JP4686928B2 - プレス成形装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、素材をプレスして成形するプレス成形装置に関するものであり、特に、光学素子などのように精密さを必要とする面形状を成形可能なプレス成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プレス成形装置において、成形品の仕上がり品質を上げるために、プレス時の型の位置ずれを抑えることが重要である。特に、レンズ等の光学素子を成形する成形装置においては、型の位置ずれはミクロンレベルで制御する必要がある。
【0003】
例えば、図1に示すように上下成形型と成形型に嵌合する胴型からなる構造が一般的に知られている。この構造では、胴型1がガイドの役目をして、上型103もしくは下型102が、胴型101の内周面に沿って上下動して、間に介在する加熱軟化した光学素子(不図示)をプレス成形することができる。ここで、上下成形型103,102と胴型1が嵌合する部分の隙間を小さくすることによって、上下成形型103,102の横方向の偏心は、10μm以下に規制することが可能である。しかしながら、かかる構成では、胴型101と上下成形型103,102の嵌合長が短い場合は、胴型101に対する上下成形型103,102の傾きは、数分以上発生する場合もあり、偏心感度の大きい高精度レンズを成形する際に問題となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、傾きを規制する方法としては、たとえば特開昭62−292641号公報に開示の技術がある。かかる公報に開示された成形装置の断面図を、図2に示す。この成形装置は、図2(a)に示すように、成形型が上型113、下型112、胴型111からなり、成形時は下型112と胴型111がしばりばめとなるため、横ずれを防止するとともに、下型112に対する上型113の傾き(図2(b)に示す下型112の中心線Cと、上型113の中心線Cのなす角度ε)については、胴型111と上型113の嵌合長と嵌合する隙間を、成形される素材(レンズ)の許容精度に応じて設定することで規制している。
【0005】
しかしながら、高精度のレンズを成形する場合には、上型113の傾き(角度ε)を相当に小さくしなくてはならないが、そのためには、図2(b)に示すように、嵌合の隙間dに対して嵌合長lを相当長くとる必要が生じ、成形装置全体が大きくなってしまうという問題がある。嵌合の隙間dを小さくするにしても、部品精度上の限界がある。これに対し、このような成形装置において、傾き検知用センサーを設置し実際の傾きを求めて、下型112に対する上型113の傾きを修正するようなフィードバック制御を行うことも考えられるが、構造が複雑となり、製作コストもかかってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で成形型の傾きを抑えて、高精度の成形品を得ることができるプレス成形装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
、所定の位置関係とは、例えば平行であることをいうが、それに限られない。位置決め部材は胴型であって良いが、それに限られない。
【0008】
請求項に記載のプレス成形装置は、素材をプレスして成形するプレス成形装置において、各々、中心軸と略垂直な基準面を備えるプレス成形に用いる一対の成形型と、該一対の成形型のどちらか一方のみに嵌合する筒状の胴型と、素材の外周を成形時に規制することで、成形される素材に成形品の外周形状を転写する面を備えた搬送部品と、を有し、プレス成形の際は、前記一対の成形型の基準面が、それぞれ胴型の端面に当接して密着するが、前記搬送部品の端面は、前記一対の成形金型の一方に当接しないので、前記基準面同士が所定の位置関係となるよう位置決めされることとなり、簡素な構造で、精度の良いプレス成形が可能となる。
【0009】
すなわち、本発明では、一対の対向する成形型のどちらか一方に胴型を嵌合させ、胴型の二つの端面を対向する成形型のそれぞれの基準面に当接する構造としており、胴型の二つの端面の平行度を確保しておけば、胴型を介して成形型をつき当てることで、簡単な構造で、成形型の中心軸の傾きを修正することができる。よって、対向する成形型の、形状を転写する成形面の傾きが抑えられているため、軸ずれが少ない高精度の成形品を得ることができるのである。
【0010】
請求項に記載のプレス成形装置において、前記搬送部品の外周が胴型と嵌合するため、成形された成形品の外周面を、成形品の中心軸に対して精度良く形成することが可能となる。ここで、搬送部品とは、例えば前記プレス成形装置によって成形された素材と一体で、かかるプレス成形装置から取り外され、後加工工程へと搬送するために用いられる部品を言うが、これに限られない。
【0011】
請求項に記載のプレス成形装置において、前記搬送部品の内周が成形型と嵌合するため、成形された成形品の外周面を、成形品の中心軸に対して精度良く形成することが可能となる。
【0012】
請求項に記載のプレス成形装置において、前記一対の成形型の少なくとも一方は、略円柱状の外形形状に形成されているとともに、前記胴型は、該略円柱状の外形形状に嵌合可能な円筒状の形状を有すると、成形型と胴型の軸ズレが小さくなり精度の良い成形型及び胴型を形成できる。
【0013】
請求項に記載のプレス成形装置において、前記胴型と当接する少なくとも一方の成形型の基準面が、平面であるので、前記胴型の当接により基準面の平行度を出しやすいので好ましい。
【0014】
請求項に記載のプレス成形装置において、前記胴型と当接する少なくとも一方の成形型の基準面が、テーパー面であるので、前記胴型のセンタリングを行いやすいため好ましい。
【0015】
請求項に記載のプレス成形装置において、前記胴型と当接する成形型の一方の基準面が、プレス成形される成形品のフランジを形成する成形型の面と同一面であるので、成形品のフランジの精度を向上させることが出来る。
【0016】
請求項に記載のプレス成形装置において、前記成形型の基準面と素材を転写する成形面とは、同時加工により形成されるので、前記成形面の精度を向上させることが出来る。
【0017】
請求項に記載のプレス成形装置において、前記胴型の側面に一個以上の切り欠きを設けたので、かかる切欠を介して外部より挿入した治具で、成形品又は搬送部品を把持することにより、プレス成形装置から成形品を容易に取り出すことが出来る。
【0018】
請求項10に記載のプレス成形装置において、前記成形型は、弾性部材を使用して母型に固定すると、温度変化によって部品が膨張・収縮した場合でも、弾性力によって確実に固定できる。
【0019】
請求項11に記載のプレス成形装置において、前記胴型は、弾性部材を使用して成形型または母型に固定すると、、温度変化によって部品が膨張・収縮した場合でも、弾性力によって確実に固定できる。
【0020】
請求項12に記載のプレス成形装置において、前記成形型および胴型を固定する弾性部材が、それぞれ別個に設けられていると、一部のみの部品を分解することが出来るようになり、メンテナンス時などの作業性に優れる。
【0021】
請求項13に記載のプレス成形装置において、前記弾性部材は、コイルばね、皿ばね、ばね座金、板ばねであると好ましい。
【0022】
請求項14に記載のプレス成形装置において、前記弾性部材の材質は、セラミックス、耐熱性Ni基合金、耐熱性Fe基合金であると、耐熱性に優れるので好ましい。
【0023】
請求項15に記載のプレス成形装置において、成形される素材に成形品の外周形状を転写する搬送部品は、外周形状を該素材に転写する面がテーパーとなっていると、搬送時に成形品が落下しにくく、又、成形品を前記搬送部品から抜き出しやすいので好ましい。
【0024】
請求項16に記載のプレス成形装置において、成形される素材に成形品の外周形状を転写する搬送部品は、成形型に載置したときに、成形型の中心軸に垂直な平面に対して、対称な形状になっていると、部品の上下の区別がなくなるので、誤って上下逆さまに載置して成形が中断されるような恐れがない。
【0025】
請求項17に記載のプレス成形装置において、成形される素材に成形品の外周形状を転写する搬送部品は、成形品のフランジ面を転写する成形型の面と同一面に載置すると、成形品の外周部の傾きを成形品の中心軸に対して小さく抑えることができ、又、型や搬送部品の構造を簡素化できる。
【0026】
請求項18に記載のプレス成形装置において、成形される素材に成形品の外周形状を転写する搬送部品は、その内周の一部または全周を成形型の円筒部に嵌合させると、成形品の偏心(横方向即ち軸線直角方向のシフト)を小さくできる。
【0027】
請求項19に記載のプレス成形装置において、成形される素材に成形品の外周形状を転写する搬送部品は、その内周に1箇所以上の内径の異なる部分を設け、その内周の一部または全周を成形型の円筒部に嵌合させると、精度の必要な部品を最小限にとどめて、他の部分は内径を変えるなど、成形型や後工程に合わせて、搬送部品の形状を任意に変更することが出来、設計の自由度が向上する。
【0028】
請求項20に記載のプレス成形装置において、成形される素材は、加熱軟化された後プレスされると、常温で固い素材でも精度の良い成形が可能となる。
【0029】
請求項21に記載のプレス成形装置において、成形される素材が、光学素子用素材であると、精度の良い光学素子を成形できる。
【0030】
請求項22に記載のプレス成形装置において、成形される素材が、ガラスまたはプラスチックであると、例えば性能の良い光学素子を成形することが出来る。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して説明する。
図3は、本実施の形態にかかるプレス成形装置の断面図である。図3に示すプレス成形装置は、それぞれつば部2a、1aと軸部2b、1bとからなる上下成形型2,1、円筒状の胴型3、不図示の押圧装置に連結された母型7、固定板18に固定されている母型8、母型8にボルト9で取り付けられた固定部材6,母型7にボルト10を用いて取り付けられた固定部材5,下成形型1にボルト17を用いて固定された固定部材14、母型8が嵌合するシリンダー16、成型時に光学素子用素材の外周を規制して光学素子の外形を形成する搬送部品4から構成されている。
【0032】
成形型1、2の母型7、8と接するつば部1a、2aは、それぞれ外周面がテーパー形状となっており、母型7、8における対応した形状のテーパー孔7a、8aに嵌合している。更に、弾性部材であるジルコニアからなるセラミックスプリング11、13によって、成形型1,2は、母型7、8に押しつけられて固定されている。テーパー部同士が嵌合することで、母型7、8に対して成形型1,2の偏心が規制されている。
【0033】
下成形型1における円筒状の軸部1bの外周には、胴型3が嵌合しており、その下端のフランジ部3aは、下成形型1のつば部1aの上面である基準面1c上に配置されている。尚、胴型3の上下端面は、精度良く平行度が維持されている。
【0034】
下成形型1の軸部1b端面中央には、成形されるべき光学素子の光学面形状に対応した光学面1dが形成されており、光学面1dと基準面1cは、下成形型1を加工する時に、ワンチャックで(ワークを掴み変えることなく)同時加工することにより、光学面1dの中心軸と、基準面1cとなるつき当て面の傾きとを、垂直からのずれがほとんどないように抑えることが可能である。尚、上成形型2の軸部2b端面中央に形成された光学面2dと、上成形型2の軸部2bの下面である基準面2cについても同様に加工してある。尚、基準面2cは、成形される光学素子のフランジを形成する面となる。
【0035】
尚、上下成形型2,1の横方向の偏心は、図示していない制御装置で制御するものとする。本実施の形態では、成形型2,1と胴型3の取り付けに、弾性部材である部分安定化ジルコニア製のセラミックスプリングを使っている。下成形型1は、固定部材5に対しセラミックスプリング11の弾性力により母型7に向かって押圧されており、一方、胴型3は、別のセラミックスプリング12の弾性力により、固定部材14に対し下成形型1に向かって押圧されている。胴型3と下成形型1を取り付けるための固定部材5,14を分けたことで、下成形型1を取り外すことなく胴型3を脱着することができ、それにより作業性が向上している。上成形型2は、弾性部材であるセラミックスプリング13の弾性力により、固定部材6に対し母型8に向かって押圧されている。
【0036】
胴型3は、斜視図である図4に示すように、上端近傍に一対の切欠3bを形成している。更に、ドーナツ形状の搬送部品4は、下成形型1の軸部1bにおける上端近傍に形成された段部1eに嵌合する内径を有し、又、胴型3の内周(先端面取り部及び切欠3bを除く)に当接する外径を有しており、かかる構成により、成形品であるレンズのフランジ外周面を精度良く形成することができる。
【0037】
尚、母型7、8を貫通し、上下成形型2,1の中央に至るようにして、上下成形型2,1の温度を維持又は制御するための熱電対TC及びその周囲に配置されたヒータHが配置されている。
【0038】
以上のような構造の成形型を用いた成形について説明する。まず、不図示の搬送アームによって、光学素子用素材であるガラス又は樹脂製のプリフォーム(不図示)と、搬送部品4が成形室(上下成形型2,1の間)内に搬入されてくる。搬送部品4が下成形型1の軸上となる位置で搬送アームが停止し、下降して搬送部品4が下成形型に設置される(図3参照)。
【0039】
つぎに搬送アームが上昇、移動し、プリフォームが下成形型1の軸上となる位置で停止する。更に搬送アームが下降することで、プリフォームが下成形型1に設置される。搬送部品4とプリフォームの設置が完了すると、搬送アームは成形室外に退避する。
【0040】
更に、不図示の押圧装置の動作により、下成形型1が上昇して、プレスを開始する。ここで、胴型3の上下端面の平行度が確保されているので、下成形型1に取り付けられた胴型3の上端が、上成形型2の基準面2cにつき当たることにより、上下成形型2,1が傾いていた場合でも、それらの傾きはプレス力により自動的に修正される。又、成形される素材に成形品の外周形状を転写する搬送部品4が、下成形型1の先端部分に載置される。
【0041】
プレスが完了し、所定時間経過してプリフォームが冷却した後、下成形型1を下降させ、図4に一点鎖線で示す搬送アームCAを成形室に進入させる。搬送アームCAは、胴型3の軸上で停止し、一対のアームを切欠3b内に侵入させることで、搬送部品4の外周を保持し、そのまま搬送アームCAを上方及び成形室外に移動させることで、搬送部品4と一体で成形品である光学素子が回収されるようになっている。尚、搬送アームCAは、一対のアームで搬送部品4を把持するタイプに限らず、成形品と搬送部品4とを一体で上方から吸着するタイプでも良い。回収された後、成形品は搬送部品4から抜き出され、後加工が行われる。
【0042】
本実施の形態では、胴型3の上端面の直径を15mm、下端面の直径を20mmとし、上下端面の平行度を1μm以内に抑えている。よって、胴型3の上下端面が上下成形型2,1のそれぞれの基準面2c、1cにつきあたることで、上下成形型2,1の光学面2d、1dの傾きは30"以内を確保している。胴型3は、光学面2d、2dの傾きを規制するだけでなく、成形される光学素子(レンズ等)の軸上厚を規制する役目も合わせもっている。
【0043】
更に本実施の形態では、搬送部品4の外周は、胴型3の内周と10〜20μmの隙間をもって嵌合して、搬送部品4の位置のずれを規制している。搬送部品4の外周と内周は円筒形状であって、同軸度がφ10μm以内に加工してあり、胴型3と下成形型1も精度良く嵌合している。よって、搬送部品4はプレス時に成形されるレンズの外形状を転写するとともに、レンズ外形と光軸との心ずれを抑制する機能ももっている。
【0044】
図5〜7は、本実施の形態の変形例にかかる、下成形型1に組み込まれた搬送部品4の周辺を拡大して示す断面図である。上述した実施の形態において、搬送部品4の内周面は、完全な円筒面であるために、その内周面全体が下成形型1の段部1eに当接することとなり、抜き差しがしにくいという恐れがある。又、搬送部品4が成形型1にかじるなどすると、型破損が生じる恐れがある。これに対し、図5に示すように、搬送部品4’の外周と胴型3の内周を嵌合させるようにし、搬送部品4’の内周面4a’と成形型1の段部1eは、隙間を大きくとって接触しないようにし、且つ搬送部品4’の内周面4a’を、中央に向かうに連れ縮径する2つのテーパ面で構成するようにすれば、内周面の中央円筒部(最も縮径した部分)4f’が短くなるので、その抜き差しが容易になり、カジリも抑制できる。しかも、プレス成形が完了した後に搬送部品4を上昇させた場合に、成形品であるレンズLの外形を支持する内周面5a’の上部分(すなわち外周形状を素材に転写する面)がテーパー形状となっているので、搬送部品4’からレンズLが落下することがないという利点もある。
【0045】
更に、搬送部品4’は上下対称の形状にしてあるので、誤って上下反転して成形型に設置された場合でも成形にはなんら影響はないため、搬送部品4’の組立上の管理が容易となる。また、搬送部品4’の内周と、下成形型1の段部1eとの直径差は、搬送部品4’外周と胴型3内周の直径差よりも大きくすることで、搬送部品4’が下成形型1に設置される時に、接触しない構造となっている。よって、搬送部品4’を取り付ける際に、下成形型1にカジリなどの型破損のおそれを抑制できる。
【0046】
更に、上述した実施の形態では、下成形型1の搬送部品4,4’を設置する段部1eは、円筒形状になっているが、必ずしも円筒である必要はなく、Dカットした形状や多角形でもよい。又、搬送部品4の円筒状内周面の一部を、図8に示すように全周にわたって隆起(R)させることでも、上述の変形例と同様な効果が得られる。
【0047】
また、搬送部品は下成形型の段差部分に載せてあるが、図6や図7のように成形型の先端面に載せる構造でも良い。図6の例では、搬送部品4”は、単一のテーパ面4a”を有しており、下成形型1の上端に載置しただけであるため、形状が簡単でコストを低くできるが、フランジ厚が薄いレンズでは加工が難しいということがある。また、図7の例では、上成形型2’の下端2e’を突出させているが、その下端2e’の段差を大きくすれば、搬送部品4”の厚さも大きくできるので製作もしやすいし、搬送時の保持もしやすくなるが、レンズが他の形状に比べると取り出しにくいということがある。よって、成形する光学素子の形状や搬送方法を考慮して、最適な形状を選択することが望ましい。
【0048】
このようにして成形されたレンズは、相対する光学面の傾きが極めて小さく、また、型のつき当て面が成型時に必ず密着するので、成形ショット間の軸上厚のばらつきがほとんどない良好な精度のレンズを得ることができる。
【0049】
成形されるレンズの品質を維持するためには、上下成形型2,1の傾きおよびレンズの軸上厚を規制する胴型3の上下端面が、成形を繰り返しても変化しないことが重要である。胴型には、表面に貴金属系のコーティングを施してあり、本発明者らの実験によれば、成形を10000ショット繰り返しても表面が劣化することはなかった。
【0050】
また、胴型3の切欠3bについては、プレス成形時に発生した微細なガラス片や下成形型1の光学面1cの周囲のほこりなどを、この切欠3bから排除することもでき、下成形型1を分解清掃する工数を低減することができ作業性が向上する。
【0051】
以上のように本実施の形態によれば、一対の成形型のどちらか一方に胴型を嵌合させて、胴型の上下端面を成形型の基準面に当接するという簡単な構造で、成形型の傾きを抑えて、高精度のプレス成形品を得ることができる。
【0052】
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。例えば、一対の基準面は平面としたが、テーパー面とすることもでき、それによりセンタリング効果が得られる。胴型は、下成形型でなく上成形型に嵌合していても良い。弾性部材は、コイルばねに限らず、皿ばね、ばね座金、板ばねであってよく、又、その材質は、セラミックスに限らず、耐熱性Ni基合金、耐熱性Fe基合金のいずれかであってよい。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、簡単な構造で成形型の傾きを抑えて、高精度の成形品を得ることができるプレス成形装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術のプレス成形装置の断面図である。
【図2】従来技術のプレス成形装置の断面図である。
【図3】本実施の形態にかかるプレス成形装置の断面図である。
【図4】本実施の形態のプレス成形装置における下成形型1の上端周囲を拡大して示す斜視図である。
【図5】本実施の形態の変形例にかかる、下成形型1に組み込まれた搬送部品4の周辺を拡大して示す断面図である。
【図6】本実施の形態の変形例にかかる、下成形型1に組み込まれた搬送部品4の周辺を拡大して示す断面図である。
【図7】本実施の形態の変形例にかかる、下成形型1に組み込まれた搬送部品4の周辺を拡大して示す断面図である。
【図8】搬送部品の別な変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
1、1’ 下成形型
1c 光学面
1d 基準面
2,2’ 上成形型
2c 光学面
2d 基準面
3 胴型
4 搬送部品
5、6 固定部材
7,8 母型
11,12,13 セラミックスプリング

Claims (22)

  1. 素材をプレスして成形するプレス成形装置において、
    各々、中心軸と略垂直な基準面を備えるプレス成形に用いる一対の成形型と、
    該一対の成形型のどちらか一方のみに嵌合する筒状の胴型と、
    素材の外周を成形時に規制することで、成形される素材に成形品の外周形状を転写する面を備えた搬送部品と、を有し、
    プレス成形の際は、前記一対の成形型の基準面が、それぞれ胴型の端面に当接して密着するが、前記搬送部品の端面は、前記一対の成形金型の一方に当接しないことを特徴とするプレス成形装置。
  2. 前記搬送部品の外周が胴型と嵌合することを特徴とする請求項に記載のプレス成形装置。
  3. 前記搬送部品の内周が成形型と嵌合することを特徴とする請求項1又は2に記載のプレス成形装置。
  4. 前記一対の成形型の少なくとも一方は、略円柱状の外形形状に形成されているとともに、前記胴型は、該略円柱状の外形形状に嵌合可能な円筒状の形状を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプレス成形装置。
  5. 前記胴型と当接する少なくとも一方の成形型の基準面が、平面であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプレス成形装置。
  6. 前記胴型と当接する少なくとも一方の成形型の基準面が、テーパー面であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプレス成形装置。
  7. 前記胴型と当接する成形型の一方の基準面が、プレス成形される成形品のフランジを形成する成形型の面と同一面であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のプレス成形装置。
  8. 前記成形型の基準面と素材を転写する成形面とは、同時加工により形成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のプレス成形装置。
  9. 前記胴型の側面に一個以上の切り欠きを設けたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のプレス成形装置。
  10. 前記成形型は、弾性部材を使用して母型に固定することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のプレス成形装置。
  11. 前記胴型は、弾性部材を使用して成形型または母型に固定することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のプレス成形装置。
  12. 前記成形型および胴型を固定する弾性部材が、それぞれ別個に設けられていることを特徴とする請求項10または11に記載のプレス成形装置。
  13. 前記弾性部材は、コイルばね、皿ばね、ばね座金、板ばねであることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載のプレス成形装置。
  14. 前記弾性部材の材質は、セラミックス、耐熱性Ni基合金、耐熱性Fe基合金であることを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載のプレス成形装置。
  15. 成形される素材に成形品の外周形状を転写する搬送部品は、外周形状を該素材に転写する面がテーパーとなっていることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のプレス成形装置。
  16. 成形される素材に成形品の外周形状を転写する搬送部品は、成形型に載置したときに、成形型の中心軸に垂直な平面に対して、対称な形状になっていることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載のプレス成形装置。
  17. 成形される素材に成形品の外周形状を転写する搬送部品は、成形品のフランジ面を転写する成形型の面と同一面に載置することを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載のプレス成形装置。
  18. 成形される素材に成形品の外周形状を転写する搬送部品は、その内周の一部または全周を成形型の円筒部に嵌合させることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載のプレス成形装置。
  19. 成形される素材に成形品の外周形状を転写する搬送部品は、その内周に1箇所以上の内径の異なる部分を設け、その内周の一部または全周を成形型の円筒部に嵌合させることを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載のプレス成形装置。
  20. 成形される素材は、加熱軟化された後プレスされることを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載のプレス成形装置。
  21. 成形される素材が、光学素子用素材であることを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載のプレス成形装置。
  22. 成形される素材が、ガラスまたはプラスチックであることを特徴とする請求項1〜21のいずれかに記載のプレス成形装置。
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