JP2016124767A - 光学素子の製造方法 - Google Patents

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正敏 大山
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Abstract

【課題】一方の面が球面研磨による球面で、他方の面がプレス成形による非球面である光学素子を製造するにあたり、球面研磨の研磨時間を短縮でき、形状精度の高い光学素子を効率よく製造できる方法を提供する。
【解決手段】一方の面が球面、他方の面が非球面の光学素子の製造方法であって、光学素材を上型及び下型からなる成形型で加熱してプレス成形により一方の面が球面、他方の面が非球面の光学素子母材を形成する工程と、光学素子母材の球面側の面を球面研磨する工程と、を有し、光学素子母材の球面を形成する成形型の成形面を、下記要件(1)を満たす非球面形状とする。
(1)非球面形状を球面に近似した場合の近似誤差の最大値をEsp(mm)、成形面の有効直径をφ(mm)としたとき、Esp/φが6×10−6以上6×10−5未満である。
【選択図】なし

Description

本発明は、プレス成形により一方の面が球面、他方の面が非球面の光学素子を製造する方法に関する。
近年、上型及び下型からなる光学素子用の成形型内に光学素材を収容し、加熱軟化させてプレス成形するという、光学素子を高精度に成形する方法が一般化してきた。プレス成形によるレンズはコンパクトカメラのみならず一眼レフカメラに使用するような直径30mm以上の大きなレンズにも使用されるようになっている。
ところが、直径が30mm以上のような大口径レンズでは、成形中のガラスの温度分布が悪いと成形品に不均一な残留歪が発生し、成形後の歪除去工程(アニール工程)で形状精度が悪化したり、ときには成形直後の段階で形状精度が出なかったりする場合があった。
そのような状況の中、製造コストを低減するために、一方の面が球面、他方の面が非球面のガラス製の光学素子において、非球面側をプレス成形で形成し、球面側はプレスした後、球面研磨で形成する光学素子の製造方法が提案されている。
このような方法においても、外径や中肉厚の大きい光学素子を成形しようとすると、ガラスの温度ムラが出やすく安定してレンズ両面共に良好な面精度が得られないことがあり、その対策として、例えば、特許文献1には、非球面側を製造する条件及び方法を最適化して、球面側のみ球面研磨する技術が提案されている。
しかしながら、この方法は、非球面側をプレス成形で精度良く形成することができるものの、球面側については特に考慮されておらず、プレス成形後の球面研磨でその形状精度を高める必要があった。このような球面研磨には多大な時間と労力を要する。また、特許文献1に記載の方法では、下型プレス面を非球面とし、上型プレス面を球面とするため、製造するレンズ形状によっては、下型へ光学素材を載置した際の安定性に欠けるという問題もあった。
特開2010−260775号
本発明は、上記従来の事情に対処してなされたもので、一方の面が球面研磨による球面で、他方の面がプレス成形による非球面である光学素子を製造するにあたり、球面研磨の研磨時間を短縮でき、形状精度の高い光学素子を効率よく製造できる方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る光学素子の製造方法は、一方の面が球面、他方の面が非球面の光学素子の製造方法であって、光学素材を上型及び下型からなる成形型で加熱してプレス成形により一方の面が球面、他方の面が非球面の光学素子母材を形成する工程と、前記光学素子母材の球面側の面を球面研磨する工程と、を有し、前記光学素子母材の球面を形成する前記成形型の成形面を、下記要件(1)を満たす非球面形状としたことを特徴としている。
(1)前記非球面形状を球面に近似した場合の近似誤差の最大値をEsp(mm)、成形面の有効直径をφ(mm)としたとき、Esp/φが6×10−6以上6×10−5未満である。
本発明の光学素子の製造方法によれば、一方の面が球面、他方の面が非球面のガラス製の光学素子の製造にあたって、球面研磨に要する時間を短縮でき、形状精度の高い光学素子を効率よく製造できる。
本発明の一実施形態に使用される成形型の一例を概略的に示す図である。 光学素子の球面を形成する成形型の成形面形状(非球面)を説明する図である。 本発明の一実施形態に使用される成形装置の一例を概略的に示す図である。 本発明の一実施形態に使用される成形装置の他の例を概略的に示す図である。 (a)光学素子母材(球面研磨加工前の光学素子)と(b)光学素子の断面形状の一例を示した図である。 本発明の一実施形態における球面研磨工程を説明する図である。 実施例により製造された光学素子母材の球面側の形状を示した図である。 比較例により製造された光学素子母材の球面側の形状を示した図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、説明は図面に基づいて行うが、それらの図面は単に図解のために提供されるものであって、本発明はそれらの図面により何ら限定されるものではない。また、以下の図面の記載において、共通する部分もしくは略同様の機能を有する部分には、同一符号を付している。
本発明の光学素子の製造方法は、プレス成形により光学素子母材を成形する成形工程と、この成形工程の後に行う球面研磨工程とを有する。なお、本発明により製造される光学素子は、一方の面が球面、他方の面が非球面の光学素子である。ここで「非球面」とは、曲率半径が光軸からの距離(ラジアル方向)によって変化している面をいい、「球面」とは、曲率半径が光軸からの距離(ラジアル方向)によって変化しない(つまり、一定である)面をいう。光学素子の形状は特に限定されず、両凸、両凹、凸メニスカス、凹メニスカスの各形状のいずれであってもよい。
成形工程には、例えば図1に示すような成形型、さらに図3に示すような成形装置を用いる。
まず、成形型について説明する。
図1は、本発明の一実施形態の光学素子の製造方法の成形工程に使用される成形型の一例を概略的に示す図である。
この成形型100は、図1に示すように、光学素子の上面を成形する上型11と、光学素子の下面を成形する下型12と、上型11及び下型12を内挿し摺動させて、光学素子の中心軸の位置合わせを行う円筒状の内胴13と、内胴13の外周に嵌合され、上型11及び下型12の上下方向の距離を規制するための円筒状の外胴14とから構成されている。
上型11及び下型12は、それぞれ円柱状の胴部を基本形状とする部材であり、これらの上型11及び下型12は光学素子を成形するため、上型11には光学素子の上面を形成する上成形面11aが、下型12には光学素子の下面を形成する下成形面12aが形成されている。そして、上型11及び下型12は、これら上成形面11aと下成形面12aとを対向させてなる一対の成形型として使用される。
内胴13は、中空円筒形状に形成されており、その中空部分は上記した上型11及び下型12の円柱状の胴部が嵌合可能になっている。この内胴13は、上型11及び下型12を嵌合してプレスする際に、これら上型11及び下型12をそれぞれ上下の開口から摺動可能に挿入され、それらの光学中心軸を同軸上に規制するように位置合わせして、形成される光学素子の光学機能面を同軸のものとする。
外胴14は、内胴13と同様に中空円筒形状であるが、その中空部分に内胴13が嵌合され、上型11及び下型12間の距離を規制する。具体的には、この外胴14は、プレス成形時において、上型11及び下型12を互いに接近させて下型12上に置かれた光学素材1を加圧するときに、その加圧のためのプレス手段(図示なし)の加圧面間の距離を規制することで、上型11及び下型12の距離を規制する。ここで、外胴14は、内胴13と同一の中心軸を有する。
この成形型100は、超硬合金、セラミック等の素材からなり、上型11及び下型12には、成形する光学素子の面形状を転写するための成形面11a,12aがそれぞれ対向する面に形成されている。成形面11a,12aは一方が光学素子の球面を形成する成形面であり、他方が非球面を形成する成形面である。図1の例では、上成形面11aが非球面を形成する成形面とされ、下成形面12aが球面を形成する成形面とされている。
そして、本実施形態においては、球面を形成する成形面(図1の例では、下成形面12a)が下記要件(1)を満たす非球面形状に形成されている。
(1)非球面形状を球面に近似した場合の近似誤差の最大値(以下、「球面近似誤差」ともいう。)をEsp(mm)、成形面の有効直径をφ(mm)としたとき、Esp/φが6×10−6以上6×10−5未満である。
すなわち、図2は、成形すべき光学素子の形状(球面)Aと、光学素子の球面を形成する成形面の形状(非球面)Bと、この成形面の形状(非球面)Bに近似する球面(近似誤差が最少となる球面(以下、「近似球面」という))の形状Cを示したものであり、光学素子の球面を形成する成形面は、その形状(非球面)Bと、その近似球面の形状Cの近似誤差の最大値Esp(mm)の、成形面12aの有効直径φ(mm)に対する割合が、6×10−6以上6×10−5未満の範囲になるように形成されている。
他方、非球面を形成する成形面(図1の例では、下成形面11a)は、下記要件(2)を満たす非球面形状に形成されている。
(2)上記のように定義されるEsp/φが6×10−5以上である。
このような非球面形状の成形面を有する成形型を用いることにより、後述するように、成形工程後に行う球面研磨工程で、研磨時間を短縮し、研磨量を低減できる光学素子母材を成形することができる。
なお、成形型100の外胴14は、上記セラミックス等以外にも、ステンレス鋼、インコネル(大同スペシャルメタル株式会社製、商品名)等の耐熱性のある金属を使用でき、ステンレス鋼製とすると、加工が容易で、熱膨張量が大きく安価である点で好ましい。また、このとき、室温からプレス成形の成形温度における、外胴の上下方向における熱膨張量を、光学素材1の上下方向の熱膨張量よりも大きくすることが好ましい。このような熱膨張量の関係とすることで、成形操作において光学素子に圧力の抜ける時間を生じさせずに、安定に成形できる。
次に、成形装置について説明する。
図3は、本発明の一実施形態に使用する成形装置の一例を概略的に示す図である。
図3に示すように、この成形装置200は、光学素子を成形するための成形室となるチャンバー22と、このチャンバー22の内部に設けた光学素材を収容した成形型を加熱して光学素材を軟化させる加熱ステージ23と、加熱軟化した光学素材をプレス成形するプレスステージ24と、プレス成形により光学素子形状が付与された光学素材を冷却する冷却ステージ25と、を有する。
成形室であるチャンバー22は、その内部において、光学素子の成形操作を行う場を提供する。このチャンバー22には、光学素子の成形型100を内部に取り入れる取入れ口と、光学素子の成形が終了した後、成形型100を取り出す取出し口が設けられ、この取入れ口及び取出し口には、それぞれ取入れシャッター26及び取出しシャッター27が設けられる。必要に応じて、これらのシャッター26,27を開閉することで、成形型100をチャンバー22から出し入れできるようになっており、チャンバー22内の雰囲気が維持される。また、この取入れ口及び取出し口には、そのチャンバー22外部にそれぞれ成形型100を載置できる成形型載置台28及び29が設けられている。
チャンバー22の内部には、光学素子を成形するための加熱ステージ23、プレスステージ24及び冷却ステージ25が設けられており、これらの各ステージにより成形操作を行う。実際には、光学素材を収容した成形型100が、取入れ口からチャンバー22内に取り入れられ、上記の各ステージにおいて所定の処理を施されながら順番に移動し、所定の処理が終了したら成形型100は、取出し口からチャンバー22の外部に取出される。
このチャンバー22の内部において、成形型100は光学素材を軟化し、変形を容易にするもので高温に加熱されるため、成形型100が酸化されないように、チャンバー内雰囲気を窒素等の不活性ガス雰囲気とできるようになっている。この不活性ガス雰囲気とするには、チャンバー22を密閉構造として内部雰囲気を置換して達成できるが、半密閉構造とし、不活性ガスを常時チャンバー22内に供給して、チャンバー内を陽圧にしながら外部の空気が流入しないようにして不活性ガス雰囲気を維持してもよい。上記した取入れシャッター26及び取出しシャッター27は、チャンバー22内部を簡便な構成で半密閉状態とするのに効果的である。なお、これらチャンバー22及びシャッター26,27は、ステンレス鋼、合金鋼等の高温下においてガス、不純物が析出しない素材とするのが好ましい。
加熱ステージ23は、成形型100に収容された光学素材を軟化させるものであり、その内部にカートリッジヒータ23aが埋め込まれた上下一対の加熱プレート23bから構成される。この加熱プレート23bは、上下一対の加熱プレート23bを成形型の上型、下型にそれぞれ接触させることにより、上型及び下型を加熱でき、さらに成形型内部に収容されている光学素材をも加熱できるようになっている。
より具体的には、加熱ステージ23において、下側の加熱プレート23bはチャンバー22の底板に、断熱板23c、加熱プレート23bがこの順番に積層して固定されており、下側の加熱プレート23bの熱をチャンバー22に伝達しないようになっている。
上側の加熱プレート23bは上下移動が可能となっており、こちらも上側の加熱プレート23b自体の熱をそのまま伝えないように断熱板23cを介してシャフト23dと接続され、このシャフト23dは図示しないシリンダーによって加熱プレート23bを上下移動可能としている。このように、加熱プレート23bを上下移動可能とすれば、上側の加熱プレート23bの成形型100の上型への接触・非接触を制御でき、所望のタイミングで成形型100と光学素材を加熱できる。
本発明のプレスステージ24は、上下のプレスプレート24b間の距離を狭めて成形型100の上型と下型との距離をも狭め、成形型100内に収容された光学素材を軟化状態のまま押圧して変形させ、上型及び下型の成形面形状を光学素材に付与して光学素子を成形する。その内部にカートリッジヒータ24aが埋め込まれた上下一対のプレスプレート24bから構成される。このプレスプレート24bを用いたプレスは前段階の加熱温度を維持しながら行われる。
より具体的には、このプレスステージ24において、下側のプレスプレート24bはチャンバー22の底板に、断熱板24c、プレスプレート24bがこの順番に積層して固定されており、下側のプレスプレート24bの熱をチャンバー22に伝達しないようになっている。
上側のプレスプレート24bは上下移動が可能となっており、こちらも上側のプレスプレート24b自体の熱をそのまま伝えないように断熱板24cを介してシャフト24dと接続され、このシャフト24dは図示しないシリンダーによってプレスプレート24bを上下移動可能としている。このように、プレスプレート24bを上下移動可能とすれば、この上側のプレスプレート24bを下降させ、下側のプレスプレート24bに載置された成形型100を用いたプレス成形ができる。このときプレス成形を所定の圧力で行えるようになっており、光学素材に高精度に光学素子形状を付与できる。
冷却ステージ25は、成形型100を冷却して光学素子形状が付与された光学素材をも冷却し、固化させるものであり、その内部に、カートリッジヒータ25aが埋め込まれた上下一対の冷却プレート25bから構成される。この冷却プレート25bは、上下一対の冷却プレート25bを成形型の上型、下型にそれぞれ接触させて、上型及び下型を冷却でき、さらに成形型内部に収容されている光学素材をも冷却できる。
より具体的には、この冷却ステージ25において、下側の冷却プレート25bはチャンバー22の底板に、断熱板25c、冷却プレート25bがこの順番に積層されて固定されており、下側の冷却プレート25bの熱をチャンバー22に伝達しないように構成されている。
上側の冷却プレート25bは上下移動が可能となっており、こちらも上側の冷却プレート25b自体の熱をそのまま伝えないように断熱板25cを介してシャフト25dと接続され、このシャフト25dは図示しないシリンダーによって冷却プレート25bを上下移動可能としている。このように、冷却プレート25bを上下移動可能とすれば、この上側の冷却プレート25bの成形型100の上型への接触・非接触を制御でき、所望のタイミングで成形型100と光学素材を冷却できる。
なお、ここでの光学素材の固化は、その素材のガラス転移点以下、より好ましくは歪点以下に冷却すればよく、十分に冷却されると光学素材の形状は安定し、変形が抑制される。ここでの冷却とは、光学素材のプレス形状を安定して付与できるように光学素材を固化する温度まで下げることをいい、その温度は、プレスプレートよりも50〜150℃程度低いだけで、依然として高温であるため、この冷却プレート25bにもその内部にヒータ25aが埋め込まれている。
また、これら各ステージの上側の加熱プレート23b、プレスプレート24b及び冷却プレート25bは、上記したように断熱板を介してシャフトに固定されており、このシャフトがシリンダーに接続されているが、ここでシリンダーは、各プレートを上下動させることができればよく、例えば、エアシリンダー、電動サーボシリンダー、油圧シリンダー、電動油圧シリンダー等のシリンダーを使用できる。
上記した、加熱プレート23b、プレスプレート24b、冷却プレート25bは、その成形型との接触面が水平面となっており、特に、プレスプレート24b、冷却プレート25bにおいては、プレスプレート24b、冷却プレート25bの成形型との接触面が傾いていた場合、成形型100の上型及び下型の中心軸が一致しなくなり、このとき製造される光学素子の光軸が一致せず不良品となってしまうことがある。したがって、これら各ステージにおけるプレートの平行度や平面度の管理は厳密に行われる。
これらの各ステージにおける、プレートはステンレス鋼、超硬合金、合金鋼等の素材の内部にカートリッジヒータを挿入し、固定したものであり、カートリッジヒータを加熱することによりプレートの温度を上昇させ、所望の温度に維持できるようになっている。
また、各ステージの断熱板23c,24c,25cは、セラミックス、ステンレス鋼、ダイス鋼、ハイス鋼等の公知の断熱板を用いればよく、硬度が高くプレス成形時の圧力等によっても変形しにくく、ずれを生じることが少ないセラミックスであることが好ましい。
以上説明した加熱ステージ23、プレスステージ24、冷却ステージ25は、それぞれ所定の処理が行われる場(ステージ)を形成するものであり、各ステージによる処理を順次円滑に行えるように、成形型100は、搬送手段(図示せず)により所定のタイミングで各ステージに移送し搭載されるように制御手段によって制御されている。
より具体的には、加熱プレート23b、プレスプレート24b、冷却プレート25bによる処理は、成形型100を順次上記の順序で各プレート上へと搬送移動させながら所定の処理を行うものであり、成形型100が次のステージに移動することで、処理の終わったステージは空くため、さらに、そこに別の光学素材を収容した成形型100を搬送し、連続的に複数個の光学素子の成形操作ができるようになっている。
この処理を行うための上記搬送手段は、図示していないが、例えば、ロボットアーム等により、成形型載置台28から加熱プレート23bへ、加熱プレート23bからプレスプレート24bへ、プレスプレート24bから冷却プレート25bへ、冷却プレート25bから成形型載置台29へ、と移動させることができるようになっている。
なお、この制御手段は、成形型の移動、加熱・プレス・冷却の各ステージにおける上下一対のプレートの温度や、上下移動のタイミング等をも制御し、一連の成形操作を円滑に、かつ、連続的にできるように制御している。このとき、取入れシャッター及び取出しシャッターの開閉も制御する。さらに、チャンバー22内の雰囲気が不活性ガスで満たされるように窒素の供給量やタイミング等を制御するのが好ましい。
すなわち、この光学素子の成形装置200は、1以上のポジションで温度の上げ下げを行いながら所定の処理を行う、成形型の搬送による光学素子の成形装置である。
本実施形態の光学素子の製造方法における成形工程は、このような成形型100及び成形装置200を用いて、例えば、次のように行われる。
まず、成形装置200の取入れ口側の成形型載置台28に成形型100を載置し、この成形型100の内部に光学素材1を収容する。取入れシャッター26を開けて取入れ口を開口させ、この成形型100を搬送手段により加熱プレート23b上に搬送する。搬送されると、成形型100の下型は下側の加熱プレート23bに接触するため加熱プレート23bと同じ温度まで昇温される。これと同時に、上型には上方向から上側の加熱プレート23bを接触させて同様に加熱する。
このように上型及び下型が加熱されると、その内部に収容されている光学素材1も加熱され、この光学素材1は屈伏点以上に加熱されると変形が容易となる。一般に、加熱温度は、軟化点まで温度を上げるとレンズ表面が白濁するので屈伏点(At)から軟化点の間の温度に設定する。このとき、昇温速度は0.5〜2.5℃/sec程度が好ましい。
このようにして加熱ステージ23で十分に加熱された成形型100及び光学素材1は、搬送手段により、下側のプレスプレート24b上に搬送され載置される。
プレスプレート24bも加熱プレート23bと同程度の温度に加熱されており、光学素材1が軟化状態を維持するようにしている。さらに、上側のプレスプレート24bを下降させてプレスプレート24b間の距離を狭めることにより、上型と下型との距離を狭めて、成形型100の内部に収容された光学素材1に圧力をかけて変形できるようになっている。
このプレス工程では、上記したように成形型100の上下から圧力をかけることで光学素材1のプレス成形を行い、これにより光学素材1には、一方の面が球面、他方の面が非球面の光学素子形状が付与される。
また、このプレス工程におけるプレスは、加熱温度が前段の加熱ステージで加熱した温度と同程度の温度であり、プレス時の圧力はレンズ成形体の単位面積当たり2.5〜37.5N/mmとすることが好ましく、例えば10〜20N/mmとすることが特に好ましい。
そして、このようなプレス工程を行うことで、押切りが完了した成形型100は、搬送手段によりプレスプレート24bから冷却プレート25bへと搬送される。この搬送手段は、上記した搬送手段と同様のものである。
次に、冷却プレート25bにより成形型100を冷却するが、これは、上記加熱工程と同様に、下型は下側の冷却プレート25bで、上型は上側の冷却プレート25bを下降させて接触させることで冷却する。これにより光学素材を冷却して、固化させる。この冷却は、光学素材のガラス転移点(Tg)以下に冷却させることが好ましく、光学素材の歪点以下の温度にまで冷却させることがより好ましい。このとき、降温速度は0.1〜2.5℃/secが好ましく、さらに好ましくは0.5〜1.0℃/secである。
加熱プレート23b、プレスプレート24b及び冷却プレート25bは、全てプレート内部に熱電対が埋め込まれており、熱電対からの出力をフィードバックしてカートリッジヒータの出力を制御して、所定のプレート温度を維持するようになっている。
なお、上記した加熱工程及び冷却工程は、それぞれ段階的に温度を変化させ緩やかに昇温又は降温させるのが好ましく、加熱工程を1以上の加熱ステージを設けることにより、段階的に光学素材の温度を上昇させて、プレスステージの直前の加熱ステージにおいて、成形温度にまでもっていくようにする。また、冷却工程においても1以上の冷却ステージを設けることにより、段階的に光学素材の温度を下降させて、200℃以下の温度になるようにする。このように、段階的に加熱及び冷却をすると、光学素材の急激な温度変化を抑制し、歪が生じたり、面割れ等が生じたりする等の光学素子の特性を悪化させずに成形できる。
このような、加熱工程及び冷却工程を実施するために、それぞれ複数の加熱ステージ及び冷却ステージを用いた成形装置を用いることができる。そのような成形装置の一例を図4に示す。
図4に示すように、この成形装置300は、チャンバー32、第1の加熱ステージ33、第2の加熱ステージ34、第3の加熱ステージ35、プレスステージ36、第1の冷却ステージ37、第2の冷却ステージ38、第3の冷却ステージ39を有する装置構成となっており、チャンバー32には前述の成形装置200と同様に、成形型100の取入れ口とそれを開閉可能とする取入れシャッター41、取出し口とそれを開閉可能とする取出しシャッター42、それら取入れ口及び取出し口の外側には成形型載置台43及び44が設けられている。第3の冷却ステージ39は水冷されており、ヒータは設けられていない。
この成形装置300は、加熱ステージを3つ、冷却ステージを3つ設けて、段階的に加熱及び冷却を行うようにしたこと以外は、図3に示した成形装置200の構成と同様である。
第1の加熱ステージ33では、光学素材をガラス転移点以下、200〜400℃程度低い温度に一旦加熱する予備加熱を行い、第2の加熱ステージ34ではガラス転移点付近の温度にまで、第3の加熱ステージ35では屈伏点+10〜30℃の温度にまで加熱する。また、プレスステージ36では成形温度を維持しながら、成形型による成形操作により光学素子形状を付与し、第1の冷却ステージ37では光学素材のガラス転移点+20℃程度まで冷却し、第2の冷却ステージ38では、さらに歪点以下にまで冷却し、第3の冷却ステージ39では、成形型が酸化されない200℃以下の温度にまで冷却するようにする。
ここで、第3の冷却ステージは、用いるプレートを、他のステージにおけるヒータの代わりに冷却水が循環するように配管を設けた水冷プレートとして、効率的に冷却できるようになっている。
本実施形態の光学素子の製造方法における球面研磨工程は、このようにして得られた光学素子母材に対して行われる。
図5には、凹メニスカス形状を例に、(a)プレス成形直後である光学素子母材の断面形状と(b)球面研磨後である光学素子の断面形状とを例示した。ここで示した光学素子母材51は、未研磨の光学素子であり、非球面51aと球面51bを有する。また、図6は、図5の光学素子母材51の球面51bの球面研磨を説明する図である。ここで、光学素子形状を凹メニスカス形状としているが、本発明においては、上記したように、一方の面が球面、他方の面が非球面である光学素子を製造する場合に適用でき、凹メニスカス形状に限られない。
球面研磨工程は、通常の方法で実施できる。
すなわち、まず、上記成形工程で得られた光学素子母材51をアニール工程に付して歪み等を除去した後、研磨装置61のレンズ保持皿62のくぼみに対応した直径となるように光学素子母材51を仮芯取りし、レンズ保持皿62に粘着部材63を介して非球面51aを保持させる。保持された光学素子母材51は、球面51bを球面研磨皿64に押し付けて研磨される。球面研磨皿64は回転軸65に固定され、一方向に定速度回転駆動される。レンズ保持皿62には光学素子母材51の中心とレンズ保持皿62の中心が一致するようにくぼみが設けられており、光学素子母材51が収まる。
また、光学素子母材51の余肉部分が球面研磨皿64と干渉することがあり、干渉部分がある場合には研磨加工はできないため、上記仮芯取りとともに干渉部分も取り除き研磨加工できるようにする。光学素子形状によっては、余肉部分が研磨に干渉しない場合も多く、そのときは余肉部分の除去は省略してもよい。
レンズ保持皿62はかんざし66の先端部にボールジョイントを介して支持され、一定の圧力で光学素子母材51を球面研磨皿64に押し付けて、直径方向(A方向)に往復運動させる。球面研磨皿64に研磨液67を吹き付けながら、往復運動させて光学素子母材51の球面51bを研磨する。
このように球面研磨で得られた研磨済みの光学素子は、さらに、芯取りして外形を整え、図5(b)に示したような、非球面51aと球面52bを有する最終製品形状の光学素子52となる。このとき、非球面51aは、プレスされた形状そのままで非球面の光学面として機能する。
本発明においては、成形工程において、前述したような特定の要件を満たす成形面を有する成形型100を用いて光学素子母材を形成しているため、球面研磨工程における球面研磨時間を短縮でき、また、球面研磨量を削減できる。
なお、本発明においては、上記球面研磨において、光学素子母材51のように球面が凹面の場合、球面51bの曲率半径の絶対値は球面研磨皿64の曲率半径の絶対値、すなわち球面研磨後の光学素子52の球面52bの曲率半径の絶対値より小さくしておくことが好ましい。このような関係とすることで、光学素子母材51と球面研磨皿64との接触部分が線(円)となり、安定した球面研磨が可能となる。
一方、光学素子母材51の球面51bの曲率半径の絶対値が球面研磨皿64の曲率半径の絶対値よりも大きい場合には、光学素子母材51の中心部と球面研磨皿64の中心部が点接触し、球面側の外周部は研磨皿に接触しないことになり、レンズ保持皿62と球面研磨皿64の接触領域が中心部を起点として曲面に沿って動いてしまう。このように動くと、接触状態が研磨作業中に常に変動し、最悪の場合には、球面研磨皿64の一方の側に加工面が傾いて研磨され、研磨後の球面52bの光軸が非球面51aの光軸に対して傾いてしまい、不良品となってしまう。
したがって、球面が凹面の場合は、光学素子母材の球面の曲率半径が球面研磨後の光学素子の球面の曲率半径に対して小さく(きつい曲面に)なるように設定することが好ましい。
一方、球面が凸面の場合には、上記とは逆の関係となるため、光学素子母材の球面の曲率半径の絶対値を球面研磨皿の曲率半径の絶対値より大きくすることが好ましい。このようにすればガラスの外周部と研磨皿が線で接触しガタのない接触状態が実現し、安定した球面研磨が可能となる。すなわち、球面が凸面の場合は、光学素子母材の球面の曲率半径が球面研磨後の光学素子の球面の曲率半径に対して大きく(緩い曲面に)なるように設定する。
上記した曲率半径の関係を、別の表現で説明すると以下の通りである。図5の光学素子母材51の球面51bの曲率半径の設定は、球面加工径で計算した仮芯取り後の光学素子母材の球面51bの球欠高さ(h1)から球面加工径で計算した球面研磨後の光学素子の球面32bの球欠高さ(h2)を引いた値Δh(h1−h2)を基準とする。光学素子母材31は、凹メニスカス形状であり、余肉部を含め仮芯取りしないと球面研磨ができなくなるため球面加工径で計算した値を基準とする。ここで、球面加工径は、実際に球面研磨される部分の最大径のことを指す。
ここで、球欠高さは、図5に示したように、光軸方向における、球面の面頂から球面の外周縁部までの高さであるが、曲率半径、光学素子の半径(研磨加工径の半径)、及び曲率半径と球欠高さの差が、幾何的に三角形を構成することから、次の式により算出することもできる。
Figure 2016124767
なお実際に球欠高さを測定する時は、成形後のレンズと研磨後のレンズについてそれぞれの球面形状をUA3P(パナソニック株式会社製、商品名)等の形状測定装置で測定して計算で求める。
まとめると、球面研磨する光学素子母材の球面の曲率半径を、球面研磨後の光学素子の球面の曲率半径に対して、球面が凹面の場合は小さな曲率半径となるように、球面が凸面の場合は大きな曲率半径となるように設定することが好ましい。ただし、曲率半径の差が大きい場合には研磨に時間を要するので好ましくない。
曲率半径を上記の関係とするには、球面が凸面の場合はΔhをマイナスに、凹面の場合はΔhをプラスになるようにすればよい。このとき、成形型の成形面の曲率半径によりΔhを調節でき、このとき、Δhの絶対値が0.3〜9μmが好ましく、1.5〜5μmがより好ましい。
また、本発明においては、光学素子母材の中心肉厚を球面研磨後の光学素子の中心肉厚よりも少しだけ大きくしておくことが好ましい。これにより球面研磨時間をより短縮することができる。ただしあまり大きくすると研磨する量が増えて時間がかかり、研磨代が少なすぎると研磨している内に球面研磨後の光学素子の肉厚が所望の厚さよりも薄くなってしまう。好ましい肉厚は、球面研磨後の光学素子の肉厚公差がほぼゼロとした場合に、+5〜+50μmが好ましく、+5〜+20μmがより好ましい。上記は球面研磨後の光学素子の肉厚公差が例えば±20μmであれば、公差内で変動可能であるが光学素子設計上、製品製造上から公差の中心を狙うのが通常である。
なお、上記は研磨の際に最終仕上げ研磨(ポリッシング)から始める場合である。粗い砂を用いて粗研磨(スムージング)を行うのであれば、光学素子母材の肉厚は、球面研磨後の光学素子の肉厚よりも、例えば1mm程度厚くてもよい。ただし、このように研磨量が大きいと偏芯が悪化するため、要求される偏芯精度が低い光学素子に限られる。
最終仕上げ研磨(ポリッシング)から始める場合には、光学素子母材の研磨する面の表面粗さが問題となる場合がある。形状にもよるが、光学素子母材の表面粗さが最初から最終製品並み(例えば、Ra1nm程度)に良いと研磨材のノリが悪くひっかかるように研磨され傷の原因になる。一方、表面粗さが悪すぎると研磨に時間を要する。好ましい光学素子母材の表面粗さはRaで0.2〜2μm、より好ましくはRaで0.5〜1μmである。所望の表面粗さを得るには、あらかじめ成形型の表面粗さを上記の範囲にしておけばよい。
上記は研磨の際に最終仕上げ研磨(ポリッシング)から始める場合である。粗い砂を用いて粗研磨(スムージング)を行うのであれば、成形品の表面粗さは極端に悪くなければよい。ただし、研磨量が大きいと偏芯が悪化するため、要求される偏芯精度が低いレンズに限られる。
このように、プレス成形後に球面研磨を行って得られた光学素子は、さらに、芯取り、反射防止膜の成膜等を施して最終製品とする。
本発明は、以上説明した実施の形態の記載内容に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはいうまでもない。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、例1〜5が実施例、例6〜9が比較例である。
(例1〜5)
図1に示す成形型及び図4に示す成形装置を用いて、光学素子の成形を以下の通り行った。
ここで用いた成形型100は、上型11、下型12、並びに内胴13及び外胴14を有する胴型で構成され、一方が非球面、他方が球面の光学素子を形成するものである。上型11、下型12及び内胴13はタングステンカーバイドからなる超硬合金製で、外胴14はステンレス鋼からなるものである。表1に、各例で用いた成形型の、球面を形成する側の型と、その成形面の球面近似誤差Esp及び有効直径φ、さらにそれらの比Esp/φを示す。
成形装置300は、加熱プレート、プレスプレート及び冷却プレートとして、ステンレス鋼製の100×78×18mmの直方体で内部に500Wのカートリッジヒータを3本有するプレートを用い、断熱板として、SUS304製の100×78×9mmの板状体とジルコニア製の100mm×78mm×9mmの板状体を重ね合わせたものを用いた。
また、上側のプレートを上下移動させるシリンダーには、エアシリンダーを用い、シャフト径40mmのシャフトが上側のプレートと接続、固定されている。チャンバーはSS400製の440mm×592mm×240mmの箱状で、このチャンバーの下板としては440mm×592mm×20mmのものを用いた。
まず、成形型100の下型12の成形面にホウケイ酸ガラスからなる研削研磨により作製した光学素材を載置した。この光学素材の歪点は495℃、ガラス転移点(Tg)は532℃、屈伏点(At)は573℃である。
光学素材を収容した成形型100を、搬送手段により第1の加熱プレート33b上に搬送し載置すると同時に上側の第1の加熱プレート33bを下降させて上型に接触させ、成形型100及び光学素材を300秒間加熱し、次いで、第2の加熱プレート34b上に搬送し載置すると同時に上側の第2の加熱プレート24bを下降させて上型に接触させ、成形型100及び光学素材を300秒間加熱し、さらに、第3の加熱プレート35b上に搬送し載置すると同時に上型の第3の加熱プレート35bを下降させて上型に接触させ、成形型100及び光学素材を300秒間加熱して光学素材を軟化状態とした。なお、第1の加熱プレート33bは280℃、第2の加熱プレート34bは500℃、第3の加熱プレート35bは600℃に設定した。
次に、成形型100をプレスプレート36b上に搬送し載置して、上側のプレスプレート36bを下降させ、この成形時のプレス圧力は5N/mm、プレス時間は250秒とした。このとき、プレスプレート36bの温度は600℃であった。
プレス後、成形型100を第1の冷却プレート37b上に搬送し載置すると同時に上側の冷却プレート37bを下降させて上型に接触させ、300秒間冷却し、次いで、成形型を第2の冷却プレート38b上に搬送し裁置すると同時に上側の第2の冷却プレート38bを下降させて上型に接触させ、300秒間冷却し、さらに、成形型を第3の冷却プレート39b上に搬送し載置すると同時に上側の第3の冷却プレート39bを下降させて上型に接触させ、300秒間冷却した。このとき、第1の冷却プレート37bは550℃、第2の冷却プレート38bは450℃、第3の冷却プレート39bは20℃(冷却水温度)に設定した。
光学素材を室温になるまで冷却し、十分に冷却したところで、成形型100から取り出し、光学素子母材を得た。光学素子母材は所定のアニール処理を行い、歪を除去した。
得られた光学素子母材の球面側の形状について、設計値との誤差をUA3P(パナソニック株式会社製、商品名)にて調べた。設計値との誤差について得られた結果を、図7に示した。なお、図7は例1の測定結果であるが、他の実施例の形状の光学素子母材も類似した傾向であったので代表例として記載した。ここで言う設計値との誤差とは、設計値から球面(曲率)成分を除いた誤差を示し、光学素子中心を基準に十字方向に測定したデータである。図7から明らかなように、球面側の形状精度は、誤差0.15μm以下という高い精度を有していた。
次に、各成形品に対し芯取りを行った後、レンズ保持皿に貼り付け、球面研磨皿に押し付け球面研磨を行った。いずれの成形品も180秒以下という短時間で所要の研磨が完了した。
(例6〜9)
球面を形成する側の型の形状を、表1に示すように変えた以外は上記例1等と同様にして、光学素子母材を成形し、さらに得られた光学素子母材に対し球面研磨を行い、光学素子を製造した。
得られた光学素子母材の球面側の形状について、例1等と同様にして、設計値との誤差を測定し、その結果を図8に示した。なお、図8は例6の測定結果であり、実施例の場合と同様、他の比較例の形状の光学素子母材も類似した傾向であったので、代表例として示した。図8から明らかなように、0.3μmを超える誤差が認められた。
また、球面研磨では、所要の研磨を完了するまでに400秒以上を要した。
Figure 2016124767
本発明の光学素子の製造方法は、一方の面を球面、他方の面を非球面とする光学素子をプレス成形と球面研磨により連続的に製造する際に用いられる。
1…光学素材,52…光学素子、11…上型、11a…上成形面、12…下型、12a…下成形面、13…内胴、14…外胴、22,32…チャンバー、23,33,34,35…加熱ステージ、24,36…プレスステージ、25,37,38,39…冷却ステージ、51…光学素子母材、61…研磨装置、100…成形型、200,300…成形装置。

Claims (7)

  1. 一方の面が球面、他方の面が非球面の光学素子の製造方法であって、
    光学素材を上型及び下型からなる成形型で加熱してプレス成形により一方の面が球面、他方の面が非球面の光学素子母材を形成する工程と、前記光学素子母材の球面側の面を球面研磨する工程と、を有し、
    前記光学素子母材の球面を形成する前記成形型の成形面を、下記要件(1)を満たす非球面形状としたことを特徴とする光学素子の製造方法。
    (1)前記非球面形状を球面に近似した場合の近似誤差の最大値をEsp(mm)、成形面の有効直径をφ(mm)としたとき、Esp/φが6×10−6以上6×10−5未満である。
  2. 前記光学素子母材の非球面を形成する前記成形型の成形面が、下記要件(2)を満たす非球面球状としたことを特徴とする請求項1記載の光学素子の製造方法。
    (2)前記非球面形状を球面に近似した場合の近似誤差の最大値をEsp(mm)、成形面の有効直径をφ(mm)としたとき、Esp/φが6×10−5以上である。
  3. 前記プレス成形後であって前記球面研磨加工前に、前記プレス成形で得られた光学素子母材を、球面研磨に用いるレンズ保持皿に合わせて仮芯取りする請求項1または2記載の光学素子の製造方法。
  4. 前記プレス成形で得られる光学素子母材の中心肉厚を、前記球面研磨後の光学素子の中心肉厚よりも5〜50μm大きくする1乃至3のいずれか1項記載の光学素子の製造方法。
  5. 前記プレス成形で得られる光学素子母材の球面側の表面粗さRaが0.2〜2μmである請求項1乃至4のいずれか1項記載の光学素子の製造方法。
  6. 前記球面研磨される研磨加工径において、前記光学素子母材の球面の球欠高さから球面研磨後の光学素子の球面の球欠高さを引いた値(Δh)が、凸面の場合はマイナス、凹面の場合はプラスである請求項1乃至5のいずれか1項記載の光学素子の製造方法。
  7. 前記光学素子母材の球面の球欠高さから球面研磨後の光学素子の球面の球欠高さを引いた値(Δh)の絶対値が、0.3〜9μmである請求項6記載の光学素子の製造方法。
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