JP6853437B2 - 銀粉、銀粉の製造方法、ペースト状組成物、接合体の製造方法および銀膜の製造方法 - Google Patents
銀粉、銀粉の製造方法、ペースト状組成物、接合体の製造方法および銀膜の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6853437B2 JP6853437B2 JP2017069145A JP2017069145A JP6853437B2 JP 6853437 B2 JP6853437 B2 JP 6853437B2 JP 2017069145 A JP2017069145 A JP 2017069145A JP 2017069145 A JP2017069145 A JP 2017069145A JP 6853437 B2 JP6853437 B2 JP 6853437B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- silver
- acid
- aqueous solution
- silver powder
- particle size
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)
- Powder Metallurgy (AREA)
- Conductive Materials (AREA)
- Non-Insulated Conductors (AREA)
- Manufacturing Of Electric Cables (AREA)
Description
よって、上記の構成の銀粉によれば、従来よりも低温での加熱によって緻密な焼結体を形成することができる。
この場合は、銀粉の一次粒子の大部分が、粒径が相対的に小さい20nm以上50nm以下の範囲にある一次粒子と、粒径が相対的に大きい粒径が200nm以上500nm以下の範囲にある一次粒子となるので、加熱によって得られる焼結体を確実に緻密にすることができる。
この場合、硝酸銀、塩素酸銀およびリン酸銀などの銀塩は、水のへの溶解度が高いため、これらの銀塩の水溶液とカルボン酸またはカルボン酸塩の水溶液とを水中に同時に滴下することによって、確実にカルボン酸銀粒子を生成させることができる。
この場合、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸及び酒石酸は、銀との親和性が高く、銀と安定なキレート(カルボン酸銀)を形成するため、これらのカルボン酸またはカルボン酸塩の水溶液との銀塩水溶液とを水中に同時に滴下することによって、確実にカルボン酸銀粒子を生成させることができる。また、これらのカルボン酸は銀粉の表面に付着しやすいので、飛行時間型二次イオン質量分析法において、C3H3O3 −イオン及びC6H6O8 −イオンとして検出される有機化合物(カルボン酸由来の有機化合物)で被覆された銀粉を得ることができる。
この場合、ヒドラジン、アスコルビン酸、シュウ酸、ギ酸及びこれらの塩類は、カルボン酸銀に対して優れた還元作用を有するので、銀粒子を確実に生成させることができる。またこれらの化合物は、水との親和性が高く、還元によって生成した銀粒子の表面に付着しにくいので、銀粉に混入しにくい。
この構成のペースト状組成物によれば、前述の銀粉を含むので、比較的低温の加熱により緻密な焼結体を生成させることができる。
この場合、アミン系溶媒は銀との親和性が高く、銀粒子の表面を均一に保護するので、長期間にわたって保存した後においても、比較的低温の加熱により緻密な焼結体を確実に生成させることができる。
この場合、アルキルアミンは銀粉との親和性が特に高いため、長期間にわたって保存した後においても、比較的低温の加熱により緻密な焼結体をより確実に生成させることができる。
本実施形態の銀粉は、純銀及び銀を主成分とする銀合金(銀の含有量が99質量%以上)で構成されたものとされている。
本実施形態の銀粉は、回路基板と電子部品とを接合するための接合材や太陽電池素子の電極の原料として使用することができる。本実施形態の銀粉を用いた接合材は、従来の加熱温度よりも低温の加熱処理であっても被接合物を接合することができるため、熱に弱い材料等を接合することができる。
C3H3O3 −イオンとC6H6O8 −イオンの検出量が少なくなりすぎると、すなわち銀粒子表面を被覆している有機化合物の量が少なくなりすぎると銀粒子の表面が活性となり、銀粉同士が強固に凝集し易くなるため、緻密な膜が得られなくなる。
一方、C3H3O3 −イオンとC6H6O8 −イオンの検出量が多くなりすぎると、すなわち銀粒子表面を被覆している有機化合物の量が多くなりすぎると、焼結性が低下して銀粉を焼結させるための加熱温度を高温にすることが必要となるおそれがある。
以上の理由から、本実施形態では、Ag+イオンの検出量に対して、C3H3O3 −イオンの検出量が0.2倍以上1.0倍以下、かつC6H6O8 −イオンの検出量が0.005倍以上0.02倍以下の範囲とされている。なお、銀粉の保存安定性を確実に向上させ、焼結温度を確実に低減させるために、Ag+イオンの検出量に対するC3H3O3 −イオンの検出量は、0.3倍以上0.5倍以下にあることが好ましい。また、銀粒子の表面に付着している有機化合物は、低分子量である方が加熱によって消失させ易いので好ましい。従って、C3H3O3 −イオンの検出量が、C6H6O8 −イオンの検出量よりも多い方が好ましい。C3H3O3 −イオンの検出量は、C6H6O8 −イオンの検出量に対して30倍以上50倍以下の範囲にあることが好ましい。
相対的に粒径が小さい一次粒子の量が少なくなりすぎると、焼結温度が高くなり、また相対的に粒径が大きい一次粒子同士の隙間に充填される一次粒子が少なくなるので、緻密な焼結体を製造しにくくなるおそれがある。
一方、相対的に粒径が大きい一次粒子の量が少なくなりすぎると、相対的に粒径が小さい一次粒子同士の隙間が多く形成されるので、緻密な焼結体を製造しにくくなるおそれがある。
以上の理由から、本実施形態では、粒径が20nm以上50nm以下の範囲にある相対的に粒径が小さい一次粒子の含有量が65個数%以上とされ、粒径が200nm以上500nm以下の範囲にある相対的に粒径が大きい一次粒子の含有量が3個数%以上とされている。なお、緻密な焼結体の製造を確実に製造できるようにするために、相対的に粒径が小さい一次粒子の含有量は67個数%以上であって、相対的に粒径が大きい一次粒子の含有量は5個数%以上であることが好ましい。
なお、銀粉の一次粒子径の形状としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、球状、棒状、鱗片状等が挙げられる。
次に、上述した銀粉の製造方法について、図1,2を参照して説明する。
先ず、図1に示すように、銀塩水溶液1とカルボン酸またはカルボン酸塩が溶解しているカルボン酸類水溶液2とを水3中に同時に滴下して、カルボン酸銀粒子を生成させてカルボン酸銀スラリー4を調製する。本実施形態では、銀塩水溶液1とカルボン酸類水溶液2とを水3中に同時に滴下するので、水3中の銀塩濃度とカルボン酸塩の濃度が低くなる。このため、銀塩濃度とカルボン酸塩の反応速度が遅くなり、粒子径が20nm以上50nm以下の小さいカルボン酸銀粒子と粒子径が200nm以上500nm以下の大きいカルボン酸銀粒子とが生成される。
ことができる。
本実施形態のペースト状組成物は、前述の銀粉と溶媒とを含む。
溶剤は、所定の範囲の蒸気圧を有する。溶媒の蒸気圧としては、具体的には、例えば、20℃において5〜866Paであることが好ましい。溶媒の蒸気圧が20℃において5Pa以上であることにより、加熱処理した際に、溶媒が接合層内部から抜けやすくなるため、銀粉が焼結しやすくなり、接合層のシェア強度が向上する。また、溶媒の蒸気圧が20℃において866Pa以下であることにより、塗布後の乾燥が抑えられるため、被接合物と均一かつ十分に接着し、接合層のシェア強度が向上する。
アルコール系溶媒としては、具体的には、例えば、α−テルピネオール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。グリコール系溶媒としては、具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。アセテート系溶媒としては、具体的には、例えば、酢酸ブチルトールカルビテート等が挙げられる。また、炭化水素系溶媒としては、具体的には、例えば、デカン、ドデカン、テトラデカン等が挙げられる。また、アミン系溶媒は、炭素数が6〜10であり、かつ分子量が101.19〜157.30であるアルキルアミンであることが好ましい。アルキルアミンとしては、具体的には、例えば、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン等が挙げられる。
溶媒は、上記溶媒を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
次に、本実施形態の接合体の製造方法について、図3を参照して説明する。
図3に本実施形態の接合体11を示す。図3に示すように、本実施形態の接合体11は、基板12と、第1の金属層13と、接合層14と、第2の金属層15と、被接合物16と、を備えて概略構成されている。
接合層14は、第1の金属層13と接触して界面17を形成している。また、接合層14は、第2の金属層15と接触して界面18を形成している。接合層14は、上述したペースト状組成物を第1の金属層13上に塗布し、塗布した面と第2の金属層15が対向するように被接合物16を置き、加熱処理することで形成されるものである。
第2の金属層15の材料としては、第1の金属層13に用いられる材料と同様のものを用いることができる。
本実施形態の接合体11の製造方法は、積層工程と焼結工程とを有する。
先ず、基板12(第1の部材)と被接合物16(第2の部材)とを、前述のペースト状組成物を介して積層した積層体を形成する。
具体的には、基板12の表面に、周知の方法により金属を積層することで、第1の金属層13を形成する。同様にして、被接合物16の表面に、第2の金属層15を形成する。基板12及び被接合物16の表面に金属を形成する方法としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、めっき法、印刷法等が挙げられる。
次に、第1の金属層13の表面に塗布したペースト状組成物の上に、第2の金属層15側が対向するように被接合物16を置いて積層体を作製する。
次に、上記のようにして形成した積層体を加熱して、ペースト状組成物を乾燥、焼結させて接合層14を生成させる。この接合層14を介して第1の金属層13及び第2の金属層15が接合される。
以上の工程により、接合体11が製造される。
次に、本実施形態の銀膜の製造方法について説明する。
本実施形態の製造方法により得られる銀膜は、例えば、太陽電池素子の電極として用いられる。
本実施形態の銀膜の製造方法は、以下の塗布工程と焼結工程とを含む。
まず、基材に、前述のペースト状組成物を塗布する。
基材としては、シリコン、ガラス、透明導電材料を含むセラミックス、高分子材料又は金属からなる基板のいずれか、或いはシリコン、ガラス、透明導電材料を含むセラミックス、高分子材料及び金属からなる群より選ばれた2種以上の積層体であることができる。また基材は太陽電池素子又は透明金属膜付き太陽電池素子のいずれかであることが好ましい。透明金属膜としては、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)、アンチモンドープ酸化錫(Antimony Tin Oxide:ATO)、ネサ(酸化錫SnO2)、IZO(Indium Zinc Oxide)、AZO(アルミドープZnO)等などが挙げられる。上記ペースト状組成物は太陽電池素子の光電変換半導体層の表面や、透明金属膜付き太陽電池素子の透明金属膜の表面に塗布されることが好ましい。
次に、前記ペースト状組成物を塗布した基材を加熱して、前記ペースト状組成物を乾燥、焼結させて銀膜を生成させる。加熱温度は、一般に130℃以上250℃以下の範囲、好ましくは150℃以上200℃以下の範囲である。上記の温度範囲にて加熱を行うことによって、強度が高く緻密な銀膜を形成することが可能となる。加熱時間は、一般に10分間〜1時間の範囲、好ましくは15〜40分間の範囲である。加熱雰囲気には特に制限はなく、大気雰囲気中、真空雰囲気中、還元性気体雰囲気中など任意に設定することができる。本実施形態の製造方法によって生成する銀膜の厚さは、一般に0.1μm以上2.0μm以下の範囲、好ましくは0.3μm以上1.5μm以下の範囲である。膜厚が薄くなりすぎると、例えば太陽電池素子の電極として用いる場合は、表面抵抗値が不十分となるおそれがある。一方、膜厚が厚くなりすぎると、銀粉の使用量が多くなってコストが高くなる。
(分類I)
初めに、銀塩水溶液1として硝酸銀水溶液(硝酸銀の濃度:66質量%)、カルボン酸類水溶液2としてクエン酸アンモニウム水溶液(クエン酸の濃度:56質量%)、還元剤水溶液5としてシュウ酸ナトリウム水溶液(シュウ酸の濃度:58質量%)を用意した。
クエン酸銀スラリー(カルボン酸銀スラリー4)と、シュウ酸ナトリウム水溶液(還元剤水溶液5)とをそれぞれ30℃に保持しながら、クエン酸銀スラリーにシュウ酸ナトリウム水溶液を滴下して混合スラリーを調製したこと、調製した混合スラリーを95℃まで昇温し、95℃で0.5時間保持したこと以外は、分類Iと同様にして分類IIの銀粉を得た。
クエン酸銀スラリー(カルボン酸銀スラリー4)と、シュウ酸ナトリウム水溶液(還元剤水溶液5)とをそれぞれ50℃に保持しながら、クエン酸銀スラリーにシュウ酸ナトリウム水溶液を滴下して混合スラリーを調製したこと、調製した混合スラリーを92℃まで昇温し、92℃で0.25時間保持したこと以外は、分類Iと同様にして分類IIIの銀粉を得た。
カルボン酸類水溶液2としてグリコール酸水溶液(グリコール酸の濃度:56質量%)を、還元剤水溶液5としてヒドラジン水溶液(ヒドラジンの濃度:58質量%)を用いたこと、グリコール酸銀スラリー(カルボン酸銀スラリー4)と、ヒドラジン水溶液(還元剤水溶液5)とをそれぞれ30℃に保持しながら、グリコール酸銀スラリーにヒドラジン水溶液を滴下して混合スラリーを調製したこと以外は、分類Iと同様にして分類IVの銀粉を得た。
カルボン酸類水溶液2としてグリコール酸水溶液(グリコール酸の濃度:56質量%)を、還元剤水溶液5としてギ酸水溶液(ギ酸の濃度:58質量%)を用いたこと、グリコール酸銀スラリー(カルボン酸銀スラリー4)と、ギ酸水溶液(還元剤水溶液5)とをそれぞれ30℃に保持しながら、グリコール酸銀スラリーにギ酸水溶液を滴下して混合スラリーを調製したこと以外は、分類Iと同様にして分類Vの銀粉を得た。
還元剤水溶液5としてギ酸アンモニウム水溶液(ギ酸の濃度:58質量%)を用いたこと以外は、分類Iと同様にして分類VIの銀粉を得た。
カルボン酸類水溶液2としてリンゴ酸アンモニウム水溶液(リンゴ酸の濃度:56質量%)を、還元剤水溶液5としてギ酸水溶液(ギ酸の濃度:58質量%)を用いたこと以外は、分類Iと同様にして分類VIIの銀粉を得た。
カルボン酸類水溶液2としてマレイン酸二ナトリウム水溶液(マレイン酸の濃度:56質量%)を用いたこと以外は、分類Iと同様にして分類VIIIの銀粉を得た。
カルボン酸類水溶液2としてマロン酸水溶液(マロン酸の濃度:56質量%)を、還元剤水溶液5としてアスコルビン酸ナトリウム水溶液(アスコルビン酸の濃度:58質量%)を用いたこと、マロン酸銀スラリー(カルボン酸銀スラリー4)と、アスコルビン酸ナトリウム水溶液(還元剤水溶液5)とをそれぞれ40℃に保持しながら、マロン酸銀スラリーにアスコルビン酸ナトリウム水溶液を滴下して混合スラリーを調製したこと、調製した混合スラリーを昇温速度20℃/時間で温度92℃まで昇温したこと以外は、分類Iと同様にして分類IXの銀粉を得た。
カルボン酸類水溶液2としてフマル酸とコハク酸とを含むカルボン酸水溶液(フマル酸の濃度:28質量%、コハク酸の濃度:28質量%)を、還元剤水溶液5としてギ酸水溶液(ギ酸の濃度:58質量%)を用いたこと以外は、分類Iと同様にして分類Xの銀粉を得た。
カルボン酸類水溶液2としてコハク酸水溶液(コハク酸の濃度:56質量%)を、還元剤水溶液5としてギ酸水溶液(ギ酸の濃度:58質量%)を用いたこと以外は、分類Iと同様にして分類XIの銀粉を得た。
カルボン酸類水溶液2として酒石酸アンモニウム水溶液(酒石酸の濃度:56質量%)を、還元剤水溶液5としてギ酸水溶液(ギ酸の濃度:58質量%)を用いたこと以外は、分類Iと同様にして分類XIIの銀粉を得た。
銀塩水溶液1として塩素酸銀水溶液(塩素酸銀の濃度:66質量%)を、カルボン酸類水溶液2としてグリコール酸水溶液(グリコール酸の濃度:56質量%)を、還元剤水溶液5としてヒドラジン水溶液(ヒドラジンの濃度:58質量%)を用いたこと以外は、分類Iと同様にして分類XIIIの銀粉を得た。
銀塩水溶液1として硝酸銀とりん酸銀とを含む銀塩水溶液(硝酸銀の濃度:33質量%、りん酸銀の濃度:33質量%)を、カルボン酸類水溶液2としてグリコール酸水溶液(グリコール酸の濃度:56質量%)を、還元剤水溶液5としてヒドラジン水溶液(ヒドラジンの濃度:58質量%)を用いたこと以外は、分類Iと同様にして分類XIVの銀粉を得た。
クエン酸銀スラリー(カルボン酸銀スラリー4)と、シュウ酸ナトリウム水溶液(還元剤水溶液5)とをそれぞれ15℃に保持しながら、クエン酸銀スラリーにシュウ酸ナトリウム水溶液を滴下して混合スラリーを調製したこと、調製した混合スラリーを70℃まで昇温し、70℃で0.5時間保持したこと以外は、分類Iと同様にして分類XVの銀粉を得た。
クエン酸銀スラリー(カルボン酸銀スラリー4)と、シュウ酸ナトリウム水溶液(還元剤水溶液5)とをそれぞれ60℃に保持しながら、クエン酸銀スラリーにシュウ酸ナトリウム水溶液を滴下して混合スラリーを調製したこと、調製した混合スラリーを97℃まで昇温し、97℃で1時間保持したこと以外は、分類Iと同様にして分類XVIの銀粉を得た。
クエン酸銀スラリー(カルボン酸銀スラリー4)と、シュウ酸ナトリウム水溶液(還元剤水溶液5)とをそれぞれ50℃に保持しながら、クエン酸銀スラリーにシュウ酸ナトリウム水溶液を滴下して混合スラリーを調製したこと、調製した混合スラリーを91℃まで昇温し、91℃で0.75時間保持したこと以外は、分類Iと同様にして分類XVIIIの銀粉を得た。
クエン酸銀スラリー(カルボン酸銀スラリー4)と、シュウ酸ナトリウム水溶液(還元剤水溶液5)とをそれぞれ60℃に保持しながら、クエン酸銀スラリーにシュウ酸ナトリウム水溶液を滴下して混合スラリーを調製したこと、調製した混合スラリーを91℃まで昇温し、91℃で0.5時間保持したこと以外は、分類Iと同様にして分類XVIIIの銀粉を得た。
クエン酸銀スラリー(カルボン酸銀スラリー4)と、シュウ酸ナトリウム水溶液(還元剤水溶液5)とをそれぞれ50℃に保持しながら、クエン酸銀スラリーにシュウ酸ナトリウム水溶液を滴下して混合スラリーを調製したこと、調製した混合スラリーを98℃まで昇温し、98℃で0.25時間保持したこと以外は、分類Iと同様にして分類XIXの銀粉を得た。
分類XXの銀粉として、市販の銀粉(三井金属工業社製、「SPQ03S」)を用意した。
分類I〜XVIIの銀粉について、一次粒子径の個数分布と、Ag+イオンに対するC3H3O3 −イオンとC6H6O8 −イオンの検出量を下記の方法により測定した。
銀粉の一次粒子径は、以下のようにして測定した。すなわち、銀粉をエポキシ樹脂と混合し、得られた混合物を硬化させて銀粒子径測定用試料を作製した。この銀粒子径測定用試料の中央部を切断し、その切断面をアルゴンイオンビームにより研磨加工した。研磨加工した加工面をSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察し、無作為に1000個以上の一次粒子を選択し、選択した一次粒子について、アルゴンイオンビームの照射方向に沿った方向の直径を一次粒子径として計測した。一次粒子径の個数分布は、計測した一次粒子径を10nmごとに区分することによって作成した。
Ag+イオンに対するC3H3O3 −イオンとC6H6O8 −イオンの検出量は、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)より測定した。銀粉をIn箔表面に埋没したものを測定用試料とした。測定装置はULVAC PHI社製nanoTOFIIを用いた。測定範囲は100μm平方の範囲、一次イオンはBi3 ++(30kV)、測定時間は5分の条件で測定してTOF−SIMSスペクトルを得た。得られたTOF−SIMSスペクトルから、Ag+イオン、C3H3O3 −イオン、C6H6O8 −イオンの検出量を求め、C3H3O3 −イオンとC6H6O8 −イオンの検出量を、それぞれAg+イオンの検出量で除して、Ag+イオンに対するC3H3O3 −イオンとC6H6O8 −イオンの検出量を算出した。
(本発明例1−1)
分類Iの銀粉とα−テルピネオール(20℃における蒸気圧:24Pa)とを、質量比が85:15となるように容器に入れ、混練機(THINKY社製、「あわとり練太郎」)で2000rpmの回転速度で5分間回転させる混練を3回行うことでペースト状組成物を得た。
下記の表2に記載されている分類の銀粉を用いたこと、下記の表2に記載の溶媒を用いたこと以外は、本発明例1−1と同様にしてペースト状組成物を得た。なお、表2には、銀粉の一次粒子の個数分布、20nm以上50nm以下の一次粒子と粒径が200nm以上500nm以下の一次粒子との合計含有量、有機化合物量のデータを併せて示した。
(本発明例2−1)
基板としてアルミ板を銀で被覆した板を用意し、銀上に本発明例1−1のペースト状組成物を、メタルマスク(孔サイズ:縦3mm×横3mm×厚さ50μm)を用いて印刷し成形した。次に、ペースト状組成物の上に、表面を銀で被覆したシリコンチップ(サイズ:縦2.5mm×横2.5mm×厚さ200μm)を乗せ、大気雰囲気中において150℃の温度で30分間保持することで焼成を行った。これにより基板とシリコンチップの間に接合層が形成され、接合体を得た。
ペースト状組成物として下記の表3に記載されているペースト状組成物を用いたこと以外は本発明例2−1と同様にして接合体を得た。ただし、比較例2−6では、基板とシリコンチップとが接合しなかった。
基板として金板を用いたこと、及びシリコンチップの表面に金を被覆したこと以外は本発明例2−1と同様にして接合体を得た。
基板として銅板を用いたこと、及びシリコンチップの表面に銅を被覆したこと以外は本発明例2−1と同様にして接合体を得た。
本発明例2−1〜2−20及び比較例2−1〜2−5の基板とシリコンチップの間に形成された接合層について、シェア強度をそれぞれ測定した。シェア強度は、基板とシリコンチップの間に形成された接合層を破断するのに要する力を、ボンディングテスタ(RHESCA社製)により測定し、この測定値を接合面積で除してシェア強度とした。また、緻密性の評価は以下のようにして行った。すなわち、接合層の断面をバフ研磨、イオンビーム研磨後、接合層の断面をSEMにて観察し、視野中の銀部と空孔部とに分け、画像処理ソフトによって二値化処理し、視野中の銀部の割合を面積%で表わした際、85面積%以上を◎、面積75wt%以上85面積%未満を○、75面積%未満を×とした。
2…カルボン酸塩水溶液
3…水
4…カルボン酸銀スラリー
5…還元剤水溶液
11…接合体
12…基板
13…第1の金属層
14…接合層
15…第2の金属層
16…被接合物
17、18…界面
Claims (6)
- 表面が、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸および酒石酸からなる群より選ばれた1種又は2種以上のカルボン酸由来の有機化合物で被覆されていて、飛行時間型二次イオン質量分析法において、測定範囲は100μm平方の範囲、一次イオンはBi 3 ++ (30kV)、測定時間は5分の条件で測定された、Ag+イオンの検出量に対して、前記有機化合物に由来するC3H3O3 −イオンの検出量が0.2倍以上1.0倍以下、かつ前記有機化合物に由来するC6H6O8 −イオンの検出量が0.005倍以上0.02倍以下の範囲にあり、一次粒子径の個数分布において、粒径が20nm以上50nm以下の範囲にある一次粒子の含有量が65個数%以上であり、かつ粒径が200nm以上500nm以下の範囲にある一次粒子の含有量が3個数%以上であることを特徴とする銀粉。
- 前記一次粒子径の個数分布において、粒径が20nm以上50nm以下の範囲にある一次粒子と、粒径が200nm以上500nm以下の範囲にある一次粒子との合計含有量が85個数%以上であることを特徴とする請求項1に記載の銀粉。
- 硝酸銀、塩素酸銀およびリン酸銀からなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物である銀塩の水溶液と、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸および酒石酸からなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物であるカルボン酸または前記カルボン酸の塩の水溶液とを水中に同時に、銀とカルボン酸の当量比が1.1以上2.0以下の範囲となる割合で滴下して、カルボン酸銀粒子を生成させてカルボン酸銀スラリーを調製する工程と、
前記カルボン酸銀スラリーに、ヒドラジン、アスコルビン酸、シュウ酸、ギ酸及びこれらの塩類からなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物である還元剤の水溶液を滴下した後、92℃以上95℃以下の範囲の温度で保持することにより、前記カルボン酸銀粒子を還元して銀粒子を生成させて銀粉スラリーを調製する工程と、
前記銀粉スラリーを乾燥して銀粉を得る工程と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の銀粉の製造方法。 - 請求項1に記載の銀粉と溶媒とを含むことを特徴とするペースト状組成物。
- 第1の部材と第2の部材とが接合層を介して接合されている接合体の製造方法であって、
前記第1の部材と前記第2の部材とを、請求項4に記載のペースト状組成物を介して積層した積層体を形成する積層工程と、
前記積層体を加熱して、前記ペースト状組成物を乾燥、焼結させて接合層を生成させる焼結工程と、
を有することを特徴とする接合体の製造方法。 - 基材に、請求項4に記載のペースト状組成物を塗布する塗布工程と、
前記ペースト状組成物を塗布した基材を加熱して、前記ペースト状組成物を乾燥、焼結させて銀膜を生成させる焼結工程と、
を含むことを特徴とする銀膜の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017069145A JP6853437B2 (ja) | 2017-03-30 | 2017-03-30 | 銀粉、銀粉の製造方法、ペースト状組成物、接合体の製造方法および銀膜の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017069145A JP6853437B2 (ja) | 2017-03-30 | 2017-03-30 | 銀粉、銀粉の製造方法、ペースト状組成物、接合体の製造方法および銀膜の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018168458A JP2018168458A (ja) | 2018-11-01 |
JP6853437B2 true JP6853437B2 (ja) | 2021-03-31 |
Family
ID=64017671
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017069145A Active JP6853437B2 (ja) | 2017-03-30 | 2017-03-30 | 銀粉、銀粉の製造方法、ペースト状組成物、接合体の製造方法および銀膜の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6853437B2 (ja) |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5320769B2 (ja) * | 2007-02-27 | 2013-10-23 | 三菱マテリアル株式会社 | 金属ナノ粒子の合成方法 |
JP5502434B2 (ja) * | 2008-11-26 | 2014-05-28 | 三ツ星ベルト株式会社 | 無機素材用接合剤及び無機素材の接合体 |
JP5824201B2 (ja) * | 2009-09-11 | 2015-11-25 | Dowaエレクトロニクス株式会社 | 接合材およびそれを用いた接合方法 |
US9533380B2 (en) * | 2012-01-20 | 2017-01-03 | Dowa Electronics Materials Co., Ltd. | Bonding material and bonding method in which said bonding material is used |
JP6428339B2 (ja) * | 2015-02-13 | 2018-11-28 | 三菱マテリアル株式会社 | 銀粉及びペースト状組成物並びに銀粉の製造方法 |
-
2017
- 2017-03-30 JP JP2017069145A patent/JP6853437B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2018168458A (ja) | 2018-11-01 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5843821B2 (ja) | 金属粉ペースト、及びその製造方法 | |
KR101852649B1 (ko) | 가열 접합용 재료, 가열 접합용 코팅 재료, 코팅물, 및 전자부품의 접합방법 | |
JP6462715B2 (ja) | 電子部品の導電性接合体及びこれを用いた半導体装置、並びに導電性接合体の製造方法 | |
TWI527069B (zh) | And a method for producing metal powder paste | |
WO2019188511A1 (ja) | 銅ペースト、接合方法および接合体の製造方法 | |
JP6309335B2 (ja) | 配線基板および半導体装置 | |
JP7164775B2 (ja) | 接合用導電性ペースト | |
JP2019173165A (ja) | 銀多孔質焼結膜および接合体の製造方法 | |
JP6859799B2 (ja) | ペースト状銀粉組成物、接合体の製造方法および銀膜の製造方法 | |
JP2017031470A (ja) | 接合材及び接合体の製造方法 | |
TW202033779A (zh) | 接合材料用粒子及其製造方法、接合用糊料及其調製方法以及接合體之製造方法 | |
CN113168931B (zh) | 导电性糊料、层叠体及Cu基板或Cu电极与导电体的接合方法 | |
TW201719677A (zh) | 導電性糊劑 | |
JP6853437B2 (ja) | 銀粉、銀粉の製造方法、ペースト状組成物、接合体の製造方法および銀膜の製造方法 | |
JP5733638B2 (ja) | 接合材料およびそれを用いた半導体装置、ならびに配線材料およびそれを用いた電子素子用配線 | |
JP6565527B2 (ja) | Ag下地層付パワーモジュール用基板及びパワーモジュール | |
WO2019188793A1 (ja) | 銀多孔質焼結膜および接合体の製造方法 | |
CN111699064B9 (zh) | 金属粒子凝集体及其制造方法以及膏状金属粒子凝集体组合物及使用它的接合体的制造方法 | |
TW201922970A (zh) | 銀微粒子分散液 | |
JP6942469B2 (ja) | 焼結性金属粒子および電子工学用途におけるその使用 | |
TW202122188A (zh) | 接合材、接合材的製造方法及接合體 | |
TWI416547B (zh) | Rheostat and its manufacturing method | |
JP2017106086A (ja) | 接合材及び接合体の製造方法 | |
JP7196706B2 (ja) | 接合用シート及びこの接合用シートを用いて電子部品を基板に接合する方法 | |
TWI342569B (en) | Esd protective materials and method for making the same |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20181012 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20190925 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20200624 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20200721 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20200908 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20210105 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20210118 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6853437 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |