JP5100790B2 - 光学素子の製造方法 - Google Patents

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本発明は、所望の光学素子形状にもとづいて精密加工され、高精度ガラスレンズなどの光学素子をプレス成形する光学素子の製造方法に関し、特に、光学有効径内において中心部が肉厚最小部となる凹レンズを、高精度に効率良く製造することができる光学素子の製造方法に関する。
精密加工された成形型を用い、軟化ガラスを融着させることなく、高精度ガラスレンズなどの光学素子をプレス成形する方法が種々開発されてきている(例えば、特許文献1〜3参照。)。プレス成形によって、要求されるレンズを得るには、良好な外観、表面形状精度、肉厚、外径、さらに偏心などの様々な規格を満足させなければならない。
近年、プレス成形ガラスレンズの中でも、特に、凹メニスカスレンズなどのように、少なくとも一面が凹面形状を有し、かつ、片面又は両面が非球面形状のレンズが脚光を浴びている。これは、上記のようなレンズが、光学系のコンパクト化や低コスト化に有効だからである。
特許文献1には、粘度が105.5〜10ポアズのガラス素材を成形型で初期加圧する工程と、これを転移点以下に降温させる工程とを含むガラス成形体の製造方法において、初期加圧完了後の降温時に、初期加圧より小さい圧力を加え続けることにより、良好な面精度を得ることが記載されている。
また、特許文献2には、一対の成形型と胴型から構成され、成形型摺動方向への胴型寸法によりレンズ厚み規制を行う押圧成形において、成形型摺動方向の胴型の熱膨張量を、成形型摺動方向のレンズ厚みと、成形型の胴型に摺動収納される部分の熱膨張量よりも大きくすることにより、冷却工程においても、常にレンズ素材に圧力が加えられた状態とする成形方法が記載されている。
更に、特許文献3においては、間隔調整部材を用いて、特許文献2と同様の効果を得ている。
特開平11−35333号公報 特開平1−226745号公報 特開2000−72456号公報
ガラス光学素子をプレス成形する場合は、例えば、粘度が105.5〜1010ポアズまで軟化したガラス素材を、上型及び下型を含む成形型内に供給した後、成形型に荷重を印加して、ガラス素材のプレス成形を開始し、その後、成形型及びガラス素材の冷却を行う。そして、ガラス転移点あるいはそれ以下の温度まで降温したら、成形されたガラス光学素子を成形型から離型することができる。
このとき、光学有効径内において中心部に最大肉厚を有するレンズ(以下、凸レンズという。)、例えば、両凸レンズ、平凸レンズ、凸メニスカスレンズなどの凸レンズは、良好な形状や面精度を比較的容易に得ることが可能である。
すなわち、ガラス素材が軟化した状態で成形型に荷重を印加し、ガラス素材に成形面形状を転写した後は、特に荷重を印加することなく(以下、押切りプレス方式という。)、成形されたガラス素材(以下、成形レンズという。)及び成形型を冷却し、その後、成形ガラスを離型する方式で必要な光学性能を達成できる場合が多い。この方式によれば、荷重印加に際して、上下型を互いに当接させるか、又は上下型を胴型やストッパに当接させることによって、成形レンズの肉厚を制御するとともに、荷重印加を終了させることができる。
一方、光学有効径内において中心部に最小肉厚を有するレンズ(以下、凹レンズという。)、例えば、凹メニスカスレンズ、平凹レンズ、両凹レンズなどの凹レンズをプレス成形する場合は、上記のような押切りプレス方式によって良好な面精度を得ることは非常に困難である。
すなわち、成形後の冷却中に荷重を印加することなく、そのまま冷却終了させ、成形ガラスを離型してしまうと、レンズ中心と周辺部分で曲率半径が連続的に変化する「クセ」や、成形レンズ面内においてレンズの曲率半径が不連続的又は不規則に変化する「面不良」が発生し易いことが認められた。これは、冷却中にガラスが収縮する際、不均一な収縮を生じたり、成形面形状とは異なった曲率になり易いためと考えられる。
そこで、特許文献1に示されるように、冷却中の成形レンズに荷重を印加することが考えられる。例えば、ガラス粘性1010ポアズ相当の温度から離間温度までのいずれかの温度において荷重を印加することが有効であり、更には、1012ポアズ相当の温度から離型温度までのいずれかの温度で荷重印加することが有効であった。
しかしながら、上記方式によって、良好な形状や面精度の凹レンズを得るには、プレス荷重、印加時の温度条件など、種々の条件を厳密に最適化しなければならず、特に、凹レンズの形状によっては、最適化のための試行錯誤が必要になる。換言すれば、良好な面形状が得られる条件幅が非常に狭く、場合によっては、許容される面形状を満足するための条件幅がほとんど存在しないレンズもあることが発明者らによって見出された。
例えば、1010ポアズ以上の粘度に降温したとき(特に、1012ポアズ以上の粘度まで降温したとき)、更に荷重を印加することが有効であるが、1010ポアズ以上の粘度になった際に行われる荷重の印加については、その印加荷重を厳密に最適化する必要があり、これが不適当であると、成形レンズ中心部に、局所的に曲率半径が変化(例えば低下)する「クセ」や「面不良」を発生する傾向が認められた。特に、中心肉厚が薄い凹レンズ(例えば、中心肉厚が1mm未満のものなど)や、中心と周辺の肉厚差の大きい凹レンズでは、その傾向が顕著であることが見出された。
一方、特許文献1、3に記載の方法では、上下型を胴型に当接させた後、印加する荷重を自由に制御することができないため、レンズ形状や、用いる硝材によって異なる最適条件を選択し、適用することが不可能である。
更に、特許文献1〜3に記載のいずれの方法も、成形面の部位に応じた荷重の差異に起因し、「クセ」や「面不良」が生じることについては考慮されていない。
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、成形条件が非常に狭く、プレス成形が難しいとされる凹メニスカスレンズ、平凹レンズ、両凹レンズなどの凹レンズであっても、成形及び冷却工程の最適条件を容易に得ることによって、「クセ」や「面不良」の発現を抑制し、良好な面形状を有する成形レンズを安定的に得ることができる光学素子の製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは、光学素子(特に凹レンズ)の成形過程で発現する「クセ」や「面不良」を抑止する手段を確立すべく、鋭意検討した。その結果、成形型に荷重を印加して、軟化した成形素材(例えばガラス素材)に成形面形状を転写した後、冷却中に更に成形型に荷重を印加する場合、成形レンズの形状により、薄肉部分と厚肉部分とで熱収縮量が異なるため、熱収縮量の最も小さい中心部分に荷重が集中し、その結果、光学有効径内の中心部分に特異な「クセ」や「面不良」が発生し易くなるとの知見を得た。そして、この知見に基づき、前記光学素子を安定的に供給できるようにするには、どのようにすればよいかを研究することによって、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記目的を達成するため本発明の光学素子の製造方法は、対向する成形面を有する上型および下型と、前記上型および下型の相対位置を規制する胴型とを備えたモールドプレス成形型によって、成形面間に配置した成形素材をプレスし、成形素材に成形面形状を転写することにより、光学有効径内において中心部が肉厚最小部となり、周辺部が中心部よりも肉厚の厚い凹レンズを成形する光学素子の製造方法であって、前記上型が、前記凹レンズの凹面側を成形し、かつ、少なくとも光学有効径内を成形する上内型と、この上内型を包囲し、少なくとも光学有効径外の一部に荷重印加する上外型とを有し、前記下型が、前記成形面の中心部を通過する中心線と平行な胴部と、該中心線と直交するフランジ部を有し、前記胴型が、前記上外型の外周面に摺接して前記上型の径方向の位置と倒れを規制する内周面と、前記下型のフランジ部に当接して前記下型の鉛直性を規制する下端面を有し、前記上内型と前記上外型をそれぞれ異なる成形内軸と成形外軸に連結するとともに、前記成形内軸と前記成形外軸は、それぞれ駆動装置によって個別に制御されて上下動するモールドプレス成形型を用いて、前記ガラス素材を、前記成形型内に供給し、前記ガラス素材が加熱により軟化した状態で、前記成形型に第一荷重を印加して、前記成形型の成形面形状を前記ガラス素材に転写し、前記ガラス素材の冷却中に、前記第一荷重の印加に続いて第二荷重を印加し、前記ガラス素材を所定温度まで冷却した後、離型する方法としてある。
このようにすると、冷却中に印加される第二荷重が、光学有効径内の中心部に集中することが回避される。これにより、冷却開始後の荷重印加によって面精度を改善しつつ、それを原因として発現するレンズ中心部の「クセ」や「面不良」を抑制し、高精度な凹レンズを効率良く製造することができる。
また、第二荷重の印加が、前記第一荷重の印加に続いて行われるようにすることで、連続的な荷重の印加により、成形難度の高い形状の凹レンズでも成形が可能である
以上のように、本発明によれば、成形条件が非常に狭く、プレス成形が難しいとされる凹メニスカスレンズ、平凹レンズ、両凹レンズなどの凹レンズであっても、冷却開始後の荷重印加によって面精度を改善しつつ、それを原因として発現するレンズ中心部の「クセ」や「面不良」を抑制することにより、良好な面形状の凹レンズを効率良く安定的に製造することができる。
比較例に係るモールドプレス成形型の断面図である。 本発明の実施に好適なモールドプレス成形型の第一参考例を示す断面図である。 本発明の実施に好適なモールドプレス成形型の第二参考例を示す断面図である。 本発明の実施に好適なモールドプレス成形型の第三参考例を示す断面図である。 本発明の実施に好適なモールドプレス成形型の駆動手段の一実施形態を示す概略図である。 干渉縞の一例を示す図である。 干渉縞の他の一例を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
[モールドプレス成形装置]
まず、比較例をもとにモールドプレス成形装置の概要を説明する。
図1は、比較例に係るモールドプレス成形型の断面図である。
図1に示すように、モールドプレス成形装置は、成形型1と、成形型1及びその中に供給されたガラス素材(成形後は成形レンズ)2を加熱する加熱手段及びその温度調整機構(図示せず)と、成形型1にプレス荷重を印加するプレス軸機構及びその荷重調整機構(図示せず)と、成形型1及びガラス素材(成形レンズ)2を冷却する冷却手段及びその温度調整機構(図示せず)とを具備している。
成形型1は、上型10、下型20及び胴型30を備えている。上型10の下面及び下型20の上面には、互いに対向する成形面11、21が加工されており、この成形面11、21間に配置したガラス素材(成形レンズ)2をプレスし、ガラス素材(成形レンズ)2に成形面形状を転写することにより、ガラス光学素子が成形される。
上型10は、成形面11、21の中心部を通過する中心線Lcと平行な胴部12を有し、その外周面12aが、上型10の径方向の位置と倒れを規制する基準面となっている。下型20は、中心線Lcと平行な胴部22及び中心線Lcと直交するフランジ部23を有し、胴部22の基準面となり、フランジ部23の上面23aが、胴型との鉛直性を規制する基準面となっている。
胴型30は、内周面31、外周面32、上端面33及び下端面34を有し、上端面33及び下端面34は、内周面31及び外周面32に対して直交している。胴型30の内周面31は、上型10の径方向の位置と倒れを規制する基準面であり、胴型30の下端面34は、下型20の鉛直性を規制する基準面である。すなわち、胴型30の基準面が上型10及び下型20の基準面に摺接又は当接することにより、胴型30を介して、上型10と下型20の相対位置が規制される。これにより、上型10と下型20の間でプレス成形されるガラス素材(成形レンズ)2の外形精度及び偏心精度が確保される。
プレス軸機構は、上型10の上端面14又は下型20の下端面24に対して垂直方向から接触し、上型10又は下型20にプレス荷重を印加するプレス軸(図示せず)を備えている。
なお、以下の説明においては、ガラス素材(成形レンズ)2のガラス転移点以上の温度域における線膨張係数をα、上型10、下型20及び胴型30の線熱膨張率をα、成形レンズ2(例えば、両球面の凹メニスカスレンズ)における中心肉厚をtc、成形レンズ2の光学有効径(レンズとしての光学的な使用可能な光学機能面の径)をD、上型10の中心高さをX、下型20の中心高さをYとする。
プレス成形の際には、上型10、下型20及び胴型30を組上げ、ガラス素材2(例えば、球形状に予備形成したもの)を上型10、下型20及び胴型30からなる閉空間内に配置する。これらを前記加熱手段により加熱し、ガラス素材2が軟化した状態で、上型10のフランジ部15と胴型30の上端面33が当接しないように荷重を印加する。また、冷却は、荷重印加後又は荷重印加と同時に開始することができる。
冷却中、例えばガラス粘性が1010ポアズ以上となる温度領域まで降温したとき、上型10のフランジ部15と胴型30の上端面33が当接しない条件の下、荷重印加及び冷却を継続し(以下、この温度領域以降の印加荷重を第二荷重と表記する。)、次いで、この状態を維持しつつ、ガラス転移温度以下まで冷却し、離型する。
ところで、レンズの成形に、このような成形工程を採用すると、後述する比較例に示す通り、レンズ中心の曲率が変化するクセを生じ易いことが確認された。
図1に示す上型10、下型20及び胴型30の組合せでは、成形レンズ2の中心部から半径方向外側に肉厚最大部(以下、A部2aと表記する。)がある。光学素子としての使用領域である有効径Dより外側には、成形レンズ2の中心部よりも肉厚が薄い被転写面は存在せず、成形レンズ2の中心部が肉厚最小部となっている。なお、A部2aの肉厚をtp、A部2aを通る垂直線をLaとする。
成形レンズ2の中心肉厚がtcであるとき、プレス成形時においては、上型10の上端面14から下型20の下端面24までの垂直距離が、H(=X+Y+tc)であり、成形レンズ2の中心部(Lc)では、上型10の上端面14と下型20の下端面24の間が、厚さ(X+Y)の型素材と、厚さtcのガラスから構成される。また、成形レンズ2のA部2a(La)では、上型10の上端面14と下型20の下端面24の間が、厚さ(H−tp)の型素材と、厚さtpのガラスから構成される。
上型10、下型20及び成形レンズ2は、プレス成形開始から離型するまでの温度差(Kとする)に応じて熱収縮する。中心部とA部2aのプレス軸方向の収縮量を比較すると、
中心部(Lc)の収縮量Scは、
K{(X+Y)α+tc α} … 式(1)
A部2a(La)の収縮量Spは、
K{(X+Y+tc−tp)α+tp α} … 式(2)
tc≦tp、α≧αであるかぎり(通常、ガラス等の成形素材の線熱膨張率は、型素材のそれより大きい)、中心部(Lc)よりA部2a(La)の収縮量が大きい(Sp>Sc)。これは、離型温度に近い温度領域において、成形レンズ2に作用する荷重の大きさが、成形レンズ2の部位に応じて相違することを意味している。すなわち、A部2a(La)においては、成形型1の成形面11、21と成形レンズ2の間に間隙が生じることになり、一方、中心部(Lc)においては、印加される荷重が集中する。成形レンズ2と成形面11、21の密着力が大きい場合には、間隙が生じるかわりに、中心部(Lc)とA部2a(La)のそれぞれに相当する位置において、成形レンズ2に作用する応力に差が生じる。いずれの場合も、成形レンズ2は中心部(Lc)に最大荷重を受けることとなる。
成形レンズ2は、冷却工程において徐々に流動性を失い、粘弾性をもつ。特に、成形レンズ2が冷却工程中、1010ポアズ相当の温度以下になった時点では、既に流動性が低下している。冷却開始後に局所的な負荷を与えられた中心部分には圧縮応力を生じる。この応力は、成形レンズ2を離型した後に一部緩和され、又は、アニールを経たときには更に緩和されるため、表面形状が変化する。これが、レンズ中心に見られた「クセ」や「面不良」の原因であると考えられる。このため、満足な面形状をもつレンズが得にくく、また、許容され得る面形状を達成するためにプレス条件を工夫しても、その条件幅が非常に狭く、量産上の問題となる。
上記のように、冷却中に荷重を印加する方式を採用した場合、光学有効径の中心部分に認められた「クセ」や「面不良」は、例えば、凹メニスカスレンズにおいては、凸面側の中央において局所的に曲率半径が低下する傾向のものが多くみられた。このような凸面側の中央部分は、通常、成形型1との離型時に最後まで成形面21と接触している部分であり、成形面形状を忠実に転写するとの予想に反するものであった。また、このような特異な「クセ」は、冷却中にガラス粘度が1010ポアズ相当となる温度以下において荷重を印加した場合に、特に顕著に見られた。
[本発明の実施に好適なモールドプレス成形型]
つぎに、本発明の実施に好適なモールドプレス成形型について、その参考例を図2〜図4を参照して説明する。ただし、上記の比較例と共通する構成については、比較例と同じ符号を付し、比較例の説明を援用する。
図2は、本発明の実施に好適なモールドプレス成形型の第一参考例を示す断面図、図3は、本発明の実施に好適なモールドプレス成形型の第二参考例を示す断面図、図4は、本発明の実施に好適なモールドプレス成形型の第三参考例を示す断面図である。
図2〜図4に示す成形型1は、いずれも、光学有効径内において中心部が肉厚最小部となる光学素子をプレス成形するものであり、上型10及び下型20が、成形面11、21における光学有効径の外側に、成形素材2に対して最大荷重を印加する最大荷重部11a、21aを備えている。
図2〜図4に示す参考例では、上型10及び下型20が、少なくとも光学有効径内を成形する円柱状の内型16、26と、この内型16、26を包囲し、少なくとも光学有効径外の一部を成形する円筒状の外型17、27を有し、外型17、27の成形面によって最大荷重部11a、21aが構成されている。なお、上下内型16、26の線熱膨張率をα、上下外型17、27の線熱膨張率をαとする。
上外型17は、内周面が上内型16の外周面に接し、上端面が上内型16のフランジ部下面に当接することにより、上内型16に対して位置が規制される。また、下外型27は、内周面が下内型26の外周面に接し、下端面が下内型26のフランジ部上面に当接することにより、下内型26に対して位置が規制される。上下の外型17、27は、それぞれ上下の内型16、26と一体的に扱われるが、線熱膨張率の差による相対移動は許容される。
上外型17の下端に形成される成形面(最大荷重部11a)は、光学有効径の外側で成形レンズ2の上面部を成形し、下外型27の上端に形成される成形面(最大荷重部21a)は、光学有効径の外側で成形レンズ2の下面部を成形する。図2に示す例では、光学有効径の外側に、中心部(Lc)よりも肉厚が薄い部分は存在せず、成形レンズ2の中心部(Lc)が肉厚最小部分となっている。成形レンズ2の外周は、胴型30に接して外径を規定されてもよいし、胴型30に接触しなくてもよい。なお、成形レンズ2において上下外型17、27の成形面形状が転写される部分をB部2b、B部2bを通る垂直線をLbとする。
成形レンズ2の中心肉厚をtc、上内型16、下内型26の高さをそれぞれX、Y、上外型17、下外型27の高さをそれぞれV、Wとすると、プレス成形時においては、上内型16の上端面14から下内型26の下端面24までの垂直距離が、H(=X+Y+tc)であり、成形レンズ2の中心部(Lc)では、上内型16の上端面14と下内型26の下端面24との間が、厚さ(X+Y)の内型素材と、厚さtcのガラスから構成される。また、B部2b(Lb)では、上内型16の上端面14と下内型26の下端面24との間が、厚さ{H−(V+W)−tp}の内型素材と、厚さtpのガラスと、厚さ(V+W)の外型素材から構成される。
プレス成形から離型するまでの温度差(Kとする)により、上内型16、下内型26、成形ガラス2、上外型17及び下外型27が熱収縮する。B部2b(Lbと、中心部(Lc)のプレス軸方向の収縮量を比較すると、
中心部(Lc)の収縮量Scは、
K{(X+Y)α+tc α} … 式(3)
B部2b(Lb)の収縮量Sbは、
K〔(V+W)α+{X+Y+tc−(V+W)−tp}α+tp α
… 式(4)
ここで、中心部(Lc)の収縮量Scよりも、B部2b(Lb)の収縮量Sbが小さくなるように、上記式における各変数(α〜α、V、W、X、Y)を選択すれば、成形レンズ2の受ける最大荷重は、中心部(Lc)ではなく、光学有効形外のB部2b(Lb)となる。すなわち、得ようとする光学素子の形状や熱線膨張率を勘案し、上記のような関係になるように、上下内型16、26及び上下外型17、27の寸法と素材を選択すれば、成形レンズ2の中心部に対する荷重の集中を回避し、これを原因として中心部に生じる「クセ」や「面不良」を防止することが可能になる。
式(3)と式(4)の差:
K{(tc−tp)(α−α)+(V+W)(α−α)}
… 式(5)
が正となるように各部材の素材と寸法を決めれば良い。
なお、通常、α>αであり、凹レンズではtc<tpであるので、式(5)が正となるためには、α>αであることが必要となる。
αは、300℃〜800℃の範囲内における所定の温度範囲で、αより小さいことが好ましい。特に、300℃〜650℃の範囲内における所定の温度範囲で、αがαより小さいことが好ましい。
図2〜図4に示す最大荷重部11a、21aは、光学有効径の外側に位置し、プレス軸に垂直な平面をもつ上外型及び/又は下外型の成形面からなる。この部分は、成形レンズ2の外端部に、つば状の平坦部を成形する。このような成形面を利用して、最大荷重の印加を行うことが好ましい。最大荷重を印加する成形面がプレス軸との間に30°未満の角度をもつと、成形レンズ2に過度の歪が生じ、割れや欠けが生じ易くなるため、30°未満が好ましく、より好ましくは、実質的にプレス軸と垂直な平面とする。
上内型16、下内型26及び胴型30に用いる素材としては、成形素材に応じた必要温度での耐熱性と、十分な強度を有し、かつ精密な形状加工が可能な素材が好ましい例えば、セラミック(炭化珪素、窒化珪素など)、超硬、金属などを用いることができる。
また、上外型17及び下外型27に用いる素材としては、組合わせる上内型16、下内型26との間に、式(5)が正となるような関係が成立する素材を選択する。例えば、高耐熱ガラスセラミックスなどを用いることができる。
上下内型16、26と上下外型17、27の間は、熱間時のクリアランスが5μm以内となるようにすることが好ましい。そのようにすることで、光学素子の充分な偏心精度が得られるとともに、軟化ガラスが入り込むことを抑止できる。
なお、ガラス素材の供給あるいは成形した光学素子の取り出しのため上型と下型を開いたときに、上外型17が落下しないように固定手段で固定するようにしてもよい。例えば、図2に示すように、上外型17から上内型16にかけて固定ピン40を嵌め込んで上外型17を上内型16に固定する。このとき、固定ピン40を収納する上外型17に形成した凹部16aと、固定ピン40との間に寸法的に遊びを持たせておくと、上外型17の熱収縮時における動きを妨げることがない。
光学有効径の外側に最大荷重を印加するための手段は、上記の例に限定されない。上記の例では、内型16、26と外型17、27の線熱膨張率の差を利用して、成形レンズ2における光学有効径の外側に最大荷重を印加したが、他の装置(方法)を用いて、光学有効径の外側に最大荷重を印加してもよい。
ただし、成形型1を構成する各部材の熱線膨張率の差を利用して、プレス面内の荷重分布を制御するという本実施形態の方法は、駆動装置が複雑にならない上、極めて安定的で、再現性が良いことから、量産上のメリットが極めて大きい。
本発明の実施に好適なモールドプレス成形型としては、例えば、図5に示すような装置を用いることができる。
図5に示す装置は、次のような構成となっている。すなわち、上型10を、上内型16と、この上内型16と胴型30の間に位置する上外型17とで構成し、かつ、これら上内型16と上外型17をそれぞれ異なる成形内軸41と成形外軸42に連結してある。そして、成形内軸41は、図示しない駆動装置によって上下動し、成形外軸42は、図示しない1又は2の駆動装置によって上下動するよう連結してある。
このような構成としてあるので、プレス成形につぐ冷却の過程において、駆動装置によって成形内軸41と成形外軸42を個別に制御することにより、上内型16よりも上外型17の荷重印加を大きくすることが可能となる。
[光学素子の製造方法]
本発明においては、上記の成形型を用い、成形素材として例えば光学ガラスからなるガラス素材を用い、プレス成形を行う。
本発明に用いる成形素材は、ガラス素材であることができ、所望の性質を有する光学ガラスを平板状、柱状、球状、平凸形状、平凹形状、又は両凸形状などの形状に予備成形したものとすることができる。このようなガラス素材は、溶融ガラスを受け型上に滴下、又は流下したり、冷間で切断したり、あるいは研磨などの加工によって得ることができる。
本発明に適用するガラス素材としては、ガラス転移点以上の線熱膨張率が600×10−7/K〜1800×10−7/Kの範囲であるものが好適に用いられる。
上記のように予備成形されたガラス素材を、上下型間に供給、配置する。
プレス成形開始時のガラス素材の温度は、粘度が10ポアズ以下となる温度であることが好ましい。より好ましくは、105.5〜10ポアズの範囲である。一方、上下型からなる成形型温度は、ガラス素材の粘度で10ポアズ以上となる温度範囲が好ましい。より好ましくは10〜10ポアズである。
ガラス素材を室温で成形型内に供給し、両者を同時に加熱してもよく、又は、供給前に型外で予熱されたガラス素材を、予熱された成形型に供給してもよい。また、供給後に更に成形型とガラス素材を加熱してもよい。
型外で予熱されたガラス素材を、予熱された成形型に供給する場合には、ガラス素材の予熱温度を成形型の予熱温度より高くし、供給後ただちにプレス成形を開始する方法を採ることができ、成形サイクルタイムの短縮に有利である。この場合、成形型の予熱温度は10〜1012ポアズ相当、より好ましくは10〜1010ポアズ相当、ガラス素材の予熱温度は、105.5〜108.5ポアズ相当が好ましく、より好ましくは、10〜10ポアズ相当である。
上下型の温度は同一でもよく、差を設けても良い。プレス成形するレンズ形状や、硝材に応じて決定することができる。
ガラス素材を型外で予熱する場合には、ガラス素材を、不活性ガスによって浮上させた状態で加熱炉に所定時間配置し、加熱することが好ましい。その後、浮上治具に配置したまま下型上に移送し、浮上治具を分割することによって、ガラス素材を落下させ、下型上に供給することができる。
成形型内に供給されたガラス素材は、上型と下型の接近により荷重(第一荷重)が印加され、この過程でガラス素材は大きく変形し、所望の光学素子形状に近似し、所定肉厚(最終肉厚より大きい)をもつ成形レンズとなる。第一荷重の印加と同時、又はその後の所定時点で冷却を開始し、ガラス粘度で1012ポアズ以上となったときに、上下型を離間し、離型する。好ましくは、1013〜1014ポアズの粘度であるときに離型する。
本発明の製造方法では、冷却中に第二荷重を印加する。第二荷重は、第一荷重に続いて行われる。このようにすると、連続的な荷重の印加により、成形難度の高い形状のレンズでも成形が可能である。
第二荷重の大きさは、第一荷重の20%〜90%の範囲、より好ましくは20%〜60%の範囲である。第二荷重をこの範囲とすると、高い面精度を得られる点で好ましい。
また、冷却中のガラスの粘度が1010ポアズ以上に相当するいずれかの温度において第二荷重の印加が行われることが好ましい。また、より好ましくは、ガラス粘度が1012ポアズ以上に相当するいずれかの温度において第二荷重の印加を行う。このようにすると、最大荷重部の効果が顕著となり、「クセ」や「面不良」の発生が抑制された高精度の光学素子を得ることができる。
[モールドプレスレンズ]
本発明の光学素子は、光学有効径内において中心部に肉厚最小部をもつ凹レンズである。これを満たす限り、形状は限定されない。例えば、球面を有していても、非球面を有していてもよい。特に、中心肉厚の小さい凹レンズ(例えば、中心肉厚が1mm未満のもの)において、本発明の効果が顕著である。更に、中心と周辺の肉厚差が大きいもの(特に、光学有効径内における肉厚最小部と肉厚最大部の肉厚比が2倍以上、更には3倍以上のもの)において、本発明の顕著な効果が得られる。
つぎに、本発明の実施形態について、比較例、参考例及び実施例を用いて具体的に説明する。なお、以下に示すものは、本発明の技術的範囲を何ら限定するものではない。
[比較例]
図1に示す成形型1を用いて、凹レンズを成形した。なお、上型10、下型20及び胴型30の素材には炭化珪素を用いた。該素材の線熱膨張率は35×10−7/Kである。成形レンズ2は両球面の凹メニスカスレンズであり、凹面曲率半径は2mm、凸面曲率半径は12mmとした。また中心肉厚は0.4mmから0.8mmまでの範囲に設定した。該レンズの光学的機能領域は中心部から2.5mmの部分までである(光学有効径は5.0mm)。
上型10、下型20及び胴型30を組上げ、球形状のガラス素材(ここではバリウムホウケイ酸ガラス:ガラス転移点514℃、屈伏点545℃、ガラス転移点以上の温度域での線膨張係数は約1180×10−7/K)を室温の状態で上型10、下型20及び胴型30からなる閉空間内に配置した。これらを加熱手段により加熱し、ガラス素材のガラス粘度が107.5ポアズになる温度とした。つぎに、上型10のフランジ部15と胴型30の上端面33が当接しないようにして、荷重(第一荷重)を印加し、同時に冷却を開始した。この際の印加荷重は120kg/cmとし、ガラス粘度が1010ポアズとなる温度まで降温した。
さらに、ガラス粘性が1010ポアズ以上(555℃以下)となる温度領域において、上型10のフランジ部15と胴型30の上端面33が当接しない条件の下、第二荷重の印加及び冷却を継続した。この際、第二荷重を表1に示すように変化させた。
つぎに、この状態を維持しつつ、ガラス転移温度以下まで冷却した。その後、プレス軸を成形型1から離し、急冷を行い、70℃以下まで低下した時点で上型10、下型20及び胴型30を分解し、成形レンズ2を取り出した。表1に示した条件で作製したそれぞれの試料の凸面側球面形状を、光干渉計を用い、表2に示す評価基準にもとづいて評価した。干渉縞の例を図6及び7に示す。
また、前記一連の作業を、中心肉厚が0.4mm、0.6mm、0.8mmの成形レンズ2について、それぞれ行った。
図1に示すように、比較例で用いた上型10、下型20及び胴型30の組合せでは、成形レンズ2の中心部(Lc)から半径2.6mmの部分に肉厚が最大となるA部2a(La)がある。光学素子としての使用領域である半径2.5mmより外側には、成形レンズ2の中心部(Lc)よりも肉厚が薄い被転写面は存在せず、成形レンズ2の中心部(Lc)が肉厚最小部となっている。A部2a(La)の肉厚は、中心肉厚よりも1.1mm厚くなっている。
例えば、成形レンズ2の中心肉厚が0.6mmの場合は、加圧成形時における上型上端面14から下型下端面24までの距離は28.4mmであり、成形レンズ2の中心部(Lc)では、上型上端面14から下型下端面24までの間が、厚さ27.8mmの炭化珪素と、厚さ0.6mmのバリウムほう珪酸ガラスから構成される。また、A部2a(La)では、上型上端面14から下型下端面24までの間が、厚さ26.7mmの炭化珪素と、厚さ1.7mmのバリウムほう珪酸ガラスから構成される。
前記のように、本比較例では、プレス成形開始から離間するまでの間、常に荷重を印加しつつ冷却しており、プレス成形開始から離間するまでの温度差は約150℃であった。表3は、この温度差による成形レンズ2のA部2a(La)及び中心部(Lc)における収縮量を示している。
A部2a(La)は、肉厚が最低である中心部(Lc)と比較して19μm程度収縮量が多い。この差は、特に離型温度に近い温度領域において、成形レンズ2の部位による荷重の相違を意味する。すなわち、A部2a(La)においては、成形面11、21と成形レンズ2の間に間隙が生じるか、又は、成形面11、21と成形レンズ2が密着している場合には、小さな荷重しか印加されないこととなる。一方、中心部(Lc)においては、印加される荷重が集中する。
この結果としては、表4に示すように、成形レンズ2の中心肉厚が0.4mm、0.6mmのときは、いずれの第二荷重においても満足な面形状は得られておらず、成形レンズ2の中心肉厚が0.8mmのときは、第二荷重40kgf/cmにおいてやや良好な面形状を得たものの、良好な面形状が得られる条件幅が非常に狭いことが判明した。
参考例1]
図2に示す成形型1を用いて、比較例と同様のレンズを同様のプロセスで成形した。この上型10、下型20及び胴型30の組合せでは、上型10及び下型20が、それぞれ内型16、26及び外型17、27を有し、上内型16と胴型30との間に上外型17が配置され、下内型26と胴型30の間に下外型27が配置される。上外型17及び下外型27は、線熱膨張係数15×10−7の高耐熱ガラスセラミックスからなっている。
上外型17の下端に形成される成形面は、成形レンズ2の中心部(Lc)から半径6mm程度の部分(B部2b)で成形レンズ2の上面部と当接し、下外型27の上端に形成される成形面は、成形レンズ2の中心部(Lc)から半径6mm程度の部分(B部2b)で成形レンズ2の下面部と当接するようにしてある。光学素子の光学的機能領域である半径2.5mmより外側には、成形レンズ2の中心部(Lc)よりも肉厚が薄い部分は存在せず、成形レンズ2の中心部(Lc)が肉厚最低部分となっている。また、B部2bにおける成形レンズ2の肉厚は、成形レンズ2の中心肉厚よりも0.4mm厚くなっている。
例えば、成形レンズ2の中心肉厚が0.6mmの場合は、プレス成形時において、上内型16の上端面14から下内型26の下端面24までの距離が37.0mmであり、成形レンズ2の中心部(Lc)では、上内型16の上端面14と下内型26の下端面24の間が、厚さ36.4mmの炭化珪素と、厚さ0.6mmのバリウムほう珪酸ガラスから構成される。また、B部2b(Lb)では、上内型16の上端面14と下内型26の下端面24の間が、厚さ9.8mmの炭化珪素と、厚さ1mmのバリウムほう珪酸ガラスと、厚さ26.2mmの高耐熱ガラスセラミックスから構成される。
表5は、150℃の冷却によるB部2b(Lb)及び中心部(Lc)5の収縮量を示している。B部2b(Lb)は、肉厚が最小である成形レンズ2の中心部(Lc)と比較して1μm程度収縮量が少ない。このため、冷却工程においては、成形レンズ2の中心部(Lc)に荷重が集中することがない。特に、離型温度に近い温度領域において、成形レンズ2の中心部(Lc)に過度の応力が集中することが回避される。
表6に示すように、中心肉厚が0.4mm、0.6mm、0.8mmの成形レンズ2では、いずれの肉厚においても良好な面形状が得られる第二荷重条件が存在し、また、表4に示した比較例の結果と比較して、良好な面形状が得られる条件幅が非常に広いことが判明した。
参考例2]
また、上記した図3に示す、上型10及び下型20の成形面11および21がともに成形型1を用いて両凹レンズを成形し、上記した図4に示す成形型1を用いて平凹レンズを成形した。その結果、上記実施例1と同様の優れた効果が得られた。
[実施例
図5に示す装置を用いて、比較例と同様の凹メニスカスレンズを成形した。本装置においては、加圧成形に必要な成形軸が同心円状二重構造を成しており、成形外軸41、成形内軸42のそれぞれが別の駆動源により駆動される。
また、本実施例の上下型10,20および胴型30の組合せでは、上内型16と胴型30の間に上外型17が具備されており、上内型16、下型20、胴型30および上外型17は、線熱膨張係数35×10−7/Kの炭化珪素からなっている。
また、成形内軸42上内型16の上端部のみに、成形外軸41は上外型17の上端部のみにそれぞれ荷重印加できるようになっている。上外型17の下端部は成形レンズ中心部から半径6mm程度の部分で成形レンズ上面部と当接するようになっている(以下、C部と表記する)。光学素子の光学的機能領域である半径2.5mmより外径部には、成形レンズ中心部よりも肉厚が薄い被転写面は存在せず、成形レンズ中心部が肉厚最低部分となっている。また、C部における成形レンズ肉厚は、成形レンズ中心肉厚よりも0.4mm厚くなっている。
上内型16、上外型17、下型20及び胴型30を組上げ、球形状のガラス素材を温室の状態で上内型16、上外型17、下型20及び胴型30からなる閉空間内に配置した。これらを加熱手段により加熱し、ガラス素材のガラス粘度が107.5ポアズになる温度とした。ついで、上外型フランジ部と胴型上端部が当接しないようにして、成形外軸41および成形内軸42を同速度、同荷重で荷重印加し、同時に冷却を開始した。この際の印加荷重は、120kgf/cmとし、ガラス粘度が1010ポアズとなる温度まで降温した。
さらに、ガラス粘度が1010ポアズ以上となる温度領域において上外型フランジ部と胴型上端部が当接しない条件の下、第二荷重の印加および冷却を継続した。この際、成形外軸41の第二荷重を60kgf/cmに固定し、かつ、成形内軸42の第二荷重は表7に示すように変化させた。
この状態を維持しつつ、ガラス転移温度以下まで冷却した。ついで、成形外軸41および成形内軸42上外型17の上端部および上内型16の上端部からそれぞれ離し、急冷を行い、70℃以下まで低下した時点で上内型16、上外型17、下型20及び胴型30を分解し、成形レンズを取り出した。前記表7に示した条件で作製した各々の試料の凸面側球面形状を、光干渉計を用いて表2に示す評価基準に基づき評価した。
前記一連の作業を成形レンズの中心肉厚0.4mm、0.6mm、0.8mmそれぞれに関して行った。
表7に凸面側面形状の結果を示したように、成形内軸の第二荷重が少ない場合に割れが発生するものの、成形レンズ中心肉厚0.4mm、0.6mm、0.8mmのいずれの肉厚においても良好な面形状が得られる第二荷重条件が存在し、また、比較例の結果と比較して良好な面形状が得られる条件幅が広いことが判明した。
本発明は、所望の光学素子形状にもとづいて精密加工され、高精度ガラスレンズなどの光学素子をプレス成形する光学素子の製造方法に適用される。特に、光学有効径内において中心部が肉厚最小部となる凹メニスカスレンズ、平凹レンズ、両凹レンズなどの凹レンズをプレス成形する場合に、好適に用いることができる。
1 成形型
2 ガラス素材(成形レンズ)
10 上型
11 成形面
11a 最大荷重部
16 上内型
17 上外型
20 下型
21 成形面
21a 最大荷重部
26 下内型
27 下外型
30 胴型

Claims (6)

  1. 対向する成形面を有する上型および下型と、前記上型および下型の相対位置を規制する胴型とを備えたモールドプレス成形型によって、成形面間に配置した成形素材をプレスし、成形素材に成形面形状を転写することにより、光学有効径内において中心部が肉厚最小部となり、周辺部が中心部よりも肉厚の厚い凹レンズを成形する光学素子の製造方法であって、
    前記上型が、前記凹レンズの凹面側を成形し、かつ、少なくとも光学有効径内を成形する上内型と、この上内型を包囲し、少なくとも光学有効径外の一部に荷重印加する上外型とを有し、
    前記下型が、前記成形面の中心部を通過する中心線と平行な胴部と、該中心線と直交するフランジ部を有し、
    前記胴型が、前記上外型の外周面に摺接して前記上型の径方向の位置と倒れを規制する内周面と、前記下型のフランジ部に当接して前記下型の鉛直性を規制する下端面を有し、
    前記上内型と前記上外型をそれぞれ異なる成形内軸と成形外軸に連結するとともに、前記成形内軸と前記成形外軸は、それぞれ駆動装置によって個別に制御されて上下動するモールドプレス成形型を用いて、
    前記ガラス素材を、前記成形型内に供給し、
    前記ガラス素材が加熱により軟化した状態で、前記成形型に第一荷重を印加して、前記成形型の成形面形状を前記ガラス素材に転写し、
    前記ガラス素材の冷却中に、前記第一荷重の印加に続いて第二荷重を印加し、
    前記ガラス素材を所定温度まで冷却した後、離型する
    ことを特徴とする光学素子の製造方法。
  2. 前記第二荷重の印加が、前記成形型内でプレス成形された前記ガラス素材の粘度が1010ポアズ以上に相当する温度であるときから、離型する温度までのいずれかの温度域において行われることを特徴とする請求項1記載の光学素子の製造方法。
  3. 前記第一荷重を印加するときは、前記成形外軸および前記成形内軸を同荷重で荷重印加し、
    前記第二荷重を印加するときは、前記成形内軸よりも前記成形外軸の荷重が大きくなるように荷重印加することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子の製造方法。
  4. 前記第二荷重の大きさは、前記第一荷重の20%〜90%の範囲であることを特徴とする請求項3に記載の光学素子の製造方法。
  5. 前記上外型の上端部が前記成形外軸に当接し、前記上外型の下端部が前記成形素材の周辺部に当接するように第二荷重を印加することを特徴とする請求項1〜4いずれか一項に記載の光学素子の製造方法。
  6. 前記凹レンズは、光学有効径内における肉厚最小部と肉厚最大部の肉厚比が2倍以上であることを特徴とする請求項1〜5いずれか一項に記載の光学素子の製造方法。
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