JP4700363B2 - 墨壷 - Google Patents

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Description

本発明は、木工あるいは建築において、墨汁を付着させた糸を張設して線引きを行う墨壷に関する。
木工や建築において墨線を打つ線引き作業で使用される墨壷は、基本的にはケース内に糸巻及び墨汁浸透部材が設けられ、糸巻に巻かれた糸が、墨汁を沁み込ませた墨汁浸透部材に接触しながら、ケースの一端に形成された糸繰り出し口から外部へ繰り出されるようになっている。また、糸の先端には、この糸を墨打ち起点に止着するためのカルコが繋着されている。
墨壷による墨打ち作業においては、まず、カルコを相手材の墨打ち起点に止着してからケースを移動させると、これに伴い、糸巻から引き出される糸には、墨汁浸透部材との接触によって墨汁が付着するので、この糸に適当なテンションを与えた状態で、墨打ち対象面に向けて手指ではじくことによって、直線状の墨線を転写することができる。
従来、この種の墨壷には、下記の特許文献に開示されているように、ケースの墨室内に、糸巻から引き出されてこの墨室を通る糸を上下から挟み込むように二枚の墨汁浸透部材を収納し、この墨汁浸透部材を押圧することによって糸と墨汁浸透部材を圧接させる押圧部材を設けたものがある。このような構造とすることによって、墨汁浸透部材に含浸された墨汁の残量が少なくなった場合でも、糸に墨汁を十分に付着させることができる(例えば特許文献1参照)。
特開2002−66964号公報
ところが、上記従来の墨壷は、押圧部材によって、二枚の墨汁浸透部材をその上から押圧する構造であるため、墨汁浸透部材全体が圧縮されてその体積が減少することになる。したがって、墨汁浸透部材に含浸された墨汁量が飽和状態の時などに、過って押圧部材を押動した場合は、墨汁浸透部材から大量の墨汁が滲み出して、糸導出孔などから外部へ墨汁の一部が漏れ出すといった不具合が発生するおそれがある。
また、二枚の墨汁浸透部材がその上から押圧部材によって圧縮されるため、墨汁浸透部材が、その間を通る糸との摩擦によって切れてしまい、墨汁浸透部材が例えば綿などからなるものである場合、表面の保護層が糸との摩擦によって切れると、内部の繊維がほつれて糸に毛玉状に絡み付き、糸の巻き戻し不良の原因となるおそれがある。
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題は、糸への墨汁の付着を促すために押圧部材で墨汁浸透部材を押圧した時の墨漏れの発生や、糸との摩擦による墨汁浸透部材の損傷を有効に防止することにある。
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る墨壷は、ケースに、糸巻が回転可能に収納された糸巻室と、複数の墨汁浸透部材が収納された墨室が形成されると共に、前記糸巻から引き出された糸を前記墨汁浸透部材に圧接させる押圧部材が設けられ、前記墨汁浸透部材が、前記押圧部材により圧縮可能であって前記糸と接触された第一墨汁浸透部材と、前記押圧部材に圧縮されない位置にあって前記第一墨汁浸透部材に接触された第二墨汁浸透部材と、からなるものである。
また、請求項2の発明に係る墨壷は、請求項1に記載の構成において、墨室の両端の隔壁に形成された糸挿通部を覆う第三墨汁浸透部材が、第一墨汁浸透部材の両側に配置されたものである。
また、請求項3の発明に係る墨壷は、請求項1に記載の構成において、第一墨汁浸透部材が、押圧部材により圧縮を受けた状態において、少なくともその一部が第二墨汁浸透部材と接触された状態にあるものである。
また、請求項4の発明に係る墨壷は、請求項1に記載の構成において、押圧部材の先端が、押圧方向及び墨室内での糸の移動方向に対して略直交する方向に延びるピンからなるものである。
請求項1の発明に係る墨壷によれば、押圧部材は、墨室に収納された複数の墨汁浸透部材のうち、第一墨汁浸透部材のみを押圧するため、墨汁浸透部材全体が圧縮されることはなく、したがって、墨汁浸透部材に含浸された墨汁量が飽和状態の時などに、過って押圧部材を押動しても、墨汁浸透部材から滲み出した墨汁の漏れ出しを有効に防止することができる。また、押圧部材の押動によって糸が第一及び第二墨汁浸透部材間に挟圧されることがないため、糸との摩擦による墨汁浸透部材の損耗が有効に防止される。
請求項2の発明に係る墨壷によれば、押圧部材で圧縮された第一墨汁浸透部材から滲み出した墨汁は、その両側に配置された第三墨汁浸透部材に含浸して保持されるので、糸挿通部からの墨汁の漏れ出しを、一層確実に防止することができる。
請求項3の発明に係る墨壷によれば、押圧部材で第一墨汁浸透部材を圧縮しても、その一部は非圧縮の第二墨汁浸透部材と接触されているので、圧縮された第一墨汁浸透部材から滲み出す墨汁の一部は、毛細管現象によって第二墨汁浸透部材に保持され、したがって糸挿通部からの墨汁の漏れ出しを、一層確実に防止することができる。
請求項4の発明に係る墨壷によれば、押圧部材の先端がピンからなるものであるため、第一墨汁浸透部材に対する押圧面積が小さく、したがって第一墨汁浸透部材の圧縮変形量が小さくなり、墨汁の滲み出しを少なくして、これによっても糸挿通部からの墨汁の漏れ出しを有効に防止することができる。
以下、本発明に係る墨壷の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係る墨壷の好ましい実施の形態を示す平面図、図2は図1におけるII方向の側面図、図3は図1におけるIII−III’断面図、図4は図1の墨壷における糸巻カバー、墨室カバー及び糸導出端部カバーを開いた状態を示す平面図、図5は図3の要部拡大断面図、図6は図2におけるVI−VI’断面図、図7は図4におけるVII−VII’断面図、図8は第一及び第三墨汁浸透部材の装着構造を示す斜視図、図9は第二墨汁浸透部材の装着構造を示す斜視図、図10は押圧部材を押し下げた状態を図5と対応する部分を切断して示す断面図、図11は押圧部材を押し下げた状態を図6と対応する部分を切断して示す断面図、図12は使用状態の説明図である。
まず図1、図2及び図3において、参照符号1は、ABS等の合成樹脂材で成形されたケースである。このケース1は、円形の皿状の糸巻収納部11Aと、その前方(図2及び図3における右側)の墨室形成部11Bと、更にその前方の糸導出端部11Cが形成されたケース本体11を有する。そして、糸巻収納部11Aの上部開口には、糸巻カバー12が着脱可能に設けられ、墨室形成部11Bの上部開口には、墨室カバー13がヒンジ131を介して揺動可能に設けられ、糸導出端部11Cの上部開口には、糸導出端部カバー14が、墨室カバー13のヒンジ131と同じ側に設けられたヒンジ141を介して揺動可能に設けられている。
糸巻カバー12は、糸巻2をケース本体11における糸巻収納部11A内に回転自在に保持するものであって、後端に形成された掛合部121と、図1、図2及び図4に示されるように、前記掛合部121と反対側の半筒状端部12aにそれぞれヒンジ122aを介して左右一対設けられた掛合爪122とを有する。そして、この糸巻カバー12は、図3に示されるように、掛合部121を、糸巻収納部11Aの後端に突設された掛合部11aに掛合すると共に、図2に示されるように、一対の掛合爪122を、糸巻収納部11Aと墨室形成部11Bの間の外側面に形成された不図示の一対の掛合凹部にそれぞれ掛合させることによって、糸巻収納部11Aの上側に固定され、この糸巻収納部11Aとの間に糸巻室10Aを画成する。
図3及び図4に示されるように、糸巻収納部11Aの外周の上面には、この糸巻収納部11Aと糸巻カバー12との衝合面間に介在されるゴム材からなるパッキン111が周設されている。また、図3及び図4に示されるように、ケース本体11の墨室形成部11Bにおける糸巻収納部11A側の隔壁11cの上面、及び糸導出端部11C側の隔壁11dの上面には、ゴム状弾性材料からなるパッキン112,113が設けられると共に、このパッキン112,113を通る糸道スリット11e,11fが形成されている。なお、糸道スリット11e,11fは、請求項2に記載された糸挿通部に相当する。
糸巻2は、外周に糸3を巻回する糸巻本体21と、この糸巻本体21の内周に収納されて一端が糸巻本体21に固定されると共に他端が後述のばね芯51に固定されて糸巻本体21を糸3の巻き取り回転方向に付勢する渦巻きばね22と、糸巻本体21の軸方向一側に形成され糸巻カバー12の内周の円形窓12bから外部へ露出した巻き取りハンドル23とからなり、巻き取りハンドル23の外側面には、手指で回転操作するための複数の指掛け凹部23aが形成されている。これらの部材はABS等の合成樹脂材で成形されており、図4に示されるように、糸巻2は、糸巻カバー12をケース本体11の糸巻収納部11Aから取り外すことによって、糸巻室10A内から取り出すことができる。
図4に示されるように、糸巻2における糸巻本体21の外側面の外周部には、多数の被係止突起24aが等位相間隔で突設されている。一方、糸巻カバー12の半筒状端部12aには、糸巻2の回転による前記被係止突起24aの円周状移動経路へ向けて進退可能なロック部材123が設けられており、このロック部材123には、その進退動作を手指で操作するための操作部124が連結されている。すなわち、手指により操作部124を操作して、被係止突起24aの移動経路上にロック部材123を進出させることによって、多数の被係止突起24aのいずれかと干渉するので、糸巻2の回転をロックすることができる。
図2、図6及び図7に示されるように、墨室カバー13の揺動端部(ヒンジ131と反対側の端部)には、掛合爪132が形成されている。この掛合爪132は、ケース本体11における墨室形成部11Bの外側面に形成された掛合凹部11bにスナップ的に掛合されることによって、図6に示されるように、墨室カバー13を閉塞状態に固定するものである。
図4、図5及び図6等に示されるように、墨室カバー13の外周下縁には、ゴム状弾性材料からなるパッキン133が周設され、ケース本体11における墨室形成部11Bの上面に密接可能となっている。そして、墨室形成部11Bと墨室カバー13によって画成される墨室10B内には、スポンジ、脱脂綿あるいはフェルト等からなり、好ましくは、墨汁の浸透保持作用に優れたセルロースの繊維からなる墨汁浸透部材4が着脱可能に充填されている。
墨汁浸透部材4は、図4及び図5に示されるように、ケース本体11の墨室形成部11B内に配置された第一墨汁浸透部材41と、墨室カバー13の内側に配置された第二墨汁浸透部材42と、第一墨汁浸透部材41の両側に配置された一対の第三墨汁浸透部材43とからなる。ケース本体11側に保持された第一及び第三墨汁浸透部材41,43と、墨室カバー13側に保持された第二墨汁浸透部材42は、墨室カバー13を閉塞した状態では、図5及び図6に示されるように、互いに密接衝合され、十分な量の墨汁を浸透保持できるようになっている。
図5及び図9に示されるように、第二墨汁浸透部材42は墨室カバー13に設けられた箱状のホルダ134に充填され、このホルダ134に突設された複数の掛止片134aによって保持されている。また、第三墨汁浸透部材43は、図5及び図8に示されるように、隔壁11c,11dに形成された糸道スリット11e,11fをそれぞれ墨室10B側から覆うように形成されたホルダ11g,11hにそれぞれ充填されている。また、図8に示されるように、第三墨汁浸透部材43には、糸道スリット11e,11fと対応するスリット43aが形成されている。
第一墨汁浸透部材41は、図8に示されるように、上面に、隔壁11c,11dの糸道スリット11e,11fの間を結ぶ直線に沿って延びる糸道スリット41aが形成されている。また、この糸道スリット41aの両端に位置して、ホルダ11g,11hと対応する凹部41b,41cが形成され、更に、四方の角部のうち一箇所に、斜めにカットした切欠41dが形成されている。この切欠41dは、図4に示されるように、墨室10Bへ第一墨汁浸透部材41を装着した状態において、墨汁の注入を容易にするための注入隙間Gを確保するものである。
墨室カバー13には円形孔が開設されていて、この円形孔には、ゴム材からなるキャップ135が密嵌されており、このキャップ135の内面には合成樹脂材からなる押圧部材136が取り付けられている。また、この押圧部材136の先端には、その押圧方向及び墨室10B内での糸3の移動方向に対して略直交する方向に延びる金属製のピン137が取り付けられている。図5及び図9に示されるように、第二墨汁浸透部材42が充填された箱状ホルダ134には、円筒状の開口部134bが形成されており、押圧部材136は、この開口部134b内に、移動可能に挿入されている。
そして、墨室カバー13を閉じた状態では、押圧部材136は、墨室10Bにおける糸3の真上に位置しており、図10及び図11に示されるように、キャップ135を手指で押して凹ませることによって、押圧部材136を介してピン137が開口部134b内を押し下げられ、第一墨汁浸透部材41を押圧して圧縮し、この第一墨汁浸透部材41における糸道スリット41aを通る糸3に強制的に押し付けるものである。手指による押し付けを解除すれば、押圧部材136及びピン137は、キャップ135の復元力によって復帰動作される。また、墨室カバー13における円形孔の周囲は凹部13aとなっており、キャップ135は、この凹部13a内にある。
図3に示されるように、ケース本体11における糸導出端部11Cと糸導出端部カバー14は、漏斗状の糸導出孔10Cを分担形成するものである。すなわち図2及び図4に示されるように、糸導出端部カバー14の揺動端部(ヒンジ141と反対側の端部)には、ヒンジ142aを介して掛合爪142が取り付けられており、この掛合爪142は、ケース本体11における糸導出端部11Cの外側面に形成された不図示の掛合凹部に掛合されることによって、糸導出端部カバー14を糸導出端部11Cの上面に衝合された状態に固定するものである。
ケース本体11の糸導出端部11Cには、糸導出孔10Cから引き出した糸3を相手材に押し付けるための金属製の糸押え15が、図3に示されるビス16によって取り付けられている。
図3における参照符号5は、渦巻きばね22の付勢力を調整するためのばねチャージ部である。このばねチャージ部5は、糸巻2の内周に同心的かつ相対回転可能な状態に組み込まれたばね芯51と、ケース本体11における糸巻収納部11Aの底壁の外部にばね芯51と同心的に配置された円盤状のチャージハンドル52と、前記底壁に開設された軸孔に挿通されたチャージハンドル52の中心軸にビス54で固定されたクラッチ部材53と、チャージハンドル52に設けられたレバー55とを備える。
糸巻2に収納された渦巻きばね22は、外周側の一端が糸巻2における糸巻本体21に固定されると共に、内周側の他端が、ばね芯51に固定されている。したがって、渦巻きばね22は、糸巻2とばね芯51の相対回転によって蓄勢又は弛緩するものである。
ばね芯51の一端には円盤状のクラッチ盤51aが形成されており、クラッチ部材53は、ケース本体11における糸巻収納部11Aの底壁との間に圧縮状態に配置されたコイルスプリング56によってクラッチ盤51aに押し付けられ、このクラッチ盤51aに対して、渦巻きばね22の蓄勢方向にのみ掛合するワンウェイクラッチを構成している。
ばねチャージ部5のレバー55は、チャージハンドル52と、ケース本体11における糸巻収納部11Aの底壁との間にあって、長手方向中間部分が、不図示の支点を中心としてシーソー運動可能な状態に支持されている。レバー55の一端には、チャージハンドル52の円周方向一箇所に開設された指掛け孔52a内に露出した操作端部55aが形成されており、他端に、前記底壁側へ向けて突出した被係止部55bが形成されており、この被係止部55bとチャージハンドル52との間にはコイルスプリング57が適宜圧縮状態で配置されている。
一方、ケース本体11における糸巻収納部11Aの底壁には、チャージハンドル52をその中心軸の周りに回転させた時に、これと一体的に回転するレバー55の被係止部55bの軌跡と対応する円弧状に延び、糸巻2の巻き取り方向と反対の方向、言い換えれば渦巻きばね22を弛緩させる方向の端部へ向かって漸次深くなり、その最深部が前記被係止部55bと掛合可能な段差状を呈するスパイラル溝11iが形成されている。
図4に示されるように、糸巻2の糸巻本体21に巻回された糸3は、隔壁11cの糸道スリット11eから墨室10Bにおける第一及び第三墨汁浸透部材41,43の糸道スリット41a,43a及び隔壁11dの糸道スリット11fを通って、糸導出孔10Cからケース1の外部へ導出される。
ケース1の外部へ導出された糸3の先端には、図12に示されるようなカルコ6が繋着されている。カルコ6は、基本的に、合成樹脂製の中空の柄61と、この柄61に一体的に、又は着脱自在に取り付けられた金属製の止着針62とを備える。
上述の構成を備える墨壷は、その使用に際して、予め墨室10B内の墨汁浸透部材4に墨汁を適宜含浸させておく。墨汁は、墨室カバー13を開き、墨室10B内に注入することによって、第一墨汁浸透部材41に含浸させる。そして、墨室10Bには、第一墨汁浸透部材41の切欠41dによって三角状の注入隙間Gが形成されているので、墨汁の注入を容易に行うことができる。
そして、この墨壷による墨打ち(線引き)作業においては、図12に示されるように、まずカルコ6を、その止着針62を相手材(木材)Wの表面における墨打ちの一方の起点に刺して止着する。
次に、ケース1を墨打ちの他方の起点へ向けて移動させると、糸巻2の回転を伴いながら、その糸巻本体21に巻かれた糸3が、ケース1の移動距離分だけ引き出されて行く。この糸3は、墨室10B内の第一及び第三墨汁浸透部材41,43の糸道スリット41a,43aを通って引き出される過程で、この墨汁浸透部材41,43に摺接することによって墨汁が付着する。
また、糸巻2の糸巻本体21は、糸3の引き出しに伴って回転されるのに対し、同方向へのばね芯51の回転は、ワンウェイクラッチを構成するクラッチ部材53とクラッチ盤51aの掛合によって阻止されるので、渦巻きばね22が糸巻本体21の回転に伴ってばね芯51に巻き込まれ、蓄勢される。
ケース1を墨打ちの他方の起点まで移動させたら、このケース1から突出した糸押え15の先端で糸3を相手材Wの表面に押止することによって、糸3をカルコ6との間に張設する。このとき、操作部124を手指でスライドさせることによって、糸巻本体21の回転による被係止突起24aの移動経路上にロック部材123を進出させれば、このロック部材123が、被係止突起24aと干渉して糸巻2の糸繰り出し方向の回転を制止するので、糸3に十分な張力を与えることができる。そして、この糸3を相手材Wの表面に向けて指ではじいて打ち付ければ、糸3に付着している墨汁によって、直線状の墨線を転写することができる。
墨打ち作業終了後は、カルコ6を相手材Wから引き抜けば、糸3の引き出し過程で蓄勢された渦巻きばね22の弛緩動作によって、糸巻2が巻き取り方向に回転するため、糸3は、カルコ6がケース1の糸導出端部11C及び糸導出端部カバー14による糸導出孔10Cに半収納状態に係止されるまで、糸巻本体21に自動的に巻き取られる。
カルコ6が糸導出孔10Cに半収納状態に係止されるまで、糸3を糸巻本体21に完全に巻き取った状態、あるいは図12に示されるように糸3を張設した状態では、ばねチャージ部5によって、渦巻きばね22の付勢力を任意に調整することができる。この調整においては、図3に示されるレバー55の操作端部55aを、チャージハンドル52の指掛け孔52a内に手指を挿入して押圧し、このレバー55をコイルスプリング57の圧縮方向へ梃子運動させることにより、その被係止部55bとスパイラル溝11iの最深部との掛合を解除した状態で、前記手指によりチャージハンドル52を渦巻きばね22の蓄勢又は弛緩方向へ適宜回転させれば良い。
また、チャージハンドル52の指掛け孔52aから手指を離せば、チャージハンドル52が渦巻きばね22の弛緩方向へ回転する過程で、レバー55の被係止部55bがコイルスプリング57の付勢力によって再びスパイラル溝11iの最深部と掛合され、弛緩方向へのチャージハンドル52の回転が阻止される。
墨室10B内の墨汁浸透部材4に含浸された墨汁の量が、墨打ち作業の繰り返し等によってある程度少なくなっても、糸3を繰り出す際に、手指でキャップ135を押圧することによって、明瞭な墨線を打つことができる。
すなわち、図10及び図11に示されるように、キャップ135を手指で押圧して凹ませると、このキャップ135を介して押圧部材136が下方へ押動されて、その先端のピン137が、糸3を墨室10Bの底部へ向けて変位させると共に、第一墨汁浸透部材41を圧縮変形させる。このとき、押圧部材136は、墨室カバー13における箱状ホルダ134の筒状開口部134b内を変位するので、筒状開口部134bの外周で箱状ホルダ134に保持された第二墨汁浸透部材42は、押圧部材136に押圧されることはなく、第一墨汁浸透部材41のみが圧縮変形を受ける。そして、第一墨汁浸透部材41が圧縮されると、墨室10Bの底部に偏在して第一墨汁浸透部材41に含浸されていた墨汁は、この第一墨汁浸透部材41の圧縮によって、上方へ滲み出すように押し上げられ、しかも、糸3が押し下げられることによって第一墨汁浸透部材41に強制的に押し付けられる。その結果、糸3に墨汁を十分に付着させることができるのである。
また、墨室10B内の第一墨汁浸透部材41に多量の墨汁が含浸されている場合は、過ってキャップ135を手指で押圧すると、従来の墨壷では、糸導出孔10Cからの墨漏れが発生していたが、図示の形態によれば、このようなことが有効に防止される。
すなわち、先に説明したように、押圧部材136は、第一墨汁浸透部材41のみを圧縮変形させるようになっており、しかもピン137による押圧面積が小さいので、図10及び図11に示されるように、第一墨汁浸透部材41は、上面がすり鉢状に凹むような圧縮変形を受け、その上面の一部が、墨室カバー13側の第二墨汁浸透部材42と衝合された状態となっている。このため、圧縮によって第一墨汁浸透部材41の上方へ滲み出すように押し上げられた墨汁の一部は、非圧縮の第二墨汁浸透部材41に含浸されることになり、これによって、糸道スリット11e,11f側への墨汁の移動が抑えられ、墨漏れの防止に寄与する。
また、第一墨汁浸透部材41は、上から押圧されることによって、図10に示されるように、外側面(凹部41b,41cに相当する部分)が内側へ倒れるように変形するが、そこから滲み出した墨汁は、糸道スリット11e,11fへ直ちに流出することはなく、糸道スリット11e,11fを覆うようにホルダ11g,11h内に配置された非圧縮の第三墨汁浸透部材43に含浸される。したがって、この第三墨汁浸透部材43によっても、墨漏れが有効に防止される。
また、従来のように、糸を挟み込んだ二枚の墨汁浸透部材を、その上から押圧部材によって圧縮した場合は、糸との摩擦によって墨汁浸透部材が徐々に切れてしまうことが避けられないが、図示の形態によれば、墨室カバー13側の第二墨汁浸透部材42は押圧部材136の押し下げによる圧縮を受けず、押圧部材136を押し下げたときの糸3の張力を、ピン137で受けるため、第二墨汁浸透部材42などが切れてしまうことがない。
キャップ135を押圧しても糸3への墨汁の十分な付着量が得られなくなった場合は、先に説明したように墨室カバー13を開き、第一墨汁浸透部材41に墨汁を補充する。
なお、第三墨汁浸透部材43は、必ずしもホルダ11g,11h内に充填した構造とする必要はなく、すなわち、第三墨汁浸透部材43を、第一墨汁浸透部材41の両側に密接した状態に配置しても良い。この場合も、キャップ135を押した時に、押圧部材136(ピン137)によって第一墨汁浸透部材41のみが圧縮変形され、両側の第三墨汁浸透部材43が糸道スリット11e,11fを覆うように存在しているので、墨漏れが有効に防止される。
本発明に係る墨壷の好ましい実施の形態を示す平面図である。 図1におけるII方向の側面図である。 図1におけるIII−III’断面図である。 図1の墨壷における糸巻カバー、墨室カバー及び糸導出端部カバーを開いた状態を示す平面図である。 図3の要部拡大断面図である。 図2におけるVI−VI’断面図である。 図4におけるVII−VII’断面図である。 第一及び第三墨汁浸透部材の装着構造を示す斜視図である。 第二墨汁浸透部材の装着構造を示す斜視図である。 押圧部材を押し下げた状態を図5と対応する部分を切断して示す断面図である。 押圧部材を押し下げた状態を図6と対応する部分を切断して示す断面図である。 使用状態の説明図である。
符号の説明
1 ケース
10A 糸巻室
10B 墨室
10C 糸導出孔
11 ケース本体
11e,11f 糸道スリット(糸挿通部)
12 糸巻カバー
13 墨室カバー
135 キャップ
136 押圧部材
137 ピン
2 糸巻
3 糸
4 墨汁浸透部材
41 第一墨汁浸透部材
42 第二墨汁浸透部材
43 第三墨汁浸透部材
5 ばねチャージ部
6 カルコ

Claims (4)

  1. ケースに、糸巻が回転可能に収納された糸巻室と、複数の墨汁浸透部材が収納された墨室が形成されると共に、前記糸巻から引き出された糸を前記墨汁浸透部材に圧接させる押圧部材が設けられ、前記墨汁浸透部材が、前記押圧部材により圧縮可能であって前記糸と接触された第一墨汁浸透部材と、前記押圧部材に圧縮されない位置にあって前記第一墨汁浸透部材に接触された第二墨汁浸透部材と、からなることを特徴とする墨壷。
  2. 墨室の両端の隔壁に形成された糸挿通部を覆う第三墨汁浸透部材が、第一墨汁浸透部材の両側に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の墨壷。
  3. 第一墨汁浸透部材が、押圧部材により圧縮を受けた状態において、少なくともその一部が第二墨汁浸透部材と接触された状態にあることを特徴とする請求項1に記載の墨壷。
  4. 押圧部材の先端が、押圧方向及び墨室内での糸の移動方向に対して略直交する方向に延びるピンからなることを特徴とする請求項1に記載の墨壷。
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