JP6853437B2 - 銀粉、銀粉の製造方法、ペースト状組成物、接合体の製造方法および銀膜の製造方法 - Google Patents

銀粉、銀粉の製造方法、ペースト状組成物、接合体の製造方法および銀膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば、回路基板と電子部品とを接合するための接合材や太陽電池素子の電極の原料として用いられる銀粉と、この銀粉を製造する方法とに関するものである。本発明はまた、上記の銀粉を含むペースト状組成物と、このペースト状組成物を用いた接合体の製造方法および銀膜の製造方法にも関する。
粒径がナノサイズの金属ナノ粒子からなる微細な金属粉は、金属本来の融点よりも低い温度で焼結させることが可能となることが知られている。特に、微細な銀粉は導電性と放熱性が高いことから、回路基板と半導体チップやLED素子などの電子部品とを接合するための接合材や太陽電池素子の電極などの原料として注目されている。
特許文献1には、粒径がナノサイズの金属ナノ粒子を製造する方法として、金属塩水溶液(A)、カルボン酸類水溶液(B)、還元剤水溶液(C)をそれぞれ調製する工程と、カルボン酸類水溶液(B)と金属塩水溶液(A)又は還元剤水溶液(C)のいずれか一方とを混合して混合液を形成する工程と、混合液に金属塩水溶液(A)又は還元剤水溶液(C)のいずれか他方を添加して更に混合することにより金属ナノ粒子を生成させる工程とを有する方法が開示されている。
特許文献2には、金属ナノ粒子を用いた接合材として、平均一次粒径が0.5〜3.0μmである金属サブミクロン粒子と、平均一次粒子径が1〜200nmであって、炭素数6〜8の有機化合物で被覆された金属ナノ粒子と、これらを分散させる分散媒を含む接合材が開示されている。
特開2009−191354号公報 特開2011−80147号公報
近年の電気機器の小型化や高機能化に伴って、半導体素子の高集積化が進められており、半導体素子にて発生する熱量は増加する傾向にある。このため、金属ナノ粒子を用いた接合材においては、なるべく低温の加熱によって、空孔が少ない緻密な焼結体(接合層)を形成できるものであることが望まれている。緻密な焼結体とすることによって、基板回路と半導体素子とを高い接合強度で接合することができ、また、熱伝導性が高くなるので半導体素子で発生した熱を外部に放出し易くなり、さらには熱膨張や熱収縮による破損が起こりにくいという利点がある。
特許文献1に記載されている金属ナノ粒子の製造方法は、金属ナノ粒子を製造する方法としては有用である。しかしながら、金属ナノ粒子のみを含む金属粉は、粒子間に隙間が形成しやすく、緻密な焼結体を形成するのが難しいという問題があった。
一方、特許文献2に記載されている金属ナノ粒子と金属サブミクロン粒子とを含む接合材は、金属サブミクロン粒子間の隙間に金属ナノ粒子が充填されるので、金属ナノ粒子のみからなる金属粉と比較して緻密な焼結体を形成することが可能となる。しかしながら、特許文献2に記載されている接合材は、金属ナノ粒子は炭素数6〜8の有機化合物で被覆されていて、金属サブミクロン粒子とは表面状態が異なるため、部分的に有機化合物が残存すると接合強度が低下してしまうおそれがあった。また、有機化合物を完全に除去するためには、高温で加熱する必要があった。さらに、その接合材の製造に際しては、表面状態が異なる金属サブミクロン粒子と金属ナノ粒子とをそれぞれ用意し、これらを分散媒に混合することが必要となるための作業が煩雑となるおそれがあった。
本発明は、以上のような事情を背景としてなされたものであって、従来よりも低温での加熱により緻密な焼結体を生成させることができる銀粉と銀粉の製造方法を提供することを目的としている。本発明はまた、上記の銀粉を含むペースト状組成物と、このペースト状組成物を用いた接合体の製造方法および銀膜の製造方法を提供することも目的としている。
上記の課題を解決するために、本発明の銀粉は、表面が、グリコール酸、クエン酸アンモニウム及びマロン酸からなる群より選ばれた1種又は2種種以上のカルボン酸由来の有機化合物で被覆されていて、飛行時間型二次イオン質量分析法において、測定範囲は100μm平方の範囲、一次イオンはBi ++ (30kV)、測定時間は5分の条件で測定された、Agイオンの検出量に対して、前記有機化合物に由来する イオンの検出量が0.2倍以上1.0倍以下、かつ前記有機化合物に由来する イオンの検出量が0.005倍以上0.02倍以下の範囲にあり、一次粒子径の個数分布において、粒径が20nm以上50nm以下の範囲にある一次粒子の含有量が65個数%以上であり、かつ粒径が200nm以上500nm以下の範囲にある一次粒子の含有量が3個数%以上であることを特徴としている。
この構成の銀粉によれば、飛行時間型二次イオン質量分析法において、C イオン及びC イオンとして検出される有機化合物で被覆されているので、長期間保存しても表面が変質しにくい。また、Agイオンの検出量に対して、C イオンの検出量が0.2倍以上1.0倍以下、かつC イオンの検出量が0.005倍以上0.02倍以下の範囲にあり、粒子表面を被覆している有機化合物の量が少ないため、低温での加熱によって、有機化合物が消失して銀粒子の表面が露出するので、銀粒子同士の焼結が促進される。
また、上記の構成の銀粉は、一次粒子径の個数分布において、粒径が20nm以上50nm以下の範囲にある、相対的に粒子径が小さい一次粒子の含有量が65個数%以上であり、かつ粒径が200nm以上500nm以下の範囲にある、相対的に粒子径が大きい一次粒子の含有量が3個数%以上とされているので、加熱によって得られる焼結体は、相対的に粒径が大きい一次粒子同士の間に、相対的に粒径が小さい一次粒子が充填された形状となり緻密となる。
よって、上記の構成の銀粉によれば、従来よりも低温での加熱によって緻密な焼結体を形成することができる。
ここで、本発明の銀粉においては、前記一次粒子径の個数分布において、粒径が20nm以上50nm以下の範囲にある一次粒子と、粒径が200nm以上500nm以下の範囲にある一次粒子との合計含有量が85個数%以上であることが好ましい。
この場合は、銀粉の一次粒子の大部分が、粒径が相対的に小さい20nm以上50nm以下の範囲にある一次粒子と、粒径が相対的に大きい粒径が200nm以上500nm以下の範囲にある一次粒子となるので、加熱によって得られる焼結体を確実に緻密にすることができる。
本発明の銀粉の製造方法は、硝酸銀、塩素酸銀およびリン酸銀からなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物である銀塩水溶液と、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸および酒石酸からなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物であるカルボン酸または前記カルボン酸塩の水溶液とを水中に同時に、銀とカルボン酸の当量比が1.1以上2.0以下の範囲となるように滴下して、カルボン酸銀粒子を生成させてカルボン酸銀スラリーを調製する工程と、前記カルボン酸銀スラリーに、ヒドラジン、アスコルビン酸、シュウ酸、ギ酸及びこれらの塩類からなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物である還元剤水溶液を滴下した後、92℃以上95℃以下の範囲の温度で保持することにより、前記カルボン酸銀粒子を還元して銀粒子を生成させて銀粉スラリーを調製する工程と、前記銀粉スラリーを乾燥して銀粉を得る工程と、を有することを特徴としている。
この構成の銀粉の製造方法によれば、銀塩水溶液とカルボン酸またはカルボン酸塩の水溶液とを水中に同時に滴下して、カルボン酸銀粒子を生成させるので、粒径が20nm以上50nm以下の範囲と粒径が200nm以上500nm以下の範囲とにそれぞれピークを有するカルボン酸銀粒子を生成させることができる。そして、そのカルボン酸銀粒子を含むカルボン酸銀スラリーに還元剤水溶液を滴下した後、92℃以上95℃以下の範囲の温度で保持することにより、カルボン酸銀粒子を還元するので、表面がC イオンとC イオンで被覆され、かつ一次粒子径の個数分布において、粒径が20nm以上50nm以下の範囲と粒径が200nm以上500nm以下の範囲とにそれぞれピークを有する銀粒子を生成させることができる。
また、上記の構成の銀粉の製造方法によって得られる銀粒子の表面はカルボン酸に由来する有機化合物で被覆されているので、銀粒子の表面が酸化しにくく、凝集が起こりにくくなる。さらに、得られた銀粉は、粒径が20nm以上50nm以下の範囲にある銀粒子と、粒径が200nm以上500nm以下の範囲にある銀粒子とを含み、その両方の銀粒子の表面が、比較的低温で分解するカルボン酸由来の有機化合物(保護剤)で被覆されているので、低温での加熱によって銀粉から保護剤が外れ、銀粉同士の焼結が進行し、緻密な焼結体を形成することができる。
ここで、本発明の銀粉の製造方法においては、前記銀塩水溶液中の銀塩は、硝酸銀、塩素酸銀およびリン酸銀からなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物である。
この場合、硝酸銀、塩素酸銀およびリン酸銀などの銀塩は、水のへの溶解度が高いため、これらの銀塩の水溶液とカルボン酸またはカルボン酸塩の水溶液とを水中に同時に滴下することによって、確実にカルボン酸銀粒子を生成させることができる。
また、本発明の銀粉の製造方法においては、前記カルボン酸またはカルボン酸塩の水溶液中のカルボン酸は、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸および酒石酸からなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物である。
この場合、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸及び酒石酸は、銀との親和性が高く、銀と安定なキレート(カルボン酸銀)を形成するため、これらのカルボン酸またはカルボン酸塩の水溶液との銀塩水溶液とを水中に同時に滴下することによって、確実にカルボン酸銀粒子を生成させることができる。また、これらのカルボン酸は銀粉の表面に付着しやすいので、飛行時間型二次イオン質量分析法において、C イオン及びC イオンとして検出される有機化合物(カルボン酸由来の有機化合物)で被覆された銀粉を得ることができる。
さらに、本発明の銀粉の製造方法においては、前記還元剤水溶液中の還元剤が、ヒドラジン、アスコルビン酸、シュウ酸、ギ酸及びこれらの塩類からなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物である。
この場合、ヒドラジン、アスコルビン酸、シュウ酸、ギ酸及びこれらの塩類は、カルボン酸銀に対して優れた還元作用を有するので、銀粒子を確実に生成させることができる。またこれらの化合物は、水との親和性が高く、還元によって生成した銀粒子の表面に付着しにくいので、銀粉に混入しにくい。
本発明のペースト状組成物は、前述の銀粉と溶媒とを含むことを特徴としている。
この構成のペースト状組成物によれば、前述の銀粉を含むので、比較的低温の加熱により緻密な焼結体を生成させることができる。
ここで、本発明のペースト状組成物において、前記溶媒はアミン系溶媒を含むことが好ましい。
この場合、アミン系溶媒は銀との親和性が高く、銀粒子の表面を均一に保護するので、長期間にわたって保存した後においても、比較的低温の加熱により緻密な焼結体を確実に生成させることができる。
また、前記アミン系溶媒は、炭素数が6〜10であり、かつ分子量が101.19〜157.30であるアルキルアミンであることが好ましい。
この場合、アルキルアミンは銀粉との親和性が特に高いため、長期間にわたって保存した後においても、比較的低温の加熱により緻密な焼結体をより確実に生成させることができる。
本発明の接合体の製造方法は、第1の部材と第2の部材とが接合層を介して接合されている接合体の製造方法であって、前記第1の部材と前記第2の部材とを、前述のペースト状組成物を介して積層した積層体を形成する積層工程と、前記積層体を加熱して、前記ペースト状組成物を乾燥、焼結させて接合層を生成させる焼結工程と、を有することを特徴としている。
この構成の接合体の製造方法によれば、接合層を生成させる接合材として前述の銀粉を含むペースト状組成物を用いるので、従来よりも低温での加熱により接合強度の高い接合体を製造することができる。
本発明の銀膜の製造方法は、基材に、前述のペースト状組成物を塗布する塗布工程と、前記ペースト状組成物を塗布した基材を加熱して、前記ペースト状組成物を乾燥、焼結させて銀膜を生成させる焼結工程と、を含むことを特徴としている。
この構成の銀膜の製造方法によれば、銀膜の材料として前述の銀粉を含むペースト状組成物を用いるので、従来よりも低温での加熱により緻密な銀膜を製造することができる。
本発明によれば、従来よりも低温での加熱により緻密な焼結体を生成させることができる銀粉と銀粉の製造方法を提供することが可能となる。また、本発明によれば、上記の銀粉を含むペースト状組成物と、このペースト状組成物を用いた接合体の製造方法および銀膜の製造方法を提供することが可能となる。
本発明の実施形態である銀粉の製造方法を説明するための図である。 本発明の実施形態である銀粉の製造方法を説明するための図である。 本発明を適用した実施形態である接合体の模式断面図である。
以下、本発明を適用した一実施形態である銀粉及び接合体の製造方法について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
<銀粉>
本実施形態の銀粉は、純銀及び銀を主成分とする銀合金(銀の含有量が99質量%以上)で構成されたものとされている。
本実施形態の銀粉は、回路基板と電子部品とを接合するための接合材や太陽電池素子の電極の原料として使用することができる。本実施形態の銀粉を用いた接合材は、従来の加熱温度よりも低温の加熱処理であっても被接合物を接合することができるため、熱に弱い材料等を接合することができる。
本実施形態の銀粉は、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)において、Agイオンの検出量に対して、C イオンの検出量が0.2倍以上1.0倍以下、かつC イオンの検出量が0.005倍以上0.02倍以下の範囲とされている。また、一次粒子径の個数分布において2つのピークを有し、粒径が20nm以上50nm以下の範囲にある一次粒子の含有量が65個数%以上であり、かつ粒径が200nm以上500nm以下の範囲にある一次粒子の含有量が3個数%以上とされている。一次粒子径の個数分布において、粒径が20nm以上50nm以下の範囲にある一次粒子と、粒径が200nm以上500nm以下の範囲にある一次粒子との合計含有量が85個数%以上であることが好ましい。
飛行時間型二次イオン質量分析法において検出されるC イオンとC イオンは、銀粒子表面を被覆している有機化合物(保護剤)に由来する。
イオンとC イオンの検出量が少なくなりすぎると、すなわち銀粒子表面を被覆している有機化合物の量が少なくなりすぎると銀粒子の表面が活性となり、銀粉同士が強固に凝集し易くなるため、緻密な膜が得られなくなる。
一方、C イオンとC イオンの検出量が多くなりすぎると、すなわち銀粒子表面を被覆している有機化合物の量が多くなりすぎると、焼結性が低下して銀粉を焼結させるための加熱温度を高温にすることが必要となるおそれがある。
以上の理由から、本実施形態では、Agイオンの検出量に対して、C イオンの検出量が0.2倍以上1.0倍以下、かつC イオンの検出量が0.005倍以上0.02倍以下の範囲とされている。なお、銀粉の保存安定性を確実に向上させ、焼結温度を確実に低減させるために、Ag+イオンの検出量に対するC イオンの検出量は、0.3倍以上0.5倍以下にあることが好ましい。また、銀粒子の表面に付着している有機化合物は、低分子量である方が加熱によって消失させ易いので好ましい。従って、C イオンの検出量が、C イオンの検出量よりも多い方が好ましい。C イオンの検出量は、C イオンの検出量に対して30倍以上50倍以下の範囲にあることが好ましい。
また、本実施形態の銀粉は、一次粒子径の個数分布において、粒径が20nm以上50nm以下の範囲にある相対的に粒径が小さい一次粒子と、粒径が200nm以上500nm以下の範囲にある相対的に粒径が大きい一次粒子とを含む。このため、加熱によって得られる焼結体は、相対的に粒径が大きい一次粒子同士の隙間に相対的に粒径が小さい一次粒子が充填されて緻密となる。
相対的に粒径が小さい一次粒子の量が少なくなりすぎると、焼結温度が高くなり、また相対的に粒径が大きい一次粒子同士の隙間に充填される一次粒子が少なくなるので、緻密な焼結体を製造しにくくなるおそれがある。
一方、相対的に粒径が大きい一次粒子の量が少なくなりすぎると、相対的に粒径が小さい一次粒子同士の隙間が多く形成されるので、緻密な焼結体を製造しにくくなるおそれがある。
以上の理由から、本実施形態では、粒径が20nm以上50nm以下の範囲にある相対的に粒径が小さい一次粒子の含有量が65個数%以上とされ、粒径が200nm以上500nm以下の範囲にある相対的に粒径が大きい一次粒子の含有量が3個数%以上とされている。なお、緻密な焼結体の製造を確実に製造できるようにするために、相対的に粒径が小さい一次粒子の含有量は67個数%以上であって、相対的に粒径が大きい一次粒子の含有量は5個数%以上であることが好ましい。
さらに、一次粒子径の個数分布において、粒径が20nm以上50nm以下の範囲にある一次粒子と、粒径が200nm以上500nm以下の範囲にある一次粒子との合計含有量が85個数%以上であることが好ましく、90個数%以上であることが特に好ましい。この場合、銀粉の一次粒子の大部分が、粒径が相対的に小さい20nm以上50nm以下の範囲にある一次粒子と、粒径が相対的に大きい粒径が200nm以上500nm以下の範囲にある一次粒子となるので、加熱によって得られる焼結体を確実に緻密にすることができる。
本実施形態の銀粉は、以上のとおり、飛行時間型二次イオン質量分析法によるC イオンとC イオンのそれぞれの検出量と、一次粒子径の個数分布による粒径が20nm以上50nm以下の範囲にある一次粒子の含有量と粒径が200nm以上500nm以下の範囲にある一次粒子の含有量とが所定の量とされているので、長期間にわたって保存しても、銀粒子の酸化や凝集が起こりにくく、従来よりも低温での加熱によって緻密な焼結体を生成することができる。
なお、銀粉の一次粒子径の形状としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、球状、棒状、鱗片状等が挙げられる。
<銀粉の製造方法>
次に、上述した銀粉の製造方法について、図1,2を参照して説明する。
先ず、図1に示すように、銀塩水溶液1とカルボン酸またはカルボン酸塩が溶解しているカルボン酸類水溶液2とを水3中に同時に滴下して、カルボン酸銀粒子を生成させてカルボン酸銀スラリー4を調製する。本実施形態では、銀塩水溶液1とカルボン酸類水溶液2とを水3中に同時に滴下するので、水3中の銀塩濃度とカルボン酸塩の濃度が低くなる。このため、銀塩濃度とカルボン酸塩の反応速度が遅くなり、粒子径が20nm以上50nm以下の小さいカルボン酸銀粒子と粒子径が200nm以上500nm以下の大きいカルボン酸銀粒子とが生成される。
水3中に同時に滴下する銀塩水溶液1とカルボン酸類水溶液2の量の割合は、銀とカルボン酸の当量比[=(銀イオンの価数:1価×モル数)/(カルボン酸の価数×モル数)]として、1.1以上2.0以下の範囲とすることが好ましい。この場合、滴下の進行に伴って、水3中にフリーなカルボン酸の量が増加することによって、銀塩水溶液1を滴下してからカルボン酸銀粒子が生成するまでの時間が短くなるので、粒子径が小さいカルボン酸銀粒子が生成し易くなる。従って、滴下の進行により、生成するカルボン酸銀粒子の粒子径を変えることができ、粒子径が20nm以上50nm以下の小さいカルボン酸銀粒子と粒子径が200nm以上500nm以下の大きいカルボン酸銀粒子とを確実に生成させることができる。
ここで、カルボン酸銀スラリー4を調製する際は、各液1〜4の温度を20〜50℃の範囲内の所定温度に保持することが好ましい。各液1〜4の温度を20℃以上の所定温度に保持することにより、カルボン酸銀粒子が生成しやすくなり、カルボン酸銀粒子の粒径を大きくすることができる。また、各液1〜4の温度を50℃以下の所定温度に保持することにより、カルボン酸銀粒子が過剰に成長して粗大粒子となるのを防止することができる。
また、水3中に銀塩水溶液1とカルボン酸類水溶液2を同時に滴下している間、水3を撹拌していることが好ましい。
銀塩水溶液1中の銀塩は、具体的には、例えば、硝酸銀、塩素酸銀及びリン酸銀からなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物が好ましい。
カルボン酸類水溶液2中のカルボン酸としては、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸及び酒石酸からなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物が好ましい。これらのカルボン酸は、銀と安定なキレートを形成するので、カルボン酸銀粒子として析出し易い。カルボン酸塩は、これらのカルボン酸のアンモニウム塩もしくはアルカリ金属塩であることが好ましい。
水3としては、イオン交換水、蒸留水等が挙げられる。カルボン酸銀粒子の生成に悪影響を与えるおそれのあるイオンが含まれないことや、蒸留水と比べて製造コストが低いことからイオン交換水を用いることが特に好ましい。
次に、図2に示すように、カルボン酸銀スラリー4に還元剤水溶液5を滴下した後、得られた混合スラリーを、92℃以上95℃以下の範囲の温度で保持する熱処理を行うことにより、カルボン酸銀粒子を還元して銀粒子を生成させて銀粉スラリーを調製する。
混合スラリーの保持温度を92℃以上とすることにより、カルボン酸銀が還元されやすくなり、銀粒子を速やかに生成させることができる。また、混合スラリーの保持温度を95℃以下とすることにより、生成した銀粒子の表面に、カルボン酸をC イオンもしくはC イオンとして付着させることができるので、銀粒子が粗大粒子となるのを防止することができる。
混合スラリーを上記の温度で保持する時間は、0.25〜0.5時間の範囲にあることが好ましい。保持時間を0.25時間以上とすることにより、カルボン酸銀を確実に還元させることができ、銀粒子を安定して生成させることができる。また、保持時間を0.5時間以下にすることにより、生成した銀粒子が粗大粒子となるのを防止することができる。
混合スラリーを上記の温度とする一つの方法としては、92℃未満の温度で混合スラリーを調製し、その後、加熱する方法を挙げることができる。この方法では、混合スラリーの昇温速度を、15〜20℃/時間の範囲に設定することが好ましい。昇温速度を15℃/時間以上とすることにより、銀粒子が粗大粒子となるのを防止することができる。20℃/時間以下とすることにより、混合スラリー内部の液温にムラが生じにくくなる。
混合スラリーを上記の温度に調整する別の方法としては、カルボン酸銀スラリー4と還元剤水溶液5を加熱して、液温を92以上95℃以下の範囲内となるように保持しながら、カルボン酸銀スラリー4に還元剤水溶液5を滴下する方法を挙げることができる。この方法では、混合スラリー内部の液温にムラが生じにくくなる。
ことができる。
還元剤水溶液5中の還元剤としては、ヒドラジン、アスコルビン酸、シュウ酸、ギ酸、及びこれらの塩類からなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物が好ましい。
調製された銀粉スラリーは、銀粒子が粗大粒子となるのを防止するために、速やかに冷却することが好ましい。銀粉スラリーの冷却は、30℃まで降温する時間が15分以下となる降温速度により行うことが好ましい。
次に、銀粉スラリーを乾燥して銀粉を得る。ここで、銀粉スラリーを乾燥する前に、銀粉スラリーを遠心分離機で銀粉スラリー中の液層を除去し、銀粉スラリーを脱水及び脱塩することが好ましい。
銀粉スラリーの乾燥方法としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、凍結乾燥法、減圧乾燥法、加熱乾燥法等が挙げられる。凍結乾燥法は、銀粉スラリーを密閉容器に入れて凍結し、密閉容器内を真空ポンプで減圧して被乾燥物の沸点を下げ、低い温度で被乾燥物の水分を昇華させて乾燥させる方法である。減圧乾燥法は、減圧して被乾燥物を乾燥させる方法である。加熱乾燥法は、加熱して被乾燥物を乾燥させる方法である。
本実施形態の銀粉の製造方法は、以上のとおり、銀塩水溶液とカルボン酸類水溶液を水中に同時に滴下して、カルボン酸銀粒子を生成させるので、粒径が20nm以上50nm以下の範囲と粒径が200nm以上500nm以下の範囲にあるカルボン酸銀粒子を生成させることができる。そして、そのカルボン酸銀粒子を含むカルボン酸銀スラリーに還元剤水溶液を滴下した後、92℃以上95℃以下の範囲の温度で保持することにより、カルボン酸銀粒子を還元するので、表面がC イオンとC イオンで被覆され、かつ一次粒子径の個数分布において、粒径が20nm以上50nm以下の範囲と粒径が200nm以上500nm以下の範囲とにそれぞれピークを有する銀粒子を生成させることができることができる。
<ペースト状組成物>
本実施形態のペースト状組成物は、前述の銀粉と溶媒とを含む。
溶剤は、所定の範囲の蒸気圧を有する。溶媒の蒸気圧としては、具体的には、例えば、20℃において5〜866Paであることが好ましい。溶媒の蒸気圧が20℃において5Pa以上であることにより、加熱処理した際に、溶媒が接合層内部から抜けやすくなるため、銀粉が焼結しやすくなり、接合層のシェア強度が向上する。また、溶媒の蒸気圧が20℃において866Pa以下であることにより、塗布後の乾燥が抑えられるため、被接合物と均一かつ十分に接着し、接合層のシェア強度が向上する。
溶媒としては、具体的には、例えば、アルコール系溶媒、グリコール系溶媒、アセテート系溶媒、炭化水素系溶媒、アミン系溶媒等が挙げられる。
アルコール系溶媒としては、具体的には、例えば、α−テルピネオール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。グリコール系溶媒としては、具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。アセテート系溶媒としては、具体的には、例えば、酢酸ブチルトールカルビテート等が挙げられる。また、炭化水素系溶媒としては、具体的には、例えば、デカン、ドデカン、テトラデカン等が挙げられる。また、アミン系溶媒は、炭素数が6〜10であり、かつ分子量が101.19〜157.30であるアルキルアミンであることが好ましい。アルキルアミンとしては、具体的には、例えば、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン等が挙げられる。
溶媒は、上記溶媒を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記の溶媒は、アミン系溶媒を含むことが好ましい。アミン系溶媒は単独で用いてもよいし、アルコール系溶媒、グリコール系溶媒、アセテート系溶媒、炭化水素系溶媒などのアミン以外の溶媒と組み合わせて用いてもよい。アミンは銀との親和性が高く、銀粒子の表面を均一に保護するので、長期間にわたって保存した後においても、比較的低温の加熱により緻密な焼結体を確実に生成させることができる。
ペースト状組成物中に含まれる銀粉と溶剤との質量比は、ペースト状を維持できる比率であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、質量比(銀粉:溶媒)が75:25〜95:5の範囲となることが好ましい。銀粉と溶剤の質量比が上記の範囲にあるペースト状組成物は、被塗布物の表面に均一に塗布することができる。また、その塗布したペースト状組成物を加熱して溶媒が蒸発しても塗膜に割れが生じにくく、緻密で強度の高い焼結体を生成させることができる。
本実施形態のペースト状組成物は、上述した銀粉と溶剤とを、上記の質量比で混合することによって製造することができる。
本実施形態のペースト状組成物は、以上のとおり、前述の銀粉と溶剤とを含むため、150〜200℃という低温の加熱処理であっても20MPa以上の高いシェア強度を有する焼結体(接合層)を形成することができる。そのため、熱に弱い材料であっても接合することができる。
<接合体の製造方法>
次に、本実施形態の接合体の製造方法について、図3を参照して説明する。
図3に本実施形態の接合体11を示す。図3に示すように、本実施形態の接合体11は、基板12と、第1の金属層13と、接合層14と、第2の金属層15と、被接合物16と、を備えて概略構成されている。
本実施形態では、一例として、上述したペースト状組成物を用いて基板12(第1の部材)と被接合物16(第2の部材)とを接合した接合体11について説明するが、ペースト状組成物を用いて接合するものとしては、特に限定されるものではない。
基板12としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、アルミ板、及びアルミ板が接合された絶縁基板等が挙げられる。
第1の金属層13は、基板12に隣接して積層されている。第1の金属層13を介して、基板12と接合層14とが接合されている。第1の金属層13の材料としては、具体的には、例えば、金、銀、銅等からなる群より選ばれた1種又は2種以上の金属を用いることができる。
接合層14は、第1の金属層13と第2の金属層15の間に隣接して積層されている。
接合層14は、第1の金属層13と接触して界面17を形成している。また、接合層14は、第2の金属層15と接触して界面18を形成している。接合層14は、上述したペースト状組成物を第1の金属層13上に塗布し、塗布した面と第2の金属層15が対向するように被接合物16を置き、加熱処理することで形成されるものである。
接合層14の厚さとしては、基板12と被接合物16とを接合することができる厚さであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、1〜100μmであってもよい。
第2の金属層15は、接合層14であって第1の金属層13の反対側に隣接して積層されている。第2の金属層15を介して、接合層14と被接合物16とが接合されている。
第2の金属層15の材料としては、第1の金属層13に用いられる材料と同様のものを用いることができる。
被接合物16は、第2の金属層15であって接合層14の反対側に隣接して積層されている。被接合物16としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、シリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)等が挙げられる。また、本実施形態の接合体11は、上述したペースト状組成物を用いているため、被接合物16として熱に弱い材料も用いることができる。
本実施形態の接合体11は、接合層14により、基板12と被接合物16とが接合される。接合層14は上述したペースト状組成物を用いて形成しているため、接合層14のシェア強度が高い。本実施形態の接合体11のシェア強度としては、具体的には、例えば、20MPa以上が好ましく、30MPa以上がより好ましい。
なお、シェア強度の測定は、例えば、市販のボンディングテスタ(例えば、RHESCA社製等)を用いて行うことができる。
次に、上述した接合体11の製造方法について説明する。
本実施形態の接合体11の製造方法は、積層工程と焼結工程とを有する。
(積層工程)
先ず、基板12(第1の部材)と被接合物16(第2の部材)とを、前述のペースト状組成物を介して積層した積層体を形成する。
具体的には、基板12の表面に、周知の方法により金属を積層することで、第1の金属層13を形成する。同様にして、被接合物16の表面に、第2の金属層15を形成する。基板12及び被接合物16の表面に金属を形成する方法としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、めっき法、印刷法等が挙げられる。
次に、第1の金属層13の表面に、周知の方法により前述のペースト状組成物を塗布する。第1の金属層13の表面にペースト状組成物を塗布する方法としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、スピンコーティング法、メタルマスク法、スプレーコーティング法、ディスペンサコーティング法、ナイフコーティング法、スリットコーティング法、インクジェットコーティング法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、ダイコーティング法等が挙げられる。
次に、第1の金属層13の表面に塗布したペースト状組成物の上に、第2の金属層15側が対向するように被接合物16を置いて積層体を作製する。
(焼結工程)
次に、上記のようにして形成した積層体を加熱して、ペースト状組成物を乾燥、焼結させて接合層14を生成させる。この接合層14を介して第1の金属層13及び第2の金属層15が接合される。
加熱処理の際の加熱温度としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、150℃以上が好ましい。加熱温度が150℃以上であることにより、接合層14のシェア強度を高くすることができる。
加熱処理の際の加熱時間としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、30分以上が好ましい。加熱時間が30分以上であることにより、接合層14のシェア強度を高くすることができる。
以上の工程により、接合体11が製造される。
本実施形態の接合体の製造方法は、以上のとおり、接合層を生成させる接合材として前述の銀粉を含むペースト状組成物を用いるので、従来よりも低温での加熱により接合強度の高い接合体を製造することができる。
<銀膜の製造方法>
次に、本実施形態の銀膜の製造方法について説明する。
本実施形態の製造方法により得られる銀膜は、例えば、太陽電池素子の電極として用いられる。
本実施形態の銀膜の製造方法は、以下の塗布工程と焼結工程とを含む。
(塗布工程)
まず、基材に、前述のペースト状組成物を塗布する。
基材としては、シリコン、ガラス、透明導電材料を含むセラミックス、高分子材料又は金属からなる基板のいずれか、或いはシリコン、ガラス、透明導電材料を含むセラミックス、高分子材料及び金属からなる群より選ばれた2種以上の積層体であることができる。また基材は太陽電池素子又は透明金属膜付き太陽電池素子のいずれかであることが好ましい。透明金属膜としては、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)、アンチモンドープ酸化錫(Antimony Tin Oxide:ATO)、ネサ(酸化錫SnO)、IZO(Indium Zinc Oxide)、AZO(アルミドープZnO)等などが挙げられる。上記ペースト状組成物は太陽電池素子の光電変換半導体層の表面や、透明金属膜付き太陽電池素子の透明金属膜の表面に塗布されることが好ましい。
(焼結工程)
次に、前記ペースト状組成物を塗布した基材を加熱して、前記ペースト状組成物を乾燥、焼結させて銀膜を生成させる。加熱温度は、一般に130℃以上250℃以下の範囲、好ましくは150℃以上200℃以下の範囲である。上記の温度範囲にて加熱を行うことによって、強度が高く緻密な銀膜を形成することが可能となる。加熱時間は、一般に10分間〜1時間の範囲、好ましくは15〜40分間の範囲である。加熱雰囲気には特に制限はなく、大気雰囲気中、真空雰囲気中、還元性気体雰囲気中など任意に設定することができる。本実施形態の製造方法によって生成する銀膜の厚さは、一般に0.1μm以上2.0μm以下の範囲、好ましくは0.3μm以上1.5μm以下の範囲である。膜厚が薄くなりすぎると、例えば太陽電池素子の電極として用いる場合は、表面抵抗値が不十分となるおそれがある。一方、膜厚が厚くなりすぎると、銀粉の使用量が多くなってコストが高くなる。
本実施形態の銀膜の製造方法によれば、以上のとおり、銀膜の材料として前述の銀粉を含むペースト状組成物を用いるので、従来よりも低温での加熱により緻密な銀膜を製造することができる。
以下、本発明の効果を、実施例を用いて詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<銀粉の製造>
(分類I)
初めに、銀塩水溶液1として硝酸銀水溶液(硝酸銀の濃度:66質量%)、カルボン酸類水溶液2としてクエン酸アンモニウム水溶液(クエン酸の濃度:56質量%)、還元剤水溶液5としてシュウ酸ナトリウム水溶液(シュウ酸の濃度:58質量%)を用意した。
先ず、図1に示すように、湯浴で50℃に保持した1200gのイオン交換水(水3)の入ったガラス製容器に、湯浴で50℃に保持した900gの硝酸銀水溶液(銀塩水溶液1)と、湯浴で50℃に保持した600gのクエン酸アンモニウム水溶液(カルボン酸類水溶液2)とを、チューブポンプを用いて5分かけて同時に滴下して、クエン酸銀粒子を生成させてクエン酸銀スラリー(カルボン酸銀スラリー4)を調製した。調製したクエン酸銀スラリーは、温度を20℃まで空冷した。
次いで、図2に示すように、上記クエン酸銀スラリー(カルボン酸銀スラリー4)を20℃に保持しながら、そのクエン酸銀スラリーに、20℃に保持した300gのシュウ酸ナトリウム水溶液(還元剤水溶液5)を30分かけて滴下して混合スラリーを調製した。
次に、上記混合スラリーを昇温速度15℃/時間で温度92℃まで昇温し、92℃(最高温度)で0.33時間保持する条件にて熱処理して、クエン酸銀粒子を還元して銀粒子を生成させて銀粉スラリーを得た。銀粉スラリーを得た。得られた銀粉スラリーを、15分間かけて30℃まで温度を下げた。次いで、銀粉スラリーを遠心分離機に入れて1000rpmの回転速度で10分間遠心分離処理した。上澄み液(液層)を除去し、残部の固形分(銀粉)を水洗した後、凍結乾燥法により30時間乾燥して、銀粉を回収した。回収した銀粉を、分類Iの銀粉とした。
(分類II)
クエン酸銀スラリー(カルボン酸銀スラリー4)と、シュウ酸ナトリウム水溶液(還元剤水溶液5)とをそれぞれ30℃に保持しながら、クエン酸銀スラリーにシュウ酸ナトリウム水溶液を滴下して混合スラリーを調製したこと、調製した混合スラリーを95℃まで昇温し、95℃で0.5時間保持したこと以外は、分類Iと同様にして分類IIの銀粉を得た。
(分類III)
クエン酸銀スラリー(カルボン酸銀スラリー4)と、シュウ酸ナトリウム水溶液(還元剤水溶液5)とをそれぞれ50℃に保持しながら、クエン酸銀スラリーにシュウ酸ナトリウム水溶液を滴下して混合スラリーを調製したこと、調製した混合スラリーを92℃まで昇温し、92℃で0.25時間保持したこと以外は、分類Iと同様にして分類IIIの銀粉を得た。
(分類IV)
カルボン酸類水溶液2としてグリコール酸水溶液(グリコール酸の濃度:56質量%)を、還元剤水溶液5としてヒドラジン水溶液(ヒドラジンの濃度:58質量%)を用いたこと、グリコール酸銀スラリー(カルボン酸銀スラリー4)と、ヒドラジン水溶液(還元剤水溶液5)とをそれぞれ30℃に保持しながら、グリコール酸銀スラリーにヒドラジン水溶液を滴下して混合スラリーを調製したこと以外は、分類Iと同様にして分類IVの銀粉を得た。
(分類V)
カルボン酸類水溶液2としてグリコール酸水溶液(グリコール酸の濃度:56質量%)を、還元剤水溶液5としてギ酸水溶液(ギ酸の濃度:58質量%)を用いたこと、グリコール酸銀スラリー(カルボン酸銀スラリー4)と、ギ酸水溶液(還元剤水溶液5)とをそれぞれ30℃に保持しながら、グリコール酸銀スラリーにギ酸水溶液を滴下して混合スラリーを調製したこと以外は、分類Iと同様にして分類Vの銀粉を得た。
(分類VI)
還元剤水溶液5としてギ酸アンモニウム水溶液(ギ酸の濃度:58質量%)を用いたこと以外は、分類Iと同様にして分類VIの銀粉を得た。
(分類VII)
カルボン酸類水溶液2としてリンゴ酸アンモニウム水溶液(リンゴ酸の濃度:56質量%)を、還元剤水溶液5としてギ酸水溶液(ギ酸の濃度:58質量%)を用いたこと以外は、分類Iと同様にして分類VIIの銀粉を得た。
(分類VIII)
カルボン酸類水溶液2としてマレイン酸二ナトリウム水溶液(マレイン酸の濃度:56質量%)を用いたこと以外は、分類Iと同様にして分類VIIIの銀粉を得た。
(分類IX)
カルボン酸類水溶液2としてマロン酸水溶液(マロン酸の濃度:56質量%)を、還元剤水溶液5としてアスコルビン酸ナトリウム水溶液(アスコルビン酸の濃度:58質量%)を用いたこと、マロン酸銀スラリー(カルボン酸銀スラリー4)と、アスコルビン酸ナトリウム水溶液(還元剤水溶液5)とをそれぞれ40℃に保持しながら、マロン酸銀スラリーにアスコルビン酸ナトリウム水溶液を滴下して混合スラリーを調製したこと、調製した混合スラリーを昇温速度20℃/時間で温度92℃まで昇温したこと以外は、分類Iと同様にして分類IXの銀粉を得た。
(分類X)
カルボン酸類水溶液2としてフマル酸とコハク酸とを含むカルボン酸水溶液(フマル酸の濃度:28質量%、コハク酸の濃度:28質量%)を、還元剤水溶液5としてギ酸水溶液(ギ酸の濃度:58質量%)を用いたこと以外は、分類Iと同様にして分類Xの銀粉を得た。
(分類XI)
カルボン酸類水溶液2としてコハク酸水溶液(コハク酸の濃度:56質量%)を、還元剤水溶液5としてギ酸水溶液(ギ酸の濃度:58質量%)を用いたこと以外は、分類Iと同様にして分類XIの銀粉を得た。
(分類XII)
カルボン酸類水溶液2として酒石酸アンモニウム水溶液(酒石酸の濃度:56質量%)を、還元剤水溶液5としてギ酸水溶液(ギ酸の濃度:58質量%)を用いたこと以外は、分類Iと同様にして分類XIIの銀粉を得た。
(分類XIII)
銀塩水溶液1として塩素酸銀水溶液(塩素酸銀の濃度:66質量%)を、カルボン酸類水溶液2としてグリコール酸水溶液(グリコール酸の濃度:56質量%)を、還元剤水溶液5としてヒドラジン水溶液(ヒドラジンの濃度:58質量%)を用いたこと以外は、分類Iと同様にして分類XIIIの銀粉を得た。
(分類XIV)
銀塩水溶液1として硝酸銀とりん酸銀とを含む銀塩水溶液(硝酸銀の濃度:33質量%、りん酸銀の濃度:33質量%)を、カルボン酸類水溶液2としてグリコール酸水溶液(グリコール酸の濃度:56質量%)を、還元剤水溶液5としてヒドラジン水溶液(ヒドラジンの濃度:58質量%)を用いたこと以外は、分類Iと同様にして分類XIVの銀粉を得た。
(分類XV)
クエン酸銀スラリー(カルボン酸銀スラリー4)と、シュウ酸ナトリウム水溶液(還元剤水溶液5)とをそれぞれ15℃に保持しながら、クエン酸銀スラリーにシュウ酸ナトリウム水溶液を滴下して混合スラリーを調製したこと、調製した混合スラリーを70℃まで昇温し、70℃で0.5時間保持したこと以外は、分類Iと同様にして分類XVの銀粉を得た。
(分類XVI)
クエン酸銀スラリー(カルボン酸銀スラリー4)と、シュウ酸ナトリウム水溶液(還元剤水溶液5)とをそれぞれ60℃に保持しながら、クエン酸銀スラリーにシュウ酸ナトリウム水溶液を滴下して混合スラリーを調製したこと、調製した混合スラリーを97℃まで昇温し、97℃で1時間保持したこと以外は、分類Iと同様にして分類XVIの銀粉を得た。
(分類XVII)
クエン酸銀スラリー(カルボン酸銀スラリー4)と、シュウ酸ナトリウム水溶液(還元剤水溶液5)とをそれぞれ50℃に保持しながら、クエン酸銀スラリーにシュウ酸ナトリウム水溶液を滴下して混合スラリーを調製したこと、調製した混合スラリーを91℃まで昇温し、91℃で0.75時間保持したこと以外は、分類Iと同様にして分類XVIIIの銀粉を得た。
(分類XVIII)
クエン酸銀スラリー(カルボン酸銀スラリー4)と、シュウ酸ナトリウム水溶液(還元剤水溶液5)とをそれぞれ60℃に保持しながら、クエン酸銀スラリーにシュウ酸ナトリウム水溶液を滴下して混合スラリーを調製したこと、調製した混合スラリーを91℃まで昇温し、91℃で0.5時間保持したこと以外は、分類Iと同様にして分類XVIIIの銀粉を得た。
(分類XIX)
クエン酸銀スラリー(カルボン酸銀スラリー4)と、シュウ酸ナトリウム水溶液(還元剤水溶液5)とをそれぞれ50℃に保持しながら、クエン酸銀スラリーにシュウ酸ナトリウム水溶液を滴下して混合スラリーを調製したこと、調製した混合スラリーを98℃まで昇温し、98℃で0.25時間保持したこと以外は、分類Iと同様にして分類XIXの銀粉を得た。
(分類XX)
分類XXの銀粉として、市販の銀粉(三井金属工業社製、「SPQ03S」)を用意した。
<銀粉の評価>
分類I〜XVIIの銀粉について、一次粒子径の個数分布と、Agイオンに対するC イオンとC イオンの検出量を下記の方法により測定した。
(一次粒子径の個数分布の測定方法)
銀粉の一次粒子径は、以下のようにして測定した。すなわち、銀粉をエポキシ樹脂と混合し、得られた混合物を硬化させて銀粒子径測定用試料を作製した。この銀粒子径測定用試料の中央部を切断し、その切断面をアルゴンイオンビームにより研磨加工した。研磨加工した加工面をSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察し、無作為に1000個以上の一次粒子を選択し、選択した一次粒子について、アルゴンイオンビームの照射方向に沿った方向の直径を一次粒子径として計測した。一次粒子径の個数分布は、計測した一次粒子径を10nmごとに区分することによって作成した。
(Agイオンに対するC イオンとC イオンの検出量の測定方法)
Agイオンに対するC イオンとC イオンの検出量は、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)より測定した。銀粉をIn箔表面に埋没したものを測定用試料とした。測定装置はULVAC PHI社製nanoTOFIIを用いた。測定範囲は100μm平方の範囲、一次イオンはBi ++(30kV)、測定時間は5分の条件で測定してTOF−SIMSスペクトルを得た。得られたTOF−SIMSスペクトルから、Agイオン、C イオン、C イオンの検出量を求め、C イオンとC イオンの検出量を、それぞれAgイオンの検出量で除して、Agイオンに対するC イオンとC イオンの検出量を算出した。
各測定の結果を下記表1に示す。なお、表1には、銀粉の製造に使用した銀塩、カルボン酸もしくはカルボン酸塩、還元剤の種類、カルボン酸銀スラリーと還元剤溶液の温度、混合スラリーの熱処理条件(昇温速度、最高温度、保持時間)を併せて記載した。
Figure 0006853437
<ペースト状組成物の調製>
(本発明例1−1)
分類Iの銀粉とα−テルピネオール(20℃における蒸気圧:24Pa)とを、質量比が85:15となるように容器に入れ、混練機(THINKY社製、「あわとり練太郎」)で2000rpmの回転速度で5分間回転させる混練を3回行うことでペースト状組成物を得た。
(本発明例1−2〜1−18および比較例1−1〜1−6)
下記の表2に記載されている分類の銀粉を用いたこと、下記の表2に記載の溶媒を用いたこと以外は、本発明例1−1と同様にしてペースト状組成物を得た。なお、表2には、銀粉の一次粒子の個数分布、20nm以上50nm以下の一次粒子と粒径が200nm以上500nm以下の一次粒子との合計含有量、有機化合物量のデータを併せて示した。
Figure 0006853437
<接合体の作製>
(本発明例2−1)
基板としてアルミ板を銀で被覆した板を用意し、銀上に本発明例1−1のペースト状組成物を、メタルマスク(孔サイズ:縦3mm×横3mm×厚さ50μm)を用いて印刷し成形した。次に、ペースト状組成物の上に、表面を銀で被覆したシリコンチップ(サイズ:縦2.5mm×横2.5mm×厚さ200μm)を乗せ、大気雰囲気中において150℃の温度で30分間保持することで焼成を行った。これにより基板とシリコンチップの間に接合層が形成され、接合体を得た。
(本発明例2−2〜2−18および比較例2−1〜2−6)
ペースト状組成物として下記の表3に記載されているペースト状組成物を用いたこと以外は本発明例2−1と同様にして接合体を得た。ただし、比較例2−6では、基板とシリコンチップとが接合しなかった。
(本発明例2−19)
基板として金板を用いたこと、及びシリコンチップの表面に金を被覆したこと以外は本発明例2−1と同様にして接合体を得た。
(本発明例2−20)
基板として銅板を用いたこと、及びシリコンチップの表面に銅を被覆したこと以外は本発明例2−1と同様にして接合体を得た。
<接合層の評価>
本発明例2−1〜2−20及び比較例2−1〜2−5の基板とシリコンチップの間に形成された接合層について、シェア強度をそれぞれ測定した。シェア強度は、基板とシリコンチップの間に形成された接合層を破断するのに要する力を、ボンディングテスタ(RHESCA社製)により測定し、この測定値を接合面積で除してシェア強度とした。また、緻密性の評価は以下のようにして行った。すなわち、接合層の断面をバフ研磨、イオンビーム研磨後、接合層の断面をSEMにて観察し、視野中の銀部と空孔部とに分け、画像処理ソフトによって二値化処理し、視野中の銀部の割合を面積%で表わした際、85面積%以上を◎、面積75wt%以上85面積%未満を○、75面積%未満を×とした。
下記表3に、各本発明例及び各比較例の接合体について、ペースト状組成物、接合面(基板とシリコンチップの表面に被覆した金属種)、緻密性及びシェア強度の評価結果について示す。
Figure 0006853437
200nm以上500nm以下の粒子が少なく、Agイオンの検出量に対して、C イオンの検出量が1.0倍を超え、かつC イオンの検出量が0.02倍を超える銀粉を用いた比較例2−1の接合体は、緻密性と強度が低かった。これは、相対的に粒径が大きい一次粒子の量が少なく一次粒子間に隙間が形成され易かったこと、銀粒子の表面を被覆している有機化合物の量が多く焼結性が低下したことが原因と推測される。
20nm以上50nm以下の粒子が少なく、Agイオンの検出量に対して、C イオンの検出量が0.2倍未満、かつC イオンの検出量が0.005倍未満の銀粉を用いた比較例2−2の接合体は、緻密性と強度が低かった。これは、相対的に粒径が小さい一次粒子の量が少なく一次粒子間に隙間が形成され易かったこと、銀粒子の表面を被覆している有機化合物の量が少なく、銀粉同士が強固に凝集したため、緻密な接合層が得られなかったことが原因と推測される。
Agイオンの検出量に対して、C イオンとC イオンの検出量は本発明の範囲にあるが、20nm以上50nm以下の粒子が少ない銀粉を用いた比較例2−3の接合体は、強度は高くなったが緻密性が低かった。C イオンとC イオンが本発明の範囲にあるために、被接合物と接合層の界面および接合層内部での焼結が進行したが、相対的に粒径が小さい一次粒子の量が少なく一次粒子間に隙間が形成され易かったことが原因と推測される。
Agイオンの検出量に対して、C イオンとC イオンの検出量は本発明の範囲にあるが、200nm以上500nm以下の粒子が少ない銀粉を用いた比較例2−4の接合体は、強度は高くなったが緻密性が低かった。C イオンとC イオンが本発明の範囲にあるために、被接合物と接合層の界面および接合層内部での焼結が進行したが、相対的に粒径が大きい一次粒子の量が少ないため、相対的に粒径が小さい一次粒子が余り、接合層の隙間が形成され易かったことが原因と推測される。
Agイオンの検出量に対して、C イオンとC イオンの検出量は本発明の範囲にあるが、20nm以上50nm以下の粒子が少ない銀粉を用いた比較例2−5の接合体は、強度は高くなったが緻密性が低かった。C イオンとC イオンが本発明の範囲にあるために、被接合物と接合層の界面および接合層内部での焼結が進行したが、相対的に粒径が大きい一次粒子の量が多いため、相対的に粒径が小さい一次粒子が隙間を埋めきれず、接合層の隙間が形成され易かったことが原因と推測される。
これに対して、飛行時間型二次イオン質量分析法において、Agイオンの検出量に対して、C イオンの検出量が0.2倍以上1.0倍以下、かつC イオンの検出量が0.005倍以上0.02倍以下の範囲にあり、一次粒子径の個数分布において、粒径が20nm以上50nm以下の範囲にある一次粒子の含有量が65個数%以上であり、かつ粒径が200nm以上500nm以下の範囲にある一次粒子の含有量が3個数%以上である銀粉を用いた本発明例2−1〜2−20の接合体は、強度と緻密性が高かった。特に、粒径が20nm以上50nm以下の範囲にある一次粒子と、粒径が200nm以上500nm以下の範囲にある一次粒子との合計含有量が85個数%以上である銀粉を用いた本発明例2−9の接合体は、強度と緻密性が顕著に向上した。
1…銀塩水溶液
2…カルボン酸塩水溶液
3…水
4…カルボン酸銀スラリー
5…還元剤水溶液
11…接合体
12…基板
13…第1の金属層
14…接合層
15…第2の金属層
16…被接合物
17、18…界面

Claims (6)

  1. 表面が、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸および酒石酸からなる群より選ばれた1種又は2種以上のカルボン酸由来の有機化合物で被覆されていて、飛行時間型二次イオン質量分析法において、測定範囲は100μm平方の範囲、一次イオンはBi ++ (30kV)、測定時間は5分の条件で測定された、Agイオンの検出量に対して、前記有機化合物に由来する イオンの検出量が0.2倍以上1.0倍以下、かつ前記有機化合物に由来する イオンの検出量が0.005倍以上0.02倍以下の範囲にあり、一次粒子径の個数分布において、粒径が20nm以上50nm以下の範囲にある一次粒子の含有量が65個数%以上であり、かつ粒径が200nm以上500nm以下の範囲にある一次粒子の含有量が3個数%以上であることを特徴とする銀粉。
  2. 前記一次粒子径の個数分布において、粒径が20nm以上50nm以下の範囲にある一次粒子と、粒径が200nm以上500nm以下の範囲にある一次粒子との合計含有量が85個数%以上であることを特徴とする請求項1に記載の銀粉。
  3. 硝酸銀、塩素酸銀およびリン酸銀からなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物である銀塩水溶液と、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸および酒石酸からなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物であるカルボン酸または前記カルボン酸塩の水溶液とを水中に同時に、銀とカルボン酸の当量比が1.1以上2.0以下の範囲となる割合で滴下して、カルボン酸銀粒子を生成させてカルボン酸銀スラリーを調製する工程と、
    前記カルボン酸銀スラリーに、ヒドラジン、アスコルビン酸、シュウ酸、ギ酸及びこれらの塩類からなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物である還元剤水溶液を滴下した後、92℃以上95℃以下の範囲の温度で保持することにより、前記カルボン酸銀粒子を還元して銀粒子を生成させて銀粉スラリーを調製する工程と、
    前記銀粉スラリーを乾燥して銀粉を得る工程と、
    を有することを特徴とする請求項1に記載の銀粉の製造方法。
  4. 請求項1に記載の銀粉と溶媒とを含むことを特徴とするペースト状組成物。
  5. 第1の部材と第2の部材とが接合層を介して接合されている接合体の製造方法であって、
    前記第1の部材と前記第2の部材とを、請求項に記載のペースト状組成物を介して積層した積層体を形成する積層工程と、
    前記積層体を加熱して、前記ペースト状組成物を乾燥、焼結させて接合層を生成させる焼結工程と、
    を有することを特徴とする接合体の製造方法。
  6. 基材に、請求項に記載のペースト状組成物を塗布する塗布工程と、
    前記ペースト状組成物を塗布した基材を加熱して、前記ペースト状組成物を乾燥、焼結させて銀膜を生成させる焼結工程と、
    を含むことを特徴とする銀膜の製造方法。
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