JP3618983B2 - 光学素子の成形方法及びその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として、加熱されたガラス素材などの成形素材からプレス加工によって光学素子を成形する成形方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガラス素材をプレス加工して、レンズなどの光学素子(精研削や研磨などの加工を残した半製品を含む)を得る方法として、通常、上下一対の型部材と前記型部材を摺動保持するための胴型とからなる型セットが用いられているが、両側に光学機能面を有するレンズなどの光学素子を成形する場合、一方の光学機能面の光軸と、他方の光学機能面の光軸とにずれや相対的な傾きが生じないように成形する必要がある。そのため、各々の型部材を精度良く仕上げるのは勿論、胴型と上型部材および下型部材との組込み精度も高くすることが必要で、その対応策が種々、講じられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、レンズなどの光学素子のプレス成形における精度および製造コストに対する要求は、ますます厳しくなっており、従来の方法では、対応できない場合が出てきており、レンズの2面間の光軸のずれも、その一つに数えられている。
【0004】
即ち、前述の従来の成形装置の構成では、胴型に形成された穴の中に、上下の各々の型部材が摺動可能に組み込まれており、レンズなどの光学素子の光軸精度を上げるために、型部材と胴型との嵌合精度を厳しくする必要があったが、各々の型加工精度およびプレス時の高温状態での摺動性を考慮すると、その構成による光軸精度の向上には限界があった。
【0005】
例えば、特公平4−21610号公報に所載のガラスレンズ成形装置では、下型部材とスライドコア部とが当接されているために、この両者の安定した位置関係は確保されているが、上型部材に関しては、それをスライドコア部の中で移動可能とするための嵌合隙間が必要となり、上型部材と下型部材の光軸を厳密に合わせることが困難であった。
【0006】
また、実開昭63−140035号公報(実願昭62−30043号明細書)に所載の成形型装置では、型とそれをガイドする部材の熱膨張率に差を設け、また、ガイドには、転動体(ベアリング)を用いていて、常温では存在するところの、型とガイドとの隙間を、プレス温度ではゼロとなるように設定して、型部材の移動に際して、光軸ズレのない状態を確保しようとしているが、実際上、隙間をゼロと設定するのは難しく、試行錯誤を繰り返して、常温での隙間寸法や型部材の温度制御で、設定する必要がある。また、仮に、その隙間がゼロ以下になった場合には、ガイドが型部材を締め付ける形となり、プレスのための型移動ができないことになるため、予め、安全を考慮して、若干の隙間が確保されるように設定しなければならないから、結局、光軸ズレの発生を完全に除くことができない。
【0007】
そこで、問題解決のため、本発明者らは、既に、ガラス成形品の成形方法及びその装置を提唱したが、この段階では、プレス成形後に光軸調整をしているために、調整のための時間がかかる上、冷却時のプレス成形後の調整では、ガラス粘度が高く、表面の変形調整がしづらくなっているため、十分に、光軸調整ができない。また、高精度な軸合わせをするためには、光軸調整手段の位置決め精度を厳しくする必要があり、装置が複雑かつ高価になるなどの問題を残している。
【0008】
本発明は、上記事情に基づいてなされたもので、光軸調整を確実、容易に行って、光軸に平行偏心や倒れなどのない、優れた光学機能面を持ったレンズなどの光学素子を得ることができる光学素子の成形方法及びその装置を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、成形素材をプレス成形して、型部材の成形面を被成形光学素子の光学機能面に転写する光学素子の成形方法において、前記型部材の押圧動作により前記光学素子を成形すると同時に、前記光学機能面の光軸方向と交差する方向から前記型部材の外周部を挟み込むように加圧して、前記光学機能面の光軸を調整し、さらに、成形された前記光学素子を冷却する際に、その収縮に応じて、前記型部材を移動すると同時に、前記光学機能面の光軸を再度、調整することを特徴とする。
【0010】
また、本発明では、成形素材としてのガラス素材をプレス成形して、型部材の成形面を被成形光学素子の光学機能面に転写する光学素子の成形方法において、ガラス素材を加熱して、ガラス粘性が105.5〜1010ポアズになる第1の温度に設定し、この温度で前記型部材の押圧により前記光学素子を成形すると同時に、前記光学機能面の光軸の平行偏心および倒れを規制するように型部材に対して位置制御を行い、その後、成形された前記ガラス素材のガラス粘性が108.5〜1013.5ポアズで、前記設定された第1の温度よりも低い第2の温度に設定して、前記光学素子を加圧保持すると同時に、前記光学機能面の光軸を規制するように再度、前記型部材に対して位置制御を行うことを特徴とする。
【0011】
これにより、プレス工程と冷却工程の押圧動作時における光学機能面、例えば、レンズ面の光軸が調整され、従来から問題となった光軸の平行偏心や倒れが除かれる。しかも、その光軸調整は、簡単且つ確実に実現できる。
【0012】
更に、本発明では、光学素子の光学機能面を成形するための成形面を有する一対の型部材で、成形素材をプレス成形する光学素子の成形装置において、前記型部材を駆動して前記成形素材を押圧成形するための型部材駆動手段と、前記型部材の押圧動作中に、前記光学機能面の光軸方向と交差する方向から前記型部材の外周部を挟み込むように加圧して、前記光学機能面の光軸調整を行う調整手段とを具備していることを特徴とする。
【0013】
この場合、前記調整手段は、前記型部材を、被成形光学素子の光軸と交差する方向から押圧する押圧部材を前記型部材の外周部に対向して備えており、光軸を調整する際に、一対の前記型部材を同時に光軸に向けて押圧する構成、更には、前記型部材の外周部に対向して、成形品の外周側面を形成するためのリング部材を設け、このリング部材の外径を前記型部材と同じ径とし、前記調整手段の押圧部材で、前記型部材およびリング部材を押圧するように構成とすることができる。
【0014】
また、前記調整手段の押圧部材と前記型部材との間には、転動体が配置され、前記転動体を介して、光軸に関する前記型部材の移動調整が行われる構成としてもよく、更に、前記転動体は、前記型部材の外周部に接触しており、前記調整手段により、前記押圧部材および転動体を介して、光軸に関する前記型部材の移動調整が行われる構成としてもよい。
【0015】
そして、このような成形方法で得られる光学素子(精研削や研磨などの加工を残した半製品を含む)は、その光学機能面の光軸調整が所望に達成される。なお、本発明の他の構成上の特徴およびそれに伴う作用効果は、以下に述べる本発明の実施の形態の中で明らかにされるであろう。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1〜図7には、本発明の実施の形態としての光学素子の成形方法及びその装置が示されており、特に、図1および図2は、本発明の第1の実施の形態を、図3は、本発明の第2の実施の形態を、図4および図5は、本発明の第3の実施の形態を、更に、図8および図9は、それぞれ、他の実施の形態を示している。
【0017】
(第1の実施例)
図1および図2に示される装置は、光学素子の光学機能面を成形するための成形面を有する上下、一対の型部材1、2で、ガラスなどの成形素材をプレス成形するもので、型部材1、2を駆動して前記成形素材を押圧成形するための型部材駆動手段と、型部材1、2の押圧動作中に、前記光学機能面の光軸方向と交差する方向から型部材1、2の外周部を挟み込むように加圧して、前記光学機能面の光軸を調整を行う調整手段とを具備している。
【0018】
更に、この実施の形態について詳述すると、この成形装置の成形型の外殻部を構成する胴型3は、支持基板4上に載置されている。胴型3は、上面視において略正方形の、所謂、角柱状に形成されており、その中心軸上には、この胴型3を上下に貫通した状態で、貫通穴が形成されている。これらの貫通穴の内で、上側の貫通穴には、円柱状に形成された上型部材1が嵌挿され、この状態で、上下方向に沿って摺動できるようになっている。その際、上型部材1と胴型3の間には、ガラスのプレス温度においても、上型部材1が摺動可能な、十分な隙間5として、例えば、それぞれの径寸法の差として、20〜50μmの隙間を設けてある。
【0019】
上型部材1の上端部には、円板状のフランジ部が形成されており、このフランジ部の下面が胴型3の上面に上方から当接することにより、上型部材1の下方への移動を阻止される構成になっていて、これによって、上型部材1の下方へのプレスストロークが規定されている。また、上型部材1の下面中央には、ガラスなどの成形素材を押圧して、その表面に所望の形状を転写して、光学機能面を形成するための成形面が、上型部材1の外径に対して、精度良く形成されており、例えば、光学機能面の光軸と上型部材1の外径の同軸度が、2μm以内に納まる許容範囲で、形成されている。
【0020】
なお、上型部材1の上方には、ガラスなどの成形素材に印加するプレス圧を発生させるための駆動手段6(例えば、液圧あるいは気圧によるピストン・シリンダ機構)が配置されており、この駆動手段6が、そのピストンロッドを下方に向けて押し出すことにより、成形素材にプレス圧を印加するのである。
【0021】
また、この実施の形態では、上型部材1に加熱用ヒータ7を、また、成形面近傍の温度を測定するためのセンサー(図示せず)を、それぞれ、設置しており、制御手段(図示せず)は、その制御プログラムに従って、前記センサーの検出結果によって、ヒータ7を付勢制御し、上型部材の温度調整を行っている。更に、上型部材1を所要時に冷却するために、上型部材1には、Nガス供給源(図示せず)からN噴出管(図示せず)を通して、冷媒を供給する冷却手段が設置してあり、これも上述の制御手段で制御される。
【0022】
一方、胴型3の下側の貫通穴には、円柱状に形成された下型部材2が、上型部材1の外径寸法とほぼ同寸法(例えば、寸法差2μm以内)に調整された状態で、上下方向に摺動可能に挿入されている。この場合も、下型部材2と胴型3の間には、上型部材1のそれと同様に、隙間5が存在している。
【0023】
下型部材2の下部には、円板状のフランジ部が形成されており、このフランジ部の下面は、胴型3が載置されている支持基板4の上面に当接している。そして、この支持基板4により、上型部材1から成形素材を介して下型部材2に加えられる下方へのプレス圧を受けるようになっている。
【0024】
下型部材2の上面中央には、ガラスなどの成形素材の下面に所望の形状を転写して光学機能面を形成するための成形面が、下型部材2の外径に対して、上型部材1と同様に、精度良く形成されており、例えば、光学機能面の光軸と下型部材2の外径の同軸度が、2μm以内に納まる許容範囲で、形成されている。
【0025】
したがって、ガラスなどの成形素材には、上型部材1および下型部材2の各々の成形面により、光学機能面が転写されることとなる。
【0026】
また、プレス変形時の成形品の厚みは、上述したように、上型部材1のフランジの下面が、胴型3の上面に当接することにより規定され、加工する毎に成形品の厚みが変化しないようになされている。
【0027】
更に、下型部材2の下面には、上型部材1の場合と同様に、駆動手段8が設置されており、支持基板4に形成された貫通穴を介して下型部材2の下面に当接される。また、駆動手段8は、成形品Aのプレス変形動作が終了した後の冷却過程において、成形品Aの面形状が崩れることを防止するために、下型部材2を上方に押し上げて、成形品Aに圧力を作用させるためのものである。
【0028】
また、下型部材2には、上型部材1の場合と同様に、加熱用ヒータ9及び成形面近傍の温度を測定するためのセンサー(図示せず)が設置されており、更に、Nガス供給源(図示せず)よりN噴出管(図示せず)を通して下型部材2を冷却するための冷却手段、前記センサーの検出結果で、これらのヒータ9や冷却手段を制御する制御手段(図示せず)が装備されている。
【0029】
一方、胴型3の側面には、開口穴10が形成されており、該開口穴10を介して、成形型の内部にガラスなどの成形素材が供給されると共に、成形の完了した成形品、即ち、光学素子A(精研削や研磨などの加工を残した半製品を含む)が成形型の内部から取り出される。
【0030】
更に、この実施の形態においては、前記調整手段は、型部材1、2を、被成形光学素子Aの光軸と交差する方向から押圧する押圧部材11、12を前記型部材の外周部に対向して備えており、光軸を調整する際に、前記型部材の外周部を光軸に向けて同時に押圧する構成が装備されている。
【0031】
これを詳述すれば、胴型3の側面には、開口穴10と直交する方向に貫通穴が設けられており、この貫通穴にはプレス動作中に上型部材1と下型部材2のそれぞれの外径部側面を、それら型部材の中心に向けて、押圧部材11、12を同時に加圧し、光学素子の光軸のずれを修正するためのである。この時の、胴型3の貫通穴と調整手段の押圧部材11、12との隙間は、胴型3と上型部材1、および、胴型3と下型部材2とのそれぞれの隙間5より大きくなるように設定してある。つまり、胴型3の貫通穴は、調整手段の押圧部材11、12を、概略の位置において、摺動保持するためのものであり、調整手段の押圧部材11、12の最終的な位置は、それぞれが、上型部材1の外周部と下型部材2の外周部とに当接した時点で、決定される。
【0032】
なお、この実施の形態では、前記調整手段の押圧部材11、12と前記上下、型部材との間には、転動体(ベアリング)13が配置され、転動体13を介して、光軸に関する前記型部材の移動調整が行われる構成になっている。即ち、調整手段の押圧部材11、12は、それぞれ、上型部材1、下型部材2と接する部分が、図1に示すように、開角:ほぼ90度の、V字形状に形成してあり、上型部材1、下型部材2とは、それぞれ、4個の転動体13の列にて接触するようになっている。
【0033】
この場合、V字形状の面及び接触部での転動体13は、寸法及び表面が高精度に仕上げられており、上型部材1、下型部材2を加圧する際の、転動体13で構成される接触面の平面度が、例えば、1μm以下に調整されている。また、調整手段の押圧部材11、12や転動体部13は、その接触箇所での高温耐久性や圧縮強度などを考慮して、その材質を決定するが、例えば、超硬や窒化珪素のようなセラミック材料が好ましい。
【0034】
従って、上型部材1及び下型部材2の外径は、前述したように、予め、精度良く、同寸法に仕上げられているため、調整手段の押圧部材11、12が、それぞれ、上型部材1と下型部材2の両方に、同時に接した状態で保持することができる。
【0035】
一方、調整手段の押圧部材11、12の、型部材と接する側とは反対側には、ピストン・シリンダ機構などの駆動手段14、15が設置されており、この駆動手段14、15は、ほぼ同期して、例えば、同一油圧制御系あるいは気圧制御系によって、動作するようにしてあり、押圧部材11、12を、それぞれ、型中心方向に前進あるいは後退させることができる。
【0036】
次に、上記のように構成された成形装置により、光学素子としてのガラスレンズを成形する手順について説明する。ここでは、成形素材をプレス成形して、型部材1、2の成形面を被成形光学素子の光学機能面に転写するのに、型部材1、2の押圧動作により前記光学素子を成形すると同時に、前記光学機能面の光軸方向と交差する方向から前記型部材1、2の外周部を挟み込むように押圧部材11、12を加圧して、前記光学機能面の光軸を調整し、さらに、成形された前記光学素子を冷却する際に、その収縮に応じて、前記型部材を移動すると同時に、前記光学機能面の光軸を再度、調整する。
【0037】
特にこの実施の形態では、成形素材としてのガラス素材をプレス成形して、型部材1、2の成形面を被成形光学素子の光学機能面に転写するのに、ガラス素材を加熱して、ガラス粘性が105.5〜1010ポアズになる第1の温度に設定し、この温度で型部材1、2の押圧により前記光学素子を成形すると同時に、前記光学機能面の光軸の平行偏心および倒れを規制するように型部材1、2に対して位置制御を行い、その後、成形された前記ガラス素材の、ガラス粘性が108.5〜1013.5ポアズで、前記設定された第1の温度よりも低い第2の温度に設定して、前記光学素子を加圧保持すると同時に、前記光学機能面の光軸を規制するように再度、前記型部材に対して位置制御を行うのである。
【0038】
この実施の形態を更に詳述すると、まず、駆動手段6を引き込み動作させて、上型部材1を胴型3に対し上方にスライドさせ、下型部材2から離間しておく。また、駆動手段14、15についても、引き込み動作させ、調整手段の押圧部材11、12を、型部材の外周部から外方向に逃がしておく。
【0039】
この状態において、胴型3の開口穴10を介して、オートハンドなどの搬送手段(例えば、真空吸着手段)により、所定の温度に加熱されたガラス素材を下型部材2の成形面上に供給する。また、上型部材1、下型部材2は、それぞれ、制御手段の働きで、予め、所定の成形条件に対応した温度に調整されている。
【0040】
ガラス素材は、下型部材2の成形面上に供給されると、ヒータ7、9によって、更に加熱される。そして、上型部材1、下型部材2及びガラス素材が所定の温度(上述の第1の温度範囲)に到達した後に、駆動手段6を押し出し動作させて、ガラス素材の上面に上型部材1の成形面を当接させ、ガラス素材にプレス圧を印加させる。
【0041】
なお、上型部材1の成形面がガラス素材に接触する位置の近傍まで下降した時点で、初めて、駆動手段14、15を押し出し動作させ、押圧部材11、12を上型部材1および下型部材2の外周部の側面に突き当て、加圧を開始する。
【0042】
この状態のままで、更に、上型部材1にプレス圧が印加され、上型部材1が徐々に下方に移動すると、ガラス素材は、次第に水平方向に押しつぶされて、最終的には、上型部材1のフランジ部が胴型3の上面に当接し、上下、型部材によるガラス素材の成形動作が終了する。
【0043】
この際の調整手段の動作(押圧部材11、12の働き)により、プレス成形終了時点での、胴型3と上型部材1、および、胴型3と下型部材2との間に存在している隙間5により生じるであろう上型部材1と下型部材2との径方向の位置ずれや光軸倒れを修正することができ、各々の成形面の光軸を一致させることができる。
【0044】
その後、駆動手段6による上型部材1の押圧動作、および、調整手段の押圧部材11、12の突き当て動作を保持したままの状態で、冷却工程に移るが、図1及び図2はこの時の状態を示しており、ここでは、被成形光学素子(成形品)Aの厚みは、所望の厚みに成形されており、また、この時、上型部材1と下型部材2は、それぞれ、N噴出管を通して供給されるNガスによって、第2の温度範囲内で、冷却が促進される。
【0045】
冷却開始後、数秒経過した後に、成形品Aの面形状が崩れないように、駆動手段8を押し出し動作させ、下型部材2を下方から押圧し、成形品Aに圧力を印加する。そして、所定の温度まで低下した時に、駆動手段14、15を引き込み動作させて、調整手段の押圧部材11、12を型部材の外周部から外方向に逃がし、さらに、駆動手段8を引き込み動作させて、下型部材2にかかる圧力を解除する。
【0046】
よって、冷却時の下型部材2の押圧動作の時にも、調整手段の押圧部材11、12の突き当て動作により、上型部材1および下型部材2の両成形面の光軸を一致させることができる。その後、駆動手段6を引き込み動作させて、上型部材1を上方に移動させ、成形品Aをオートハンドなどの搬送手段により、胴型3の開口穴10を介して、外部に取り出すのである。
【0047】
なお、この実施の形態では、上型部材1及び下型部材2は、調整手段の押圧部材11、12により、突き当てられた状態であっても、その転動体13を介して、圧力を受けているため、それぞれのプレス動作を容易に、継続することができる。
【0048】
ここで、この成形方法を適用して、カメラに使用されるレンズを成形する場合について、具体例を挙げて、詳細に説明する。ここでは、ガラス素材に重クラウンガラス(屈折率:1.58、アッベ数:59.4、転移点温度:506℃)を使用し、両面とも、凸非球面(近似R:9mm)で外径φ:7mm、中心肉厚:3.0mm、外周肉厚:1.6mmの凸レンズを成形する。
【0049】
まず、上型部材1および下型部材2の温度が470℃(ガラス粘度が、それぞれ、1015.2ポアズに相当する温度)の時に、成形型内にガラス素材を投入し、この状態で、上型部材1および下型部材2の温度が580℃(ガラス粘度が109.0 ポアズに相当する温度)になり、なお、加熱ヒータ7、9にて、ガラス素材が所定の温度になるまで待機した後に、上型部材1により、3400N(ニュートン)の力で押圧成形し、型の成形面をガラスに転写すると共に、レンズの肉圧を決定した。
【0050】
この時、前述のように、調整手段の押圧部材11、12を押し出し動作させ、上型部材1および下型部材2の各外周部の側面に2900Nの力をかけ、成形面の光軸について位置調整を行った。
【0051】
次に、冷却を開始し、560℃(109.8 ポアズに相当する温度)で下型部材2により、成形品Aに、2900Nの力を加え、490℃(1013.5ポアズに相当する温度)になった時点で、調整手段の押圧部材11、12の押し出し動作を解除し、さらに、下型部材2の圧力も解除した。
【0052】
その後、470℃(1015.2ポアズに相当する温度)で上型部材1を上昇させて成形型を開き、成形品Aの取出しを行った。上記のような一連の動作により、レンズが成形加工される。
【0053】
この方法により得られた成形品Aは、平行偏心で3μm以下、光軸倒れで20秒以下となり、コンパクトカメラのレンズの中でも、光軸精度の要求の高いクラスのレンズを得ることができた。
【0054】
因みに、このレンズをカメラに組込んで、評価を行った結果では、投影解像力で、中心部分/周辺部分とも、100本/mm以上となり、所望の良品が得られたが、これを、従来の方法にてレンズ成形した場合には、当該レンズの平行偏心:20μm、光軸倒れ:6分であって、中心部分は100本/mm以上であったが、周辺部分については30本/mm以下の部分が発生し、所望の良品とならなかった。
【0055】
このように、プレス成形動作中に、上下、型部材の光軸を修正するように、型部材の外周部を、光軸方向と交差する方向から、同時に加圧することで、光軸精度の極めて、高い光学素子(成形品)を得ることができる。
【0056】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態を以下に説明する。図3において、下型部材2の成形面に近い外周部には、リング部材16が配置されているが、この構成を除いては、第1の実施の形態の構成とほぼ同様であるため、重複する部分については、同一符号を付して、その説明は省略する。
【0057】
下型部材2の上端側には、外径が一段細くなったリング装着部が形成されており、その外周に成形品(被成形光学素子)Aの外径側面を形成するためのリング部材16が装着されているが、下型部材2のリング装着部とリング部材16の間には、若干の隙間(例えば、径寸法で20μm程度)があり、リング部材16は下型部材2に対して径方向に移動可能に装着されている。
【0058】
また、リング部材16の外形寸法は、上型部材1および下型部材2の外径寸法とほぼ同寸法(例えば、寸法差で2μm以内)に調整されており、更に、リング部材16の外径に対応して成形品Aの外径側面を形成するための内径部は、精度良く形成されており、例えば、その同軸度が2μm以内になるように形成されている。
【0059】
従って、調整手段の押圧部材11、12は、それぞれ、上型部材1、下型部材2及びリング部材16の3部材の外径部の側面に、同時に接した状態で保持される。また、リング部材16の軸方向の厚みは、成形時に、ガラス素材がプレスによって変形されると、更には、冷却時に下型部材2でプレスされても、上型部材1とは突き当たらないように、その時点で、例えば、10μm程度の隙間があくように調整されている。
【0060】
次に、上記のように構成された成形型により、レンズを成形する手順について説明する。ここでは、工程そのものは、第1の実施の形態と全く同様であるから、その部分の説明は省略する。そして、相違するのは、調整手段の押圧部材11、12を、上型部材1および下型部材2のみでなく、リング部材16の外周部側面にも、同時に突き当て、加圧する点である。つまり、上型部材1によるガラス素材のプレス変形時と、下型部材2による冷却時のプレス保持の時との、両工程において、調整手段(押圧部材11、12)により、上型部材1、下型部材2及びリング部材16の3部材について、同時に、光軸の調整がなされる点である。なお、図3は第1の実施の形態と同様に、プレス変形終了時の状態を示している。
【0061】
ここで、第1の実施の形態と同じレンズを、全く同じ成形条件にて、その外径部と共に成形したところ、得られた成形品Aは、上下面の平行偏心で3μm以下、その光軸倒れで20秒以下となり、また、上下面と外径部との平行偏心も3μm以下とすることができた。従って、後加工で芯取りして、外径精度を出すよりも高い精度で、レンズを得ることができた。これは、コンパクトカメラのレンズの中でも、外径部との光軸精度の要求度が高いクラスのレンズを得る上で、有効である。
【0062】
このように、プレス変形動作中に、上下、型部材およびリング部材の光軸を修正するように、光軸と交差する方向から、型部材およびリング部材の外周部を、光軸中心に向けて、例えば、上下型部材およびリンク部材の3つを同時に加圧することで、上下面の光軸調整のみならず、外径部と上下面の光軸も調整でき、光軸精度の極めて高い成形品を得ることができる。なお、この調整部材は、実施例1と同じ形状、即ち、V字形となっている(図1を参照)。
【0063】
(第3の実施の形態)
図4、図5の第3の実施の形態は、その調整手段の構成が一部異なる場合を示しており、それ以外の構成については、第1の実施の形態とほぼ同様であるため、重複する部分については、同一符号を付して、その説明は省略する。
【0064】
調整手段は、図4に示すように、その押圧部材11、12の、上型部材1及び下型部材2との接触部位では、先端接触部材11A、12Aが直接、型部材の外周部と密着するように、上型部材1及び下型部材2の両外径に等しいか、わずかに大きいR形状(例えば、+0〜2μmの寸法差)となっており、また、図5に示すように、上型部材1および下型部材2の摺動方向に、それぞれ、独立して移動できるように、それら先端接触部材11A、12Aを、上下に分離した構成にしてあって、光軸調整をしない場合には、押圧部材11、12により、比較的弱い付勢力により、それぞれ、転動体(ベアリング)17を介して、最上端、最下端の位置にあって、上下、型部材1、2の外周部に接している。
【0065】
なお、接触部材11A、12AのRの面、及び、転動体17は、高精度に仕上げられており、上型部材1及び下型部材2を加圧する際の、上型部材1側の先端接触部材11A、12A及び下型部材2側の先端接触部材(図5には、符号11A’、12A’で示す)の両方を含めた接触面の面精度(凹凸形状)が、例えば、1μm以下になるように調整されている。
【0066】
従って、上型部材1及び下型部材2の外径部は、前述のように、精度良く、同寸法に仕上げられ、このために、調整手段の押圧部材11、12によって、それぞれ、上型部材1と下型部材2との両方とは、先端接触部材11A、12Aに同時に接した状態で保持される。
【0067】
なお、この実施の形態では、調整手段の先端接触部材11A、12Aには、上型部材1側の部材、下型部材2側の部材の何れにも、それぞれに、ヒータ18、冷却穴19および温度センサー(図示せず)が設けてあり、上下、別々に温度制御できるようにしてある。また、冷却穴19にはN噴出管(図示せず)を通して、Nガスが供給され、これによって、上下、型部材の先端部での冷却が促進される。
【0068】
次に、上記のように構成された成形型により、レンズを成形する手順について説明するが、工程そのものは、第1の実施の形態と全く同様であるから、その部分については説明を省略する。そして、その相違する点は、調整手段の先端接触部材11A、12Aが、上型部材1及び下型部材2と、ほぼ同様に、温度調節されており、その状態で、光軸の調整時に、上型部材1及び下型部材2の外周部側面に対して面接触で加圧されることであり、また、光軸の調整時の上型部材1及び下型部材2がプレス動作により移動する際に、先端接触部材11A、12Aが、それぞれ、上型部材1及び下型部材2に密接加圧した状態のままで、ベアリング17を介して、押圧部材11、12と相対的に移動でき、それぞれの型部材の動きに合わせて移動することができることである。
【0069】
つまり、上型部材1によるガラスのプレス変形時と、下型部材2の上昇・保持の状態での冷却時との、プレス保持の両工程において、調整手段により、上型部材1、下型部材2の両方について、同時に光軸の調整がなされるとともに、型部材の外周面より温度調整がなされるのである。従って、型の温度分布にバラツキが生じ易い、例えば、口径の大きなレンズや、温度分布の変化に敏感な高面精度のレンズ、あるいは、側面が冷え易い外周部の肉厚の薄いレンズにおいて、高い光軸精度を保持するのに厳しい場合にも、本実施の形態が有効である。
【0070】
なお、図4及び図5は、第1の実施の形態と同様に、プレス変形終了時の状態を示している。ここで、カメラに使用されるレンズを、例に挙げて、さらに詳細な説明を行うことにする。ここでは、ガラス素材にランタン系ガラス(屈折率:1.67、アッベ数:55.4、転移点温度:530℃)を使用し、下面側の凸非球面(近似R:21mm)、上面側の凹R46で、外径φ:22.0mm、中心肉厚:2.8mm、外周肉厚:1.0mmの凸メカニカルレンズを成形する。
【0071】
まず、上型部材1および下型部材2の温度が485℃(1014.9ポアズに相当する温度)のときにガラス素材を投入し、この状態で、上型部材1、下型部材2および調整手段の接触部材11A、12Aの温度が590℃(109.0 ポアズに相当する温度)になり、しかも、加熱ヒータにて、ガラス素材が所定の温度になるまで、待機する。その後に、上型部材1により4900N(ニュートン)の力で押圧成形し、型部材の成形面をガラスに転写するとともに、レンズの肉圧を決定した。
【0072】
この時、前述のように、調整手段の押圧部材11、12を押し出し動作させて接触部材11A、12Aを上型部材1と下型部材2の外周側面に当接させるとともに、3400Nの力をかけ、成形面の光軸位置調整を行った。
【0073】
次に、冷却を開始し、上型部材1、下型部材2と共に接触部材11A、12Aも冷却を行い、570℃(109.8 ポアズに相当する温度)になった時点で、下型部材2により、成形品(被成形光学素子)Aに、3400Nの力を加えると共に、510℃(1013.2ポアズに相当する温度)で、調整手段の押圧部材11、12の押し出し動作を解除し、さらに、下型部材2の圧力も解除した。その後に、480℃(1015.2ポアズに相当する温度)で上型部材1を上昇させて型を開き、成形品Aの取出しを行った。上述のような一連の動作により、レンズが成形加工される。
【0074】
この方法により得られた成形品は、冷却時の収縮応力によるワレの発生もなく、また、レンズ周辺部のクセも、ニュートン縞:0.5本以内の面精度となり、かつ、平行偏心で3μm以下、光軸倒れで20秒以下である。このようにして、光軸精度の高いレンズを得ることができた。
【0075】
このように、本発明のこの実施の形態での方法によれば、プレス変形動作中、上下、型部材の光軸を修正するように、型部材の外周部を、上下、同時に加圧するとともに、温度調節することで、比較的口径の大きなレンズや外周肉厚の薄いレンズにおいても光軸精度および面精度の極めて高い成形品を得ることができ、またワレの発生も防止できる。
【0076】
(他の実施の形態)
本発明の他の実施の形態について、以下に説明する。図6には、調整手段の接触部材11B、12Bの形状が、第1の実施の形態における調整手段の押圧部材11、12の先端形状と同様のV字形状となっている構成が示されており、それ以外は第3の実施の形態と同じである。この成形装置は、前述よりもより簡易な構造であり、小径レンズなどの光学素子の成形、特に、成形中にワレも発生せず、また、面精度においても問題がないような、条件の厳しくない場合に好適である。なお、本発明の成形方法及び装置では、更に、条件によって、より簡易構造な接触部材を採用することもできる。即ち、その調整手段の押圧部材、あるいは、接触部材の形状は、光軸の位置さえ決まれば、接触面積を変えるなど、自由に設計できるものである。
【0077】
また、図7に示す実施の形態は、本発明を実用に供する場合の、4個取りの成形に適用したものであり、中央の調整手段(受け部材)20は板状で、胴型3に固定されており、一方の調整手段の押圧部材11、12を押し出し移動させることにより、光軸の位置出しを行っている。
【0078】
このように、生産ライン上では、取り個数についての限定はなく、また、調整手段の押し出し動作も、必ずしも、型部材の両側から行うのではなく、片側からのみでもよく、更に、場合によっては、バランスよく、円周を等分割した3方向以上から光軸中心に向けての押し出し動作で行うようにしてもよい。
【0079】
更に、上下一対の型部材に接触する転動体21の数も、図7に示すものでは3点当たりになっているが、特に、限定されるものではなく、第1の実施の形態のように、4点当たりにしてもよいことは勿論である。
【0080】
なお、この実施の形態では、接触部材にベアリングなどの転動体を用いて、型部材のプレス動作を妨げないようにしているが、これとても、特に限定されるものではなく、摺動抵抗の少ない材料(例えば、カーボン材)を使用して、型部材と押圧部材との接触面で、摺動させる構成にしてもよい。更に、この実施の形態では、プレス動作時以外は、胴型により上下型部材を保持しているが、調整手段の押圧部材に胴型を兼用させ、胴型を廃止して、押圧部材の動作する位置のみを調整して、常に、上下型部材を保持するようにしてもよい。
【0081】
なお、以上の本発明の各実施の形態では、成形素材として、ガラスを挙げているが、光学素子の成形方法及びその装置としての本発明の特徴は、温度条件などを考慮すれば、プラスチックレンズなどの成形にも適用でき、有効であることは明らかである。
【0082】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように、成形素材をプレス成形して、型部材の成形面を被成形光学素子の光学機能面に転写する光学素子の成形方法において、前記型部材の押圧動作により前記光学素子を成形すると同時に、前記光学機能面の光軸方向と交差する方向から前記型部材の外周部を挟み込むように加圧して、前記光学機能面の光軸を調整し、さらに、成形された前記光学素子を冷却する際に、その収縮に応じて、前記型部材を移動すると同時に、前記光学機能面の光軸を再度、調整することを特徴とする。
【0083】
また、本発明では、成形素材としてのガラス素材をプレス成形して、型部材の成形面を被成形光学素子の光学機能面に転写する光学素子の成形方法において、ガラス素材を加熱して、ガラス粘性が105.5〜1010ポアズになる第1の温度に設定し、この温度で前記型部材の押圧により前記光学素子を成形すると同時に、前記光学機能面の光軸の平行偏心および倒れを規制するように型部材に対して位置制御を行い、その後、成形された前記ガラス素材のガラス粘性が108.5〜1013.5ポアズで、前記設定された第1の温度よりも低い第2の温度に設定して、前記光学素子を加圧保持すると同時に、前記光学機能面の光軸を規制するように再度、前記型部材に対して位置制御を行うことを特徴とする。
【0084】
これにより、プレス工程と冷却工程の押圧動作時における光学機能面、例えば、レンズ面の光軸が調整され、従来から問題となった光軸の平行偏心や倒れが除かれる。しかも、その光軸調整は、簡単且つ確実に実現できる。
【0085】
従って、従来の工程時間を延ばすことなく、更に、光軸精度の厳しい光学素子の成形が可能となり、かつ、型部材と胴型の隙間の量の細かい制御や、成形装置のプレス軸の軸精度に神経を使うことなく成形ができるようになる。つまり、成形時に決定してしまう光軸精度について、型部材に光軸調整を行いながら成形することで、高価な成形機も必要なく、かつ、従来の工程時間内に確実に、より光軸精度の高い成形品が得られるため、コスト、精度ともに優れた成形方法となり、その効果は大きい。
【0086】
更に、本発明では、光学素子の光学機能面を成形するための成形面を有する一対の型部材で、成形素材をプレス成形する光学素子の成形装置において、前記型部材を駆動して前記成形素材を押圧成形するための型部材駆動手段と、前記型部材の押圧動作中に、前記光学機能面の光軸方向と交差する方向から前記型部材の外周部を挟み込むように加圧して、前記光学機能面の光軸を調整を行う調整手段とを具備していることを特徴とする。
【0087】
従って、光軸を調整する際に上下型の相対位置を規制することができ、光軸の平行偏心と倒れとを同時にかつ容易に修正することができる装置となり、その効果は大きい。
【0088】
この場合、前記調整手段は、前記型部材を、被成形光学素子の光軸と交差する方向から押圧する押圧部材を前記型部材の外周部に対向して備えており、光軸を調整する際に、一対の前記型部材を同時に光軸に向けて押圧する構成、更には、前記型部材の外周部に対向して、成形品の外周側面を形成するためのリング部材を設け、このリング部材の外径を前記型部材と同じ径とし、前記調整手段の押圧部材で、前記型部材およびリング部材を押圧するように構成とすることができる。
【0089】
また、前記調整手段の押圧部材と前記型部材との間には、転動体が配置され、前記転動体を介して、光軸に関する前記型部材の移動調整が行われる構成としてもよく、更に、前記転動体は、前記型部材の外周部に接触しており、前記調整手段により、前記押圧部材および転動体を介して、光軸に関する前記型部材の移動調整が行われる構成としてもよい。
【0090】
従って、光軸を調整する際、上下の型部材と調整手段の押圧部材との摺動性が確保でき、光軸調整中の、型部材のプレス方向への移動が容易となる。このために、プレス動作が最後まで確実に行え、プレス時の光軸調整と、プレス動作とを両立させた装置とすることができる。これにより、光軸精度は勿論、肉厚精度も安定し、冷却時のヒケの発生も抑制され、より面精度の高い成形品が得られる。
【0091】
そして、このような成形方法で得られる光学素子(精研削や研磨などの加工を残した半製品を含む)は、その光学機能面の光軸調整が所望に達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を概略的に示す平面断面図である。
【図2】同じく、正面縦断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す正面縦断面図である。
【図4】本発明の第3の実施の実施の形態を示す平面断面図である。
【図5】同じく、正面縦断面図である。
【図6】その他の実施の形態を示す成形装置の構成を示した平面断面図である。
【図7】更に他の実施の形態を示す4個取りの成形型についての平面断面図である。
【符号の説明】
1 上型部材
2 下型部材
3 胴型
4 支持基板
5 隙間
6、8 駆動手段
7、9 加熱用ヒータ
10 貫通穴
11、12 押圧部材
11A、12A 先端接触部材
11B、12B 先端接触部材
13 転動体(ベアリング)
14、15 駆動手段
16 リング部材
17 転動体(ベアリング)
18 ヒータ
19 冷却穴
20 調整手段
21 転動体

Claims (8)

  1. 成形素材をプレス成形して、型部材の成形面を被成形光学素子の光学機能面に転写する光学素子の成形方法において、前記型部材の押圧動作により前記光学素子を成形すると同時に、前記光学機能面の光軸方向と交差する方向から前記型部材の外周部を挟み込むように加圧して、前記光学機能面の光軸を調整し、さらに、成形された前記光学素子を冷却する際に、その収縮に応じて、前記型部材を移動すると同時に、前記光学機能面の光軸を再度、調整することを特徴とする光学素子の成形方法。
  2. 成形素材としてのガラス素材をプレス成形して、型部材の成形面を被成形光学素子の光学機能面に転写する光学素子の成形方法において、ガラス素材を加熱して、ガラス粘性が105.5〜1010ポアズになる第1の温度に設定し、この温度で前記型部材の押圧により前記光学素子を成形すると同時に、前記光学機能面の光軸の平行偏心および倒れを規制するように型部材に対して位置制御を行い、その後、成形された前記ガラス素材のガラス粘性が108.5〜1013.5ポアズで、前記設定された第1の温度よりも低い第2の温度に設定して、前記光学素子を加圧保持すると同時に、前記光学機能面の光軸を規制するように再度、前記型部材に対して位置制御を行うことを特徴とする光学素子の成形方法。
  3. 光学素子の光学機能面を成形するための成形面を有する一対の型部材で、成形素材をプレス成形する光学素子の成形装置において、前記型部材を駆動して前記成形素材を押圧成形するための型部材駆動手段と、前記型部材の押圧動作中に、前記光学機能面の光軸方向と交差する方向から前記型部材の外周部を挟み込むように加圧して、前記光学機能面の光軸調整を行う調整手段とを具備していることを特徴とする光学素子の成形装置。
  4. 前記調整手段は、前記型部材を、被成形光学素子の光軸と交差する方向から押圧する押圧部材を前記型部材の外周部に対向して備えており、光軸を調整する際に、一対の前記型部材を同時に光軸に向けて押圧することを特徴とした請求項3記載の光学素子の成形装置。
  5. 前記型部材の外周部に対向して、成形品の外周側面を形成するためのリング部材を設け、このリング部材の外径を前記型部材と同じ径とし、前記調整手段の押圧部材で、前記型部材およびリング部材を押圧するように構成したことを特徴とする請求項3あるいは4に記載の光学素子の成形装置。
  6. 前記調整手段の押圧部材と前記型部材との間には、転動体が配置され、前記転動体を介して、光軸に関する前記型部材の移動調整が行われることを特徴とする請求項3あるいは4に記載の光学素子の成形装置。
  7. 前記転動体は、前記型部材の外周部に接触しており、前記調整手段により、前記押圧部材および転動体を介して、光軸に関する前記型部材の移動調整が行われることを特徴とする請求項6に記載の光学素子の成形装置。
  8. 請求項1あるいは2に記載の成形方法により得られ、その光学機能面の光軸調整が所望に達成されたことを特徴とする光学素子。
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