JP4549820B2 - モールドプレス成形型及びその製造方法、並びに光学素子の製造方法 - Google Patents

モールドプレス成形型及びその製造方法、並びに光学素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ガラスレンズなどの光学素子、特に、光ピックアップや小型撮像機器などに用いることができる、偏心精度、肉厚精度、面精度などが極めて高い高精度な光学素子を成形するためのモールドプレス成形型及びその製造方法、並びに光学素子の製造方法に関する。
ガラスなどの成形素材を、加熱により軟化し、所定形状に精密加工した上下一対の成形型でプレス成形することにより、レンズなどの光学素子を製造する方法が知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。
特許文献1には、加圧前には上型の上面に接触し、加圧時には案内型の上面に接触する押し板を備え、押し板を介して上型を上方から加圧することにより、上下型の軸ずれを抑えて、偏心精度や肉厚精度の良いピックアップレンズなどを成形する方法が記載されている。
特許文献2には、コマ収差が極めて小さいマイクロレンズなどを成形する成形型が記載されている。ここでは、上型及び下型の接近方向を第1の胴型によって規制しながら、第1の胴型の外周に配置された第2の胴型に上型と下型が当接するまで加圧し、成形体と成形型の冷却を、第2の胴型の上下方向の熱収縮量がガラス成形体の熱収縮量以上になる条件下で行うことにより、ガラス成形体をさらに加圧している。
特許文献3には、胴型内径と一対の金型の外径の案内部を二段にし、前記胴型の端部に近い、径の大きな第一の部分の金型とのクリアランスを、キャビティに近い、径の小さな第二の部分に比べて小さくし、さらに、前記胴型の径の大きな第一の部分に比べて、胴型の第一の部分とはめあう金型の長さを短くしたレンズ用金型が開示されている。これによって、一対の金型の中心軸の一致精度を上げたままで、スムーズに組み込みができるようにしている。
特許文献4には、静止型と摺動型の間に、胴型の内周面で位置決めされる筒状の枠型を設けた成形型が記載されている。
特公平2−28460号 特開2002−29763号 実公平4−14429号 特開2002−234742号
光ピックアップや、携帯端末用の小型撮像機器などに用いられる光学素子は、光学的要求性能が極めて高く、その多くは両非球面形状を有する。特に、記録密度の高い大容量光記録用ピックアップにおいては、光源波長を短波長側(450nm以下など)にすることが求められ、また、対物レンズとしては、開口数の大きな(NA0.7以上など)非球面レンズを用いることが求められている。
このようなレンズは、従来のものに比べて、曲率半径が小さく、光軸に直交する面に対するレンズ面の傾き角が40度以上、場合によっては50度以上となる。このため、偏心感度が極めて高くなり、レンズの第1面の軸と、第2面の軸との一致性(同軸性)を厳しく管理しなければならず、製造公差に余裕がない。例えば、第1面の軸と第2面の軸との水平方向への軸ずれは10μm以内、特に、高開口数のものでは0〜5μm程度の範囲としなければならず、このような狭い公差範囲で高度の同軸性を確保しなければならない。
さらに、携帯端末用の小型撮像機器などに用いられる光学素子は、小型化の傾向が顕著であり、直径5mm以下、場合によっては2mm以下の小径レンズにおいて、上記の精度を達成しなければならない。
これらの小径精密レンズを安定に生産するためには、モールドプレス成形型において、胴型内での上下型の水平方向のずれ(以下、「シフト」という)を抑えるために、胴型と上下型のクリアランスを小さくすることが必要であり、さらに、そのようなタイトなクリアランスでも生じ得る上下型の相対的な倒れ(以下、「ティルト」という)を抑制することも必要となってくる。
例えば、特許文献1に記載された成形型では、押し板の当接によって胴型に対する上型と、下型の倒れをある程度は防止することができる。
しかしながら、さらに精度の高い光学素子とするためには、上型と胴型のクリアランスをさらに小さくするとともに、上型と胴型の摺動長を十分にとらなければ、ティルトが抑止できない。このため上型の摺動部を、レンズに必要とされる偏心精度にあわせて長くする必要があるが、数mm以内の細径に形成されている上型や下型を長くすると折れやすくなってしまい、プレス時の摺動の繰り返しによって破損してしまう。
また、型素材には、耐熱性に優れたセラミックスや超硬などの高硬度材(難削材)が一般に用いられるため、胴型の内周面が、例えば、径φ3mm以下の細長い長穴を穿設することによって形成される場合、要求される寸法精度(穴径)や形状精度(穴の真円度、円筒度、直角度など)を満足するように、数ミクロン以下の加工誤差で製作することは容易ではない。
特許文献2に開示された成形型においても、上型の破損や胴型の加工性については同様の問題がある。
特許文献3に記載された金型は、キャビティに近い部分の金型の外径を、他の部分より小さくして二段にし、金型と胴型のはめあいの案内を、クリアランスを適切に設定することにより、キャビティから遠い、外径の大きな部分で行うように構成している。これにより、一対の金型の中心軸の一致精度を上げた状態のままで、スムーズに金型を胴型に組み込むことができるようになっている。
実際、このような構造を用いると、胴型の径の小さな部分では、一対の金型との接触がない状態でプレス成形が行えるため、一対の金型の破損が少なくなると思われる。
ところで、特許文献3に示されるような胴型を製作するには、通常、胴型の内周面を形成する除去加工が行われ、この加工は、加工具を用いた切削加工又は研削加工によって行われる。この際、胴型をチャック保持した状態で回転させながら一端から加工具を接触させることにより、内周面を加工することができる。
しかしながら、この胴型は小径部分と大径部分が一体に形成されていることから、大径部分から小径部分に向かう加工に続けて、小径部分から大径部分に移る加工は、一方向からの加工で行うことができない。この場合には、小径部分を加工した後に胴型のチャック保持を解除し、胴型の向きを反転させて再度チャックしてから、胴型の他端から大径部分の加工を行うというように、胴型をチャックし直す必要がある。すなわち、胴型の一端からの加工を行った後に胴型の保持姿勢を変え、再び他端から加工するのである。
このとき、チャック保持の精度を高く維持したとしても、胴型をチャックし直したときに内周面の一端側と他端側との同軸性が損なわれることは避けられず、これが数μm程度のずれであったとしても、この胴型を用いたプレス成形では、一対の成形面の中心軸のずれが、光学素子の偏心精度に悪影響を及ぼしてしまう。
このように、特許文献3に記載された金型には、高度の同軸性を確保する上で避けられない問題がある。
特許文献4の成形型では、光ピックアップや光通信に用いられる光学素子を生産性高く製造できると記載されている。
しかしながら、この成形型では、枠型と摺動型が接触すると成形面が破損するため、枠型と摺動型の間に隙間が設けられているが、隙間にはみ出したガラスが枠型を噛みこみ、レンズと枠型の分離が困難になるという問題がある。また、上型にレンズが貼りつく現象(特に、上型の成形面が凸面の場合に、成形体と型材の熱膨張率の差により生じやすい)を防止することも困難である。
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、摺動型、静止型及び胴型の形状により、型破損を抑止しつつ、偏心精度、肉厚精度、面精度などが極めて高い高精度な光学素子を成形することができるモールドプレス成形型及びその製造方法、並びに光学素子の製造方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するため本発明のモールドプレス成形型は、対向する成形面が形成された摺動型及び静止型と、前記摺動型及び前記静止型をそれぞれ両端側から挿入可能とする胴型とを備えたモールドプレス成形型であって、前記摺動型は、前記胴型に収容されて摺動ガイドされる大径部と、先端に成形面が形成された小径部とを備え、前記静止型は、前記胴型に収容される大径部と、先端に成形面が形成された小径部とを備え、前記胴型は、内周面が一定径となるように、又は内周面が一端から他端に向かって縮径するように除去加工された内周大径部を形成する外胴型と、前記外胴型内に収容され、内周小径部を形成する内胴型とを備え、前記外胴型の内周大径部は、前記摺動型の大径部を収容して摺動ガイドするとともに、前記静止型の大径部を収容可能に形成され、前記内胴型の内周小径部は、前記摺動型の小径部、及び前記静止型の小径部を、それぞれ収容可能に形成されているとともに、前記摺動型の小径部を収容可能に形成された部分と、前記静止型の小径部を収容可能に形成された部分の直径を異ならせることによって、これらの部分の境界に段部が形成され、かつ、これらの部分のうち直径が大きい側の内周面が、当該モールドプレス成形型によって成形される成形体の側面を成形する面である構成としてある。
このように構成すれば、摺動型、静止型及び胴型の形状により、型破損を抑止しつつ、偏心精度、肉厚精度、面精度などが極めて高い高精度な光学素子を成形することができる。特に、成形面が小さい成形型であっても、偏心精度に影響する摺動ガイド部分の径を大きくし、成形型の耐久性及び成形体の成形精度を向上させることができる。
しかも、胴型は、外胴型と内胴型とを備え、外胴型の内周面の加工は、外胴型を形成する型素材の保持を維持したまま連続的に加工できるので、胴型の加工誤差に起因する偏心精度の低下を回避し、偏心精度をさらに高めることができる。
さらに、前記特許文献4に記載の発明に潜在するレンズと枠型との分離困難という問題も生じない。
さらに、成形される成形体の側面を成形する面を内胴型の内周面に設けているので、プレス成形後に芯取り加工などの後加工を行うことなく、プレス成形のみで得ようとする光学素子の最終形状とできることから、芯取り加工の困難な小径レンズに極めて適し、生産性を飛躍的に向上させることができることに加え、内胴部の内周小径部に段部を形成することで、プレス成形を行った後、成形体の外縁部を、内周小径部の段部に当接させることにより、成形面に付着した成形体を強制的に離型させることができる。
また、本発明のモールドプレス成形型は、前記摺動型における大径部の軸方向の長さをL1とし、前記摺胴型における小径部の軸方向の長さをL2とするとき、L1>L2が成り立つ構成としてある。
このように構成すれば、胴型に摺動型を挿入したとき、まず、摺動型の大径部が胴型に摺動ガイドされてから、摺動型の小径部が胴型に接触するので、摺動型の小径部が胴型内に不意に接触して傷つくことが抑制できる。
また、本発明のモールドプレス成形型は、前記外胴型にピン挿通孔を設け、前記ピン挿通孔に通したピンにより前記内胴型を係止した構成としたり、前記外胴型の内径を段付きに加工し、当該段で前記内胴型を係止した構成としたりすることができる。
また、本発明における光学素子の製造方法は、成形素材を軟化した状態でプレス成形する光学素子の製造方法において、上記いずれかのモールドプレス成形型を用いる方法としてある。
このような方法にすれば、型破損を抑止しつつ、偏心精度の高い光学素子を成形することができる。
また、本発明における光学素子の製造方法は、成形素材が軟化した状態でプレス成形を行った後、成形体の外縁部を、前記内胴型の内周小径部に設けられた段部に当接させることにより、成形面に付着した成形体を強制的に離型させる方法としてある。
このような方法にすれば、成形面に対する成形体の貼り付きを防止し、生産性や面精度を向上させることができる。また、プレス成形された成形体を光学素子の最終形状とし、成形体の後加工を省く方法とすれば、芯取り加工などの後加工を不要にし、生産性を高めることができる。このような方法とすることは、特に、後加工のハンドリング性が悪い小径レンズにおいて有利である。
また、本発明におけるモールドプレス成形型、対向する成形面が形成された摺動型及び静止型と、前記摺動型及び前記静止型をそれぞれ両端側から挿入可能とする胴型とを備えたモールドプレス成形型の製造方法であって、前記胴型に収容されて摺動ガイドされる大径部と、先端に成形面が形成された小径部とを備えた前記摺動型を加工する工程と、前記胴型に収容される大径部と、先端に成形面が形成された小径部とを備えた前記静止型を加工する工程と、前記摺動型の大径部を収容して摺動ガイドするとともに、前記静止型の大径部を収容可能に形成された内周大径部を有する外胴型と、前記外胴型内に収容され、前記摺動型の小径部、及び前記静止型の小径部を、それぞれ収容可能に形成された内周小径部を有する内胴型とを備えた胴型を加工する工程とを有し、かつ、前記胴型を加工する工程において、前記外胴型を形成する型素材の保持を維持した状態で前記型素材の内周面を連続的に除去加工して、前記外胴型の内周大径部を形成する工程を含む方法により製造することができる
このような方法によりモールドプレス成形型を製造すれば、外胴型が形成する内周大径部の一端側と他端側との同軸性を、胴型に内周大径部と内周小径部とを一体形成する場合の内周大径部の一端側と他端側との同軸性に比べ、よりいっそう高めることができる。したがって、胴型の加工誤差に起因する偏心精度の低下を回避し、偏心精度をさらに高めた高精度な光学素子の成形が可能となる。
以上のように、本発明によれば、摺動型、静止型及び外胴型と内胴型とを備えた胴型の構造により、モールドプレス形成時の型破損を抑止しつつ、偏心精度、肉厚精度、面精度などが極めて高い高精度な光学素子を成形することができる。特に、成形面が小さい成形型であっても、偏心精度に影響する摺動ガイド部分の径を大きくし、成形型の耐久性及び成形体の成形精度を向上させることができる。
しかも、胴型は、外胴型と内胴型とを備え、外胴型の内周面が外胴型を形成する型素材の保持を解除せずに連続的に、すなわち、型素材の保持を維持したままの状態で一方向に除去加工されるので、胴型の加工誤差に起因する偏心精度の低下を回避し、偏心精度をさらに高めることができる。
その上、外径が異なる光学素子を成形する場合には、内胴型、摺動型、静止型のみを変更し、外胴型はそのまま使用することができる。これは、型素材が高価であることや、極めて高い加工精度が要求されることを考慮すると、量産上のメリットはきわめて絶大である。
このような本発明は、例えば、開口数(NA)0.7以上の光ピックアップにおける対物レンズや、携帯端末用の小型撮像機器における撮像レンズなどに代表される精密光学素子の主要な要求精度の全てに対し、十分に応えることができるものである。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
[モールドプレス成形型]
本実施形態における具体的な実施例を図1〜図3に示す。図1は、本発明の第一実施例に係るモールドプレス成形型の断面図、図2は、本発明の第二実施例に係るモールドプレス成形型の断面図、図3は、本発明の第三実施例に係るモールドプレス成形型の断面図である。
これらの図に示すように、本実施形態のモールドプレス成形型(以下、単に成形型という)は、上型10と、下型20と、胴型30とを備えて構成されている。
上型10及び下型20は、上型10と下型20の間で成形素材(プリフォーム)40をプレス成形するために、あるいは、成形素材40の供給や成型品の取り出しに際して成形型を開放するために、上下動可能となっている。
なお、本実施形態の成形型では、プレス成形時において、上型10が摺動し、下型20が静止しているので、上型10が摺動型、下型20が静止型である。
上型10は、大径部11と、大径部11の下端から下方に突出する小径部12とを備えている。上型10の成形面13は、小径部12の先端に形成されており、成形面中心(非球面の場合、非球面中心)と、大径部11及び小径部12の外周面の軸心は一致している。ここで、大径部11の径はD1、小径部12の径はD2である。
胴型30は、上型10の大径部11を収容して、プレス成形時に摺動ガイドする内周大径部31を形成する外胴型33と、その内周に配置され、上型10の小径部12を収容する内周小径部32を形成する内胴型34とから構成されており、胴型30の内周面(内周大径部31及び内周小径部32)の軸心は、すべて上型10の成形面13の成形面中心に一致するように加工される。また、後述するように、外胴型33により形成される内周大径部31は、下型の大径部を収容可能となるようにも形成されており、内胴型34により形成される内周小径部32は、下型の小径部を収容可能となるようにも形成されている。
なお、内周大径部31の内径はD1、内周小径部32の内径はD2である(特記しないかぎり、径の値は摺動クリアランス分を含めずに表記する)。
ここで、上型10の大径部11の軸方向の長さをL1、小径部12の軸方向の長さをL2とするとき、L1>L2が成り立つことが好ましい。このようにすると、胴型30の上端開口から上型10を挿入したとき、まず、上型10の大径部11が胴型30に接触し、胴型30の内周大径部31に摺動ガイドされた後に、径の小さい上型10の小径部12が胴型30の内周小径部32に接触することができる。この条件が確保されることにより、上型10の小径部12が胴型30内に不意に接触して傷つくことが抑制できる。これは、上型10の小径部12の径が小さい場合(例えば、得ようとするレンズが5mm以下の場合など)に、特に有効である。
なお、L1/(L1+L2)≧0.6、さらには、L1/(L1+L2)≧0.7であることがより好ましい。
また、小径部12及びその先端の破損をより確実に防ぐためには、D2/D1≧0.25であることが好ましい。
胴型30を構成する外胴型33は、次のような加工方法によって作製される。すなわち、例えば、SiC、Siなどのセラミックや、WC、TiCなどからなる円柱状の素材中央部をくり抜き加工した型素材、あるいは、鋳造、焼結、鍛造、押出成形などにより、予め円筒状に形成した型素材を用いて、その型素材をチャック保持した状態で回転させながら、刃物、砥石、研磨体などの加工具を型素材の内周面の一端側に接触させつつ、他端側に移動させて連続的に除去加工を行い、内周径(D1)が予定寸法となるように高精度に加工される。ここで、除去加工とは、型素材の内周面を所望の精度に形成するための機械加工であって、切削、研削、研磨などの加工手段を含むものである。また、胴型30を構成する外胴型33の下面は、外胴型33の軸心と垂直で、かつ、平滑に平面加工されている。
これにより、外胴型33が形成する内周大径部31の一端側と、内胴型34を介して他端側に位置する内周大径部31の他端側との同軸性を、胴型30に内周大径部31及び内周小径部32を一体形成する場合(胴型の保持姿勢を変え、両端からの加工が必要)の内周大径部31の一端側と他端側との同軸性に比べ、よりいっそう高めることができる。
したがって、上型10と下型20とのシフトやティルトは、実質的に上型10の大径部11及び下型20の大径部22と、外胴型33の内周大径部31との間のクリアランスのみによって発生し、このクリアランスを制御することで、シフトやティルトの発生を抑制することができるようになる。
ここで、外胴型33に内周大径部31を形成するには、上下型10、20との摺動部を含めて長い距離にわたって除去加工をしなければならないが、除去加工をする部分の内径をレンズ径より相当に大きくできるため、加工精度を高くすることができる。また、レンズ径と同等の小さな内径で除去加工をする必要のある内胴型34にあっても、その加工距離は短くてすむため、高精度の加工が可能である。
内胴型34を外胴型33の内周に配置するにあたり、内胴型34は外胴型33の外側から挿入される複数(例えば3〜6)のピン35で固定することができる。通常、これらのピン35は、ほぼ同一の高さで、周方向に所定の間隔をあけて設けられ、外胴型33の外周には、ピン35を抜け止めする抜け止めリング36が装着されている(図1参照)。
このとき、内胴型34と外胴型33の間のクリアランスは、1〜5μmとし、外胴型33内における内胴型34の水平方向のずれを防止するのが好ましい。
外胴型33に対する内胴型34の位置固定構造としては、図2や図3に示すものを用いてもよい。図2に示す成形型では、頭部付きのピン37を外胴型33の内側から挿入し、ピン37の頭部で内胴型34を位置固定している。また、図3に示す成形型では、外胴型33の内周面に段部33aを形成し、この段部33aで内胴型34を位置固定している。この場合、外胴型33の内周面は、一定径ではなくなるが、内周面が一端から他端に向かって縮径、すなわち、径が小さくなっているので、除去加工により内周面を形成する場合には、チャック保持を維持したまま連続的に加工し得る形状である。つまり、一端から他端に向かって内周面が縮径し、再び拡径して径が大きくなる部分がないため、このような連続的な加工が可能となる。
下型20は、フランジ部21と、大径部22と、小径部23とを備え、小径部23の先端には成形面24が形成されており、成形面中心(非球面の場合、非球面中心)と大径部21の軸心とが一致するように加工されている。
下型20の大径部22の径はD1であり、外胴型33が形成する内周大径部31に収容される。このとき、内周大径部31に対し、外胴型33の下側から、狭いクリアランスC4(10μm以下、好ましくは5μm以下)で嵌合することが好ましい。
また、フランジ部21の上面は、成形面24の中心軸と垂直で、かつ、平滑に平面加工されており、外胴型33の下面(外胴型33の軸心と垂直で、かつ、平滑に平面加工されている)と密着する。
したがって、外胴型33の下端部開口から下型20を挿入した状態で、両者の上記平滑面を密着させることによって、外胴型33と下型20の相互位置が精度高く規定される。そして、プレス成形時は、下型20がこの状態で静止しているため、胴型30と下型20の間のティルトは実質的にゼロとなる。
上型10を外胴型33の上端開口部から挿入すると、上型10の大径部11が外胴型33の内周大径部31によって摺動ガイドされる。上型10の大径部11と外胴型33の内周大径部31との間には、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下のクリアランスC1を確保し、このクリアランスC1を摺動可能な範囲で極力小さくすことにより、上型10と外胴型33の間のシフトや、外胴型33内における上型10の倒れ(ティルト)を制限することができる。
また、上型10における大径部11のプレス軸方向の長さL1は、上型10の倒れ(ティルト)を抑制するために、許容される範囲で可及的に大きい方が好ましい。具体的には、得ようとするレンズに許容される上型10のティルトの上限をθとするとき、以下の関係が成り立つことが好ましい。このとき、上型10のティルトの上限θの好ましい値は3minである。
L1≧C1/sinθ (θ≦3min)
図示する例において、内胴型34の内周(内周小径部32)は、上部が直径D2、下部が直径D3(D2<D3)であり、この異なる径によって、その境界には段部34aが形成されている。上型10の小径部12は、内胴型34の内周上部(径D2の部分)に収容され、相互のクリアランスC2は、50μm以下の範囲とすることができる。前述したように、クリアランスC1を狭くすることによって上型10と外胴型33のシフトを厳しく制御しているため、クリアランスC2は必ずしも10μm以下とする必要はなく、上型10の小径部12を破損から守るためには、10μm以上であることが好ましい。
内胴型34の内周下部(径D3の部分)は、上下型10、20間で成形される成形体の側面を画定する部分であり、この部分の径D3は、内胴型34の内周上部の径D2よりわずかに大きく、その差は20〜100μmが好ましい。このようにすると、プレス成形後に、段部34aを利用して、上型10の成形面13に貼りついた成形体を強制的に離型させることができる。なお、詳細な作用は後述する。
内胴型34の内周下部の径D3は得ようとする光学素子の寸法に基づいて決定することができる。すなわち、本実施形態の成形型によれば、内胴型34の内周下部(径D3の部分)で光学素子の側面を成形するので、プレス成形後に芯取り加工などの後加工を行うことなく、プレス成形のみで得ようとする光学素子の最終形状とできる。これにより、芯取り加工の困難な小径レンズに極めて適し、生産性を飛躍的に向上させることができる。
外胴型33に上型10を挿入し、外胴型33の上面と上型10の上面を同一平面としたとき、上型10の大径部11の下面と、内胴型34の上面の間には、隙間Gが生じるように寸法を定めることが好ましい。隙間Gの高さは、成形後の成形体(光学素子)の冷却工程における高さ方向(上型10の摺動方向)の収縮量を超える長さとする。
上型10の上面においては、上型10を外胴型33内に収容したとき、少なくとも外胴型33の上面と隣接する外縁部分が、平滑に平面加工されている。また、外胴型33の上面も同様に平滑に平面加工されている。したがって、上型10を上部開口から外胴型33に挿入し、所定量押し込んだ状態で、上型10の上面(外縁部)と外胴型33の上面が同一平面を形成する。
プレス成形に際し、上型10の上面には、プレス荷重印加手段50のヘッドを直接当接させてもよいし、平滑な下面をもった部材を、プレス荷重を伝達する介在部材として配置してもよい。ただし、いずれの場合も、上型10の上面には、精度の高い水平面を当接させることが必要であり、これによって、上型10のティルトを抑止することができる。
なお、外胴型33には、上記隙間Gの高さ付近及び上下成形面13、24の高さ付近には、外胴型33を肉厚を貫通する通気孔33bが形成されている。
下型20の小径部23の径はD3とし、内胴型34の内周小径部32(径D3の部分)に収容される。
このとき、下型20の小径部23と、内胴型34の内周小径部32とのクリアランスC3は、50μm以下が好ましいが、この部分では、摺動ガイドによる胴型30と下型20の倒れの規制は行なわない。このため、下型20の成形面24の破損を避ける上で、クリアランスC3は、10μm以上が好ましい。
また、下型20の大径部22の高さL4は、胴型30との垂直精度を出すために必要な高さであり、下型20における小径部23の軸方向の長さL3との関係では、下型20の成形面24の破損防止のために、L3<L4とするのが好ましい。
[光学素子の製造方法]
つぎに、図1の成形型を用いた光学素子の製造方法について、図4を参照して説明する。
図4は、本発明の実施形態に係る光学素子の製造方法を示す説明図である。
まず、下型20を外胴型33から取り出した状態で、下型20の成形面24上に成形素材(ガラスプリフォームなど)40を供給する(図4(a))。これは不図示の吸着パッド付き自動供給装置で行うことができる。成形素材40は、室温で供給してもよく、また、所定温度に加熱してから供給してもよい。
下型20を外胴型33の下側から挿入し(図4(b))、下型20のフランジ部21の上面を外胴型33の下面に当接させる。この状態で成形型全体は、水平な載置台上に載置されている。下型20を外胴型33の下側から挿入すると、成形素材40の厚みにより、上型10の上面が外胴型33の上面より上方に突き出た状態となる(図4(c))。
成形素材40を収容した成形型を加熱手段により加熱し、プレス成形に適した温度域とする。これは、例えば、ガラス素材が粘度にして10〜10dPa・s相当の温度である。この状態で、成形型を水平な載置台に載置したまま、プレス荷重印加手段50の下方に配置する。すなわち、上型10上からプレス荷重印加手段50を当接させ、エアシリンダなどの加圧により荷重を印加する。成形素材40が十分軟化しているため、上型10が押し下げられ、プレス荷重印加手段50の下面が外胴型33の上面に当接したところで、上型10の下降は停止される。
ここで、いったんプレス成形温度における成形素材の肉厚が再現性よく決定される。このとき、上型10の上面と外胴型33の上面が同一平面を形成するため、上型10の外胴型33に対する倒れ(ティルト)が抑止される(図4(d))。また、上型10の摺動ガイド長L1を十分に大きくすれば、偏心精度を確保することができる。
さらに、荷重印加によって、外胴型33が下型20のフランジ部21に圧着され、下型20と外胴型33の相互位置関係が正確に維持される。結果的には、荷重印加による型同士の圧着により、下型20と外胴型33の相互位置や、外胴型33と上型10の相互位置が決定し、成形面13、24間のティルトが抑制される。なお、この場合には、下型20が水平な載置台に対しても圧着されていることが前提である。
その後、成形体40を収容した状態で成形型を冷却する(図4(e))。冷却の過程では、成形型内の成形体40も冷却され、体積が収縮するが、成形体40と上下型10、20の成形面13、24との密着が解かれると面精度が悪化するため、成形体40と上下の成形面13、24との密着を維持した状態で冷却する。すなわち、成形体40の収縮に応じて、上型10が追従して下降する。これにより、冷却途中のガラス転移点以上の温度下における成形体40の収縮による面精度劣化を防止できる。
この下降を可能にするために、外胴型33と上型10の上面を同一平面としたとき、上型10の大径部11と、内胴型34の上面の間には、隙間Gが生じる寸法設定となっている。隙間G付近には、通気孔33bが設けられ(図1参照)、上型10の下降とともに体積が小さくなる隙間Gの雰囲気ガスを流出できるようになっている。
所定温度、例えば転移点付近、又はそれ以下の温度まで降温したのち、下型20を胴型30から取り除き(図4(f))、下型20の成形面24上から成形体(ガラスレンズなど)40を取り出す(図4(g))。
なお、成形体40が上型10に貼りついた状態のまま下型20を胴型30から抜き出すと、成形体40の取り出しが行えない。特に、上型10の成形面13が凸面を有する場合、又は上型10の曲率が緩い場合に、上型10に対する貼りつきが生じやすい。このため、下型20を抜き出す前に、上型10を上方に移動させ、内胴型34の段部34aと上型10の成形面13とがすれ違うようにする。このようにすると、上型10の成形面13に貼りついた成形体40の周縁部が段部34a(図1参照)に当接し、成形体40が強制的に離型される。
すなわち、成形体40の外径はD3であり、内胴型34の段部34aは、内胴型34の内径をD3からD2に減少させるので、成形体40の周縁部が段部34aに接触し、落下を促される。したがって、D3は成形体40の外縁部が段部34aと確実に接触して力を受けることができ、かつ、成形体(光学素子)40の光学有効径内に段部34aが接触しない範囲を考慮して、D2とD3の差が決定される。これは、前述のとおり、20〜100μmが好ましい。
なお、上型10の成形面13から成形体40を強制離型させるために、上型10を上方移動させる手段としては、上型10を機械的に保持して上昇させるもののほか、上型10の上面を吸引するものでもよく、また、前記通気孔33bから気流を導入することによって、成形型内部を増圧させるものであってもよい。
次に、具体的な実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
[第一実施例]
図1に示す本実施例に係る成形型では、外胴型33の内周を一定径とし、外周の下部には、外方へ突出する段部33cを設けている。また、外胴型33には、通気孔33bとピン挿入孔33d(例えば4箇所)を貫通孔として設けている。内胴型34は内径を段付きとし、上部の内径(径D2)は、下部の内径(径D3)より小さくなるようにして、その境に段部34aが形成されるようになっている。ここで、内胴型34の内周下部は、成形されるレンズの外径を形成する部分である。内胴型34の外周には、溝34bを設けており、外胴型33のピン挿入孔33dに通したピン35が挿入される。これにより、外胴型33と下型20を分離したときに、内胴型34が落下しないように支持される。リング36は、ピン35が抜け落ちないように外胴型33を包囲するものである。
上型10及び下型20の外径D1と外胴型33の内径とのクリアランスにより、上下型10、20のシフト(水平方向の軸ずれ)やティルト(倒れ)が決まる。また、上下型10、20の各成形面13、24は、外径D1を基準として加工されている。
例えば、摺動部各部分の寸法は
上型(大径部)外径:φ9mm(公差:−1〜0μm)
下型(大径部)外径:φ9mm(公差:−1〜0μm)
外胴型(内周大径部)内径:φ9mm(公差:0〜+1μm)
で仕上げ、外胴型33内における上下型10、20の最大シフトを2μmとすることができる。
上型10における摺動部L1の距離は23mmで、最大クリアランスを2μmとすると、外胴型33内における上型10の最大ティルトは0.3minとなる。下型20は、外胴型33の下端面がフランジ部21の上面に密着したときの垂直度によりティルトが決まる。外胴型33の下端面と内径の垂直度を1μm以内とすることができる。このとき、例えば外胴型33の下端面の外径は16mmとする。このときの下型20のフランジ部21に対する胴型30の最大ティルトは0.2minとなる。したがって、上型10の成形面13と下型20の成形面24とのシフトは最大2μm、最大ティルトは0.5minとなる。
上記のシフト及びティルトは、極めて仕様の厳しい青色レーザー用光ピックアップの対物レンズに用いられるNA0.85のマイクロレンズに対しても必要な偏心の要求精度を満足するものである。
内胴型34は、
外径:φ9mm(公差:−1〜0μm)
上部内径:φ3.06mm(公差:0〜+3μm)
下部内径:φ3.1mm(公差:−2〜+2μm)
とすることができる。ここで下部内径(D3)は、プレスされたレンズの外径を成形する部分である。また、上部内径(D2)と下部内径(D3)の境界に形成される段部34aは、プレス成形後、上型10の上昇に伴って成形体40の外縁部に当接し、上型10の成形面13に貼りついた成形体40を強制的に離型させるためのものである。
内胴型34の下部内径と、内胴型34の外径との同軸度は、4μm以内とすることができる。内胴型34の外径と、外胴型33の内径との最大クリアランスは2μmとなり、上下型10、20により成形されたレンズ面に対する外径の偏心は最大でも6μmとなる。
ここで、図5は、比較例に係るモールドプレス成形型の断面図である。
この図に示される成形型は、外胴型33と内胴型34とが一体に加工されたものに相当する胴型30を備える。胴型30の内周は、外径を基準として位置決めした上で、除去加工されたものであるが、一度のチャック保持で連続的に加工することが不可能であるため、胴型素材の一端からの加工を行った後に保持を解除して胴型素材の保持姿勢を変え、再び他端から加工されている。このとき、胴型30の内周加工精度には、4μmの同軸度公差が必要となる。したがって、図1に示した本実施例における型構造の最大シフトは2μmであるのに対して、図5に示す比較例の型構造では最大シフトは6μmとなる。
以上のような構成の成形型を用い、青色レーザー用光ピックアップに使用する対物レンズをプレス成形によって作製した。プレス成形したレンズの波面収差を測定し、本実施例に係る図1の型構造によるものと、比較例に係る図5の型構造によるものとを、シフト及びティルトによる感度が大きいCOMA収差値で比較した。COMA収差は36項のzernike多項式に展開し、収差解析を行って求めた。プレス成形したレンズの収差測定により得られたCOMA収差の値をヒストグラムとして第6図に示す。この図に示すように、図1に示す型構造(第一実施例)の方が、図5に示す型構造(比較例)よりも明らかにCOMA収差値に改善が見られた。
[第二実施例]
図1に示す第一実施例に係る成形型では、内胴型34をピン35で保持するとともに、ピン35が抜け落ちないように、外胴型33の外周側にリング36を配置し、さらには、リング36を係止するために、外胴型33の外周部に段部33cを設けていた。しかしながら、このような型構造では、外径が大きくなるため、多数個の成形型を用いてプレスする成形装置に用いると、プレス成形装置が大型化する問題点がある。
図2に示す本実施例に係る成形型では、上記の問題を解決するために、頭部付きのピン37を、外胴型33に形成したピン挿入孔33dに内側から挿入し、ピン37の頭部で内胴型34を係止するようにしてある。これにより、図1の成形型(第一実施例)で最も外径が太い部分がφ21mmであるのに対し、本実施例ではφ17mmとなった。
[第三実施例]
図3に示す本実施例に係る成形型では、外胴型33の内径を段付きに加工し、段部33aで内胴型34を係止するようにしてある。このようにすると、外胴型33の内径が一定径ではなくなるが、その加工は1回のチャック保持で連続的に行うことができた。これにより、第5図の成形型(比較例)のように、胴型30の内径をチャック保持の解除を伴って加工したときよりも、優れた同軸度(同軸度1μm)で加工できた。
本実施例の成形型は、第一実施例や第二実施例の成形型より同軸度1μmの分だけシフトが大きくなる反面、成形型を組み立てる際、内胴型34を保持するピン35、37の挿入が不要なため、作業時間が短縮され、生産効率が上がった。実際の1型当たりの組み立てに要する平均所要時間は、第一実施例の場合60秒、第二実施例の場合65秒であるのに対し、本実施例の型構造では40秒であった。
本発明は、ガラスレンズなどの光学素子を成形するためのモールドプレス成形型や光学素子の製造方法に適用される。特に、偏心精度などが極めて高く、光ピックアップや小型撮像機器に用いることができる高精度な光学素子を成形するためのモールドプレス成形型において有用である。
本発明の第一実施例に係るモールドプレス成形型の断面図である。 本発明の第二実施例に係るモールドプレス成形型の断面図である。 本発明の第三実施例に係るモールドプレス成形型の断面図である。 本発明の実施形態に係る光学素子の製造方法を示す説明図である。 比較例に係るモールドプレス成形型の断面図である。 COMA収差の比較説明図である。
符号の説明
10 上型
11 大径部
12 小径部
13 成形面
20 下型
21 フランジ部
22 大径部
23 小径部
24 成形面
30 胴型
31 内周大径部
32 内周小径部
33 外胴型
33a 段部
33b 通気孔
33c 段部
33d ピン挿入孔
34 内胴型
34a 段部
34b 溝
35 ピン
36 リング
37 ピン
40 成形素材
50 プレス荷重印加手段

Claims (6)

  1. 対向する成形面が形成された摺動型及び静止型と、前記摺動型及び前記静止型をそれぞれ両端側から挿入可能とする胴型とを備えたモールドプレス成形型であって、
    前記摺動型は、前記胴型に収容されて摺動ガイドされる大径部と、先端に成形面が形成された小径部とを備え、
    前記静止型は、前記胴型に収容される大径部と、先端に成形面が形成された小径部とを備え、
    前記胴型は、内周面が一定径となるように、又は内周面が一端から他端に向かって縮径するように除去加工された内周大径部を形成する外胴型と、前記外胴型内に収容され、内周小径部を形成する内胴型とを備え、
    前記外胴型の内周大径部は、前記摺動型の大径部を収容して摺動ガイドするとともに、前記静止型の大径部を収容可能に形成され、
    前記内胴型の内周小径部は、前記摺動型の小径部、及び前記静止型の小径部を、それぞれ収容可能に形成されているとともに、前記摺動型の小径部を収容可能に形成された部分と、前記静止型の小径部を収容可能に形成された部分の直径を異ならせることによって、これらの部分の境界に段部が形成され、かつ、これらの部分のうち直径が大きい側の内周面が、当該モールドプレス成形型によって成形される成形体の側面を成形する面であることを特徴とするモールドプレス成形型。
  2. 前記摺動型における大径部の軸方向の長さをL1とし、前記摺動型における小径部の軸方向の長さをL2とするとき、L1>L2が成り立つことを特徴とする請求項1記載のモールドプレス成形型。
  3. 前記外胴型にピン挿通孔を設け、前記ピン挿通孔に通したピンにより前記内胴型を係止したことを特徴とする請求項1又は2記載のモールドプレス成形型。
  4. 前記外胴型の内径を段付きに加工し、当該段で前記内胴型を係止したことを特徴とする請求項1又は2記載のモールドプレス成形型。
  5. 成形素材を軟化した状態でプレス成形する光学素子の製造方法において、
    請求項1〜のいずれかに記載のモールドプレス成形型を用いることを特徴とする光学素子の製造方法。
  6. 成形素材が軟化した状態でプレス成形を行った後、成形体の外縁部を、前記内胴型の内周小径部に設けられた段部に当接させることにより、成形面に付着した成形体を強制的に離型させることを特徴とする請求項5に記載の光学素子の製造方法。
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