粒子の全量100質量%に対して、1〜20質量%程度の酸素を不可避的に含有することがわかった。このような傾向は、銅微粒子以外の、銅、亜鉛、スズ及びニッケルからなる群から選択される少なくとも一種の金属を含む金属微粒子の場合も、酸化のし易さ等によって多少異なるが、概ね同様の傾向である。
また、金属微粒子10は、不可避的に含有する酸素の他に、必要に応じて、酸化処理等が施されることにより、酸素を更に含んでもよい。
金属微粒子10が含有する酸素量(酸素含有量)は、不可避的に含まれるか、又は必要に応じて含まれるかを問わず、金属微粒子の全量100質量%に対して、好ましくは1〜30質量%であり、より好ましくは1〜20質量%である。
なお、金属微粒子10における酸素の存在状態は、特に限定されないが、例えば金属微粒子10中に含まれる酸素含有化合物(酸化物や水酸化物等)の構成成分として存在していてもよい。
また、金属微粒子10中の銅、亜鉛、スズ及びニッケルからなる群から選択される少なくとも一種の金属の含有量は(二種以上の金属を含む場合はその合計で)、金属微粒子10中に含まれる金属成分を100質量%として、好ましくは90質量%以上であり、より更に好ましくは95質量%以上であり、特に好ましくは98質量%以上であり、100質量%であってもよい。このような金属組成等の測定方法は、実施例に記載の方法による(以下においても同じ。)。
金属微粒子10が不可避的に又は必要に応じて含有する酸素は、主に、金属核粒子11の表面11aに、金属酸化物層12として存在する。この場合、金属酸化物層12は、金属核粒子の表面11aの全体に比較的均一に形成されていることが好ましいが、金属核粒子の表面11aに部分的に形成されていてもよい。
また、金属核粒子11は、金属微粒子10の中心に近い酸素濃度が低い(比較的酸化されていない)部分を指し、好ましくは銅、亜鉛、スズ及びニッケルからなる群から選択される少なくとも一種の金属を含む金属又は合金で構成され、より好ましくは銅又は銅系合金で構成され、更に好ましくは銅粒子である。金属核粒子11中の銅、亜鉛、スズ及びニッケルからなる群から選択される少なくとも一種の金属の含有量は(二種以上の金属を含む場合はその合計で)、好ましくは95質量%以上であり、より好ましくは98質量%以上であり、更に好ましくは99.5質量%以上であり、100質量%であってもよい。また、銅系合金としては、銅を含む合金であればよく、好ましくは銅を50質量%以上含み、より好ましくは70質量%以上含み、更に好ましくは90質量%以上含む。具体的には、銅系合金としては、銅と、亜鉛、スズ及びニッケルからなる群から選択される少なくとも一種の金属との合金が好ましい。
また、金属酸化物層12は、金属核粒子11を構成する金属又は合金の酸化物で構成されていることが好ましい。ここで、合金の酸化物は、合金を構成する1種の金属の酸化物であってもよいし、2種以上の金属を含む複合酸化物であってもよい。また、金属酸化物層12は、必ずしも金属核粒子11との境界が明確に区別できるものである必要はなく、金属酸化物層12から金属核粒子11側に向かって、酸素濃度が低下していくような濃度分布をもち、金属核粒子11と金属酸化物層12とが一体化された構成であってもよい。
金属微粒子10が、上記金属核粒子11と、その表面11aに形成された上記金属酸化物層12とを有していることにより、触媒的な焼結を焼成初期から充分に発揮させて、焼結構造の緻密化をさらに促進させることができる。
(有機被膜20)
有機被膜20は、金属微粒子の表面10a上に形成されていればよく、金属微粒子の表面10aの全体を覆うように形成されていることが好ましいが、金属微粒子の表面10aの少なくとも一部を覆うように形成されていてもよい。
有機被膜20は、被覆有機化合物である下記式(1)で表されるカルボン酸アルキルアンモニウム(Alkylammonium Carboxylate)を含む。

上記式(1)中、R及びR〜Rは、それぞれ独立して水素原子又はアルキル基であり(但し、R〜Rの全てが同時に水素原子になることはない。)、好ましくはアルキル基である。アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜8であり、より好ましくは1〜4である。アルキル基の炭素数が8以下であると、帯電状態が良好となり、分散性が向上すると共に、焼成時には分解性が良好となり、分解物は飛散し易く焼結体に残留し難くなる。
上記のようなカルボン酸アルキルアンモニウムにより金属微粒子を被覆することにより、以下のような利点がある。
まず、(i)カルボン酸アルキルアンモニウムの分解性の高さ及びその分解物による焼結促進効果により、低温での焼結性が向上する。(ii)また、カルボン酸アルキルアンモニウムが、加熱前の金属微粒子の過剰な凝集を抑制し、金属微粒子が充填された状態を維持でき、空隙の少ない、緻密な焼結構造を形成できる。(iii)また、カルボン酸アルキルアンモニウムの分解物による基材及び電極の洗浄効果により、基材及び電極との界面での金属拡散反応が促進され、高い導電性及び接合性を実現できる。(iv)さらに、カルボン酸アルキルアンモニウムは加熱分解性が高いため、残留有機物の少ない焼結体が得られる。
表面被覆金属微粒子1における、上記カルボン酸アルキルアンモニウムの含有率は、好ましくは0.001〜40質量%であり、より好ましくは0.005〜30質量%であり、更に好ましくは0.01〜30質量%であり、より更に好ましくは0.5〜5質量%である。上記範囲とすることにより、上述のようなカルボン酸アルキルアンモニウムの利点を十分に発揮できる。
上記カルボン酸アルキルアンモニウムとしては、好ましくは酢酸テトラメチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、酢酸テトラブチルアンモニウム及びプロピオン酸テトラメチルアンモニウムからなる群から選択される少なくとも一種である。
有機被膜20は、必要に応じて又は不可避的に、上記式(1)で表されるカルボン酸アルキルアンモニウム以外の他の成分を含んでいてもよい。
他の成分としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、2−ピロリドン、及びアルキル−2−ピロリドンが挙げられる。
他の成分の含有量は、有機被膜20中に5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0質量%であってもよい。
表面被覆金属微粒子1における、有機被膜20の割合は、[有機被膜20の質量(=表面被覆金属微粒子1の質量−金属微粒子10の質量)/表面被覆金属微粒子1の質量]×100(質量%)で算出され、好ましくは0.001〜45質量%、より好ましくは0.005〜35質量%であり、更に好ましくは0.01〜35質量%であり、より更に好ましくは0.5〜10質量%である。有機被膜20がカルボン酸アルキルアンモニウムのみで構成される場合には、表面被覆金属微粒子1における、有機被膜20の割合は、被覆有機化合物である上記カルボン酸アルキルアンモニウムの含有率に等しい。
なお、有機被膜20を構成する化合物の同定は、例えばガスクロマトグラフ質量分析(GS−MS)やラマン分光法により行うことができる。また、表面被覆金属微粒子1における、有機被膜20の割合は、例えば炭素・硫黄分析計を用いて測定できる。具体的には実施例に記載の方法により行うことができる。
<表面被覆金属微粒子の製造方法>
本発明の表面被覆金属微粒子は、例えば、金属微粒子を下記の被覆処理方法(a)〜(c)により被覆処理することで、製造することができる。
金属微粒子は、上記被覆処理後の状態において、上述の金属微粒子の構成を充足し得るものであれば、特に限定されることはなく、実験合成品及び市販品のいずれであってもよい。具体的には、金属微粒子は、公知の方法により造粒でき、電解又は無電解の反応により生成することができる。このような造粒方法としては、例えば、還元反応水溶液中で銅イオンを電解還元する方法(電解還元法)や、還元剤を用いた非電解還元法(液相還元法)等が挙げられる。なお、金属微粒子の粒子径は、造粒方法に応じて、公知の方法により、適宜制御すればよい。
被覆処理方法(a)は、金属微粒子を、下記のカルボン酸アルキルアンモニウム溶液に浸漬させる方法である。
被覆処理方法(b)は、金属微粒子を、下記のカルボン酸溶液に浸漬させ、一度回収し、該浸漬後の金属微粒子を下記のアルキルアンモニウム溶液にさらに浸漬させる方法である。
被覆処理方法(c)は、金属微粒子を、下記のアルキルアンモニウム溶液に浸漬させ、一度回収し、該浸漬後の金属微粒子を下記のカルボン酸溶液にさらに浸漬させる方法である。
浸漬による被覆処理の条件は、適宜調整すればよく、例えば、浸漬浴温は5〜30℃とすることが好ましく、浸漬時間は5分間〜2時間とすることが好ましい。
また、カルボン酸アルキルアンモニウム溶液としては、上記式(1)で表されるカルボン酸アルキルアンモニウムを含有する溶液であればよい。
また、カルボン酸溶液としては、少なくとも上記式(1)で表されるカルボン酸イオンを含む溶液であればよく、例えば、溶媒に溶解させたとき上記式(1)で表されるカルボン酸イオンを生じる酸又は塩を含む溶液が挙げられる。上記式(1)で表されるカルボン酸イオンを生じる酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
また、アルキルアンモニウム溶液としては、少なくとも上記式(1)で表されるアルキルアンモニウムイオンを含む溶液であればよく、例えば、溶媒に溶解させたとき上記式(1)で表されるアルキルアンモニウムイオンを生じる塩基又は塩を含む溶液が挙げられる。上記式(1)で表されるアルキルアンモニウムイオンを生じる塩基としては、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化エチルトリメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、コリン等が挙げられる。
上記各溶液の溶媒としては、例えば、水及び各種有機溶媒が挙げられる。これらは一種を単独で用いることもできるし、二種以上を組み合わせて用いることもできる。
上記各溶液の濃度は、溶質や溶媒等に応じて適宜調整すればよく、例えば、溶液中のカルボン酸アルキルアンモニウムの濃度は、0.01〜1.5モル/Lとすることが好ましく、0.05〜1.0モル/Lとすることがより好ましい。
<表面被覆金属微粒子の分散溶液>
本発明の分散溶液は、上述の本発明の表面被覆金属微粒子が、有機溶媒(S)に分散してなる。
有機溶媒(S)は、好ましくは1種又は2種以上の有機溶媒から構成される。有機溶媒としては、有機溶媒として一般的に用いられる有機化合物を広く用いることができるが、例えば、後述する有機溶媒(S1)〜(S3)等を好適に用いることができる。なお、各種有機溶媒は、一種のみを単独で用いることもできるが、二種以上を混合して用いることもできる。
また、有機溶媒(S)は、常圧における沸点が140〜350℃の範囲であることが好ましい。本発明の表面被覆金属微粒子は触媒活性が著しく高いので、焼結の際に有機溶媒(S)の沸点よりも40〜50℃だけ低い温度範囲で還元性ガス雰囲気を形成して焼結反応が開始することが好ましいが、100℃以上で金属核粒子の焼結が進行しやすいため、有機溶媒(S)の沸点は140℃以上とするのが好ましい。また、沸点が350℃を超える有機溶媒を用いると揮発し難くなり、焼結後も有機溶媒が残留する可能性があるので、有機溶媒(S)の沸点は350℃以下とすることが好ましい。かかる観点から、より好ましい有機溶媒(S)の沸点は、150〜300℃である。なお、有機溶媒(S)が二種以上の有機溶媒を含む場合における沸点は、混合溶媒としての沸点である。混合溶媒の場合、沸点の低い有機溶媒から順に多段階的に蒸発していくか、或いは共沸により沸点が低下する傾向があるため、実質的には、含まれる有機溶媒の沸点のうち最も高いものの沸点を、混合溶媒としての沸点と仮定することができる。また、本明細書において常圧とは、大気圧に等しく、好ましくは1atmである。
[有機溶媒(S1)]
有機溶媒(S)は、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機化合物である有機溶媒(S1)を含むことが好ましい。有機溶媒(S)が有機溶媒(S1)を含むことにより、焼成時に還元性ガス雰囲気を形成し易くなる。また、一般に時間の経過により分散溶液中の金属微粒子同士は凝集する傾向にあるが、有機溶媒(S1)は優れた分散性を有しているため、有機溶媒(S1)を有機溶媒(S)中に存在させることにより、このような凝集を効果的に抑制でき、分散液の一層の長期安定化を図ることが可能になる。また有機溶媒(S1)を有機溶媒(S)中に存在させると、その表面被覆金属微粒子の分散液を基板上に塗布して焼結した際、その焼成膜(焼結膜)の均一性が向上し、導電性の高い焼成膜を得ることができる。
有機溶媒(S1)としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、3−メチル−2−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−2−ヘキサノール、2−メチル−3−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、4−ヘプタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセロール(グリセリン)、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、及び1,2,4−ブタントリオールの中から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
また、有機溶媒(S1)としては、トレイトール、エリトリトール、ペンタエリスリトール、ペンチトール、キシリトール、リビトール、アラビトール、ヘキシトール、マンニトール、ソルビトール、ズルシトール、グリセルアルデヒド、ジオキシアセトン、トレオース、エリトルロース、エリトロース、アラビノース、リボース、リブロース、キシロース、キシルロース、リキソース、グルコース、フルクトース、マンノース、イドース、ソルボース、グロース、タロース、タガトース、ガラクトース、アロース、アルトロース、ラクトース、キシロース、アラビノース、イソマルトース、グルコヘプトース、ヘプトース、マルトトリオース、ラクツロース、及びトレハロース、等の糖類も使用することも可能であるが、これらの中で融点が高いものについては他の有機溶媒と混合して使用することが好ましい。
有機溶媒(S1)は、ヒドロキシル基の結合している炭素原子に1又は2の水素原子が結合している有機化合物であることが好ましい。炭素原子に水素原子が結合した第一級アルコール又は第二級アルコールでは酸化反応によって還元性の水素ガスを放出し易いためである。
有機溶媒(S)は、有機溶媒(S1)のみで構成されてもよいが、これに加えて、以下に記載する有機溶媒(S2)、有機溶媒(S3)等を、必要に応じて適宜混合したものを用いることができる。
有機溶媒(S2)は、アミド基(−CON=)を有する化合物であり、特に比誘電率が高いものが好ましい。アミド基を有する有機溶媒(S2)として、N−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルプロパンアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、アセトアミド等が挙げられるが、これらを混合して使用することもできる。これらの中でも比誘電率が100以上である、N−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、ホルムアミド、アセトアミドなどが好適に使用できる。尚、N−メチルアセトアミド(融点:26〜28℃)のように、常温(5〜35℃、以下においても同じ。)で固体の場合には他の溶媒と混合して作業温度で液状として使用することができる。有機溶媒(S2)は、有機溶媒中で微粒子の分散性と保存安定性を向上する作用を有し、また本発明の表面被覆金属微粒子の分散溶液を基板上に塗布後焼成して得られる焼成膜の導電性を向上する作用をも有する。
有機溶媒(S3)として、一般式R−O−R(R、Rは、それぞれ独立にアルキル基で、炭素原子数は1〜4である。)で表されるエーテル系化合物、一般式R−C(=O)−R(R、Rは、それぞれ独立にアルキル基で、その炭素原子数は1〜2である。)で表されるケトン系化合物、及び一般式R−(N−R10)−R11(R、R10、R11は、それぞれ独立にアルキル基、又は水素原子で、アルキル基の炭素原子数は1〜2である。)で表されるアミン系化合物、の中から選択される1種又は2種以上が挙げられる。
前記エーテル系化合物としては、ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、t−アミルメチルエーテル、ジビニルエーテル、エチルビニルエーテル、アリルエーテル等が例示できる。前記ケトン系化合物としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等が例示できる。また、前記アミン系化合物としては、トリエチルアミン、ジエチルアミン等が例示できる。
有機溶媒(S3)は、混合溶媒中で溶媒分子間の相互作用を低下させ、分散粒子の溶媒に対する親和性を向上する作用を有していると考えられる。このような効果は一般に沸点の低い溶媒において期待され、特に常圧における沸点が100℃以下の有機溶媒は、有効な溶媒分子間の相互作用を低減する効果が得られることから好ましい。有機溶媒(S3)の中でも特にエーテル系化合物が、その溶媒分子間の相互作用を低減する効果が大きいことから好ましい。
表面被覆金属微粒子の分散溶液は、上述のように作製した表面被覆金属微粒子を、上述した有機溶媒(S)中に混合し、分散させることによって得ることができる。
該分散溶液中の表面被覆金属微粒子の割合は、5〜85質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることがより好ましい。上記範囲とすることにより、適度な膜厚の焼結膜を得ることができると共に、焼結性も良好となる。一方、表面被覆金属微粒子の割合が上記範囲よりも少なくなると、焼結後の膜厚が薄くなり焼結膜が割れ易くなる傾向にあり、また上記範囲を超えると、有機溶媒(S)が不足状態となり、還元作用が低下して焼結が不十分になる傾向にある。
分散方法は、公知の方法で行うことができ、特に限定されないが、例えば、分散性を向上させる観点では、混錬や、超音波照射により行うことが望ましい。
混錬方法としては、公知の混錬方法を採用することができるが、例えば、遠心混錬法と乳鉢混錬法が好ましい。混錬時間は、特に限定されることはなく、混練方法に応じて任意に選択すればよい。
超音波照射方法としては、特に制限はなく、公知の方法から任意に選択することが可能である。超音波照射時間は、例えば、5〜60分間の間で任意に設定することができ、照射時間が長くなるほど、二次凝集した二次粒子の平均粒子サイズは小さくなる傾向にある。また、照射時間は長くなるほど、分散性はより一層向上する。
表面被覆金属微粒子の分散溶液の塗布・焼結方法としては、例えば、スクリーン印刷、マスク印刷、スプレーコート、バーコート、ナイフコート、スピンコート、インクジェット印刷、ディスペンサ印刷等を用いて塗布し、有機溶媒(S)の沸点よりも40〜50℃だけ低い温度範囲で電気炉又はホットプレート上で、無加圧又は所定圧力での加圧下で加熱することにより焼結する方法が挙げられる。
<焼結導電体の製造方法>
次に、本発明の表面被覆金属微粒子を用いて、焼結導電体を作製する方法の一例を説明する。
まず、上述の方法で作製した表面被覆金属微粒子の分散溶液を基板に塗布し、有機溶媒(S)の沸点よりも40〜50℃だけ低い温度範囲で焼結することにより、基板上に焼結導電体を形成することができる。
表面被覆金属微粒子が有機溶媒(S)に分散されている表面被覆金属微粒子の分散溶液は、例えば300℃以下の比較的低温において、かつ水素ガス等の還元剤を追加的に使用することなく、インクジェットやマスク印刷等により基板上に配置して焼成し、導電性を有する焼結導電体を形成することが可能である。また、前述の通り、150℃以下での焼結温度でも焼結導電体を形成することも可能となる。
上記基板は、使用目的等により適宜選択でき、ガラス、ポリイミド等を使用できる。焼成前に予め乾燥工程を設けることが望ましい。
焼成条件は、塗布厚みにもよるため、特に限定はされないが、例えば以下の条件とすることができる。
焼成温度は、有機溶媒(S)の沸点よりも40〜50℃だけ低い温度範囲であることが望ましいが、好ましくは100〜350℃であり、より好ましくは150〜300℃であり、更に好ましくは200〜300℃である。
また、焼成時間は、特に限定されず、例えば5分間〜1時間とすることができ、好ましくは10〜40分間である。
また、焼成雰囲気は、特に限定されず、例えば大気雰囲気、還元性ガス雰囲気、不活性ガス、及びこれらの混合雰囲気とすることができる。還元性ガスとしては、例えば水素ガスが挙げられ、また不活性ガスとしては、例えば窒素ガスが挙げられる。各雰囲気ガスは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。本発明の表面被覆金属微粒子の分散溶液を用いる場合、上記焼成温度に加熱された際に、有機溶媒(S)により還元性ガス雰囲気が形成されるため、焼成開始時の雰囲気は、必ずしも還元性ガス雰囲気である必要はなく、大気雰囲気又は不活性ガス雰囲気とすることができる。なお、焼成雰囲気中の酸素量を低減する観点では、焼成開始時の雰囲気は、不活性ガス雰囲気のような非酸化性雰囲気とすることが好ましい。
<導電接続部材の製造方法>
次に、本発明の表面被覆金属微粒子を用いて、導電接続部材の製造方法の一例を説明する。
まず、上述の方法で作製した表面被覆金属微粒子の分散溶液を電子部品における半導体素子もしくは回路基板の電極端子又は導電性基板の接合面に載せ、この上に更に接続する他方の電極端子又は導電性基板の接合面を配置し、加熱処理により焼結して形成することができる。
導電接続部材としては半導体素子間を接合するための導電性バンプ、半導体素子と導電性基板間を接合するための導電性ダイボンド部等が挙げられる。
導電性バンプは、表面被覆金属微粒子の分散液を電子部品における半導体素子又は回路基板の電極端子の接合面に載せ(塗布、印刷等も含まれる)、この上に更に接続する他方の電極端子の接合面を配置した後、無加圧又は所定圧力での加圧下の加熱処理により焼結して形成される。前記接続する他方の電極端子にはワイヤボンディングを行う場合の金ワイヤ等のワイヤも含まれる。尚、前記分散溶液上に更に接続する他方の電極端子の接合面を配置する際に位置合わせを行うことが望ましい。
導電性ダイボンド部は、通常、表面被覆金属微粒子の分散液を電子部品における回路基板の接合面に載せ(塗布、印刷等も含まれる)、この上に更に接続する他方の電極端子の接合面を配置した後、無加圧又は所定圧力での加圧下の加熱処理により焼結して形成される。
前記加圧下の加熱処理は、両電極端子間、又は電極端子と基板間の加圧により導電接続部材前駆体と両電極端子接合面、又は電極端子と導電性基板間との接合を確実にするか、又は導電接続部材前駆体に適切な変形を生じさせて電極端子接合面との確実な接合を行うことができるとともに、導電接続部材前駆体と電極端子接合面との接合面積が大きくなり、接合信頼性を一層向上することができる。また、半導体素子と導電接続部材前駆体間を加圧型ヒートツール等を用いて加圧下で焼成すると、接合部での焼結性が向上してより良好な接合部が得られる。前記両電極端子間、又は電極端子と基板間の加圧は、0.5〜15MPaが好ましい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の一例に過ぎない。本発明は、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
以下に、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、以下は本発明の一例である。
まず、実施例及び比較例では、以下の材料を使用した。
<金属微粒子>
・銅微粒子(P1):以下の液相還元法で造粒されたもの。
まず、蒸留水:960gに、水酸化銅(関東化学株式会社製):14.6gと、水酸化カルシウム(関東化学株式会社製):0.74gと、有機分散剤としてポリビニルピロリドン(ハイケム株式会社製):50gとを添加し、これを撹拌して、原料溶液(a)を作製した。
次に、窒素ガス雰囲気下で、上記原料溶液(a)に、還元剤として水素化ホウ素ナトリウム溶液(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製、水酸化ナトリウム(14M)水溶液中に水素化ホウ素ナトリウムが約12質量%含まれる溶液)を添加し、還元反応水溶液1Lを調製した。この還元反応水溶液のpHは約12で、酸化還元電位は標準水素電極基準で−300mV以下であった。
さらに、窒素ガス雰囲気下、浴温20℃、60分間、上記還元反応水溶液を攪拌しながら、銅微粒子を析出させた。析出反応中は、上記還元反応水溶液の酸化還元電位が−300mV以下に保たれるように、上記還元剤を適宜追加する等した。
銅微粒子が析出した溶液は、遠心分離機で、粒子成分と上澄み溶液とに分離し、該粒子成分を沈殿回収した。その後、回収された粒子成分にエタノールを加えて、再度分散させ、該分散溶液を、遠心分離機を用いて、粒子成分と上澄み溶液とに再度分離し、該粒子成分を沈殿回収する作業を2回繰り返し、2回目に回収した粒子成分を水洗し、最後に、水洗後の粒子成分から溶媒を乾燥除去し、銅微粒子(P1)を得た。
・銅微粒子(P2):以下の液相還元法で造粒されたもの。
まず、蒸留水:960gに、水酸化銅:14.6gと、酢酸カルシウム一水和物(関東化学株式会社製):88gと、ホスフィン酸(関東化学株式会社製)19.8gと、有機分散剤としてのポリビニルピロリドン:50gとを添加し、これを撹拌して、原料溶液(b)を作製した。
原料溶液(a)に替えて上記原料溶液(b)を用いると共に、還元反応水溶液の酸化還元電位が、標準水素電極基準で−500mV以下に保たれるように、上記還元剤の添加量を適宜調整した以外は、銅微粒子(P1)と同様の方法で、銅微粒子(P2)を得た。
・銅微粒子(P3):以下の電解還元法で造粒されたもの。
まず、蒸留水に、酢酸銅(II)一水和物(関東化学株式会社製):20gと、酢酸カルシウム一水和物:1.76gと、ホウ酸(関東化学株式会社製):3.1gと、ホスフィン酸ナトリウム一水和物(関東化学株式会社製):5.3gと、有機分散剤としてN−ビニル−2−ピロリドン(関東化学株式会社製):30gとを添加し、これを撹拌して、還元反応水溶液1Lを調製した。この還元反応水溶液のpHは約6.0であった。
次に、上記還元反応水溶液中に、SUS304製棒陰極(カソード電極)と、白金板陽極(アノード電極)とを設置し、浴温10℃で、カソードの酸化還元電位が標準水素電極基準で−1500mV以下となるように電圧を印加し、15分間電解還元反応させ、カソード電極の外表面付近に、銅微粒子を析出させた。
銅微粒子が析出した溶液は、カーボン支持膜をとりつけたアルミニウム製のメッシュ上で、粒子成分と溶液とに分離し、該粒子成分を採取した。その後、採取した粒子成分を、銅微粒子(P1)と同様の方法でエタノール洗浄及び水洗浄を行い、最後に、溶媒を乾燥除去して、銅微粒子(P3)を得た。
・銅-亜鉛合金微粒子(P4):以下の電解還元法で造粒されたもの。
蒸留水に、酢酸銅(II)一水和物:20gと、酢酸亜鉛(II)二水和物(関東化学株式会社製):3.3gと、酢酸カルシウム一水和物:1.76gと、ホウ酸:3.1gと、ホスフィン酸ナトリウム一水和物:5.3gと、有機分散剤としてN−ビニル−2−ピロリドン:60gとを添加し、これを撹拌して、還元反応水溶液1Lを得た以外は、銅微粒子(P3)と同様の方法で、銅-亜鉛合金微粒子(P4)を得た。
・銅-スズ合金微粒子(P5):以下の電解還元法で造粒されたもの。
蒸留水に、酢酸銅(II)一水和物:20gと、酢酸スズ(II)(関東化学株式会社製):1.23gと、酢酸カルシウム一水和物:5.28gと、ホウ酸:3.1gと、ホスフィン酸ナトリウム一水和物:5.3gと、有機分散剤としてN−ビニル−2−ピロリドン:60gとを添加し、これを撹拌して、還元反応水溶液1Lを得た以外は、銅微粒子(P3)と同様の方法で、銅-スズ合金微粒子(P5)を得た。
・銅-ニッケル合金微粒子(P6):以下の電解還元法で造粒されたもの。
蒸留水に、酢酸銅(II)一水和物:20gと、酢酸ニッケル(II)四水和物(関東化学株式会社製):2.6g、酢酸カルシウム一水和物:1.76gと、ホウ酸:3.1gと、ホスフィン酸ナトリウム一水和物:5.3gと、有機分散剤としてN−ビニル−2−ピロリドン(関東化学株式会社製):60gとを添加し、これを撹拌して、還元反応水溶液1Lを得た以外は、銅微粒子(P3)と同様の方法で、銅-ニッケル合金微粒子(P6)を得た。
・銅微粒子(P7):以下の液相還元法で造粒されたもの。
上記還元反応水溶液の酸化還元電位が、標準水素電極基準で−300mV超−150mV以下に保たれるように、上記還元剤の添加量を適宜調整した以外は、銅微粒子(P1)と同様の方法で、銅微粒子(P7)を得た。
・銅微粒子(P8):以下の電解還元法で造粒されたもの。
カソードの酸化還元電位が、標準水素電極基準で−300mV超−250mV以下に保たれるように、印加する電圧を調整した以外は、銅微粒子(P3)と同様の方法で、銅微粒子(P8)を得た。
<被覆有機化合物>
・酢酸テトラメチルアンモニウム:セイケムジャパン合同会社製
・酢酸テトラエチルアンモニウム:セイケムジャパン合同会社製
・酢酸テトラブチルアンモニウム:セイケムジャパン合同会社製
・プロピオン酸テトラメチルアンモニウム:セイケムジャパン合同会社製
・酢酸フェニル:東京化成工業株式会社製
・トリプロピルアミン:東京化成工業株式会社製
・N,N−ジメチルホルムアミド:関東化学株式会社製
<溶媒>
・メタノール水溶液:メタノール濃度70体積%
(実施例1)
まず、溶媒としてのメタノール水溶液に、被覆有機化合物としての酢酸テトラメチルアンモニウムを溶解させ、酢酸テトラメチルアンモニウムの0.05モル/L溶液を調製した。
次に、上記酢酸テトラメチルアンモニウム溶液を被膜形成用溶液として、該溶液500mLに金属微粒子としての銅微粒子(P1):5gを添加して、浴温10℃で10分間、撹拌状態を保持して、被覆処理を行った。
その後、カーボン支持膜をとりつけたアルミニウム製のメッシュ上に、被覆処理後の銅微粒子を採取し、水洗とアルコール洗浄によって溶媒を乾燥除去することで、酢酸テトラメチルアンモニウムで被覆された銅微粒子を得た。
(実施例2〜10及び比較例1〜6)
実施例2〜10及び比較例1〜6では、被膜形成用溶液に含まれる被覆有機化合物の種類及びその濃度、使用した金属微粒子の種類及びその添加量、並びに被覆処理時の浴温及び保持時間を、それぞれ表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法で作製した。
[評価]
上記実施例及び比較例で作製した表面被覆金属微粒子について、以下の評価を行った。結果を表2及び3に示す。
[1]金属微粒子の金属組成
走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)(日本電子株式会社製、製品名:JSM−6330F)に付属する、エネルギ−分散型X線分光装置(日本電子株式会社製、製品名:SEM−EDX)を用い、金属微粒子を構成する金属成分の分析を行った。表2及び3に示される金属組成は、金属微粒子を構成する金属成分と、その含有量(質量%)であり、該含有量は、検出された金属成分の全量を100質量%として算出された値である。
必要に応じて、X線回折測定装置(株式会社リガク製、製品名:Geigerflex RAD−A)を用い、X線源CuKαによる金属微粒子の結晶構造分析を行った。
[2]一次粒子径
走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)(日本電子株式会社製、製品名:JSM−6330F)を用い、加速電圧5kV、倍率10万倍の条件下で観察し、測定対象となる金属微粒子のSEM画像を取得した。
取得したSEM画像の中から、任意に100個の金属微粒子を選定し、選定した金属微粒子の一次粒子のそれぞれについて、粒子径(最大寸法)を測定し、それぞれの金属微粒子の一次粒子径とした。そして、測定した100個の金属微粒子のうち、一次粒子径が最も小さい側と、最も大きい側の各5%分(5個)の粒子を除いた、90個の金属微粒子から一次粒子径の最小値及び最大値を求め、この最小値から最大値までの範囲を金属微粒子の一次粒子径の範囲とした。また、測定した100個の金属微粒子の一次粒子径(N=100)から平均値を算出し、これを金属微粒子の平均一次粒径とした。
[3]被覆有機化合物の同定
加熱炉式熱分解装置に導入して、試料から発生したガス成分をガスクロマトグラフ質量分析装置(アジレント・テクノロジー株式会社製、製品名:HP6890型、HP5973型)を用いて検出することで、金属微粒子の表面に被覆された被覆有機化合物の同定を行った。具体的には、解析データにおいて、有機添加物に帰属するピークを確認した。
必要に応じて、顕微ラマン分光装置(株式会社東京インスツルメンツ製、製品名:Nanofinder@30)、及びフーリエ変換赤外分光光度計(日本分光株式会社製、製品名:FT/IR−4100)を用い、有機添加物の官能基に関する分析も行った。
[4]被覆有機化合物の含有率
炭素・硫黄分析計(株式会社堀場製作所製、製品名:EMIA−920V2)を用いて、表面被覆金属微粒子における被覆有機化合物の含有率([被覆有機化合物の含有量/表面被覆金属微粒子の全量]×100(質量%))を算出した。
但し、測定結果から作成した検量線や装置の検出限界を下回る場合には、原則的に測定対象の物質は未検出とした。
[5]表面被覆金属微粒子の特性評価
表面被覆金属微粒子を用いて、以下の特性評価を行った。
[5−1]焼結導電体の作製(1)
下記の方法で作製した表面被覆金属微粒子の分散溶液(以下、単に「微粒子分散溶液」ということがある。)を、スピンコータでガラス基板(サイズ:2cm×2cm)上の全面に、焼結後の焼結導電体の厚みが10μmとなるようにそれぞれ塗布した。その後、試料を雰囲気制御型の熱処理炉内に設置し、窒素ガス雰囲気中150〜300℃の温度範囲で20〜40分間加熱・焼成した後、熱処理炉中でゆっくりと室温(20℃±5℃、以下においても同じ。)まで炉冷し、焼結導電体を得た。なお、各焼結導電体の焼成条件は表2及び3に示す。
<表面被覆金属微粒子の分散溶液の作製>
実施例1〜10及び比較例1〜6で得られた表面被覆金属微粒子に、表2及び3に示す有機溶媒(S)を添加し、表面被覆金属微粒子の濃度が20〜70質量%の範囲となるように溶液を調製し、超音波ホモジナイザーを用いてよく撹拌し、評価用の微粒子分散溶液を得た(評価No.A1〜A3、A4−(1)、A4−(2)、A5−(1)、A6〜A10、B1、B2−(1)、B2−(2)、B3−(1)及びB4〜B6)。なお、グリセリン及び1−オクタノールからなる有機溶媒(S)におけるグリセリンと1−オクタノールの混合比は質量比で1:1とし、その常圧における沸点は290℃である。またグリセリン及びエリトリトールからなる有機溶媒(S)におけるグリセリンとエリトリトールの混合比は質量比で1:1とし、その常圧における沸点は331℃である。
[5−2]焼結導電体の作製(2)
実施例5及び比較例3で得られた表面被覆金属微粒子に、表2及び3に示す有機溶媒(S)を添加し、表面被覆金属微粒子の濃度が50質量%になるように溶液を調製し、超音波ホモジナイザーを用いてよく撹拌し、評価用の微粒子分散溶液を得た(評価No.A5−(2)及びB3−(2))。
次に上記微粒子分散溶液を、スピンコータでガラス基板(同上)上の全面に、乾燥後の塗布膜の厚みが3μm程度となるようにそれぞれ塗布した。その後、各試料を雰囲気制御型の熱処理炉内に設置し、窒素ガス雰囲気中、50〜70℃の温度範囲で加熱して、塗布膜から有機溶媒を除去させて、乾燥粉末膜とした。その後、上記熱処理炉で、水素と窒素の混合ガス(Hガス3体積%、Nガス97体積%)雰囲気中、250℃の温度範囲で10分間加熱・焼成した後、熱処理炉中でゆっくりと室温まで炉冷し、焼結導電体を得た。
[5−3]焼結導電体の評価
<焼結導電体の抵抗率>
ガラス基板上に形成された焼結導電体に対し、抵抗率計(株式会社三菱化学アナリテック製、製品名:ロレスタ−GP)を用い、直流四端子法による四端子電気抵抗測定モードで、焼結導電体の電気抵抗率(Ω・cm)を測定した。測定は3回行い、その平均値を、焼結導電体の抵抗率とした。なお、本実施例では、焼結導電体の抵抗率が200Ω・cm以下である場合を良好と評価した。
<焼結導電体の空隙率>
ガラス基板上に形成された焼結導電体に対し、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)(株式会社日立製作所製、製品名:SEMEDXTypeN)を用い、加速電圧20kV、倍率500〜10000倍の条件下で観察し、測定対象となる焼結導電体断面のSEM画像を取得した。
取得した焼結導電体断面のSEM画像に対して、空隙部分のピクセルを黒色、それ以外の部分のピクセルを白色に2階調化し、画像処理ソフトを用いて、焼結導電体断面に発生した空隙部分の面積を数値化し、焼結導電体断面の全面積に対する空隙の発生割合、すなわち空隙率(面積%)を算出した。
[5−4]導電接続部材の作製
上記[5−1]で得られた微粒子分散溶液(評価No.A1〜A3、A4−(1)、A4−(2)、A5−(1)、A6〜A10、B1、B2−(1)、B2−(2)、B3−(1)及びB4〜B6)を、焼結後の導電接続部材の厚みが40μmとなるように、銅基板(サイズ:2cm×2cm)上に塗布乾燥した。その後、半導体シリコンチップ(サイズ:4mm×4mm)を4MPaの加圧力で塗布膜上に押し付けた試料を雰囲気制御型の熱処理炉内に設置し、窒素ガス雰囲気中150〜300℃の温度範囲で20〜40分間加熱・焼成した後、熱処理炉中でゆっくりと室温まで炉冷し、焼結体を介して半導体素子と導体基板とを接合した。
[5−5]導電接続部材の評価
<導電接続部材のダイシェア強度>
銅基板と半導体シリコンチップとの間に形成された接合部に対して、ダイシェア強度測定装置(テイジ・ジャパン株式会社製、製品名:万能型ボンドテスター、シリーズ4000)を用い、米国MIL−STD−883に準拠し、25℃の条件下で、ダイシェア強度(剥離強度)(N/mm)を測定した。
表2に示されるように、金属微粒子と、該金属微粒子の表面に形成された有機被膜と、を有し、金属微粒子の一次粒子径が1〜500nmの範囲内にあり、有機被膜が所定のカルボン酸アルキルアンモニウムを含む表面被覆金属微粒子(実施例1〜10)は、特に被覆有機化合物の高い分解性と触媒焼結性の向上によって、導電性に優れた焼結導電体が得られることが確認された。
一方、表3に示されるように、金属微粒子の一次粒子径が1〜500nmの範囲内にない表面被覆金属微粒子(比較例1及び3)は、本発明の表面被覆金属微粒子(実施例1〜10)に比べて、得られる焼結導電体の導電性が劣っていた。
また、表3に示されるように、比較例2及び4〜6に係る被覆金属微粒子は、特に有機被膜が、所定のカルボン酸アルキルアンモニウム以外の被覆有機化合物で構成されているため、本発明の表面被覆金属微粒子(実施例1〜10)に比べて、得られる焼結導電体の導電性が劣っていた。
また、表面被覆金属微粒子におけるカルボン酸アルキルアンモニウムの含有率が、0.005〜30質量%の範囲内にある表面被覆金属微粒子(実施例1〜5及び8〜10)は、該含有率が0.003質量%ある表面被覆金属微粒子(実施例6)及び該含有率が33質量%ある表面被覆金属微粒子(実施例7)に比べて、焼結導電体の空隙率及び導電接続部材のダイシェア強度をより向上できることが確認された。特に、金属微粒子が銅である場合に(実施例1〜5)、得られる焼結導電体の導電性を更に向上できる。
1 表面被覆金属微粒子
10 金属微粒子
11 金属核粒子
12 金属酸化物層
20 有機被膜
10a 金属微粒子の表面
11a 金属核粒子の表面

Claims (8)

  1. 金属微粒子と、該金属微粒子の表面に形成された有機被膜と、を有し、
    前記金属微粒子の一次粒子径が、1〜500nmの範囲内にあり、
    前記有機被膜が、下記式(1)で表されるカルボン酸アルキルアンモニウムを含む、表面被覆金属微粒子。

    上記式(1)中、R及びR〜Rは、それぞれ独立して水素原子又はアルキル基である(但し、R〜Rの全てが同時に水素原子になることはない。)。
  2. 前記アルキル基の炭素数が、1〜8である、請求項1に記載の表面被覆金属微粒子。
  3. 前記金属微粒子が、銅、亜鉛、スズ及びニッケルからなる群から選択される少なくとも一種の金属を含む、請求項1又は2に記載の表面被覆金属微粒子。
  4. 前記カルボン酸アルキルアンモニウムの含有率が、0.005〜30質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面被覆金属微粒子。
  5. 前記カルボン酸アルキルアンモニウムが、酢酸テトラメチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、酢酸テトラブチルアンモニウム及びプロピオン酸テトラメチルアンモニウムからなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面被覆金属微粒子。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面被覆金属微粒子が、有機溶媒(S)に分散してなる、表面被覆金属微粒子の分散溶液。
  7. 前記有機溶媒(S)が、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機化合物である有機溶媒(S1)を含む、請求項6に記載の表面被覆金属微粒子の分散溶液。
  8. 前記有機溶媒(S)が、1種又は2種以上の有機溶媒から構成され、
    前記有機溶媒(S)の常圧における沸点が、140〜350℃である、請求項6又は7に記載の表面被覆金属微粒子の分散溶液。
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