ところで、近年、個人情報の保護が重視される中、上記のようなプリントシール機においても、この問題が発生している。すなわち、熱転写がなされた後のインクリボンには、印刷に係る情報が残存するため、このインクリボンを不用意に廃棄すると、第三者に個人情報が出回ってしまうという問題がある。このような問題は、プリントシール機に限られず、インクリボンに情報が残る熱転写型のプリンタに共通する問題であり、その解決が要望されている。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、熱転写後のインクリボンに残る情報を使用不能にすることが可能な熱転写型画像形成装置を提供することを目的とする。
第1の本発明は、インクリボンを下流側へ搬送しつつ、印刷時には搬送方向とは反対方向に移動することで、印刷ヘッドによる印画を行う熱転写型画像形成装置であって、上記問題を解決するためになされたものであり、熱転写後のインクリボンを幅方向に縮めつつ、下流へと導く縮幅部材と、前記縮幅部材の下流側に配置され、インクリボンを加熱する加熱手段と、前記加熱手段を通過したインクリボンを巻き取る巻き取りロールと、を備え、縮幅部材と加熱手段との距離が、印画時の移動距離よりも長く設定されている。
この構成によれば、縮幅部材によって、インクリボンが幅方向に縮められた後に、加熱手段によって加熱されるので、インクを幅方向に互いに接着させることができる。これにより、熱転写後のインクリボンからの情報の読み取りをできないようにすることができる。ここで、本発明に係る装置では、インクリボンが繰り出し方向とは反対側に巻き取られながら印刷が行われるため、一旦幅方向に縮められて加熱されたインクリボンが反対方向に巻き戻されることになるが、上記のように、縮幅部材と加熱手段との距離が、印画時の巻き取り距離よりも長く設定されているため、インクリボンにおいて幅方向に縮められて加熱された部分が、再び縮幅部材を通過することはない。つまり、幅方向に縮められて広げられなくなった部分が縮幅部材を通過しないようになっているため、インクリボンの破損を防止することができる。
また、第2の本発明は、インクリボンを下流側へ搬送しつつ、印刷時には搬送方向とは反対方向に移動することで、印刷ヘッドによる印画を行う熱転写型画像形成装置であって、上記問題を解決するためになされたものであり、熱転写後のインクリボンを幅方向に縮めつつ、下流へと導く縮幅部材と、前記縮幅部材の下流側に配置され、インクリボンを加熱する加熱手段と、前記加熱手段を通過したインクリボンを巻き取る巻き取りロールと、を備え、インクリボンの下流側への搬送時に前記加熱手段を通過するインクリボンのうち、下流側から印画時の巻き戻し距離だけ、前記加熱手段がインクリボンの加熱を行わないように構成されている。
この構成によれば、第1の発明と同様に、インクリボンのインクを幅方向に互いに接着させることができるため、熱転写後のインクリボンからの情報の読み取りをできないようにすることができる。そして、第2の発明では、インクリボンの繰り出し時に加熱手段を通過するインクリボンのうち、下流側から印画時の巻き戻し距離だけ、前記加熱手段がインクリボンの加熱を行わないように構成されている。そのため、仮に、巻き戻されたインクリボンが縮幅部材を反対方向に通過しても、この部分は、加熱手段によって加熱が行われていないため、インクリボンを幅方向に広げることができる。したがって、印刷時にインクリボンが巻き戻されても、破損を防止することができる。
ところで、上記のように縮幅部材を通過したインクリボンは、束ねられて通常の幅よりも狭くなるため、厚みも増す。これに対して、巻き取りロールを軸方向に往復動可能に構成しておけば、インクリボンを巻き取りロールの軸方向に沿って均一に巻き取ることができ、嵩張りを抑え、巻き取り後のローラをコンパクトにすることができる。
縮幅部材は、種々の形態にすることができるが、例えば、インクリボンの幅よりも小さい内径を有するリング状に形成し、インクリボンがこの中を通るように構成することができる。
このほか、縮幅部材は、インクリボンを2つ折り以上に折りたたむように構成することもできる。2つ折り以上であるので、例えば、3つ折り、4つ折りなどにすることができる。このようにすると、折りたたみの前後でインクリボンが加熱されるため、インクリボンが折りたたまれたときに、残存する画像が重なって読み取り不能になる。このように縮幅部材は、インクリボンの幅を狭めるようにできれば、その構成は、特には限定されない。
ところで、インクリボンは、常に搬送されているわけではなく、例えば、印画の前後にインクリボンが停止する瞬間がある。このとき、加熱手段によって熱にさらされているインクリボンには、過剰な熱が付与され、インクリボンが破断する可能性がある。そこで、加熱手段を、インクリボンに対して近接離間するように構成し、インクリボンの進行が停止したときに、インクリボンから離間するように構成することができる。或いは、加熱手段を、サーマルヘッド等のような低熱量の熱源を有するように構成することもできる。さらに、加熱手段が、マイクロ波のような電磁波を発生するように構成し、インクリボンの染料層のみを加熱し、他の不必要な部分への加熱を行わないようにすることもできる。上記のような加熱手段の構成は、例えば、第2の本発明において、インクリボンを加熱しない場合に用いることができる。
また、加熱手段よりも上流側に配置され、インクリボンを両面から挟持しつつ下流へと搬送する一対の第1の搬送ローラと、第1搬送ローラよりも上流側に配置され、インクリボンを両面から挟持しつつ下流へと搬送する一対の第2の搬送ローラと、を備えることが好ましい。この構成によれば、2つの搬送ローラが配置されているため、インクリボンの読み取りを不能にする領域と、印画を行う領域との間で、インクリボンのテンションを異ならせることができ、テンションの相違によって、両領域のインクリボンが互いに影響を受けないようにすることができる。例えば、第1の搬送ローラの搬送速度を第2の搬送ローラの搬送速度よりも遅くすると、両搬送ローラの間のインクリボンにはテンションが作用しない状態になる。その結果、下流側で幅が狭められるインクリボンに影響されることなく、印画領域から連続的にインクリボンを搬送可能になる。
本発明の印画方法に用いる熱転写シートは、基材シートの一方の面に染料層を設けたものであるが、該染料層として、少なくとも、イエロー染料層、マゼンタ染料層及びシアン染料層を含む。
上記熱転写シートにおける基材シートとしては、プラスチックフィルム、紙類、セロファン等、従来の熱転写シートに使用されているものと同様の基材シートをそのまま用いることができる。上記基材シートは、特に限定されないが、易接着処理等、各種表面処理を行ったものであってもよい。また、上記基材シートは、上記プラスチックフィルム、紙類及びセロファンのうち2種以上を積層した複合フィルムであってもよい。
上記熱転写シートにおける染料層は、基材シートの一方の面に面順次に設けてなるものであるが、上記イエロー染料層、マゼンタ染料層及びシアン染料層の順序は特に限定されない。上記染料層は、昇華性染料層であってもよいし、熱溶融型色材層であってもよい。
上記昇華性染料層は、昇華性染料を任意のバインダーにより担持してなる層であり、従来公知の方法にて、公知の昇華性染料と公知のバインダー樹脂とから形成することができる。上記昇華性染料としては、熱により、拡散もしくは昇華移行する染料であって、従来公知の昇華転写型熱転写シートに使用されている染料であれば、いずれも本発明に使用可能であり、色相、印字感度、耐光性、保存性、バインダーへの溶解性等を考慮して選択する。上記熱溶融型色材層は、従来公知の方法にて、公知の顔料と公知のワックス等の熱溶融性物質とから形成することができる。
また、巻き取られたインクリボンは、巻き取りロールを回収することで廃棄されるのであるが、連続的に印刷を行う場合には、インクリボンの搬送を停止することなく、巻き取りロールの交換を行う必要がある。そのためには、例えば次のようなインクリボンの処理装置を付加することができる。
すなわち、この装置は、熱転写後のインクリボンを処理する装置であって、熱転写がなされたインクリボンを巻き取る一対の巻き取りロールと、両端に前記巻き取りロールをそれぞれ回転自在に支持するとともに、前記各巻き取りロールを第1及び第2の位置に選択的に配置するように回転自在に支持された位置決め部材と、インクリボンを切断する切断手段と、切断位置より上流側にあるインクリボンを前記第1の位置にある巻き取りロールに巻き取らせるための巻き取り補助手段と、前記両巻き取りロール、位置決め部材、切断手段、及び巻き取り補助手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記位置決め部材を駆動し、前記第1の位置においてインクリボンを巻き取った巻き取りロールを、インクリボンを引き延ばしつつ第2の位置に配置し、前記巻き取り補助手段を駆動し、前記第2の位置から第1の位置へと配置された巻き取りロールに、引き延ばされたインクリボンを当接させ、前記第1及び第2の巻き取りロール間で延びるインクリボンを前記切断手段により切断させ、切断位置より上流側にあるインクリボンを前記第1の位置にある巻き取りロールに巻き取らせる。
この構成によれば、2つの巻き取りロールを回転自在に支持する位置決め部材を回転させることで、各巻き取りロールが第1及び第2の位置に選択的に配置可能となっている。そして、第1の位置において、一方の巻き取りロールで熱転写後のインクリボンを巻き取った後、インクリボンを引き延ばしつつ、これを位置決め部材によって第2の位置に移動させるとともに、第1の位置に他方の巻き取りロールを配置した上で、インクリボンを切断している。したがって、第1の位置に配置された巻き取りロールでインクリボンを巻き取っていけば、印刷を継続することができる。一方、第2の位置にある巻き取りロールからインクリボンを取り外せば、情報が書き込まれたインクリボンを回収することができ、印刷機内にインクリボンが残るのを防止することができる。その結果、インクリボンが第三者に渡るのを防止することができる。このような装置は、例えば、プリントシール機に適用した場合、印刷した写真とともに、インクリボンもユーザへ返却することができ、個人情報の保護を図ることができる。
本発明に係る熱転写型画像形成装置によれば、熱転写後のインクリボンに残存する情報を使用できないようにすることができる。
以下、本発明に係る熱転写型画像形成装置を昇華型熱転写プリンタに適用した場合の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態に係る熱転写型画像形成装置の概略構成図を示す正面図であり、図2は図1の平面図である。
図1に示すように、この昇華型熱転写プリンタは、繰り出しローラ1から繰り出されたインクリボンR、及び給紙ロール3から給紙された受像紙Pを、印画ヘッド2とプラテンローラ4との間に配置した後、印画ヘッド2をプラテンローラ4上に押圧することで、インクリボンRのインクを受像紙P上に熱転写し、印画を行うものである。ここで用いられるインクリボンRは、昇華転写用に構成された一般的なものであり、シアンC、マゼンタM、イエローYの染料層が基材の長手方向にこの順で繰り返し塗布されており、受像紙Pには、上記染料が順に印画されて重ね合わされる。その際、受像紙Pは、給紙ロール3により、一つの色が印画されるたびに、初期位置に戻されるようになっており、すべての染料が重ね合わされた後、搬送される。
印画ヘッド2の下流には、インクリボンRを挟持しつつ下流に搬送する上下一対の上流側搬送ローラ(第2の搬送ローラ)5が配置されており繰り出しローラ1と同期して、シアン、マゼンタ、イエローのインクの位置を印画ヘッド2に位置決めする役割も果たす。そして、上流側搬送ローラ5の下流には、インクリボンRを上下から挟持しつつ下流へ搬送する一対の下流側搬送ローラ(第1の搬送ローラ)6が配置されている。これら搬送ローラ5,6のうち、上側に配置されたローラはインクリボンをプリンターに装着する際に上下動可能に構成され、インクリボンを容易にプリンターに装着することができる。
この下流側搬送ローラ6の下流には、インクリボンRを幅方向に束ねるリング(縮幅部材)7、インクリボンRを加熱するヒータ(加熱手段)8、及び巻き取りロール9がこの順で配置されている。リング7は、インクリボンRの幅よりも小さい内径を有し、上流及び下流側に開口している。これにより、下流側搬送ローラ6から搬送されたインクリボンRは、リング7によって幅方向に狭められて束ねられつつ、下流側のヒータへ導かれる。ヒータ8は、インクリボンRの染料面側樹脂を軟化させる程度の熱(100℃〜120℃)または、リボン基材も含めて軟化させる熱(150℃〜220℃)をインクリボンに付与するように構成されている。ヒーター8は図1では、例えば遠赤外線ランプのようにインクリボンから離して加熱する構造としているが、ヒートローラーのように直接インクリボンに接触する構造でも良い。ここで、ヒータ8と、リング7との距離Sは、後述するインクリボンRの巻き戻し距離Aよりも長く設定されている。また、巻き取りロール9は、軸方向に往復動可能であり、軸方向に往復動しながら幅が狭められたインクリボンRを巻き取るように構成されている。
次に、上記のように構成された熱転写プリンタの動作について説明する。まず、印画動作について図3を参照しつつ説明する。
同図に示すように、インクリボンRは、上流から下流へ(図の左から右へ)搬送されながら、イエローY、マゼンタM、シアンCの順に受像紙に印画されるのであるが、例えば、イエローYを印画する場合には、まず、図3(a)に示すように、印画ヘッド2をイエローYの上流側の端部に位置決めする。次に、インクリボンRを印画ヘッド2とプラテンローラ4との間で押圧つつ、繰り出しロール1によりインクリボンRを巻き戻しながら、イエローYの印画を行う。そして、図3(b)に示すように、印画ヘッド2がイエローYの下流側の端部上に配置されると、イエローYの印画が完了する。すなわち、一つのインクの印画には、インクリボンRが距離Aだけ巻き戻され、この間にインクが受像紙P上に印刷される。こうして、イエローYの印画が完了すると、インクリボンRは下流側へ所定距離Bだけ搬送される。そして、図3(c)に示すように、印画ヘッド2がマゼンタMの上流側の端部に位置決めされ、マゼンタMの印画の準備を行う。これを繰り返しながら、受像紙P上にイエローY、マゼンタM、シアンCを順に重ねて画像を形成する。
続いて、熱転写後のインクリボンの処理について説明する。図1に示すように、印画ヘッド2による熱転写後のインクリボンRは、上流側搬送ローラ5の駆動により、下流側に搬送される。同時に下流側搬送ローラ6によってインクリボンRが搬送または固定されている間に、上流側搬送ローラ5によるインクリボンRの搬送は連続的に行われ、その間、インクリボンRは、両搬送ローラ5,6との間で、テンションを受けない状態で保持される。このような搬送形態にすることで、印画を行う領域と、後述するインクリボンRの処理を行う領域とを分離することが可能となっている。
そして、インクリボンRは、下流側搬送ローラ6によって下流側へ搬送され、リング7を通過ながら、幅方向に束ねられていく。そして、リング7を通過して束ねられたインクリボンRは、ヒータ8によって加熱され、染料面側樹脂が軟化する。これにより、軟化した樹脂同士が互いに接着するため、インクリボンからの情報の読み取りをできないようにすることができる。こうして、加熱されたインクリボンRは、巻き取りロール9によって巻き取られていく。
このとき、インクリボンRは束ねられて幅が狭くなっているため、巻き取りロール9は、軸方向に往復動しながら、幅の細くなったインクリボンRを巻き取っていく。これは、幅が細くなり、厚みの増したインクリボンRが巻きとりローラ9の一箇所に巻き取られると、厚みが大きくなるためであり、巻き取りロール9を軸方向に往復動させることで、インクリボンRは巻き取りロール9の軸方向に均一に巻き取られる。
以上のように、本実施形態によれば、リング7によって、インクリボンRが幅方向に縮められた後に、ヒータ8によって加熱されるので、インクを幅方向に互いに接着させることができる。これにより、熱転写後のインクリボンRからの情報の読み取りをできないようにすることができる。ここで、本実施形態に係る装置では、インクリボンRが繰り出し方向とは反対側に巻き戻されながら印刷が行われるため、一旦、幅方向に縮められたインクリボンRが反対方向に巻き戻されることになるが、上記のように、リング7とヒータ8との距離Sが、印画時の巻き取り距離Aよりも長く設定されているため、インクリボンRにおいて幅方向に縮められて加熱された部分が、再びリング7を通過することはない。したがって、インクリボンRの破損を防止することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
ところで、インクリボンは、常に搬送されているわけではなく、例えば、印画の前後にインクリボンが停止する瞬間がある。このとき、ヒータ7によって熱にさらされているインクリボンRには、過剰な熱が付与され、インクリボンRが破断する可能性がある。そこで、図4に示すように、インクリボンRに対してヒータ7が近接離間するように構成し、インクリボンRの進行が停止したときに、ヒータ7がインクリボンRから上下方向に離間するように構成することができる(矢印X)。この他、ヒータ7を、サーマルヘッド等のような低熱量の熱源を有するように構成し、過剰な熱が付与されないようにすることもできる。さらに、ヒータ7が、マイクロ波のような電磁波を発生するように構成することで、インクリボンの染料層のみを加熱し、他の不必要な部分への加熱を行わないようにすることもできる。
また、上記の例では、インクリボンRの幅を狭める部材としてリング8を用いているが、これに限定されるものではなく、インクリボンRを下流側へ導きつつ幅を狭くできるような、幅の細い通路を有する部材であればよい。例えば、インクリボンの幅よりも細い溝を設けた部材によって代用することができる。
また、図5に示すように、インクリボンを折りたたむことも可能である。同図に示すように、この例では、下流側搬送ローラ6の下流に折りたたみ機構(縮幅部材)、ヒートローラ20、及び巻き取りロール9をこの順で備えている。折りたたみ機構は、インクリボンRの下面を支持する2つの折りたたみ板、つまり上流側から下流へ並ぶ第1,及び第2折りたたみ板21,22によって構成されている。第1折りたたみ板21は、垂直方向に延び、その上端は、緩やかな頂角(約120度)を有する山型に形成されている。また、第2折りたたみ板22も垂直方向に延び、その上端が第1折りたたみ板21よりも鋭い頂角(約45度)を有する山型に形成されている。また、一対の加熱ローラ20及び巻き取りロール9は、下流側搬送ローラ6と直交するように垂直に延びるように配置されている。
インクリボンRは、第1折りたたみ板21の上端の山型に沿うようにやや折り曲げられ、下方へ下りながら下流へと搬送され、第2折りたたみ板22によってさらに折り曲げられる。そして、最終的に2つ折りにされながら、一対の加熱ローラ20間に狭持されつつ、巻き取りロール9によって巻き取られる。このとき、2つに折りたたまれて重なってインクリボン同士は、加熱ローラ20によって加熱されるため、画像が重なり、さらに広げることができなくなるため、読み取り不可能になる。
ところで、上記実施形態では、インクリボンRの巻き戻し時に、インクリボンRの加熱された領域がリング7を通過しないように、リング7とヒータ8との距離を、インクリボンRの巻き戻し距離Aよりも長く設定することで、インクリボンRの破損を防止しているが、次のように構成することもできる。
すなわち、インクリボンRの繰り出し時にヒータ8を通過するインクリボンのうち、下流側から印画時の巻き戻し距離Aだけ、ヒータ8がインクリボンRの加熱を行わないように構成する。図6(a)に示すように、図1に係る装置では、ヒータ8を通過したインクリボンRは、すべて加熱されるのであるが、これに対して、図6(b)に示すように、インクの頭出しのためにヒータ8を通過したインクリボンRのうち、下流側から印画距離Aだけは、加熱しないようにする。このようにしておけば、リング7とヒータ8との距離に関わらず、インクリボンRの破損を防止することができる。すなわち、インクリボンRが巻き戻されたときに、巻き戻されたインクリボンRがリング7を反対方向に通過しても、この部分は、加熱が行われていないため、インクリボンRを幅方向に広げることができる。したがって、印刷時にインクリボンRが巻き戻されても、破損を防止することができる。この場合、インクリボンの加熱を行わない領域を設けるには、例えば、図4で示したように、ヒータ8をインクリボンRから離間させることで、加熱を行わないようにすることができる。
また、上記のようにして巻き取られたインクリボンは、巻き取りロール9を回収することで廃棄されるのであるが、連続的に印刷を行う場合には、インクリボンの搬送を停止することなく、巻き取りロール9の交換を行う必要がある。そのためには、例えば次のようなインクリボンの処理装置を付加することができる。以下、図7〜図13を参照しつつ、この処理装置について説明する。
図7に示すように、リング8の下流には、インクリボンRを下から支持する支持ローラ105が設けられており、この支持ローラ105の下流に処理装置が配置されている。この処理装置は、上記巻き取りロール9に代わって配置されるものであり、印刷が施されたインクリボンRを巻き取る一対の巻き取りロール106,107と、これら巻き取りロール106,107を回転自在に支持する位置決め部材108とを備えている。位置決め部材108は、棒状に形成され、長手方向の中央に設けられた軸部109を中心に回転自在に支持されている。そして、その両端には上述した巻き取りロール106,107がそれぞれ配置されている。この構成により、位置決め部材108が軸部109を中心に180度回転すると、巻き取りロール106,107は、印刷が施されたインクリボンRを巻き取る第1の位置と、後述するインクリボンRの処理を行う第2の位置とを選択的にとり得るように配置される。図7では、水平に配置された位置決め部材108の左側が第1の位置を示し、右側が第2の位置を示しており、第1の位置に第1の巻き取りロール106が配置され、第2の位置に第2の巻き取りロール107が配置されている。
図7に示すように、第1の位置にある巻き取りロール106の下方には、上下動可能に支持され、この巻き取りロール106に当接可能な当接ロール(巻き取り補助手段)110及びインクリボンを切断するカッター(切断手段)111が配置されている。また、位置決め部材108を挟むように、その上下には、二対の従動ローラ121,122が設けられている。ここでは、第1の巻き取りロールに近い方から第1,第2従動ロール121,122とそれぞれ称することとする。これら第1,第2従動ローラ121,122は、位置決め部材108と平行に並んでおり、軸部109を中心に位置決め部材108とともに回転するように構成されている。なお、この装置は、図示を省略する制御装置(制御手段)によってその動作が制御されている。
次に、その動作について説明する。図8に示すように、位置決め部材108が反時計回りに回転を始めるとインクリボンRが引き延ばされ、これに伴って4つの従動ローラ121,122も軸部109を中心に回転する。そして、さらに回転が進むと、図9に示すように、位置決め部材108の上方に配置されていた第1の従動ロール121がインクリボンRに架け渡される。この状態からさらに回転すると、第2の従動ロール122にもインクリボンRが架け渡され、図10の状態になる。すなわち、位置決め部材8が180度回転する間に、インクリボンRが2つの従動ロール121,122に架け渡されて経路が延びる。
この状態で、図11に示すように、当接ロール110を上昇させ、インクリボンRを第2の巻き取りロール107と当接ロール110とで狭持する。これに続いて、図12に示すように、カッター111を上昇させ、第2の巻き取りロール107と第2従動ローラ122との間に架け渡されたインクリボンRを切断する。その後、第1の位置にある巻き取りロール107では、熱転写後のインクリボンRを巻き取るとともに、当接ロール10及びカッター11を下降させる。一方、図13に示すように、第2の位置では、インクリボンRが巻き取られた巻き取りロール106を位置決め部材108から取り外し、新たな巻き取りロールに交換する。こうして、位置決め部材108を連続的に回転しつつ、第1の位置でのインクリボンRの巻き取りと、第2の位置での巻き取りロールの回収とを繰り返すことで、印刷を停止することなく、巻き取りロールの連続的な回収が可能となる。なお、第2の位置に配置される新しい巻き取りロールの表面に、両面テープなどの粘着剤を塗布しておけば、図11に示すように、当接ロール110が当接したときに、インクリボンRが巻き取りロール107に接着されるため、インクリボンRの巻き取り開始をスムーズに行うことができる。
また、上記実施形態では、本発明を昇華型熱転写プリンタに適用したが、溶融型熱転写プリンタに適用することも可能である。