JP5021196B2 - モールドプレス成形型、光学素子の製造方法、及び凹メニスカスレンズ - Google Patents

モールドプレス成形型、光学素子の製造方法、及び凹メニスカスレンズ

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Description

本発明は、精密モールドプレスによってガラスレンズなどの光学素子を製造するに際し、特に、プレス成形時の偏肉を防止して、形状精度の高い光学素子を、歩留高く、効率的に製造することができるモールドプレス成形型、光学素子の製造方法、及び凹メニスカスレンズに関する。
ガラスなどの成形素材を加熱により軟化し、所定形状に精密加工した上下一対の成形型でプレス成形することによって、ガラスレンズなどの光学素子を製造するにあたり、特許文献1には、下型の中心に対して、ガラス素材の中心が合致するように位置決めするための位置決め装置として、ガラス素材挿入孔を有する位置決め部材と、下型または下型固定具の外周面に当接して前記ガラス素材挿入孔を心出しする心出し部材と、心出し部材を下型または下型固定具に着脱するための着脱機構とを備えたガラス素材の位置決め装置が記載されている。
また、特許文献2には、下型の型面に光学ガラス素材をセットし、それを調芯させるために、下型に組み付けた胴型をガイドとして装着された芯出し治具を用いて、上型が装置される前の段階で、ガラス素材を調芯する方法が記載されている。
特開2002−308633号公報 特開平7−81953号公報
このような従来の技術において、特許文献1のような位置決め装置によると、ガラス素材の中心が下型の中心に一致するように位置決めすることができ、外形の偏りや光学的不良のない高品質な光学素子を得ることができるとされている。
しかしながら、特許文献1の位置決め装置は、ガラス素材を供給して位置決めした後に、そのままの位置でプレス成形が行われることを前提としたものであり、ガラス素材が供給された成形型を、他の位置に移動してからプレス成形を行う場合には、そのまま適用することができない。
また、特許文献2によると、下型上にガラス素材をセットし、下型に胴型及び芯出し治具を組み込んだ状態のものを、上型組み付けステーションに搬入し、まず芯出し治具を胴型から取り外し、その直後に上型を組み込むようにしてある。このようにして、上型が組み込まれると、ガラス素材は下型と上型との間に挾持されることになり、以後は多少の振動などがあっても、このガラス素材が位置ずれするなどの不都合がないとされている。
そして、この成形型を加熱部に移行させて、ガラス素材を軟化乃至溶融させて、上型と下型との間でプレスすることによって、レンズの成形が行われ、このとき、ガラス素材は、この成形型に対して正確に調芯された状態にセットされているから、成形精度が著しく良好となり、高精度なプレス成形が可能となるとされている。
しかしながら、特許文献2の方法では、上型が組み込まれる前に、ガラス素材が調芯されていても、上型が組み込まれるときや、その後に、ガラス素材が位置ずれしてしまう可能性は少なくない。
例えば、下型成形面が曲率半径の大きい凹面である場合には、ガラス素材は搬送時の振動などによって位置ずれしやすく、特に、ガラス素材が球などの凸曲面を有する場合にこの傾向が顕著である。
また、得ようとするレンズの形状に起因して、上型成形面に凸面があるような場合には、ガラス素材が上型と下型に挟持されたときに、加熱軟化前のガラス素材が上型の凸部に当接し、図5に示すように、ガラス素材が下型中心から逃げて移動してしまうことがある。そして、このような位置ずれが生じてしまうと、ガラス素材がもとの位置に戻らなくなってしまう。
さらに、特許文献2のように、上型を組み込んだ後の成形型を別の位置に移送してプレス成形を行う場合には、移送に伴う振動などを完全に排除することは事実上不可能であり、したがって、ガラス素材が、下型成形面上で位置ずれするために生じる偏肉や、形状不良などの問題があった。
ところで、近年において、携帯端末用の小型撮像機器や、光ピックアップ、さらには、光通信などにおいて用いられている光学レンズは、小型化と、高い光学性能との両立が求められており、その要求精度は益々高くなっている。
これらの用途に求められるレンズは、例えば、レンズ径が1〜5mm程度であり、最も薄い部分の薄肉も0.1〜1mm程度となっている。こうしたレンズを、精密モールドプレスによって成形する場合、プレス成形後に芯取り加工などの後加工を行わないことを前提にし、プレス成形によって、光学機能面を形成するとともに、外周部も胴型等の型部材によって成形し、外径を画定する方法が有利に適用される。
例えば、この方法により、外径ばらつきは5μm以内とすることが可能であり、さらに、光軸と外径中心との一致性も数μm以内の高い形状精度のレンズを得ることができる。
しかしながら、ガラス素材が成形型の中心位置からずれた位置でプレス成形が行われると、成形体が偏肉し、部分的な充填不足による外周の欠損が生じたり、部分的な充填過剰によるはみ出しや、バリの形成が生じたりすることがある。
例えば、ガラス素材を下型成形面に配置する際、たとえ十分な位置精度をもって凹面を有する下型成形面の中央位置に配置したとしても、上記したように上下型の形状や、上下型とガラス素材の形状の相互関係によって、位置ずれが生じやすい。
また、上記用途のレンズの多くは光学機器に搭載される際、光学有効径の外側に形成された平坦部や、外周面によって、他部品との位置決めを行う。
したがって、プレス成形による形状不良や、形状不均一は、たとえ、それが光学有効径の外側の領域であっても、レンズの装着精度を損ねてしまい、機器としての光学性能に悪影響を与えてしまう。このため、レンズ外周が、360度にわたって、胴型などの型部材の転写面として形成されることが求められるものの、上記用途の小径、小体積のレンズは、ガラス素材の体積が小さく、わずかな位置ずれであっても、外周面の欠損、装着精度の劣化が生じやすく、影響が深刻である。
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、下型成形面上に供給される成形素材の位置ずれが生じないようにして、プレス成形時の偏肉などを防止し、形状精度の高い光学素子を、歩留高く、効率的に製造することができるモールドプレス成形型、光学素子の製造方法、及び凹メニスカスレンズの提供を目的とする。
上記目的を達成するため本発明のモールドプレス成形型は、互いに対向する成形面を有する上型と下型と、前記上型及び前記下型の中心軸に直交する方向の相互位置を規制する胴型とを備え、プレス成形に必要な処理が施される加熱室、プレス室、及び冷却室を含む複数の処理室に順次移送されて、加熱により軟化した球形状の成形素材をプレス成形するモールドプレス成形型であって、前記下型の成形面が、少なくとも中心位置に凹面を有しているとともに、前記下型の成形面上に供給された前記成形素材に、前記上型の成形面が接触しないように前記上型を保持し、かつ、プレス荷重が印加されたときには、前記上型の成形面の前記成形素材への接触を許容する、弾性部材を用いて形成された上型保持手段を備え、前記上型及び前記下型のそれぞれに、前記成形面が先端に形成された小径部を設けておくとともに、当該小径部が前記胴型の内周小径部に挿入されるようにして、前記内周小径部の内周面により前記成形素材をプレス成形して得られる成形体の外周形状を規定する構成としてある。
このような構成とすることにより、成形素材をプレス成形するに際して、成形型にプレス荷重が印加されるまでの間は、成形素材は上型の成形面と非接触の状態にあり、下型の成形面上を自由に移動できるようになっている。このため、成形素材は、自重で転がり移動や、滑り移動などをして、凹面となっている成形面の中心位置に移動することができ、これによって、成形素材の位置ずれを有効に回避して、プレス成形時の偏肉などを防止し、形状精度の高い光学素子を、歩留高く、効率的に製造することができる
また、本発明のモールドプレス成形型は、前記上型保持手段が、弾性部材を用いて形成されているが、これにより、上型の重量と、弾性部材の付勢力とをバランスさせるだけの簡便な手段によって、上型の成形面が成形素材に接触しないようにすることができる。
また、本発明のモールドプレス成形型は、前記上型及び前記下型の中心軸に直交する方向の相互位置を規制する胴型を備えており、前記上型保持手段の弾性力に抗して、前記上型が、前記胴型に対して摺動可能とされた構成とすれば、上下型の同軸性を確保して、プレス成形時の偏心を有効に回避することができる。
また、本発明のモールドプレス成形型は、前記上型成形面が凸面を有している構成とすることができ、このような構成としても、上型成形面が成形素材と非接触とされているので、上型成形面の凸面が成形素材を押しのけて、その位置ずれを生じさせてしまうというようなことがない。
また、本発明の光学素子の製造方法は、互いに対向する成形面を有する上型と下型と、前記上型及び前記下型の中心軸に直交する方向の相互位置を規制する胴型とを備えた成形型を用いて、加熱により軟化した成形素材をプレス成形する光学素子の製造方法であって、球形状とした前記成形素材を、凹面を有する前記下型の成形面上に供給し、前記上型の成形面が前記成形素材と接触しないように、前記上型を、弾性部材を用いて形成されている上型保持手段によって前記成形素材上に保持させて、前記下型の成形面の中心位置への前記成形素材の移動を許容した状態で、前記成形型をプレス成形に必要な処理を施す加熱室、プレス室、及び冷却室を含む複数の処理室に順次移送して、前記成形素材が加熱により軟化した状態でプレス荷重を印加することによって、前記上型と前記下型とを接近させてプレス成形を行うに際して、前記上型及び前記下型のそれぞれに、前記成形面が先端に形成された小径部を設けておくとともに、当該小径部が前記胴型の内周小径部に挿入されるようにして、前記内周小径部の内周面により前記成形素材をプレス成形して得られる成形体の外周形状を規定する方法としてある。
このような方法とすることにより、成形素材の位置ずれを有効に回避して、プレス成形時の偏肉などを防止し、形状精度の高い光学素子を、歩留高く、効率的に製造することができる。
また、本発明の光学素子の製造方法は、前記加熱室では、前記上型の成形面が前記成形素材と接触しないように、前記上型を前記成形素材上に保持した状態で、前記成形型とともに前記成形素材を加熱することができ、下型の成形面の中心位置にある成形素材の粘度が低下して、その移動が抑制された状態でプレス荷重を印加することができる。したがって、プレス成形時に上型の成形面との接触によって、成形素材の位置ずれが生じてしまうことがなく、より確実に下型の成形面の中心に成形素材を位置させた状態でプレス成形することができる。
また、本発明の光学素子の製造方法は、前記上型を、弾性部材を用いて形成されている上型保持手段によって前記成形素材上に保持することで、上型の重量と、弾性部材の付勢力とをバランスさせるだけの簡便な手段によって、上型の成形面が成形素材に接触しないようにすることができる。
また、本発明の光学素子の製造方法は、前記成形型にプレス荷重を印加するに際し、前記上型と前記下型とを、前記上型保持手段の弾性力に抗して接近させる方法とすることができる。
このような方法とすれば、プレス荷重が印加されたときには、上型の成形面の成形素材への接触を許容して、成形素材に上下型の成形面形状を転写することができる。
また、本発明の光学素子の製造方法は、前記成形素材が供給された前記成形型を、加熱室、プレス室、及び冷却室を含む複数の処理室に順次移送しつつ、各処理室においてプレス成形に必要な処理を施す方法とすること、プレス成形に適した温度への成形型の加熱、プレス荷重の印加、その後の冷却処理が、装置全体の昇温、降温を行うことなく、各処理室を成形型が通過することによって行われるため、個々の成形に必要な実質時間(成形サイクルタイム)が短縮され、しかも、個々の成形素材に与える熱環境を常に一定として、量産上の安定性を向上させることができる。
また、本発明の光学素子の製造方法は、球形状とした前記成形素材を、凹面を有する前記下型の成形面上に供給するが、これにより、下型の成形面上での成形素材の滑り移動や、転がり移動がしやすいようにすることができる。
また、本発明の光学素子の製造方法は、前記上型の成形面が凸面を有する方法とすることができ、このような方法としても、上型成形面が成形素材と非接触とされているので、上型成形面の凸面が成形素材を押しのけて、その位置ずれを生じさせてしまうというようなことがない。
また、本発明の凹メニスカスレンズは、上記したような光学素子の製造方法により好適に製造することができ、上記したような製造方法によってプレス成形された凹メニスカスレンズは、高度な光学性能のみならず、光学機器への高い取り付け精度を備えたものとすることができる。
以上のように、本発明によれば、成形素材をプレス成形するに際して、成形素材の位置ずれを有効に回避して、プレス成形時の偏肉などを防止し、形状精度の高い光学素子を、歩留高く、効率的に製造することができる
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
[モールドプレス成形型]
まず、本発明に係るモールドプレス成形型(以下、単に「成形型」という)の実施形態について説明する。
ここで、図1は、成形型の概略断面図であり、成形型内に成形素材50を配置した状態を示している。
図示する例において、成形型は、上型10、下型20、及び胴型30を備えて構成されている。そして、後述するようなプレス成形装置において、成形素材50を内部に配置するとともに、プレス成形に必要な処理が施される処理室に、この成形型が移送され、下型20と、下型20に対して相対的に近接、離間するように胴型30により摺動ガイドされる上型10との間で、加熱により軟化した成形素材50がプレス成形されるようになっている。
成形型を構成する上型10と下型20には、成形しようとするガラスレンズなどの光学素子の形状をもとに精密な形状加工を施すことによって、互いに対向する成形面14,24が形成されている。
本実施形態において、下型20の成形面24は、少なくとも中心位置に凹面を有していれば、全体として凹面と平面とを組み合わせたものとなっていても、凹面と凸面とを組み合わせたものとなっていてもよく、その凹面形状も、球面でも非球面でもよい。
一方、上型10の成形面14の具体的な形状は特に限定されず、凸面、凹面、平面、又はそれらの組み合わせであってもよいが、後述するように、成形面14の中心位置に凸部のある非球面などのように、凸面を有している場合に、本実施形態の効果が顕著となる。
また、胴型30は、上下型10,20を収容するとともに、上下型10,20の中心軸Cに直交する方向の相互位置を規制している。図1に示す例では、胴型30に上下型10,20を収容したときに、下型20が胴型30の下面及び内周面に当接するとともに、上型10の外周面が胴型30の内周面に摺接することにより、上下型10,20の中心軸Cに直交する方向の相互位置が規制されるようにしており、これによって、上下型10,20の同軸性が確保され、プレス成形時の偏心を有効に回避することができる。
このため、上下型10,20と胴型30とのクリアランスは、要求される光学素子の偏心精度を考慮すると10μm以下、特に、5μm以下とすることが好ましく、成形しようとする光学素子に要求される光学性能に応じて、さらに小さくすることもできる。
また、図示するように、上下型10,20には、それぞれの成形面14,24が先端に形成された小径部を設けておくとともに、当該小径部が胴型30の内周小径部に挿入されるようにする。そして、図4(5)に示すように、胴型30の内周小径部の内周面により成形素材50をプレス成形して得られる成形体51の外周形状が規定されるようにする。
以上のような上型10、下型20、及び胴型30に用いる素材などには制限はなく、例えば、公知のSi、SiCなどのセラミック類、又は超硬合金などを母材として用いることができる。
また、成形素材50に対する成形面14,24の滑り性や、転がり性を確保するために、成形面14,24は、平滑な平面、球面、又は非球面などに加工されていることが好ましく、さらに、成形面14,24の表面には、例えば、炭素や、炭化水素を主成分として含有する膜を、蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVDなどの公知の手段を用いて、所定の膜厚で成膜しておくのが好ましい。
また、本実施形態において、成形型は、下型20の成形面24上に供給された成形素材50に、上型10の成形面14が接触しないように上型10を保持し、かつ、プレス荷重が印加されたときには、上型10の成形面14の成形素材50への接触を許容する上型保持手段40を備えている。
上型保持手段40は、弾性部材を用いて形成することができる。図示する例では、上型保持手段40を形成する弾性部材として、例えば、金属や、セラミックスなどの耐熱性のある素材からなるばねを用いており、ばね40の下端側を、胴型30の内周面に設けられた段部31に支承するとともに、ばね40の上端側が上型10の側面に設けられた段部11を支持しつつ、上型10に対して上方への付勢力を与えるようにしてある。
これにより、胴型30に組み込まれた上型10の重量と、ばね40の付勢力とがバランスして、上型10が所定位置に保持されることとなり、上型10の成形面14が、下型20の成形面24上に配置された成形素材50に接触しないようになっている。そして、プレス荷重が印加されたときには、ばね40を押し縮めながら、その弾性力に抗して、上型10が胴型30の内周を摺動することにより、成形素材50への上型10の成形面14の接触が許容されるようになっている。
したがって、本実施形態の成形型によれば、成形素材50をプレス成形するに際して、成形型にプレス荷重が印加されるまでの間は、成形素材50は上型10の成形面14と非接触の状態にあり、下型20の成形面24上を自由に移動できるようになっている。このため、成形素材50が中心位置からずれて下型20の成形面24上に供給されたり、成形素材50を供給した後に、成形型の搬送などによる振動を受けて、下型20の成形面24の中心位置から成形素材50がずれてしまったりした場合などに、成形素材50は、その自重で転がり移動や、滑り移動などをして、凹面となっている成形面24の中心位置に移動することができる。
また、特に、上型10の成形面14が凸面を有している場合には、加熱により軟化する前の成形素材50に成形面14が接触していると、成形面14により成形素材50が押しのけられて、下型20の成形面24の中心位置から移動し、そのまま元の位置に戻らなくなってしまうことがあるが(図5参照)、本実施形態によれば、このような成形素材50の位置ずれも有効に回避することができる。
そして、その後の加熱により成形素材50の粘度が低下すると、成形素材50の移動が抑制され、その状態でプレス荷重を印加すれば、プレス成形時に上型10の成形面14と接触しても、成形素材50は位置ずれを生じてしまうこともなく、確実に成形面24の中心位置でプレス成形されることとなるため、プレス成形時の偏肉などを防止することができる。
ここで、上型10の成形面14が成形素材50に接触しないように、上型10を所定位置に保持させるにあたり、上型10の成形面14と成形素材50との距離は、胴型30に対する上型10の安定性を考慮すると、大き過ぎないことが好ましく、例えば、0.2〜2mm程度とすることができるが、下型20の成形面24上で、成形素材50が自重によって自由に中心位置に移動できる程度の隙間があればよく、上型10の成形面14と成形素材50との非接触状態を維持することができれば、特に限定されない。
また、上型保持部材40の具体的な構成も特に限定されず、例えば、図示する例のように、成形面14,24の周囲に、ばね40が配置されるのを避けて、上型10と胴型30の間に、ばね40を配置するようにすれば、胴型30が上下型10,20の成形面14,24の近傍を摺動ガイドする機能が損なわれることがない。さらに、胴型30の内周小径部の内周面により成形素材50をプレス成形して得られる光学素子の外周形状を規定し、芯取り加工を省略する上での妨げにならなければよい
[モールドプレス成形装置]
次に、本発明に係る光学素子の製造方法を実施するのに好適なモールドプレス成形装置(以下、単に「成形装置」という)について説明する。
ここで、図2は、このような成形装置の一例として示す回転移送式の成形装置の概略平面図である。
図2に示す成形装置は、取出・挿入室P1と、プレス成形に必要な処理が施される多数の処理室P2〜P8を備えている。
取出・挿入室P1では、成形を終えた成形型の取り出し作業と、新たに成形に供される成形素材を収容した成形型の挿入作業が行われる。取出・挿入室P1から挿入された成形型は、図中矢印方向に回転する回転テーブルに取り付けられた支持台に支持されるなどして、成形素材50(又は成形体51)を収容した様態で、周方向に並べて配置された、常時非酸化性ガスの雰囲気(不活性ガス雰囲気)下にある処理室P2〜P8の中を順次通過するようになっている。回転テーブルは、一定時間ごとに間歇的に回転し、この間歇的な回転により、隣設された処理室間を成形型が移動する。そして、この一定時間が、成形サイクルタイムとなる。
ここで、P2は第一加熱室、P3は第二加熱室、P4は第三加熱室(又は均熱室)であり、これらは総称して加熱部ともいう。P5はプレス室であり、加熱部でプレス成形に適した温度とされた成形型へのプレス荷重の印加が行われる。P6は第一徐冷室、P7は第二徐冷室、P8は急冷室であり、これらは総称して冷却部ともいい、プレス荷重が印加された後の成形型の冷却処理が行われる。これらの処理室P2〜P8は、略等間隔に配置されており、それぞれの処理に適した温度に温度制御されるとともに、各処理室内の温度を所定温度に保つために、シャッターS1〜S6によって区画されている。
図2に示すような成形装置を用いれば、成形素材50(又は成形体51)が収容された成形型を、各処理室を順次移送しながら適切な処理を施すことによって、所望の光学素子を効率よく製造することができる。
すなわち、プレス成形に適した温度への成形型の加熱、プレス荷重の印加、その後の冷却処理が、装置全体の昇温、降温を行うことなく、二次元的に配置された各処理室を成形型が通過することによって行われるため、個々の成形に必要な実質時間(成形サイクルタイム)が短縮される。
しかも、個々の成形素材50に与える熱環境を常に一定にできるため、量産上の安定性が高い。
本発明に係る光学素子の製造方法は、加熱室、プレス室、冷却室などの各処理室に、成形素材50(又は成形体51)が収容された成形型を移送して、加熱、プレス、冷却を含む適切な処理を順次施す成形装置において好適に実施されるが、このような成形装置の具体的な構成は、上記した例には制限されない。例えば、上記した例では、回転テーブルにより成形型を移送するようにしているが、二次元的(場合によっては三次元的)に配置された各処理室内を所定の時間間隔で通過できるように構成されているものであれば、成形型を移送する手段は特に制限されない。
また、各処理室の配置構成は、成形素材の組成や、得ようとする光学素子の形状にあわせて、加熱工程や冷却工程を最適化するために適宜変更することができる。例えば、加熱室を四つにしたり、徐冷室を三つにしたりするなどの変更を行うことができる。また、生産効率をさらに向上させるためには、加熱室、プレス室、冷却室などをそれぞれ同数連設し、異なる温度条件、異なる加圧条件を要する複数種類のプレス成形を同時並行的に行うようにしてもよい。
また、生産効率を向上させるために、各処理室において、加熱、プレス荷重の印加、冷却処理などの処理が行われるときに、一つの処理室に二以上の成形型が配列されるように、これに対応させて複数の支持台を、ひとまとまりで各処理室を移動するように設け、複数の成形型に対して同時に同じ処理を施すようにしてもよい。この場合、プレス室には、成形型の数に対応した二以上のプレス手段を設けることが好ましい。
[光学素子の製造方法]
次に、本発明に係る光学素子の製造方法の実施形態について、図1に示す成形型を、図2に示す成型装置に適用して実施する例に基づき、図3、図4を参照して説明する。
ここで、図3は、本実施形態に係る光学素子の製造方法における工程(1)〜(3)を示す説明図、図4は、同工程(4),(5)を示す説明図である。
工程(1):成形素材供給
支持手段80により上型10が組み込まれた胴型30の位置を固定しておくとともに、載置台70の開口部71から雰囲気ガスを吸引することにより、載置台70上に下型20が密着、固定されて、下型20と上型10とが離間した状態で待機している成形型に対し、図示しない吸着パッド付の搬送アームによって、予備成形(図示する例では球形状に成形)した成形素材50を供給する。そして、搬送アームの吸着パッドが、所定範囲内の精度で下型20の成形面21上に到達したときに、その吸着を解除し、搬送アームを直ちに退避させる。
これにより、成形素材50は、下型20の成形面24上に載置される(図3(1)参照)。
本実施形態で用いる成形素材50としては、所望の光学的、物理的性質をもち、予め所定の体積、形状に予備成形された、ガラスプリフォームなどのガラス素材を用いることができる。
具体的には、ブロック状の光学ガラスから所定の大きさに切り出し、研磨によって球形などに冷間加工したり、溶融ガラスを受け型に滴下、又は流下しつつ適切な手段で分離し、受け型内で固化して予備成形(熱間成形)し、必要に応じて表面に研磨などの加工を施したりして作製することができる。後者の場合、加工を伴う場合であっても加工による除去量が小さいため、除去されるガラス廃棄量を減少し、短時間の加工で所望の球形状が得られるため有利である。
また、成形素材50の形状は、下型20の成形面24上での滑り移動や、転がり移動がしやすいように、表面が凸曲面であることが好ましく、特に、球形状であるのが好ましい。そして、成形素材50は、その表面が平滑であることが好ましく、特に、研磨などによって表面が平滑な球形状としたものが好ましいが、例えば、長径と短径の差が10μm以下、さらには、5μm以下の略真球形状とすることで、本発明の効果が顕著に得られる。
本実施形態においては、上記熱間成形によって成形されたガラス球に対し、表面を研磨して上記の真球度としたものが特に好適である。
工程(2):成形型組立
載置台70を上昇させ、胴型30内に下型20を組み込む(図3(2)参照)。このとき、下型20が胴型30の下面及び内周面に当接するとともに、上型10の外周面が胴型30の内周面に摺接することにより、上下型10,20の中心軸Cに直交する方向の相互位置が規制されるようにしているが、胴型30と下型20のクリアランスは、5μm以下とするのが好ましく、予め組み立てられた上型10と胴型30も同様のクリアランスとするのが好ましい。
そして、上型10は、その成形面14が成形素材50と接触しないように、上型保持手段40によって成形素材50上に保持されており、下型20の成形面24の中心位置への成形素材50の移動を許容した状態のまま、胴型30の下面が下型20に当接して、成形型の組み立てが完了する。
なお、成形型を組み立てる際には、載置台70を上昇させる代わりに、保持手段80により上型10及び胴型30を下降させるようにしてもよい。また、図2に示す成形装置において、上記の工程(1)〜(2)は、その一部又は全部の工程を、取出・挿入室P1の近傍で行うようにしてもよく、取出・挿入室P1内で行うようにしてもよい。
工程(3):加熱工程
成形素材50が収容された成形型を、図示しない把持具などにより、回転テーブル上の成形型支持部75に配置し、加熱室P2〜P4に順次移送しつつ、加熱する(図3(3)参照)。
これによって、上型10が、成形素材50上の、上型10の成形面15と成形素材50との非接触が維持される位置に保持された状態で、成形型ごと成形素材50をプレス成形に適した温度に昇温させる。
このとき、例えば、第一加熱室P2は、成形素材50のプレス温度以上の高温に保ち、成形型ごと、収容された成形素材50を急速に加熱する。そして、成形素材50が収容された成形型は、第一加熱室P2で所定時間静止した後、回転テーブルの回転に応じて第二加熱室P3に移送される。この第二加熱室P3での加熱により、成形型と成形素材50は、さらに加熱されながら、均熱化されてプレス温度に近づく。次いで、第三加熱室P4で成形型と成形素材50を均熱化して、成形素材50の粘度をプレス成形に適切な10〜10dPa・sにするが、好ましくは、成形素材50の温度は、10〜10dPa・sの粘度となる温度となるように設定する。
なお、加熱室P2〜P4が備える加熱手段には特に制限はない。例えば、抵抗加熱によるヒータ、高周波誘導コイル等を用いることができる。
上記の加熱工程中、第一加熱室P2において成形型は静止状態におかれ、成形素材50が下型20の成形面24の中心位置からずれた状態にあっても、成形素材50は、成形面24の中心位置に自重で移動する。そして、その状態で次第に加熱されて、成形素材50の表面部分が軟化し、表面が軟化した成形素材50は、下型20の成形面24上での転がり移動、滑り移動が抑制されるため、成形面24の中心位置に配置されたまま、次の処理室に移送されることになる。
このように、本実施形態にあっては、成形素材50を下型20の成形面24上に供給する際、又はその後の移動の際に位置ずれした成形素材50が、成形面24の中心位置に自重で移動することを許容し、その状態で成形型と成形素材50とを加熱して、成形素材50の表面が軟化することにより成形素材50の移動が抑制されるようにするのが好ましいが、成形素材50が成形面24の中心位置に落ち着いたときに、上型10の保持を解除して加熱を開始するようにしてもよい。
工程(4)〜(5):プレス工程
適温になった成形型は、プレス室P5に移送される(図4(4)参照)。
プレス室P5では、成形型の上方からプレスヘッド90により、所定圧力(例えば、30〜200kgf)、所定時間(例えば、数十秒)で、成形型にプレス荷重を印加する(図4(5)参照)。
このとき、ばね40の弾性力に抗して、上型10が胴型30に対して摺動して、上型10の成形面14と、下型20の成形面24とが接近し、成形素材50がプレス成形されて、上下型10,20の成形面14,24の形状が転写される。
図4(4)に示すように、上型10の上端面が胴型30の上面より上方に位置した状態でプレスヘッド90を押し下げて、プレスヘッド90の下面が上型10の上端面に当接し、さらに押し下げられたプレスヘッド90の下面が、図4(5)に示すように、胴型30の上面に当接し、胴型30の上面と、上型10の上面とが同一平面となった時点で、成形体51の肉厚が規定され、その後、プレスヘッド90を上昇させて、プレス荷重を解除することにより、プレス工程を終了する。
工程(9):冷却工程
プレス工程を終えた成形型には冷却処理を施すが、まず、成形型を第一徐冷室P6、第二徐冷室P7に順次移送して、少なくとも成形素材50(成形体51)のガラス転移点よりも低い温度まで冷却する。
次に、成形型を急冷室P8に移送して冷却工程を続行するが、急冷室P8では、冷却用ガスによる急冷を行うことができ、成形体51が大気開放に支障のない温度となるまで冷却する。
工程(7)〜(8):成形型の分解工程/成形体の取出工程
冷却工程を終えて、成形型が取出・挿入室P1に戻ってくると、成形型は、支持部75から取り外され、載置台70に移送される。そして、保持手段80により、胴型30の位置を固定するとともに、載置台70を垂直に下降させ、胴型30から下型20を抜き出す。次いで、下型20の成形面24上から成形体51を取り出す。
このようにして成形型から取り出された成形体51は、そのまま、又は光学素子の外径中心と、その光学中心とを一致させるために、必要に応じて芯取り加工を施して、所望の光学素子とすることができる。
これらの工程(1)〜(8)が終了した後は、工程(1)に戻り、上記のサイクルを繰り返すことによって、プレス成形を連続的に行うことができる。
以上のような本実施形態によれば、加熱、プレス、冷却などのプレス成形に必要な処理を施す処理室に移送可能な成形型を用いてプレス成形するに際して、形状精度の高い光学素子を安定して成形することができる。
特に、成形型を、加熱室、プレス室、冷却室などの各処理室に移送しながらプレス成形する場合には、成形素材50に与える熱履歴が極めて安定し、エネルギー効率の点でも優れているが、このような場合には、従来は、成形素材50が軟化する前に成形型内に供給し、成形型を組上げてから移送していたため、組上げた成形型内での成形素材50の位置ずれが生じる可能性を排除しきれなかった。
本実施形態では、成形素材50の粘度が高いとき、すなわち、転がり移動、滑り移動が容易に行えるときに、成形素材50が下型20の成形面24の中心位置に自重で移動することを許容し、その後加熱によって粘度が下がれば、成形素材50の移動が抑制される。したがって、プレス成形が行われる際には、成形素材50が下型20の成形面24の中心位置に配置されていることとなるため、プレス成形時の偏肉を防止することができる。
このように、本実施形態にあっては、成形型の搬送などによる振動を受けて、成形素材50が下型20の成形面24の中心位置からずれた状態にあっても、成形素材50は、自重で、下型20の成形面24の中心位置に移動することができるため、上記したような成形型移送式の成形装置において、特に好適に実施することができる。
次に、具体的な実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
[実施例]
図1に示す成形型の内部に、ホウ酸塩光学ガラスからなる成形素材を配置し、上型成形面と成形素材とを非接触としたまま、図2の成形装置によって、プレス温度を620℃、プレス荷重を80kgfとして、下記のプリフォームA、プリフォームBについて、それぞれ100個のレンズを成形した。得られたレンズは、外径8mm、外縁の平坦部厚さが1mmの、両凸レンズ(但し、第一面の中心に凹部を有する)であり、上型成形面は、レンズ第一面を形成する面、下型成形面はレンズ第二面を形成する面とした。
プリフォームA:溶融状態から受け型に滴下し、実質的に浮上状態で球形に予備成形したもの(長短径差が20μm以下)。
プリフォームB:溶融状態から受け型に滴下し、実質的に浮上状態で予備成形したガラス塊を、研磨機によって球形に研磨加工し、真球度を上げたもの(長短径差が5μm以下)。
歩留の評価基準:外周が360度にわたって所定の外径となっているものを良品、それ以外を不良品として、歩留まり率を求めた。表1に結果を示す。
[比較例]
図1に示す成形型から、ばねを取り外した以外は実施例と同様にして、プリフォームAについて、100個のレンズを得た。得られたレンズについて、実施例と同様に歩留まり率を求め、その結果を表1に併せて示した。
Figure 0005021196
以上のように、本実施例は、外周歩留の精度に有利であった。さらに、真球度を上げるための研磨加工を施した成形素材を用いると、歩留まり率の顕著な向上が認められた。
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記した実施形態において、成形型は、成形装置に一体に固定された成形型ではなく、移送によって必要な処理を施す処理室内に配置されることができる形態の成形型であるが、成形型単体で移送されるものであっても、成形型の搬送アームなどと連結した状態で移送可能なものであってもよく、プレス動作以外の動きが可能なものであれば構わない。
また、本発明でいう「移送」とは、上記した実施形態のように、複数の処理室に成形型を順次移送する場合のみならず、例えば、加熱、プレス、冷却を同位置で行う成形装置に対して、成形素材50を収容した成形型を搬入し、又は配置する場合をも含むものとする。これらの場合においても、本発明の効果が得られることは言うまでもない。
また、本発明によって成形される光学素子に特に制約はない。但し、形状としては、例えば、二面のうちの一方が凹面である、又は凹部が形成された凸面、平面である場合(上型側)、他方が曲率の緩い(曲率半径の大きい)凸面である(下型側)ときに、顕著な効果を有する。特に、凹メニスカスレンズの成形に有利である。また、本発明は、成形後に芯取り加工を行わず、成形体の形状が実質的にそのまま光学素子の最終形状となるものに、効果が顕著である。
また、本発明の光学素子の用途にも特に制約はない。但し、小型撮像機器や光ピックアップ用の対物レンズ、コリメータレンズ、通信用レンズなどに有用である。これらは、レンズ外周面、又はレンズの光学機能面の外側にプレス成形によって形成した平坦な転写面を基準面として、取り付け精度を達成するレンズが多く、本発明では、外周面近傍の被転写面に、形状不良が生じることを抑止できるため特に有利である。外周面によって鏡筒などとの位置決めが正確に行えれば、他部品とのレンズの光軸ずれ(シフト)が抑止でき、また、光学機能面外側の平坦面が十分に確保できれば、他部品との間の光軸傾き(ティルト)が抑止できる。
本発明は、ガラスレンズなどの光学素子を成形するためのモールドプレス成形型や光学素子の製造方法に適用される。
本発明に係るモールドプレス成形型の実施形態を示す概略断面図である。 本発明に係る光学素子の製造方法を実施するのに好適なモールドプレス成形装置の一例を示す概略平面図である。 本発明に係る光学素子の製造方法の実施形態における工程(1)〜(3)を示す説明図である。 本発明に係る光学素子の製造方法の一実施形態における工程(4),(5)を示す説明図である。 従来例を示す説明図である。
符号の説明
10 上型
14 成形面
20 下型
24 成形面
30 胴型
40 上型保持手段
50 成形素材
51 成形体

Claims (13)

  1. 互いに対向する成形面を有する上型と下型と、前記上型及び前記下型の中心軸に直交する方向の相互位置を規制する胴型とを備え、プレス成形に必要な処理が施される加熱室、プレス室、及び冷却室を含む複数の処理室に順次移送されて、加熱により軟化した球形状の成形素材をプレス成形するモールドプレス成形型であって、
    前記下型の成形面が、少なくとも中心位置に凹面を有しているとともに、
    前記下型の成形面上に供給された前記成形素材に、前記上型の成形面が接触しないように前記上型を保持し、かつ、プレス荷重が印加されたときには、前記上型の成形面の前記成形素材への接触を許容する、弾性部材を用いて形成された上型保持手段を備え、
    前記上型及び前記下型のそれぞれに、前記成形面が先端に形成された小径部を設けておくとともに、当該小径部が前記胴型の内周小径部に挿入されるようにして、前記内周小径部の内周面により前記成形素材をプレス成形して得られる成形体の外周形状を規定することを特徴とするモールドプレス成形型。
  2. 前記上型保持手段の弾性力に抗して、前記上型が、前記胴型に対して摺動可能とされたことを特徴とする請求項2に記載のモールドプレス成形型。
  3. 前記胴型の内周面に段部を設けるとともに、前記上型の側面に段部を設けておき、
    前記上型保持手段の上端側が前記上型の側面に設けられた前記段部を支持しつつ、前記上型保持手段の下端側が前記胴型の内周面に設けられた前記段部に支承されていることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載のモールドプレス成形型。
  4. 前記上型成形面が凸面を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のモールドプレス成形型。
  5. 前記胴型に前記上型及び前記下型を収容したときに、前記下型が前記胴型の下面及び内周面に当接するとともに、前記上型の外周面が前記胴型の内周面に摺接することにより、前記上型及び前記下型の中心軸に直交する方向の相互位置が規制されるようにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のモールドプレス成形型。
  6. 互いに対向する成形面を有する上型と下型と、前記上型及び前記下型の中心軸に直交する方向の相互位置を規制する胴型とを備えた成形型を用いて、加熱により軟化した成形素材をプレス成形する光学素子の製造方法であって、
    球形状とした前記成形素材を、凹面を有する前記下型の成形面上に供給し、
    前記上型の成形面が前記成形素材と接触しないように、前記上型を、弾性部材を用いて形成されている上型保持手段によって前記成形素材上に保持させて、前記下型の成形面の中心位置への前記成形素材の移動を許容した状態で、前記成形型をプレス成形に必要な処理を施す加熱室、プレス室、及び冷却室を含む複数の処理室に順次移送して、
    前記成形素材が加熱により軟化した状態でプレス荷重を印加することによって、前記上型と前記下型とを接近させてプレス成形を行うに際して、
    前記上型及び前記下型のそれぞれに、前記成形面が先端に形成された小径部を設けておくとともに、当該小径部が前記胴型の内周小径部に挿入されるようにして、前記内周小径部の内周面により前記成形素材をプレス成形して得られる成形体の外周形状を規定することを特徴とする光学素子の製造方法。
  7. 前記成形型にプレス荷重を印加するに際し、前記上型と前記下型とを、前記上型保持手段の弾性力に抗して接近させることを特徴とする請求項に記載の光学素子の製造方法。
  8. 前記胴型の内周面に段部を設けるとともに、前記上型の側面に段部を設けておき、
    前記上型の側面に設けられた前記段部を前記上型保持手段の上端側で支持しつつ、前記胴型の内周面に設けられた前記段部に前記上型保持手段の下端側を支承することを特徴とする請求項6〜7のいずれか1項に記載のモールドプレス成形型。
  9. 前記上型の上端面が前記胴型の上面より上方に位置した状態でプレスヘッドを押し下げて、前記プレスヘッドの下面を前記上型の上端面に当接させ、さらに押し下げられた前記プレスヘッドの下面を前記胴型の上面に当接させてプレス成形することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
  10. 前記胴型に前記上型及び前記下型を組み込んだときに、前記下型が前記胴型の下面及び内周面に当接するとともに、前記上型の外周面が前記胴型の内周面に摺接することにより、前記上型及び前記下型の中心軸に直交する方向の相互位置を規制することを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載のモールドプレス成形型。
  11. 前記上型の成形面が凸面を有することを特徴とする請求項〜10のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
  12. 前記成形素材が、溶融状態から受け型に滴下し、実質的に浮上状態で予備成形したガラス塊を、長短径差が5μm以下となるように球形に研磨加工したプリフォームである請求項〜11のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
  13. 凹メニスカスレンズを製造する請求項〜12のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法
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