JP2011132096A - 光学素子の成形装置及び成形方法 - Google Patents

光学素子の成形装置及び成形方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、上下型の偏心精度を良好に維持し、高精度の光学素子を安定して生産することができる光学素子の成形装置を提供する。
【解決手段】上型2、下型3及び胴型4で構成される成形型と、上型2及び胴型4の上端を保持する上型保持部材5と、下型3の下端を保持する下型保持部材6と、上型保持部材5及び下型保持部材6の少なくとも一方を上下動する駆動手段とを備え、成形型内に光学素子成形素材を収容し、該光学素子成形素材を軟化温度以上に加熱した後、上型保持部材5及び下型保持部材6の少なくとも一方を互いに接近する方向に移動して光学素子成形素材を所定形状の光学素子に成形する光学素子の成形装置において、下型3が水平移動可能なように、下型保持部材6が転動体9を介して基台8上に設置されている光学素子の成形装置1。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学素子の成形装置及び成形方法に係り、特に、成形時の成形型の偏心を防止し、高い形状精度を確保することができる光学素子の成形装置及び成形方法に関する。
現在、小型撮像機器や、光ピックアップなどに用いられる光学素子は、光学的な要求性能が非常に高くなってきており、プレス成形により、かかる要求を満す光学素子を製造するためには、上下型の偏心精度、すなわち、同軸性が良く相対的な傾きが少ないことを、連続プレス工程の間を通じて極めて高く維持することが求められる。この状況下で確実に上下型の接近が連続的に行われなくてはならない。
例えば、ガラス素材を用いて非球面レンズなどの光学素子を製造する方法として、互いに対向する成形面を有する一対の成形型によって、加熱軟化状態とした成形素材をプレス成形し、これらの成形型の成形面を成形素材に転写するプレス成形による光学素子の成形方法が知られている。
このプレス成形を実施するために用いる成形型の成形面の高温劣化を防止し、成形サイクルタイムを短縮化するために、成形型と成形素材とをそれぞれ別々に予熱し、予熱された成形素材を成形型に導入して直ちにプレス成形を行う方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この方法は、サイクルタイムを短縮して生産性を維持しつつ、面精度の優れたガラス光学素子の成形をしようとするものである。
また、一対の成形型の一方を、型閉め・型開き方向に直交する方向に摺動可能にし、その摺動抵抗を低減するために、下型と下型支持台との摺動面に潤滑処理を施した成形型が知られている(例えば、特許文献2参照)。この成形型によれば、型閉め時に、下型胴型に挿入される際、下型が水平方向に容易に移動し、上型と同軸状態になるように位置が補正される。そのため、上下型や胴型に無理な力が作用することを防止し、これらの間に摺れやかじりが生ずることを回避しようとするものである。
さらに、第一及び第二の型と、これらが同軸状に挿入される胴型とを有し、第一の型と第一の型保持部材との間に転動部材が配設されたモールドプレス成形型が知られている(例えば、特許文献3参照)。この成形型によれば、第一の型を水平方向に円滑に移動させるようにして、第一及び第二の同軸性を高度に確保して、摺れやかじりが生ずることを回避しようとするものである。
特開平11−171564号公報 特開2006−83026号公報 国際公開第2008/053860号パンフレット
しかしながら、特許文献1のような成形方法は、必要な精度の光学素子が得られるように、上下型を同軸状とするための胴型と、これによってガイドされる上下型との摺動面とのクリアランスが狭く設定されている。
このような狭いクリアランスでの摺動を維持して、数百〜数万回もの連続プレスを行うことは一般に困難である。特に、特許文献1に開示されている方法では、型開き状態の成形型を予熱し、予熱状態で型閉めを行うので、その予熱により上下型の保持部材がそれぞれ膨張して変形してしまうため、高温環境下において上下型の同軸性を保持することが一層困難である。
そのため、そこに配置された複数の上型、下型のそれぞれが、正確に中心軸を一致させた状態で接近、密着する状態を、数百〜数万回の連続プレス工程で維持し続けることは極めて困難である。
このプレス成型の型閉め時に、胴型に対して上下型が僅かにでもずれてしまうと、プレス時には大きな荷重が作用するので、擦れやかじりが発生すると、光学素子にかかるべき荷重が胴型、下型間に吸収され、プレス圧力が光学素子に不均一に作用し、偏心精度、面精度、肉厚精度の劣化や、胴型、下型の破損などが生じてしまう。
また、擦れやかじりによって生じた磨耗粉が光学素子に付着すると、光学素子は外観不良ともなる。さらに、こうした擦れやかじりが発生すると、胴型と下型間のクリアランスが所定範囲を超えてしまい、結果として胴型による下型の位置規制が緩くなる。これは、上型と下型の同軸性が失われることを意味し、上型と下型間の水平方向のズレ(ディセンタ)や、上型と下型の相対的な傾き(チルト)が生じる。光学素子において、このようなズレや傾きは、深刻な性能劣化となる。
また、特許文献2のような成形方法では、下型の水平移動を容易にし、胴型と下型の摺れやかじりを防止しているが、プレス成形毎に下型と下型支持部材との摺動面で摺動が繰り返されるため、プレス成形の回数が増加するにつれて、この摺動面が劣化、摩耗し、定期的に潤滑処理を行わなければならない。また、胴型に下型が挿入される際、確かに摺動面への潤滑処理により下型の水平移動は容易になるが、下型と下型支持部材とが面接触しているため、水平移動のための必要な初期モーメントが比較的大きくなり、必ずしも下型の水平移動を円滑に行えないこともある。
また、特許文献3のような成形型を用いた方法は、下型の水平移動が円滑に行うことができ、胴型と下型の摺れやかじりを防止して、成形型の同軸性を高度に確保することができるものであるが、第一の型に転動部材が直接接触しているため、転動部材の高温状態における特性を考慮して材質を選択しなければならないものであった。さらに、第一の型が胴型とのクリアランス以上にずれてしまった場合、かじりを生じることとなってしまい、クリアランスを非常に狭い範囲で厳密に管理しなければならなかった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、上下型の偏心精度を良好に維持し、高精度の光学素子を安定して生産することができる光学素子の成形装置及びこの成形装置を用いた光学素子の成形方法を提供することを目的とする。
本発明の光学素子の成形装置は、上型、下型及び胴型で構成される成形型と、上型及び胴型の上端を保持する上型保持部材と、下型の下端を保持する下型保持部材と、上型保持部材及び下型保持部材の少なくとも一方を上下動する駆動手段とを備え、成形型内に光学素子成形素材を収容し、該光学素子成形素材を軟化温度以上に加熱した後、上型保持部材及び下型保持部材の少なくとも一方を互いに接近する方向に移動して光学素子成形素材を所定形状の光学素子に成形する光学素子の成形装置において、下型が水平移動可能なように、下型保持部材が転動体を介して基台上に設置されていることを特徴とするものである。
また、本発明の光学素子の成形方法は、本発明の光学素子の成形装置を用いて、成形型上で光学素子成形素材を加熱軟化し、軟化した光学素子成形素材を成形型によりプレス成形して光学素子形状を付与し、光学素子形状が付与された光学素子成形素材を冷却固化させることを特徴とするものである。
本発明の光学素子の製造装置によれば、下型が、転動体を介して基台上に設置されているため、下型の水平方向の移動が微小な初期モーメントによっても円滑になされるようにすることができる。そのため、プレス成形時に、下型と上型の軸芯が一致していなくても、下型が胴型内に挿入される際に、下型が円滑に水平方向に移動して所定の位置に誘導され、容易に上型との同軸性を確保することができる。また、下型が直接転動体に接していないため、転動体が高温状態になるのを抑制することができる。
本発明の一実施形態である光学素子の成形装置の概略構成を示す断面図である。 図1の光学素子の成形装置のプレス成形時の配置を示した図である。 本発明の他の実施形態である光学素子の成形装置の概略構成を示す断面図である。 図3の要部である復帰機構の動作及びその作用を示した図である。
以下、本発明について図面を参照しながら詳細に説明する。まず、図1は本発明の一実施形態である光学素子の成形装置の概略構成を示した断面図である。
この光学素子の成形装置1は、光学素子成形素材を内部に収容しプレス成形するための上型2、下型3及び胴型4とで構成される成形型を備え、この上型2及び胴型4を保持する上型保持部材5と、下型3を保持する下型保持部材6と、この下型保持部材6を固定した保持部材ホルダ7と、保持部材ホルダ7が載置され、水平移動を制限する側壁を有する基台8と、保持部材ホルダ7と基台8との間に設けられた転動体9と、を有して構成されている。
また、上型保持部材5は上軸10に、基台8は下軸11に接続、固定されており、上軸10は装置上部に固定されて動かないようになっており、下軸11は図示しない駆動手段により上下移動可能となっており、この下軸11の上下移動に伴って、基台8を上下移動させることができるようになっている。さらに、上型2及び下型3を加熱するために、上型保持部材5の内部を貫通させて上型2の内部に挿入された上ヒータ12、下型保持部材6の内部を貫通させて下型3の内部に挿入された下ヒータ13が設けられている。
ここで、上型2は光学素子の上面を、下型3は光学素子の下面を形成するためのものであり、それぞれ上成形面2a、下成形面3aが設けられている。この上成形面2a及び下成形面3aを対向配置させて一対の成形型として用い、成形しようとする光学素子の形状を光学素子成形素材に転写する。これらの成形面は、例えば、球面又は非球面形状とすることができ、図1には、両凸形状の形成面を示したが、これに限られず、両凹、平凸、平凹、凸メニスカス、凹メニスカス形状のいずれの形状の光学素子を成形する成形型であってもよい。
そして、互いの成形面2a,3aが向き合うようにして上型2及び下型3を配置させた状態で相互に近接させることにより、上型2と下型3との間に供給された成形素材をプレス成形するようにしてある。この成形型はタングステンカーバイド等の超硬合金製のもので形成することが好ましい。
この下型3は、プレス成形時に、胴型4がその内部に下型3の本体を嵌合させるようにして上型2及び下型3の位置合わせを行うようになっており、プレス成形動作がなされる際に、中空円筒状の胴型4の下部側の中空部分に下型3の本体が挿入される(図2参照)。
下型3の本体が胴型4内に挿入されると、上下型2,3のそれぞれに胴型4の内周面が接触することとなり、これによって、上下型2,3の同軸性を確保することができる。このとき、下型3の本体外周面と、胴型4の下部側の内周面とのクリアランスが大きすぎると、上型2と下型3の軸心がずれ、チルトやディセンタなどの偏心不良を招いてしまい、上下型2,3の同軸性を確保するのが困難になる。このため、下型3の本体外周面と、胴型4の下方側内周面とのクリアランスは、要求される光学素子の偏心精度を考慮すると、0.5〜10μmとすることが好ましく、1〜5μmとすることがより好ましい。
図1に示したように、上型2は、胴型4とともに、上型保持部材5に保持されており、下型3は、下型保持部材6に保持されている。これらの保持部材5,6は、成形型と同様にプレス成形時に大きな圧力を受けるが、上型2及び下型3の水平度を維持しながら、繰り返しプレス成形を行うものであるため、いずれもタングステンカーバイド等の超硬合金等の耐熱性、強度等に優れたものとすることが好ましい。
より具体的に構造を説明すると、上型2及び胴型4は、上型保持部材5に固定されているが、上型2は成形面2aが形成された円柱状の本体と、その本体より径の大きいフランジとが同心状に配された形状となっており、胴型4にはそのフランジ部に対応して内周上部に、内径よりも大きな径を有する段を有し、上型保持部材5の下面に固定するに際して、上型2のフランジが、胴型4の内周に形成された段面と上型保持部材5の下面との間に狭まれて保持されるようになっている。このとき、上型2の円柱状の本体は、胴型4の中空部分に同心状に挿入された状態となっている。そして、上型2は、フランジが狭持された状態で、上型保持部材5に保持、固定されており、水平方向及び軸方向の移動が抑止されている。
また、下型3も上型2と同様に、成形面3aが形成された円柱状の本体と、この本体より径の大きいフランジとを同軸に配した形状となっており、下型保持部材6に保持されている。
ここで、下型保持部材6は保持部材ホルダ7に固定されており、この保持部材ホルダ7は、基台8により水平方向への移動が規制されるようになっている。基台8による水平方向への移動の規制は、基台8の外周部に側壁8aを設けて、その側壁8aの内側に遊嵌状に保持されるように保持部材ホルダ7を収容すればよい。
そして、この保持部材ホルダ7と基台8との間には転動体9が設けられており、この転動体9は、保持部材ホルダ7の水平移動を容易にするものであり、プレス時に上型2及び下型3の同軸性を高めることを容易にするために設けられている。
さらに、基台8は下軸11に固定されており、この下軸11は、図示しないサーボモータ、エアーシリンダ等の昇降機構を有する駆動手段に接続され上下移動可能に構成されている。また、上型保持部材5は上軸10に固定されており、こちらの上軸10は固定軸となっているため、上型2の位置は上下左右いずれにも移動できないようになっている。
なお、上型保持部材5と下型保持部材6とを別々に駆動手段と接続させて、上下型2,3の両方が各保持部材と共に軸方向に沿って上下動するようにしてもよいし、上記説明とは逆に、上型2を上下移動可能とし、下型3を固定するようにしてもよい。すなわち、上型2及び下型3の少なくとも一方を上下移動可能とすればよい。
これにより、保持部材ホルダ7の軸方向の移動範囲を規制することは、下型3の軸方向の移動範囲を規制することとなり、また、保持部材ホルダ7の外周面と、基台8の側壁の内周面との間に、所定のクリアランスを確保することで、このクリアランスの分だけ、保持部材ホルダ7が水平方向(軸方向に直交する方向)に移動できるようにしてある。
そして、この水平方向への移動は、保持部材ホルダ7が転動体9を介して基台8上に設置されることによりなされ、転動体9は保持部材ホルダ7の下面に接触して設けられた転動可能な部材である。
この転動体9は、直径が均一な球状部材とすることが好ましい。転動体9としては、ベアリング鋼と呼ばれる高炭素高クロム鋼材や、窒化ケイ素(SiN)、炭化ケイ素(SiC)、ジルコニア(ZrO)、アルミナ(Al)等のセラミックス、又は炭化タングステン(WC)等を含むサーメット、その他の金属などの高硬度の素材によって形成された、直径0.1mm〜5mmの真球状の部材を用いることができる。
これらの素材からなる転動体9は、上記したもののうち1種を用いて構成することが好ましいが、下型3を水平に固定された状態を維持できるものであれば異なる種類の素材からなる複数種を混合して構成してもよい。
なお、転動体9の形状は、真球状のほかに、円柱状、扁平球状などとしてもよいが、転動体9の加工の容易性、高さ(直径)精度の出し易さ、転がり易さの点から、真球状のものが最も好ましい。
本実施形態に係る成形型を用いて、光学ガラスなどの成形素材をプレス成形する際には、成形素材が10〜1012dPa・sの粘度となる温度に相当する温度(400〜900℃程度)まで加熱された状態で周期的にプレス成形が繰り返され、かつ、2.5〜37.5N/mmの荷重が成形型及び成形素材に加わるものである。
このとき、保持部材ホルダ7と基台8との間に配設された複数の転動体9にも、上記荷重が加わるため、転動体9には、所定の強度が要求される。一般的に圧縮強さは曲げ強さと相関があるため、プレス時の転動体温度における曲げ強さが300MPa以上あるセラミックスを用いて転動体9を形成すれば、プレス荷重を受けても変形や摩耗・劣化が生じることはない。逆に、300MPa未満のセラミックスや金属を転動体9として用いた場合、転動体9が変形し、円滑な転動作用を奏することができなくなるおそれがある。
この転動体9は、その数が少なすぎると、その配置が偏ってしまった場合などに、下型3を水平に保持できなくなってしまい、逆に、転動体9の数が多すぎると、各転動体9が自由に転動できなくなってしまい、下型3の円滑な水平移動を阻害してしまうことがある。
また、成形型の組み立て性を考慮すると、基台8の底部上面に凹陥部を有する素材を形成しておき、この凹陥部に転動体9が収容されるようにするのが好ましく、このようにすることで、成形型を組み立てる際などに、転動体9が脱落してしまうのを防止することができる。
なお、転動体9を収容して、その脱落を防止するためには、凹陥部は、転動体9を介して対向する保持部材ホルダ7と、基台8との少なくとも一方の面に形成されていればよい。したがって、保持部材ホルダ7の上面に凹陥部を形成する代わりに、保持部材ホルダ7の下面に同様の凹陥部を形成し、この凹陥部に転動体が収容されるようにしてもよい。
なお、本実施形態においては、保持部材ホルダ7が、転動体9を下ヒータ13や加熱される下型3、下型保持部材6等の高温状態となる部材による熱を伝達しないようにする断熱部材として設けるものであり、これによって転動体9の温度上昇を抑制し、高温プレス成形のような高温高圧力状態の場においても効果的に変形抑制を行うことができ、下型3の水平位置を安定し保持することができる。
このとき、保持部材ホルダ7は、プレスによる高圧力状態に耐える強度を有するものであれば、その素材自体を断熱性の高い材料で構成してもよいが、断熱性の高くない材料で構成しなければならない場合も多く、その際には、保持部材ホルダ7の内部に冷却媒体を流す流路を設けて冷却媒体を流すことで、保持部材ホルダ7自体が高温とならないようにすればよい。ここで、冷却媒体としては、窒素等の気体、冷却水等の液体のいずれも用いることができるが、成形型の酸化による劣化を考慮した場合、窒素等の不活性ガスであることが好ましい。
保持部材ホルダ7に冷却媒体を流通させる場合には、さらに、下型保持部材6にも冷却媒体の流路を設けて冷却するようにしてもよく、さらにこの冷却媒体の流路により下型3を冷却可能とすれば、光学素子の冷却、固化における下型3の冷却を迅速に行うこともでき好ましい。なお、上型2においても、上型保持部材5に冷却媒体の流路を設けて冷却するようにし、さらにこれにより上型2を冷却するようにしてもよい。
このとき、転動体9の温度を200℃以下に保持するようにすることが好ましく、このとき、断熱性の高い材料としては、セラミックス、SUS410等の熱伝導率が低い材料が、断熱性の低い材料としてはベアリング鋼等の熱伝導率が高いが高圧力への耐性が良好な材料が挙げられる。
以上のように、本実施形態にあっては、下型3が水平方向に移動可能となるように、下型3が下型保持部材5及び保持部材ホルダ7と一体となっており、この保持部材ホルダ7と基台8との間に複数の転動体9が敷き詰められており、下型3の水平方向への移動が円滑になされるようにすることによって、上下型2,3の同軸性が高度に確保できるようになっている。
すなわち、胴型4は、その水平方向及び軸方向の移動が抑止された状態で上型保持部材5に保持、固定されているため、プレス成形動作が開始され、下型3が上昇して胴型4の下方開口部から胴型4内に挿入される際に、下型3の軸心が、上型2及び胴型4の軸心と一致していなくても、下型3は、胴型4内に挿入されながら水平方向に円滑に移動し、これによって、下型3や胴型4に無理な力が及ぼされることなく、下型3が、上型2及び胴型4と同軸となる位置に誘導されて、上下型2,3の同軸性を高度に確保することができる。
このようにして、上下型2,3の同軸性を高度に確保するにあたり、胴型4の下部側の内周面には、下方に向かってテーパー状に拡径するガイド部4aを形成しておくのが好ましい。プレス成形動作がなされる際に、このガイド部4aに、下型3の円柱状の本体部の周縁部が当接するようにすれば、胴型4内への下型3の挿入が妨げられることなく、ガイド部4aにガイドされながら下型3が胴型4内にスムーズに挿入されるとともに、下型3の水平移動が促される。軸方向に対するガイド部4aの傾斜角度θは、45°以下であることが好ましく、30°以下であることがより好ましく、10°以下であることがさらに好ましい。
また、下型3は、下型保持部材6を介して保持部材ホルダ7に固定されているため、この保持部材ホルダ7の外周面と、基台8の側壁の内周面とのクリアランスの範囲で水平方向に移動可能となっており、このクリアランスの最大値が、下型3の水平方向における移動量の上限となる。このため、胴部4に形成するガイド部は、その拡径幅Wが、上記保持部材ホルダ7の外周面と基台8の側壁の内周面との間のクリアランスよりも大きくなっているのが好ましい。
これにより、下型3の水平方向における軸ずれが最大になっていても、プレス成形動作がなされる際に、下型3の本体の周縁部を胴型4のガイド部4aに当接させることができ、胴型4内への下型3の挿入や、下型3の水平移動が妨げられないようにすることができる。
なお、この保持部材ホルダ7の外周面と、基台8の側壁の内周面とのクリアランスが小さすぎると、十分な水平移動が阻害されてしまう場合があり、下ヒータ13の加熱により、下型保持部材6も加熱され、その熱が保持部材ホルダ7にまで伝達すると保持部材ホルダ7が膨張し、その影響でクリアランスが小さくなってしまう可能性も考慮しなければならない。クリアランスが小さくなると位置精度の許容範囲が小さくなり、かじりの発生や型閉め不能になるおそれもある。
逆に、クリアランスが大きすぎると、下型3の許容される移動範囲が過大になることから、プレス成形の際に胴型4が下型3の成形面3aに接触して、成形面3aを傷つけてしまったり、プレス成形不能になってしまったりするおそれがある。
これらのことを考慮すると、保持部材ホルダ7の外周面と基台8の側壁の内周面とのクリアランスは、10〜200μmの範囲であることが好ましい。
なお、本実施形態における成形型の加熱は、図1に示したように、上型保持部材5の内部を貫通し、上型2の内部にまで挿入された上ヒータ12と、下型保持部材6の内部を貫通し、下型3の内部にまで挿入された下ヒータ13と、を設けて行われるもので、上型2及び下型3が十分に加熱されるようになっている。なお、これらの上下型に挿入されるヒータは、カートリッジヒータであることが好ましい。
ここでは、上ヒータ12,下ヒータ13を上下型2,3の内部にまで設けるようにして構成しているが、従来用いられていたように、上型保持部材5、下型保持部材6をヒータで加熱して、その熱伝導により上下型2,3を加熱する構成をとるようにしてもよい。
また、これら上ヒータ12,下ヒータ13は、それぞれの加熱温度を個別に調節して管理することができるように構成することが好ましく、その温度管理は熱電対を上型2及び下型3に設け、この熱電対により検出された結果に基づいて温度制御手段により各型の温度制御を行うようにすることが好ましい。このとき熱電対は、カートリッジヒータの先端であって、上下型2,3の成形面に近い場所に設けることが好ましい。
なお、成形型を加熱するヒータとしては、従来用いられている赤外線ランプを設けることが好ましく、赤外線ランプは、赤外線の照射により成形型全体を加熱するために用いられ、通常、この赤外線照射を効率良く行うために、その背後には反射ミラーが設けられ、反射ミラーからの反射した赤外線も成形型の加熱に寄与するようになっている。これら赤外線ランプ及び反射ミラーは、支持部材により、成形型の加熱を十分に行うことができるように胴型3の周囲に配置されるものである。
ここで、さらに、成形型の内部に挿脱自在に設けられた光学素子成形素材を加熱するための成形素材用ヒータを設けることもでき、その場合には、成形型の温度よりも成形素材の温度を高温とすることが容易で、それぞれの温度を個別に管理することができるため、より効率的に光学素子を成形することができる。なお、挿脱は胴型4の側面に開口部を設けて行えばよい。
そして、図1及び図2において、上型2のフランジ部分の高さを胴型4の上面より低くして、上型2の上面と上型保持部材5の下面との間に隙間が形成されるようにしてもよく、このような隙間を形成した場合には、上型2は、この隙間の分だけ胴型4内を軸方向に摺動可能となる。
このときプレス成形動作がなされる間中、胴型4内で上型2が摺動するため、上型2と胴型4との摺動部における水平方向のクリアランスを設ける必要があるが、これは極めて小さく(例えば、片側5μm以下、好ましくは片側2μm以下)しておくことが好ましい。
上型2の上面と上型保持部材5の下面との間に隙間を設けることにより、下型3が上昇してプレス成形する際には、下型3の成形面3a上の成形素材が、上型2の成形面2aに当接して上型2を押し上げ、これにより、上型2は、上記隙間の分だけ胴型4内を摺動して上型保持部材5の下面に当接し、上型2のフランジと、胴型4の段面との間に隙間が形成される。光学素子の肉厚は、一旦ここで規定されるが、この後、冷却すると、光学素子の熱収縮に追従して上型2がその自重によってわずかに下降し、上下型2,3と光学素子との密着を維持し、上型2による圧力をかけながら冷却を行うことができる。このように冷却時に圧力が抜けないようにすることで、成形される光学素子の形状不良が生じるのを抑制することができる。
次に、本発明の光学素子の成形方法について、本実施形態の光学素子の成形装置を用いて説明する。
成形に先立って、光学素子の成形装置1はチャンバー内に配置され、このチャンバー内は、窒素等の不活性ガスに置換される。置換が完了し、チャンバー内が不活性ガス雰囲気となったところで、成形素材を予熱し、これとは別に上下型2,3も上ヒータ12,下ヒータ13、また必要に応じて図示しないランプヒータにより予熱される。ここで、上下型の温度は同一の温度でもよいし、温度差を設けてもよい。温度差を設ける場合には、上下型2,3の温度差を2〜15℃程度の範囲とすることが好ましい。
上記予熱しておいた成形素材を下型3の成形面3a上に供給し、下型3上で十分に加熱した後、プレス成形を行う。下型3が上昇し、上型2との間で成形素材をプレスし、所望の光学素子形状を付与する。プレスのための下型3のストロークは、成形する光学素子の肉厚に基づき、予め設定された値であり、次工程の冷却工程において、成形後の光学素子が熱収縮する分を見込んで定めた量とすることができる。また、プレス成形の速度は、一般に、3〜600mm/分であることが望ましい。直径が15mm以上のガラスレンズを成形する場合には、3〜80mm/分とすることが望ましい。また、プレスの手順は、成形する光学ガラスの形状や大きさに応じて、任意に設定することができる。このとき、プレス時の圧力は2.5〜37.5N/mmとすることが好ましく、10〜20/mmであることが特に好ましい。
なお、本実施形態の成形装置においては、下型3が、基台8上の転動体9により水平方向に移動可能な状態で下型保持部材6に保持されている。したがって、プレス成形時において、上型2と下型3の間に軸ずれが発生していても、胴型4に下型3が挿入される際に、下型3が水平方向に円滑に移動して、上下型2,3の軸合わせが行われ、この状態でプレスが行われる。
また、下型3は転動体9の転動によって円滑に水平方向に移動可能であるので、プレス成形時に、胴型4のガイド部4aが下型3の外周縁に片当り状態になっても、胴型4と下型3に無理な応力が作用することなく、下型3が水平方向に移動し、速やかに胴型4に挿入され、上下型が同軸状態となる。よって、胴型4および下型3に擦れやかじりが生ずることなく、下型3が上型2と同軸状態となるように位置補正が行われ、プレス成形を高精度で行うことができる。
成形素材への押圧開始と同時、または押圧開始後に、上下ヒータ12,13の加熱を停止し、成形型は冷却される。そして、成形型の温度がガラスの転移点以下になったところで、下型3を下降して離型し、光学素子を搬出可能とする。
また、光学素子の割れや放射傷の発生を防止するために、冷却速度は、冷却開始から離型までの平均値として、50〜200℃/分とすることができる。冷却開始の冷却速度は、平均の冷却速度より大きくてもよく、離型温度に近づくに従って冷却速度を下げゆっくり冷却し成形素材の内部に歪が生じないようにすることが好ましい。離型温度は、ガラス転移点Tg付近以下とすることができるが、一般には、(Tg−50℃)〜Tgまでの範囲内の値とすることが好ましい。
次いで、搬出手段によって、下型3上の光学素子を搬送し、チャンバー外へと搬出する。光学素子が搬出されると、上ヒータ12,下ヒータ13により再度成形型の加熱を行い、次のプレス成形に備える。以上のような操作を繰り返し行うことにより、効率的に光学素子を製造することができる。
なお、製造する光学ガラスレンズの形状については、特に制限はなく、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズ、凸メニスカスレンズ、凹メニスカスレンズなどの成形を行うことができる。光学素子の大きさについても特に制限はなく、一般に、直径1mm程度から50mm程度のものを成形できる。1mm以下の場合にはレンズが小さすぎて形状の測定が困難であり、50mm以上では成形に時間を要すると共に、成形に必要なプレス圧力が大きくなりすぎて成形装置が大きくなりすぎるからである。さらに、光学ガラスレンズの形状は球面、非球面、あるいはこれらの組み合わせとすることができる。
このような構成とすることで、保持部材ホルダ7と基台8とが、直径が均一な転動体9により点接触により水平移動を円滑に行うことができるようになっており、下型3の水平移動を促進するので、下型を胴型内にスムーズに挿入することができる。なお、転動体9を設ける際に、スラストベアリングと同様に環状の軌道板、転動体および保持器から構成される転動体式荷重受けとして構成し、保持部材ホルダ7と転動体9との間には保持部材ホルダ7が水平方向への移動を規制されないような板状体の部材を設けたものとしてもよい。
このような成形装置を用いて光学素子を成形する際には、上下型を同軸上に位置合わせする工程を省くことができ、サイクルタイムが短縮され生産効率が高く、高精度の光学素子を製造することができる。
さらに、転動体は、下型の水平方向の移動に伴って転動するため、繰り返しプレス成形を行っても摩耗することがほとんどなく耐久性が高く、偏心精度の極めて良好な光学素子の連続生産が可能となる。特に、本実施形態においては、転動体が高温状態にならないような構成としているため、転動体の変形等を有効に防止して、下型の水平位置の確保を確実に行うことができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図3は、本発明の他の実施形態である光学素子の成形装置の概略構成を示した断面図である。
この光学素子の成形装置21は、光学素子成形素材を内部に収容しプレス成形するための上型22,下型23及び胴型24とで構成される成形型を備え、この上型22及び胴型24を保持する上型保持部材25と、下型23を保持する下型保持部材26と、この下型保持部材26を固定した保持部材ホルダ27と、保持部材ホルダ27が載置され、水平移動を制限する側壁を有する基台28と、保持部材ホルダ27と基台28との間に設けられた転動体29と、を有して構成されている。
また、上型保持部材25は上軸30に、基台28は下軸31に接続、固定されており、上軸30は装置上部に固定されて動かないようになっており、下軸31は図示しない駆動手段により上下移動可能となっており、この下軸31の上下移動に伴って、基台28を上下移動させることができるようになっている。さらに、上型22及び下型23を加熱するために上型保持部材25の内部を貫通させて上型22の内部に挿入された上ヒータ32、下型保持部材26の内部を貫通させて下型23の内部に挿入された下ヒータ33が設けられており、さらに、下型23を基準位置に復帰させる復帰手段34と、から構成されるものである。
ここで、本実施形態は、第1の実施形態とは、復帰手段34を有する点において異なるものであり、それ以外は共通の構成である。したがって、以下、復帰手段34について説明する。
本実施形態における復帰手段34は、下型23を基準位置に強制的に移動させるものであり、この基準位置は、この成形装置のプレス成形時における上型及び下型の軸の位置である。このように下型23を基準位置に強制的に移動させるようにすれば、下型23が大きくずれて、そのままプレス成形したのでは成形型のかじりが発生してしまうような場合でも、そのずれを補正することができるため、成形型のずれによるかじりの発生を効果的に防止することができる。
このようにずれを補正するようにしておけば、保持部材ホルダ27の外周面と、基台28の側壁の内周面とのクリアランスを大きくとることができ、下型23の水平移動が阻害されることがなく、これら部材の製造における精度を数μm単位で管理しなくても不具合が生じることを抑制することができる。
この復帰手段34は、下型23を基準位置に強制的に移動させることができるものであればよく、図3においては、下型23が保持されている下型保持部材26が固定されている保持部材ホルダ27の位置を移動させることで、間接的に下型23を基準位置に移動させるようになっている。
このとき、復帰手段34は、例えば、その径方向(横方向)において、拡縮可能に構成された部材であり、図4(a)及び(b)に示したように、保持部材ホルダ27の下面に復帰手段34を挿入することができる円柱状の窪み27aを形成しておき、これに復帰手段34を挿入して位置補正を行うものである。
この復帰手段34の最大径は、縮んだ状態においては、保持部材ホルダ27の下面の窪み27aの径よりも小さくなっており、このとき下型23は水平移動を十分に行うことができるようになっている(図4(a))。一方、復帰手段34を拡げた状態とすると、その最大径が保持部材ホルダ27の下面の窪み27aの径とほぼ同一となるまで膨らみ、下型23が基準位置に配置されることとなり(図4(b))、容易に位置を補正することができるようになっている。
このような復帰手段34としては、例えば、コスメック社製のデータムシリンダ(商品名)が挙げられる。
この復帰手段34は、一連の光学素子の成形工程が終わった後に行うものであり、光学素子成形素材を冷却固化し、離型させて成形型から取り去った後、次の光学素子の成形を行う前に動作させて、基準位置への復帰をさせるようにすればよい。また、この復帰操作は冷却固化し、成形素材を成形型から取り去る時に動作させて、ロボットハンドが正確に成形素材を把持できる用途に利用できる。
この復帰手段34による復帰操作を行うことで、下型23のずれによる成形型のかじりの発生を有効に防止することができ、また、下型23と基台28とのクリアランスを厳密に管理しなくてもよくなり、安定して光学素子のプレス成形を行うことができる。
なお、この実施形態においては、転動体29を設ける際に、転動体を凹陥部で保持する板状の保持器を基台28側に、転動体による保持部材ホルダ27の水平方向への移動を妨げない板状体を保持部材ホルダ27側に、配置して転動体式荷重受けとして構成されている。
次に、具体的な実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。本実施例では、図3に示した光学素子の成形装置を用いて、光学素子の成形を以下の通り行った。
なお、ここで用いた成形型は、タングステンカーバイドからなる超硬合金製のものであり、プレス成形により、直径φ40mm、中心厚さ7.5mm、周辺厚さ3mm、非球面の近時曲率半径がそれぞれ100mmと85mmの両凸形状の成形品が得られ、後加工の芯取り加工をすることで直径35mmの光学素子が得られるものである。また、胴部24の下部側の内周面に設けられたガイド部24aは、傾斜角度θが30°、拡径幅が10μm、この胴部24と下型23とのクリアランスは5μmである。
下型23は、同じく超硬合金製の下型保持部材26に固定され、これがさらにSUS304製の保持部材ホルダ27に固定されており、保持部材ホルダ27は、転動体29を介して基台上に設置されている。ここで用いた転動体は、直径 12mmの真球状のベアリング鋼からなり、この転動体は、保持部材ホルダ27との間、基台28との間にそれぞれ厚さ7mmのSUS製の金属板が設けられ転動体式荷重受けとして構成されている。このとき、保持部材ホルダ27と基台28とのクリアランスは3mmである。
さらに、保持部材ホルダ27の下面には直径φ20mm、深さ15mmの円柱状の窪み27aが形成されており、この窪み27aに復帰手段34が挿入されている。この保持部材ホルダ27は、さらに、その内部に窒素等の冷却媒体を流通させることができ、断熱部材として機能するようになっている。ここで、復帰手段34としては、拡径、縮径機能を保有している復帰機構(コスメック社製、商品名:データムシリンダ)を用いた。この復帰手段34は、保持部材ホルダ27に挿入された部分の縮径時の最大径が19.95mm、拡径時の最大径が20mmである。
また、光学素子成形素材を加熱する専用の成形素材用ヒータを設け、これを成形型内に挿脱自在に設けることにより、成形型の温度より成形素材の温度を高温にすることが容易に達成することができるようにしている。ここで用いた成形素材用ヒータは、60×80×20mmのステンレス板の内部に、直径6mmのカートリッジヒータを3本挿入して形成されたものである。
ここで、上ヒータ22及び下ヒータ23は、直径8mmのカートリッジヒータの外周を厚さ3mmのステンレス板で覆ったものであり、それぞれヒータの先端が、上型22及び下型23の成形面22a及び23aから5mmの距離となるように挿入されており、その先端には熱電対が設けられている。
さらに、ランプヒータは、胴型24の外周に40mmの間隔を設けて設置されており、胴型24の内部に制御用熱電対が設けられている。また、ランプヒータは、2kW×3の設備構成である。
この成形型を550℃に予熱しておき、下型23の成形面23aに200℃に予熱したランタン系ガラスからなる研削研磨により作製した直径φ36mm、中心厚み8.83mm、周辺厚さ4.3mm、曲率半径がそれぞれ90mmと60mmの両凸球面レンズの光学素子成形素材を載置した。次いで、上ヒータ22、下ヒータ23及びランプヒータの出力を上げ成形型を680℃に加熱するようにした。なお、この光学素子成形素材の歪点は580℃、ガラス転移点(Tg)は616℃、屈伏点(At)は662℃である。
上記加熱と同時に、駆動手段により光学素子成形素材が載置された下型23を上方向に移動させて、下型23を胴型24に嵌合させ、さらに、成形型内に挿入されている成形素材用ヒータと光学素子成形素材22との距離が10mmとなるまで下型23を上方に移動させた後、一旦上方への移動を停止した。
ここで、成形素材用ヒータの温度を920℃とすることにより光学素子成形素材を690℃程度に加熱し、十分に加熱したところで、成形素材用ヒータを成形型の外部に移動させた。その後、再度、下型23を、上方へ移動させ、光学素子成形素材を上型22及び下型23により押圧してプレス成形を行った。この成形時のプレス圧力は20N/mm、プレス時間は45秒とした。この時、下型23の位置が所望のレンズ肉厚7.5mmになる位置となるように位置制御し、所望の位置になったらプレス圧力をゼロにする。
プレス後、上ヒータ32、下ヒータ33及びランプヒータの出力を下げ、さらに、上軸30及び上型保持部材25に設けられた流路にNガスを流通させて上型22を、下軸12及び下型保持部材6に設けられた流路にNガスを流通させて下型23を、30℃/分の一定の冷却速度で冷却する。屈伏点(At)とガラス転移点(Tg)の間の所望の温度で再びプレス圧力を20N/mmに上げ、580℃になったらプレス圧力がゼロになるようにして、光学素子形状を付与された成形素材を580℃まで冷却し、固化させた。
次に、上ヒータ32、下ヒータ33及びランプヒータを停止し、上型22及び下型23の冷却速度を60℃/分とすると同時に、駆動手段により下型23を下降させ、成形素材が550℃程度になるまで冷却したところで、成形型から取り出し、光学素子を得た。
上記の動作を繰り返し行って光学素子を連続的に製造し、この成形操作が一回終わる毎に復帰機構34を動作させ、下型23を稼働前に設定した軸位置に強制的に移動させた。この光学素子の成形を500回連続してプレスを行ったところ、全て安定的に高精度に光学素子を製造することができた。
以上のように、本発明の光学素子の成形装置及び成形方法により、下型を胴型に嵌合する際に、下型は転動体により水平移動が可能で、転動体は下型と直接接しておらず高温状態となることがないため、下型が水平方向に傾くことを抑制することができ、高精度の光学素子を形成することができた。
さらに、復帰機構により、連続成形の動作中に、下型の位置を強制的に所定の位置に移動させるようにすることで、保持部材ホルダと基台とのクリアランスを厳密に管理しなくてもよくなり、かつ、かじりを十分に抑制することができた。
本発明は、光学素子成形素材をプレス成形するための成形装置及びそれを用いた成形方法の分野に適用される。
1,21…光学素子の成形装置、2,22…上型、3,23…下型、4,24…胴型、5,25…上型保持部材、6,26…下型保持部材、7,27…保持部材ホルダ、8,28…基台、9,29…転動体、10,30…上軸、11,31…下軸、12,32…上ヒータ、13,33…下ヒータ、34…復帰手段

Claims (8)

  1. 上型、下型及び胴型で構成される成形型と、前記上型及び胴型の上端を保持する上型保持部材と、前記下型の下端を保持する下型保持部材と、前記上型保持部材及び下型保持部材の少なくとも一方を上下動する駆動手段を備え、前記成形型内に光学素子成形素材を収容し、該光学素子成形素材を軟化温度以上に加熱した後、前記上型保持部材及び下型保持部材の少なくとも一方を互いに接近する方向に移動して光学素子成形素材を所定形状の光学素子に成形する光学素子の成形装置において、
    前記下型が水平移動可能なように、前記下型保持部材が転動体を介して基台上に設置されていることを特徴とする光学素子の成形装置。
  2. 前記下型保持部材と前記転動体との間に、断熱手段を有することを特徴とする請求項1記載の光学素子の成形装置。
  3. 前記断熱手段が、その内部に冷却水を循環させてなることを特徴とする請求項2記載の光学素子の成形装置。
  4. 前記転動体が、ベアリング鋼であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の光学素子の成形装置。
  5. 前記下型を、基準位置に復帰させる復帰機構を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の光学素子の成形装置。
  6. 前記復帰機構が、前記下型の保持部材の下側から中空部分に挿入され、該挿入部分が、拡縮可能な部材で構成されることを特徴とする請求項5記載の光学素子の成形装置。
  7. 前記転動体を介して対向する前記下型と前記基台の少なくとも一方の面に、前記転動体を収容する凹部を形成した請求項1乃至6のいずれか1項記載の光学素子の成形装置
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項記載の光学素子の成形装置を用いて、成形型上で光学素子成形素材を加熱軟化し、軟化した光学素子成形素材を前記成形型によりプレス成形して光学素子形状を付与し、光学素子形状を付与された光学素子成形素材を冷却固化させることを特徴とする光学素子の成形方法。
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