JP2006327844A - 光学素子の製造方法及びその製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】光軸に対し傾斜や偏心のない高精度な光学素子を得る。
【解決手段】第1成形品10を上型20の下端面に密着させて、これら第1成形品10及び上型20を上型ガイド30に位置決めする第1の工程と、この上型ガイド30、及び光学素子素材を載置した下型をスリーブ型に摺動自在に対向配置して、上型ガイド30と第1成形品10、及び下型を光軸に略一致させる第2の工程と、上型ガイド30を下型に対し接近移動させて光学素子素材を押圧成形する第3の工程とを備えている。
【選択図】図4

Description

本発明は、レンズ等の光学素子の製造方法とその製造装置に関する。
撮影レンズ系等の光学系には色収差等の収差を除去する目的で、複数の光学レンズを貼り合わせた接合レンズが用いられることがある。しかし、接合技術の精度向上、リードタイム(lead time)の短縮化等を図る観点から、より有効な製造技術の確立が望まれている。これに対し、例えば、特許文献1には、工程の簡略化が可能な光学部品の製造方法が開示されている。この従来技術によれば、まず第1の成形工程で第1の光学素子を成形し、次に第2の成形工程において、この第1の光学素子を型として用いて第2の光学素子を成形し、更に、これら第1の光学素子と第2の光学素子とを接着剤などによる接合工程を要することなく、位置精度良く接合レンズを得るというものである。
特開2004−20905号公報(第4−6頁、図3−8)
しかし、特許文献1に記載された技術では、第1の成形工程で第1の光学素子を成形する際、光学素子素材の冷却時の収縮に伴い、第1の光学素子が下型から離れてしまい、第1の光学素子の光軸に対する光学面のチルト(傾き)やシフト(偏心)が発生するおそれがある。このため、第1の光学素子の位置を精度良くコントロールすることが困難となり、ひいては、第1の光学素子に接合すべき第2の光学素子を位置精度良く成形することができないという課題があった。
本発明は、斯かる課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、光軸に対して傾斜や偏心のない高精度な光学素子を得ることのできる光学素子の製造方法及びその製造装置を提供することにある。
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、光学素子素材を押圧成形して得られる光学素子の製造方法において、
位置決め用の基準面を有する第1の型をガイド部材に位置決め保持する第1の工程と、
前記ガイド部材と、該ガイド部材に対向配置され前記光学素子素材を前記第1の型の光軸に略一致するように載置した第2の型と、の少なくとも一方をスリーブ型に摺動自在に嵌合して、前記ガイド部材と第2の型を前記光軸に略一致させる第2の工程と、
前記ガイド部材と第2の型を相対的に接近移動して前記光学素子素材を押圧成形する第3の工程と、を備えている、ことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の光学素子の製造方法において、
前記第3の工程にて、前記光学素子素材と前記第1の型とを一体成形して接合する、ことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の光学素子の製造方法において、
前記第1の工程は、前記第1の型の基準面を第3の型の平面部に当接する工程と、該当接した前記第1の型と第3の型を前記ガイド部材に嵌合する工程と、を有することを特徴とする。
請求項4に係る発明は、加熱軟化した光学素子素材を押圧成形して得られる光学素子の製造装置において、
位置決め用の基準面を有する第1の型と、
該第1の型を前記基準面を介して位置決め保持するガイド部材と、
該ガイド部材に対向配置され、前記光学素子素材を前記第1の型の光軸に略一致するように載置した第2の型と、
前記ガイド部材と前記第2の型の少なくとも一方を摺動自在に嵌合して、前記ガイド部材と第2の型を前記光軸に略一致させるスリーブ型と、を備えている、ことを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の光学素子の製造装置において、
前記第1の型の前記基準面に当接する平面部と、前記ガイド部材に嵌合する嵌合部と、を有する第3の型を備えている、ことを特徴とする。
本発明によれば、位置決め用の基準面を有する第1の型をガイド部材に位置決め保持し、このガイド部材とこれに対向配置された第2の型の少なくとも一方をスリーブ型に摺動自在に嵌合して、ガイド部材と第1の型、及び光学素子素材を載置した第2の型を光軸に略一致させるようにしたので、光軸に対して傾斜や偏心のない高精度な光学素子を得ることができる。
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の型としての第1成形品10の外観図である。この第1成形品10は、例えばガラスから成り、フランジ部11を備えた外観が皿(又はメニスカス)状の形状を有している。また、フランジ部11は、その上部の平坦面(基準面)11aと下部の平坦面(基準面)11bの夫々の平面度、及び光軸に対する垂直度は、高精度に仕上げられている。同様に、フランジ部11の外周面(基準面)11cも、光軸に対する外径振れが高精度に仕上げられている。そして、本実施の形態では、後述するように、この第1成形品10に第2成形品58を一体的に接合するものである(図11参照)。
図2は、第3の型としての上型20の外観を示す図である。この上型20は、例えば超硬合金製の段付き円柱状をなし、最上部の第1の円柱部21と中間の第2の円柱部22、及び最下部の第3の円柱部23が軸方向に一体的に構成されている。これらの各円柱部の直径の大きさは、例えば中間の第2の円柱部22が最も大きく、最下部の第3の円柱部23が最も小さく、また、最上部の第1の円柱部21はその中間の大きさに形成されている。そして、第1の円柱部21の上端の平面部(A面)と、第2の円柱部22の上端の平面部(B面)、及び第3の円柱部23の下端の平面部(C面)の平面度は高精度に仕上げられ、かつ、A面に対するB面及びC面の平行度も高精度に仕上げられている。なお、第1〜第3の円柱部21〜23の側面及びB面は、後述する上型ガイド30との嵌合部を形成している。
図3及び図4は、上型20及びその下端面(C面)に当接した第1成形品10に、フランジ部37を有する2つ割りの上型ガイド(ガイド部材)30−1,30−2を嵌合した状態を示している。なお、第1成形品10は、そのフランジ部11の上部の平坦面11aが、上型20の下面(C面)に当接されて密着されている。上型ガイド30−1,30−2は、密着させた状態から光軸と略直交方向に離間移動させて2つ割りが可能である。この上型ガイド30の内側には、前述した上型20の第1〜第3の円柱部21〜23を収容可能な凹状の第1〜第3の収容部31〜33が形成されている。また、上型ガイド30の内側下部には、光軸と略同心状の径の異なる2つの穴34,35が形成されている。更に、上型ガイド30の外側には、前記穴34の内周面との同軸度が高精度に規制された円筒状の外周面38−1,38−2が形成されている。
ここで、上型20及び第1成形品10に上型ガイド30を組み付けるには、図5に示すように、上型20の下端面(C面)に、第1成形品10のフランジ部11の上部の平坦面11aを密着させた状態で、2つ割りの上型ガイド30−1,30−2を側方から接近させて嵌合する。このとき、上型20の下端面(C面)と第1成形品10のフランジ部11の前記平坦面11aを密着させることで、第1成形品10の上型20に対するチルト(傾き)の発生が防止される。なぜなら、フランジ部11の前記平坦面11aは、平面度及び光軸に対する垂直度が高精度に仕上げられているからである。また、フランジ部11の下部の平坦面11bは、上型ガイド30の内側下部に形成された穴34と穴35の境界の段差面36に当接されて載置されている。なお、この上型20と上型ガイド30との組み付け状態では、上型ガイド30は、上型20のB面に当接されて支持されている。
以上において、図5に示すように、常温では、第1成形品10のフランジ部11の外周面11cと上型ガイド30の下部の穴34の内周面との間には、所定の間隙λが形成されている。第1成形品10及び上型ガイド30等がガラス転移点以上に加熱される成形時に、この間隙λがゼロになるように、穴34及びフランジ部11の外周面11cの直径が設定されている。すなわち、成形温度に達した時点では、第1成形品10のフランジ部11の外周面11cが穴34の内周面に当接し、これにより、第1成形品10の中心は光軸中心と略一致するように自動調心される。このように、成形温度では、上記間隙λがゼロとなるので、上型ガイド30に対する第1成形品10のシフト(偏心)が防止される。
図6は、第1成形品10と上型20に、2つ割りの上型ガイド30−1,30−2を嵌合して組み付けた状態の外観を示している。この場合、上述したように、上型ガイド30の外周面38と内側下部の内周面34との同軸度等が高精度に仕上げられているので、第1成形品10は、上型20に対しチルト(傾き)や上型ガイド30に対しシフト(偏心)が発生しない状態で上型20に密着されて上型ガイド30に支持されることになる。
図7は、スリーブ型40の外観図であり、このスリーブ型40は、上型ガイド30の外周面38を光軸方向に摺動自在に収容する内周面43を有している。このスリーブ型40の光軸方向の中途部には、多数の空気孔41が形成されている。この空気孔41は、スリーブ型40に上型ガイド30を収容して摺動させたときに、その摺動をスムーズにするために設けられている。このスリーブ型40は、その内周面43の円筒度が高精度に規制されていると共に、スリーブ型40の下端面42に対する内周面43の直角度が高精度に仕上げられている。
図8は、第2の型としての下型50の外観を示す図であり、この下型50は、外観が段付き円柱状をなし、例えば異なる径の4個の円柱部51〜54が軸方向に一体的に構成されている。この下型50には、最下部の円柱部51とこれに続く円柱部52との境界に、平坦な当接面55が形成されている。この円柱部52の外周面は、当接面55に対して高精度に直角度が規制されている。また、最上部の円柱部54の上面は凹球面56に形成されている。そして、図9に示すように、スリーブ型40は、その内周面43が下型50の円柱部52にガイドされた状態で、その下端面42が前記当接面55に密着するように当接される。このとき、凹球面56に載置される球状の光学素子素材57は、自動調心作用により下型50中心に略一致して載置される。
図10は、球状の光学素子素材57を加熱軟化させて押圧成形する状態を示している。本実施の形態では、スリーブ型40に対し下型50を固定状に配置すると共に、上型ガイド30を摺動自在に嵌合している。すなわち、成形時には下型50の最上部の凹球面56に光学素子素材57を配置し、第1成形品10及び上型20を収容した上型ガイド30を、スリーブ型40の内周面43に挿入する。次いで、加熱作業温度に達したところで、上型ガイド30を下型50に接近する方向に摺動させて所望の圧力にて押圧する。すると、図11に示すように、第1成形品10に第2成形品58が一体的に成形された接合体59が得られる。なお、この光学素子素材57としてはガラスを用いている。
(第2の実施の形態)
図12乃至図14は、第2の実施の形態を示す図である。ここでは、第1の実施の形態で用いた上型20、第1成形品10、及び上型ガイド30(図6参照)に相当する部材を下型60とし、第1の実施の形態で用いた下型50に相当する部材を上型80として用いたものである。
すなわち、図14において、下型60は、径の異なる2個の円柱部61,62が軸方向に一体的に構成された段付き円柱状に形成されていて、この下型60の円柱部61と円柱部62との境界には、平坦な当接面63が形成されている。この円柱部62の外周面は、当接面63に対して高精度に直角度が規制されていると共に、スリーブ型70の内周面71の円筒度も高精度に規制されている。また、下型60の上部には収容凹部64が形成されている。そして、この収容凹部64に、凹球面10aを有する第1成形品10'が載置されている。この凹球面10a内に、球状の光学素子素材57'が挿入配置される。このとき、第1成形品10'の凹球面10aの作用で、球状の光学素子素材57'は第1成形品10'の光軸と略一致する位置に自動調心される。
また、図13に示すように、第1成形品10'は、凹球面10aと反対側の面に平坦面11b'を有すると共に、外周側に平坦面11b'に対して直角に起立する外周面11c'が形成されている。一方、下型60の収容凹部64は、段差面65と側壁66を有していて、第1成形品10'の平坦面11b'は、段差面65に支持されている。これにより、第1成形品10'の下型60に対するチルト(傾き)が防止される。そして、常温では、第1成形品10'の外周面11c'と下型60の側壁66との間には、所定の間隙λ'が形成されている。第1成形品10'及び下型60等がガラス転移点以上に加熱される成形時に、この間隙λ’がゼロになるように、側壁66及び第1成形品10'の外周面11c'の直径が設定されている。すなわち、成形温度に達した時点では、第1成形品10'の外周面11c'が側壁66に当接し、これにより、第1成形品10'の中心は、下型60中心と同心となるように調心される。このように、成形温度にて所定の間隙λ'がゼロになることで、下型60中心に対する第1成形品10'のシフト(偏心)が防止される。
一方、図12に示すように、上型80の光学素子素材57'との対向面側には、凸球面81が形成されている。このため、加熱作業温度に達したところで、上型80を、スリーブ型70の内周面71にガイドした状態で光学素子素材57'に接近する方向に押圧移動させると、該光学素子素材57'が成形されると共に、こうして成形された第2成形品58'が第1成形品10'に一体的に接合される。
以上により、本実施の形態においても、光軸に対しチルト(傾き)やシフト(偏心)が高精度に規制された状態で第2成形品58'が成形され、これが第1成形品10'に一体的に接合される。なお、第1成形品は、所望の精度が得られていれば、一般的な研磨、心取りされたレンズを用いても良い。また、成形面は球面に限定されるものではない。
第1成形品の外観を示す図である。 上型の外観図である。 上型と第1成形品、及びこれを収容する上型ガイドの分解斜視図である。 上型と第1成形品、及びこれを収容した上型ガイドの断面正面図である。 同上のA部拡大図である。 上型と第1成形品、及びこれを収容した上型ガイドの外観図である。 スリーブ型の外観図である。 下型の外観図である。 スリーブ型に下型を挿入して一部切断した状態の外観図である。 スリーブ型に下型と上型を挿入して一部切断した状態の外観図である。 第1成形品に第2成形品を一体接合した状態の外観図である。 スリーブ型に下型と上型を挿入した第2の実施の形態の断面正面図である。 同上の部分拡大図である。 同上の下型とこれに載置される第1成形品の外観を示す図である。
符号の説明
10 第1成形品
10' 第1成形品
11 フランジ部
11a 平坦面
11b 平坦面
11c 外周面
20 上型
21 第1の円柱部
22 第2の円柱部
23 第3の円柱部
24 凸球面
30 上型ガイド
34 内周面
35 内周面
36 段差面
37 フランジ部
38 外周面
40 スリーブ型
41 空気孔
42 下端面
43 内周面
50 下型
51 円柱部
52 円柱部
55 当接面
56 凹球面
57 光学素子素材
57' 光学素子素材
58 第2成形品
58' 第2成形品
59 接合体
60 下型
63 当接面
64 収容凹部
70 スリーブ型
80 上型

Claims (5)

  1. 光学素子素材を押圧成形して得られる光学素子の製造方法において、
    位置決め用の基準面を有する第1の型をガイド部材に位置決め保持する第1の工程と、
    前記ガイド部材と、該ガイド部材に対向配置され前記光学素子素材を前記第1の型の光軸に略一致するように載置した第2の型と、の少なくとも一方をスリーブ型に摺動自在に嵌合して、前記ガイド部材と第2の型を前記光軸に略一致させる第2の工程と、
    前記ガイド部材と第2の型を相対的に接近移動して前記光学素子素材を押圧成形する第3の工程と、を備えている、
    ことを特徴とする光学素子の製造方法。
  2. 前記第3の工程にて、前記光学素子素材と前記第1の型とを一体成形して接合する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学素子の製造方法。
  3. 前記第1の工程は、前記第1の型の基準面を第3の型の平面部に当接する工程と、該当接した前記第1の型と第3の型を前記ガイド部材に嵌合する工程と、を有する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子の製造方法。
  4. 加熱軟化した光学素子素材を押圧成形して得られる光学素子の製造装置において、
    位置決め用の基準面を有する第1の型と、
    該第1の型を前記基準面を介して位置決め保持するガイド部材と、
    該ガイド部材に対向配置され、前記光学素子素材を前記第1の型の光軸に略一致するように載置した第2の型と、
    前記ガイド部材と前記第2の型の少なくとも一方を摺動自在に嵌合して、前記ガイド部材と第2の型を前記光軸に略一致させるスリーブ型と、を備えている、
    ことを特徴とする光学素子の製造装置。
  5. 前記第1の型の前記基準面に当接する平面部と、前記ガイド部材に嵌合する嵌合部と、を有する第3の型を備えている、
    ことを特徴とする請求項4に記載の光学素子の製造装置。

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