JPH11157854A - 光学素子の成形方法及びその装置 - Google Patents

光学素子の成形方法及びその装置

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JPH11157854A
JPH11157854A JP9324717A JP32471797A JPH11157854A JP H11157854 A JPH11157854 A JP H11157854A JP 9324717 A JP9324717 A JP 9324717A JP 32471797 A JP32471797 A JP 32471797A JP H11157854 A JPH11157854 A JP H11157854A
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剛 野村
Nobuhiro Yamamichi
伸浩 山道
Masashi Mashige
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    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B11/00Pressing molten glass or performed glass reheated to equivalent low viscosity without blowing
    • C03B11/06Construction of plunger or mould
    • C03B11/08Construction of plunger or mould for making solid articles, e.g. lenses
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
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    • C03B2215/61Positioning the glass to be pressed with respect to the press dies or press axis

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光軸調整を確実、容易に行って、光軸に平行
偏心や倒れなどのない、優れた光学機能面を持ったレン
ズなどの光学素子を得ることができる光学素子の成形方
法及びその装置を提供する。 【解決手段】 成形素材をプレス成形して、型部材の成
形面を被成形光学素子の光学機能面に転写する光学素子
の成形方法及びその装置において、前記型部材の押圧動
作中に、前記光学機能面の光軸方向と交差する方向から
前記型部材の外周部を挟み込むように加圧して、前記光
学機能面の光軸を調整を行う調整手段を具備すること
で、前記型部材の押圧動作により前記光学素子を成形す
る時、また、成形された前記光学素子を冷却する際に、
その収縮に応じて、前記型部材を移動すると同時に、前
記光学機能面の光軸を再度、調整することを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として、加熱さ
れたガラス素材などの成形素材からプレス加工によって
光学素子を成形する成形方法及びその装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、ガラス素材をプレス加工して、レ
ンズなどの光学素子(精研削や研磨などの加工を残した
半製品を含む)を得る方法として、通常、上下一対の型
部材と前記型部材を摺動保持するための胴型とからなる
型セットが用いられているが、両側に光学機能面を有す
るレンズなどの光学素子を成形する場合、一方の光学機
能面の光軸と、他方の光学機能面の光軸とにずれや相対
的な傾きが生じないように成形する必要がある。そのた
め、各々の型部材を精度良く仕上げるのは勿論、胴型と
上型部材および下型部材との組込み精度も高くすること
が必要で、その対応策が種々、講じられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
レンズなどの光学素子のプレス成形における精度および
製造コストに対する要求は、ますます厳しくなってお
り、従来の方法では、対応できない場合が出てきてお
り、レンズの2面間の光軸のずれも、その一つに数えら
れている。
【0004】即ち、前述の従来の成形装置の構成では、
胴型に形成された穴の中に、上下の各々の型部材が摺動
可能に組み込まれており、レンズなどの光学素子の光軸
精度を上げるために、型部材と胴型との嵌合精度を厳し
くする必要があったが、各々の型加工精度およびプレス
時の高温状態での摺動性を考慮すると、その構成による
光軸精度の向上には限界があった。
【0005】例えば、特公平4−21610号公報に所
載のガラスレンズ成形装置では、下型部材とスライドコ
ア部とが当接されているために、この両者の安定した位
置関係は確保されているが、上型部材に関しては、それ
をスライドコア部の中で移動可能とするための嵌合隙間
が必要となり、上型部材と下型部材の光軸を厳密に合わ
せることが困難であった。
【0006】また、実開昭63−140035号公報
(実願昭62−30043号明細書)に所載の成形型装
置では、型とそれをガイドする部材の熱膨張率に差を設
け、また、ガイドには、転動体(ベアリング)を用いて
いて、常温では存在するところの、型とガイドとの隙間
を、プレス温度ではゼロとなるように設定して、型部材
の移動に際して、光軸ズレのない状態を確保しようとし
ているが、実際上、隙間をゼロと設定するのは難しく、
試行錯誤を繰り返して、常温での隙間寸法や型部材の温
度制御で、設定する必要がある。また、仮に、その隙間
がゼロ以下になった場合には、ガイドが型部材を締め付
ける形となり、プレスのための型移動ができないことに
なるため、予め、安全を考慮して、若干の隙間が確保さ
れるように設定しなければならないから、結局、光軸ズ
レの発生を完全に除くことができない。
【0007】そこで、問題解決のため、本発明者らは、
既に、ガラス成形品の成形方法及びその装置を提唱した
が、この段階では、プレス成形後に光軸調整をしている
ために、調整のための時間がかかる上、冷却時のプレス
成形後の調整では、ガラス粘度が高く、表面の変形調整
がしづらくなっているため、十分に、光軸調整ができな
い。また、高精度な軸合わせをするためには、光軸調整
手段の位置決め精度を厳しくする必要があり、装置が複
雑かつ高価になるなどの問題を残している。
【0008】本発明は、上記事情に基づいてなされたも
ので、光軸調整を確実、容易に行って、光軸に平行偏心
や倒れなどのない、優れた光学機能面を持ったレンズな
どの光学素子を得ることができる光学素子の成形方法及
びその装置を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明では、成形素材をプレス成形して、型部材の
成形面を被成形光学素子の光学機能面に転写する光学素
子の成形方法において、前記型部材の押圧動作により前
記光学素子を成形すると同時に、前記光学機能面の光軸
方向と交差する方向から前記型部材の外周部を挟み込む
ように加圧して、前記光学機能面の光軸を調整し、さら
に、成形された前記光学素子を冷却する際に、その収縮
に応じて、前記型部材を移動すると同時に、前記光学機
能面の光軸を再度、調整することを特徴とする。
【0010】また、本発明では、成形素材としてのガラ
ス素材をプレス成形して、型部材の成形面を被成形光学
素子の光学機能面に転写する光学素子の成形方法におい
て、ガラス素材を加熱して、ガラス粘性が105.5 〜1
10ポアズになる第1の温度に設定し、この温度で前記
型部材の押圧により前記光学素子を成形すると同時に、
前記光学機能面の光軸の平行偏心および倒れを規制する
ように型部材に対して位置制御を行い、その後、成形さ
れた前記ガラス素材のガラス粘性が108.5 〜1013.5
ポアズになる第2の温度の範囲内で前記光学素子を加圧
保持すると同時に、前記光学機能面の光軸を規制するよ
うに再度、前記型部材に対して位置制御を行うことを特
徴とする。
【0011】これにより、プレス工程と冷却工程の押圧
動作時における光学機能面、例えば、レンズ面の光軸が
調整され、従来から問題となった光軸の平行偏心や倒れ
が除かれる。しかも、その光軸調整は、簡単且つ確実に
実現できる。
【0012】更に、本発明では、光学素子の光学機能面
を成形するための成形面を有する一対の型部材で、成形
素材をプレス成形する光学素子の成形装置において、前
記型部材を駆動して前記成形素材を押圧成形するための
型部材駆動手段と、前記型部材の押圧動作中に、前記光
学機能面の光軸方向と交差する方向から前記型部材の外
周部を挟み込むように加圧して、前記光学機能面の光軸
調整を行う調整手段とを具備していることを特徴とす
る。
【0013】この場合、前記調整手段は、前記型部材
を、被成形光学素子の光軸と交差する方向から押圧する
押圧部材を前記型部材の外周部に対向して備えており、
光軸を調整する際に、一対の前記型部材を同時に光軸に
向けて押圧する構成、更には、前記型部材の外周部に対
向して、成形品の外周側面を形成するためのリング部材
を設け、このリング部材の外径を前記型部材と同じ径と
し、前記調整手段の押圧部材で、前記型部材およびリン
グ部材を押圧するように構成とすることができる。
【0014】また、前記調整手段の押圧部材と前記型部
材との間には、転動体が配置され、前記転動体を介し
て、光軸に関する前記型部材の移動調整が行われる構成
としてもよく、更に、前記転動体は、前記型部材の外周
部に接触しており、前記調整手段により、前記押圧部材
および転動体を介して、光軸に関する前記型部材の移動
調整が行われる構成としてもよい。
【0015】そして、このような成形方法で得られる光
学素子(精研削や研磨などの加工を残した半製品を含
む)は、その光学機能面の光軸調整が所望に達成され
る。なお、本発明の他の構成上の特徴およびそれに伴う
作用効果は、以下に述べる本発明の実施の形態の中で明
らかにされるであろう。
【0016】
【発明の実施の形態】図1〜図7には、本発明の実施の
形態としての光学素子の成形方法及びその装置が示され
ており、特に、図1および図2は、本発明の第1の実施
の形態を、図3は、本発明の第2の実施の形態を、図4
および図5は、本発明の第3の実施の形態を、更に、図
8および図9は、それぞれ、他の実施の形態を示してい
る。
【0017】(第1の実施例)図1および図2に示され
る装置は、光学素子の光学機能面を成形するための成形
面を有する上下、一対の型部材1、2で、ガラスなどの
成形素材をプレス成形するもので、型部材1、2を駆動
して前記成形素材を押圧成形するための型部材駆動手段
と、型部材1、2の押圧動作中に、前記光学機能面の光
軸方向と交差する方向から型部材1、2の外周部を挟み
込むように加圧して、前記光学機能面の光軸を調整を行
う調整手段とを具備している。
【0018】更に、この実施の形態について詳述する
と、この成形装置の成形型の外殻部を構成する胴型3
は、支持基板4上に載置されている。胴型3は、上面視
において略正方形の、所謂、角柱状に形成されており、
その中心軸上には、この胴型3を上下に貫通した状態
で、貫通穴が形成されている。これらの貫通穴の内で、
上側の貫通穴には、円柱状に形成された上型部材1が嵌
挿され、この状態で、上下方向に沿って摺動できるよう
になっている。その際、上型部材1と胴型3の間には、
ガラスのプレス温度においても、上型部材1が摺動可能
な、十分な隙間5として、例えば、それぞれの径寸法の
差として、20〜50μmの隙間を設けてある。
【0019】上型部材1の上端部には、円板状のフラン
ジ部が形成されており、このフランジ部の下面が胴型3
の上面に上方から当接することにより、上型部材1の下
方への移動を阻止される構成になっていて、これによっ
て、上型部材1の下方へのプレスストロークが規定され
ている。また、上型部材1の下面中央には、ガラスなど
の成形素材を押圧して、その表面に所望の形状を転写し
て、光学機能面を形成するための成形面が、上型部材1
の外径に対して、精度良く形成されており、例えば、光
学機能面の光軸と上型部材1の外径の同軸度が、2μm
以内に納まる許容範囲で、形成されている。
【0020】なお、上型部材1の上方には、ガラスなど
の成形素材に印加するプレス圧を発生させるための駆動
手段6(例えば、液圧あるいは気圧によるピストン・シ
リンダ機構)が配置されており、この駆動手段6が、そ
のピストンロッドを下方に向けて押し出すことにより、
成形素材にプレス圧を印加するのである。
【0021】また、この実施の形態では、上型部材1に
加熱用ヒータ7を、また、成形面近傍の温度を測定する
ためのセンサー(図示せず)を、それぞれ、設置してお
り、制御手段(図示せず)は、その制御プログラムに従
って、前記センサーの検出結果によって、ヒータ7を付
勢制御し、上型部材の温度調整を行っている。更に、上
型部材1を所要時に冷却するために、上型部材1には、
2 ガス供給源(図示せず)からN2 噴出管(図示せ
ず)を通して、冷媒を供給する冷却手段が設置してあ
り、これも上述の制御手段で制御される。
【0022】一方、胴型3の下側の貫通穴には、円柱状
に形成された下型部材2が、上型部材1の外径寸法とほ
ぼ同寸法(例えば、寸法差2μm以内)に調整された状
態で、上下方向に摺動可能に挿入されている。この場合
も、下型部材2と胴型3の間には、上型部材1のそれと
同様に、隙間5が存在している。
【0023】下型部材2の下部には、円板状のフランジ
部が形成されており、このフランジ部の下面は、胴型3
が載置されている支持基板4の上面に当接している。そ
して、この支持基板4により、上型部材1から成形素材
を介して下型部材2に加えられる下方へのプレス圧を受
けるようになっている。
【0024】下型部材2の上面中央には、ガラスなどの
成形素材の下面に所望の形状を転写して光学機能面を形
成するための成形面が、下型部材2の外径に対して、上
型部材1と同様に、精度良く形成されており、例えば、
光学機能面の光軸と下型部材2の外径の同軸度が、2μ
m以内に納まる許容範囲で、形成されている。
【0025】したがって、ガラスなどの成形素材には、
上型部材1および下型部材2の各々の成形面により、光
学機能面が転写されることとなる。
【0026】また、プレス変形時の成形品の厚みは、上
述したように、上型部材1のフランジの下面が、胴型3
の上面に当接することにより規定され、加工する毎に成
形品の厚みが変化しないようになされている。
【0027】更に、下型部材2の下面には、上型部材1
の場合と同様に、駆動手段8が設置されており、支持基
板4に形成された貫通穴を介して下型部材2の下面に当
接される。また、駆動手段8は、成形品Aのプレス変形
動作が終了した後の冷却過程において、成形品Aの面形
状が崩れることを防止するために、下型部材2を上方に
押し上げて、成形品Aに圧力を作用させるためのもので
ある。
【0028】また、下型部材2には、上型部材1の場合
と同様に、加熱用ヒータ9及び成形面近傍の温度を測定
するためのセンサー(図示せず)が設置されており、更
に、N2 ガス供給源(図示せず)よりN2 噴出管(図示
せず)を通して下型部材2を冷却するための冷却手段、
前記センサーの検出結果で、これらのヒータ9や冷却手
段を制御する制御手段(図示せず)が装備されている。
【0029】一方、胴型3の側面には、開口穴10が形
成されており、該開口穴10を介して、成形型の内部に
ガラスなどの成形素材が供給されると共に、成形の完了
した成形品、即ち、光学素子A(精研削や研磨などの加
工を残した半製品を含む)が成形型の内部から取り出さ
れる。
【0030】更に、この実施の形態においては、前記調
整手段は、型部材1、2を、被成形光学素子Aの光軸と
交差する方向から押圧する押圧部材11、12を前記型
部材の外周部に対向して備えており、光軸を調整する際
に、前記型部材の外周部を光軸に向けて同時に押圧する
構成が装備されている。
【0031】これを詳述すれば、胴型3の側面には、開
口穴10と直交する方向に貫通穴が設けられており、こ
の貫通穴にはプレス動作中に上型部材1と下型部材2の
それぞれの外径部側面を、それら型部材の中心に向け
て、押圧部材11、12を同時に加圧し、光学素子の光
軸のずれを修正するためのである。この時の、胴型3の
貫通穴と調整手段の押圧部材11、12との隙間は、胴
型3と上型部材1、および、胴型3と下型部材2とのそ
れぞれの隙間5より大きくなるように設定してある。つ
まり、胴型3の貫通穴は、調整手段の押圧部材11、1
2を、概略の位置において、摺動保持するためのもので
あり、調整手段の押圧部材11、12の最終的な位置
は、それぞれが、上型部材1の外周部と下型部材2の外
周部とに当接した時点で、決定される。
【0032】なお、この実施の形態では、前記調整手段
の押圧部材11、12と前記上下、型部材との間には、
転動体(ベアリング)13が配置され、転動体13を介
して、光軸に関する前記型部材の移動調整が行われる構
成になっている。即ち、調整手段の押圧部材11、12
は、それぞれ、上型部材1、下型部材2と接する部分
が、図1に示すように、開角:ほぼ90度の、V字形状
に形成してあり、上型部材1、下型部材2とは、それぞ
れ、4個の転動体13の列にて接触するようになってい
る。
【0033】この場合、V字形状の面及び接触部での転
動体13は、寸法及び表面が高精度に仕上げられてお
り、上型部材1、下型部材2を加圧する際の、転動体1
3で構成される接触面の平面度が、例えば、1μm以下
に調整されている。また、調整手段の押圧部材11、1
2や転動体部13は、その接触箇所での高温耐久性や圧
縮強度などを考慮して、その材質を決定するが、例え
ば、超硬や窒化珪素のようなセラミック材料が好まし
い。
【0034】従って、上型部材1及び下型部材2の外径
は、前述したように、予め、精度良く、同寸法に仕上げ
られているため、調整手段の押圧部材11、12が、そ
れぞれ、上型部材1と下型部材2の両方に、同時に接し
た状態で保持することができる。
【0035】一方、調整手段の押圧部材11、12の、
型部材と接する側とは反対側には、ピストン・シリンダ
機構などの駆動手段14、15が設置されており、この
駆動手段14、15は、ほぼ同期して、例えば、同一油
圧制御系あるいは気圧制御系によって、動作するように
してあり、押圧部材11、12を、それぞれ、型中心方
向に前進あるいは後退させることができる。
【0036】次に、上記のように構成された成形装置に
より、光学素子としてのガラスレンズを成形する手順に
ついて説明する。ここでは、成形素材をプレス成形し
て、型部材1、2の成形面を被成形光学素子の光学機能
面に転写するのに、型部材1、2の押圧動作により前記
光学素子を成形すると同時に、前記光学機能面の光軸方
向と交差する方向から前記型部材1、2の外周部を挟み
込むように押圧部材11、12を加圧して、前記光学機
能面の光軸を調整し、さらに、成形された前記光学素子
を冷却する際に、その収縮に応じて、前記型部材を移動
すると同時に、前記光学機能面の光軸を再度、調整す
る。
【0037】特にこの実施の形態では、成形素材として
のガラス素材をプレス成形して、型部材1、2の成形面
を被成形光学素子の光学機能面に転写するのに、ガラス
素材を加熱して、ガラス粘性が105.5 〜1010ポアズ
になる第1の温度に設定し、この温度で型部材1、2の
押圧により前記光学素子を成形すると同時に、前記光学
機能面の光軸の平行偏心および倒れを規制するように型
部材1、2に対して位置制御を行い、その後、成形され
た前記ガラス素材の、ガラス粘性が108.5 〜1013.5
ポアズになる第2の温度の範囲内で、前記光学素子を加
圧保持すると同時に、前記光学機能面の光軸を規制する
ように再度、前記型部材に対して位置制御を行うのであ
る。
【0038】この実施の形態を更に詳述すると、まず、
駆動手段6を引き込み動作させて、上型部材1を胴型3
に対し上方にスライドさせ、下型部材2から離間してお
く。また、駆動手段14、15についても、引き込み動
作させ、調整手段の押圧部材11、12を、型部材の外
周部から外方向に逃がしておく。
【0039】この状態において、胴型3の開口穴10を
介して、オートハンドなどの搬送手段(例えば、真空吸
着手段)により、所定の温度に加熱されたガラス素材を
下型部材2の成形面上に供給する。また、上型部材1、
下型部材2は、それぞれ、制御手段の働きで、予め、所
定の成形条件に対応した温度に調整されている。
【0040】ガラス素材は、下型部材2の成形面上に供
給されると、ヒータ7、9によって、更に加熱される。
そして、上型部材1、下型部材2及びガラス素材が所定
の温度(上述の第1の温度範囲)に到達した後に、駆動
手段6を押し出し動作させて、ガラス素材の上面に上型
部材1の成形面を当接させ、ガラス素材にプレス圧を印
加させる。
【0041】なお、上型部材1の成形面がガラス素材に
接触する位置の近傍まで下降した時点で、初めて、駆動
手段14、15を押し出し動作させ、押圧部材11、1
2を上型部材1および下型部材2の外周部の側面に突き
当て、加圧を開始する。
【0042】この状態のままで、更に、上型部材1にプ
レス圧が印加され、上型部材1が徐々に下方に移動する
と、ガラス素材は、次第に水平方向に押しつぶされて、
最終的には、上型部材1のフランジ部が胴型3の上面に
当接し、上下、型部材によるガラス素材の成形動作が終
了する。
【0043】この際の調整手段の動作(押圧部材11、
12の働き)により、プレス成形終了時点での、胴型3
と上型部材1、および、胴型3と下型部材2との間に存
在している隙間5により生じるであろう上型部材1と下
型部材2との径方向の位置ずれや光軸倒れを修正するこ
とができ、各々の成形面の光軸を一致させることができ
る。
【0044】その後、駆動手段6による上型部材1の押
圧動作、および、調整手段の押圧部材11、12の突き
当て動作を保持したままの状態で、冷却工程に移るが、
図1及び図2はこの時の状態を示しており、ここでは、
被成形光学素子(成形品)Aの厚みは、所望の厚みに成
形されており、また、この時、上型部材1と下型部材2
は、それぞれ、N2 噴出管を通して供給されるN2 ガス
によって、第2の温度範囲内で、冷却が促進される。
【0045】冷却開始後、数秒経過した後に、成形品A
の面形状が崩れないように、駆動手段8を押し出し動作
させ、下型部材2を下方から押圧し、成形品Aに圧力を
印加する。そして、所定の温度まで低下した時に、駆動
手段14、15を引き込み動作させて、調整手段の押圧
部材11、12を型部材の外周部から外方向に逃がし、
さらに、駆動手段8を引き込み動作させて、下型部材2
にかかる圧力を解除する。
【0046】よって、冷却時の下型部材2の押圧動作の
時にも、調整手段の押圧部材11、12の突き当て動作
により、上型部材1および下型部材2の両成形面の光軸
を一致させることができる。その後、駆動手段6を引き
込み動作させて、上型部材1を上方に移動させ、成形品
Aをオートハンドなどの搬送手段により、胴型3の開口
穴10を介して、外部に取り出すのである。
【0047】なお、この実施の形態では、上型部材1及
び下型部材2は、調整手段の押圧部材11、12によ
り、突き当てられた状態であっても、その転動体13を
介して、圧力を受けているため、それぞれのプレス動作
を容易に、継続することができる。
【0048】ここで、この成形方法を適用して、カメラ
に使用されるレンズを成形する場合について、具体例を
挙げて、詳細に説明する。ここでは、ガラス素材に重ク
ラウンガラス(屈折率:1.58、アッベ数:59.
4、転移点温度:506℃)を使用し、両面とも、凸非
球面(近似R:9mm)で外径φ:7mm、中心肉厚:
3.0mm、外周肉厚:1.6mmの凸レンズを成形す
る。
【0049】まず、上型部材1および下型部材2の温度
が470℃(ガラス粘度が、それぞれ、1015.2ポアズ
に相当する温度)の時に、成形型内にガラス素材を投入
し、この状態で、上型部材1および下型部材2の温度が
580℃(ガラス粘度が10 9.0 ポアズに相当する温
度)になり、なお、加熱ヒータ7、9にて、ガラス素材
が所定の温度になるまで待機した後に、上型部材1によ
り、3400N(ニュートン)の力で押圧成形し、型の
成形面をガラスに転写すると共に、レンズの肉圧を決定
した。
【0050】この時、前述のように、調整手段の押圧部
材11、12を押し出し動作させ、上型部材1および下
型部材2の各外周部の側面に2900Nの力をかけ、成
形面の光軸について位置調整を行った。
【0051】次に、冷却を開始し、560℃(109.8
ポアズに相当する温度)で下型部材2により、成形品A
に、2900Nの力を加え、490℃(1013.5ポアズ
に相当する温度)になった時点で、調整手段の押圧部材
11、12の押し出し動作を解除し、さらに、下型部材
2の圧力も解除した。
【0052】その後、470℃(1015.2ポアズに相当
する温度)で上型部材1を上昇させて成形型を開き、成
形品Aの取出しを行った。上記のような一連の動作によ
り、レンズが成形加工される。
【0053】この方法により得られた成形品Aは、平行
偏心で3μm以下、光軸倒れで20秒以下となり、コン
パクトカメラのレンズの中でも、光軸精度の要求の高い
クラスのレンズを得ることができた。
【0054】因みに、このレンズをカメラに組込んで、
評価を行った結果では、投影解像力で、中心部分/周辺
部分とも、100本/mm以上となり、所望の良品が得
られたが、これを、従来の方法にてレンズ成形した場合
には、当該レンズの平行偏心:20μm、光軸倒れ:6
分であって、中心部分は100本/mm以上であった
が、周辺部分については30本/mm以下の部分が発生
し、所望の良品とならなかった。
【0055】このように、プレス成形動作中に、上下、
型部材の光軸を修正するように、型部材の外周部を、光
軸方向と交差する方向から、同時に加圧することで、光
軸精度の極めて、高い光学素子(成形品)を得ることが
できる。
【0056】(第2の実施の形態)本発明の第2の実施
の形態を以下に説明する。図3において、下型部材2の
成形面に近い外周部には、リング部材16が配置されて
いるが、この構成を除いては、第1の実施の形態の構成
とほぼ同様であるため、重複する部分については、同一
符号を付して、その説明は省略する。
【0057】下型部材2の上端側には、外径が一段細く
なったリング装着部が形成されており、その外周に成形
品(被成形光学素子)Aの外径側面を形成するためのリ
ング部材16が装着されているが、下型部材2のリング
装着部とリング部材16の間には、若干の隙間(例え
ば、径寸法で20μm程度)があり、リング部材16は
下型部材2に対して径方向に移動可能に装着されてい
る。
【0058】また、リング部材16の外形寸法は、上型
部材1および下型部材2の外径寸法とほぼ同寸法(例え
ば、寸法差で2μm以内)に調整されており、更に、リ
ング部材16の外径に対応して成形品Aの外径側面を形
成するための内径部は、精度良く形成されており、例え
ば、その同軸度が2μm以内になるように形成されてい
る。
【0059】従って、調整手段の押圧部材11、12
は、それぞれ、上型部材1、下型部材2及びリング部材
16の3部材の外径部の側面に、同時に接した状態で保
持される。また、リング部材16の軸方向の厚みは、成
形時に、ガラス素材がプレスによって変形されると、更
には、冷却時に下型部材2でプレスされても、上型部材
1とは突き当たらないように、その時点で、例えば、1
0μm程度の隙間があくように調整されている。
【0060】次に、上記のように構成された成形型によ
り、レンズを成形する手順について説明する。ここで
は、工程そのものは、第1の実施の形態と全く同様であ
るから、その部分の説明は省略する。そして、相違する
のは、調整手段の押圧部材11、12を、上型部材1お
よび下型部材2のみでなく、リング部材16の外周部側
面にも、同時に突き当て、加圧する点である。つまり、
上型部材1によるガラス素材のプレス変形時と、下型部
材2による冷却時のプレス保持の時との、両工程におい
て、調整手段(押圧部材11、12)により、上型部材
1、下型部材2及びリング部材16の3部材について、
同時に、光軸の調整がなされる点である。なお、図3は
第1の実施の形態と同様に、プレス変形終了時の状態を
示している。
【0061】ここで、第1の実施の形態と同じレンズ
を、全く同じ成形条件にて、その外径部と共に成形した
ところ、得られた成形品Aは、上下面の平行偏心で3μ
m以下、その光軸倒れで20秒以下となり、また、上下
面と外径部との平行偏心も3μm以下とすることができ
た。従って、後加工で芯取りして、外径精度を出すより
も高い精度で、レンズを得ることができた。これは、コ
ンパクトカメラのレンズの中でも、外径部との光軸精度
の要求度が高いクラスのレンズを得る上で、有効であ
る。
【0062】このように、プレス変形動作中に、上下、
型部材およびリング部材の光軸を修正するように、光軸
と交差する方向から、型部材およびリング部材の外周部
を、光軸中心に向けて、例えば、上下型部材およびリン
ク部材の3つを同時に加圧することで、上下面の光軸調
整のみならず、外径部と上下面の光軸も調整でき、光軸
精度の極めて高い成形品を得ることができる。なお、こ
の調整部材は、実施例1と同じ形状、即ち、V字形とな
っている(図1を参照)。
【0063】(第3の実施の形態)図4、図5の第3の
実施の形態は、その調整手段の構成が一部異なる場合を
示しており、それ以外の構成については、第1の実施の
形態とほぼ同様であるため、重複する部分については、
同一符号を付して、その説明は省略する。
【0064】調整手段は、図4に示すように、その押圧
部材11、12の、上型部材1及び下型部材2との接触
部位では、先端接触部材11A、12Aが直接、型部材
の外周部と密着するように、上型部材1及び下型部材2
の両外径に等しいか、わずかに大きいR形状(例えば、
+0〜2μmの寸法差)となっており、また、図5に示
すように、上型部材1および下型部材2の摺動方向に、
それぞれ、独立して移動できるように、それら先端接触
部材11A、12Aを、上下に分離した構成にしてあっ
て、光軸調整をしない場合には、押圧部材11、12に
より、比較的弱い付勢力により、それぞれ、転動体(ベ
アリング)17を介して、最上端、最下端の位置にあっ
て、上下、型部材1、2の外周部に接している。
【0065】なお、接触部材11A、12AのRの面、
及び、転動体17は、高精度に仕上げられており、上型
部材1及び下型部材2を加圧する際の、上型部材1側の
先端接触部材11A、12A及び下型部材2側の先端接
触部材(図5には、符号11A’、12A’で示す)の
両方を含めた接触面の面精度(凹凸形状)が、例えば、
1μm以下になるように調整されている。
【0066】従って、上型部材1及び下型部材2の外径
部は、前述のように、精度良く、同寸法に仕上げられ、
このために、調整手段の押圧部材11、12によって、
それぞれ、上型部材1と下型部材2との両方とは、先端
接触部材11A、12Aに同時に接した状態で保持され
る。
【0067】なお、この実施の形態では、調整手段の先
端接触部材11A、12Aには、上型部材1側の部材、
下型部材2側の部材の何れにも、それぞれに、ヒータ1
8、冷却穴19および温度センサー(図示せず)が設け
てあり、上下、別々に温度制御できるようにしてある。
また、冷却穴19にはN2 噴出管(図示せず)を通し
て、N2 ガスが供給され、これによって、上下、型部材
の先端部での冷却が促進される。
【0068】次に、上記のように構成された成形型によ
り、レンズを成形する手順について説明するが、工程そ
のものは、第1の実施の形態と全く同様であるから、そ
の部分については説明を省略する。そして、その相違す
る点は、調整手段の先端接触部材11A、12Aが、上
型部材1及び下型部材2と、ほぼ同様に、温度調節され
ており、その状態で、光軸の調整時に、上型部材1及び
下型部材2の外周部側面に対して面接触で加圧されるこ
とであり、また、光軸の調整時の上型部材1及び下型部
材2がプレス動作により移動する際に、先端接触部材1
1A、12Aが、それぞれ、上型部材1及び下型部材2
に密接加圧した状態のままで、ベアリング17を介し
て、押圧部材11、12と相対的に移動でき、それぞれ
の型部材の動きに合わせて移動することができることで
ある。
【0069】つまり、上型部材1によるガラスのプレス
変形時と、下型部材2の上昇・保持の状態での冷却時と
の、プレス保持の両工程において、調整手段により、上
型部材1、下型部材2の両方について、同時に光軸の調
整がなされるとともに、型部材の外周面より温度調整が
なされるのである。従って、型の温度分布にバラツキが
生じ易い、例えば、口径の大きなレンズや、温度分布の
変化に敏感な高面精度のレンズ、あるいは、側面が冷え
易い外周部の肉厚の薄いレンズにおいて、高い光軸精度
を保持するのに厳しい場合にも、本実施の形態が有効で
ある。
【0070】なお、図4及び図5は、第1の実施の形態
と同様に、プレス変形終了時の状態を示している。ここ
で、カメラに使用されるレンズを、例に挙げて、さらに
詳細な説明を行うことにする。ここでは、ガラス素材に
ランタン系ガラス(屈折率:1.67、アッベ数:5
5.4、転移点温度:530℃)を使用し、下面側の凸
非球面(近似R:21mm)、上面側の凹R46で、外
径φ:22.0mm、中心肉厚:2.8mm、外周肉
厚:1.0mmの凸メカニカルレンズを成形する。
【0071】まず、上型部材1および下型部材2の温度
が485℃(1014.9ポアズに相当する温度)のときに
ガラス素材を投入し、この状態で、上型部材1、下型部
材2および調整手段の接触部材11A、12Aの温度が
590℃(109.0 ポアズに相当する温度)になり、し
かも、加熱ヒータにて、ガラス素材が所定の温度になる
まで、待機する。その後に、上型部材1により4900
N(ニュートン)の力で押圧成形し、型部材の成形面を
ガラスに転写するとともに、レンズの肉圧を決定した。
【0072】この時、前述のように、調整手段の押圧部
材11、12を押し出し動作させて接触部材11A、1
2Aを上型部材1と下型部材2の外周側面に当接させる
とともに、3400Nの力をかけ、成形面の光軸位置調
整を行った。
【0073】次に、冷却を開始し、上型部材1、下型部
材2と共に接触部材11A、12Aも冷却を行い、57
0℃(109.8 ポアズに相当する温度)になった時点
で、下型部材2により、成形品(被成形光学素子)A
に、3400Nの力を加えると共に、510℃(10
13.2ポアズに相当する温度)で、調整手段の押圧部材1
1、12の押し出し動作を解除し、さらに、下型部材2
の圧力も解除した。その後に、480℃(1015.2ポア
ズに相当する温度)で上型部材1を上昇させて型を開
き、成形品Aの取出しを行った。上述のような一連の動
作により、レンズが成形加工される。
【0074】この方法により得られた成形品は、冷却時
の収縮応力によるワレの発生もなく、また、レンズ周辺
部のクセも、ニュートン縞:0.5本以内の面精度とな
り、かつ、平行偏心で3μm以下、光軸倒れで20秒以
下である。このようにして、光軸精度の高いレンズを得
ることができた。
【0075】このように、本発明のこの実施の形態での
方法によれば、プレス変形動作中、上下、型部材の光軸
を修正するように、型部材の外周部を、上下、同時に加
圧するとともに、温度調節することで、比較的口径の大
きなレンズや外周肉厚の薄いレンズにおいても光軸精度
および面精度の極めて高い成形品を得ることができ、ま
たワレの発生も防止できる。
【0076】(他の実施の形態)本発明の他の実施の形
態について、以下に説明する。図6には、調整手段の接
触部材11B、12Bの形状が、第1の実施の形態にお
ける調整手段の押圧部材11、12の先端形状と同様の
V字形状となっている構成が示されており、それ以外は
第3の実施の形態と同じである。この成形装置は、前述
よりもより簡易な構造であり、小径レンズなどの光学素
子の成形、特に、成形中にワレも発生せず、また、面精
度においても問題がないような、条件の厳しくない場合
に好適である。なお、本発明の成形方法及び装置では、
更に、条件によって、より簡易構造な接触部材を採用す
ることもできる。即ち、その調整手段の押圧部材、ある
いは、接触部材の形状は、光軸の位置さえ決まれば、接
触面積を変えるなど、自由に設計できるものである。
【0077】また、図7に示す実施の形態は、本発明を
実用に供する場合の、4個取りの成形に適用したもので
あり、中央の調整手段(受け部材)20は板状で、胴型
3に固定されており、一方の調整手段の押圧部材11、
12を押し出し移動させることにより、光軸の位置出し
を行っている。
【0078】このように、生産ライン上では、取り個数
についての限定はなく、また、調整手段の押し出し動作
も、必ずしも、型部材の両側から行うのではなく、片側
からのみでもよく、更に、場合によっては、バランスよ
く、円周を等分割した3方向以上から光軸中心に向けて
の押し出し動作で行うようにしてもよい。
【0079】更に、上下一対の型部材に接触する転動体
21の数も、図7に示すものでは3点当たりになってい
るが、特に、限定されるものではなく、第1の実施の形
態のように、4点当たりにしてもよいことは勿論であ
る。
【0080】なお、この実施の形態では、接触部材にベ
アリングなどの転動体を用いて、型部材のプレス動作を
妨げないようにしているが、これとても、特に限定され
るものではなく、摺動抵抗の少ない材料(例えば、カー
ボン材)を使用して、型部材と押圧部材との接触面で、
摺動させる構成にしてもよい。更に、この実施の形態で
は、プレス動作時以外は、胴型により上下型部材を保持
しているが、調整手段の押圧部材に胴型を兼用させ、胴
型を廃止して、押圧部材の動作する位置のみを調整し
て、常に、上下型部材を保持するようにしてもよい。
【0081】なお、以上の本発明の各実施の形態では、
成形素材として、ガラスを挙げているが、光学素子の成
形方法及びその装置としての本発明の特徴は、温度条件
などを考慮すれば、プラスチックレンズなどの成形にも
適用でき、有効であることは明らかである。
【0082】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように、成形素
材をプレス成形して、型部材の成形面を被成形光学素子
の光学機能面に転写する光学素子の成形方法において、
前記型部材の押圧動作により前記光学素子を成形すると
同時に、前記光学機能面の光軸方向と交差する方向から
前記型部材の外周部を挟み込むように加圧して、前記光
学機能面の光軸を調整し、さらに、成形された前記光学
素子を冷却する際に、その収縮に応じて、前記型部材を
移動すると同時に、前記光学機能面の光軸を再度、調整
することを特徴とする。
【0083】また、本発明では、成形素材としてのガラ
ス素材をプレス成形して、型部材の成形面を被成形光学
素子の光学機能面に転写する光学素子の成形方法におい
て、ガラス素材を加熱して、ガラス粘性が105.5 〜1
10ポアズになる第1の温度に設定し、この温度で前記
型部材の押圧により前記光学素子を成形すると同時に、
前記光学機能面の光軸の平行偏心および倒れを規制する
ように型部材に対して位置制御を行い、その後、成形さ
れた前記ガラス素材のガラス粘性が108.5 〜1013.5
ポアズになる第2の温度の範囲内で前記光学素子を加圧
保持すると同時に、前記光学機能面の光軸を規制するよ
うに再度、前記型部材に対して位置制御を行うことを特
徴とする。
【0084】これにより、プレス工程と冷却工程の押圧
動作時における光学機能面、例えば、レンズ面の光軸が
調整され、従来から問題となった光軸の平行偏心や倒れ
が除かれる。しかも、その光軸調整は、簡単且つ確実に
実現できる。
【0085】従って、従来の工程時間を延ばすことな
く、更に、光軸精度の厳しい光学素子の成形が可能とな
り、かつ、型部材と胴型の隙間の量の細かい制御や、成
形装置のプレス軸の軸精度に神経を使うことなく成形が
できるようになる。つまり、成形時に決定してしまう光
軸精度について、型部材に光軸調整を行いながら成形す
ることで、高価な成形機も必要なく、かつ、従来の工程
時間内に確実に、より光軸精度の高い成形品が得られる
ため、コスト、精度ともに優れた成形方法となり、その
効果は大きい。
【0086】更に、本発明では、光学素子の光学機能面
を成形するための成形面を有する一対の型部材で、成形
素材をプレス成形する光学素子の成形装置において、前
記型部材を駆動して前記成形素材を押圧成形するための
型部材駆動手段と、前記型部材の押圧動作中に、前記光
学機能面の光軸方向と交差する方向から前記型部材の外
周部を挟み込むように加圧して、前記光学機能面の光軸
を調整を行う調整手段とを具備していることを特徴とす
る。
【0087】従って、光軸を調整する際に上下型の相対
位置を規制することができ、光軸の平行偏心と倒れとを
同時にかつ容易に修正することができる装置となり、そ
の効果は大きい。
【0088】この場合、前記調整手段は、前記型部材
を、被成形光学素子の光軸と交差する方向から押圧する
押圧部材を前記型部材の外周部に対向して備えており、
光軸を調整する際に、一対の前記型部材を同時に光軸に
向けて押圧する構成、更には、前記型部材の外周部に対
向して、成形品の外周側面を形成するためのリング部材
を設け、このリング部材の外径を前記型部材と同じ径と
し、前記調整手段の押圧部材で、前記型部材およびリン
グ部材を押圧するように構成とすることができる。
【0089】また、前記調整手段の押圧部材と前記型部
材との間には、転動体が配置され、前記転動体を介し
て、光軸に関する前記型部材の移動調整が行われる構成
としてもよく、更に、前記転動体は、前記型部材の外周
部に接触しており、前記調整手段により、前記押圧部材
および転動体を介して、光軸に関する前記型部材の移動
調整が行われる構成としてもよい。
【0090】従って、光軸を調整する際、上下の型部材
と調整手段の押圧部材との摺動性が確保でき、光軸調整
中の、型部材のプレス方向への移動が容易となる。この
ために、プレス動作が最後まで確実に行え、プレス時の
光軸調整と、プレス動作とを両立させた装置とすること
ができる。これにより、光軸精度は勿論、肉厚精度も安
定し、冷却時のヒケの発生も抑制され、より面精度の高
い成形品が得られる。
【0091】そして、このような成形方法で得られる光
学素子(精研削や研磨などの加工を残した半製品を含
む)は、その光学機能面の光軸調整が所望に達成され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を概略的に示す平面
断面図である。
【図2】同じく、正面縦断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す正面縦断面図
である。
【図4】本発明の第3の実施の実施の形態を示す平面断
面図である。
【図5】同じく、正面縦断面図である。
【図6】その他の実施の形態を示す成形装置の構成を示
した平面断面図である。
【図7】更に他の実施の形態を示す4個取りの成形型に
ついての平面断面図である。
【符号の説明】
1 上型部材 2 下型部材 3 胴型 4 支持基板 5 隙間 6、8 駆動手段 7、9 加熱用ヒータ 10 貫通穴 11、12 押圧部材 11A、12A 先端接触部材 11B、12B 先端接触部材 13 転動体(ベアリング) 14、15 駆動手段 16 リング部材 17 転動体(ベアリング) 18 ヒータ 19 冷却穴 20 調整手段 21 転動体

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成形素材をプレス成形して、型部材の成
    形面を被成形光学素子の光学機能面に転写する光学素子
    の成形方法において、前記型部材の押圧動作により前記
    光学素子を成形すると同時に、前記光学機能面の光軸方
    向と交差する方向から前記型部材の外周部を挟み込むよ
    うに加圧して、前記光学機能面の光軸を調整し、さら
    に、成形された前記光学素子を冷却する際に、その収縮
    に応じて、前記型部材を移動すると同時に、前記光学機
    能面の光軸を再度、調整することを特徴とする光学素子
    の成形方法。
  2. 【請求項2】 成形素材としてのガラス素材をプレス成
    形して、型部材の成形面を被成形光学素子の光学機能面
    に転写する光学素子の成形方法において、ガラス素材を
    加熱して、ガラス粘性が105.5 〜1010ポアズになる
    第1の温度に設定し、この温度で前記型部材の押圧によ
    り前記光学素子を成形すると同時に、前記光学機能面の
    光軸の平行偏心および倒れを規制するように型部材に対
    して位置制御を行い、その後、成形された前記ガラス素
    材のガラス粘性が108.5 〜1013.5ポアズになる第2
    の温度の範囲内で前記光学素子を加圧保持すると同時
    に、前記光学機能面の光軸を規制するように再度、前記
    型部材に対して位置制御を行うことを特徴とする光学素
    子の成形方法。
  3. 【請求項3】 光学素子の光学機能面を成形するための
    成形面を有する一対の型部材で、成形素材をプレス成形
    する光学素子の成形装置において、前記型部材を駆動し
    て前記成形素材を押圧成形するための型部材駆動手段
    と、前記型部材の押圧動作中に、前記光学機能面の光軸
    方向と交差する方向から前記型部材の外周部を挟み込む
    ように加圧して、前記光学機能面の光軸調整を行う調整
    手段とを具備していることを特徴とする光学素子の成形
    装置。
  4. 【請求項4】 前記調整手段は、前記型部材を、被成形
    光学素子の光軸と交差する方向から押圧する押圧部材を
    前記型部材の外周部に対向して備えており、光軸を調整
    する際に、一対の前記型部材を同時に光軸に向けて押圧
    することを特徴とした請求項3記載の光学素子の成形装
    置。
  5. 【請求項5】 前記型部材の外周部に対向して、成形品
    の外周側面を形成するためのリング部材を設け、このリ
    ング部材の外径を前記型部材と同じ径とし、前記調整手
    段の押圧部材で、前記型部材およびリング部材を押圧す
    るように構成したことを特徴とする請求項3あるいは4
    に記載の光学素子の成形装置。
  6. 【請求項6】 前記調整手段の押圧部材と前記型部材と
    の間には、転動体が配置され、前記転動体を介して、光
    軸に関する前記型部材の移動調整が行われることを特徴
    とする請求項3あるいは4に記載の光学素子の成形装
    置。
  7. 【請求項7】 前記転動体は、前記型部材の外周部に接
    触しており、前記調整手段により、前記押圧部材および
    転動体を介して、光軸に関する前記型部材の移動調整が
    行われることを特徴とする請求項6に記載の光学素子の
    成形装置。
  8. 【請求項8】 請求項1あるいは2に記載の成形方法に
    より得られ、その光学機能面の光軸調整が所望に達成さ
    れたことを特徴とする光学素子。
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