JP4690548B2 - 座席ユニット - Google Patents

Description

【０００１】
本発明は座席ユニットに関し、特に航空機の座席ユニットに関する。
【０００２】
我々の国際特許出願（公開番号ＷＯ９６／１８５３７号）において、主シートと補助ユニットとを備える座席ユニットが説明されている。この座席ユニットは、主シートがシートとして機能する「シート形状」から、主シートが補助ユニットと協調しフラットな寝台面を形成する「ベッド形状」へと、容易に操作できる。乗客のプライバシを増やすために、各座席ユニットは個別の固定ハウジング内に収容される。
【０００３】
ＷＯ９６／１８５３７号公報で説明されているシートは、現在、我々のファーストクラス・キャビンで使用されている。固定ハウジング内で各座席ユニットを「シート形状」から「ベッド形状」へと操作する容易さ、及び更にユニットの互い違いの配列は、業界のベンチマークとなる快適さとプライバシの水準とを提供するのに役立っている。ほとんどの航空機において、ビジネスクラス・キャビンには、大きく、妥当な間隔の空いたシートが取り付けられている。しかしながら、こうしたシートは、フラットになるようには設計されておらず、理想として好まれるようなプライバシを乗客に提供してはいない。ファーストクラスのキャビンでの成功にもかかわらず、ＷＯ９６／１８５３７号公報で説明されている座席ユニットは、ビジネスクラスのキャビンには十分に適合しない。これは、ビジネスキャビンでのこうしたシートの取り付けが、キャビンの全体的な座席数を非経済的なレベルまで減少させることを意味するためである。
【０００４】
したがって、航空機キャビンで使用するのに最適な座席ユニットを提供することが望ましく、このユニットはプライバシのある快適なもので、キャビンでの効率的な空間の利用を可能にする。
【０００５】
本発明によれば、乗り物用の座席ユニットが提供され、この座席ユニットは各シートが反対の方向を向いた一対のシートを備え、各シートは座席に着いた乗客の体を受け止める座席スペースと、乗客の脚を載せることが可能な延長スペースとを備え、このシートは観念上の境界軸線のそれぞれの側に配置され、一方の座席スペースは他方の延長スペースにおいて軸線を超えて拡張する。
【０００６】
本発明の他の態様によれば、一対のシートが提供され、航空機に取り付けられた時には一方が前方を向いて、他方が後方を向き、各シートは大占有エリアと、大占有エリアからシート軸線に沿って延びる小占有エリアとを定め、大占有エリアの片側に対する壁を備え、このシートは、シートの壁がシート軸線に関して共通の軸線オフセットを共有し、一方のシートの大占有エリアを他方のシートの小占有エリアより大きく定めるように、隣接して配置される。
【０００７】
本発明の他の態様によれば、航空機キャビンで使用されるシートが提供され、このシートはバックパンとシートパンとを備え、これらを一緒に操作して、シートパンがフロア側に傾いて航空機の離陸角度を補う離陸位置を含む複数の異なる位置にすることができる。
【０００８】
本発明の別の態様によれば、航空機キャビンにおいて航空機のシートで使用する補助ユニットが提供され、このユニットは、細長い支持部に取り付けられたパッドを備え、この支持部は高さを変えられるため、キャビンフロア上のパッドの高さが変更できる。
【０００９】
本発明の別の態様によれば、航空機キャビンの座席ユニットが提供され、このユニットは、引き込み位置と延長位置との間で移動可能なシートと、シートに並ぶ位置および並ばない位置に移動可能なフットレストと、シートが延長位置に移動する時にフットレストをシートに並ぶ位置に移動させるフットレストアクチュエータとを備える。
【００１０】
本発明の別の態様によれば、飛行時娯楽ユニットが提供され、これはハウジングと、支持アームによりハウジング上で支持されるモニタとを備え、この支持アームはモニタを格納位置と視聴位置との間で動かすためにハウジングのまわりで回転可能であり、このモニタは視聴位置にある時、視聴角度を変えるために、支持アームのまわりで回転可能である。
【００１１】
本発明の別の態様によれば、飛行時娯楽ユニットが提供され、これはユニットの保守を容易にする独立型ユニット内に以下、つまりモニタ、コンピュータ用コンセント、カクテルテーブル、状態インジケータ、又はオーディオ出力ジャックの二つ以上を備える。
【００１２】
本発明の上記その他の特徴は、添付請求の範囲に詳細に記載されており、添付図面に基づき本発明の例示的実施形態に関する以下の詳細な説明を考慮することによりその利点と共に明らかとなろう。
【００１３】
添付図面の図１乃至３では、航空機用の一対の座席ユニット１を示している。この一対のシート１は、航空機キャビンにおいて、この一対を取り付けるのを容易にするためにパレット上に取り付けられる。こうしたパレットは、当該技術において知られているため、ここで詳しく説明する必要はない。この一対の座席ユニット１は、横並びの配置で、第一の座席ユニット２ａは航空機キャビンの前部の方向を向き、第二の座席ユニット２ｂは航空機キャビンの後部の方向を向く。第一及び第二の座席ユニット２ａ及び２ｂそれぞれは、補助ユニット５ａ、５ｂの方を向いた主角度調整可能シート４ａ、４ｂを備える。飛行中、乗客は主シート４で快適に角度を調整し、対応する補助ユニット５に脚を載せることができる。
【００１４】
主シート４ａは、第一のハウジング６に収容され、この中で主シート４ａの角度調整ができる。主シート４ｂは第二のハウジング１６内に収容され、この中で角度調整ができる。第一のハウジング６と第二のハウジング１６とは、二つの主シート４ａ及び４ｂ間のプライバシを提供する。
【００１５】
多くの態様において、二つの座席ユニットはほぼ一致している。以下の説明を簡略化するために、二つの間に相違が存在する箇所を除き、単一の座席ユニットの特徴及び操作について言及する。
【００１６】
それぞれの主シート４は、座席部分８にピボット式に結合された背もたれ部分７を備える。この座席部分８は、個々の制御パッド３の操作に基づき、モータ式スクリューシャフト９ａで駆動されるトロリ９により、キャビンフロア上で支持される。トロリ９の駆動は、図１に示すような直立位置と、図２に示すようなベッド位置との間で主シート４を移動させる役割を果たす。ベッド位置において、補助ユニット５は、主シート４の座席部分８と背もたれ部分７と一緒になり、寝台面を形成する。更に、このベッド位置において、背もたれ部分７はハウジング内の支持部１７によって支持される。座席部分８と背もたれ部分７との直立及びベッド位置での移動は、主シート４のそれぞれの側で、ハウジング６又は１６に含まれる適切な誘導トラック（表示なし）によって誘導される。こうした誘導トラックは、この技術で広く知られており、前記の国際特許公開第ＷＯ９６／１８５３７号において更に詳細に説明されている。
【００１７】
第一のハウジング６及び第二のハウジング１６は、図４の平面図において最も明瞭に表示されている。更に明瞭にするために、主シート４と補助ユニット５とは図４において表示されていない。第一のハウジング６は、第一の側壁６ａと、第二の側壁６ｂと、湾曲後部壁６ｃとを備え、これらは共に座席ユニット２ａ（表示なし）を中に収容するスペースを定めている。
【００１８】
第一の側壁６ａと、第二の側壁６ｂと、後部壁６ｃとは、好ましくは分離した構造体で、後部壁６ｃを第一６ａ及び第二６ｂの側壁それぞれにクリップ留めすることで組み立てる。第二のハウジング１６は第一のハウジング６と同様の設計で、独自の第一の側壁１６ａと、第二の側壁１６ｂと、湾曲後部壁１６ｃとをそれぞれ備える。
【００１９】
座席ユニットが置かれる横並びの配置において、第一の側壁６ａと第一の側壁１６ａとは互いに隣接する。したがって、第一のハウジング６と第二のハウジング１６は共に、変形したＳ字形の平面図を形成する。アームレスト１０ａ及び１０ｂは、第一の側壁６ａ、１６ａ及び第二の側壁６ｂ、１６ｂ上に設けられる。この配置では、クリップを外しハウジングから後部壁を取り外すことで、他の方法では困難な構成要素へのアクセスが得られるため、座席ユニットの構成要素の保守を容易にする。
【００２０】
第一のハウジング６の第一の側壁６ａと第二のハウジング１６の第一の側壁１６ａとは、両方とも軸線Ａ−Ａに沿って延び、この軸線は一対の座席ユニットの長さの軸線Ｂ−Ｂに関してオフセットしている。ハウジング６及び１６の第二の側壁６ｂ及び１６ｂは、一対の座席ユニットの長さの軸線にほぼ平行な軸線に沿って延びる。したがって、ハウジング６、１６によって定められるスペースは、後部壁６ｃ及び１６ｃの場所に比べ、補助ユニット５の場所において少なくなる。そのため、第一のハウジング６は、ある乗客の上半身のための主占有エリアＸａと、ある乗客の下半身のための小占有エリアＹａとを定めると考えることができる。同様に、第二のハウジング１６は、別の乗客の上半身のための主占有エリアＸｂと、別の乗客の下半身のための小占有エリアＹｂとを定めると考えることができる。
【００２１】
この構造において、座席ユニットは、一対の座席ユニットの長さの軸線Ｂ−Ｂに対応する観念上の境界線のそれぞれの側に配置されると考えることができる。ハウジング６及び１６は、第一の座席ユニット２ａの大占有エリアＸａが、第二の座席ユニット２ｂの小占有エリアＹｂにおいて境界線Ｂ−Ｂを超えて拡張し、第二の座席ユニット２ｂの大占有エリアＸｂが、第一の座席ユニット２ａの小占有エリアＹａにおいて境界線Ｂ−Ｂを超えて拡張する形状となる。したがって、スペースが必要な場所では上半身のために余分なスペースが提供され、必要ない場所では脚のために少ないスペースが提供される。それぞれの座席ユニットにおいてアームレスト１０ａ、１０ｂを設けるのに十分なスペースが利用可能であり、アームレスト１０ａは共通の軸線に沿って配置される。
【００２２】
便利なことに、各座席ユニットには、隣接する座席ユニットの主シート下に位置する格納スペースが設けられ、ハッチ１８ａ（図１参照）を介して利用できる。この格納スペースは、乗客個人の所有物、又は救命胴衣等の安全装備を格納するのに使用できる。追加格納スペースは、座席部分を支持する各トロリ内に設けられる。後退部１８ｂ及び書類ポケット１８ｃも格納ハッチ１８ａの上に設けられる。
【００２３】
二つの座席ユニット２ａ及び２ｂ間のプライバシを提供するために、座席ユニット２ａには花弁又はブレード状のプライバシスクリーン１１ａが設けられ、座席ユニット２ｂには対応するプライバシスクリーン１１ｂが設けられる（図１及び図２参照）。プライバシスクリーン１１ａは、ピボットポイント１２において、ハウジング６の第一の側壁６ａでピボット上に取り付けられる。プライバシスクリーン１１ｂも同様に、ピボットポイント（表示なし）において、第二のハウジング１６でピボット上に取り付けられる。各プライバシスクリーン１１ａ、１１ｂは、第一のアームレスト１０ａの共通軸線を分断し、個々の第一の側壁６ａ、１６ａによって定められる平面において、個々のピボットポイントのまわりを回転できる。プライバシスクリーン１１ａ、１１ｂの回転方向は、それぞれ図１の矢印Ｄ−Ｄ及びＥ−Ｅによって表示されている。
【００２４】
理想的には、それぞれのプライバシスクリーン１１ａ及び１１ｂは、座席ユニットの一方が完全な直立位置と完全な傾斜位置との間の任意の形状にある時、隣り合った乗客とのアイコンタクトを遮るように回転できる。各プライバシスクリーンは、適切なデタントメカニズム（表示なし）によって、望んだ位置に固定できる。当然ながら、隣り合った乗客が互いに会話したい場合は、プライバシスクリーン１１ａ、１１ｂを適切に配置し、乗客間のアイコンタクトを可能にできる。
【００２５】
好ましくは、それぞれのプライバシスクリーン１１ａ及び１１ｂは、軽量のフレキシブルな素材で作成し、緊急時、頭上のコンパートメントから落下する酸素マスクを利用できるように、このスクリーンを容易に回転させてどけること、又は必要であれば片側に押しやることを可能にする。こうした特性を有し、プライバシスクリーンを作成可能な既知の素材の一つはＴｕｆｎｏｌ^(RTM)である。
【００２６】
添付図面の図３に示すように、第一の座席ユニット２ａには、座席ユニット２ａを超えて乗客の膝の上（表示なし）へ延長して配置可能なワンピースのテーブル１３が設けられている。このテーブル１３は既知の方法でアームレスト１０ｂ内に格納される。このテーブル１３は、ナックル接ぎ手（表示なし）によって、座席ユニット２ａのアームレスト１０ｂにピボット式で取り付けられる。テーブル１３を格納位置から展開するためには、最初にテーブル１３をアーム１０の面で回転させて格納エリアから出し、その後、乗客の膝の上に回転させて下ろす。展開時、テーブルをアームレストに結合させる継ぎ手により、テーブルをアーム１０に対して直角に、前後の方向へスライドさせ、乗客にとって快適な位置にすることができる（矢印Ｆ−Ｆによって表示）。テーブル１３は更に、キャビンフロアに平行な面において、テーブル１３がシートに渡って延びる位置（実線で表示）と、テーブル１３がシートの軸線に平行に延びる位置（波線で表示）との間で回転させることができる。これにより、乗客はテーブル１３を格納エリアに戻すことなく、容易にシートでの出入りができる。
【００２７】
テーブル１３は一端にフィン形の突起部１４を含み、これはテーブル１３が座席ユニット２ａに渡って延びる時に座席ユニット２ａのアームレスト９上に乗るように成形及び配置される。好ましくは、この突起部１２ａは弾性素材で形成され、テーブル１３が荷重を支持し、突起部１４がアームレスト１０ａに乗っている時に、アームレスト１０ａが傷つかないようにする。
【００２８】
従来、ディスプレイスクリーン、ヘッドフォンジャック、及びその他の飛行時娯楽デバイスは、航空機のシートのアームレストに取り付けられていた。こうしたデバイスをアームレストに収容する結果、アームレストは、単に乗客の腕を支持する場合に必要となるものよりも幅が広くなっていた。これは非効率的な空間の利用である。そのため、それぞれの座席ユニット２ａ及び２ｂには、独立型の飛行時娯楽ユニット１５ａ及び１５ｂがそれぞれ設けられ、それぞれ対応する主シート４の前に配置され、隣接する座席ユニットのハウジングに固定される。こうした娯楽ユニットは図５ａ乃至５ｃに詳しく表示されており、ディスプレイモニタ２１と、ヘッドフォンジャック２２と、ＰＣ用コンセント２３と、カクテルテーブル２４と、読書ライト２５とを収容するハウジング２０を備える。
【００２９】
ディスプレイモニタ２１では、乗客が飛行中の映画等を観ることが可能であり、支持アーム２１ａによってハウジング２０にピボットにより結合される。この支持部２１ａは、回転可能な状態で蝶番によりハウジング２０に留められており、これを回転させることで、スクリーン２１がハウジング２０の後退部２１ｂにぴったりと適合する図５ａに示した格納位置から、スクリーンがシートの乗客の方を向く図５ｂに示した展開位置へとディスプレイスクリーン２１を移動させることができる。ディスプレイスクリーン２１自体も回転可能な状態で支持アーム２１ａに取り付けられており、支持アーム２１ａの軸線のまわりを回転させることが可能であり、乗客は、自分が座った姿勢又は横になった姿勢に応じて、スクリーンを快適な視聴角度に配置することができる。回転可能ラッチ２１ｃは、離陸及び着陸時にディスプレイ２１を格納位置にロックするために設けられる。
【００３０】
カクテルテーブル２４は、ディスプレイ２１の位置を調整中に、テーブル２４に置いた飲み物を誤ってこぼすことを避けるために、支持アーム２１ａの上に配置される。カクテルテーブル２４は、蝶番結合部２４ａによってハウジング２０に蝶番で留められ、テーブル２４がハウジング２０に形成された後退部２４ｂにぴったりと適合する図５ｃに表示した格納位置と、テーブル２４がハウジングから延びる図５ａに表示した展開位置との間で移動できる。回転可能ラッチ２４ｃは、テーブル２４を格納位置で留めるために設けられる。ヘッドフォンジャック２２ａ及びＰＣコンセント２３は、こうしたデバイスが使用される時に、ヘッドフォン及びＰＣケーブルがもつれる恐れを最小限にするように適切に配置される。
【００３１】
読書ライト２５は、ハウジング２０の最上部に位置し、他の座席ユニットの主シートに向けて、光を下向きに送るように配置される。
【００３２】
都合の良いことに、保守又はユニットの取り外しのための娯楽ユニット背面へのアクセスは、隣接する座席ユニットのハウジング後部のクリップを外し、座席ユニット及び座席ユニットが置かれているパレットから後部を取り外すことで達成される。ユニットの修理後又は交換後、この後部はクリップにより元の位置に取り付ける。
【００３３】
通常の飛行中、乗客が自分のシートをどのような形状にするかは、完全に乗客次第であり、このため主シートは、直立位置と完全に傾斜した位置との間の任意の位置で動かすことができる。更に、各座席ユニットは、関連する複数の事前に定められたモードを有しており、制御パッドの使用により、座席ユニットはこれらのモードに自動的に移動する。各モードにおいて、座席ユニットのバックレスト４と座席部分８は、それぞれ垂直面及び水平面に対する事前に定められた角度で固定され、水平面はキャビンフロア面によって定められる。図６ａ乃至６ｃはそれぞれ、事前に定められた、異なる座席モードにある座席ユニット２ａを示している。明瞭にする理由から、座席ユニット２ａの座席部分８を支持するトロリは表示されていない。
【００３４】
離陸及び着陸中、航空機は水平面に対して約１５度傾斜する。座席部分と背もたれ部分とがキャビンフロアに対してそれぞれ平行及び垂直となるように座席ユニットが設計されている場合、後方を向いたシートの乗客は、離陸時、シートから前方に滑り出すように感じることになる。乗客は当然、こうした感覚を不快に感じるため、これは望ましくない。
【００３５】
こうした問題を回避するために、座席ユニットに設定可能なモードの一つは、図６ａに示す滑走、離陸及び着陸（ＴＴＯＬ）モードである。このＴＴＯＬモードは、乗客が滑走、離陸、又は着陸中に採用する必要があり、座席部分８は水平面に対して事前に定められた角度で傾斜し、背もたれ部分４も垂直面に対して事前に定められた角度で傾斜し、航空機の離陸角度を補い、乗客がシートで快適に感じるようにする。研究の結果、背もたれ部分４を垂直面に対して３０度傾斜させ、座席部分８を水平面に対して１５度傾斜させると、乗客が特に快適に感じ、同時に安全性の理由からも許容できることが明らかになっている。
【００３６】
飛行の過程において、乗客は仕事をしたり、飲食をしたりして時間を過ごす。シートが採用するように設計されている事前に定められたモードの一つは、図６ｂに示す仕事及び食事モードである。仕事及び食事モードにおいて、背もたれ部分４はＴＴＯＬモードよりも直立し、座席部分８はＴＴＯＬモードに比べ水平面に対して傾斜しない。乗客は仕事又は食事中、ＴＴＯＬモードにおける背もたれ及びシート位置の状態を不快と感じるため、これは欠かせない。好ましくは、必ずではないものの、仕事及び食事モードにおいて、背もたれ部分４は垂直面に対して約１３度傾斜し、座席部分８は水平面に対して約４度傾斜する。
【００３７】
乗客が仕事及び食事モードでの姿勢を不快と感じる場合、直立度の少ない仕事及び食事モードも提供され、この座席ユニット２ａを図６ｃに示す。このモードにおいて、背もたれ部分４は、好ましくは、垂直面に対して約２０度傾斜し、座席部分８は水平面に対して約１０度傾斜する。
【００３８】
図６ｄは、ハーフリクライニングモードにある座席ユニット２ａを示しており、このモードでは、乗客は快適にリラックスしながらディスプレイでの飛行中の娯楽の鑑賞又は読書ができると考えられる。好ましくは、このモードにおいて、背もたれ部分は垂直面に対して約２５度傾斜し、座席部分８は水平面に対して約１２度傾斜する。
【００３９】
図６ｅは、すでに図２ａで示したものと同様のベッドモードにあるシート２ａを示している。このモードにおいて、主シート１４及び補助ユニット５はほぼフラットな面を形成する。
【００４０】
添付図面の図７ａ乃至図７ｅは、補助ユニット５０を表しており、図１乃至図３に示した補助ユニット５よりも詳細に示している。補助ユニット５０は、基部５３に固定された支持部材５２によって支持されるパッド５１を備える。支持部材５２は、パッド５１を支える第一の部分５２ａと、第一の部分５２ａがスライド式に取り付けられている第二の部分５２ｂとを備える。第二の部分５２ｂは基部５３にしっかりと取り付けられる。
【００４１】
使用において、パッドは、図７ａ及び７ｂに示す上昇位置と、図７ｃに示す降下位置との間の任意の位置で昇降させることができる。これは、支持部材の第一の部分５２ａと第二の部分５２ｂ上で手動によりスライドさせることで達成される。好ましくは、補助ユニットは、例えば３００ポンド（１３６ｋｇ）等の事前に定められた最低限の過度な力が加えられた場合、このユニットが自動的に降下位置まで降下するように構成される。
【００４２】
直立位置にある時、パッド５１は主シートと協調し、図２ａに示すように、フラットな面を形成する。
【００４３】
パッド５１は、ピボット５４において、支持部５２ａにピボット式に結合される。これにより、パッド５１は、図７ｂ及び図７ｃに示す水平位置と、図７ｄに示す垂直位置との間でピボットを軸に回転させることができる。パッド５１は、離着陸時、及び乗客がシートを離れられるように、垂直位置に置かれると考えられる。垂直位置において、フットパッドは、ラッチにより、前にある次のシートのハウジング後部（表示なし）、又は隔壁その他のキャビン内の固定構造物に留めておける。
【００４４】
図７ｅはパッド５１の平面図を示している。パッド５１は、乗客がパッドの両側で脚をキャビンフロアに置けるように、角度の付いた形状である。これにより、乗客は、必ずしも図７ｄに示す格納位置までパッドを上げなくとも、シートを離れることができる。これが可能なのは、パッド５１の前端部５５が後端部５６よりも幅が広いためである。
【００４５】
好ましくは、基部５３はピボットポイント５７において、キャビンフロアにピボット式に結合される。補助ユニット全体は、キャビンフロア面において、ピボットポイント５７のまわりを、中心から外れた回転により、９０度まで回すことができる。この平面での補助ユニットの回転により、飛行中、乗客は更に容易にシート内での位置を変えられる。乗客の脚を完全に支持すると、脚には均等な圧力がかかり、これにより時間と共に血液の循環が減少する。この回転により、乗客は、シートを出て立ち上がった時の「脚のしびれ」の感覚等の不快感を回避できる。
【００４６】
更に、このポイント５７での回転により、前端部５１が座席ユニットの主シートを向いた位置から、前端部５１が主シートとは別の方向を向く位置へ、パッドを回すことができる。これは図面の図８に表されており、補助ユニット６０の前端部６１は主シート６３を向いており、補助ユニット６４は９０度回転又は旋回し、前端部６６は主シート６５とは別の方向を向いている。
【００４７】
主シートが、補助ユニットと共にベッドを形成するために、完全な延長位置に移動される時、ユニットの前端部が主シートの方向を向くように、補助ユニットが主シートと並んでいるのが好ましい。この構成において、乗客の脚は最大限に支持される。乗客にとって、座席ユニットをベッドモードにする度に、主シートから起きあがり、補助ユニットを正確に並べる必要があるのは不便である。そのため、好ましくは、各座席ユニットは、主シートがベッドモードに移動する時、補助ユニットが主シートと並んでいない場合、補助ユニットを自動的に旋回させ、このユニットの前端部が主シートの方向を向かせるように構成される。これを達成するメカニズムの一つは添付図面の図９に表示されている。図９は、シートと並んでおらず、前端部７６がシートとは違う方向を向いたパッド７５を有する補助ユニット７４に近づく座席部分７０の平面図を示している。
【００４８】
座席部分７０は、キャビンフロア上のトラック７２ａ、７２ｂ内で動く往復台７１によって運ばれる。往復台７１は、往復台７１から延びるプッシャ７３を有し、これはトラック７２ａ内で往復台７１の前を移動する。補助ユニット７４は、基部７７を有し、この上でパッド７５は支持部７８によって支えられる。基部７７は、ピボットポイント７９において、ピボットを軸に回転するように取り付けられる。補助ユニット７４の基部７７は、座席部分７０及び往復台７１と並んでいない場合、プッシャ７３が基部７７に接触して力を加え、ピボットポイント７９を中心に基部７７を反時計回りで旋回させ、座席部分７０が完全に延長した位置に達した時、前端部７６が座席部分７０を向くように補助ユニット７４を旋回させるような形状にする。
【００４９】
次に添付図面の図１０に関して、ここでは、補助ユニット８０を完全な直立位置と完全な降下位置との間で昇降させるメカニズムを含む補助ユニット８０を部分的に切り取った断面図を示している。このユニット８０は、管状の第二の支持部８２内にスライド可能な状態で取り付けられた細長いロッドの形態である第一の支持部８１を備える。第一の支持部８１は、一方の端部にフットパッドが付いており、明瞭にする理由から、これは表示されておらず、他方の端部は金属ヨーク８３に結合される。第二の支持部８２は、一対の間隔の空いた直立支持ロッド８４を含み、このそれぞれはヨーク８３内に形成された一対の穴（表示なし）を個々に通過している。そのため、ヨーク８３は、支持ロッド８４の橋渡しをしており、各ロッドと穴との間のはめ込みは、ヨーク８４、及びしたがって第一の支持部８１及びパッドが、完全な上昇位置（実線で表示）と完全な降下位置（波線で表示）との間でスライドできるように緩くなっている。
【００５０】
第一の支持部８１とヨーク８３とは、完全な上昇位置と完全な降下位置との間の任意の位置で、ヨーク８３に取り付けられた「メックロック」８５を使ってロックできる。「メックロック」８５は、フットパッド（表示なし）の底面に固定された作動ハンドル（表示なし）によって操作され、このハンドルは操作ケーブル８６によって「メックロック」８５に結合される。好ましくは、このロックは、３００ポンド（１３６ｋｇ）以上の力がユニットに加わった場合、解除されるように構成される。「メックロック」は、この技術で広く知られており、ここでは更に詳しく説明しない。好ましくは、第一の支持部８１とケーブルとは保護ケーシング（表示なし）で囲まれ、これは第一の支持部８１とケーブル８６とを見えなくし、第一の支持部８１が昇降するにのにしたがって、第二の支持部８２の外表面上をスライドする。
【００５１】
上記で説明した座席ユニットに関して可能なキャビンでの一配置を図１１に示す。この配置においては、座席ユニット１の組が、キャビンの幅に渡って延びる列Ａ、Ｂと、キャビンの長さに沿った複数の線Ｃ、Ｄ、Ｅ、Ｆとに配置されている。各列は、キャビンの幅に渡って延びる４組の座席ユニット１を含む。図１１においては、Ａ及びＢ２列の座席ユニットの組のみが例示されているが、当然ながら、実際の航空機では更に多くの列が存在する。各列の第一及び第二の組と第三及び第四の組とは、通路９２によって分離されており、これは座席ユニットへのアクセスを提供し、当然ながら、乗客及び乗員はキャビンを行き来できる。通路に隣接するそれぞれの座席ユニットはキャビンの前方を向いており、通路側ではないシートはキャビンの後方を向いている。
【００５２】
以上好適な実施形態に基づき本発明を説明してきたが、当該実施形態は例示にすぎず、前記特許請求の範囲及びその等価物に記載された本発明の趣旨と範囲から逸脱することなく当業者が想到しうる修正及び変更を成し得ることは十分に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明を実施した一対のシートを示す側面図である。
【図２】 本発明を実施した一対のシートを示す側面図である。
【図３】 本発明を実施した一対のシートを示す平面図である。
【図４】 図１乃至３で示したシートの一対のハウジングを示す平面図である。
【図５ａ】 飛行時娯楽ユニットを示す図である。
【図５ｂ】 飛行時娯楽ユニットを示す図である。
【図５ｃ】 飛行時娯楽ユニットを示す図である。
【図６ａ】 一対のマルチモードシートを示す側面図である。
【図６ｂ】 一対のマルチモードシートを示す側面図である。
【図６ｃ】 一対のマルチモードシートを示す側面図である。
【図６ｄ】 一対のマルチモードシートを示す側面図である。
【図６ｅ】 一対のマルチモードシートを示す側面図である。
【図７ａ】 補助ユニットを示す斜視図である。
【図７ｂ】 直立形状の補助ユニットを示す図である。
【図７ｃ】 降下形状のパッドを有する補助ユニットを示す図である。
【図７ｄ】 格納形状のパッドを有する補助ユニットを示す図である。
【図７ｅ】 補助ユニットを示す平面図である。
【図８】 本発明を実施した一対のシートを示す平面図である。
【図９】 並んでいない補助ユニットに近づく座席部分を示す平面図である。
【図１０】 補助ユニットを示す一部を切り取った側面図である。
【図１１】 航空機キャビンでのシートの配置を示す図である。
【符号の説明】
１…座席ユニット、２ａ…第一の座席ユニット、２ｂ…第二の座席ユニット、３…制御パッド、４…主シート、５、５０、６０、６４、７４、８０…補助ユニット、６、２０…ハウジング、６ａ…第一の側壁、６ｂ…第二の側壁、６ｃ…湾曲後部壁、７…背もたれ部分、８、７０…座席部分、９、７１…トロリ、９ａ…モータ式スクリューシャフト、１０ａ、１０ｂ…アームレスト、１１ａ、１１ｂ…プライバシスクリーン、１２…ピボットポイント、１３…テーブル、１４…突起部、１５ａ、１５ｂ…飛行時娯楽ユニット、１６…第二のハウジング、１６ａ…第一の側壁、１６ｂ…第二の側壁、１７、７８…支持部、１８ａ…ハッチ、１８ｂ、２１ｂ、２４ｂ…後退部、１８ｃ…書類ポケット、２１…スクリーン、２１ａ…支持アーム、２１ｃ、２４ｃ…回転可能ラッチ、２２…ヘッドフォンジャック、２３…ＰＣ用コンセント、２４…カクテルテーブル、２４ａ…蝶番結合部、２５…読書ライト、５１、７５…パッド、５２…支持部材、５２ａ…第一の部分、５２ｂ…第二の部分、５３、７７…基部、５４…ピボット、５５、６１、６６、７６…前端部、５６…後端部、５７、７９…ピボットポイント、６３、６５…主シート、７２ａ、７２ｂ…トラック、７３…プッシャ、８１…第一の支持部、８２…第二の支持部、８３…ヨーク、８４…支持ロッド、８５…メックロック、８６…ケーブル、９２…通路。

Claims (26)

1. 互いに反対方向を向いた一対のシート（２ａ，２ｂ）を備える乗り物用の座席ユニット（１）であって、
   各前記シート（２ａ，２ｂ）が、着席した乗客の体を受け止める座席スペース（Ｘａ，Ｘｂ）と、乗客の足を置くことが可能な延長スペース（Ｙａ，Ｙｂ）とを有しており、
   前記一対のシートが前記座席ユニット（１）の長手方向の軸線（Ｂ−Ｂ）を挟んでその両側に横並びに配置されており、一方の前記シートの前記座席スペース（Ｘａ，Ｘｂ）が、他方の前記シートの前記延長スペース（Ｙａ，Ｙｂ）に向かって前記長手方向の軸線（Ｂ−Ｂ）を越えて広がっており、
   各前記シート（２ａ，２ｂ）が、背もたれ部分（７）と座席部分（８，７０）とを有しており、前記座席部分が前記背もたれ部分と協働することにより、前記背もたれ部分が、直立位置と、前記座席部分および前記背もたれ部分がフラットな面を形成する完全傾倒位置との間で動作可能である、乗り物用の座席ユニット。
2. 各前記シート（２ａ，２ｂ）がアームレスト（１０ａ）を有しており、一方の前記シート（２ａ）の前記アームレストが他方の前記シート（２ｂ）の前記アームレストとの共通軸線に沿って配置されている、請求項１記載の座席ユニット。
3. 前記共通軸線が、前記座席ユニット（１）の前記長手方向の軸線（Ｂ−Ｂ）とほぼ一致している、請求項２記載の座席ユニット。
4. 前記一対のシート（２ａ，２ｂ）がハウジング内に収容されるか、又は各前記シートが個別のハウジング（１６，６）に収容され、前記ハウジングまたは前記複数のハウジングが、前記座席スペース（Ｘａ，Ｘｂ）と前記延長スペース（Ｙａ，Ｙｂ）との範囲を画定して前記一対のシート（２ａ，２ｂ）間に前記長手方向の軸線（Ｂ−Ｂ）に対して交差する壁（１６ａ，６ａ）を形成する、請求項１〜３のいずれか一項に記載の座席ユニット。
5. 各前記延長スペース（Ｙａ，Ｙｂ）には、各前記シート（２ａ；２ｂ）から離間して配置された補助ユニット（５，５０，６０，７４，８０）が各前記シート（２ａ，２ｂ）の方向を向くように配置されている、請求項１〜４のいずれか一項に記載の座席ユニット。
6. 前記背もたれ部分が前記完全傾倒位置にあるとき、前記座席部分は最大に延び出した位置にあり、前記座席部分（８）と前記背もたれ部分（７）とが前記補助ユニット（５，５０，６０，７４，８０）と共にフラットな面を形成している、請求項５記載の座席ユニット。
7. 前記補助ユニット（５，５０，６０，７４，８０）が、細長い支持部（５２，７８，８１，８２）に取り付けられたパッド（５１，７２）を有しており、前記支持部は可変の高さを有し、これにより航空機のフロアからの前記パッドの高さが変更可能となっている、請求項５又は６に記載の座席ユニット。
8. 前記パッド（５１，７２）が、前記航空機のフロアの面とほぼ平行な面において回転するように支持されている、請求項７記載の座席ユニット。
9. 前記パッドが、使用位置と収納位置との間において、前記支持部とほぼ垂直な軸線のまわりで、ピボットを軸として動くように前記支持部に取り付けられている、請求項７又は８記載の座席ユニット。
10. 前記使用位置にある前記パッド（５１，７２）が前記航空機のフロアとほぼ平行となっており、前記収納位置にあるものは前記航空機のフロアに対してほぼ垂直となっている、請求項９記載の座席ユニット。
11. 前記支持部（５２，７８，８１，８２）が、事前に定められた最大値よりも大きな荷重が前記補助ユニットに加わった時、前記パッドを降下させる手段を含んでいる、請求項７〜１０のいずれか一項に記載の座席ユニット。
12. 前記補助ユニット（７４）が前記シート（２ａ，２ｂ）の方向を向く位置及び向かない位置へ移動可能となっており、前記座席部分が前記最大に延び出した位置へ移動する時、前記補助ユニットを前記シートの方向を向く位置へ移動させるアクチュエータを更に備えている、請求項７〜１１のいずれか一項に記載の座席ユニット。
13. 前記アクチュエータは、前記シート（２ａ，２ｂ）から前方に延びるプッシャ（７３）であり、このプッシャは、前記座席部分が前記最大に延び出した位置へ移動する時に前記補助ユニット（７４）と接触して前記補助ユニットを前記シートの方向を向く位置に移動させる、請求項１２記載の座席ユニット。
14. 各前記シート（２ａ，２ｂ）が、該シートを移動させるための往復台（７１）を有しており、この往復台から前方に前記プッシャ（７３）が延びている、請求項１３記載の座席ユニット。
15. 航空機のフロアに取り付け可能な複数のトラック（７２ａ，７２ｂ）を備えており、前記往復台は該トラックに沿って動くことにより前記シートを移動させ、前記プッシャが前記複数のトラックのうちの１本に沿って前記往復台から延びている、請求項１４記載の座席ユニット。
16. 前記補助ユニット（７４）が、航空機のフロアに取り付け可能で該フロアの面において回転する基部（７７）を有しており、前記プッシャが、前記座席部分が前記最大に延び出した位置へ移動する時に、前記補助ユニットの前記基部と接触し、前記補助ユニットを回転させて並ばせる、請求項１２〜１５のいずれか一項に記載の座席ユニット。
17. 前記座席ユニットが航空機用である、請求項１〜１６のいずれか一項に記載の座席ユニット。
18. 前記一対のシート（２ａ，２ｂ）が、一方の前記シート（２ａ）はほぼ前方を向き、他方の前記シート（２ｂ）はほぼ機尾の方向を向くように航空機内に取り付けられている、請求項１７記載の座席ユニット。
19. 一方の前記シートの前記座席スペース（Ｘａ，Ｘｂ）が、他方の前記シートの前記延長スペース（Ｙａ，Ｙｂ）よりも大きい、請求項１８記載の座席ユニット。
20. 前記シート（２ａ，２ｂ）の一方が、航空機に取り付けるとき機尾の方向を向くものであり、各前記シート（２ａ，２ｂ）の前記背もたれ部分（７）と前記座席部分（８）とは複数の異なる位置に共に動くことが可能であり、この位置には、航空機の離着陸角度を補うために前記航空機のフロアに対して前記座席部分が傾斜する離着陸位置が含まれている、請求項１７，１８，１９のいずれか一項に記載の座席ユニット。
21. 各前記シート（２ａ，２ｂ）が前記離着陸位置を含む複数の異なる位置間で移動可能となっており、前記背もたれ部分（７；７０）が前記離着陸位置に傾斜しており、前記離着陸位置は前記背もたれ部分が完全に傾倒した前記完全傾倒位置と完全直立位置との間に位置している、請求項２０記載の座席ユニット。
22. 前記座席部分（８）が、前記シート（２ａ，２ｂ）が前記完全直立位置にある時には、前記シートが前記離着陸位置にある時と比べて少なく傾斜する、請求項２０または２１に記載の座席ユニット。
23. 前記シート（２ａ，２ｂ）には、飛行時娯楽ユニット（１５ａ，１５ｂ）が設けられており、前記飛行時娯楽ユニットは、
    ハウジング（２０）と、
    支持アーム（２１ａ）によって前記ハウジング上で支持されるモニタ（２１）とを有しており、
    前記支持アームは、前記モニタを格納位置と視聴位置との間で移動させるために前記ハウジングの周りで回転可能であり、前記モニタは、該モニタが前記視聴位置にある時に視聴角度を変えられるように前記支持アームの周りで回転可能となっている、請求項１〜２２のいずれか一項に記載の座席ユニット。
24. 前記ハウジング（２０）に取り付けられ、展開位置と非展開位置との間で移動可能なカクテルテーブル（２４）を更に備えている、請求項２３記載の座席ユニット。
25. コンピュータ用コンセント（２３）と、オーディオ出力ジャック（２２）と、状態インジケータの一つ以上を更に備えている、請求項２３又は２４記載の座席ユニット。
26. 各前記シートが個別のハウジング（６，１６）に収容されており、一方の前記シート用の前記飛行時娯楽ユニット（１５ａ，１５ｂ）が、他方の前記シートを収容する前記ハウジング（６，１６）に取り付けられている、請求項２３〜２５のいずれか一項に記載の座席ユニット。

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