JP2019214748A - 表面被覆金属微粒子及びその分散溶液 - Google Patents
表面被覆金属微粒子及びその分散溶液 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2019214748A JP2019214748A JP2018111272A JP2018111272A JP2019214748A JP 2019214748 A JP2019214748 A JP 2019214748A JP 2018111272 A JP2018111272 A JP 2018111272A JP 2018111272 A JP2018111272 A JP 2018111272A JP 2019214748 A JP2019214748 A JP 2019214748A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fine particles
- metal fine
- coated metal
- organic
- copper
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Powder Metallurgy (AREA)
- Conductive Materials (AREA)
- Non-Insulated Conductors (AREA)
Abstract
Description
[1] 金属微粒子と、該金属微粒子の表面に形成された有機被膜と、を有し、
前記金属微粒子の一次粒子径が、1〜500nmの範囲内にあり、
前記有機被膜が、下記式(1)で表されるカルボン酸アルキルアンモニウムを含む、表面被覆金属微粒子。
上記式(1)中、R及びR1〜R4は、それぞれ独立して水素原子又はアルキル基である(但し、R1〜R4の全てが同時に水素原子になることはない。)。
[2] 前記アルキル基の炭素数が、1〜8である、上記[1]に記載の表面被覆金属微粒子。
[3] 前記金属微粒子が、銅、亜鉛、スズ及びニッケルからなる群から選択される少なくとも一種の金属を含む、上記[1]又は[2]に記載の表面被覆金属微粒子。
[4] 前記カルボン酸アルキルアンモニウムの含有率が、0.005〜30質量%である、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の表面被覆金属微粒子。
[5] 前記カルボン酸アルキルアンモニウムが、酢酸テトラメチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、酢酸テトラブチルアンモニウム及びプロピオン酸テトラメチルアンモニウムからなる群から選択される少なくとも一種である、上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の表面被覆金属微粒子。
[6] 上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の表面被覆金属微粒子が、有機溶媒(S)に分散してなる、表面被覆金属微粒子の分散溶液。
[7] 前記有機溶媒(S)が、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機化合物である有機溶媒(S1)を含む、上記[6]に記載の表面被覆金属微粒子の分散溶液。
[8] 前記有機溶媒(S)が、1種又は2種以上の有機溶媒から構成され、
前記有機溶媒(S)の常圧における沸点が、140〜350℃である、上記[6]又は[7]に記載の表面被覆金属微粒子の分散溶液。
本発明の表面被覆金属微粒子は、金属微粒子と、該金属微粒子の表面に形成された有機被膜と、を有し、前記金属微粒子の一次粒子径が、1〜500nmの範囲内にあり、前記有機被膜が、下記式(1)で表されるカルボン酸アルキルアンモニウム(以下、単に「カルボン酸アルキルアンモニウム」ということがある。)を含むことを特徴とする。
上記式(1)中、R及びR1〜R4は、それぞれ独立して水素原子又はアルキル基である(但し、R1〜R4の全てが同時に水素原子になることはない。)。
RCOONR1R2R3R4 → RCOOR1+R2R3R4N ・・・(I)
RCOONR1R2R3R4 + H2O→RCOOH+R1R2R3R4NOH ・・・(II)
金属微粒子10は、その一次粒子径が1〜500nmの範囲内にあり、好ましくは1〜250nmの範囲内にあり、より好ましくは1〜150nmの範囲内にあり、更に好ましくは1〜100nmの範囲内にある。上記範囲内であると被覆有機物が分解し易く、粒子間焼結が十分に進行する。一方、金属微粒子10の一次粒子径が、1nm未満であると、金属微粒子の表面に形成される酸化物層の厚さが粒子径に対して厚くなりすぎる恐れがあり、500nm超であると、上記触媒作用が低下し、粒子間焼結の反応性が大きく低下する。
まず、平均一次粒径が1.5μm(1500nm)の銅微粒子を準備した。該銅微粒子について、酸素含有量を測定したところ、該銅微粒子の全量100質量%に対して、0.34質量%であった。更に、該銅微粒子の表面に存在する酸化膜(後述する金属酸化物層12に対応)の厚みを計測したところ、4.78nmであった。
次に、上記測定結果に基づき、銅微粒子の表面に存在する酸化膜の厚み(4.78nm)は、該銅微粒子の平均一次粒子径によらず一定であると仮定し、銅微粒子の平均一次粒径が小さくなるに伴い、銅微粒子の比表面積が増大する関係から、平均一次粒径ごとに酸素含有量を算出し、これを平均一次粒子径との関係でグラフ化した。
金属微粒子10が含有する酸素量(酸素含有量)は、不可避的に含まれるか、又は必要に応じて含まれるかを問わず、金属微粒子の全量100質量%に対して、好ましくは1〜30質量%であり、より好ましくは1〜20質量%である。
なお、金属微粒子10における酸素の存在状態は、特に限定されないが、例えば金属微粒子10中に含まれる酸素含有化合物(酸化物や水酸化物等)の構成成分として存在していてもよい。
有機被膜20は、金属微粒子の表面10a上に形成されていればよく、金属微粒子の表面10aの全体を覆うように形成されていることが好ましいが、金属微粒子の表面10aの少なくとも一部を覆うように形成されていてもよい。
上記式(1)中、R及びR1〜R4は、それぞれ独立して水素原子又はアルキル基であり(但し、R1〜R4の全てが同時に水素原子になることはない。)、好ましくはアルキル基である。アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜8であり、より好ましくは1〜4である。アルキル基の炭素数が8以下であると、帯電状態が良好となり、分散性が向上すると共に、焼成時には分解性が良好となり、分解物は飛散し易く焼結体に残留し難くなる。
まず、(i)カルボン酸アルキルアンモニウムの分解性の高さ及びその分解物による焼結促進効果により、低温での焼結性が向上する。(ii)また、カルボン酸アルキルアンモニウムが、加熱前の金属微粒子の過剰な凝集を抑制し、金属微粒子が充填された状態を維持でき、空隙の少ない、緻密な焼結構造を形成できる。(iii)また、カルボン酸アルキルアンモニウムの分解物による基材及び電極の洗浄効果により、基材及び電極との界面での金属拡散反応が促進され、高い導電性及び接合性を実現できる。(iv)さらに、カルボン酸アルキルアンモニウムは加熱分解性が高いため、残留有機物の少ない焼結体が得られる。
他の成分としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、2−ピロリドン、及びアルキル−2−ピロリドンが挙げられる。
他の成分の含有量は、有機被膜20中に5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0質量%であってもよい。
本発明の表面被覆金属微粒子は、例えば、金属微粒子を下記の被覆処理方法(a)〜(c)により被覆処理することで、製造することができる。
本発明の分散溶液は、上述の本発明の表面被覆金属微粒子が、有機溶媒(S)に分散してなる。
有機溶媒(S)は、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機化合物である有機溶媒(S1)を含むことが好ましい。有機溶媒(S)が有機溶媒(S1)を含むことにより、焼成時に還元性ガス雰囲気を形成し易くなる。また、一般に時間の経過により分散溶液中の金属微粒子同士は凝集する傾向にあるが、有機溶媒(S1)は優れた分散性を有しているため、有機溶媒(S1)を有機溶媒(S)中に存在させることにより、このような凝集を効果的に抑制でき、分散液の一層の長期安定化を図ることが可能になる。また有機溶媒(S1)を有機溶媒(S)中に存在させると、その表面被覆金属微粒子の分散液を基板上に塗布して焼結した際、その焼成膜(焼結膜)の均一性が向上し、導電性の高い焼成膜を得ることができる。
前記エーテル系化合物としては、ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、t−アミルメチルエーテル、ジビニルエーテル、エチルビニルエーテル、アリルエーテル等が例示できる。前記ケトン系化合物としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等が例示できる。また、前記アミン系化合物としては、トリエチルアミン、ジエチルアミン等が例示できる。
混錬方法としては、公知の混錬方法を採用することができるが、例えば、遠心混錬法と乳鉢混錬法が好ましい。混錬時間は、特に限定されることはなく、混練方法に応じて任意に選択すればよい。
超音波照射方法としては、特に制限はなく、公知の方法から任意に選択することが可能である。超音波照射時間は、例えば、5〜60分間の間で任意に設定することができ、照射時間が長くなるほど、二次凝集した二次粒子の平均粒子サイズは小さくなる傾向にある。また、照射時間は長くなるほど、分散性はより一層向上する。
次に、本発明の表面被覆金属微粒子を用いて、焼結導電体を作製する方法の一例を説明する。
まず、上述の方法で作製した表面被覆金属微粒子の分散溶液を基板に塗布し、有機溶媒(S)の沸点よりも40〜50℃だけ低い温度範囲で焼結することにより、基板上に焼結導電体を形成することができる。
焼成温度は、有機溶媒(S)の沸点よりも40〜50℃だけ低い温度範囲であることが望ましいが、好ましくは100〜350℃であり、より好ましくは150〜300℃であり、更に好ましくは200〜300℃である。
また、焼成時間は、特に限定されず、例えば5分間〜1時間とすることができ、好ましくは10〜40分間である。
また、焼成雰囲気は、特に限定されず、例えば大気雰囲気、還元性ガス雰囲気、不活性ガス、及びこれらの混合雰囲気とすることができる。還元性ガスとしては、例えば水素ガスが挙げられ、また不活性ガスとしては、例えば窒素ガスが挙げられる。各雰囲気ガスは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。本発明の表面被覆金属微粒子の分散溶液を用いる場合、上記焼成温度に加熱された際に、有機溶媒(S)により還元性ガス雰囲気が形成されるため、焼成開始時の雰囲気は、必ずしも還元性ガス雰囲気である必要はなく、大気雰囲気又は不活性ガス雰囲気とすることができる。なお、焼成雰囲気中の酸素量を低減する観点では、焼成開始時の雰囲気は、不活性ガス雰囲気のような非酸化性雰囲気とすることが好ましい。
次に、本発明の表面被覆金属微粒子を用いて、導電接続部材の製造方法の一例を説明する。
まず、上述の方法で作製した表面被覆金属微粒子の分散溶液を電子部品における半導体素子もしくは回路基板の電極端子又は導電性基板の接合面に載せ、この上に更に接続する他方の電極端子又は導電性基板の接合面を配置し、加熱処理により焼結して形成することができる。
<金属微粒子>
・銅微粒子(P1):以下の液相還元法で造粒されたもの。
まず、蒸留水:960gに、水酸化銅(関東化学株式会社製):14.6gと、水酸化カルシウム(関東化学株式会社製):0.74gと、有機分散剤としてポリビニルピロリドン(ハイケム株式会社製):50gとを添加し、これを撹拌して、原料溶液(a)を作製した。
次に、窒素ガス雰囲気下で、上記原料溶液(a)に、還元剤として水素化ホウ素ナトリウム溶液(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製、水酸化ナトリウム(14M)水溶液中に水素化ホウ素ナトリウムが約12質量%含まれる溶液)を添加し、還元反応水溶液1Lを調製した。この還元反応水溶液のpHは約12で、酸化還元電位は標準水素電極基準で−300mV以下であった。
さらに、窒素ガス雰囲気下、浴温20℃、60分間、上記還元反応水溶液を攪拌しながら、銅微粒子を析出させた。析出反応中は、上記還元反応水溶液の酸化還元電位が−300mV以下に保たれるように、上記還元剤を適宜追加する等した。
銅微粒子が析出した溶液は、遠心分離機で、粒子成分と上澄み溶液とに分離し、該粒子成分を沈殿回収した。その後、回収された粒子成分にエタノールを加えて、再度分散させ、該分散溶液を、遠心分離機を用いて、粒子成分と上澄み溶液とに再度分離し、該粒子成分を沈殿回収する作業を2回繰り返し、2回目に回収した粒子成分を水洗し、最後に、水洗後の粒子成分から溶媒を乾燥除去し、銅微粒子(P1)を得た。
まず、蒸留水:960gに、水酸化銅:14.6gと、酢酸カルシウム一水和物(関東化学株式会社製):88gと、ホスフィン酸(関東化学株式会社製)19.8gと、有機分散剤としてのポリビニルピロリドン:50gとを添加し、これを撹拌して、原料溶液(b)を作製した。
原料溶液(a)に替えて上記原料溶液(b)を用いると共に、還元反応水溶液の酸化還元電位が、標準水素電極基準で−500mV以下に保たれるように、上記還元剤の添加量を適宜調整した以外は、銅微粒子(P1)と同様の方法で、銅微粒子(P2)を得た。
まず、蒸留水に、酢酸銅(II)一水和物(関東化学株式会社製):20gと、酢酸カルシウム一水和物:1.76gと、ホウ酸(関東化学株式会社製):3.1gと、ホスフィン酸ナトリウム一水和物(関東化学株式会社製):5.3gと、有機分散剤としてN−ビニル−2−ピロリドン(関東化学株式会社製):30gとを添加し、これを撹拌して、還元反応水溶液1Lを調製した。この還元反応水溶液のpHは約6.0であった。
次に、上記還元反応水溶液中に、SUS304製棒陰極(カソード電極)と、白金板陽極(アノード電極)とを設置し、浴温10℃で、カソードの酸化還元電位が標準水素電極基準で−1500mV以下となるように電圧を印加し、15分間電解還元反応させ、カソード電極の外表面付近に、銅微粒子を析出させた。
銅微粒子が析出した溶液は、カーボン支持膜をとりつけたアルミニウム製のメッシュ上で、粒子成分と溶液とに分離し、該粒子成分を採取した。その後、採取した粒子成分を、銅微粒子(P1)と同様の方法でエタノール洗浄及び水洗浄を行い、最後に、溶媒を乾燥除去して、銅微粒子(P3)を得た。
蒸留水に、酢酸銅(II)一水和物:20gと、酢酸亜鉛(II)二水和物(関東化学株式会社製):3.3gと、酢酸カルシウム一水和物:1.76gと、ホウ酸:3.1gと、ホスフィン酸ナトリウム一水和物:5.3gと、有機分散剤としてN−ビニル−2−ピロリドン:60gとを添加し、これを撹拌して、還元反応水溶液1Lを得た以外は、銅微粒子(P3)と同様の方法で、銅-亜鉛合金微粒子(P4)を得た。
・銅-スズ合金微粒子(P5):以下の電解還元法で造粒されたもの。
蒸留水に、酢酸銅(II)一水和物:20gと、酢酸スズ(II)(関東化学株式会社製):1.23gと、酢酸カルシウム一水和物:5.28gと、ホウ酸:3.1gと、ホスフィン酸ナトリウム一水和物:5.3gと、有機分散剤としてN−ビニル−2−ピロリドン:60gとを添加し、これを撹拌して、還元反応水溶液1Lを得た以外は、銅微粒子(P3)と同様の方法で、銅-スズ合金微粒子(P5)を得た。
・銅-ニッケル合金微粒子(P6):以下の電解還元法で造粒されたもの。
蒸留水に、酢酸銅(II)一水和物:20gと、酢酸ニッケル(II)四水和物(関東化学株式会社製):2.6g、酢酸カルシウム一水和物:1.76gと、ホウ酸:3.1gと、ホスフィン酸ナトリウム一水和物:5.3gと、有機分散剤としてN−ビニル−2−ピロリドン(関東化学株式会社製):60gとを添加し、これを撹拌して、還元反応水溶液1Lを得た以外は、銅微粒子(P3)と同様の方法で、銅-ニッケル合金微粒子(P6)を得た。
上記還元反応水溶液の酸化還元電位が、標準水素電極基準で−300mV超−150mV以下に保たれるように、上記還元剤の添加量を適宜調整した以外は、銅微粒子(P1)と同様の方法で、銅微粒子(P7)を得た。
・銅微粒子(P8):以下の電解還元法で造粒されたもの。
カソードの酸化還元電位が、標準水素電極基準で−300mV超−250mV以下に保たれるように、印加する電圧を調整した以外は、銅微粒子(P3)と同様の方法で、銅微粒子(P8)を得た。
・酢酸テトラメチルアンモニウム:セイケムジャパン合同会社製
・酢酸テトラエチルアンモニウム:セイケムジャパン合同会社製
・酢酸テトラブチルアンモニウム:セイケムジャパン合同会社製
・プロピオン酸テトラメチルアンモニウム:セイケムジャパン合同会社製
・酢酸フェニル:東京化成工業株式会社製
・トリプロピルアミン:東京化成工業株式会社製
・N,N−ジメチルホルムアミド:関東化学株式会社製
・メタノール水溶液:メタノール濃度70体積%
まず、溶媒としてのメタノール水溶液に、被覆有機化合物としての酢酸テトラメチルアンモニウムを溶解させ、酢酸テトラメチルアンモニウムの0.05モル/L溶液を調製した。
次に、上記酢酸テトラメチルアンモニウム溶液を被膜形成用溶液として、該溶液500mLに金属微粒子としての銅微粒子(P1):5gを添加して、浴温10℃で10分間、撹拌状態を保持して、被覆処理を行った。
その後、カーボン支持膜をとりつけたアルミニウム製のメッシュ上に、被覆処理後の銅微粒子を採取し、水洗とアルコール洗浄によって溶媒を乾燥除去することで、酢酸テトラメチルアンモニウムで被覆された銅微粒子を得た。
実施例2〜10及び比較例1〜6では、被膜形成用溶液に含まれる被覆有機化合物の種類及びその濃度、使用した金属微粒子の種類及びその添加量、並びに被覆処理時の浴温及び保持時間を、それぞれ表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法で作製した。
上記実施例及び比較例で作製した表面被覆金属微粒子について、以下の評価を行った。結果を表2及び3に示す。
走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)(日本電子株式会社製、製品名:JSM−6330F)に付属する、エネルギ−分散型X線分光装置(日本電子株式会社製、製品名:SEM−EDX)を用い、金属微粒子を構成する金属成分の分析を行った。表2及び3に示される金属組成は、金属微粒子を構成する金属成分と、その含有量(質量%)であり、該含有量は、検出された金属成分の全量を100質量%として算出された値である。
必要に応じて、X線回折測定装置(株式会社リガク製、製品名:Geigerflex RAD−A)を用い、X線源CuKαによる金属微粒子の結晶構造分析を行った。
走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)(日本電子株式会社製、製品名:JSM−6330F)を用い、加速電圧5kV、倍率10万倍の条件下で観察し、測定対象となる金属微粒子のSEM画像を取得した。
取得したSEM画像の中から、任意に100個の金属微粒子を選定し、選定した金属微粒子の一次粒子のそれぞれについて、粒子径(最大寸法)を測定し、それぞれの金属微粒子の一次粒子径とした。そして、測定した100個の金属微粒子のうち、一次粒子径が最も小さい側と、最も大きい側の各5%分(5個)の粒子を除いた、90個の金属微粒子から一次粒子径の最小値及び最大値を求め、この最小値から最大値までの範囲を金属微粒子の一次粒子径の範囲とした。また、測定した100個の金属微粒子の一次粒子径(N=100)から平均値を算出し、これを金属微粒子の平均一次粒径とした。
加熱炉式熱分解装置に導入して、試料から発生したガス成分をガスクロマトグラフ質量分析装置(アジレント・テクノロジー株式会社製、製品名:HP6890型、HP5973型)を用いて検出することで、金属微粒子の表面に被覆された被覆有機化合物の同定を行った。具体的には、解析データにおいて、有機添加物に帰属するピークを確認した。
必要に応じて、顕微ラマン分光装置(株式会社東京インスツルメンツ製、製品名:Nanofinder@30)、及びフーリエ変換赤外分光光度計(日本分光株式会社製、製品名:FT/IR−4100)を用い、有機添加物の官能基に関する分析も行った。
炭素・硫黄分析計(株式会社堀場製作所製、製品名:EMIA−920V2)を用いて、表面被覆金属微粒子における被覆有機化合物の含有率([被覆有機化合物の含有量/表面被覆金属微粒子の全量]×100(質量%))を算出した。
但し、測定結果から作成した検量線や装置の検出限界を下回る場合には、原則的に測定対象の物質は未検出とした。
表面被覆金属微粒子を用いて、以下の特性評価を行った。
下記の方法で作製した表面被覆金属微粒子の分散溶液(以下、単に「微粒子分散溶液」ということがある。)を、スピンコータでガラス基板(サイズ:2cm×2cm)上の全面に、焼結後の焼結導電体の厚みが10μmとなるようにそれぞれ塗布した。その後、試料を雰囲気制御型の熱処理炉内に設置し、窒素ガス雰囲気中150〜300℃の温度範囲で20〜40分間加熱・焼成した後、熱処理炉中でゆっくりと室温(20℃±5℃、以下においても同じ。)まで炉冷し、焼結導電体を得た。なお、各焼結導電体の焼成条件は表2及び3に示す。
実施例1〜10及び比較例1〜6で得られた表面被覆金属微粒子に、表2及び3に示す有機溶媒(S)を添加し、表面被覆金属微粒子の濃度が20〜70質量%の範囲となるように溶液を調製し、超音波ホモジナイザーを用いてよく撹拌し、評価用の微粒子分散溶液を得た(評価No.A1〜A3、A4−(1)、A4−(2)、A5−(1)、A6〜A10、B1、B2−(1)、B2−(2)、B3−(1)及びB4〜B6)。なお、グリセリン及び1−オクタノールからなる有機溶媒(S)におけるグリセリンと1−オクタノールの混合比は質量比で1:1とし、その常圧における沸点は290℃である。またグリセリン及びエリトリトールからなる有機溶媒(S)におけるグリセリンとエリトリトールの混合比は質量比で1:1とし、その常圧における沸点は331℃である。
実施例5及び比較例3で得られた表面被覆金属微粒子に、表2及び3に示す有機溶媒(S)を添加し、表面被覆金属微粒子の濃度が50質量%になるように溶液を調製し、超音波ホモジナイザーを用いてよく撹拌し、評価用の微粒子分散溶液を得た(評価No.A5−(2)及びB3−(2))。
次に上記微粒子分散溶液を、スピンコータでガラス基板(同上)上の全面に、乾燥後の塗布膜の厚みが3μm程度となるようにそれぞれ塗布した。その後、各試料を雰囲気制御型の熱処理炉内に設置し、窒素ガス雰囲気中、50〜70℃の温度範囲で加熱して、塗布膜から有機溶媒を除去させて、乾燥粉末膜とした。その後、上記熱処理炉で、水素と窒素の混合ガス(H2ガス3体積%、N2ガス97体積%)雰囲気中、250℃の温度範囲で10分間加熱・焼成した後、熱処理炉中でゆっくりと室温まで炉冷し、焼結導電体を得た。
<焼結導電体の抵抗率>
ガラス基板上に形成された焼結導電体に対し、抵抗率計(株式会社三菱化学アナリテック製、製品名:ロレスタ−GP)を用い、直流四端子法による四端子電気抵抗測定モードで、焼結導電体の電気抵抗率(Ω・cm)を測定した。測定は3回行い、その平均値を、焼結導電体の抵抗率とした。なお、本実施例では、焼結導電体の抵抗率が200Ω・cm以下である場合を良好と評価した。
ガラス基板上に形成された焼結導電体に対し、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)(株式会社日立製作所製、製品名:SEMEDXTypeN)を用い、加速電圧20kV、倍率500〜10000倍の条件下で観察し、測定対象となる焼結導電体断面のSEM画像を取得した。
取得した焼結導電体断面のSEM画像に対して、空隙部分のピクセルを黒色、それ以外の部分のピクセルを白色に2階調化し、画像処理ソフトを用いて、焼結導電体断面に発生した空隙部分の面積を数値化し、焼結導電体断面の全面積に対する空隙の発生割合、すなわち空隙率(面積%)を算出した。
上記[5−1]で得られた微粒子分散溶液(評価No.A1〜A3、A4−(1)、A4−(2)、A5−(1)、A6〜A10、B1、B2−(1)、B2−(2)、B3−(1)及びB4〜B6)を、焼結後の導電接続部材の厚みが40μmとなるように、銅基板(サイズ:2cm×2cm)上に塗布乾燥した。その後、半導体シリコンチップ(サイズ:4mm×4mm)を4MPaの加圧力で塗布膜上に押し付けた試料を雰囲気制御型の熱処理炉内に設置し、窒素ガス雰囲気中150〜300℃の温度範囲で20〜40分間加熱・焼成した後、熱処理炉中でゆっくりと室温まで炉冷し、焼結体を介して半導体素子と導体基板とを接合した。
<導電接続部材のダイシェア強度>
銅基板と半導体シリコンチップとの間に形成された接合部に対して、ダイシェア強度測定装置(テイジ・ジャパン株式会社製、製品名:万能型ボンドテスター、シリーズ4000)を用い、米国MIL−STD−883に準拠し、25℃の条件下で、ダイシェア強度(剥離強度)(N/mm2)を測定した。
10 金属微粒子
11 金属核粒子
12 金属酸化物層
20 有機被膜
10a 金属微粒子の表面
11a 金属核粒子の表面
Claims (8)
- 金属微粒子と、該金属微粒子の表面に形成された有機被膜と、を有し、
前記金属微粒子の一次粒子径が、1〜500nmの範囲内にあり、
前記有機被膜が、下記式(1)で表されるカルボン酸アルキルアンモニウムを含む、表面被覆金属微粒子。
上記式(1)中、R及びR1〜R4は、それぞれ独立して水素原子又はアルキル基である(但し、R1〜R4の全てが同時に水素原子になることはない。)。 - 前記アルキル基の炭素数が、1〜8である、請求項1に記載の表面被覆金属微粒子。
- 前記金属微粒子が、銅、亜鉛、スズ及びニッケルからなる群から選択される少なくとも一種の金属を含む、請求項1又は2に記載の表面被覆金属微粒子。
- 前記カルボン酸アルキルアンモニウムの含有率が、0.005〜30質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面被覆金属微粒子。
- 前記カルボン酸アルキルアンモニウムが、酢酸テトラメチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、酢酸テトラブチルアンモニウム及びプロピオン酸テトラメチルアンモニウムからなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面被覆金属微粒子。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面被覆金属微粒子が、有機溶媒(S)に分散してなる、表面被覆金属微粒子の分散溶液。
- 前記有機溶媒(S)が、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機化合物である有機溶媒(S1)を含む、請求項6に記載の表面被覆金属微粒子の分散溶液。
- 前記有機溶媒(S)が、1種又は2種以上の有機溶媒から構成され、
前記有機溶媒(S)の常圧における沸点が、140〜350℃である、請求項6又は7に記載の表面被覆金属微粒子の分散溶液。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018111272A JP6490856B1 (ja) | 2018-06-11 | 2018-06-11 | 表面被覆金属微粒子及びその分散溶液 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018111272A JP6490856B1 (ja) | 2018-06-11 | 2018-06-11 | 表面被覆金属微粒子及びその分散溶液 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP6490856B1 JP6490856B1 (ja) | 2019-03-27 |
JP2019214748A true JP2019214748A (ja) | 2019-12-19 |
Family
ID=65895228
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018111272A Active JP6490856B1 (ja) | 2018-06-11 | 2018-06-11 | 表面被覆金属微粒子及びその分散溶液 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6490856B1 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023033010A1 (ja) * | 2021-09-01 | 2023-03-09 | Jx金属株式会社 | 積層造形用純銅又は銅合金粉末 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11242912A (ja) * | 1997-11-13 | 1999-09-07 | E I Du Pont De Nemours & Co | 水ベースの厚膜導電性組成物 |
JP2009507988A (ja) * | 2005-09-12 | 2009-02-26 | ユーオーピー エルエルシー | 回転処理装置 |
JP2015076233A (ja) * | 2013-10-08 | 2015-04-20 | 東洋紡株式会社 | 導電性ペースト、及び金属薄膜 |
-
2018
- 2018-06-11 JP JP2018111272A patent/JP6490856B1/ja active Active
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11242912A (ja) * | 1997-11-13 | 1999-09-07 | E I Du Pont De Nemours & Co | 水ベースの厚膜導電性組成物 |
JP2009507988A (ja) * | 2005-09-12 | 2009-02-26 | ユーオーピー エルエルシー | 回転処理装置 |
JP2015076233A (ja) * | 2013-10-08 | 2015-04-20 | 東洋紡株式会社 | 導電性ペースト、及び金属薄膜 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023033010A1 (ja) * | 2021-09-01 | 2023-03-09 | Jx金属株式会社 | 積層造形用純銅又は銅合金粉末 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6490856B1 (ja) | 2019-03-27 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101375488B1 (ko) | 미립자 분산액, 및 미립자 분산액의 제조방법 | |
JP4928639B2 (ja) | 接合材およびそれを用いた接合方法 | |
JP4660701B2 (ja) | 銀被覆銅粉およびその製造方法並びに導電ペースト | |
JP5872063B2 (ja) | 銅粉 | |
KR102158290B1 (ko) | 접합재료, 접합체, 및 접합방법 | |
JP5520861B2 (ja) | 銅合金微粒子分散液、焼結導電体の製造方法、及び焼結導電体、並びに導電接続部材 | |
JP5969988B2 (ja) | 平板状の銀微粒子とその製造方法およびそれを用いたペーストとペーストを用いた印刷回路の製造方法 | |
JP2008198595A (ja) | 金属微粒子インクペースト及び有機酸処理金属微粒子 | |
JP2008176951A (ja) | 銀系微粒子インクペースト | |
JP6016664B2 (ja) | 銅微粒子分散溶液、焼結導電体の製造方法、及び導電接続部材の製造方法 | |
WO2016152214A1 (ja) | 銅粉及びそれを含む導電性組成物 | |
JP6796448B2 (ja) | 導電性ペーストおよびその製造方法、ならびに太陽電池セル | |
JP4279329B2 (ja) | 微粒子分散液、及び微粒子分散液の製造方法 | |
JP2017123326A (ja) | 金属粒子の分散溶液 | |
US9255205B2 (en) | Silver particle-containing composition, dispersion solution, and paste and method for manufacturing the same | |
JP6839568B2 (ja) | 銅微粒子集合体の分散溶液、焼結導電体の製造方法、及び焼結導電接合部材の製造方法 | |
JP5453598B2 (ja) | 銀被覆銅粉および導電ペースト | |
JP3687745B2 (ja) | 高分散性の金属粉、その製造方法及び該金属粉を含有する導電ペースト | |
JP6605848B2 (ja) | 表面被覆金属微粒子の分散溶液、ならびにこの分散溶液の塗布および焼結する工程を含む、焼結導電体および導電接続部材の製造方法 | |
JP6490856B1 (ja) | 表面被覆金属微粒子及びその分散溶液 | |
US20140127409A1 (en) | Method for producing fine particle dispersion | |
JP2014029845A (ja) | 導電性ペーストの製造方法 | |
JP3656558B2 (ja) | 導電性ペースト及びそれを用いた電子部品 | |
JP6778389B1 (ja) | 導電性ペースト、積層体、及びCu基板又はCu電極と導電体との接合方法 | |
JP2022049054A (ja) | 導電体作製方法、金属ペースト及び導電体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20190117 |
|
A871 | Explanation of circumstances concerning accelerated examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871 Effective date: 20190117 |
|
A975 | Report on accelerated examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005 Effective date: 20190123 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20190205 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20190227 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6490856 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |