JP2002355996A - 印刷シートの製造方法及び熱転写式プリンタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】従来の熱転写式プリンタ機構の殆どをそのまま
活かして大幅に変更する必要なく、それに簡便な改良を
加えて熱安定性等に優れる樹脂系インクリボンを用いた
場合にもワックス系インクリボン使用のときと実質的に
同等の印字速度で効率よく印刷シートを生産でき、サー
マルヘッドの耐久性にも優れる印刷シートの製造方法な
いし熱転写式プリンタの開発。 【解決手段】ロール状の巻回体（１１）とした被印刷シ
ート（１）を搬送ロール（５）を介し巻戻し搬送して、
その巻戻し部分に熱転写式の印刷機構（５、６、７）を
介しインク情報を付与するにあたり、そのインク情報を
付与する前の工程において被印刷シートの当該巻戻し部
分又は当該印刷機構における熱転写用インクリボンの少
なくとも一方を予備加熱（３、４）する印刷シート
（８）の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の技術分野】本発明は、巻回体として格納した被
印刷シートを順次巻戻して搬送しつつインク情報等を付
与してラベル等の印刷シートを円滑に連続製造できる製
造方法及びその熱転写式プリンタに関する。

【０００２】

【発明の背景】熱転写用インクリボンに保持させたイン
クをサーマルヘッドを介し溶融させて被印刷シートに転
写して印刷シートを形成する熱転写式プリンタにあっ
て、ワックス系インクによる印刷ではそのインク情報が
熱安定性や耐擦過性、耐溶剤性等に乏しいことから、そ
の向上を図りうる熱可塑性樹脂やそれとワックスの混合
物を用いた樹脂系インクの使用が検討されている。

【０００３】しかしながら樹脂系インクではワックス系
インクに比べて、インクの溶融転写に要する熱エネルギ
ーが大きく増大し、インク情報の熱安定性等を高めるほ
どその熱エネルギーはより大きく増大する。そのため従
来の熱転写式プリンタで樹脂系インクリボンによる印刷
を試みた場合、印字速度を落とす必要があって印刷シー
トの生産効率が低下したり、サーマルヘッドに対する負
荷の増大でその耐久性が低下するなどの問題点があっ
た。

【０００４】

【発明の技術的課題】本発明は、従来の熱転写式プリン
タを大幅に変更する必要なく、従って従来の熱転写式プ
リンタ機構の殆どをそのまま活かしつつそれに可及的に
簡便な改良を加えることで、熱安定性等に優れる樹脂系
インクリボンを用いた場合にもワックス系インクリボン
使用のときと実質的に同等の印字速度で効率よく印刷シ
ートを生産でき、サーマルヘッドの耐久性にも優れる印
刷シートの製造方法ないし熱転写式プリンタの開発を課
題とする。

【０００５】

【課題の解決手段】本発明は、ロール状の巻回体とした
被印刷シートを搬送ロールを介し巻戻し搬送して、その
巻戻し部分に熱転写式の印刷機構を介しインク情報を付
与するにあたり、そのインク情報を付与する前の工程に
おいて被印刷シートの当該巻戻し部分又は当該印刷機構
における熱転写用インクリボンの少なくとも一方を予備
加熱することを特徴とする印刷シートの製造方法を提供
するものである。

【０００６】また本発明は、ロール状の巻回体とした被
印刷シートを巻戻しつつ搬送する搬送ロール、その被印
刷シートの巻戻し部分にインク情報を付与する熱転写式
の印刷機構、及びそのインク情報を付与する前の工程に
おいて被印刷シートの当該巻戻し部分又は当該印刷機構
における熱転写用インクリボンの少なくとも一方を予備
加熱する加熱手段を少なくとも有することを特徴とする
熱転写式プリンタを提供するものである。

【０００７】

【発明の効果】本発明によれば、インク情報付与前の被
印刷シート又は熱転写用インクリボンを予備加熱するこ
とにより熱転写の際に被印刷シートに吸収される熱量を
低減したり、インクの溶融転写に要する熱量を低減した
りすることができ、それによりインクの溶融転写に必要
なサーマルヘッドの熱エネルギーを低減することができ
る。すなわち熱転写時に被印刷シートや熱転写用インク
リボンに吸収される熱量を抑制してサーマルヘッドの熱
エネルギーをインクの溶融転写に効率よく集中できて、
またインクリボン温度の事前調節でインクの溶融に必要
な熱エネルギーを低下させることができて、インクの溶
融転写に必要なサーマルヘッドの熱エネルギーを低減す
ることができる。

【０００８】前記の結果、インクの溶融転写に要する以
上の熱エネルギーを掛ける必要の回避、ないしインクの
溶融転写に必要な熱エネルギーの低減などによりサーマ
ルヘッドの必要発熱量を小さくでき、必要な発熱時間を
短縮できて印字速度を速くでき印刷シートの生産効率を
向上させることができる。また熱転写用インクリボンに
ついても従来の熱転写式プリンタでは融点の点より使用
困難とされてきた高融点樹脂使用のインクを用いたリボ
ンの実用が可能となり印字性能、特にインク情報の熱安
定性や耐擦過性、耐溶剤性等に優れる印刷シートを得る
ことができる。

【０００９】さらに予備加熱手段を付加するだけの簡便
な改良で目的を達成しうることより大幅な変更の必要な
く従来の熱転写式プリンタ機構の殆ど、特にそのサーマ
ルヘッドをそのまま活用してワックス系インクリボンに
準じた低エネルギーで熱転写できるプリンタを得ること
ができ、樹脂系インクリボンを用いた場合にも効率よく
印刷シートを生産できてサーマルヘッドの耐久性にも優
れている。

【００１０】

【発明の実施形態】本発明による製造方法は、ロール状
の巻回体とした被印刷シートを搬送ロールを介し巻戻し
搬送して、その巻戻し部分に熱転写式の印刷機構を介し
インク情報を付与するにあたり、そのインク情報を付与
する前の工程において被印刷シートの当該巻戻し部分又
は当該印刷機構における熱転写用インクリボンの少なく
とも一方を予備加熱して印刷シートを得るものである。

【００１１】従って前記の製造方法を実施する熱転写式
プリンタは、例えばロール状の巻回体とした被印刷シー
トを巻戻しつつ搬送する搬送ロール、その被印刷シート
の巻戻し部分にインク情報を付与する熱転写式の印刷機
構、及びそのインク情報を付与する前の工程において被
印刷シートの当該巻戻し部分又は当該印刷機構における
熱転写用インクリボンの少なくとも一方を予備加熱する
加熱手段を少なくとも有するものとして形成することが
できる。図１にその例を示した。１が被印刷シート、１
１がその巻回体、３、４が予備加熱手段、５がプラテン
ロールを兼ねる搬送ロール、６がサーマルヘッド、７が
熱転写用インクリボン、８が印刷シートである。

【００１２】前記において巻回体１１は、支持軸１２を
介し回転可能に保持されており、巻回体の回転を介して
被印刷シート１を矢印の如く順次繰出しうるようになっ
ている。プラテンロールを兼ねる搬送ロール５は、モー
ターにより矢印の如く回転駆動できるように設けられて
いる。サーマルヘッド６は、プラテンロール５に対して
自在に接触／離脱できるように設けられている。

【００１３】熱転写用インクリボン７は、それを巻回し
たリール７１より矢印の如く順次繰出されてプラテンロ
ール５とサーマルヘッド６の間を通過し、被印刷シート
１の搬送と連動して回転駆動されるリール７２に巻取ら
れるようになっている。従って前記したプラテンロール
とサーマルヘッドと熱転写用インクリボンにて熱転写式
の印刷機構が形成されている。

【００１４】図例の熱転写式プリンタにれば、被印刷シ
ート１がロール状の巻回体１１より搬送ロール５を介し
て順次巻戻され、その巻戻し部分がガイドロール２を介
して案内されつつ搬送され、必要に応じ加熱手段３を介
し予備加熱されて印刷機構部のプラテンロール５と熱転
写用インクリボン７の間に移送される。

【００１５】印刷機構部では印刷データに基づいて駆動
するサーマルヘッド６の発熱作用を介してインクリボン
のインクが溶融され、被印刷シート１の巻戻し部分にイ
ンク情報が熱転写により付与されて所定の印刷シート８
が連続的に形成され後続に搬送される。その際、必要に
応じ加熱手段４を介して熱転写用インクリボン７が予備
加熱されてプラテンロール５上を通過するようになって
いる。なお図例では印刷機構部の後続にカット機構９を
有しており、印刷後の被印刷シート８を所定の寸法で切
断してラベル等を形成できるようになっている。

【００１６】上記においてインク情報付与前の工程にお
ける被印刷シートの巻戻し部分又は／及び印刷機構の熱
転写用インクリボンを予備加熱する方式、従って熱転写
式プリンタにおける斯かる予備加熱手段については特に
限定はなく、適宜な方式にて行うことができる。ちなみ
にその例としては熱ロールや電熱ヒータ、熱風や赤外線
等の１種又は２種以上を介して予備加熱する方式などが
あげられる。

【００１７】前記の熱ロールを介した予備加熱方式は、
被印刷シートの予備加熱に好ましく適用でき、例えば図
例の装置ではプリンタ内でインク情報が付与される前に
被印刷シート１の巻戻し部分が接触することとなるガイ
ドロール２又は／及び搬送ロール(プラテンロール)５を
電熱ロール等の温度制御可能な熱ロールとすることでプ
リンタ機構の大幅な変更を伴うことなく被印刷シート１
を効率よく予備加熱することができる。

【００１８】一方、電熱ヒータや熱風や赤外線を介した
予備加熱方式は、例えば図例の装置における加熱手段
３、４の如く、プリンタ内でインク情報が付与される前
に被印刷シート１の巻戻し部分又は熱転写インクリボン
７が通過することとなる適宜な位置の近傍の１箇所又は
２箇所以上に、斯かる加熱手段の１種又は２種以上を配
置することで従来のプリンタ機構をそのまま活用して被
印刷シート１又は／及び熱転写インクリボン７を効率よ
く予備加熱することができる。

【００１９】前記した電熱ヒータや熱風や赤外線等の非
接触式の加熱手段は、その非接触性に基づき被印刷シー
トに加えて熱転写インクリボンの予備加熱にも好ましく
適用することができる。加熱手段は、例えば熱風ドライ
ヤーや赤外線ヒータ、特に赤外線レーザーの如く温度制
御が可能な装置であることが好ましい。

【００２０】予備加熱する温度は、被印刷シートの場合
にはその燃焼温度未満、熱転写インクリボンの場合には
そのインクの溶融温度未満とされる。また被印刷シート
の場合、その形成材の熱的寸法安定性を考慮してカール
等を生じない温度とすることが好ましい。一方、予備加
熱はインクの溶融転写に不足する熱量を予め補給して良
好な定着状態での高速印刷を可能とすることを目的とす
る点より、少なくともその目的を達成しうる予備加熱温
度とすることが好ましい。

【００２１】前記の点などより一般には、被印刷シート
の場合にも熱転写インクリボンにおけるインクの溶融温
度未満の温度となる状態の熱量が予備加熱で与えられ、
前記した高速印刷の点よりは熱転写インクリボンにおけ
るインクの溶融温度の近傍、就中、当該溶融温度よりも
１〜５０℃、特に５〜３０℃低い温度となる熱量を予備
加熱で与えることが好ましい。

【００２２】本発明においては、インク情報を付与する
前に被印刷シートの巻戻し部分又は印刷機構における熱
転写用インクリボンの一方又は両方を予備加熱する点を
除いて特に限定はなく、その予備加熱以外の点について
従来に準じた製造方法ないし熱転写式プリンタとするこ
とができる。就中、コンパクトな形態で格納した巻回体
より必要量の被印刷シートを巻戻し搬送して印刷処理
し、必要なインク情報を有するラベル等の印刷シートを
現場等にて臨機に連続発行でき、その被印刷シートとし
て印刷物の使用目的等に応じた耐熱性や耐水性、耐溶剤
性や耐候性等の性能を有する適宜なものを使用できるも
のが好ましい。

【００２３】ちなみに前記の被印刷シートとしては、各
種の紙、ポリマーからなるフィルムやシートや発泡シー
ト、ポリマー繊維からなる布や不織布、それらのラミネ
ート体や金属箔等の補強基材との複合シートなどがあげ
られる。また斯かる被印刷シートの裏面に粘着層を保護
カバーなしで、あるいは保護カバーと共に有するものな
どもあげられる。

【００２４】なお前記のポリマーとしては例えば、ポリ
エチレンやポリプロピレンの如きポリオレフィン、ポリ
アミドやポリエステル、ポリ酢酸ビニルやエチレン・酢
酸ビニル共重合体、ウレタン系ポリマーやポリ（メタ）
アクリル酸アルキルエステルの如きアクリル系ポリマ
ー、ポリ塩化ビニルやスチレン系ポリマー、シリコーン
系ポリマーや天然ゴム、ポリイソブチレンやポリイソプ
レン、クロロプレンゴムやイソプレン・イソブチレンゴ
ム、ニトリルブチルゴムやスチレン・ブタジエンゴム、
スチレン・ブタジエン・スチレンゴムやスチレン・イソ
プレン・スチレンゴム、スチレン・エチレン・ブタジエ
ンゴムやスチレン・エチレン・ブチレン・スチレンゴ
ム、スチレン・イソプレン・プロピレン・スチレンゴム
やエチレン・プロピレンターポリマーの如きプラスチッ
ク系やゴム系のポリマー、それらのブレンド物などがあ
げられる。

【００２５】一方、搬送ロールとしても例えば金属ロー
ルや、支持軸の外周にゴムロール部を設けた形態のもの
などの適宜なものであってよい。後者の場合、ロール部
が支持軸の外周に固定されて支持軸と共に回転するもの
や、ロール部が支持軸の外周に軸受等を介し支持されて
支持軸に対して回転するものなどの適宜な回転方式を採
ることができる。

【００２６】搬送ロールを上記した予備加熱用の熱ロー
ルとして利用する場合、前記のゴムロールとしては熱変
形や熱劣化の防止による耐久性等の点よりシリコーン系
ゴムからなるものが好ましい。またシリコーン系ゴムか
らなるロールは、粘着層との接着力が弱いことより上記
した裏面に粘着層を保護カバーなしで有する被印刷シー
トの円滑な搬送性の点よりも好ましく用いうる。

【００２７】他方、熱転写式の印刷機構についてもプラ
テンロールとサーマルヘッドと熱転写用インクリボンを
少なくとも用いてなる適宜なものであってよい。特に熱
転写用インクリボンについては、その樹脂成分として従
来方法では溶融転写が困難であった高融点樹脂を用いた
インクを支持基材に保持させたものも用いうる。高融点
樹脂使用のインクは、例えば熱安定性や耐擦過性、耐溶
剤性等に優れたインク情報を有する印刷シートを形成し
うる利点を有している。

【００２８】なお印刷機構を介し被印刷シートに付与す
るインク情報は、例えば印字パターンや絵柄パターン、
バーコードパターンなどの任意な文字や図形や記号など
で形成することができる。従って識別ラベルなどの適宜
な情報シートを形成することができる。その場合、イン
ク情報を連続的に印刷して目的の印刷シートを連続して
形成することもできるし、規定サイズの印刷シートの単
品物や一定数を形成することもできる。

【００２９】本発明による製造方法の実施や熱転写式プ
リンタの形成に際しては、図例の如く被印刷シート１に
印刷処理を施してなる印刷シート８を所定寸法に切断す
るカット機構９を必要に応じて設けることもできる。カ
ット機構は、印刷シートを所定の寸法で切断するもので
あればよく、切断刃をカム等を介し制御して間歇動作さ
せそれにより所定寸法に切断する機構などの適宜な機構
にて形成することができる。その場合の切断は、印刷シ
ートの全幅にわたるものであってもよいし、手等を介し
て容易に分離できる繋ぎ代を残してバラケを予防した状
態のものの如く印刷シートの部分に対するものなどであ
ってもよい。

【００３０】また製造方法の実施や熱転写式プリンタの
形成に際しては、被印刷シートの円滑な順送りなどを目
的に適宜な位置に被印刷シートの搬送を補助する順送り
機構を必要に応じて設けることもできる。ちなみに前記
した順送り機構の例としては、一対のエンボスロールを
用いたピンチ式の補助ロールからなる順送り機構を図例
の巻回体１１と搬送ロール５の間や、搬送ロール５とカ
ット機構９の間の一箇所又は二箇所以上に設ける方式、
さらにはその補助ロールを予備加熱用の熱ロールとする
方式などがあげられる。なお順送り機構は、ピンチロー
ル式のほかベルト式等の被印刷シートを順送りできる適
宜な機構とすることができる。

【００３１】さらに製造方法の実施や熱転写式プリンタ
の形成に際しては、印刷後の印刷シートにおける印刷状
態の良否を検査する検証機構を必要に応じて設けること
もできる。またその場合、検証機構とカット機構を連動
させて例えば正常品については所定の寸法で切断し、不
良品についてはカット機構を介しロスマークのカットを
入れる方式などとすることもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の説明図

【符号の説明】

１：被印刷シート １１：：巻回体 ３、４：加熱手段 ５：搬送ロール（プラテンロール） ６：サーマルヘッド ７：熱転写インクリボン ８：印刷シート ９：カット機構

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 2C060 BA01 BC02 BC12 BC84 2C065 AB02 AB03 AB10 CJ01 CJ03 CJ04

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ロール状の巻回体とした被印刷シートを
   搬送ロールを介し巻戻し搬送して、その巻戻し部分に熱
   転写式の印刷機構を介しインク情報を付与するにあた
   り、そのインク情報を付与する前の工程において被印刷
   シートの当該巻戻し部分又は当該印刷機構における熱転
   写用インクリボンの少なくとも一方を予備加熱すること
   を特徴とする印刷シートの製造方法。
2. 【請求項２】 請求項１において、予備加熱を熱ロー
   ル、熱風又は赤外レーザー光線を介して行う印刷シート
   の製造方法。
3. 【請求項３】 ロール状の巻回体とした被印刷シートを
   巻戻しつつ搬送する搬送ロール、その被印刷シートの巻
   戻し部分にインク情報を付与する熱転写式の印刷機構、
   及びそのインク情報を付与する前の工程において被印刷
   シートの当該巻戻し部分又は当該印刷機構における熱転
   写用インクリボンの少なくとも一方を予備加熱する加熱
   手段を少なくとも有することを特徴とする熱転写式プリ
   ンタ。