JP6456064B2 - レンズ固定装置、レンズ固定装置の調整方法、およびレンズ固定方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、このような熱カシメを行うレンズ固定装置である熱カシメ装置が記載されている。特許文献1に記載の熱カシメ装置は、装置上部に、レンズ枠を加熱および加圧する加圧部材(ホーン部)が昇降可能に配置され、装置下部に、レンズ枠を配置する固定治具(受け台)が配置されている。この熱カシメ装置によってレンズ枠を熱カシメするには、レンズ枠にレンズを嵌めた状態で固定治具にレンズ枠を配置し、加熱された加圧部材を下降し、加圧面からレンズ枠の端部におけるカシメ部に荷重をかける。これにより、レンズ枠のカシメ部が変形して、レンズとレンズ枠とが一体化されることで、レンズ枠にレンズが固定される。
レンズ枠に対するレンズを固定する場合、所望の光学性能を得るために、レンズの偏心を許容範囲以下にする必要がある。例えば、近年のカメラ製品を始めとするレンズ製品の小型化に伴い、上記偏心に対して要求される精度が年々高まっている。
一方、レンズ枠を熱カシメすることによりレンズを固定する場合、レンズ枠が加熱されるとともにレンズが加圧部材によって押圧されるため、加圧部材の中心軸線と、レンズ枠の中心軸線とが加圧方向に直交する方向にずれていると、レンズの偏心が発生しやすい。
このため、加圧部材の中心軸線と固定治具の固定位置の中心軸線とは、予め加圧方向と直交する方向に精密に位置合わせしておく必要がある。
また、熱カシメするレンズやレンズ枠の種類を変えたり、メンテナンスを行ったりする際に、加圧部材や固定治具を着脱、または交換する場合にも、同様な調整作業が発生し、段取りに膨大な工数が発生することになる。
したがって、レンズを固定する作業の他に発生する、このような初期調整や再調整などの段取りの工数を含めると、全体としては、作業時間が長くなってしまうという問題がある。
また、本発明は、熱カシメによる固定を行っても、偏心の発生を抑制することができるレンズ固定方法を提供することを目的とする。
本発明のレンズ固定方法によれば、本発明のレンズ固定装置およびレンズ固定装置の調整方法を用いるため、熱カシメによる固定を行っても、偏心の発生を抑制することができるという効果を奏する。
本発明の第1の実施形態のレンズ固定装置について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態のレンズ固定装置によってレンズが固定されたレンズユニットの一例を示す光軸を含む模式的な断面図である。図2(a)は、本発明の第1の実施形態のレンズ固定装置に用いるレンズ枠の模式的な平面図である。図2(b)は、図2(a)におけるA−A断面図である。図3は、本発明の第1の実施形態のレンズ固定装置の構成を示す模式的な縦断面図である。
なお、各図面は、模式図のため、寸法や形状は誇張または簡略化されている(以下の図面も同様)。
レンズユニット100は、第1レンズ5、第2レンズ9、およびレンズ枠6を備える。
第1レンズ5および第2レンズ9は、同軸に配置されて、レンズ枠6に固定されている。ただし、第1レンズ5はレンズ枠6が熱カシメされることにより固定されており、第2レンズ9は接着によって固定されている。
また、レンズユニット100を図1に示すような第1レンズ5と第2レンズ9とで構成するのは一例であり、これ以外にも、用途に応じた適宜のレンズ構成を採用することができる。例えば、第1レンズ5、第2レンズ9を適宜構成の接合レンズに変更したり、第1レンズ5と第2レンズ9との間に、1以上のレンズまたはレンズ群を追加したりすることも可能である。
また、少なくとも1つのレンズが熱カシメされていればよく、すべてのレンズが熱カシメされていてもよい。したがって、レンズユニット100において第2レンズ9を削除した構成も可能である。
第1レンズ面5a、第2レンズ面5bの面形状は、特に限定されず、例えば、球面、非球面、自由曲面、平面等の適宜の面形状を採用することができる。
第1レンズ5の材質は、熱カシメを行う際の加熱に耐える材質であれば、特に限定されず、例えば、ガラスや耐熱性を有する合成樹脂を採用することができる。
第1レンズ5の製造方法は、特に限定されず、材料に応じて、例えば、射出成形、モールド成形、切削、研磨などの適宜の製法を採用することができる。
本実施形態では、第1レンズ5の一例として、研磨加工されたガラスレンズを採用している。
また、第2レンズ9の形状は、後述するレンズ枠6に固定できれば、特に限定されない。
本実施形態では、一例として、第2レンズ9が、凹面からなる第1レンズ面9aと、凹面からなる第2レンズ面9bとを有し、第1レンズ面9aおよび第2レンズ面9bの間にレンズ側面9cを有する両凹レンズからなる場合の例で説明する。
レンズ側面9cは、第2レンズ9のレンズ光軸と同軸に形成されており、第2レンズ9の径方向の位置合わせのための基準面を構成している。
第1レンズ面9aの外周側には、レンズ側面9cまでの間に、第2レンズ9のレンズ光軸と直交する平面からなる軸方向基準面9dが形成されている。
第2レンズ9の材質は、接着可能な材質であれば、特に限定されず、例えば、ガラスや合成樹脂を採用することができる。
第2レンズ9の製造方法は、特に限定されず、材料に応じて、例えば、射出成形、モールド成形、切削、研磨などの適宜の製法を採用することができる。
レンズ枠16は、円筒状の外周面6fを有する略円筒状部材であり、第1端部E1の内側には第1レンズ5を配置する第1穴部6Aが、軸方向において第1端部E1と反対側の第2端部E2の内側には第2レンズ9を配置する第2穴部6Bが、それぞれ形成されている。
レンズ枠16の第1端部E1における外周面には、第2端部E2の方から第1端部E1に向かって縮径するテーパ面からなる先端部16aが形成されている。
ただし、この先端部16aの形状は一例であって、後述するホーン部2によってカシメ部6aが形成できる形状であれば、先端部16aの形状はこれには限定されない。
レンズ枠6の第2端部E2の端面は、中心軸線O1と直交する平面からなる基端面6eである。
基端面6eは、レンズ枠16による軸方向の基準面である。このため、第1レンズ受け部6b、第2レンズ受け部6dの軸方向の位置は、基端面6eを基準として、予め決められた所定値に形成されている。これにより、第1レンズ5および第2レンズ9をレンズユニット100の光学レイアウトに基づく位置に配置できるようになっている。
貫通孔6cは、第1レンズ5および第2レンズ9の外径よりも小径、かつ、第1レンズ5および第2レンズ9のレンズ有効径よりも大径の円孔からなる。
底面部6Cにおける第2端部E2側の表面である第2レンズ受け部6dは、第2レンズ9の軸方向基準面9dを当接することにより、第2レンズ9の軸方向の位置決めを行うことができる部位になっている。
接着剤硬化体10を形成する接着剤としては、第2レンズ9をレンズ枠6に接着できる接着剤であれば、特に限定されない。接着剤硬化体10を形成するのに好適な接着剤としては、例えば、UV(紫外線)硬化型接着剤、二液性接着剤、熱硬化性接着剤等の例を挙げることができる。
本実施形態では、レンズ枠16に熱カシメして、第1レンズ5を固定する際に、図3に示す本実施形態のレンズ固定装置1を用いる。
外周面3eの中心軸線O3は、一例として、鉛直軸に平行になっており、上端部の中心部には、レンズ枠16を着脱可能に配置する配置穴部3aが、中心軸線O3と同軸となる位置に形成されている。
配置穴部3aの穴底に形成された受け面3dは、レンズ枠16の基端面6eを当接させてレンズ枠16を軸方向に位置決めするとともに、熱カシメ時に上方から押圧されるレンズ枠16を軸方向に支持するものである。
受け面3dは、中心軸線O3に直交する平面からなる。
本実施形態では、ホーン部2は、一端部(図示上端側の端部)において径方向側に延ばされた取付け部2bを備え、受け台3の上方において、鉛直軸と平行な1軸方向に進退する移動部1Cによって可動支持された第1取付け部1Aの下面に取付け部2bを介して取り付けられている。
取付け部2bにおける第1取付け部1Aとの固定方法は、特に限定されないが、例えば、ボルト止めや機械的なクランプなどを採用することができる。
このように、第1取付け部1A、ホーン部2は、移動部1Cと一体に固定されているため、誤解のおそれがない場合には、いずれの移動方向も、移動方向Mで表す場合がある。
押圧面2cは、ホーン部2の外周面2dの中心軸線である中心軸線O2を対称軸として任意角度で回転対称となる形状に形成されている。なお、中心軸線O2は、移動部1Cの移動方向Mと平行になっている。
押圧面2cの形状の例としては、例えば、中心軸線O2を中心とする円錐面や、中心軸線O2を中心として円弧など曲線を回転させて形成したような傾斜が径方向において漸次変化する凹状の湾曲面などを挙げることができる。
位置調整機構4は、中心軸線O3に直交する2軸方向に移動可能に設けられたXYステージなどからなるステージ41と、ステージ41を駆動するための駆動部42とを備える。
X軸移動部4Xの上面には、受け台3の取付け部3bが固定されている。また、固定部4Bは、第1取付け部1Aと対向する位置に固定されたレンズ固定装置1の基台部である第2取付け部1Bと固定されている。
駆動部42は、固定部4Bに対して、Y軸移動部4YおよびX軸移動部4Xをそれぞれ独立に駆動できるように、2つのものが設けられている。
各駆動部42は、それぞれの駆動力を伝達する先端のスピンドルがそれぞれの駆動方向に直交するY軸移動部4YおよびX軸移動部4Xの側面に当接するように、固定具43を介して固定部4Bの側面と固定されている。
このような駆動量測定部の例としては、例えば、ミツトヨ製ダイヤルゲージ2900SB−10などを挙げることができる。このような駆動量測定部によれば、例えば、1μm程度の表示分解能を得ることができる。
そこで、まず、本実施形態のレンズ固定装置の調整方法について説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態のレンズ固定装置の調整方法の第1調整工程の工程説明図である。図5(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態のレンズ固定装置の調整方法の調整用熱カシメ工程の工程説明図である。図6は、本発明の第1の実施形態のレンズ固定装置の調整方法の調整位置決定工程の工程説明図である。図7は、本発明の第1の実施形態のレンズ固定装置の調整方法の第2調整工程の工程説明図である。
良好な熱カシメを行うには、中心軸線O2、O3を互いに整列させることが好ましいが、中心軸線O2、O3の位置を精密に実測して、相対位置関係を補正するのは非常に手間がかかる。
レンズ固定装置1では、位置調整機構4によって、受け台3を中心軸線O3に直交する2軸方向に移動可能に保持することで、中心軸線O2、O3の位置調整を容易に行えるようになっている。
ただし、レンズ固定装置1の部品誤差や組立誤差などによって、例えば、中心軸線O2、O3の間に平行度誤差や、移動部1Cの移動誤差などがあると、位置調整機構4による最適な移動位置を見つけることが難しいという問題がある。
本実施形態のレンズ固定装置の調整方法は、第1調整工程、調整用熱カシメ工程、調整位置決定工程、および第2調整工程をこの順に行う方法である。
ここで、「略一致させる」とは、カシメ部6aを全周にわたって形成することができ、第1レンズ5が第1レンズ受け部6bから浮いたりすることなく固定できる程度に一致させることを意味する。完全に一致させる必要はないが、結果として、完全に一致してもよい。
具体的には、例えば、中心軸線O2、O3の径方向の位置ズレ量は、10μm以下となる程度に一致させることが好ましい。
同軸調整治具7は、一端部に、ホーン部2の外周面2dに着脱可能に外嵌する円筒穴からなる第1嵌合部7aが形成され、他端部に、第1嵌合部7aと同軸となる位置において、受け台3の外周面3eに着脱可能に外嵌する円筒穴からなる第2嵌合部7bが形成された筒状部材である。
第1嵌合部7aおよび第2嵌合部7bの各穴径寸法は、中心軸線O2、O3を略一致させるのに必要な位置合わせ許容値に基づいて決定する。
例えば、第1嵌合部7aと外周面2dとの間の隙間部8aの最大値がΔa、第2嵌合部7bと外周面3eとの間の隙間部8bの最大値がΔbの場合、中心軸線O2、O3の径方向の位置ズレ量は、(Δa+Δb)/2以下に抑えることができる。
同軸調整治具7の長さは、第1嵌合部7a、第2嵌合部7bがそれぞれ、外周面2d、3eに外嵌した状態で、ホーン部2と受け台3との間の軸方向の距離が、熱カシメ時の軸方向の距離になるように設定しておく。これにより、移動方向Mが中心軸線O3に対して傾斜していたとしても、熱カシメ時における押圧面2cの径方向における位置ズレ量を、一定値以下に抑制することができる。
そして、同軸調整治具7の第2嵌合部7bを受け台3の方に向けて、同軸調整治具7を受け台3の上方に配置し、第2嵌合部7bを受け台3の先端部に嵌合させ、同軸調整治具7の下端部を取付け部3bに当接させる。
ホーン部2の先端部2aが第1嵌合部7aに嵌合可能な位置に調整できたら、さらに、同軸調整治具7の上端部が取付け部2bに当接するまで、ホーン部2を下降させる。
このとき、先端部2aや外周面2dが第1嵌合部7aとこすれそうな場合には、受け台3の水平方向の位置を微調整して、ホーン部2が円滑に挿入されるようにする。
このようにして、同軸調整治具7が、取付け部3b、2bの間に挟まれたら、ステージ41の移動位置を固定し、移動部1Cを駆動してホーン部2を同軸調整治具7の上方に移動する。
そして、同軸調整治具7を引き上げて、受け台3から取り外す。
以上で、第1調整工程が終了する。
具体的には、まず、図5(a)に示すように、第1調整工程実行後のレンズ固定装置1の受け台3の配置穴部3aに、調整用レンズ50を搭載した調整用レンズ枠160を配置する。
調整用レンズ50、調整用レンズ枠160は、固定対象の第1レンズ5、レンズ枠16とまったく同様の構成を有する部材である。
調整用レンズ枠160は、固定対象のレンズ枠16とまったく同様にして配置する。すなわち、先端部16aを上方に向けて、基端面6eの方から、調整用レンズ枠160を配置穴部3aの内部に挿入し、外周面6fが内周面3cに内嵌した状態で受け面3d上に載置する。
ホーン部2の押圧面2cが先端部16aと当接すると、先端部16aが加熱状態になり軟化するため、押圧面2cの下降に伴って先端部16aは押圧面2cに沿って変形する。これにより、図5(b)に示すように、第1レンズ面5aの外周部上で折り曲げられた状態で、第1レンズ面5aと密着する。このとき、第1レンズ5の外周部には、変形した先端部16aを介して押圧力が作用するため、第2レンズ面5bが第1レンズ受け部6bと貫通孔6cとで形成される角部に押しつけられる。
このようにして、カシメ部6aが形成されたら、ホーン部2の下降を停止するとともに、加熱および超音波印加を停止して、カシメ部6aを硬化させる。
以上で、調整用熱カシメ工程が終了する。
上記の調整用熱カシメ工程では、調整用レンズ50の外周部がカシメ部6aを介してホーン部2から押圧される。調整用レンズ枠160は、配置穴部3aによって受け台3の中心軸線O3と同軸に位置決めされているため、受け台3の中心軸線O3と、ホーン部2の中心軸線O2が径方向にずれていると、調整用レンズ50の外周部にホーン部2から作用する押圧力のバランスがくずれる。このため、押圧力の分布に応じて、調整用レンズ50が動く結果、調整用レンズ50が調整用レンズ枠160に対して偏心する。
透過偏心測定装置64は、調整用組立体101の外周面6fを基準として保持する固定台62と、測定用光源61と、偏心量を測定する受光センサ63とを備える。
透過偏心測定装置64によって、調整用レンズ50の偏心測定を行うには、調整用組立体101を固定台62に固定し、測定用光源61から調整用レンズ枠60の中心軸線O1に沿って測定光L0を入射する。
測定光L0のうち、調整用レンズ50を透過した透過光L1は、受光センサ63によって、偏心に応じて形成される像が撮像され、この画像を画像処理することにより、偏心量、偏心方向が算出される。
以上で調整位置決定工程が終了する。
図7に示すように、調整位置決定工程で決定した受け台3の移動量、移動方向を、それぞれ、Y軸移動部4Y、X軸移動部4Xの移動量に換算して、それぞれを移動する駆動部42を駆動して、受け台3の位置調整を行う。
図7には、X軸移動部4Xの移動量がΔxの場合に、駆動部42によって、X軸移動部4XをΔxだけ移動させる場合の例を示しているが、Y軸移動部4Yを移動する必要がある場合には、併せて、Y軸移動部4Yも移動する。
以上で、第2調整工程が終了する。
これにより、レンズ固定装置1におけるホーン部2の中心軸線O2と、受け台3の中心軸線O3とが、第1レンズ5を搭載したレンズ枠16を熱カシメする際に、第1レンズ5の偏心が許容範囲になるような位置関係に位置合わせされる。
以上で、本実施形態のレンズ固定装置1の調整方法が終了する。
本実施形態のレンズ固定方法は、上述のような本実施形態のレンズ固定装置1の調整方法を行うことにより、予め、移動方向Mに直交する方向において受け台3およびホーン部2の相対位置を調整したレンズ固定装置1を用いて、第1レンズ5を搭載したレンズ枠16の熱カシメを行って、第1レンズ5をレンズ枠6に固定する方法である。
本方法における熱カシメは、図5(a)、(b)に示すように、調整用レンズ50、調整用レンズ枠160に代えて、第1レンズ5、レンズ枠16を用いる点を除いて、上記の調整用熱カシメ工程と同様の工程である。
このようなレンズ固定方法によれば、第1レンズ5およびレンズ枠16と同じ構成を有する調整用レンズ50および調整用レンズ枠160を熱カシメした際に生じる調整用レンズ50の偏心に応じて、偏心を抑制できるように、ホーン部2および受け台3の相対位置が調整されている。このため、偏心の発生を抑制することができる。
したがって、本調整方法による調整は、新たな種類の第1レンズ5、レンズ枠16を使用する前や、レンズ固定装置1のメンテナンス後などのタイミングで、必要に応じて行えばよい。
次に、この組立体110に第2レンズ9を挿入し、適宜の手段によって、レンズ枠6に第2レンズ9を固定する。本実施形態では、レンズ側面9cとレンズ枠6の内周面6hとの間に接着剤を塗布して硬化させて、接着剤硬化体10を形成することにより、第2レンズ9を固定する。
このようにして、レンズユニット100が製造される。
また、本実施形態のレンズ固定装置の調整方法によれば、第1調整工程を行った後に、調整用熱カシメ工程を行い、さらに調整位置決定工程および第2調整工程を行うため、熱カシメにより発生する偏心を抑制することができる。
したがって、本実施形態のレンズ固定方法によれば、熱カシメによる固定を行っても、偏心の発生を抑制することができる。
本発明の第2の実施形態のレンズ固定装置について説明する。
図8は、本発明の第2の実施形態のレンズ固定装置の構成を示す模式的な縦断面図である。図9(a)、(b)は、図8におけるB視図およびC視図である。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
嵌合部22bは、第1取付け部1Aに、例えばボルトなどの締結部材25(図9(a)参照)によって着脱可能に固定できる板状に設けられ、側面として、押圧面2cの中心軸線O22と同軸の円筒面からなる外周面22eが形成された部位である。
このため、嵌合部22bには、締結部材25を挿通するため、図示略の貫通孔が設けられている。
外周面22eは、押圧面2cの径方向の位置決めを行うための位置決め面になっている。
ホーン部22において、先端部2aと嵌合部22bとの間の側面22dは、ホーン部2における外周面2dのような径方向の位置決め面としての機能を要しないため、適宜の形状を採用することができる。
嵌合部32bは、位置調整機構4のX軸移動部4Xの上面に、締結部材25(図9(b)参照)によって着脱可能に固定できる板状に設けられ、側面として、内周面3cの中心軸線O32と同軸の円筒面からなる外周面32eが形成された部位である。
このため、嵌合部32bには、締結部材25を挿通するため、図示略の貫通孔が設けられている。
外周面32eは、内周面3cの径方向の位置決めを行うための位置決め面になっている。
受け台32において、配置穴部3aと嵌合部32bとの間の側面32dは、受け台3における外周面3eのような径方向の位置決め面としての機能は有しておらず。適宜の形状を採用することができる。
本実施形態では、上部嵌合部材222は、図9(a)に示すように、平面視矩形状の平板の中心部に、ホーン部22における嵌合部22bを着脱可能に嵌合する円筒孔からなる嵌合孔222aが貫通されている。
上部嵌合部材222には、嵌合孔222aの外周側に、例えば、ボルトなどの締結部材24を挿通するための図示略の貫通孔が設けられている。
上部嵌合部材222は、締結部材24によって、第1取付け部1Aに固定されている。
図9(a)には、上部嵌合部材222が4つの締結部材24で固定されている様子を示すが、これは一例であって、締結部材24の配置位置や個数は適宜に設定することができる。
本実施形態では、下部嵌合部材322は、図9(b)に示すように、平面視矩形状の平板の中心部に、受け台32における嵌合部32bを着脱可能に嵌合する円筒孔からなる嵌合孔322aが貫通されている。
下部嵌合部材322には、嵌合孔322aの外周側に、締結部材24を挿通するための図示略の貫通孔が設けられている。
下部嵌合部材322は、締結部材24によって、X軸移動部4Xに固定されている。
図9(b)には、下部嵌合部材322が4つの締結部材24で固定されている様子を示すが、これは一例であって、締結部材24の配置位置や個数は適宜に設定することができる。
このとき、嵌合孔222aと外周面22eとに寸法差がある場合には、嵌合孔222aと外周面22eとの間に隙間部223が形成される。
嵌合孔222aの内径と外周面22eの外径とは、隙間部223の最大値は、δa1以下になるようにしておく。
このとき、嵌合孔322aと外周面32eとに寸法差がある場合には、嵌合孔322aと外周面32eとの間に隙間部323が形成される。
嵌合孔322aの内径と外周面32eの外径とは、隙間部323の最大値は、δb1以下になるようにしておく。
そこで、まず、本実施形態のレンズ固定装置の調整方法について、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図10は、本発明の第2の実施形態のレンズ固定装置の調整方法の第1調整工程の工程説明図である。
同軸調整治具72の長さは、第1嵌合部72a、第2嵌合部72bがそれぞれ、嵌合孔222a、322aに内嵌した状態で、第1取付け部1AとX軸移動部4Xとの間の距離が、熱カシメ時の距離になるように設定しておく。これにより、中心軸線O22が中心軸線O32に対して傾斜していたとしても、熱カシメ時における押圧面2cの径方向における位置ズレ量を、一定値以下に抑制することができる。
例えば、第1嵌合部72aと嵌合孔222aとの間の隙間部82aの最大値がδa2、第2嵌合部72bと嵌合孔322aとの間の隙間部82bの最大値がδb2であって、第1嵌合部72aおよび第2嵌合部72bの同軸度が0であるとする。この場合、中心軸線O222、O322の径方向の位置ズレ量は、(δa2+δb2)/2以下に抑えることができる。
そして、同軸調整治具72の第2嵌合部72bを下部嵌合部材322の嵌合孔322aに嵌合させて、同軸調整治具72をX軸移動部4X上に載置する。
次に、移動部1Cを駆動して第1取付け部1Aを下降させるとともに、上部嵌合部材222の嵌合孔222aが同軸調整治具72の第1嵌合部72aに嵌合できるように、位置調整機構4の駆動部42によってステージ41を動かして、同軸調整治具72の水平方向に位置を調整する。
第1嵌合部72aが上部嵌合部材222の嵌合孔222aに嵌合可能な位置に調整できたら、さらに、同軸調整治具72の上端部が第1取付け部1Aに当接するまで、第1取付け部1Aを下降させる(図10参照)。
このようにして、同軸調整治具72が、X軸移動部4Xと第1取付け部1Aとの間に挟まれたら、ステージ41の移動位置を固定し、移動部1Cを駆動して第1取付け部1Aを同軸調整治具72の上方に移動する。
そして、同軸調整治具72を引き上げて、下部嵌合部材322から取り外す。
また、嵌合孔222aに、ホーン部22の嵌合部22bを嵌合させて径方向に位置決めし、締結部材25によりホーン部22を第1取付け部1Aと固定する。
以上で、本実施形態の第1調整工程が終了する。
このため、第2調整工程が終了した後に、第1レンズ5やレンズ枠16の種類を変更する場合に、同様な形状の嵌合部22a、32aを有する他のホーン部や受け台と交換すれば、一定の同軸度が保たれた状態になるため、新たなホーン部と受け台との間の位置調整を省略することが可能である。このため、異なる種類のレンズユニットの製造に切り替える場合の段取り替えに要する時間を短縮することができる。
また、レンズ固定装置12を本実施形態のレンズ固定装置の調整方法で調整した後のレンズ固定方法も、レンズ固定装置1に代えてレンズ固定装置12を用いる点を除いて、上記第1の実施形態と同様である。
また、本実施形態のレンズ固定装置の調整方法によれば、上記第1の実施形態と同様にして、熱カシメにより発生する偏心を抑制することができる。
したがって、本実施形態のレンズ固定方法によれば、熱カシメによる固定を行っても、偏心の発生を抑制することができる。
特に、本実施形態では、ホーン部22および受け台32の相対位置を一定に保った状態で、交換することが容易であるため、ホーン部22あるいは受け台32を交換しても段取り替えに要する時間を低減することができ、レンズユニット100を効率的に製造することができる。
例えば、受け台が1軸方向に沿って移動し、ホーン部がこの1軸方向と直交する方向に移動可能に保持された構成も可能である。
また、ホーン部と受け台の両方が、1軸方向に沿って移動可能、かつ1軸方向に直交する方向に移動可能に保持された構成も可能である。
例えば、上部嵌合部材222(下部嵌合部材322)に、ホーン部22(受け台32)を着脱可能に嵌合させる嵌合穴を設け、ホーン部22(受け台32)を第1取付け部1A(X軸移動部4X)に予め固定された上部嵌合部材222(下部嵌合部材322)に対して着脱する構成が可能である。
また、上部嵌合部材222(下部嵌合部材322)は、第1取付け部1A(X軸移動部4X)に対して着脱可能に取り付けることは必須ではなく、第1取付け部1A(X軸移動部4X)と一体に形成された構成も可能である。
1A 第1取付け部
1B 第2取付け部
1C 移動部
2、22 ホーン部
2c 押圧面
2d 外周面
3、32 受け台
3a 配置穴部
3c 内周面
3d 受け面
3e 外周面
4 位置調整機構(位置調整部)
4X X軸移動部
4Y Y軸移動部
5 第1レンズ(レンズ)
6、16 レンズ枠
6a カシメ部
6b 第1レンズ受け部
6c 貫通孔
6e 基端面
6f 外周面
7、72 同軸調整治具
7a 第1嵌合部
7b 第2嵌合部
9 第2レンズ
16a 先端部
22b、32b 嵌合部
41 ステージ
42 駆動部
50 調整用レンズ
60、160 調整用レンズ枠
64 透過偏心測定装置
72a 第1嵌合部
72b 第2嵌合部
100 レンズユニット
101 調整用組立体
110 組立体
222 上部嵌合部材
222a、322a 嵌合孔
322 下部嵌合部材
M 移動方向(1軸方向)
O1、O2、O3、O22、O32、O72、O222、O322 中心軸線
Claims (3)
- レンズをレンズ枠に固定するために前記レンズ枠の熱カシメを行うレンズ固定装置であって、
前記レンズを搭載した前記レンズ枠を配置する受け台と、
該受け台と対向する位置に配置され、前記受け台に配置された前記レンズ枠を加熱した状態で前記レンズ枠の端部を押圧して変形させるホーン部と、
熱カシメを行うために、前記受け台および前記ホーン部の少なくとも一方を鉛直軸と平行な1軸方向に移動する移動部と、
前記受け台および前記ホーン部の少なくとも一方を前記1軸方向に直交する方向に沿って移動することにより、前記1軸方向に直交する方向において、前記受け台および前記ホーン部の相対位置を調整する位置調整部と、
前記ホーン部に嵌合される第1嵌合部と前記受け台に嵌合される第2嵌合部とを有する同軸調整治具と、
を備えるレンズ固定装置。 - 受け台に配置したレンズを搭載したレンズ枠に向かう鉛直軸と平行な1軸方向にホーン部を移動して、レンズ枠の端部を熱カシメすることにより、該レンズ枠に前記レンズを固定するレンズ固定装置の調整方法であって、
第1嵌合部と第2嵌合部とを有する同軸調整治具を用いて、前記ホーン部を前記第1嵌合部に嵌合させ、前記受け台を前記第2嵌合部に嵌合させることによって、前記ホーン部の中心軸線および前記受け台の中心軸線の位置を前記1軸方向と直交する方向において略一致させる第1調整工程と、
該第1調整工程実行後の前記レンズ固定装置の前記受け台に調整用レンズを搭載した調整用レンズ枠を配置し、前記ホーン部を前記1軸方向に沿って移動して、前記調整用レンズ枠の熱カシメを行うことにより前記調整用レンズを前記調整用レンズ枠に固定する調整用熱カシメ工程と、
前記調整用レンズ枠に固定された前記調整用レンズの偏心を検出し、該偏心を許容範囲に収めるための前記受け台および前記ホーン部の前記1軸方向に直交する方向における相対位置を決定する調整位置決定工程と、
該調整位置決定工程で決定した前記相対位置となるように、前記1軸方向に直交する方向において、前記受け台および前記ホーン部の相対位置の調整を行う第2調整工程と、を含む、レンズ固定装置の調整方法。 - 請求項2に記載のレンズ固定装置の調整方法を行うことにより、予め前記受け台および前記ホーン部の前記1軸方向に直交する方向における相対位置を調整した前記レンズ固定装置を用いて、レンズを搭載したレンズ枠の熱カシメを行うことによって前記レンズを前記レンズ枠に固定する、
レンズ固定方法。
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